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1章 ファーストライブ

22話 貶すなら

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「はい」
私に鞄を渡す。
「ありがとう」
鞄からタオルを出す
(持ってきといてよかった)
類は服の袖で拭っている。
「持ってきてないの」
「うん、忘れた」
(ビニールシートは持ってきたのに)
予備で持ってきたタオルを類に差し出す。
「使う?」
「貸し一つ?」
「いや、別に。そういう理由で渡したんじゃないし」
「そっか、ありがとう」
類はタオルを受け取り髪を拭く

(類と蓮ってどこか似てるよね、男の子ってみんなそうなのかな)
「次は類、行きたいところある?」
「俺は別に、」
「あれ、類?」
誰かが話しかけてきた。

別にない、そう言おうときたら誰かに遮られた。
「竜二、華菜。」
クラスメイトには会いたくなかったから少し遠いところにしたのに
「知り合い?」
「えっと、クラスメイト」
「そうなんだ」
「あ、もしかして彼女?変わり者を選ぶもの好きもいるんだね」
「おい、華菜」
「悪いよ、華菜彼女さんの前でそれ言っちゃ」

俺の声を聞かずに話す華菜、面白そうに同意する竜二、
混乱して眉を顰める舞。
最悪なシチュエーションだ。
「ねぇ、彼女さん。類はやめといたほうがいいよ。
天才を鼻にかけるやつだから」
華菜は笑いながら言う。

チームメイトには知られたくなかった。
「それがなんです。私が知ってる彼は優しく気遣いができる、そんな人です」
「うわぁ、もしかしてベタ惚れしてる?
面白いね、あなた」
華菜は面白がっている、
「そんな彼はリーダーに相応しいと思っています。」
「リーダー?何言ってるのこの子」
竜二は困惑した。、
「私たちのリーダーを貶すような発言ならやめてください」
静かに言ったが、竜二たちに向ける視線は鋭い。

「行こ、竜二」
華菜は竜二を袖を掴みどこかに行った。
「舞、あの」
「リーダーは必ずこうでないといけないという縛りはない。だからもっと自信持ってよ」
そこまで言って振り向き、満面の笑みで言った
「ね、リーダー」
不覚にもカッコいいと思ってしまった
「任せろ」
それから俺たちは水族館を後にする。
今度は4人でこよう、そう決めてデートは終わった。

あれからすぐに終業式があり、夏休みに入り
待ちに待った、合宿日。

俺たちは、電車で移動する。
車内は思ったより空いていて座ることができた。
蓮と雪希はうきうきしていたが、舞だけがすごい不機嫌だ。
「ねぇ、あそこにいる男の子たちカッコよくない。」
「私は金髪の人がタイプ」
「私は赤髪の人かな。でも女の子もレベル高いよ」
「本当だ、髪の長い女の子、可愛い」
「でも黒髪の子地味じゃない?」
「まぁ言われてみれば」

そんな声が聞こえてくる。
確かに舞は地味だが、素材はいい。
磨けばレベルは格段に上がる。
当の本人はイヤホンで音楽を聴いている。
そしてついた目的地。 
中に入るとSTEPの皆さんが。
「はじめまして、STEPリーダーの小鳥遊日向です。」

「はじめまして、リーダーの蒼葉類です」
「中原雪希です」
「高坂蓮です」
「日比谷舞です」
「よろしくね、後輩たち」
昨日のうちに事情と口裏合わせを頼んだ。
皆さん、理解してくれた。
「一応、2泊3日の予定なんだ。部屋は2階の2人部屋を2つ用意してあるから、そこを使って」
「ありがとうございます」
蓮と類、私と雪希と別れ、部屋に行く。

「いや、おかしくない!?」
雪希は部屋で私に言う
「何が」
「いや、何がってなんでさも当然って感じなの」
「まぁ細かいことは気にしないで」
「細かいかな!?」
「みんな~準備して~」
日向さんが下から呼びかける
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