虹色の薔薇が咲く場所は

如月 りん

文字の大きさ
上 下
40 / 267
1章 ファーストライブ

40話 ハッピーエンドじゃないから

しおりを挟む
しばらくすると会場は明るくなり、どんどん
人が体育館を出ていく。
「えっと、俺が知ってる話と違うんだけど」
「うん、それを思ってるのは類だけじゃないよ」

舞は呆れながらに答えた
「でも、レベル高かったよね」
「まぁ、本当に小学生かって思った」 
「劇は必ずハッピーエンドじゃないといけないってことはないしな」
舞の明るい声に類と俺も賛同する。
校舎内をぐるりとみて周り、
寮に戻った俺たち。

私と類はソファに座り込み、俺はダイニングの椅子に座る。
約2時間後、雪希はグッタリした表情で帰ってきた。
「おかえり、雪希」
「ただいま、舞」
舞は席を立とうとしたが類の方が早くだったので、舞は座り直した。
「おつかれ、雪希」
「ありがとう、類」
雪希はソファに座る。
「祝賀会でもやったのか?」
「いや、やってないよ。
まぁそんな雰囲気じゃ
なかったから」
「なにかあったの?」
類の声に雪希はため息をつき
「まぁ、祝賀会をやるはずだったんだけど
保護者からクレームが出てね、それの対応に先生は追われちゃって
僕たちも先生がいないのに祝賀会は、って空気になって解散に
なった」
「なんでクレームなんて」
蓮の問いに雪希はポツリと呟いた

「ハッピーエンドじゃないから」
「は?」
「どういうこと?」
その答えに類も私も意味がわからなかった。
「劇は美女と野獣を僕たちらしく
アレンジした話だけどそれが気に入らなかったらみたい」
私の頭には?しか浮かばない
「祝賀会やるのに僕と真希さんあと数人で
先生を呼びに行ったんだけど、保護者の対応に追われててさ。なんでバッドエンドなんだ、小学生の劇ならハッピーエンドにするべきだったって。」
「なに、その偏見」
ボソッと呟いた類はすぐに口に手を当て、
気まずそうに雪希を見る。

「僕ね、この練習期間でみんなと距離を縮められたと思ったんだ。」
雪希の声は震える。
「自分たちでシナリオ考えて、衣装を作って、練習して、すごく楽しくて嬉しくて」
膝の上で握っている拳に涙がつく。
「でも、あれを見ちゃったら、僕たちの努力を、過程を、嬉しさとか達成感とか
全部否定されたみたいで。僕たちのエゴみたいで」
「教室に戻った時、それを言ったら今まで輝いていたみんなの瞳から光が消えたように見えて、白けて、やめようかってことになってみんなどんどん荷物持って帰っちゃって。」

何もいえないでいると
「じゃあ俺たちでやろうよ」
「明後日にでも」
初めに言ったのは類だ、
「類、蓮」
「雪希がやりたかったのとは違うかもしれないけど、俺たちだけの祝賀会をやろうよ」
「ジュースで乾杯したり、
スイーツ食べたり?」
便乗して言うと、2人して首を縦に振る。
雪希は涙を拭い笑顔になったり
そして次の日私たちの番がやってきた、
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

「南風の頃に」~ノダケンとその仲間達~

kitamitio
青春
合格するはずのなかった札幌の超難関高に入学してしまった野球少年の野田賢治は、野球部員たちの執拗な勧誘を逃れ陸上部に入部する。北海道の海沿いの田舎町で育った彼は仲間たちの優秀さに引け目を感じる生活を送っていたが、長年続けて来た野球との違いに戸惑いながらも陸上競技にのめりこんでいく。「自主自律」を校訓とする私服の学校に敢えて詰襟の学生服を着ていくことで自分自身の存在を主張しようとしていた野田賢治。それでも新しい仲間が広がっていく中で少しずつ変わっていくものがあった。そして、隠していた野田賢治自身の過去について少しずつ知らされていく……。

無敵のイエスマン

春海
青春
主人公の赤崎智也は、イエスマンを貫いて人間関係を完璧に築き上げ、他生徒の誰からも敵視されることなく高校生活を送っていた。敵がいない、敵無し、つまり無敵のイエスマンだ。赤崎は小学生の頃に、いじめられていた初恋の女の子をかばったことで、代わりに自分がいじめられ、二度とあんな目に遭いたくないと思い、無敵のイエスマンという人格を作り上げた。しかし、赤崎は自分がかばった女の子と再会し、彼女は赤崎の人格を変えようとする。そして、赤崎と彼女の勝負が始まる。赤崎が無敵のイエスマンを続けられるか、彼女が無敵のイエスマンである赤崎を変えられるか。これは、無敵のイエスマンの悲哀と恋と救いの物語。

隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)

チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。 主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。 ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。 しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。 その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。 「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」 これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。

ほつれ家族

陸沢宝史
青春
高校二年生の椎橋松貴はアルバイトをしていたその理由は姉の借金返済を手伝うためだった。ある日、松貴は同じ高校に通っている先輩の永松栗之と知り合い仲を深めていく。だが二人は家族関係で問題を抱えており、やがて問題は複雑化していく中自分の家族と向き合っていく。

将棋部の眼鏡美少女を抱いた

junk
青春
将棋部の青春恋愛ストーリーです

隣の優等生は、デブ活に命を捧げたいっ

椎名 富比路
青春
女子高生の尾村いすゞは、実家が大衆食堂をやっている。 クラスの隣の席の優等生細江《ほそえ》 桃亜《ももあ》が、「デブ活がしたい」と言ってきた。 桃亜は学生の身でありながら、アプリ制作会社で就職前提のバイトをしている。 だが、連日の学業と激務によって、常に腹を減らしていた。 料理の腕を磨くため、いすゞは桃亜に協力をする。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...