え?この私が異世界に転生されたんだけど?

ムロヒ

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40話【失われた記憶】

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薄暗い空、雨が降っていた…いや…
空は雨から大きな音が響き次第に雷雨が降った
雷の光でピカッと一瞬周りが明るくなる
突然雷雨へと変わった…私は空を見上げた
これはこの光景は序章に過ぎないとなんだか胸騒ぎがする

迷宮が私を呼んでいるのか?

私達は迷宮から生還した6人を冒険者ギルドへと運んだ

「いらっしゃいませ!あら?!フォルス様どうしましたか?久しぶりですね!」

「医務室を借りるぞ」

「あら!大変!」

6人をベットに寝かせる

意識はハッキリしているだがやはり一向に口を開く者はいなかった
冒険心に溢れた若者の心がズタボロに砕け散ったのが分かる
まるで呪いにかかった様に抜け殻になった6人を目の当たりにした
この6人は決して弱かったわけではないこの国で指折りの冒険者パーティなのだ
ポッと出が急激に成長しSランクに昇格間近の出来事だった

「もう!埒があかないわね!こうなったらあなた達の運命を書き換えてあげる!
スキル発動フォルトゥナの瞳!
“あなた達は初めから魔物から何も攻撃受けなかった!ダメージなんて初めから無かった運命に書き換え”」

『この6人の若者冒険者を最初から魔物の攻撃なんて喰らってない初めから無かった運命に書き換えました』

「おお~フォルス様このような使い方もできるのですね!」

「そうよ!私ってすごいのよ!以前は使えなかったけど私もこれでも修行してたんだから!肉ばっかり食べてたわけじゃ無いこれで精神的ダメージも無かった事になったわ!恐怖だって無かったことになってるわよ!」

みるみると顔色が変わり冒険者6人は何事も無かったように元気になった
そうまるで今にも迷宮に入りたい一心の目をしている夢や希望が詰まった目をこの6人はしていた

「さぁ迷宮で何があったか答えなさい!本来金貨10枚は払ってもらうけど情報を教えてくれたら金貨9枚と銀貨1枚で良いわ!」

「あれ?ここはギルド?あなたは誰?」

やっと口を開いた冒険者の1人リーダーらしき人物だった

「私はフォルス!」

「フォルス?」

「様をつけなさい様を!」

まったく最近のガキは!

「フォルス様…情報って何の事ですか?僕たちは今から迷宮一階層に行くのですが?」

「な?!しまった…戦いの記憶も無かった事になってる?どこで間違えたの?そういうニュアンスで言ったつもりは無い!」

この時私の後ろにいたみんなの視線が突き刺さる
突き刺さる視線に目をやると皆が険しい表情をしていた
寂しげに見つめる者
目を薄めてこっちを見ている者
ポリポリと頭を掻く者
私では無くピグミドを見ている者
パナケアちゃんに至っては喜んでいた


「はぁ…なんて失態をフォルス様であろう方が…そこはシンプルに“元気になる運命”で良かったのでは?」

「そうだよ!それ!それ!だから私はそういうニュアンスで言ったつもりだ!元気になるというニュアンスで言ったつもりだ!」

「こいつバカなのだ使えないスキルなのだ!」

「テェメェ!バカだろ!ダメージ無かったって事は初めからその魔物に出会って無い事になってしまったじゃ無いか!」

「………………………!」

「『バカが2人もいる』と言っております!」

「は?テェメェまさかもう1人は俺の事じゃ無いだろうな!」

「……………!」

「『ご名答』と言っております!」

「助かって良かったねぇ!ねぇ!お兄ちゃん達!」

冒険者6人は困惑していた

「逆に教えてください僕たちはなぜここにいるのですか?」

「くそ!迷宮には未開拓地帯だから金銀財宝がわんさかあると聞いていたのに素材もレア物がたくさんあると聞いていたこうなった以上こいつらからその情報は何も得られない…」

「行きましょうフォルス様!今すぐに!単独でも構いません先にわたくしが!命令を!」

「行くのだ金銀財宝欲しいのだ!」

「俺は情報なんて初めから興味がない!こいつらに何があったかなんてどうでも良い!レア物アイテム探しに行くぞ!」

「………………………………………!」

「『髭を剃る事しか興味ないだろ!』と言っております」

「シル!ついてこいお前を迷宮で葬り去ってやる!周りに気を使わなくて良いそこで本気で戦えそうだ!」

「ねぇ迷宮ってやっぱり迷路なの?」

その時音も無くスゥっと静かにドアが開く

「あの~」

声をかけてきたのはどこ見覚えのある気の弱そうな少年だった
だがその姿はこの世界ではあまりにも目立っていた
彼は、ダークウォッシュのジーンズにホワイトシャツを着ていた。足元はブラックのブーツで、首元にはレザージャケットを羽織っていた。カジュアルな中にもクールな雰囲気を漂わせており、周囲の人々から注目されている。彼の髪は短めで、サイドをスッキリと刈り上げていた。まるで都会のストリートを歩くロックスターのような存在感を持っていた

「お前は!確か」

「フォルス様のお知り合いですか?」

「変な格好なのだ!お前は魔物なのだ!!」

「何?魔物?テェメェ俺と勝負しろ!」

「…………………………?」

「『私から逃げるんだ?』と言っております」

「ほう!先に死にたいのか?」

「おい!お前らもういちいち喋るなお前達が喋ると前に進まない!ここは私が残ってるから何か分かり次第また連絡する!一時解散!」

パナケアとサラは再び修行しにピグミドとシルは決闘しに外へ出た

「で?お前はなぜ残ってる?良い加減私から離れろ!」

「わたくしに指示を!指示をお願いします!」

「はぁ…指示待ちか?指示しないと動けんのか!じゃ肉でも買ってこい!」

「ありがとうございますありがたきお言葉!」

「ははっ疲れた…
で?お前がなぜここに?貴様は確か1話で笑死にした少年じゃないか!」

「そうです…また死んじゃいましたははっ」

「はははっじゃねぇ!」

「そうなんですが…選択肢がなくて…いきなり…」

要は少年が言うには有無を言わず問答無用にユーノ様にここに飛ばされたと言うわけだ

あいつ遊んでやがるな…

本来なら2度死んだ者は半神半人になり神に尽くす事になる
日頃の行いが悪ければ地獄行きだが

「なぜこの場所に?」

「冒険者ギルドに行けば何か求人があると思いまして…」

ん?待てよこいつ転生者なら何がしら最強魔法を持っているのでは!!前回の転生者は勇者として転生された!こいつも新たな勇者!!!受付の嬢ちゃんに調べさせよう

「今すぐステータスを見る!嬢ちゃん頼む!」

「フォルス様いつも嬢ちゃんと呼ぶのはやめてください私にはちゃんとミリアムという名前があります」

「ミディアム?焼き加減か?私はレアがいい!」

「違います!ミリアムです!!
ミ・リ・ア・ム!!!」

大きな胸を揺らしながら形相しこの私を睨む

「冗談だ!そう怒るな!」

「冗談に聞こえなかったわ!」

それから何も覚えてない冒険者6人に事情を説明し助けた代わりに金貨10枚請求した
「これは詐欺だ!」払えないと言ってきたからこれから稼いで私にもってこいと伝えた6人は納得していなかった
それもそうだこいつらは記憶までもが“迷宮に入る前”の記憶に戻ったのだから
一連の流れを見ていた受付のミリアムが説得し渋々納得して別れた
死んだら金貨が貰えないと困るので過信せず修行しもっと仲間を集めろと伝えた



※※※



さぁこっからねストーリーが動き出す!
このタイミングで転生者が現れるなんてユーノ様のこの選択が愚かな行為だったと思い知らせてやる!遊びすぎたな!

「それではこちらのクリスタルに手をかざしてください
これは何の職業が適正でどの属性が適正なのか
自身が元々持っている潜在能力でステータスで大幅に変わります」

「こうですか?」

彼は手をかざすと眩い光がパァーと光出した

「これは!?」

ミディアムが驚いてるあ!ミリアムだっけ?!まぁどっちでも良い最強転生者現る!

「普通ですね!商人向け!冒険者には向いてないですね!」

「はぁぁん?」

思わず変な声が出た

「ですからステータスは普通です!平均値ですね!ずば抜けて高い数値でもなく低い数値でもないです!ごく溢れた数値です!
冒険者以外でしたらなんでもなれますよ!
商売に向いてますね!スキルもなんもありません!あ!待ってください一個だけスキルがあります!」

「おお~なんだ!」

使えるものはなんだって使ってやる!

「これは…“なんでも美味しく料理が作れる”というスキルです…」

「はぁぁん?」

再び変な声がでた

「そうですねやはり冒険者には向いていません!」

なんでそうなる?転生者は1個くらいチート魔法を持っているはずだ
くそユーノめこんな奴を転生しやがって!めんどくさくなってマジで適当に転生しただけか!目に浮かぶぞ!「また死んだの?はい!君はこの異世界に行きたがってたねどうぞ!」ってな!いやいやまだ可能性があるもう少し様子を見よう

「お前は以前何をしていた?」

「僕ですか?」

「僕ですか?ってお前に聞いているんだ他に誰がいる!」

「僕は前世では料理人です!フレンチレストランを開いていました」

「そのなりでか?」

「格好は趣味です好きなんです!格好は関係ないでしょ!仕事中はちゃんと制服がありますよ!」

バン!と扉が開く

「フォルス様!肉を買ってきました!」

「はぁなんだこの時間は無駄に過ごしてるだけだ…とりあえず僕ちゃん肉焼いてくれ!」

「あ!はい!僕でよろしければ!是非!」

この冒険者ギルドは夜になると酒も提供し料理も提供してくれる
だが今はまだ朝!ミリアムに強引にお願いをし厨房を借りて僕ちゃんに料理を作らせた

ふふふっ全て私の思い通り!目の前には大量の肉!そして別に現れなくてもいいどうでもいい奴が急に転生された私の運のステータスはMAXだぞ!私は運がいい!この流れはもうわかってる僕ちゃんの料理を食べたらステータスは限界突破し私は強くなる!
わかってるわかってるぞ!それからみんなにも僕ちゃんの料理を食べさせ迷宮一階層に出向くとしよう!

数分後
僕ちゃんが作ってくれた料理が出される

「美味しいぞ!なんだこの肉の柔らかさは」

“モミモミ”

「あの~そこは私の胸…料理はこっちです…」

「冗談だ!」

一度このミリアムの胸を触りたかった私の何倍あるんだデカ乳め!

改めて料理を食べた
おお~やはり肉は上品でもちろん柔らかい!この異世界でこんな柔らかい肉は食べられない代物だぞ!お!お?力がみなぎってくる!

「おい僕ちゃん!お前は合格だ!私の料理人として仲間になれ!!金貨10枚は出す!給与だと思って受け取れ!報酬だ!お前のおかげで強くなれるなら安いもんだ」

私は僕ちゃんに金貨10枚を渡した

「いいんですか?ありがたいです!金貨10ならこれで一年は暮らせます!」

「たかが10枚で喜ぶな!私の仲間になればもっと稼げる僕ちゃん君は運がいい!
早速ミリアム!私の測定を!」

「あの~」

「どうしたディナ?」

「わたくしもこの出された料理食べてもよろしいでしょうか?」

「はぁ勝手に食ってろ!
それはお前の分だから目の前にあるんだろ!食ってよし!って何を言わす!
その指示待ちやめろ!奴隷みたいな関係に見えるだろ!やめてくれ!」

「はい!いただきます!」

「どうだ?美味しいだろ!」

「ええとっても美味しいですなんかこう疲れが吹き飛びます!」

「おお~そうかこの料理回復も与えるのか!ディナのステータスも見るぞ!」

ディナは目を輝かせていた初めて本格的な肉料理を食べたのであろう
何せディナは肉は水煮で食べていたらしいからな


「はい!」

ミリアムがクリスタルを持ってきてくれた

「それではお二人ともこちらのクリスタルに手をかざしてください」

クリスタルに手をかざすとお互いの光は虹色に輝く
ミリアムは驚いた表情をしているがそれと同時に困惑した表情にも見える
それもそうだ何せステータスが限界突破なんて聞いたことがないだろうからな!

「これは以前のステータスのままですね!
いくつかの箇所はレベルは上がっていますがこれは経験値や訓練でのレベルアップです!
料理でステータスが上がってるわけじゃありません!」

「はぁぁん?」

「ここを見てください魔法やアイテム等でステータスが上がりましたらここに付与されたとわかりやすく記入されるんです!」

「はぁぁん!じゃ何か私はただ食事をしただけなのか?」

「そのようです!」

「おい僕ちゃんお前はクビだ!仲間にはしない!それと金貨10枚返せ!まったく朝ごはん食べただけじゃねぇか!」

「そんなぁ…」

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