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2話 いつもの
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4月の中旬。この田舎でも暖かくなってくる頃だ。と言ってもまだ朝方は冷え込む。突然だった引越し作業も片付き、不安もあった高校生活も順調にスタートし始めた。
コンコン
ガチャ
私室のドアが開き、入ってきたのは一緒に住むことになった私と同い年の従兄弟の広斗。
「広斗だ~~!!!!!」
「うるさい。早く起きて、支度しろ!」
いつもはクールな感じだけど世話焼きだし、オカンだし・・・私が溺愛してる従兄弟だ。
「いつまで寝てんの。もう朝ご飯出来てるよ。」
「ん~。いつもありがとう!朝から広斗に起して貰えるとか超幸せ!!今日もとびきりキュートだよ♡」
「気持ち悪い事言ってないで早く降りてきてよ。」
バタン
軽く流されたぜ。
私はベッドから起き、制服に着替え、寝癖はそのままに1階へ降りた。
「おはよ~。」
「おはよう千賢。」
「はよ。」
ばあちゃんはテーブルでお茶を飲み、広斗はキッチンから朝ご飯を運んでくる。私の新しいいつもの日常だ。
「食べ終わったら髪直すから。」
「うん。ありがと。」
これもいつもになった。私が不器用なのか広斗が器用過ぎるのか分からないけど、越してきて初日に1時間かけてポニーテイルに縛っていた私を見かねたんだろうな。
食事を終えて、洗面所に移動する。
「今日もいつものでいいよな。」
「うんーいいよー」
髪を三つ編みお下げに結ってもらいながら私は欠伸をする。まだ眠いな~昨日は夜遅くまで作業してたからな~。私は訳あってライトノベル作家として連載させてもらっている。我ながら人気な方だと思う。
「なに、寝不足?」
「んー。課題が終らなくて・・・」
広斗にはそのことを話していない。何となく話しにくくて・・・ばあちゃんは知ってるんだけど。
「ん。出来たよ。」
「ありがと!」
洗面所を出て自室に戻る。急いでリュックに教科書を詰め込み、お守りのピン止めをする。
「千賢ー。もう行くぞー。」
「待って!もうちょいだからー!」
そう言ってリュックを取り、下に降りる。
「千賢。これお小遣いね。」
「あ、ありがと!」
おばあちゃんはいつも週初めにはお小遣いをくれる。要らないと言っても渡してくるから貰っておく。本当にありがたいんだけど、1万も貰うのはちょっとね。
「いってきます!」
「いってきます。」
「いってらっしゃい。」
広斗とは駅まで一緒に登校する。広斗は2駅先の高校。私は5駅先の街中にある私立校だ。
「私今日帰りいつもより遅いかも。」
「ふーん。なにかあるの?」
「部活見学だよ~。って言ってもいつもとそんなに変わんないかな。部活は特にやらない予定だし。」
「部活この時期からなんだ?」
「うん。学校に慣れてからって言うのもあるし、テストがあったからね。」
「へぇ。やっぱ私立だとやり方とか違うんだな。」
なんて、いつも通りの何気ない雑談をしながら駅まで歩く。駅まで行くと、広斗は同じ高校の人と会う可能性があるからキャラが変わる。いわゆる猫かぶりってやつ。誰でも優しい王子様キャラだ。元々顔は良いため、猫かぶりもプラスされて結構モテるらしい。他人の前では私もそれに合わせないと後で頭がミシミシいう羽目になるから仕方なく合わせる。キャラなんか作んなくてもいいと思うけど、広斗は素の自分を見せるのが怖いみたいだ。
そんなこんなで広斗とは駅で別れ、学校への電車に乗る。
これが私の『いつも』。
だけど、『いつも』は少しずつ少しずつ変わっていく…
コンコン
ガチャ
私室のドアが開き、入ってきたのは一緒に住むことになった私と同い年の従兄弟の広斗。
「広斗だ~~!!!!!」
「うるさい。早く起きて、支度しろ!」
いつもはクールな感じだけど世話焼きだし、オカンだし・・・私が溺愛してる従兄弟だ。
「いつまで寝てんの。もう朝ご飯出来てるよ。」
「ん~。いつもありがとう!朝から広斗に起して貰えるとか超幸せ!!今日もとびきりキュートだよ♡」
「気持ち悪い事言ってないで早く降りてきてよ。」
バタン
軽く流されたぜ。
私はベッドから起き、制服に着替え、寝癖はそのままに1階へ降りた。
「おはよ~。」
「おはよう千賢。」
「はよ。」
ばあちゃんはテーブルでお茶を飲み、広斗はキッチンから朝ご飯を運んでくる。私の新しいいつもの日常だ。
「食べ終わったら髪直すから。」
「うん。ありがと。」
これもいつもになった。私が不器用なのか広斗が器用過ぎるのか分からないけど、越してきて初日に1時間かけてポニーテイルに縛っていた私を見かねたんだろうな。
食事を終えて、洗面所に移動する。
「今日もいつものでいいよな。」
「うんーいいよー」
髪を三つ編みお下げに結ってもらいながら私は欠伸をする。まだ眠いな~昨日は夜遅くまで作業してたからな~。私は訳あってライトノベル作家として連載させてもらっている。我ながら人気な方だと思う。
「なに、寝不足?」
「んー。課題が終らなくて・・・」
広斗にはそのことを話していない。何となく話しにくくて・・・ばあちゃんは知ってるんだけど。
「ん。出来たよ。」
「ありがと!」
洗面所を出て自室に戻る。急いでリュックに教科書を詰め込み、お守りのピン止めをする。
「千賢ー。もう行くぞー。」
「待って!もうちょいだからー!」
そう言ってリュックを取り、下に降りる。
「千賢。これお小遣いね。」
「あ、ありがと!」
おばあちゃんはいつも週初めにはお小遣いをくれる。要らないと言っても渡してくるから貰っておく。本当にありがたいんだけど、1万も貰うのはちょっとね。
「いってきます!」
「いってきます。」
「いってらっしゃい。」
広斗とは駅まで一緒に登校する。広斗は2駅先の高校。私は5駅先の街中にある私立校だ。
「私今日帰りいつもより遅いかも。」
「ふーん。なにかあるの?」
「部活見学だよ~。って言ってもいつもとそんなに変わんないかな。部活は特にやらない予定だし。」
「部活この時期からなんだ?」
「うん。学校に慣れてからって言うのもあるし、テストがあったからね。」
「へぇ。やっぱ私立だとやり方とか違うんだな。」
なんて、いつも通りの何気ない雑談をしながら駅まで歩く。駅まで行くと、広斗は同じ高校の人と会う可能性があるからキャラが変わる。いわゆる猫かぶりってやつ。誰でも優しい王子様キャラだ。元々顔は良いため、猫かぶりもプラスされて結構モテるらしい。他人の前では私もそれに合わせないと後で頭がミシミシいう羽目になるから仕方なく合わせる。キャラなんか作んなくてもいいと思うけど、広斗は素の自分を見せるのが怖いみたいだ。
そんなこんなで広斗とは駅で別れ、学校への電車に乗る。
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だけど、『いつも』は少しずつ少しずつ変わっていく…
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