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夫婦の絆と子供への思い
“嘆きのセリカ” その6
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「セリカ、暫く振りだな・・・」
「本当に久し振りね、蒼太。いいえ“報われのソラ”と言った方が良いかしら・・・?」
それから3夜明けて、早暁ー。
蒼太はメリアリア達を伴って自分の旧宅を訪れていた、目的はただ一つ、真犯人である“エレイン・マクスウェル”をこの場に引き摺り出して逮捕することである。
この3日間の間に蒼太は並行世界である“ガイア・マキナ”に生きている自分達とも連携して動きつつ、必死になってエレインの動向を追っていたのだ、・・・“向こうの自分達”にもエレインの用いているトリックを伝えた上で。
当然それはセリカ達にももたらされており、彼女達も驚愕すると同時に大いに納得したのだが、今にして思えばセリカがいきなり全力を挙げて襲い掛かって来るのを躊躇い、まずは蒼太を騙し討ちにしようとしたのも、また彼とのやりとりに極秘の暗号通信を用いたのも全ては運命の為せる業だったのかも知れなかった。
今回の彼女は策謀を用いて如何にもコソコソとしたやり方を選択し、かつそれを実行してもいたのだがもし、セリカがいつも通りに最初から正々堂々と決闘を申し込んで来たのならば、全てエレインの計略通りに事が運ばれていた可能性が高い。
(・・・まあもっとも?“無益な殺生はしない”のと、“無関係の人間を巻き込まない”と言うセリカの矜恃からして。白昼堂々乗り込んで来るような事は、ちょっと考えられないけれど)
頭の中で蒼太は改めて考えを巡らせるモノの、仮にそんな強硬手段を採られていたなら自分かセリカのどちらかは必ず戦死していた筈であり、残った方もただでは済まずに救いが全くない物語になってしまっていたであろう。
(事態は何の解決も見込めなかった訳だ。それにしてもエレインの奴、今もこの状況を何処からか盗み見ているのかな?微かに奴の気配を感じるが・・・。ただしそれが何処から来るのかが解らないんだよな、これも“闇の衣”と例のトリックの相乗効果と言う訳か・・・)
“セリカが迂闊に動けなかった理由はこれか”、“よく耐えて我慢したな・・・”等と改めて目の前にいる女帝の精神力と強靱さに舌を巻く。
一方で。
やはり自分に多少なりとも害意を抱いている者との接触である、蒼太とセリカの間で空気がピンッと張り詰めるのを、メリアリア達は敏感に感じていた。
ところが。
「セリカ。俺とお前との間には、確執は何も無いはずだ。この家から引き払って速やかに自分達の世界へ帰れ・・・!!!」
蒼太はそれでも物怖じせずに堂々としていた、“茨の女帝”と言う自分以上の実力を誇る相手を目の前にしても、少しも動じることなく言うべき事を口にする。
「・・・・・」
(蒼太、格好良い・・・っ!!!)
こんな時だと言うのにメリアリアは、そんな夫の醸し出す雄々しさと頼もしさとに一瞬、ドキリとしてしまうモノの普段の時とは違う彼の、男らしい一面を垣間見るとまるで別人がそこに居るような感じがして寂しいと思いつつもしかし、どうしても胸がときめいてしまうのを止められなかった。
「蒼太、あなたには何の恨みも無いわ?だけどお願いだからここで死んでちょうだい・・・!!!」
「・・・ここで俺とお前が全力でやり合ったなら、確実に周囲の人間を巻き込む事になるぞ?俺の知っているセリカと言う女性はそう言う事はしない筈なんだがな」
「「「・・・・・」」」
「「「・・・・・」」」
そんな愛妻淑女の胸の内等知る由もない蒼太はセリカを真っ直ぐに見据えたままで気を張りつつも腹の底から落ち着いた声を発して行くモノの、会話をこなす彼等の周囲ではメリアリア達とミリエラ達とが睨み合い、構えを取って相手を牽制し続けていた、彼女達は一瞬で相手の力量を見抜いてそれ相応にお互いの出方を窺うようにする。
「セリカ。大人しく向こうの世界に帰れ、それと俺の自宅を返してもらうぞ?ここには大切な思い出や愛着が、タップリと詰まっているんでな。・・・それに数少ない俺の財産でもあるし」
「・・・ここで私を打ち破れたなら、その時は好きにすると良い。とにかく私と戦いなさい!!!」
あくまで静かな口調の蒼太に対してセリカが声高に主張するモノの、本当は蒼太はなるべく時間を稼ぎたかった、何故ならばこの瞬間にも“向こうの自分達”がその感性と諜報網をフル稼働させてエレインの行方を追っており、それと同時に“人質の奪還”をも意図していた為である。
だからセリカに暗号通信で“なるべく時間を稼いで欲しい”、“こちらが正体に気付いた事を隠したままでエレインの追求をなんとか躱してくれ”と念を押していたのであった、だけど。
「もうこれ以上はどうしようもない、これ以上時間を掛けたら弟を。ラッツェを殺すと脅された」
昨日の夜にそんな念話が送られて来た為に、今日が休みだった蒼太はメリアリア達と相談した結果、取り敢えずはセリカ達に会いに行く事にしたのだ。
「・・・セリカ。お前は本当に状況が見えていないのか?戦力は圧倒的にこちら側が上なんだぞ、況してやここには“眠りの森の守護”もないんだ。下手に手を出したなら痛手を被るのはお前達の方だぞ?」
「それは・・・。やってみなければ解らないわ!!!」
そう叫び様にセリカは腕を大きく振るって持っていた鞭を蒼太目掛けて打ち込んで来るモノの、それを蒼太は手にした剣で難なく振り払って見せた。
「・・・・・」
「・・・・・」
セリカは直ぐさま鞭を構え直すと二撃目、三撃目を繰り出して行くが蒼太もそれらに的確に剣を合わせて払い除け、一歩も引かずに応戦する。
2人の周囲には“ビュッ”、“ピュンッ”と言う風を切る音が幾重にも響き渡り、しかもそれは動作よりも遅れてやって来た、互いの動きの速さが音速を超えていたのだ。
それと同時にー。
“ガキイィィンッ!!!”、“キィン”、“ガン”と言う金属同士がぶつかり合う音と火花も彼方此方で散り始めるがその打ち合いの激しさは徐々に加速の一途を辿り、誰も迂闊に近付けなくなってしまう。
蒼太もセリカも優れた戦士であり、かつまた動作も機敏で膂力も強かった、かてて加えてお互いの扱う武器も類い稀なる聖剣と特性のマジカルウィップである、もし万が一でも女帝の攻撃が当たれば如何な蒼太と言えども肉が裂けて骨が折れるし、また或いは蒼太が踏み込んで刺突すればセリカはアッサリと肉のみならず骨ごと断ち切られるのは明らかだった。
「・・・・・」
「・・・・・」
暫くの間、そんなソード・レスリングのような事を繰り返していた2人だったが程なくセリカが大きく後ろに跳躍して距離を取る。
それを見た蒼太も改めて両手で剣の柄を持ち直しつつも彼女に相対するが、この時セリカは“とにかく時間を稼がなくてはならない”と言う事と“なんとか蒼太に有効打を与えなくては・・・”と言う思いの狭間で板挟みになってしまっていた。
その葛藤の末に出した選択が“遠距離攻撃”を仕掛ける事だったのだが、彼女やメリアリアの使う“茨の鞭”には、棘の部分にあるスペシャルな仕掛けが施されており、音速を超える速さで攻撃を繰り出すようになるとこれらが空気中で衝撃波の一種である“ソニックブーム”を生み出すのである。
セリカはこれを蒼太に向けて撃ち放とうとしていたのだが、ここで彼女は幾つかのとんでもない計算違いをしてしまっていた、一つはプロイセン国内と違って土地の持つエネルギーの援護を受けていない状況下で“それ”をすると身体的な消耗が半端ない、と言う事であり、そしてもう一つが。
蒼太もまた、同じ事が出来る、と言う事実であった、ただし。
蒼太の場合は“ソニックブーム”では無くて剣を超音速で振り払う事により、空気を切り裂く鋭い“真空波”を発生させる事が出来たのであり、手数ではともかくとしても、一撃一撃の威力はむしろ彼の方が遙かに上だったのだ。
しかしセリカにはそれが見抜けなかった、彼女は生まれてからずっとプロイセンの中だけで活動を続けて来たのであり、それ故に戦う際も常に最初から“眠りの森の守護”を受けて、相手に対して優勢さを保ったまま一気に押し切るスタイルを確立させていた。
これに対して蒼太やメリアリアはその限りでは無く、自然と千差万別に変化して行く相手や戦況に合わせた戦い方を模索するようになっていったのである。
当然の事ながら彼等は極限状態下にあって生き抜く為に、厳しい訓練を毎日のように己に課しては未だ以て修業をこなし続けていたのであり、そう言った身心の底力の伸長のみならず、“事態を見極める力”等をも盤石なモノとしていたのだ。
その差が今、明確な形となって現れようとしていたのであり、セリカは自分から死地に飛び込んだ格好となった。
「・・・蒼太、ここは私の間合いだわ?それに地の利も得ているのは私の方よ!!!」
「・・・セリカ。戦の勝ち負けは実際にやってみなければ解らないんだよ、まだ勝負は着いていないぞ!!?」
自らの言い放った言葉にそう返した青年に対して女帝は高速で鞭を振るい、遠距離から衝撃波の雨を降らせようと試みる。
しかし。
「・・・・・っ!!?」
それは完全に裏目と出た、蒼太の発生させた真空波は見えない刃となってセリカに襲い掛かって行き、攻撃を加える筈だった彼女は逆に防戦一方へと追い込まれて行った。
そして。
「・・・・・」
「あ・・・っ!!?」
“ガキィンッ!!!”と言う衝撃音と同時に蒼太の攻撃がセリカに届いて利き手から鞭を叩き落とした、元々戦う事に乗り気で無ければ本気も出していなかった彼女はアッサリと敗北を認める。
「私の負けよ?蒼太・・・」
「・・・・・」
(・・・さて。これでエレインがどう出て来るか、だ。まさか本当に人質を殺すような真似はしないだろう、セリカにはまだまだ利用価値がある筈だからな)
油断無く残心を取りながらも蒼太が思うがセリカとのここまでの一連のやり取りは、大まかに言って既定路線である、目的はあくまでエレインの捕縛か誅殺にあったが、先程から僅かばかりの違和感と同時に微かに彼女の気配を感じるモノの、やはり何処にいるのかが解らない。
(おかしいな、単に遠隔透視か何かでこの状況を見ているだけか・・・?いいや、そんな筈は無い。いるぞ?エレインは確実に近くにいる。“闇の衣”の影響と“例のトリック”の所為で正確な位置が解らないだけだ・・・!!!)
そう考えて蒼太は感覚を最大限に研ぎ澄まさせて、もう一度自分を含めた半径50mの範囲を徹底的にサーチしてみる。
“神人化”を会得している彼は時空間を超越しての波動探査が可能であり、またエレインの用いている手品に気が付いていた事も手伝って、感性が“闇の衣”を始めとする彼女の術策に捻じ曲げられずに済んでいたのだ。
結果。
「・・・・・っ!!!」
蒼太は自身達のいる場所の直上10m程の空間に、“時流の乱れ”が発生している事を突き止めた。
(これは“特異点”が出現している証拠じゃないか、どうして今まで気が付けなかったのだろう・・・!!!)
蒼太はハッとなるモノの恐らくエレインは“闇の衣”の加護を十全に得るために、特異点の生み出す排斥力を利用して空中に浮遊しているのであり、つまりはそこからセリカの弟であるラッツェが捕らえられている場所にも行く事が可能な筈である。
いいや、もしかしたならラッツェ自身を連れて来ている場合も考えられたのだが、しかし。
(問題はここからだ、まずはエレインの幻術を打ち破ると同時に“闇の衣”を引き裂かなければならない。つまりは“純粋法力”を生成する必要があるんだけど・・・)
相手の位置は辛うじて感知出来たが詳しい状況が解らない。
果たしてエレインはこの場にラッツェを連れて来ているのか、いないのか。
いるとすればどう言う形で人質に取っているのか、それが判別出来ずにいた。
しかし。
(このまま手を拱いていては、結局はジリ貧になって。つまりは奴の掌の上で転がされる事になる。それは一番、避けなければならない!!!)
“もし万が一の場合は許せよ?セリカ・・・!!!”とそう意を決した蒼太は躊躇い無く、自然エネルギーと波動法力とを融合させてそれを極限まで高め、“理力”を生成するとプラズマ力場で包み込み、それを更に聖剣に纏わせてー。
空中目掛けて超速で跳躍し、特異点までの距離を詰めると猛然と剣を振るい、一気に“それ”を切り裂いた、すると。
“ジュバァッ!!!”と言う音と共に何かを斬断する感触がして、空間に亀裂が入る。
そこからは何か漆黒の半透明なベールのようなモノが引き剥がされて行き、その中からはストレートヘアなセミロングの銀髪をした、赤い瞳の美しい女性が姿を現した。
全身は黒衣のローブで覆われていて、片手には水晶玉を持ち、こちらに冷たい視線を向けている彼女はしかし、一見落ち着いてはいるモノの何処か危なげな感じのする存在であったのだ。
「・・・・・」
「お前が、エレインだな・・・?」
蒼太の問い掛けにもエレインは何の反応も示さなかった、ただただ何処までも冷めた瞳でこちらを見つめ、微動だにしない。
だがその眼中には明らかに忌ま忌ましさと怒りの炎がハッキリと揺らめいているのが見て取れた、蒼太を真に夫の仇だと思っているのならばやむを得ない所であるが、さて。
「蒼太、待って・・・!!!」
そんな彼女に対して尚も声を挙げようとした青年の前にセリカが進み出て来た、“私に話をさせて?”とそう言って。
「エレイン、ラッツェは何処にいるの?今すぐあの子を返しなさい!!!」
「・・・・・」
黒衣の魔女に向き直りつつも気合いの入った声色で彼女に詰め寄るセリカだったが、それに対して最初は沈黙を守っていたエレインはやがてゆっくりと口を開いた。
「・・・セリカ。お前は殊の外自分の立場を理解していないようだな、お前は私にモノを言える立場には無いのだ。それがまだ解らないのか?」
「・・・・・っっっ!!!!?」
「・・・エレイン。卑怯者の分際でよくほざけるモノだな」
そんなセリカを見かねた蒼太が間に割って入る。
「“人質を取る”等という、実にあこぎな方法に頼る事しか出来ないお前が。セリカを非難する資格は無いぞ?」
“真正面から正々堂々と戦う事すらも出来ないお前が”、“偉そうに人の質を語るな!!!”と蒼太が叫ぶが、それに付いてエレインは肯定も否定もしなかった、ところが。
「お前の夫は、リゲルは立派な男だった。素晴らしい剣士だったよ、敵ながら尊敬に値する存在だった。その妻であるお前がこの体たらくか?あの世でリゲルも泣いているぞ・・・!!!」
「・・・お前に何が解る!!!」
話がリゲルの事に及ぶや否やワナワナと震えだしたエレインは、それまでとは打って変わって憤怒の形相を露わにしては怒声を発して蒼太を口汚く罵った。
「お前なんかに、てめえなんかに何が解るんだっ。私の大事な大事なダーリンをぶち殺してくれやがってよぉ、てめえなんかに何も言われる筋合いなんかねーんだっ!!!」
「・・・・・っ!!!」
「・・・・・っ!!?」
「えっ、え・・・っ?」
「な、なんなのだ?あれは・・・!!!」
その豹変振りに、その場にいた全員がビックリするモノの、さりとて驚愕するには値しなかった、エレインの持つ危うさと言うモノは誰もが感じ取っていたのであり、その為“まさか”よりも“やはり”と言った感情が勝ったのである。
「ダーリンを返せ、このサノヴァビッチのチンカス野郎が。薄汚いイエローの分際で偉そうにのたまってんじゃねーぞ?テメーのチンチンを切り刻んでよぉ、ダーリンの墓前に添えてやるよぉっっっ!!!!!」
「・・・・・」
(話し合いは、無理そうだな・・・)
最早“意思の疎通は困難である”と判断した青年は、臨戦態勢を取ったままジリジリと距離を詰めて行った。
「本当に久し振りね、蒼太。いいえ“報われのソラ”と言った方が良いかしら・・・?」
それから3夜明けて、早暁ー。
蒼太はメリアリア達を伴って自分の旧宅を訪れていた、目的はただ一つ、真犯人である“エレイン・マクスウェル”をこの場に引き摺り出して逮捕することである。
この3日間の間に蒼太は並行世界である“ガイア・マキナ”に生きている自分達とも連携して動きつつ、必死になってエレインの動向を追っていたのだ、・・・“向こうの自分達”にもエレインの用いているトリックを伝えた上で。
当然それはセリカ達にももたらされており、彼女達も驚愕すると同時に大いに納得したのだが、今にして思えばセリカがいきなり全力を挙げて襲い掛かって来るのを躊躇い、まずは蒼太を騙し討ちにしようとしたのも、また彼とのやりとりに極秘の暗号通信を用いたのも全ては運命の為せる業だったのかも知れなかった。
今回の彼女は策謀を用いて如何にもコソコソとしたやり方を選択し、かつそれを実行してもいたのだがもし、セリカがいつも通りに最初から正々堂々と決闘を申し込んで来たのならば、全てエレインの計略通りに事が運ばれていた可能性が高い。
(・・・まあもっとも?“無益な殺生はしない”のと、“無関係の人間を巻き込まない”と言うセリカの矜恃からして。白昼堂々乗り込んで来るような事は、ちょっと考えられないけれど)
頭の中で蒼太は改めて考えを巡らせるモノの、仮にそんな強硬手段を採られていたなら自分かセリカのどちらかは必ず戦死していた筈であり、残った方もただでは済まずに救いが全くない物語になってしまっていたであろう。
(事態は何の解決も見込めなかった訳だ。それにしてもエレインの奴、今もこの状況を何処からか盗み見ているのかな?微かに奴の気配を感じるが・・・。ただしそれが何処から来るのかが解らないんだよな、これも“闇の衣”と例のトリックの相乗効果と言う訳か・・・)
“セリカが迂闊に動けなかった理由はこれか”、“よく耐えて我慢したな・・・”等と改めて目の前にいる女帝の精神力と強靱さに舌を巻く。
一方で。
やはり自分に多少なりとも害意を抱いている者との接触である、蒼太とセリカの間で空気がピンッと張り詰めるのを、メリアリア達は敏感に感じていた。
ところが。
「セリカ。俺とお前との間には、確執は何も無いはずだ。この家から引き払って速やかに自分達の世界へ帰れ・・・!!!」
蒼太はそれでも物怖じせずに堂々としていた、“茨の女帝”と言う自分以上の実力を誇る相手を目の前にしても、少しも動じることなく言うべき事を口にする。
「・・・・・」
(蒼太、格好良い・・・っ!!!)
こんな時だと言うのにメリアリアは、そんな夫の醸し出す雄々しさと頼もしさとに一瞬、ドキリとしてしまうモノの普段の時とは違う彼の、男らしい一面を垣間見るとまるで別人がそこに居るような感じがして寂しいと思いつつもしかし、どうしても胸がときめいてしまうのを止められなかった。
「蒼太、あなたには何の恨みも無いわ?だけどお願いだからここで死んでちょうだい・・・!!!」
「・・・ここで俺とお前が全力でやり合ったなら、確実に周囲の人間を巻き込む事になるぞ?俺の知っているセリカと言う女性はそう言う事はしない筈なんだがな」
「「「・・・・・」」」
「「「・・・・・」」」
そんな愛妻淑女の胸の内等知る由もない蒼太はセリカを真っ直ぐに見据えたままで気を張りつつも腹の底から落ち着いた声を発して行くモノの、会話をこなす彼等の周囲ではメリアリア達とミリエラ達とが睨み合い、構えを取って相手を牽制し続けていた、彼女達は一瞬で相手の力量を見抜いてそれ相応にお互いの出方を窺うようにする。
「セリカ。大人しく向こうの世界に帰れ、それと俺の自宅を返してもらうぞ?ここには大切な思い出や愛着が、タップリと詰まっているんでな。・・・それに数少ない俺の財産でもあるし」
「・・・ここで私を打ち破れたなら、その時は好きにすると良い。とにかく私と戦いなさい!!!」
あくまで静かな口調の蒼太に対してセリカが声高に主張するモノの、本当は蒼太はなるべく時間を稼ぎたかった、何故ならばこの瞬間にも“向こうの自分達”がその感性と諜報網をフル稼働させてエレインの行方を追っており、それと同時に“人質の奪還”をも意図していた為である。
だからセリカに暗号通信で“なるべく時間を稼いで欲しい”、“こちらが正体に気付いた事を隠したままでエレインの追求をなんとか躱してくれ”と念を押していたのであった、だけど。
「もうこれ以上はどうしようもない、これ以上時間を掛けたら弟を。ラッツェを殺すと脅された」
昨日の夜にそんな念話が送られて来た為に、今日が休みだった蒼太はメリアリア達と相談した結果、取り敢えずはセリカ達に会いに行く事にしたのだ。
「・・・セリカ。お前は本当に状況が見えていないのか?戦力は圧倒的にこちら側が上なんだぞ、況してやここには“眠りの森の守護”もないんだ。下手に手を出したなら痛手を被るのはお前達の方だぞ?」
「それは・・・。やってみなければ解らないわ!!!」
そう叫び様にセリカは腕を大きく振るって持っていた鞭を蒼太目掛けて打ち込んで来るモノの、それを蒼太は手にした剣で難なく振り払って見せた。
「・・・・・」
「・・・・・」
セリカは直ぐさま鞭を構え直すと二撃目、三撃目を繰り出して行くが蒼太もそれらに的確に剣を合わせて払い除け、一歩も引かずに応戦する。
2人の周囲には“ビュッ”、“ピュンッ”と言う風を切る音が幾重にも響き渡り、しかもそれは動作よりも遅れてやって来た、互いの動きの速さが音速を超えていたのだ。
それと同時にー。
“ガキイィィンッ!!!”、“キィン”、“ガン”と言う金属同士がぶつかり合う音と火花も彼方此方で散り始めるがその打ち合いの激しさは徐々に加速の一途を辿り、誰も迂闊に近付けなくなってしまう。
蒼太もセリカも優れた戦士であり、かつまた動作も機敏で膂力も強かった、かてて加えてお互いの扱う武器も類い稀なる聖剣と特性のマジカルウィップである、もし万が一でも女帝の攻撃が当たれば如何な蒼太と言えども肉が裂けて骨が折れるし、また或いは蒼太が踏み込んで刺突すればセリカはアッサリと肉のみならず骨ごと断ち切られるのは明らかだった。
「・・・・・」
「・・・・・」
暫くの間、そんなソード・レスリングのような事を繰り返していた2人だったが程なくセリカが大きく後ろに跳躍して距離を取る。
それを見た蒼太も改めて両手で剣の柄を持ち直しつつも彼女に相対するが、この時セリカは“とにかく時間を稼がなくてはならない”と言う事と“なんとか蒼太に有効打を与えなくては・・・”と言う思いの狭間で板挟みになってしまっていた。
その葛藤の末に出した選択が“遠距離攻撃”を仕掛ける事だったのだが、彼女やメリアリアの使う“茨の鞭”には、棘の部分にあるスペシャルな仕掛けが施されており、音速を超える速さで攻撃を繰り出すようになるとこれらが空気中で衝撃波の一種である“ソニックブーム”を生み出すのである。
セリカはこれを蒼太に向けて撃ち放とうとしていたのだが、ここで彼女は幾つかのとんでもない計算違いをしてしまっていた、一つはプロイセン国内と違って土地の持つエネルギーの援護を受けていない状況下で“それ”をすると身体的な消耗が半端ない、と言う事であり、そしてもう一つが。
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しかしセリカにはそれが見抜けなかった、彼女は生まれてからずっとプロイセンの中だけで活動を続けて来たのであり、それ故に戦う際も常に最初から“眠りの森の守護”を受けて、相手に対して優勢さを保ったまま一気に押し切るスタイルを確立させていた。
これに対して蒼太やメリアリアはその限りでは無く、自然と千差万別に変化して行く相手や戦況に合わせた戦い方を模索するようになっていったのである。
当然の事ながら彼等は極限状態下にあって生き抜く為に、厳しい訓練を毎日のように己に課しては未だ以て修業をこなし続けていたのであり、そう言った身心の底力の伸長のみならず、“事態を見極める力”等をも盤石なモノとしていたのだ。
その差が今、明確な形となって現れようとしていたのであり、セリカは自分から死地に飛び込んだ格好となった。
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自らの言い放った言葉にそう返した青年に対して女帝は高速で鞭を振るい、遠距離から衝撃波の雨を降らせようと試みる。
しかし。
「・・・・・っ!!?」
それは完全に裏目と出た、蒼太の発生させた真空波は見えない刃となってセリカに襲い掛かって行き、攻撃を加える筈だった彼女は逆に防戦一方へと追い込まれて行った。
そして。
「・・・・・」
「あ・・・っ!!?」
“ガキィンッ!!!”と言う衝撃音と同時に蒼太の攻撃がセリカに届いて利き手から鞭を叩き落とした、元々戦う事に乗り気で無ければ本気も出していなかった彼女はアッサリと敗北を認める。
「私の負けよ?蒼太・・・」
「・・・・・」
(・・・さて。これでエレインがどう出て来るか、だ。まさか本当に人質を殺すような真似はしないだろう、セリカにはまだまだ利用価値がある筈だからな)
油断無く残心を取りながらも蒼太が思うがセリカとのここまでの一連のやり取りは、大まかに言って既定路線である、目的はあくまでエレインの捕縛か誅殺にあったが、先程から僅かばかりの違和感と同時に微かに彼女の気配を感じるモノの、やはり何処にいるのかが解らない。
(おかしいな、単に遠隔透視か何かでこの状況を見ているだけか・・・?いいや、そんな筈は無い。いるぞ?エレインは確実に近くにいる。“闇の衣”の影響と“例のトリック”の所為で正確な位置が解らないだけだ・・・!!!)
そう考えて蒼太は感覚を最大限に研ぎ澄まさせて、もう一度自分を含めた半径50mの範囲を徹底的にサーチしてみる。
“神人化”を会得している彼は時空間を超越しての波動探査が可能であり、またエレインの用いている手品に気が付いていた事も手伝って、感性が“闇の衣”を始めとする彼女の術策に捻じ曲げられずに済んでいたのだ。
結果。
「・・・・・っ!!!」
蒼太は自身達のいる場所の直上10m程の空間に、“時流の乱れ”が発生している事を突き止めた。
(これは“特異点”が出現している証拠じゃないか、どうして今まで気が付けなかったのだろう・・・!!!)
蒼太はハッとなるモノの恐らくエレインは“闇の衣”の加護を十全に得るために、特異点の生み出す排斥力を利用して空中に浮遊しているのであり、つまりはそこからセリカの弟であるラッツェが捕らえられている場所にも行く事が可能な筈である。
いいや、もしかしたならラッツェ自身を連れて来ている場合も考えられたのだが、しかし。
(問題はここからだ、まずはエレインの幻術を打ち破ると同時に“闇の衣”を引き裂かなければならない。つまりは“純粋法力”を生成する必要があるんだけど・・・)
相手の位置は辛うじて感知出来たが詳しい状況が解らない。
果たしてエレインはこの場にラッツェを連れて来ているのか、いないのか。
いるとすればどう言う形で人質に取っているのか、それが判別出来ずにいた。
しかし。
(このまま手を拱いていては、結局はジリ貧になって。つまりは奴の掌の上で転がされる事になる。それは一番、避けなければならない!!!)
“もし万が一の場合は許せよ?セリカ・・・!!!”とそう意を決した蒼太は躊躇い無く、自然エネルギーと波動法力とを融合させてそれを極限まで高め、“理力”を生成するとプラズマ力場で包み込み、それを更に聖剣に纏わせてー。
空中目掛けて超速で跳躍し、特異点までの距離を詰めると猛然と剣を振るい、一気に“それ”を切り裂いた、すると。
“ジュバァッ!!!”と言う音と共に何かを斬断する感触がして、空間に亀裂が入る。
そこからは何か漆黒の半透明なベールのようなモノが引き剥がされて行き、その中からはストレートヘアなセミロングの銀髪をした、赤い瞳の美しい女性が姿を現した。
全身は黒衣のローブで覆われていて、片手には水晶玉を持ち、こちらに冷たい視線を向けている彼女はしかし、一見落ち着いてはいるモノの何処か危なげな感じのする存在であったのだ。
「・・・・・」
「お前が、エレインだな・・・?」
蒼太の問い掛けにもエレインは何の反応も示さなかった、ただただ何処までも冷めた瞳でこちらを見つめ、微動だにしない。
だがその眼中には明らかに忌ま忌ましさと怒りの炎がハッキリと揺らめいているのが見て取れた、蒼太を真に夫の仇だと思っているのならばやむを得ない所であるが、さて。
「蒼太、待って・・・!!!」
そんな彼女に対して尚も声を挙げようとした青年の前にセリカが進み出て来た、“私に話をさせて?”とそう言って。
「エレイン、ラッツェは何処にいるの?今すぐあの子を返しなさい!!!」
「・・・・・」
黒衣の魔女に向き直りつつも気合いの入った声色で彼女に詰め寄るセリカだったが、それに対して最初は沈黙を守っていたエレインはやがてゆっくりと口を開いた。
「・・・セリカ。お前は殊の外自分の立場を理解していないようだな、お前は私にモノを言える立場には無いのだ。それがまだ解らないのか?」
「・・・・・っっっ!!!!?」
「・・・エレイン。卑怯者の分際でよくほざけるモノだな」
そんなセリカを見かねた蒼太が間に割って入る。
「“人質を取る”等という、実にあこぎな方法に頼る事しか出来ないお前が。セリカを非難する資格は無いぞ?」
“真正面から正々堂々と戦う事すらも出来ないお前が”、“偉そうに人の質を語るな!!!”と蒼太が叫ぶが、それに付いてエレインは肯定も否定もしなかった、ところが。
「お前の夫は、リゲルは立派な男だった。素晴らしい剣士だったよ、敵ながら尊敬に値する存在だった。その妻であるお前がこの体たらくか?あの世でリゲルも泣いているぞ・・・!!!」
「・・・お前に何が解る!!!」
話がリゲルの事に及ぶや否やワナワナと震えだしたエレインは、それまでとは打って変わって憤怒の形相を露わにしては怒声を発して蒼太を口汚く罵った。
「お前なんかに、てめえなんかに何が解るんだっ。私の大事な大事なダーリンをぶち殺してくれやがってよぉ、てめえなんかに何も言われる筋合いなんかねーんだっ!!!」
「・・・・・っ!!!」
「・・・・・っ!!?」
「えっ、え・・・っ?」
「な、なんなのだ?あれは・・・!!!」
その豹変振りに、その場にいた全員がビックリするモノの、さりとて驚愕するには値しなかった、エレインの持つ危うさと言うモノは誰もが感じ取っていたのであり、その為“まさか”よりも“やはり”と言った感情が勝ったのである。
「ダーリンを返せ、このサノヴァビッチのチンカス野郎が。薄汚いイエローの分際で偉そうにのたまってんじゃねーぞ?テメーのチンチンを切り刻んでよぉ、ダーリンの墓前に添えてやるよぉっっっ!!!!!」
「・・・・・」
(話し合いは、無理そうだな・・・)
最早“意思の疎通は困難である”と判断した青年は、臨戦態勢を取ったままジリジリと距離を詰めて行った。
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エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
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