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帝国ウィンドール⑦魔法使いティフネス

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俺はこの帝国のギルドに寄ってみたが
俺のイメージしていたギルドとはかけ離れていた
冒険者ギルドはなく主に商人ギルドと職人ギルドが大半を占める
唯一イメージ通りだったのが飲み食いができるフードコートがある

「セネ!冒険者ギルドが無いのはわかった少し休もう何か飲みたい!さすがに疲れたよ…」

それから俺はこれまでの事セネに話した
俺が何故か魔物に狙われている事もセネに渡した六芒星の事も
まぁ六芒星の事は俺には全然わからないわけで六芒星の情報はセネに託した

「この六芒星の術式の効果私が調べておくから何か分かったらまたここで落ち合いましょ」

「そうだな」

それから俺はセネと別れた俺がなぜ狙われているのか考えるが

「ってわかるわけないよな…」


数時間後…
外は夜になっていた…

セネが言っていたこのギルドにはいろんな情報が飛び交っているここにいればエリシアについて分かると思ったんだが…
そりゃそうだセネでも掴めない情報がそんな簡単に掴めるわけがない…

「はぁ情報収集の前に働かないと生活出来ないな…」

「どうしましたか?そんなしけたツラして」

「さっきからずっとギルド内で聴き込みしているみたいですが?」

「しけたツラって…君は?」

俺に話しかけたのはギルドの受付嬢だった

「私で良ければ話聞くわよ!」

「なんで?君が?これも仕事の内なのか?」

「違います!セネ様から挙動不審の男がいると思うから力になってあげてとおっしゃっておりましたので!あなただと確信しました」

「俺…そんなに挙動不審だったのか?」

「ええ!1番きょどっていました」

「じゃエリシアって聞いて何か思い浮かぶ事ないか?それと魔法を教えてくれないか!」

「ちょっと待って下さい!力になってあげるのはそういう事じゃなくて生活面での事よ!ここ帝国は初めてなんでしょ?仕事を紹介したり宿を紹介する程度よ!貧困者を最低水準まで手助けするのがギルドの義務でもあるから!」

「はぁ…じゃ俺には必要ないよ!貧困で食べ物がなくても住む場所が無くても死んだら最初の1日が始まるから…」

「え?まさか…」

俺は何を言ってるんだこんな初対面の人に…

「なぁ知ってるか死んでもまた同じ日を繰り返す魔法って…」

「いえ…今まで聞いた事がありませんが……
でもイフィスフィラ様なら知っているかも…」

「あるんだよ…その魔法……それとイフィスフィナ様な!そこ間違えるな…俺よりは知ってる大賢者なんだろ…」
どんな大賢者だよ…

俺は後ろのズボンの中に挟んでいた弓矢を取り出した

「これなエルフに心臓をこの弓で射抜かれた…俺の目の前に自分の心臓が飛び出てる時もあったんだぜ…自分の心臓を見るなんて初めてだったよ…」

俺はなぜ…初対面の受付嬢にこんなリアクションに困るような話をしてるんだ…
こんな話をしたって困るだけなのに…
俺は話をしている最中に涙が出てきてしまった

「するとな…ううっ…次の瞬間目が覚めたらオークが斧を振り下ろしててよ…うっ…気を抜くと首が跳ね飛ぶんだ…“すごいだろ”
セネとは何回も何百回も会ってるのにセネにとっては初対面なんだぜ…こんな…こんな…」

「知ってる…ごめんね……」

知ってる?ごめんね??
意外な言葉だった…
俺は“辛かったね”とか“よく頑張ったね”とか言われるのが嫌いだったそれは返答に困った時に俺の世界で良く言われてた言葉だから嫌いなんだ…
その言葉を言われるもんだと思った…
でもこの子は違った
俺はその言葉に疑問を抱きつつ彼女の顔見ると

泣いていた…

「泣いているのか?」

「エリシア…ごめんね……」

「なぜ俺の名前を知ってるんだ?
まだ名乗ってないのに!ああセネから聞いたのか?」

「いいえ…私は…あ…危ない!!」

一瞬だったおびただしい量の血が彼女の胸から吹き出した
周りが騒ぎ立てる

「魔物が現れたぞ!結界が破れた!!ハルピュイアが現れたぞ!」

魔物?ハルピュイア?なんだよそれ…
また俺を狙ってたのか?
俺は崩れ落ちる彼女を抱き抱える
彼女もまた俺に必死に抱きついてきた崩れ落ちまいと必死に掴む

「言うつもりはなかった……けど…
あなたがここまで追い詰められていたなんて…魔物から狙われていたなんて知らなかった……
私はティフネス…かはぁ…覚えてて私はセネの妹ティフネスよ…」

「おい…もうしゃべるな血が…誰か!治癒魔法使える奴いねぇ~のか?助けてくれ!!」

「もう間に合わないよ…いいから聞いて…
イフィスフィナ様は魔王城にいる…
イフィスフィナ様と私があなたを蘇らせた…」

「俺を蘇らせた?」

「あなた…なんで自分の事調べてるの?もしかして記憶がないの?あなたの目的はイフィスフィナ様に会う事それだけよ……
まさか…魔法の副作用で失敗した……
もうこれ以上死なないで………………………」

そして彼女が喋る事は2度と無かった……


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