めもくれぬ横顔

時雨

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1話

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 心地良い風に吹かれ大きな木の下で寝転び木漏れ日を眺めながら見慣れた景色に懐かしさを感じ隣の人物に目線を向けようと目を閉じた瞬間…



 目を開いたらそこには見慣れた天井

 (ッハ…夢か…)

「最悪な目覚めだ…」

 と言葉が溢れてしまったのに気付きすぐさま隣に目を向け寝息を立ててる客を確認し安堵する


 そのまま体を起こし肌けたままキセルに手を伸ばし手に取って窓を開け窓縁に腰かけて月明かりに照らされた外を眺めながらキセルを吸い込む

 暫くすると…

「氷雨(ひさめ)…お主はやはり美しいな…」

 その声の主の方に目を向け

 微笑みながら
「ごめんなさい…起こしてしまいましたか」

「かまわぬそろそろ起きないといけないからな」

 そう言いながら体を起こし窓縁に座る彼の元へ向かい唇を重ねたあと

「もう一度いいか…?」と問いかける

「お主さんの心赴くままに…」

 客の首に手を回し体を沿うように密着させそのまま先程の寝床に体を預ける

「んっ」

 客は口づけした後…

 肌けた着物は更に乱れお互いの吐息が交わり抱きしめられて顔が見えなくなった瞬間

 天井をボーっと眺めながら客が早く尽きないかと考えながらも、それでも顔に仮面をつけ演技を続ける自分に嫌気がさす

「は…っあっぁあっ」

「氷雨…っは…気持ちいいか?」

「あ…っぁ…きぃ…きもちいいです…」

 気持ちとは裏腹に言葉を吐き出す

 その言葉を聞き

「…ナカに出すぞ」

「っん…」

 客がそっと体を離し体内からドロっとした感触に自分がどんどん穢れていく感覚に陥る…

 それでも顔に張り付いた仮面はそんな感情を出すのを許さず

 微笑みながら
「今日もありがとうござりんした」

 事を終え再び浅い眠りに陥る…

 暫くし早朝に再度起き

 客の体をそっと揺らし
「お主さん…そろそろ起きないと」

「うーん…もうそんな時間か」

 重たい体を起こし客の帰る身支度を終える

 店の外まで見送り

「もうお別れの時間だなんて……また絶対来てね」

 手を振りながら
「氷雨は可愛いのう、また来るから」

 と言葉を残し客は背を向けそのまま見えなくなるまでお見送りし店に戻る

 客を見送った後、店に戻り中に入り自分の部屋へ

「今日も疲れた…」

 ポツリと言葉が漏れる

 そのまま布団に潜り込み

「もう一眠りしよ…」

 そんな日常を繰り返しながら1日を終える

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