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27.マスクの下には
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話し込んでいるうちに、アイヴィー・エンドに到着した。
今夜はさすがに疲れただろうトラヴィスが馬車から下りるのを手伝った。彼に杖を渡そうとしたが、トラヴィスは首を横に振り、その代わり私の腰を抱いた。
リハビリは順調に進んでいるものの、普段に比べたらありえないほどの距離を今夜は歩いている。しかも、一曲だけとはいえステインバーグ邸の中庭でワルツだって踊ったのだ。
だが、彼が真剣な表情で歩くのを止めることは私には出来なかった。いざとなったら止めるつもりだったが、トラヴィスは確かな足取りで、表玄関の階段を登り始めた。
「おかえりなさいませ、トラヴィス様」
扉を開けながら執事と数人の使用人が出迎えてくれた。彼らは既にトラヴィスが私の腰を抱いて歩くのに見慣れていて、なんの驚きも示さない。
「ああ。俺はこのままもう休む。兄上も戻らないだろうから、お前たちも様子をみて休め」
「承知しました」
執事たちが礼をする。
トラヴィスが私を見下ろした。
「ユーリ、俺の部屋まで杖を持ってついてきてくれ」
「かしこまりました」
そのまま二人でトラヴィスの部屋に向かった。部屋に入ると、彼が倒れ込むようにソファに腰かけた。
かなり疲れたのだろう、身体を沈めるように身を投げだしている。汗をかいているようだし、顔色もあまりよくない。
「大丈夫ですか?」
疲労困憊している様子に、心配して尋ねた。
「ああ、さすがに膝が笑っている」
「それでも最後までご立派に歩かれましたよ。ですが明日は足のリハビリはお休みしましょう。休養日です」
「……そうだな」
トラヴィスはふうと息をつきながら、頷いた。
「寝る前にハーブティはいかがですか?」
「それはありがたいが、お前も疲れているだろう」
気遣ってもらえたが、こういうときのために普段から鍛えているのだ。私はトラヴィスに呼吸が落ち着いたら、寝支度をするようにいい、ハーブティを淹れに厨房に戻った。
レモングラスにオレンジフラワーをブレンドしたハーブティがトラヴィスの好みだ。ハーブティは基本的にブレンドした方が飲みやすい。かなり疲労を感じていた彼は少し甘みが欲しいかもしれないと思い、蜂蜜をいれた。
ハーブティを手に彼の部屋に戻る。軽装に着替えたトラヴィスはやはりソファに座っていたが、先程よりはずっと顔色が良くなっていた。
「どうぞ」
ローテーブルにハーブティをセットすると、彼は美味しそうに一口飲んだ。
「ありがとう――うん、うまい」
ふうと息を吐いている。
疲れた日、温かいお茶を飲んだときの幸せは何も代えがたい。気持ちは分かる。ちょっとしたことだが、こうしたひとときはストレス軽減にもつながる。
「それから、寝る前にマッサージをしましょう。このまま寝たら、足が攣る気がしますので」
「助かる。ユーリも疲れているのに、悪いな」
「いいえ、これが私の仕事で――」
言葉を飲み込んだ。
なぜなら彼が無造作にマスクを外したからだ。カラン、と音を立てて黒いマスクがローテーブルに置かれ、あらわになった顔に私は息を飲んだ。
どんなに酷い傷がついていても、私は受けいれたと思う。むしろ人々が直視するのをためらうような、そんな傷があるのだろう、と思っていた。
思って、いた。
――そう、トラヴィスの右半分は傷一つついていない綺麗なものだった。
呆然と見守っている私の目の前で、彼は自分の顔を確かめるかのように触っている。
「ああ。やはりユーリの前だったらマスクを取っても大丈夫だ」
トラヴィスは私を見上げて、微笑んだ。
「ユーリには俺の全てを知ってもらいたい」
長い話をするからソファに座ってくれないか、とトラヴィスは静かに言った。
☆
エヴァンス侯爵家は、もともとはそこまで裕福な一家ではなかった。
この国の貴族たちは副業をするのが良しとされているが、先のエヴァンス当主――現エヴァンス侯爵の父親であり、セルゲイとトラヴィスの祖父――は人は良かったが商才はまったくなく、損をするばかりだったという。
風向きが変わったのは、現エヴァンス侯爵の妹――トラヴィスの母がある商家に嫁入りしたことによる。
「商家に……? 平民に、ということですか?」
トラヴィスは肩をすくめた。マスクを取ったせいで今まで以上に感情を読み取りやすくなったが、今彼の顔に浮かんでいるのは、無関心そのもの、といった表情だった。
「言っただろう、俺たちの祖父は人が良かったんだ。俺の母親が、ある夜会で父親と恋に落ちたから輿入れしたい、と願えば、とても止めるような人ではなかったんだよ。それにそもそもエヴァンス侯爵家がちっぽけだった」
トラヴィスの祖父は商才がなかったが、トラヴィスの父親は違った上に野心があった。平民ながらも大きな商家に生まれ育った彼に足りないものは、生まれながらの身分だけだと理解していた。自分が貴族社会相手にのし上がっていくために、分かりやすい切符がほしかった彼は、夜会で出会ったトラヴィスの母親を――言うなれば利用した。
生まれながらの貴族で、しかしお金には困っている。エヴァンス侯爵の人柄の良さは有名で、その家の婿になれば貴族たちも信頼する。
「まぁ、貴族たちの政略結婚と何も変わらない。父は望んでいた地位を手に入れ、事業をどんどん大きくしていった」
トラヴィスが名前を言ったその家を、私も知っていた。王都では随一といった勢力のある商家で貴族御用達である。物流を主に手がけているが、いくつもの関連事業を持ち、近年は小売業にも手を出している。その当主がまさかトラヴィスの父親だなんて。
トラヴィスの父のおかげで、エヴァンス侯爵家の経済状況も潤い始めた。自らに商才がないと自覚していたトラヴィスたちの祖父は、家督をセルゲイの父である現エヴァンス侯爵に譲った。現エヴァンス侯爵は身体はあまり強くないが、頭脳は明晰で、着実に財産を増やしていくこととなる。
(でも、トラヴィスが今、このエヴァンス邸に住んでいるということは……?)
「父は、母のことをそれなりに大事にしていたと思うが、愛してはいなかった。母はあまり身体が強くなかったので、跡取りもできなかった。それもあっていずれ時が来たら離縁してもいいと思っていたようだ」
やがてトラヴィスの父に愛人の存在が発覚した。そのうちその愛人との間に子供が出来ると、トラヴィスの父は妻のことを省みなくなる。
恋愛結婚だと思っていたトラヴィスの母親は、心の調子を徐々に崩していった。
「それで母がおかしくなったんだな。夜会に出ても奇行が目立つようになった。それで家同士で話し合って、内密に離縁されることとなった」
「そんなこと……が?」
「ああ。今でも表向きは父は再婚していないはずだ。ただ後から聞いた話だが、エヴァンス侯爵家からの申し出だった」
心の調子を崩した妹を見るに見かねた現侯爵が、苦渋の決断を下したのだという。相手側は離縁した事実を表には出さない代わりに、内縁の妻として愛人を迎えても構わない。そしてトラヴィスの母は療養中だと表向きには発表して、エヴァンス侯爵家の体面を保つ。エヴァンス家への経済的援助は続けてもらうのがいわゆる慰謝料代わりだ。
(でも、いつトラヴィスは産まれたんだろう……?)
私の疑問に答えるかのようにトラヴィスが口を開いた。
「それでいっぺんに片付いたはずが、離縁して分かったのが、俺の母親の妊娠だった」
小さく息を飲んだ。
「……お相手は?」
トラヴィスの表情が答えだった。彼はソファに深く腰かけると、腕を組んだ。
「わからん。母親はもちろん父親の名前をずっと言っていたし、可能性はあるにはあるらしかったが……ただその頃にはもう彼女は正気を失いかけていて、いろんな男と関係があったようだから」
やがてトラヴィスが産まれた頃には、母親の奇行はもっと明らかになっていたという。だがエヴァンス家としては、血を継いでいるトラヴィスを放逐することはさすがに出来かねた。
「とりあえず次男として迎え入れられたが、跡継ぎからは最初から外されている――だから俺の結婚相手は貴族じゃなくていいと言っただろう?」
トラヴィスの声は平坦で、口調も淡々としていたが、むしろだからこそ切なかった。私はぎゅっと両手を握りしめた。
「俺が子供の頃、母親との時間というのが設けられていたんだが……」
そこで初めてトラヴィスの声がひび割れた。
「ろくな思い出がない」
今夜はさすがに疲れただろうトラヴィスが馬車から下りるのを手伝った。彼に杖を渡そうとしたが、トラヴィスは首を横に振り、その代わり私の腰を抱いた。
リハビリは順調に進んでいるものの、普段に比べたらありえないほどの距離を今夜は歩いている。しかも、一曲だけとはいえステインバーグ邸の中庭でワルツだって踊ったのだ。
だが、彼が真剣な表情で歩くのを止めることは私には出来なかった。いざとなったら止めるつもりだったが、トラヴィスは確かな足取りで、表玄関の階段を登り始めた。
「おかえりなさいませ、トラヴィス様」
扉を開けながら執事と数人の使用人が出迎えてくれた。彼らは既にトラヴィスが私の腰を抱いて歩くのに見慣れていて、なんの驚きも示さない。
「ああ。俺はこのままもう休む。兄上も戻らないだろうから、お前たちも様子をみて休め」
「承知しました」
執事たちが礼をする。
トラヴィスが私を見下ろした。
「ユーリ、俺の部屋まで杖を持ってついてきてくれ」
「かしこまりました」
そのまま二人でトラヴィスの部屋に向かった。部屋に入ると、彼が倒れ込むようにソファに腰かけた。
かなり疲れたのだろう、身体を沈めるように身を投げだしている。汗をかいているようだし、顔色もあまりよくない。
「大丈夫ですか?」
疲労困憊している様子に、心配して尋ねた。
「ああ、さすがに膝が笑っている」
「それでも最後までご立派に歩かれましたよ。ですが明日は足のリハビリはお休みしましょう。休養日です」
「……そうだな」
トラヴィスはふうと息をつきながら、頷いた。
「寝る前にハーブティはいかがですか?」
「それはありがたいが、お前も疲れているだろう」
気遣ってもらえたが、こういうときのために普段から鍛えているのだ。私はトラヴィスに呼吸が落ち着いたら、寝支度をするようにいい、ハーブティを淹れに厨房に戻った。
レモングラスにオレンジフラワーをブレンドしたハーブティがトラヴィスの好みだ。ハーブティは基本的にブレンドした方が飲みやすい。かなり疲労を感じていた彼は少し甘みが欲しいかもしれないと思い、蜂蜜をいれた。
ハーブティを手に彼の部屋に戻る。軽装に着替えたトラヴィスはやはりソファに座っていたが、先程よりはずっと顔色が良くなっていた。
「どうぞ」
ローテーブルにハーブティをセットすると、彼は美味しそうに一口飲んだ。
「ありがとう――うん、うまい」
ふうと息を吐いている。
疲れた日、温かいお茶を飲んだときの幸せは何も代えがたい。気持ちは分かる。ちょっとしたことだが、こうしたひとときはストレス軽減にもつながる。
「それから、寝る前にマッサージをしましょう。このまま寝たら、足が攣る気がしますので」
「助かる。ユーリも疲れているのに、悪いな」
「いいえ、これが私の仕事で――」
言葉を飲み込んだ。
なぜなら彼が無造作にマスクを外したからだ。カラン、と音を立てて黒いマスクがローテーブルに置かれ、あらわになった顔に私は息を飲んだ。
どんなに酷い傷がついていても、私は受けいれたと思う。むしろ人々が直視するのをためらうような、そんな傷があるのだろう、と思っていた。
思って、いた。
――そう、トラヴィスの右半分は傷一つついていない綺麗なものだった。
呆然と見守っている私の目の前で、彼は自分の顔を確かめるかのように触っている。
「ああ。やはりユーリの前だったらマスクを取っても大丈夫だ」
トラヴィスは私を見上げて、微笑んだ。
「ユーリには俺の全てを知ってもらいたい」
長い話をするからソファに座ってくれないか、とトラヴィスは静かに言った。
☆
エヴァンス侯爵家は、もともとはそこまで裕福な一家ではなかった。
この国の貴族たちは副業をするのが良しとされているが、先のエヴァンス当主――現エヴァンス侯爵の父親であり、セルゲイとトラヴィスの祖父――は人は良かったが商才はまったくなく、損をするばかりだったという。
風向きが変わったのは、現エヴァンス侯爵の妹――トラヴィスの母がある商家に嫁入りしたことによる。
「商家に……? 平民に、ということですか?」
トラヴィスは肩をすくめた。マスクを取ったせいで今まで以上に感情を読み取りやすくなったが、今彼の顔に浮かんでいるのは、無関心そのもの、といった表情だった。
「言っただろう、俺たちの祖父は人が良かったんだ。俺の母親が、ある夜会で父親と恋に落ちたから輿入れしたい、と願えば、とても止めるような人ではなかったんだよ。それにそもそもエヴァンス侯爵家がちっぽけだった」
トラヴィスの祖父は商才がなかったが、トラヴィスの父親は違った上に野心があった。平民ながらも大きな商家に生まれ育った彼に足りないものは、生まれながらの身分だけだと理解していた。自分が貴族社会相手にのし上がっていくために、分かりやすい切符がほしかった彼は、夜会で出会ったトラヴィスの母親を――言うなれば利用した。
生まれながらの貴族で、しかしお金には困っている。エヴァンス侯爵の人柄の良さは有名で、その家の婿になれば貴族たちも信頼する。
「まぁ、貴族たちの政略結婚と何も変わらない。父は望んでいた地位を手に入れ、事業をどんどん大きくしていった」
トラヴィスが名前を言ったその家を、私も知っていた。王都では随一といった勢力のある商家で貴族御用達である。物流を主に手がけているが、いくつもの関連事業を持ち、近年は小売業にも手を出している。その当主がまさかトラヴィスの父親だなんて。
トラヴィスの父のおかげで、エヴァンス侯爵家の経済状況も潤い始めた。自らに商才がないと自覚していたトラヴィスたちの祖父は、家督をセルゲイの父である現エヴァンス侯爵に譲った。現エヴァンス侯爵は身体はあまり強くないが、頭脳は明晰で、着実に財産を増やしていくこととなる。
(でも、トラヴィスが今、このエヴァンス邸に住んでいるということは……?)
「父は、母のことをそれなりに大事にしていたと思うが、愛してはいなかった。母はあまり身体が強くなかったので、跡取りもできなかった。それもあっていずれ時が来たら離縁してもいいと思っていたようだ」
やがてトラヴィスの父に愛人の存在が発覚した。そのうちその愛人との間に子供が出来ると、トラヴィスの父は妻のことを省みなくなる。
恋愛結婚だと思っていたトラヴィスの母親は、心の調子を徐々に崩していった。
「それで母がおかしくなったんだな。夜会に出ても奇行が目立つようになった。それで家同士で話し合って、内密に離縁されることとなった」
「そんなこと……が?」
「ああ。今でも表向きは父は再婚していないはずだ。ただ後から聞いた話だが、エヴァンス侯爵家からの申し出だった」
心の調子を崩した妹を見るに見かねた現侯爵が、苦渋の決断を下したのだという。相手側は離縁した事実を表には出さない代わりに、内縁の妻として愛人を迎えても構わない。そしてトラヴィスの母は療養中だと表向きには発表して、エヴァンス侯爵家の体面を保つ。エヴァンス家への経済的援助は続けてもらうのがいわゆる慰謝料代わりだ。
(でも、いつトラヴィスは産まれたんだろう……?)
私の疑問に答えるかのようにトラヴィスが口を開いた。
「それでいっぺんに片付いたはずが、離縁して分かったのが、俺の母親の妊娠だった」
小さく息を飲んだ。
「……お相手は?」
トラヴィスの表情が答えだった。彼はソファに深く腰かけると、腕を組んだ。
「わからん。母親はもちろん父親の名前をずっと言っていたし、可能性はあるにはあるらしかったが……ただその頃にはもう彼女は正気を失いかけていて、いろんな男と関係があったようだから」
やがてトラヴィスが産まれた頃には、母親の奇行はもっと明らかになっていたという。だがエヴァンス家としては、血を継いでいるトラヴィスを放逐することはさすがに出来かねた。
「とりあえず次男として迎え入れられたが、跡継ぎからは最初から外されている――だから俺の結婚相手は貴族じゃなくていいと言っただろう?」
トラヴィスの声は平坦で、口調も淡々としていたが、むしろだからこそ切なかった。私はぎゅっと両手を握りしめた。
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