星降る国の恋と愛

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夫婦の絆と子供への思い

蒼太と花嫁達 6

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 蒼太とメリアリア達花嫁組は、深い領域までくなぎ合っており、強い絆で結ばれている為にその根源存在の一部分が常に、互いに重なり合っている状態にある。

 即ち魂同士がいつでも同調、共鳴し合っている状態にある、と言っても良かったがその為、彼等は各々が誇る力を妻と夫の間で共有する、と言う現象を誘発させていた。

 この事に気が付いた蒼太はそれを利用して妻達の持てる技能や底力を最大限に発揮させる事にしたのであるが、その為の授業は思いの外すんなりと完了させる事が出来たのだ。

 それはひとえに、それだけ蒼太の説明が解りやすかったのと彼の修業内容が共感し易いモノだった事に加えてメリアリア達花嫁組の理解力、表現力がズバ抜けていた、と言う事を如実に表していたのである。

 特にそれは“力の集約”を終えて蒼太が彼女達に“龍神の咆哮”を伝授する際に遺憾なく発揮されて、蒼太を改めて驚愕させるが彼がメリアリアに教えた“極炎砲”、アウロラに教えた“バーストキャノン・オメガ”、そしてオリヴィアに教えた“神魔断絶斬”はみな、根っこの部分は同じで自然界に充満している天然エネルギーであり、己の精神力に呼応して発現する“法力”と、自身の奥底より溢れ出ずる生命力たる“気”を掛け合わせる事で威力を一挙に極大化させ、尚且つ全く異質な力である“理力”を生成させる事をその発端とする。

 理力は別名を“純粋法力”とも呼ばれている力であり、それは根源の神たる“創造”の意思そのものが大いなるうねりとなってこの宇宙に具現化したモノに他ならない。

 その為、この力は“目的の現象”に対して作用する方向性をどこまでも保ったまま絶対的な効力を発揮する、と言う側面を持っており、間にどんな障害が存在しようが、はたまた呪いや術式が介在しようが関係なくそれを突破、貫通して目標の事象や波動に徹底的に影響を及ぼす、と言う特徴を持っているのだ。

「・・・だからこの“理力”によって生成された力は同じ理力で無ければ打ち消す事が出来ない。例えば攻撃魔法を反射させる“カウンター・マジック”や術式を無力化させる能力等もお構いなしに飲み込んで破砕し、目的を果たすまで絶対に止まる事が無いんだ」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「ついでに言っておくと“相手のエネルギー波を吸収して己の力に変える”等という呪い師もいるようだけど、それも無駄だ。さっきも言ったけれどもこれは“絶対なる無限”によって支えられている、しかも宇宙の法則を超越した所にある力だから、どんな能力も意思も変化や影響を及ぼす事が出来ない。いやそれどころか下手に手を出そうとしても逆に超越的なる波動の奔流に飲み込まれてその一部となり、運が良ければ途中で放り出されるか、そうで無ければこの宇宙から永遠に消滅して行くかのどちらかでしかないんだ・・・」

「・・・・・っ。じゃあ、“神威”と言うのは?」

「“神威”と言うのはより純粋化・高次元化された光の理力の事でこの宇宙に於けるありとあらゆる森羅万象を一瞬で変化変質させる力を持っている。だからさっきも言ったように吸収や反射が効かないんだ、万が一にも神威を発動されたなら、同じ力で打ち消すしかない・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「メリーにアウロラ、そしてオリヴィアも。今や君達は神威とまでは行かなくともそれに準じる波動力を持ち合わせるまでになった、これからは自分の行動に一層の責任を持つようにしてくれよ?」

「・・・・・っ。どうしてこんな能力ちからを私達に教えたの?」

「・・・一つは君達にとにかく強くなって欲しかったからだ。例え誰が相手として立ち塞がっても、どんな障害が巻き起こってもそれを突破して必ず生きて帰って来れるように願って。・・・その為にやったのと、もう一つ」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「僕の立場に、立って欲しかったからだ。僕と同じ能力を内在させて、同じ景色を見て欲しかった。同じ気持ちを味わって欲しかったんだよ・・・!!!」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・もしかして、嫌だったのか?」

「ん~ん、別に?そんな事も無いけれど・・・。ただそれならそれで、せめて教えてくれる前に言って欲しかったなぁ~、って思ったの・・・!!!」

「少なくとも技を教えてもらってからそんな事を言われても、もう受け入れるしかないじゃないですか。私達としては・・・」

「せめて一言で良いから了承を取って欲しかったな。私達の気持ちを、置き去りにしないで欲しかった・・・」

「ごめん、本当にごめんよ?メリー、アウロラ。オリヴィア!!!だけどもし、万が一にも君達に断られたらと思うと空恐ろしくて仕方が無かった・・・!!!」

 蒼太が俯き加減でそう応えるが、やや戸惑い気味のアウロラとオリヴィアに対してメリアリアだけは“仕方が無い人だな・・・”と思い、苦笑してしまった、昔からそうなのだが彼は何処か甘えん坊で寂しがり屋な所があったから、自分一人で強大に過ぎる力を持っているのが心底苦痛になってしまったのかも知れない。

 もっとも、そう言う洞察を働かせる事が出来るのは、現時点でメリアリアだけであり、ここに幼馴染として小さな頃から彼と共に歩んで来た彼女の強みがある、と言える。

「もうっ、しょうがないんだから・・・。だけど今後は何かあったら私達にちゃんと相談してね?」

 “大丈夫だから・・・”とメリアリアは夫に近付いて彼を抱擁しながら静かに述べた。

「・・・私は。ううん、私達はどんな事があってもあなたに付いて行くからね?だから大丈夫だから」

「・・・・・っ。ああ」

 “ああ・・・”とそう応えながらメリアリアを抱き締める蒼太の元へ、漸く我に帰って彼の本質を見極める事が出来たアウロラとオリヴィアもやって来る。

「・・・私達、死ぬも生きるも一緒です。だから今度からは安心して何でも打ち明けて下さい!!!」

「ちょっとビックリしちゃったけど・・・。でもあなたは悪戯に力を誇示する人間じゃないし、軽い気持ちでこう言う事をする人じゃ無いのは知っているから。・・・もし何かあったなら罪も罰も、私達が一緒に共有してあげる。一緒に死んであげる!!!」

 口々に自身の真心を伝えてくれる花嫁達を、全員纏めて抱擁しながら蒼太は暖かな気持ちに胸がいっぱいになって人知れず涙を流していた。

 そんな花婿を慰めながら。

(蒼太、可愛い蒼太。そしてとっても可哀想な蒼太・・・!!!でも大丈夫よ?私達が、ううん。“私”がずっと一緒にいてあげるからね・・・❤❤❤❤❤)

(蒼太さん、こんなにも哀しい人だったんですね?凄く苦しかったんですね・・・!!!でももう大丈夫です。私達が、いいえ“私”がずっと傍で支えてあげますからね・・・❤❤❤❤❤)

(蒼太は私達の、いいや“私”だけのモノなんだ。蒼太だけが私の生き甲斐で救いで、癒やしで・・・!!!そして私だけが蒼太を癒して受け止めて、救ってあげられる女なんだ・・・❤❤❤❤❤)

 “私はこの人に絶対に必要な女なんだ・・・!!!”と腹の中では三者三様に思惑と決意を孕みつつも、メリアリア達はいつまでもいつまでも、彼に寄り添い続けていた。
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