星降る国の恋と愛

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夫婦の絆と子供への思い

アウロラの思惑

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 蒼太にはメリアリア、アウロラ、オリヴィアと言う三人の愛妻がいる。

 この中で蒼太との絆が最も強く、かつ一番深く愛し合っているのが“メリアリア・サーラ・デ・カッシーニ”であり、蒼太は彼女に、そして彼女は蒼太に自分自身に向ける以上の“熱烈な思い”と“確かなる気持ち”を抱いていた。

 そしてその後に件の二人が続いているのが現状であったのであるモノの、ただし。

 アウロラとオリヴィアに付いても蒼太は少なくとも自分と同じ位には大切に思っていたし、またいざと言う時には命を懸けてでも彼女達を守る気概をも、常に持ち合わせていたのである。

 それは彼女達にも重々伝わっていた、何故ならばメリアリア程では無いにしろ、この二人とも蒼太は“精神感応伝達”を誘発させていてその為、アウロラもオリヴィアも夫の自分に対する気持ちを感じ取り、ハッキリと理解していたのだ。

 その方法と言うのが“セックス”の際の“インターバル”時に結合を利用して房中術の要領で生命力及び意識力を分け与えて心身共に回復を施させる、と言うモノであったのだが、この合間に彼の思念が一緒に彼女達の中へと流れ込んで来るようになってしまい、それが故に二人は夫の自分に対する真心に触れて、一層彼に傾倒するようになってしまっていた、と言う次第であったのである。

「蒼太さんっっっ❤❤❤❤❤」

「蒼太っっっ❤❤❤❤❤」

 彼女達の待つフォンティーヌ邸、或いはフェデラール邸に帰宅すると、二人は子供達の後に続いて必ず嬉しそうに息を切らせて出迎えに来てくれていた、蒼太はそれが凄く嬉しかった。

 ちなみに蒼太とメリアリアや、アウロラとオリヴィアは“神人化”の影響で実質的に若返り、その肉体年齢が18歳~30歳の間で概ね固定されている。

 特に蒼太は成長期に戻った事と、新たな修業や食事療法を行って肉体改造に挑戦した結果、身長は“181・5cm”で筋肉もムキムキとなり、絶倫さにも余計に磨きが掛かっていたのだ。

 またその陰茎もますますバッキバキに固くなり、特に勃起時には日本人としては最高長である“25・5cm”にまで達していたから、メリアリアを始めとする彼の妻達はこれでいつもエッチの時は気絶するまで責め立てられてはより一層、“ヒイヒイ”と泣き叫ばされていたのである。

「ねえあなた・・・」

「なにさ?アウロラ」

 そんなある日の事。

 いつものように“時の涙滴”の中で3週間程の交わりを終えた二人は結合を解いた後で思いっ切り深い眠りに就き、それから目覚めるとバスマットレスに寝そべってお互いを撫でたり、愛でたりしながらピロートークに花を咲かせていた。

「今度ね?皆で揃ってピクニックに行きたいの・・・。どうでしょうか?」

「・・・良いんじゃないか?ピクニックなんて久方振りだし。それに僕もたまには皆と外に出掛けてみたいしね!!!」

「・・・本当ですかっっっ!!!!?」

「ああ。この季節、南のアルヴの山々なんかは特に気候が涼しくて良いし。・・・それにあの澄んだ空にたなびく君の蒼青色の長い髪の毛を見るのが、僕は大好きなんだ!!!」

「・・・・・っっっ!!!!!あなた、嬉しいっっっっっ❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤」

 そう叫んでアウロラは頬を赤らめながら蒼太にしっかりと抱き着いた。

「・・・私も、あなたとお出掛け出来るのが凄い楽しみなんです。蒼太さん、私は幸せ者ですわっっっ❤❤❤❤❤」

「ただ・・・。ねえでも、行くとしたならいつ、どうやって行くかだよね?屋敷の皆が移動するとしたなら、やっぱり長距離バスか特急電車を貸し切りで調達しなきゃならないし・・・。それに泊まり掛けで行くのなら、それなりのホテルの手配もしなければならないしなぁ・・・」

「その点は大丈夫ですっっっ!!!!!」

 やけに気合いが入りまくりのアウロラが蒼太に顔を近付ける。

「ガリア南方には、家はいくつもの別荘を持っておりますの。まだ私が小さなみぎりには、夏になると毎年のようにそこに行ってましたのよ?」

「へえぇぇ、そうだったんだ。知らなかった・・・」

 フォンティーヌ家に入り婿してから早くも18年が経過しようとしていたのに、それは初めて知らされる事実であった。

「考えてみれば・・・。アルヴの山々が聳えている南ガリアは国内有数の避暑地だもんな、名にし負うフォンティーヌ家が別荘の一つくらいは持っているのが自然かも知れない・・・」

「うふふっ。別荘は古城を改造して作られておりますのよ?蒼太さんもきっと気に入ると思いますわ!!?」

「城か・・・」

「普段は管理人さん達がいて、お掃除やお手入れをして下さっておりますの。だから年中清潔かつ快適に過ごせますわ?」

「それは楽しみだね・・・。よっしゃ、早速具体的なプランを立てるとしようか!!!」

 “まずは日程からだよね・・・”等とそう告げる蒼太を、アウロラは愛しそうに見つめていたモノの、しかし。

 その当の本人である蒼太は内心で中々に、複雑な思いを抱いていた。

(メリーにアウロラにオリヴィアか。今まで自分の夢や目標の為に必死になって突っ走って来たけれど・・・。よく考えたらこの子達から愛してもらえるなんて、物凄い奇跡なんじゃないか・・・?)

 そんな事を考えながら蒼太は胸の内でこの自分の思いが決して間違いでは無い事を直感していた。

 ただし。

 彼はあくまでもメリアリア達が“可愛らしくて素晴らしい女性である”と言う認識で根幹から染まっていたから、そう言う気持ちを抱くに至っていたのだが、元々。

 メリアリアは跳ねっ返りのお転婆で、アウロラは一見お淑やかそうに見えてその実、ともすれば融通が利かない程にまで芯の強い子であり、そしてオリヴィアに至っては清廉な騎士としての矜持で満ち溢れているのである、しかも三人とも(少なくとも長じてからは)人当たりはそれなりに良くなっていったが基本的には正義感が強くて純情で、尚且つ自分が本当に大切だ、と感じる事柄に付いては一切の妥協を許さない凄絶さを持っていたから、普通の男性だったならばもしかしたなら辟易してしまう場面もあったかも知れなかった。

 現にメリアリアもアウロラもオリヴィアも、そうした自分のある種の“頑固さ”や、それから生じる“しつこさ”を心配しており、それに加えてそれぞれの生い立ちや性格を酷く気にして悩み抜いていたのである。

 そんな彼女達に真正面から向かって行き、しっかりと受け止めたのが蒼太だった、自身もまたメリアリア達と同じような性分であった彼はだから、彼女達の苦しみや葛藤が痛い位に理解出来たし、また共感する事も出来たのだ。

 それに間近でメリアリア達の全てをずっと見続けて来た彼は、そうした事もあって彼女達の発する密かなる“心の叫び”にもキチンと耳を傾けられており、そしてそれ故に持ち前の優しさと深い洞察力を働かせてはずっとメリアリア達に寄り添い続け、励まし続けて来たのである。

 しかも蒼太はそれを“当たり前のこと”として行っており、いつもいつもメリアリア達に接してくれていたのだが、一方の彼女達からしてみればそれは、とても暖かくて頼もしく、何より眩しいモノだった、どれだけ感謝してもしきれない程の尊さと優しい光で彼女達を包み、癒し、導いて行ってくれたのである。

 当の本人である蒼太にとっては別に特別な事でもなんでも無いのかも知れないが、少なくともメリアリア達にとっては蒼太と言う存在は唯一無二の奇跡だったのだ。

 そんな彼女達が彼に対する恋心を自覚するまでには、それほど時間は掛からなかった、そして長い間の思慕が報われて無事にゴールインを果たした今でもずっと彼に対する“熱い気持ち”は少しも変わらず、むしろますます強くて激しいモノとなってメリアリア達を内面から輝かせ続け、更にはそれは比類無き“確かなる愛情”に変化して行ったのであった。

 ところが。

 蒼太にとっては嬉しかったり悲しかったりなのかも知れなかったが、夫の自分達への真心に触れたメリアリア達は、その恋慕や“彼への気持ち”がバーストしてしまい、結果として蒼太を今まで以上に追い求めるようになってしまった。

 ただでさえ、健気で純朴で一途な性質だった彼女達の思いは今や限界以上にまで燃え上がってしまい、いっそ“超愛”とでも言って良い領域にまで突入してしまっていた、要するに三人とも、蒼太に狂ってしまったのである。

 そしてそれは三人の花嫁達の均衡を崩しかねない事案を勃発させようとしていた、既に蒼太から最愛を宣告されていたメリアリアはともかく、アウロラとオリヴィアの二人は“なんとか彼を自分だけのモノにしよう”、“自分こそが彼の最愛でいたい”との熱情に突き動かされるままに、蒼太を狂楽の宴へと誘おうとしていたのである。

 ・・・例え自分自身を、蒼太に捧げる為の生贄と化してでも。

(蒼太さん、大好きです。誰よりも何よりも愛しています!!!だけど、でも。だからこそあなたの心が欲しいですっ。メリアリアさんにもオリヴィアさんにも負けない位の“確かなる気持ち”が・・・っっっ!!!!!)

 “メリアリアさんもオリヴィアさんも、大事な親友だと言うのに”、“最低だ、私は・・・”、“こんな思いをぶつけたなら蒼太さんは悲しむかしら・・・?”等と様々な思惑が頭の中を駆け巡って一種の自己嫌悪に陥ってしまったアウロラが、自分から目を背けてしまったのを蒼太は見逃さなかった。

「・・・ねえアウロラ?」

「・・・何ですか?蒼太さん」

「あんまり思い詰めるのは、良くないよ・・・?」

「ええ・・・っ!!?」

 自らの言葉に本心を突かれたアウロラがドキリとすると、その瞬間を見逃さずに蒼太は話を続ける。

「何を考えているのかまでは、解らないけど・・・。君って思い詰めると瞳の輝きが消えて伏し目がちになるんだよ、だから解るんだ」

「・・・・・」

「あのさ。もしどうしても言いにくい事なら、別に無理をしなくても良いけれど。何かあったら言ってくれよ?なんだか夫婦で隠し事されるのってさ、疎外感が半端ないんだよね・・・」

「・・・・・」

「・・・まさか。ひょっとして癌になっちゃった、とか?」

「・・・・・っ。な、なんでそうなるんですかっっっ!!!!?」

「だって。凄い思い詰めた顔しているんだもの、それともまさか。僕と結婚した事を後悔している、とか・・・?」

「ち、違いますっ。違いますったら、もう・・・っ!!!」

 そんな夫との一連のやり取りで、漸く肩から緊張と気負いが抜けて行った青髪淑女は、それと同時に苦笑しながら改めて蒼太に向き直る。

「・・・あの、ねえあなた?」

「んん?なにさ、アウロラ・・・」

「あなたって、本当に優しい人ですのね。小さな時からずっとずっと大好きですわ?ううん、今でももっと、もっと・・・」

「・・・本当にそう思ってくれてる?」

「ええ?あの、どう言う事でしょうか・・・」

「いや、あのさ。ねえアウロラ。僕はね?人が優しいかどうかなんて、他人から見なければ解らないモノだと思っているんだよ。だって自分で自分の事を“優しい”とか思っちゃってる人って、ちょっとアレだろ?」

「そんなこと・・・。でもあなたは!!!」

「僕はね、何て言うかドライだよ?人を何人も斬り殺して来たし、魔物だって滅し続けて来た。それに“変だな”と感じた人とはすぐさま関係を断ってきたしね。勿論生きる為だったり身を守る為の処置だったからだけど、しかし我が事ながら怪しいと言えば怪しい感じもするし・・・」

「・・・・・」

「僕はね?アウロラ。なにも優しくしようと思って君達に接して来た訳じゃないんだよ。いや、今は確かに“大切にしたい”、“傷付けたくない”って思いはあるけれど。だけど少なくとも君達と出会ったばかりの頃は“人として当たり前のことを当たり前にやる”って言う、ただそれだけの事しか思い描いていなかった・・・」

「・・・だったら。あなたはやっぱり優しい人ですわ?だって自然状態下で、何の下心も無くて。それでいてこんなにも暖かく私を、いいえ。“私達”を包み込んで、導いて下さったんですもの!!!」

「・・・そうかな?」

「そうですよ、間違いありませんわ。それに私はちゃんと見極めて来たつもりです、あなたのこと。小さな頃からずっと傍で見て来たんですもの、もう一度言いますけれども間違いはありませんわっ!!?」

「・・・うん、そうか。そうだよな?」

「そうですよっ!!!もっと自信を持って下さいっっっ❤❤❤❤❤❤❤❤❤」

「・・・褒められると、図に乗るタイプなんだけど。そんな男は嫌いか?アウロラ」

「他の男の人なんて知りません、あなただから良いんですっっっ❤❤❤❤❤❤❤❤❤」

 双眸に光を湛えながらも力強く断言してくれる愛妻の、蒼青色の頭髪を指でソッと撫でつつも、蒼太はニコリと微笑んだ。
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