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ハイパーキャノン

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少女の日

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 宮下柚希は凶暴な、とは言う訳ではないにしてもやるときはやる芯の強さを持っていた。



 言うときは言うし決める時はビシッと決める、そう言う向こう気の強い少女だったのだ。



「ダメじゃない、やめなさいよ!!」



「うっせぇな、関係ねーだろ!?」



「あっち行ってろよ!!」



 あるとき、クラスの男子が二人掛かりで一人の女子をからかっていた時があった、その原因は他愛もないモノで要するにその女子がおならをしたのがおもしろかったのだ。



 だが。



 その現場に出くわした柚希は猛然と男子二人に噛み付いた、相手がいじめっ子だろうとお構い無しである。



「俺たち聞いてたんだからな、絶対にお前だって!!」



「おならしただろ!?言えよ」



「馬鹿じゃないの、マジあり得ないんだけど!!」



 まだ女子のデリケートさなど何も理解していない男子にとってそれは格好のからかいのネタだった、彼らの無邪気さからくる悪意の攻撃に、しかし柚希は怯むことなくクラスメイトを庇い続ける。



「どうしたのさ、柚希・・・」



「あ・・・」



 そこへ透がやって来た、状況はまだ完全には理解できていないが柚希の身を案じて火に飛び込んだ格好である。



「透、こいつらが・・・!!」



「いまこいつさ、おならしたんだぜ?受けるだろ!?」



「面白ぇよな」



「別に面白くないけど」



「何言ってんだよ透!!」



「受けるじゃん!!」



「何やってるの!!あなたたちは」



 結局、騒ぎを聞きつけた担任教諭がやって来て二人を厳重に注意した事でこの騒動自体は収まったのだが。



 しかし少女のクセに勇敢な柚希が透の前になると途端に表情が緩むと言うかどこかホッとしたような顔をみせるのが実に印象的な光景だった、見る者から見れば彼女の本心がどこにあるのかが一目瞭然である。



「ねえねえ透。聞いてよ、今日ね、真奈がね。大変だったんだよ?」



「ねえ透。今日クレープ作ってあげるね」



「ねえ透。今度映画に行かない?スターウォーズが見たいな」



 と言う具合に毎日毎日本当に楽しくて仕方がない、と言った感じでこの幼馴染みの少年に接していたのだ。



「ねえ柚希」



「?」



「透の事が好きなの?」



「え・・・っ!?」



 小4に上がったある日、親友の小川真奈からの言葉に一瞬、柚希はビックリしたような顔を見せる。



 だけど。



「・・・う~ん。解んないよ」



 と、ついそう言ってごまかしてしまったものの、このとき柚希は自分の本心がどこにあるかを自覚した。どうして自分が透をあそこまで求めたのか、そして無条件に受け入れて来たのかも。

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