虹色の薔薇が咲く場所は

如月 りん

文字の大きさ
上 下
2 / 267
1章 ファーストライブ

2話 嫌な予感

しおりを挟む
(なんだか嫌な予感がする)
翔が対応に出て、ゾロゾロ入ってきたのはSTEPの他の6人だ。

「久しぶり、舞ちゃん」
赤担当、泉 拓也さん
(いずみ たくや)
少しチャラい感じがして私は苦手だ。

「いきなりごめんね。
上がらせてもらうよ」
黄色担当、柊 司さん
(ひいらぎ つかさ)
元気すぎて、羽目を外すこともあるが
人気が高いらしい

「お邪魔します。お久しぶりです。
舞さん」
緑担当 小川 涼太さん
(おがわりょうた)
STEPの中で唯一メガネを
かけている人。
知的に見えて成績は良くないと
翔から聞いた。

「でも、迷惑じゃない?」
水色担当 青山 優斗さん
(あおやま ゆうと)
少々気が弱いが、曲やフリを完璧に
覚えるのが早く、隠れた才能だと
翔が言っていた。

「おう、久しぶりだな、舞」
紫担当 橘 陸さん 
(たちばな りく)
少し気が荒く、青山さんと衝突することが
多い。

「こんにちは、舞ちゃん」
白担当 小鳥遊 日向さん
(たかなし ひなた)
STEPのリーダー 器が大きく怒ったことがないらしい。
でも一番腹黒いという噂も。

芸名を使っているのは翔だけで他の
皆さんは本名だ。
「お久しぶりです、皆さん。
今日はどうしたんですか」

「ちょっとね、こっちの方で合宿をやるから遊びに来た感じ」
司さんは曇りなき眼で言った。
「そうですか、ゆっくりしていって
ください。私は宿題があるので
失礼します」
「え、ゲームは?」
「私はいいので、皆さんでどうぞ」

翔の声に私はそう答え、鞄を持ち階段を
上がる。

私は制服から部屋着に着替え、
数学のノートを取り出し、宿題をする。
が、手は全く進まない。
「アイドル、か」

(ステージに立てば翔はアイドルだ。
でもそれを除けばただの一般人。
他の6人だって。彼らはどうして)
「アイドルを志すようになったん
だろう」
シャーペンを放り出し、頭の後ろで
手を組み背もたれに体重をかける

(実の兄がアイドルなんて不思議だ。
家にいればただの長男、
でも街に出れば誰もが噂するアイドル。
そのギャップに私は心底不思議に思う。
テレビ越しに見る翔の姿は
本当に兄なのかと疑ってしまう。
どこか遠くに行ってしまうかも)
「なんてね」

両親は不慮の事故で亡くなった。
亡くなった後、翔は両親の死よりも
オーディションのことで頭がいっぱいで
私に構ってくれることもなくなった。
それでも、ひたむきに夢を叶えるために
努力し続けた翔の姿はかっこよかった。
憧れだった。
(同じ場所に立てば同じものが 
見えるのかな)

「なにこの、ブラコンじみた言葉」
乾いた笑いがこぼれる。
私は向き直り再びシャーペンを持った。



「舞の奴、変わっちまったな」
俺がそう漏らすと
「どういうことだ、翔」
隣で対戦をしていた司が画面に目を向けたまま聞いてくる。

他の5人は本を読んだり、
ゲームを鑑賞したり好きなことを
していた
「前に俺たちの両親は他界したって
言っただろ。」
「うん」
「俺はその時オーディションのことの方を重要視して、舞のことを考えて
なかった。」

司はゲームを中断画面にして、
俺の言葉に耳を傾けた。
違和感を感じて、振り返るとみんな 
話を聞く体勢になっていた。
俺は話を中断して別の話題を出そうとしたが無言の圧で諦め続きを話す

「寄り添うことをしないで突き放した。
その結果、俺の勘違いかもしれないが 舞と距離ができたような感じがした。」
「舞ちゃんは舞ちゃんなりになにかを 感じていたんじゃないかな」
「日向・・・」
「嫌われてたらどうしよう、俺、
すげーショック」

その場にいる6人は思った。
シスコン、だと

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

「南風の頃に」~ノダケンとその仲間達~

kitamitio
青春
合格するはずのなかった札幌の超難関高に入学してしまった野球少年の野田賢治は、野球部員たちの執拗な勧誘を逃れ陸上部に入部する。北海道の海沿いの田舎町で育った彼は仲間たちの優秀さに引け目を感じる生活を送っていたが、長年続けて来た野球との違いに戸惑いながらも陸上競技にのめりこんでいく。「自主自律」を校訓とする私服の学校に敢えて詰襟の学生服を着ていくことで自分自身の存在を主張しようとしていた野田賢治。それでも新しい仲間が広がっていく中で少しずつ変わっていくものがあった。そして、隠していた野田賢治自身の過去について少しずつ知らされていく……。

無敵のイエスマン

春海
青春
主人公の赤崎智也は、イエスマンを貫いて人間関係を完璧に築き上げ、他生徒の誰からも敵視されることなく高校生活を送っていた。敵がいない、敵無し、つまり無敵のイエスマンだ。赤崎は小学生の頃に、いじめられていた初恋の女の子をかばったことで、代わりに自分がいじめられ、二度とあんな目に遭いたくないと思い、無敵のイエスマンという人格を作り上げた。しかし、赤崎は自分がかばった女の子と再会し、彼女は赤崎の人格を変えようとする。そして、赤崎と彼女の勝負が始まる。赤崎が無敵のイエスマンを続けられるか、彼女が無敵のイエスマンである赤崎を変えられるか。これは、無敵のイエスマンの悲哀と恋と救いの物語。

隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)

チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。 主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。 ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。 しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。 その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。 「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」 これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。

ほつれ家族

陸沢宝史
青春
高校二年生の椎橋松貴はアルバイトをしていたその理由は姉の借金返済を手伝うためだった。ある日、松貴は同じ高校に通っている先輩の永松栗之と知り合い仲を深めていく。だが二人は家族関係で問題を抱えており、やがて問題は複雑化していく中自分の家族と向き合っていく。

隣の優等生は、デブ活に命を捧げたいっ

椎名 富比路
青春
女子高生の尾村いすゞは、実家が大衆食堂をやっている。 クラスの隣の席の優等生細江《ほそえ》 桃亜《ももあ》が、「デブ活がしたい」と言ってきた。 桃亜は学生の身でありながら、アプリ制作会社で就職前提のバイトをしている。 だが、連日の学業と激務によって、常に腹を減らしていた。 料理の腕を磨くため、いすゞは桃亜に協力をする。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

燦歌を乗せて

河島アドミ
青春
「燦歌彩月第六作――」その先の言葉は夜に消える。 久慈家の名家である天才画家・久慈色助は大学にも通わず怠惰な毎日をダラダラと過ごす。ある日、久慈家を勘当されホームレス生活がスタートすると、心を奪われる被写体・田中ゆかりに出会う。 第六作を描く。そう心に誓った色助は、己の未熟とホームレス生活を満喫しながら作品へ向き合っていく。

処理中です...