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夫婦の絆と子供への思い
“嘆きのセリカ” その3
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「綾壁蒼太は始末出来たのか?セリカ・グレイツェル・・・」
「・・・・・」
何処とも知れぬ漆黒の佇まいの中で、謎の声の問い掛けに“まだよ?”と暫しの間沈黙した後、セリカは乾いた口調で答えた、“彼はそんなに容易くは無いわ?”とそう続けて。
「それより・・・。あの子は、ラッツェは無事なんでしょうね?」
「安心しろ。捕らえてあるとは言えども3食昼寝付きの、中々に豪勢な生活を送っているぞ?・・・まあもっとも。“座敷牢”の中での話ではあるがな!!!」
謎の声は口調に嫌みったらしさを多分に含ませながらも言い放った。
「言っておくが・・・。これでも“我等”としてはかなり丁重な扱いをしているのだからな?本来であればこんな子供など、“土牢”か“タコ部屋”にでも押し込めておけば充分なのだから・・・」
「・・・・・っ!!?」
それを聞いたセリカの目の色が変わり、闇の一点を睨み据えた、その眼力は恐ろしい程にまで鋭くて“謎の声”は一瞬、沈黙を余儀なくされた。
「・・・なんだ、その目は?お前、自分の立場が解っているのだろうな!!!」
「・・・・・」
「この子供を生かすも殺すも我等次第だ、と言う事を忘れるな?・・・それからそう言う態度も今後は改めた方が良いな」
「・・・もし。ラッツェに何かをしたりしたら、私はお前達を絶対に許さない。地獄の果てまで追い掛けて行って必ず八つ裂きにしてやる!!!」
“よく覚えておけ・・・”と言うとセリカは“謎の声”に背を向けてその場を後にした、そこは地下室だったのであり太陽光が差し込むことが無い暗闇の空間だった。
「・・・・・」
「セリカ姉さん・・・」
今ではもう、誰にも使用されていない“綾壁家”の旧宅、その1階中央にある居間に戻って来たセリカに、心配そうな面持ちを浮かべて声を掛けて来た女の子がいた。
「・・・どうだったの?ラッツェは。ちゃんと無事でいてくれているの?」
「・・・今のところは、無事みたいだけど。それにしても許さないわ?アイツら、必ず正体を突き止めて皆殺しにしてやるからっっっ!!!!!」
湧き上がる憤怒に突き動かされるようにして、セリカは忌々しそうに吐き捨てた、少しカールの掛かっている、腰まで伸びた燃えるような赤い髪に群青色の双眸。
左右で良く整っている、“エレガントな西洋美人”と言った容をしていた“彼女”は身長は164cm前後でメリアリアよりもやや大きく、豊かな胸に括れた腰回り、そして安産型の臀部の中々に女らしい体付の持ち主だった。
肌の色は全体的にやや黄色味が強い、南部ゲルマン民族特有なそれであったが、そんなナイスバディの上から白磁色のドレスを着熟し、利き腕たる右手には、魔法金属で出来た“茨の鞭”を握り締めていたのだ。
「外の様子はどう?ミリエラ。何か変わった事はあった?」
「ううん。今の所は、何も・・・。だけどダニエラとネリエラが警戒に当たってくれているから、何か異変が起きたらすぐに解るわ・・・?」
「・・・・・」
落ち着きのある、堂々とした風格を纏わせているセリカはしかし、それでも油断無く周囲を警戒していた。
先程この世界の蒼太から“返信”がやって来た、それによると“会うかどうかは考えてから決める”と言う、中々に強かな内容だった、余程の知恵者が付いているのか、はたまた直感的にこちらの意図を見抜いたのか、それは定かでは無いモノのとにかくそれなりに警戒はされている事が透けて見える。
(流石に・・・。あの戦乱の只中を潜り抜けて来ただけの事はあるわね、確かな判断力と強い運を持っている・・・!!!)
そう思うセリカであったが別段、彼女は蒼太には恨みは無いし、ハッキリとした好意を持っている訳でも何でも無い、ただし。
多少の興味は持ち合わせており、またシビアな現実主義者であると同時に“絶対に油断はしない”と言う彼女自身の性分も合わさってそれで、自分の中で彼に対しての評価は概ね高いレベルで定着していたのだ。
(・・・正直に言って、蒼太はかなりの使い手ではある。私達の世界にいた蒼太も、そしてこっちの彼もね。だけど“強すぎて手が出せない”と言うレベルではない、大丈夫。私ならば必ず勝てる!!!)
“ただし・・・”とセリカは内心で呟いた、“メリアリア達がいなければね?”とそう言って。
(魔法の腕前を度外視すれば、あのアウロラって言う子はともかくとして・・・。どう少なく見積もってもメリアリアは私と互角の力を持っている、それにあのオリヴィアと言う女剣士は私以上に出来る人だ。ハッキリ言って彼女達が蒼太にへばり付いている限り、こちらとしては手も足も出せない・・・)
と言ってセリカには何か計画や謀略があるわけでは無かった、そもそも今回の事は彼女自身が発案したものでも何でも無くて、あくまで“ラッツェ”を捕らえられてしまった為に已む無く遂行しているに過ぎない。
その為、気が進まない事この上無かった事に加えて“こっちの世界に順応する為の時間をくれ”、“色々と事前準備をさせて欲しい”と言うセリカ側の言葉を“奴ら”は拒否した、“そんな時間を与えたらお前達は何を仕出かすか解らない”、“手間を掛けずにさっさと蒼太を始末しろ”と言うのが連中の思惑だったのだ。
「蒼太は強い、そんなに簡単に討ち取れる相手じゃないわ?」
「だがしかし・・・。お前はもっと強いのだろう?だったら何とか出来る筈だ、必ず綾壁蒼太を殺せ!!!」
“そうしなければ弟とは永遠に会えなくなるぞ?”、“全てはお前次第なんだからな・・・”と言う向こうの言いなりにならざるを得ないセリカは主義には反するモノの、仕方なく蒼太を呼び出して騙し討ちにする計画を立てたのである。
それを上手く躱された格好となった、どうやら彼には運命と言うか、神々が味方をしているらしい。
「どうするの?セリカ姉さん・・・」
「・・・取り敢えず。もう少し揺さ振りを掛けてみる、あまり時間も無いし。最終的には“総力戦”を行うしかないかも知れないけれど」
自分を少し小柄にして若返らせたような風貌のミリエラにそう答えると、セリカは唇をクッと噛み締めるが、一方で。
まだ事態を全て飲み込めてはいない蒼太達の情報収集にも、一定の進展があった、こちらと違って“ガイア・マキナ”に独自の諜報網を持っている訳では無い蒼太は仕方なく、あちら側の自分達に事情を説明して力を貸してもらっていたのだ。
だけど。
「・・・残念だけど。“ドラクロワ・カウンシル”が討ち滅ぼされてからのプロイセンは、組織体制が一新されたらしくてね?皇帝と重臣達以外はみんな顔触れが変わってしまったらしい」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・つまり?」
「情報が集まって来ないんだよ、新体制下のモノはともかく。旧体制のヤツは大半が破棄されてしまったそうだ、セリカの行方も知れなかったらしい・・・」
蒼太の言葉にメリアリアの顔付きが難しいモノとなった。
「ただ一応、噂話はあるそうだ。頂上決戦の後、セリカは生き延びて役目を辞し、故郷であるハーメルンに帰って家族で暮らしていた。ここまでが実際に確認できている事柄らしくてね?残りは本当に、人伝に聞いただけの真贋も判明しない情報らしいんだけど。セリカは誰かに家族を掠われてしまい、ソイツらの言いなりになっているらしい。しかもソイツらの正体は異世界人だ、と言う話なんだって・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・異世界人?」
「ただ異世界とは言っても広いからね?様々な可能性のある並行世界が彼方此方にあって、それぞれに違う道筋を歩んでいるんだよ。だから一概に“どの異世界の人間か”までは解らないでいるのだろうけど・・・」
「・・・でも。だけどその中でも“この世界のあなたを狙っている”と言う事は、間違いなく“今の私達がいる世界軸線の存在”と言う事になるわよね?」
「ああ、その可能性は高いね?例えば相手が“全ての世界軸線に於いて僕という存在を抹殺する”と言う考えを持ち合わせていなければ、だけど・・・」
「・・・あの、ですけど。その可能性は今の所は極めて低いのではないでしょうか?」
すると最初はメリアリアが、次いでアウロラが口を開いた。
「仮にもし。蒼太さんの言う通り、全ての世界であなたを狙っているのだとしたならば。まずはやっぱり“自分達のいる世界軸線と同じ時流に生きる存在”を目標にするのではないでしょうか?私ならばそうしますけど・・・」
「・・・・・」
「う~ん・・・」
「なるほど・・・」
そのアウロラの推理にオリヴィアも乗っかって来る。
「アウロラの言葉は一理ある、確かに私でもまずは足下から行くだろうからな。自分自身の世界を無視して異世界の存在を狙う、とはちょっと考えにくいな・・・!!!」
「・・・・・」
「・・・・・」
そう提言する2人に対して蒼太とメリアリアは簡単には頷かないでいたモノの、しかし内心ではその可能性は“極めて高い”と感じ取っていた、確かに自分達が逆の立場でもそう動いたであろうし、“下手に詮索を続けると却って真実から遠くなる”と直感的に悟ったのだ。
「じゃあ仮に・・・。この世界に生きる人物が犯人だとして、ソイツらはどうして蒼太を付け狙うのかしらね?」
「・・・さあね?正直に言って、僕が教えてもらいたい位さ」
“何しろ・・・”と愛妻淑女が口にした疑問に蒼太は自嘲しつつも呟いた、“心当たりが多すぎるからな・・・”とそう告げて。
「セイレーンやミラベルで活動して来たんだ、まあ大半がこの国の治安維持だったり専守防衛的なモノだったけど・・・。だけど中には“ターゲットの抹殺”だとか“敵性組織の壊滅”なんかも含まれてはいた、彼方此方でそれなりに恨みは買っているだろうからね・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・ねえ、でも。だったらね?蒼太。その中でもあなたのように“時渡り”の能力を使える人はいなかったの?ううん、仮に本人じゃなかったとしても。例えばソイツの家族だとか恋人だとかに」
「う~ん、どうだろう?可能性はあるだろうけれど・・・」
メリアリアの言葉に腕組みをしながら考え込んでしまう蒼太であったが、取り敢えず。
この段階で彼の指針は粗方決まっていた、即ち“真犯人が明らかになるまでは、セリカとは会わない”と言う事である。
(どうせ今、会いに行った所でろくな事にならないだろうし・・・。それに何より、なんの問題の解決にもならないだろうからね・・・)
“それに・・・”とそこまで思い立った彼は改めてメリアリアの顔を見つめ、そして。
(こんな可愛い人に、危険な真似はさせられない。それにセリカとメリーは単に技量が同レベルにあるだけで無く、その戦い方や気質が似た者同士でもある。やり合うと意地の張り合いからとんでもない事になってしまうかも知れない・・・!!!)
そう考えつつも手を伸ばしてソッと優しく彼女の頭部を撫でるが、それをメリアリアは瞳を閉じて嬉しそうに感じていた、実際に触れられると彼の気持ちが極度に強く流れ込んで来るのであり、その為に愛妻淑女は青年の自分に対する暖かな本意と心配とを悟ったのである。
「大丈夫よ?蒼太・・・」
「・・・・・?」
そんな彼の、己への気持ちに直に触れた事で、ウットリとした面持ちとなったメリアリアが甘い声色で蒼太に囁く。
「無茶はしないから。それにセリカなんて目じゃないわ?必ず勝つから、大丈夫だから・・・!!!」
「・・・・・」
“そうか・・・”とそれを聞いた蒼太はまだ何かを言おうとして、敢えて止めた。
今のメリアリアの気の昂りと集中の度合いは非常に高くて鋭く纏まっており、“理想的”と言っても良い程のモノだった、確かにこの状態を維持できるのであるならばセリカ相手にでも勝利を収める事が可能かも知れない。
しかし。
(まあ、この子の気持ちは買うとしても・・・。今の本当の敵はセリカでは無い、しかし一体誰がこんな事を・・・?)
そこまで頭をフル稼働させていた蒼太が何事かを思い付いて“あ・・・っ!!?”と小さく短く叫んだ。
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・どうしたの?」
その様子を傍で見ていたメリアリアやアウロラ、オリヴィア等がキョトンとした表情を浮かべて彼を見つめる。
「ねえメリー。アウロラもオリヴィアもだけど、僕達は大切な事を見落としていたぞ・・・!!?」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・大切なこと?」
「真犯人は僕達だけじゃなくて、“ガイア・マキナ”の事も。そしてセリカ達の事も良く知っていた人物だったってこと!!!」
その夫の言葉に三人の愛妻達もまたハッとした面持ちとなって口々に声を発した。
「・・・ああっ!!?」
「そっか・・・っ!!!」
「なるほど、確かになっ!!!」
「そうだよ、僕達はそれを完全に失念していた。“僕達の世界”だけ見ていてもダメだし、かと言って“ガイア・マキナ”だけの事を見ていたなら多分、絶対に答えに辿り着けなかっただろう・・・!!!」
蒼太の口から出た言葉に、メリアリア達が直ぐさま反応する、夫がこの問題に付いての答えにある確信を持っているのだ、と言う事を直感した為である。
「どう言う事なの、あなた!!!」
「敵の正体が、解ったのですか!!?」
「一体何者なのだ?ソイツは!!!」
「・・・かなり前の話になるけれど。“アンチ・クライスト・オーダーズ”の配下に“カインの子供達”と言う面々がいたのを覚えているかい?」
青年の言葉に、妻達は黙って頷く。
「彼等はね?なにもこの世界だけの存在じゃなくて、あっちの世界にも似たような軍団のエース達だけで構成されている部隊があったんだけど・・・。その部隊のトップにいたのが“一等星のリゲル”と呼ばれていた存在だったんだよ・・・」
「知ってるわ・・・!!!」
メリアリアが答えた。
「でも、確か・・・。あなたに打ち倒されたんでしょう?」
「そうだ、確かにリゲルには勝った。だけど奴には妻が居たんだ、本名は“エレイン・マクスウェル”。通称を“星生みの巫女”と呼ばれていた彼女は元来が“ガイア・マキナ”の存在では無くて、異世界からやって来た女性だと言う・・・」
夫からもたらされた事実にメリアリア達は驚愕すると同時に衝撃を受けていた、しかしなんとか頭は働かせる事が出来ていた彼女達は更なる思慮を重ねるモノの、“マクスウェル”と言う事は“エイジャックス”か“合衆国”の人間であろうか。
「・・・それでその。“エレイン・マクスウェル”って言う人はどう言う女性なの?」
「・・・って言うか、蒼太さん。やけに相手の内情に詳しいですね?確か“ドラクロワ・カウンシル”は秘密結社で」
「そうだ、選ばれたスタッフによる“常闇の勢力”だと聞いているが・・・」
「・・・向こうでの“頂上決戦”が終わった後に。僕達は“ドラクロワ・カウンシル”の本部や支部に一斉に突入して強制的な家宅捜索を開始したんだ、そこにはこれまでの陰謀の記録や団員達の詳細なデータ等が保管されていてね?それで会った事は無いまでも、“エレイン・マクスウェル”の事も知ったんだ」
自分達の疑問に応える夫の姿を妻達は黙って見つめていた。
「ただ・・・。“幻惑呪術”と“闇魔法”に長けていた彼女は自らを“異世界人だ”とは名乗っていたそうなんだけど、それがこの時間軸なのか。はたまた別の世界線からやって来た存在なのかは、結局の所は解らないんだ。だけどコイツならば“時渡り”も出来て僕達やセリカ達の事を良く知っており、尚且つ僕に恨みを持っていても不思議じゃない!!!」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
ほぼほぼ結論が出た一同が、それでもまだ判然としない部分に付いて各々の考えを纏めていた時だった、空中に再び“魔法の気配”を感じてそちらを注視していると、蒼太達の前にまたもや法力の火焔で形作られている“炎のトンボ”が姿を現したのだ。
「・・・・・」
何処とも知れぬ漆黒の佇まいの中で、謎の声の問い掛けに“まだよ?”と暫しの間沈黙した後、セリカは乾いた口調で答えた、“彼はそんなに容易くは無いわ?”とそう続けて。
「それより・・・。あの子は、ラッツェは無事なんでしょうね?」
「安心しろ。捕らえてあるとは言えども3食昼寝付きの、中々に豪勢な生活を送っているぞ?・・・まあもっとも。“座敷牢”の中での話ではあるがな!!!」
謎の声は口調に嫌みったらしさを多分に含ませながらも言い放った。
「言っておくが・・・。これでも“我等”としてはかなり丁重な扱いをしているのだからな?本来であればこんな子供など、“土牢”か“タコ部屋”にでも押し込めておけば充分なのだから・・・」
「・・・・・っ!!?」
それを聞いたセリカの目の色が変わり、闇の一点を睨み据えた、その眼力は恐ろしい程にまで鋭くて“謎の声”は一瞬、沈黙を余儀なくされた。
「・・・なんだ、その目は?お前、自分の立場が解っているのだろうな!!!」
「・・・・・」
「この子供を生かすも殺すも我等次第だ、と言う事を忘れるな?・・・それからそう言う態度も今後は改めた方が良いな」
「・・・もし。ラッツェに何かをしたりしたら、私はお前達を絶対に許さない。地獄の果てまで追い掛けて行って必ず八つ裂きにしてやる!!!」
“よく覚えておけ・・・”と言うとセリカは“謎の声”に背を向けてその場を後にした、そこは地下室だったのであり太陽光が差し込むことが無い暗闇の空間だった。
「・・・・・」
「セリカ姉さん・・・」
今ではもう、誰にも使用されていない“綾壁家”の旧宅、その1階中央にある居間に戻って来たセリカに、心配そうな面持ちを浮かべて声を掛けて来た女の子がいた。
「・・・どうだったの?ラッツェは。ちゃんと無事でいてくれているの?」
「・・・今のところは、無事みたいだけど。それにしても許さないわ?アイツら、必ず正体を突き止めて皆殺しにしてやるからっっっ!!!!!」
湧き上がる憤怒に突き動かされるようにして、セリカは忌々しそうに吐き捨てた、少しカールの掛かっている、腰まで伸びた燃えるような赤い髪に群青色の双眸。
左右で良く整っている、“エレガントな西洋美人”と言った容をしていた“彼女”は身長は164cm前後でメリアリアよりもやや大きく、豊かな胸に括れた腰回り、そして安産型の臀部の中々に女らしい体付の持ち主だった。
肌の色は全体的にやや黄色味が強い、南部ゲルマン民族特有なそれであったが、そんなナイスバディの上から白磁色のドレスを着熟し、利き腕たる右手には、魔法金属で出来た“茨の鞭”を握り締めていたのだ。
「外の様子はどう?ミリエラ。何か変わった事はあった?」
「ううん。今の所は、何も・・・。だけどダニエラとネリエラが警戒に当たってくれているから、何か異変が起きたらすぐに解るわ・・・?」
「・・・・・」
落ち着きのある、堂々とした風格を纏わせているセリカはしかし、それでも油断無く周囲を警戒していた。
先程この世界の蒼太から“返信”がやって来た、それによると“会うかどうかは考えてから決める”と言う、中々に強かな内容だった、余程の知恵者が付いているのか、はたまた直感的にこちらの意図を見抜いたのか、それは定かでは無いモノのとにかくそれなりに警戒はされている事が透けて見える。
(流石に・・・。あの戦乱の只中を潜り抜けて来ただけの事はあるわね、確かな判断力と強い運を持っている・・・!!!)
そう思うセリカであったが別段、彼女は蒼太には恨みは無いし、ハッキリとした好意を持っている訳でも何でも無い、ただし。
多少の興味は持ち合わせており、またシビアな現実主義者であると同時に“絶対に油断はしない”と言う彼女自身の性分も合わさってそれで、自分の中で彼に対しての評価は概ね高いレベルで定着していたのだ。
(・・・正直に言って、蒼太はかなりの使い手ではある。私達の世界にいた蒼太も、そしてこっちの彼もね。だけど“強すぎて手が出せない”と言うレベルではない、大丈夫。私ならば必ず勝てる!!!)
“ただし・・・”とセリカは内心で呟いた、“メリアリア達がいなければね?”とそう言って。
(魔法の腕前を度外視すれば、あのアウロラって言う子はともかくとして・・・。どう少なく見積もってもメリアリアは私と互角の力を持っている、それにあのオリヴィアと言う女剣士は私以上に出来る人だ。ハッキリ言って彼女達が蒼太にへばり付いている限り、こちらとしては手も足も出せない・・・)
と言ってセリカには何か計画や謀略があるわけでは無かった、そもそも今回の事は彼女自身が発案したものでも何でも無くて、あくまで“ラッツェ”を捕らえられてしまった為に已む無く遂行しているに過ぎない。
その為、気が進まない事この上無かった事に加えて“こっちの世界に順応する為の時間をくれ”、“色々と事前準備をさせて欲しい”と言うセリカ側の言葉を“奴ら”は拒否した、“そんな時間を与えたらお前達は何を仕出かすか解らない”、“手間を掛けずにさっさと蒼太を始末しろ”と言うのが連中の思惑だったのだ。
「蒼太は強い、そんなに簡単に討ち取れる相手じゃないわ?」
「だがしかし・・・。お前はもっと強いのだろう?だったら何とか出来る筈だ、必ず綾壁蒼太を殺せ!!!」
“そうしなければ弟とは永遠に会えなくなるぞ?”、“全てはお前次第なんだからな・・・”と言う向こうの言いなりにならざるを得ないセリカは主義には反するモノの、仕方なく蒼太を呼び出して騙し討ちにする計画を立てたのである。
それを上手く躱された格好となった、どうやら彼には運命と言うか、神々が味方をしているらしい。
「どうするの?セリカ姉さん・・・」
「・・・取り敢えず。もう少し揺さ振りを掛けてみる、あまり時間も無いし。最終的には“総力戦”を行うしかないかも知れないけれど」
自分を少し小柄にして若返らせたような風貌のミリエラにそう答えると、セリカは唇をクッと噛み締めるが、一方で。
まだ事態を全て飲み込めてはいない蒼太達の情報収集にも、一定の進展があった、こちらと違って“ガイア・マキナ”に独自の諜報網を持っている訳では無い蒼太は仕方なく、あちら側の自分達に事情を説明して力を貸してもらっていたのだ。
だけど。
「・・・残念だけど。“ドラクロワ・カウンシル”が討ち滅ぼされてからのプロイセンは、組織体制が一新されたらしくてね?皇帝と重臣達以外はみんな顔触れが変わってしまったらしい」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・つまり?」
「情報が集まって来ないんだよ、新体制下のモノはともかく。旧体制のヤツは大半が破棄されてしまったそうだ、セリカの行方も知れなかったらしい・・・」
蒼太の言葉にメリアリアの顔付きが難しいモノとなった。
「ただ一応、噂話はあるそうだ。頂上決戦の後、セリカは生き延びて役目を辞し、故郷であるハーメルンに帰って家族で暮らしていた。ここまでが実際に確認できている事柄らしくてね?残りは本当に、人伝に聞いただけの真贋も判明しない情報らしいんだけど。セリカは誰かに家族を掠われてしまい、ソイツらの言いなりになっているらしい。しかもソイツらの正体は異世界人だ、と言う話なんだって・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・異世界人?」
「ただ異世界とは言っても広いからね?様々な可能性のある並行世界が彼方此方にあって、それぞれに違う道筋を歩んでいるんだよ。だから一概に“どの異世界の人間か”までは解らないでいるのだろうけど・・・」
「・・・でも。だけどその中でも“この世界のあなたを狙っている”と言う事は、間違いなく“今の私達がいる世界軸線の存在”と言う事になるわよね?」
「ああ、その可能性は高いね?例えば相手が“全ての世界軸線に於いて僕という存在を抹殺する”と言う考えを持ち合わせていなければ、だけど・・・」
「・・・あの、ですけど。その可能性は今の所は極めて低いのではないでしょうか?」
すると最初はメリアリアが、次いでアウロラが口を開いた。
「仮にもし。蒼太さんの言う通り、全ての世界であなたを狙っているのだとしたならば。まずはやっぱり“自分達のいる世界軸線と同じ時流に生きる存在”を目標にするのではないでしょうか?私ならばそうしますけど・・・」
「・・・・・」
「う~ん・・・」
「なるほど・・・」
そのアウロラの推理にオリヴィアも乗っかって来る。
「アウロラの言葉は一理ある、確かに私でもまずは足下から行くだろうからな。自分自身の世界を無視して異世界の存在を狙う、とはちょっと考えにくいな・・・!!!」
「・・・・・」
「・・・・・」
そう提言する2人に対して蒼太とメリアリアは簡単には頷かないでいたモノの、しかし内心ではその可能性は“極めて高い”と感じ取っていた、確かに自分達が逆の立場でもそう動いたであろうし、“下手に詮索を続けると却って真実から遠くなる”と直感的に悟ったのだ。
「じゃあ仮に・・・。この世界に生きる人物が犯人だとして、ソイツらはどうして蒼太を付け狙うのかしらね?」
「・・・さあね?正直に言って、僕が教えてもらいたい位さ」
“何しろ・・・”と愛妻淑女が口にした疑問に蒼太は自嘲しつつも呟いた、“心当たりが多すぎるからな・・・”とそう告げて。
「セイレーンやミラベルで活動して来たんだ、まあ大半がこの国の治安維持だったり専守防衛的なモノだったけど・・・。だけど中には“ターゲットの抹殺”だとか“敵性組織の壊滅”なんかも含まれてはいた、彼方此方でそれなりに恨みは買っているだろうからね・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・ねえ、でも。だったらね?蒼太。その中でもあなたのように“時渡り”の能力を使える人はいなかったの?ううん、仮に本人じゃなかったとしても。例えばソイツの家族だとか恋人だとかに」
「う~ん、どうだろう?可能性はあるだろうけれど・・・」
メリアリアの言葉に腕組みをしながら考え込んでしまう蒼太であったが、取り敢えず。
この段階で彼の指針は粗方決まっていた、即ち“真犯人が明らかになるまでは、セリカとは会わない”と言う事である。
(どうせ今、会いに行った所でろくな事にならないだろうし・・・。それに何より、なんの問題の解決にもならないだろうからね・・・)
“それに・・・”とそこまで思い立った彼は改めてメリアリアの顔を見つめ、そして。
(こんな可愛い人に、危険な真似はさせられない。それにセリカとメリーは単に技量が同レベルにあるだけで無く、その戦い方や気質が似た者同士でもある。やり合うと意地の張り合いからとんでもない事になってしまうかも知れない・・・!!!)
そう考えつつも手を伸ばしてソッと優しく彼女の頭部を撫でるが、それをメリアリアは瞳を閉じて嬉しそうに感じていた、実際に触れられると彼の気持ちが極度に強く流れ込んで来るのであり、その為に愛妻淑女は青年の自分に対する暖かな本意と心配とを悟ったのである。
「大丈夫よ?蒼太・・・」
「・・・・・?」
そんな彼の、己への気持ちに直に触れた事で、ウットリとした面持ちとなったメリアリアが甘い声色で蒼太に囁く。
「無茶はしないから。それにセリカなんて目じゃないわ?必ず勝つから、大丈夫だから・・・!!!」
「・・・・・」
“そうか・・・”とそれを聞いた蒼太はまだ何かを言おうとして、敢えて止めた。
今のメリアリアの気の昂りと集中の度合いは非常に高くて鋭く纏まっており、“理想的”と言っても良い程のモノだった、確かにこの状態を維持できるのであるならばセリカ相手にでも勝利を収める事が可能かも知れない。
しかし。
(まあ、この子の気持ちは買うとしても・・・。今の本当の敵はセリカでは無い、しかし一体誰がこんな事を・・・?)
そこまで頭をフル稼働させていた蒼太が何事かを思い付いて“あ・・・っ!!?”と小さく短く叫んだ。
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・どうしたの?」
その様子を傍で見ていたメリアリアやアウロラ、オリヴィア等がキョトンとした表情を浮かべて彼を見つめる。
「ねえメリー。アウロラもオリヴィアもだけど、僕達は大切な事を見落としていたぞ・・・!!?」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・大切なこと?」
「真犯人は僕達だけじゃなくて、“ガイア・マキナ”の事も。そしてセリカ達の事も良く知っていた人物だったってこと!!!」
その夫の言葉に三人の愛妻達もまたハッとした面持ちとなって口々に声を発した。
「・・・ああっ!!?」
「そっか・・・っ!!!」
「なるほど、確かになっ!!!」
「そうだよ、僕達はそれを完全に失念していた。“僕達の世界”だけ見ていてもダメだし、かと言って“ガイア・マキナ”だけの事を見ていたなら多分、絶対に答えに辿り着けなかっただろう・・・!!!」
蒼太の口から出た言葉に、メリアリア達が直ぐさま反応する、夫がこの問題に付いての答えにある確信を持っているのだ、と言う事を直感した為である。
「どう言う事なの、あなた!!!」
「敵の正体が、解ったのですか!!?」
「一体何者なのだ?ソイツは!!!」
「・・・かなり前の話になるけれど。“アンチ・クライスト・オーダーズ”の配下に“カインの子供達”と言う面々がいたのを覚えているかい?」
青年の言葉に、妻達は黙って頷く。
「彼等はね?なにもこの世界だけの存在じゃなくて、あっちの世界にも似たような軍団のエース達だけで構成されている部隊があったんだけど・・・。その部隊のトップにいたのが“一等星のリゲル”と呼ばれていた存在だったんだよ・・・」
「知ってるわ・・・!!!」
メリアリアが答えた。
「でも、確か・・・。あなたに打ち倒されたんでしょう?」
「そうだ、確かにリゲルには勝った。だけど奴には妻が居たんだ、本名は“エレイン・マクスウェル”。通称を“星生みの巫女”と呼ばれていた彼女は元来が“ガイア・マキナ”の存在では無くて、異世界からやって来た女性だと言う・・・」
夫からもたらされた事実にメリアリア達は驚愕すると同時に衝撃を受けていた、しかしなんとか頭は働かせる事が出来ていた彼女達は更なる思慮を重ねるモノの、“マクスウェル”と言う事は“エイジャックス”か“合衆国”の人間であろうか。
「・・・それでその。“エレイン・マクスウェル”って言う人はどう言う女性なの?」
「・・・って言うか、蒼太さん。やけに相手の内情に詳しいですね?確か“ドラクロワ・カウンシル”は秘密結社で」
「そうだ、選ばれたスタッフによる“常闇の勢力”だと聞いているが・・・」
「・・・向こうでの“頂上決戦”が終わった後に。僕達は“ドラクロワ・カウンシル”の本部や支部に一斉に突入して強制的な家宅捜索を開始したんだ、そこにはこれまでの陰謀の記録や団員達の詳細なデータ等が保管されていてね?それで会った事は無いまでも、“エレイン・マクスウェル”の事も知ったんだ」
自分達の疑問に応える夫の姿を妻達は黙って見つめていた。
「ただ・・・。“幻惑呪術”と“闇魔法”に長けていた彼女は自らを“異世界人だ”とは名乗っていたそうなんだけど、それがこの時間軸なのか。はたまた別の世界線からやって来た存在なのかは、結局の所は解らないんだ。だけどコイツならば“時渡り”も出来て僕達やセリカ達の事を良く知っており、尚且つ僕に恨みを持っていても不思議じゃない!!!」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
ほぼほぼ結論が出た一同が、それでもまだ判然としない部分に付いて各々の考えを纏めていた時だった、空中に再び“魔法の気配”を感じてそちらを注視していると、蒼太達の前にまたもや法力の火焔で形作られている“炎のトンボ”が姿を現したのだ。
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最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
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