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第九話

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ロム会長は今日はここで泊まれと言ってきた

ニコ店長
「悪夢のせいで独り寝は怖いでしょうが急に言われても…本気で?」

ロム会長
「遅いからゲストルームに泊まれと言っただけだろ?」

ニコ店長
「え?ゲストルーム?」

ロム会長
「昔残業でよく泊まった事あるだろ?」

ニコ店長
「ああ!そういう事ですか!そうでしたね私ったら何を勘違いを」

ロム会長
「何を期待した?」

ニコ店長
「いえ!期待なんてしてません」

ロム会長
「ふん…」

その時会長の携帯が鳴る

ロム会長
「もしもし!」

ニコ店長
「…」

ロム会長
「そうか…分かった…」

ニコ店長
「…」

ロム会長
「残念だが今夜君は泊まれなくなったがっかりさせたな」

ニコ店長
「がっかりだなんて泊まる気はありませんでした私はこれで失礼します」

ニコ店長は足早にその場を後にした

ニコ店長がトボトボと歩いて帰る

ニコ店長
「うーん…誰からの電話かしら?表情が険しかった」

その時スマホ歩きをしている男性とぶつかってしまい相手のスマホを落としてしまう

ニコ店長「すみません!」
(わぁ!超イケメン)

ライ
「気をつけて!」

ニコ店長はライのスマホを拾う

ニコ店長
「あ、でもスマホ割れてません」
(性格悪っ、そっちがスマホ歩きで前見てなかったくせに)

ライ
「それじゃない」

そう言うとライはニコ店長の靴紐を指を差し解けていた靴紐を結んであげる

ニコ店長
「あ!大丈夫です」

ライ
「転ぶと危ない」

ニコ店長
「自分でできます…」
(わぁ!性格まで超イケメン!私の事心配してくれた)

ライは満面の笑みを見せる

ニコ店長
「どうも!あ!これスマホどうぞ」

ライ
「じゃあ」

ライはロム会長の家の方向に立ち去った

ニコ店長
「優しい人ね!“誰かさん”とは大違いふん!」

ニコ店長は自分の家につくなりビールに手を伸ばす

ニコ店長
「ああ~今日も疲れた~疲れた後のビールは美味いそれにしても会長のあの傷跡は何だったんだろう?気になる…」

ロム会長は一人ウイスキーを飲んでいたそこにニコ店長からメールが届く

“怪我の具合はどうですか?”“明日の朝も冷やすように!”
“ではおやすみください“

ロム会長
「ふん小言が多い!疲れさせる」

そう言って嬉しいそうにウイスキーを飲んでいた

久しぶりの休日ロム会長はニコ店長を誘い出した

ニコ店長
「足は大丈夫なんですか?」

ロム会長
「ああこれくらいなんでもない大丈夫だ」

ニコ店長
「今日は?これってデート?」

ロム会長
「まぁ今日は俺と付き合ったくれ」

ロム会長とニコ店長は美術館へと向かう

ニコ店長
「素晴らしいですね!こんな大きな美術館初めてですなんか素敵!1日中ここにいられますねお洒落なカフェもあるし図書館もあるなんてなんかすごいですね美容室だってある」

ロム会長
「そうだろ!全て俺のアイディアだ俺の為に作った美術館だそれに今日はもちろん貸切だ誰もいないぞ!」

ニコ店長
「もう会長なんでも貸切にしなくていいのにでもいいなぁ美術館かぁおしゃれな作りまるで迷路」

ニコ店長は初めて来る美術館に興味を示していた
美術館を見て回っているそこで突然電気が消える
辺りは真っ暗になった

ニコ店長
「あれ?何で?また会長の演出ですか?」

ロム会長
「いや、今日は何もしてない!それになんだ?施設面の不備はあり得ない停電するなんて!」

そう言ってニコ店長を見ると

ロム会長
「わぁぁぁぁぁっぁぁぁっぁぁぁ!」

ニコ店長がスマホのライトで顔を照らして“変顔”をしていた
それに驚いてロムは思わず叫んでしまった

ロム会長
「驚かせるな!」

ニコ店長
「明るくする為に!」

ロム会長
「はぁ…怒らせる為じゃ?」

ニコ店長
「まさか!それにしても驚いた顔がキュートです!」

ロム会長
「俺はキュートというより魅惑的だ」

ニコ店長
「あ!そうですね失言でした!」
(あの冷静な会長が驚いた顔かわいい)

ニコ店長
「あそこに間接照明はついてる移動しましょ」

緊急用の間接照明に移動して2人は電気の復旧を待った
薄灯に照らされたニコ店長の顔が見えるロム会長はずっとニコ店長を見つめていた

ニコ店長
「会長、私恋愛がしたいです平凡で例えときめかなくても好きな人に一度ハグされるだけで1日の疲れが洗い流されて爽快な気分になる恋愛!ステキでしょ?」

ニコ店長は満面の笑みでロム会長を見た
ロム会長はその嬉しそうに話をする笑顔にドキッとする

ロム会長
「よ、よ幼稚だ!疲れを洗い流すのは殺菌効果のある高機能シャワーで十分だ」

ニコ店長
「もう!ロマンがない!幼稚かもしれませんがこれこそ私が望む恋愛です」

ロム会長はニコ店長の笑顔に完全に好きになっていた

ロム会長
「ニコはかわいいな」

ボソッと呟く

ニコ店長
「え?」

ロム会長
「いや何も言ってない…復旧はまだか?」

ニコ店長
「遅いですね…」

ロム会長
「もう出よう」

ニコ店長
「そうですね」

ニコ店長が持ってるスマホの明かりで出口に向かうところがロム会長は広すぎる美術館に出口がどこにあるか迷っていた

ニコ店長
「会長もしかして迷ってます?」

ロム会長
「君は分かってな俺は色んな角度から隅々まで見て回って今後の改善点を探してるんだよ!出口だろ?ちゃんとついてこいあっちだ」

ニコ店長
「あ!会長!!そこ!」
(出口の看板がある)

ロム会長
「大丈夫!黙ってついてこいこっちだ!」

ニコ店長が出口を見つけたがロム会長は足早に歩くニコ店長がロム会長の後をついていくとそこは行き止まりだった

ニコ店長
「…」

ロム会長
「…」

ニコ店長
「ここは…」

ロム会長
「あれ?」

ニコ店長
「会長言いにくいのですが出口は過ぎました」

ロム会長
「何?」

ニコ店長
「さっき出口が見えたんですがきっと暗くて会長気づかなくてここだと勘違いをしたんですよそれに奇抜な作りだし」

ロム会長
「ははは!さすが俺が選んだ“建築家”は違う素晴らしい常識を超える奇抜な設計だ」

ニコ店長
「会長出口はあっちです」

ニコ店長を先頭に歩き出す後ろを歩くロム会長

ロム会長
「ところでニコ店長香水をしてるのか?」

ニコ店長
「いえ!香水はつけません!お客様に迷惑かけないようにしてますので」

ロム会長
「シトラスの香りがする」

ニコ店長
「それはシャンプーの香りですセール品で愛用してます」

ロム会長
「市販?セール品…うちのシャンプー使ってないのか?」

ニコ店長
「ええそうです私の髪に合わなくて」

ロム会長
「じゃ合わないならそのシャンプーを店頭に出さずに全部破棄しろ」

ニコ店長
「いえ!それは困ります、お店で1番売れてるシャンプーなのでシャンプーは個人差があって使ってみないと分からないんです…たまたまセール品で私に合ったシャンプーを見つけました」

ロム会長
「じゃそのシャンプーを出してる会社を買い占めうちで販売する!君が使うくらいだから良いシャンプーなんだろうハノ社長に伝えとく!」

ニコ店長
「良いですね実はお客様がもっとリーズナブルなシャンプーは無いのかと求めてる方が増えてきてまして」

ロム会長
「それいくらなんだ?それにしても歩く時そんなに足早だったか?」

ニコ店長
「980円よ!歩く時いつも会長に合わせていたら私も自然と足早に」

ロム会長
「安っ!うちの店頭に売られてる値段の10分の1じゃないか!俺の歩幅は人の倍だから大変だろ?」

ニコ店長
「もう慣れました」

ロム会長
「君が足早だと今初めて気づいた」

ニコ店長
「気づかないのは私はいつも後ろでついてきてたからでそれに今は暗闇の中で感覚が鋭くなったからでしょ?」

その言葉にロム会長は歩くのをやめた
ニコ店長は後ろを振り向きスマホの明かりを会長に照らす

ニコ店長
「どうしました?ちょっと離れると暗くてまた転びますよ?」

そう言うとニコ店長は咄嗟に会長の手を掴み腕を引くいつも女性が触ると振り払っていた会長が初めて振り払わなかった
ロム会長は掴んだ手を見るそしてニコ店長も掴んだ手を見た

ニコ店長
「あ!ごめんなさいつい…」

ニコ店長は手を離した

ロム会長
「君は正しい暗闇の中では感覚が鋭くなるようだ」

ニコ店長が離した手を再びロム会長が手を掴み握った
そしてニコ店長のスマホを取りロム会長が前を歩く

ロム会長
「そっちこそ転ぶぞ!」

ニコ店長
「…」

2人は手を繋ぎながら無事外に出ることができた
そこに美術館館長がロム会長へと走ってきた

館長
「ご不便をおかけしました」

ニコ店長
「…」
(あーあこの人クビだわ…)

ロム会長
「いや、そうでもない」

ニコ店長「え?」
(怒らない?人の失敗で怒らない会長初めて見た)

ロム会長
「誰にだってミスはある気にするな!そうだろニコ店長?」

ニコ店長
「そうですね私も楽しかったし良かったわ!」

こうして2人のデートは終えた

第十話に続く
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