転生した貴族令嬢は、辺境の森で魔女となる

椎名さえら

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5 It might be MY turn

「兄上が好きですよ」✴︎アウグスト目線

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「これで良かったんですよね、兄上?」

「当たり前だ。これ以上私に何ができる。相手は我がオイレンブルグ家だぞ」

「不器用な兄上が好きですよ、ずっとユリアーナを愛していたのに、自分とはではなく彼女が好きな人と本当に幸せになってほしいと純愛すぎて泣けてくる」

「仕方ないだろう。オイレンブルグ家みたいな魔窟に入ってしまったら彼女の良さが全部かき消されてしまうだろう。それに彼女が誰を好いているかなんて一目瞭然だったぞ。私には見せない顔も奴には見せたりして」

幼いアウグストもユリアーナの溌剌とした笑顔に一目惚れしたのだったが、自分といるとその表情が陰るのが年々辛くなっていった。誰といるとその顔が一番輝くのか、彼女のことを愛していた彼はよく知っていた。

「ただ6年もオイレンブルグ家が彼女を追放するなんて思ってもなかったんですよね?」

「ーーーううむ」

「ユリアーナたちが思っている以上に真面目でさっさと奴とくっつかなかったのも想定外だったんですよね?彼女にひどいことを言ったのを気に病んで自分だけ幸せになれないと他の婚約話には前向きになれなかったのも想定外でしたか?」

「ーーーうううん」

「ラウラとやらの挑発に簡単に乗ったのも最初から彼女を利用するつもりだった…わけじゃないですよね?兄上は紳士だからいくら尊敬に値しない令嬢だったとしても女性を捨て駒みたいに使うことなんてありませんよね??」

肯定にしか聞こえない兄の唸り声を聞いてコンラートは笑った。

これでやっと兄も初恋に別れを告げることができて、前に進めるかもしれないーーと思って彼の心は明るかった。

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