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1章 ファーストライブ
33話 覚えてないよ
しおりを挟む「おれ、僕たちはまだ結成してから月日が浅い、お互いのことをまだわかっていないところもあります。
ライブでチームそれぞれの長所と短所を知れればと思っています。
ライブはお客さんを楽しませるもの、でもまずは自分たちが楽しむことを心掛けています。自分たちが楽しめないライブが人を楽しませるわけがないですから」
(自分たちが)
「これが違いだよ、君たちと
Rainbow Roseの」
男の人は冷ややかに言った。
女の子は歯を食いしばる表情を見せて、
僕たちの横を通り過ぎた。
「残酷かもしれないけど、これがこの世界なんだ。投票したのは、観客たち。自分たちがいいと思ったグループに投票
するんだ。その数で合格ラインに届かなければその先の道は絶たれる」
(優斗さんと似た言葉。)
「あの、彼女たちのグループ名
ってなんですか」
舞の問いに男の人は
「そんなの覚えてないよ。この業界からいなくなる人たちのグループ名を覚えていたって意味ないだろ?」
笑顔でいう彼に怒りを覚える。
「そうですか、失礼します」
「あ、類」
類は早々と帰っていったので僕たちも追いかける。
僕たちは着替え、寮に帰ったが、
「なんか後味悪いね」
「雪希、」
「素直に喜べない僕はひねくれてるんだろうな」
「そんなこと、」
私は早口になるのを抑える。
「それを言ったら私もだよ。
最初は嬉しかったけど、なんというか、
裏の世界?を知っちゃったら」
これ以上はなにも言えなかった。
なにをどう言えばいいのかわからなくて。
「勝ち残るしかないだろ」
「蓮、」
「うん、そうだね。」
(STEPもこんな気持ちになったのかな)
残りの夏休みはレッスンしたり、新学期の準備をしたり。
そして明ける夏休み、始まる2学期
(鍵、内ポケットに入ってる。折り畳み傘は、よかったちゃんとある)
「舞、まだ~?」
「今、行く。」
一階から聞こえる雪希の声に慌てて
部屋を出る。
「お待たせ、」
もう3人は玄関にいた。
急いで靴を履き玄関を出ると、
類が鍵を閉めた。
いつもの電車に乗る。
「まだ暑いね」
「そうだな」
「ねぇ、どう?」
舞は俺の肩を叩く。
「なにが、フッ」
思わず吹き出す。
舞はドヤ顔でサングラスをかけている
「どうしたんだよ、それ」
まだ止まらぬ笑いを抑えながら聞く。
「いや、デビューしたから、有名になったり?したら必要かなって思って」
舞はサングラスをずらして答える。
「ホント、舞といると飽きないな」
「え?」
舞はキョトンとする
「こっちの話」
サングラスのブリッチに下から人差し指を
入れ、サングラスを取る。
「あ、せっかく買ったのに」
「これを使うのはまだ先だろ」
サングラスをたたみ舞に渡す。
舞は頬を膨らませ、渋々しまう。
学校に着くと、特に何もなかった
「ほらな、誰もデビューライブなんて知らないし、見てないと思うぞ」
昇降口で別れ、教室に入る。
「舞、見たよ。ライブ」
教室に入り紗南は開口一番に言ってきた。
「あ、ありがとう紗南。その、紗南はどうだったの、オーディション」
途端に紗南は顔を暗くさせる。
「ダメだった。でも諦めないよ」
紗南はめげる様子はなく明るくいった
「そっか、」
これ以上は何も言えなかった。
色々な感情が込み上げてきて。
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