37 / 267
1章 ファーストライブ
37話 タイトルなんだよ
しおりを挟む僕たちはそれぞれ忙しく、レッスンの時間が合わない。学芸会、学校祭のほうが忙しく、
レッスンでも、うまくいかないことが多い。
「みんな学祭などのイベントがあるのはわかるけど、無理はしないでね。ライブ前に体調を崩したら本末転倒だから」
「「「「はい!」」」」
杏奈さんは優しく言った。
「それでは今日はここまで。
明日から来月の三連休までのレッスンを少し短縮します。みんな学校イベントも全力で
やって欲しいから」
「「「「はい!」」」」
(劇のセリフも頑張って覚えないとな)
そして準備したり、
練習したりであっという間に当日。
当日、俺たちは雪希の学校へ。
外では何もやらないのかどこにでもあるような敷地だ。
「楽しみだね、雪希たちの劇」
「まぁそれはそうだけど、
人に揉まれないように気をつけて」
「え、どういう意味」
「そのまんま」
テンションが上がってる舞に類は釘を刺す
(楽しそうだな、類)
雪希たちのクラスの演目は
「美女と野獣、改め美少女と美少年」
「、なんて?」
俺の声に舞は聞き返す。
「だって、そういうタイトルなんだよ」
「色々、自分たちで変えたのかな」
今度は類が反応する。
体育館は真っ暗で適当に座る。
「次は6ー2の劇です。
タイトル、美女と野獣改め美少女と美小年」
アナウンスがあり、語り手の男子が
マイクで話し始める。
「昔々、とある街は流行り病に侵されていました。これは街を救おうと立ち上がった美少女マキと病を治す鍵を握る美少年ユキの
物語です」
語り手の男子は舞台袖に歩いていく。
(美女と野獣ってこんな始まりだっけ?)
そして幕は上がる。
主役であろう女の子は薄いピンク色の
エプロンワンピースを着ている。
「この街は静かになってしまった。今まで
賑やかだったから、こんなに静かなのは少し不気味に感じてしまいます。」
段ボールで作られた家の前でたたずみながら
少女は言った。
「いけません、こんなことではいつでも希望をもっていなさいと母との約束なのに」
自分の頬を軽く叩き立ち上がる。
場面は切り替わり病気の母親の看病の
シーンになる。
懸命の看病も虚しく母親は亡くなってしまう
悲しみに打ちひしがれていた少女。
だが容赦なく朝日は登る。
気力がないまま数日が過ぎたある日。
珍しく騒がしい街の広場に足を運んだ少女
「どうしたのですか?」
「ああ、マキ。実はこの流行り病の原因は塔にあるらしいんだ」
「まぁ、あの塔ですか?」
訳がわからないところにまたさっきの語り手の男子が歩きながら語る。
「塔というのは街のはずれにある、時計塔のことです。時計塔といっても壊れており動くことはなく名ばかりの建物です。
その時計塔は森の中にあり周辺には
バリケードがあり、近づくことができません。」
男子はまた舞台袖に消えた。
「私が謎を解き明かしてみましょう」
「駄目だよ、危ないよ」
「後悔するぞ」
マキがそういうと街の人たちは次々と止める
マキは首を振り
「このまま放っておけば、苦しむ人が増えるだけです。大丈夫です、悲しませる人はもういませんから」
マキはそう言い、時計塔へ行く。
いくら木の影で待っていても、出てくる気配はない。
「大丈夫、どんな時でも希望をもって」
マキは胸の前で手を握りそう呟く。
そして時計塔の中に入るドアノブに手を掛ける。
「おや、これは綺麗なお嬢さん。
私になにか御用でしょうか」
その声はどこか嬉々としているように聞こえた
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ボールの行方
sandalwood
青春
僕は小学生だけど、これでも立派な受験生。
放課後、塾のない日は図書館に通って自習するほどには真面目な子ども……だった。真面目なのはいまも変わらない。でも、去年の秋に謎の男と出会って以降、僕は図書館通いをやめてしまった。
いよいよ試験も間近。準備万端、受かる気満々。四月からの新しい生活を想像して、膨らむ期待。
だけど、これでいいのかな……?
悩める小学生の日常を描いた短編小説。
ヤマネ姫の幸福論
ふくろう
青春
秋の長野行き中央本線、特急あずさの座席に座る一組の男女。
一見、恋人同士に見えるが、これが最初で最後の二人の旅行になるかもしれない。
彼らは霧ヶ峰高原に、「森の妖精」と呼ばれる小動物の棲み家を訪ね、夢のように楽しい二日間を過ごす。
しかし、運命の時は、刻一刻と迫っていた。
主人公達の恋の行方、霧ヶ峰の生き物のお話に添えて、世界中で愛されてきた好編「幸福論」を交え、お読みいただける方に、少しでも清々しく、優しい気持ちになっていただけますよう、精一杯、書いてます!
どうぞ、よろしくお願いいたします!
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
全力でおせっかいさせていただきます。―私はツンで美形な先輩の食事係―
入海月子
青春
佐伯優は高校1年生。カメラが趣味。ある日、高校の屋上で出会った超美形の先輩、久住遥斗にモデルになってもらうかわりに、彼の昼食を用意する約束をした。
遥斗はなぜか学校に住みついていて、衣食は女生徒からもらったものでまかなっていた。その報酬とは遥斗に抱いてもらえるというもの。
本当なの?遥斗が気になって仕方ない優は――。
優が薄幸の遥斗を笑顔にしようと頑張る話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる