めもくれぬ横顔

時雨

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3話

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 そう昔この双子は捨てられたところを私が拾った子達なのだ

 最年少で最高位の花魁になり皆からは期待と羨望の眼差しが注がれ皆の憧れの存在に上り詰めた…

 だけどその時の私はただ昔の捨てられた絶望を思い出したくないが為…
 無我夢中で最高位にまで上り詰めた

 ただ…最高位になっても不安は拭いきれずにいた
 

 そんな時、窓を開け寒空の下キセルを咥え一息ついてた時何処からか啜り泣く声が

「「グスッ」」

 この街では捨てられてる事は日常茶飯事

「子供の泣く声か…まあ…誰かが拾うだろ…」

 そう言いながらもう一服

「フー」
 寒空の下白い煙が空へ舞い上がるのをボーっと眺めながら


「「グスッ」」

「…」

「「グスッ」」

「………」

「「グスッ」」

「あーーーもう!」
 痺れを切らし羽織りを羽織って下の階へ

 ドタドタドタ
 凄い速度で階段を駆け降り

 その音を聞いた女将が

「休みだったから良かったものの!!誰だい!こんな夜中に走ってる子は!」


「女将ごめん!!」

 戸をガラガラ開き泣き声のしてた店の狭い路地へ

 そこには小さい2人の男の子と先程とは違い泣く声以外にも誰かの声が…

「これは双子か顔も綺麗で売られるなグヘヘ」

 そう言いながら片方の腕を強く掴み

「こっちへ来い!」

「嫌だ」
「やめて離して!」

 その光景を見た氷雨は

「おい!放せ」

「誰だおめぇ」
 そう言いながらガラの悪い男はこちらに目を向け

「こりゃべっぴんのにぃちゃんじゃないかグヘヘ」

「離さないと…」

「離さないとなんだよグヘヘお前さんが股でも開いてくれるのかぃ?グヘヘ」

 ボソッと
「きしょくわるっ」

 ガラの悪い男は
「なんだとぉぉ!!」と声を荒げた瞬間

 何処からともなく

「氷雨~!!どこいったんだい!」
「氷雨~」

 女将の声がし

「氷雨…何処かで聞いた…あ…あの重鎮をも従えるあの花魁の氷雨か」

 ガラの悪い男の顔はみるみるうちに青ざめ
「すんませんした~!!」
 と言いながら走って逃げて行った


「大丈夫かい…?」

 小さい男の子達は目をうるうるさせ
「こわかったぁ」
「グスッ」
 と言いながら氷雨に抱きついた

 そんな2人の行動にびっくりしながらも
 頭を撫で背中をさすった

「あ!やっといた!もう心配したんだから急に走り出すから…って何だいその汚くて痩せ細った双子は」


「女将…この子達…」

「父ちゃんと母ちゃんはどうしたんだい?」
 女将は氷雨の腕の中に疼くまる2人に問いかける

「いない…」
「どっか行っちゃった…」
 グスッと泣きながら震える体を摩り続ける氷雨

「捨てられたのか困ったねぇ」
 困った女将を尻目に

 何かを決意したのか
「女将…この子達私が育てる」

「何を言ってるんだい氷雨そんな事出来るわけないでしょあんたはうちの店の稼ぎ頭なんだから!」

「だから!!だからこそ稼ぎ頭だから下男として私が育てる!」

 その後も言い合いが続き

「もう…言い出したら聞かないんだから…」

「女将…」

「分かったよ私の負けだ頑張って育てな、ただし後からやっぱりやめたはなしだからね」

「女将…ありがとう…」

 そう言い自分の羽織っていた羽織りを双子に包ませ

「名は何と言うんだい?」
 氷雨の問いかけに双子は…

「いみご?」
「ふきつ?」

 氷雨と女将は驚愕し

「いつもそう呼ばれてたのかい?」

「「うん…」」

 氷雨は頭を悩ませ…

「髪の色が黒い方が黒雨、髪の色が白い方が白雨」

「僕が黒雨」
「僕が白雨」

「そう!どっちも私の一文字から取った名だ…これからは私達が家族だ」

「「家族…」」
 双子はみるみる内に目を潤ませ大泣きしてしまい氷雨と女将はオロオロしたのはここだけの話

 その後、2人を包んだ羽織りを持ち上げ

「さあ帰ろう」

 みんなで店に戻り双子を風呂に入れご飯を食べさせ布団に寝かしつけようとトントンしてると

「これからも一緒?」
「ずっと一緒?」

「あぁ…これからもずっと一緒だ」

 双子はその言葉を聞き安堵したのかすぐに夢の中へ

 (家族…私に家族か…)
 フフッと笑いながら自分も布団に潜り込み夢の中へ












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