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序章
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最初に視線を合わせた時から、彼は特別な人だった。
それは彼が綺麗な容姿を持っているからでも、低く響く声を持っているからでもない。
(わたしに、似ている…?)
彼の瞳は冷たく冴えていて、他人を拒絶しているように思えた。そんな距離感が、おこがましくも自分とよく似ているようなそんな気がした。他人に対してこんなに同調を覚えるのは生まれて初めてのことだったが、そんな思いは彼には迷惑だと胸の奥に仕舞うことにした。
同期で、同じ部署に配属された。隣の席に座ることになり、親しく話すようになればなるほど、魅力的な彼にますます惹かれていくのは止められなかった。彼は最初に抱いた印象とは違い、思っていたより親しみやすかった。思わず、思いが口から溢れそうになったことも1度や2度ではない。しかしその度に《過去の自分》が浮かび上がり自分を嘲笑う。
自分はシンデレラではないのだ、王子様が振り向くことはないのだ、ということを田中優実は子供の頃から思い知らされていたからだ。
それは彼が綺麗な容姿を持っているからでも、低く響く声を持っているからでもない。
(わたしに、似ている…?)
彼の瞳は冷たく冴えていて、他人を拒絶しているように思えた。そんな距離感が、おこがましくも自分とよく似ているようなそんな気がした。他人に対してこんなに同調を覚えるのは生まれて初めてのことだったが、そんな思いは彼には迷惑だと胸の奥に仕舞うことにした。
同期で、同じ部署に配属された。隣の席に座ることになり、親しく話すようになればなるほど、魅力的な彼にますます惹かれていくのは止められなかった。彼は最初に抱いた印象とは違い、思っていたより親しみやすかった。思わず、思いが口から溢れそうになったことも1度や2度ではない。しかしその度に《過去の自分》が浮かび上がり自分を嘲笑う。
自分はシンデレラではないのだ、王子様が振り向くことはないのだ、ということを田中優実は子供の頃から思い知らされていたからだ。
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