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マーク
エピローグ
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エリーゼが企ててくれた俺の改造計画は功を奏し、何故か突然それなりにモテるようになったのだが、外見だけに寄ってくる人はどうしても信用ならず、結局俺は独り身を貫いている。まぁそこまで惹かれる人がいなかったというのも大きいかも知れない。
そうこうしているうちにあっという間に数年が経ち、相変わらずアーヴィンとエリーゼは付き合いを続けていて、最早円熟夫婦のような掛け合いを見せるようになってきた頃、俺たちは上の学校を卒業することになった。
アーヴィンはなんと国の官僚になる、と宣言して、首都まで官僚試験を受けに行き見事合格した。これに合格すると数年は首都でトレーニングを積み、適性を見られた後その後官公庁に振り分けられると聞いた。外交官になるかもしれないし、文部省勤めになるかもしれないし、まったく別かも知れない。
アーヴィンに以前から官僚になりたかったのか、と尋ねると、
『定時で帰れる職場がほとんどだし、失業しないから食いっぱぐれない』
という、エリーゼを養うためだけの答えが返ってきて、義兄としては安心したらいいのかな…。まぁいくら定時で帰れるからって俺は絶対に無理だけど、アーヴィンの性格は官僚に向いていると思う。
時を同じくしてエリーゼも学校を卒業してこの街に戻ってくる。そしてそのままアーヴィンと首都に向けて旅立つんだそうだ。彼女はもともとはこの街で就職するつもりだったみたいだが、首都とこの街ではさすがに数日の距離があるため、アーヴィンは離れて暮らすなんて毛頭考えていなかったみたいだし、エリーゼが折れた形、なのだろう。
首都で暮らすのであればエリーゼが、父の住んでいる街で豊かな教育を受けられたことは、仕事探しの上でプラスに働くと思われる。年々美しくなるエリーゼが外で働くことをアーヴィンがただ黙って指を咥えて見ていることが出来るのか…2人の攻防を俺は楽しく見守ることにする。
俺はこの街からほど近くの、少し大きな街にある大手の化粧品会社に勤めることを決めた。
エリーゼのおせっかいのお陰で俺が男の美容に目覚めたーーーわけではなく、この会社の創設者が番に振り回された経験があるらしく、番のにおいを消すという香水をこのほど開発したのだ。是非裏の事情を知るべく俺は入社したいと熱望したわけだが、勿論同じようなことを考えている人間は多く、入社試験は激戦であった。それを勝ち抜いたのはひとえに俺が優秀ということの証明に過ぎないが、入社してすぐに俺は凄いことに気づいた。
隣の席に座っている同期にあたる、イーサンから、昼夜問わず『この世のものとは思えない美味そうなピザの匂い』が漂ってくるのだ。イーサン自体も顔を合わせてまず最初に聞いてきたのが『お前、ロティサリーチキンかなんか持ってる?』だった。と、鶏の丸焼きもって仕事くるやついるかよ…。
しかし俺たちはその後すぐに気づいた。
件の香水を自分たちに振りかけると、ピザもロティサリーチキンの匂いも途端に消え去ることを。
そうかーそうなのかー。
俺の相手は、男だったのかー。
しかも相手も匂いを感じてるってことは…そういうこと?
いつぞやの美容師の台詞を思い出す。
とりあえず暗黙の了解で俺たちはその香水を毎日使っている。でもイーサンの、正直女子よりも可愛くて整ってる横顔がいつも赤らんでいるのがやっぱり気になるんだよなぁ…。今まで誰に会っても心を動かされなかった俺が、だ。
ただ番だからって幸せになるとは限らないわけだし、まぁ、もし本当に俺たちが運命だったとしたら、焦らなくてもそのうち分かるよな、と思っている俺であった。
<君は僕の番じゃないから マーク編 終了>
さえらです。
マーク編も無事終了🙌
しかしマークというより、エリーゼとアーヴィンのその後話になってしまった😂
番の世界を考えすぎて、ルーカス編が思った以上に暗くなってしまったので
マーク編はエリーゼ編と同じくらい明るい話を心がけました。
最初にこの設定を考えた時に同性同士もあり得る、と書いたのは
正直その時点でマークは同性&番同士でくっつけてみたい、と
思ってたんですよね。ただカテゴリ的にBLではないからなあ…と
これくらいあっさり感があったらいいでしょうか。
最終的に2人がくっつくかどうかもわからないし😂
とりあえず予定していた3人の話を終えることが出来ましたー
それもこれも皆様が読んでくださって感想を書いてくださって
応援してくださったからです!本当にありがとうございました!
そうこうしているうちにあっという間に数年が経ち、相変わらずアーヴィンとエリーゼは付き合いを続けていて、最早円熟夫婦のような掛け合いを見せるようになってきた頃、俺たちは上の学校を卒業することになった。
アーヴィンはなんと国の官僚になる、と宣言して、首都まで官僚試験を受けに行き見事合格した。これに合格すると数年は首都でトレーニングを積み、適性を見られた後その後官公庁に振り分けられると聞いた。外交官になるかもしれないし、文部省勤めになるかもしれないし、まったく別かも知れない。
アーヴィンに以前から官僚になりたかったのか、と尋ねると、
『定時で帰れる職場がほとんどだし、失業しないから食いっぱぐれない』
という、エリーゼを養うためだけの答えが返ってきて、義兄としては安心したらいいのかな…。まぁいくら定時で帰れるからって俺は絶対に無理だけど、アーヴィンの性格は官僚に向いていると思う。
時を同じくしてエリーゼも学校を卒業してこの街に戻ってくる。そしてそのままアーヴィンと首都に向けて旅立つんだそうだ。彼女はもともとはこの街で就職するつもりだったみたいだが、首都とこの街ではさすがに数日の距離があるため、アーヴィンは離れて暮らすなんて毛頭考えていなかったみたいだし、エリーゼが折れた形、なのだろう。
首都で暮らすのであればエリーゼが、父の住んでいる街で豊かな教育を受けられたことは、仕事探しの上でプラスに働くと思われる。年々美しくなるエリーゼが外で働くことをアーヴィンがただ黙って指を咥えて見ていることが出来るのか…2人の攻防を俺は楽しく見守ることにする。
俺はこの街からほど近くの、少し大きな街にある大手の化粧品会社に勤めることを決めた。
エリーゼのおせっかいのお陰で俺が男の美容に目覚めたーーーわけではなく、この会社の創設者が番に振り回された経験があるらしく、番のにおいを消すという香水をこのほど開発したのだ。是非裏の事情を知るべく俺は入社したいと熱望したわけだが、勿論同じようなことを考えている人間は多く、入社試験は激戦であった。それを勝ち抜いたのはひとえに俺が優秀ということの証明に過ぎないが、入社してすぐに俺は凄いことに気づいた。
隣の席に座っている同期にあたる、イーサンから、昼夜問わず『この世のものとは思えない美味そうなピザの匂い』が漂ってくるのだ。イーサン自体も顔を合わせてまず最初に聞いてきたのが『お前、ロティサリーチキンかなんか持ってる?』だった。と、鶏の丸焼きもって仕事くるやついるかよ…。
しかし俺たちはその後すぐに気づいた。
件の香水を自分たちに振りかけると、ピザもロティサリーチキンの匂いも途端に消え去ることを。
そうかーそうなのかー。
俺の相手は、男だったのかー。
しかも相手も匂いを感じてるってことは…そういうこと?
いつぞやの美容師の台詞を思い出す。
とりあえず暗黙の了解で俺たちはその香水を毎日使っている。でもイーサンの、正直女子よりも可愛くて整ってる横顔がいつも赤らんでいるのがやっぱり気になるんだよなぁ…。今まで誰に会っても心を動かされなかった俺が、だ。
ただ番だからって幸せになるとは限らないわけだし、まぁ、もし本当に俺たちが運命だったとしたら、焦らなくてもそのうち分かるよな、と思っている俺であった。
<君は僕の番じゃないから マーク編 終了>
さえらです。
マーク編も無事終了🙌
しかしマークというより、エリーゼとアーヴィンのその後話になってしまった😂
番の世界を考えすぎて、ルーカス編が思った以上に暗くなってしまったので
マーク編はエリーゼ編と同じくらい明るい話を心がけました。
最初にこの設定を考えた時に同性同士もあり得る、と書いたのは
正直その時点でマークは同性&番同士でくっつけてみたい、と
思ってたんですよね。ただカテゴリ的にBLではないからなあ…と
これくらいあっさり感があったらいいでしょうか。
最終的に2人がくっつくかどうかもわからないし😂
とりあえず予定していた3人の話を終えることが出来ましたー
それもこれも皆様が読んでくださって感想を書いてくださって
応援してくださったからです!本当にありがとうございました!
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以前読んだけど、また読み直しました。
マーク編のメタ発言に吹いてしまいました(ノ∀`笑)
|・ω・)
これ!とても好き!(叫)
|)彡 サッ
おっそーのさん♬
ありがとありがと読んでくれて嬉しいな!!
感謝だよ(*˘︶˘*).。.:*♡
柚木ゆずさま🍋
わぁーーー
めちゃくちゃ嬉しいコメントなんですけれど😭😭😭
ありがとうございます!励みになります…
そうなんです番のどシリアス…
書いてみたくて、でもちょっと躊躇って
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