星降る国の恋と愛

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夫婦の絆と子供への思い

蒼太と花嫁達 5

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 花嫁達の自分に対するわだかまりを解いて恋心を取り戻させ、挙げ句に愛情を再確認させる事にも成功した蒼太であったが、そんな彼でもまだまだ気が付いてはいない事があった、確かにセックスの効果は絶大なモノがあったが、それが最大限の力を発揮出来たのは何より、それまでの彼の花嫁達に対する真摯で一途な真心があったればこそなのだ、と言う事を。

 それがメリアリア達に伝わって彼女達の心の扉を解き放ち、己に対する侮蔑と憤慨とで冷え固まってしまっていたその精神を、意識を融溶させたからこそ自身の気持ちを受け止めてもらえたのだ、と言う事を。

 その中心に“真なる愛”があるからこそ快楽も肉欲も光り輝くのだ、と言う事を、彼はまだ理解し切れてはいなかったのだ。

 蒼太がそれに気が付いたのは妻達の心を改めて掴み取り、自身に惚れ直させた後の事であり、その時にはもう既に花嫁達は彼の第3子、並びに第4子となる子供達をそれぞれ妊娠していた、第1子、第2子と同じく双子で生まれて来た彼等の世話は思った以上に大変だったが既にこれ以上無い程にまで強固な絆で結ばれていた蒼太と愛妻達は時には周囲の助けも借りながら、共に手を携えて子育てを完遂していったのである。

「ねえ蒼太・・・」

「なにさ?メリー・・・」

「セイレーンの時だけじゃなくてさ・・・。育児に関しても私達、もう戦友だよね?」

「・・・嬉しいなメリー、君からそんな風に言ってもらえるなんて!!!」

 それは第5子と第6子、そして末子となる第7子の時も同様であったがそんな日々を送っている内に愛妻淑女メリアリアからの最大級の信頼と賞賛とを欲しいままにした蒼太は“漸く一区切りが着いた”と思った、これで“子育て”と言う最難関を突破して尚、妻達からの愛情を保ち続けていられた訳であり、しかも彼は育児に付いてもそれなりのスキルをゲット出来たのである、そう言った自分の内面的な事も合わせて最初の子供達の時に比べると蒼太を取り巻く状況や環境は天と地程の差があった、と言えたのだ。

 だけど。

 蒼太は間違っても“全てを知る者”では無かったから無理も無いが、花嫁達の愛情を繋ぎ止めていたのは実は彼の普段の彼女達や子供達への偽り無き真心と献身的な振る舞いにあった、それらがメリアリア達の心にしっかりと伝わっていたからこそ、そしてその精神の本質を絶えず感謝と感心とで打ち震わせていたからこそ、人生の中でも一番大変な節目である“子育て”に於いて“この人は所詮は他人なんだ”、“自分とは違う人間なんだ”と言う最低評価を妻達から下されなくて済んだのであった。

 勿論、蒼太だって生まれて来てくれた我が子は可愛かったし、それに世話をしてゆく中で愛着も湧いて来たからそれは一入ひとしおであったのであるが、やはり彼の生き甲斐と言うのは間違っても子供達ではなく、妻達であったのである。

「ごめんなさい、私。うっかり寝ちゃって・・・!!!」

「あはは・・・っ。メリー疲れているんだろ?僕があやしておくから休んでなよ・・・」

 ある日。

 夜泣きをしていた我が子達をあやしながら蒼太が慌てて起きてきたメリアリアに笑顔で応えるモノの本音を言えば彼女も終日ずっと子供達の世話に終われていた為に心の休まる暇が無く、流石に疲れ果てていたのだ。

 そんな時には蒼太の存在は、とても心強かったし何より助けになった、元来が暖かくて優しい心根の持ち主であった彼の本質を感じたのだろう、まだ幼すぎる子供達も安心したのか最初は大泣きしていたモノが徐々にグズるだけになって行き、終いには泣き止んでスヤスヤと寝息までをも立て始めていったのである。

「僕が見ておくから、メリーは少し休んでよ。さっきおしめも取り替えておいたからさ?こっちは大丈夫だから・・・。昼間も全然、休めて無いんだろ?」

「はぁ~、有り難う。正直疲れちゃって手が回らないよぉ~・・・!!!でも良いの?あなただって昼間は任務があって・・・」

「あはは・・・。僕はね?メリー、夜しかこの子達のお世話が出来ないんだよ。今ぐらい僕に世話をさせてくれよ・・・」

 夫に笑顔でそう言われると疲れている事もあってメリアリアは“うん、解った・・・”と応えるのが精一杯だった、この頃の蒼太の育児には間違いなく我が子に対する愛情が込められており、まだまだ至らないながらもそれでも、立派に父親としての責務を果たし続けていたのであった。

「ごめんなさい。それじゃあ私、寝るね・・・?」

「ああ、お休み。メリー・・・」

「・・・・・」

 夫の心配りに感謝しつつもベッドに潜り込むメリアリアだったがこの時、彼女は改めて自分がどれだけ蒼太に助けられて来たのかを知った、それは単に子育てに限った話では無い、今までの人生に於いて彼は常に何くれとなく彼女達を気遣っては支えてくれて、尚且つ“共にあろう”とし続けてくれていたのである。

 それなのに。

(蒼太、ごめんなさい・・・)

 子守等の育児が中々、思うように出来ないでいる彼を見ている内につい鬱憤が溜まってしまい、心無い言葉を投げ付けてしまった。

 夫に悪いと思ったメリアリアはその後、事ある毎に蒼太に謝ったが彼はその度に“気にしていないから”、“大丈夫だから・・・”と明るく笑って受け止めてくれていたのだ。

(蒼太って、こんなに強かったんだ・・・!!!)

 そんな花婿の優しさを存分に思い知らされる格好となったメリアリアであったがこれは何も彼女に限った話し等では決して無くて、アウロラもオリヴィアも五十歩百歩な状況にあったのであり、花嫁達はだから皆、揃いも揃って彼の本質的な強靱さと暖かさとに改めて感動すると同時に見惚れ、その猛烈さや確かさと言った“人となり”を大いに見直してその結果、自然と再び芯の部分から蒼太に対する純慕の熱情に染まり尽くしていったのである。

「蒼太、最近凄いよね?あやすコツを掴んだって言うのかな。子守が滅茶苦茶上手くなってる・・・っ!!!」

「正直に言って今までも一生懸命に取り組んでくれていた、とは思いますけど・・・。何て言うか、とても手慣れましたよね?」

「どうにもぎこちなさが目立っていたのが、一気に解消されたみたい。一体どうやってこんな短期間でスキルを上げたの・・・?」

 そんな彼女達から愛情と共に信心をも取り戻す事が出来た蒼太は毎日が充実しており、人としても男としてもますます光り輝いていった。

「ねえ蒼太・・・」

「なにさ?メリー・・・」

「・・・ううん、何でも。その、あのね?」

「うん・・・?」

「最近さ。凄く頼もしいって言うのかな?格好良いよ、とっても・・・っ❤❤❤❤❤」

「蒼太さん、あの・・・っ!!!ステキです。物凄くっ❤❤❤❤❤」

「あなたに見つめられるとね?その・・・。ドキドキとしてどうしようもなくなって来るの・・・っ❤❤❤❤❤」

 夫に対する異性的意識と恋慕を再び燃え上がらせていたメリアリア達はそれまでの態度が嘘のように彼の前ではしおらしくなり、1人の女の子として振る舞い始めた、蒼太の願いがまた1つ、叶った瞬間だった。

「・・・・・」

(“誠意を尽くす”ってとても大切な事なんだな。それ自体は決して目立たないし地味なんだけど、やっぱり人の生きる本質ってゆーか。それに・・・)

 “チンポってスゲーな!!!”と、忙しくも満ち足りた毎日を送る内に、蒼太はふとそんな事を思うが考えてみればそれまでの状況を一変させたのが彼の誠意とイチモツだったのであり、改めて自分自身に感謝を向けて行くモノの、もしもあの時。

 子育ての最中に彼が全てを投げ出してしまっていたのならば、間違ってもメリアリア達は“同志”として認めてくれなかったであろうし、彼女達から再びの関心を買う事も出来なかったに違い無かった。

 それに例え誠意があったとしても、彼の意思に十全に応えてくれる肉体が無ければこの世に於いては妻達に自分の愛を、思いの丈を示す事が出来なかったに違い無く、それでは結局は“何もしていない”事と同じになってしまうのである。

(そう考えると・・・。かつての“大和男児”の生き方って言うのは、実は結構な真理に基づいたモノだったんだな。改めて気付かされたよ・・・!!!)

 蒼太が更に考えるモノの確かに、日本人男性と言うのは面白味や刺激は薄いかも知れないし、無口で無愛想で何を考えているのか解らない箇所も多々ある人種なのだろう。

 しかしながら本来の意味での“大和男児”と言うモノは多分、“誠意”や“真心”、そして“根性”と言うモノを弁えると同時にしっかりと持っていた存在だったのだろう、多分。

(確かに刺激的では無いのかも知れないけれども・・・。それでも人が人として生きる上で大切なモノを、キチンと内包している人達だったんだ、理解していた人達だったんだ。・・・今の俺ならばそれが解る、そう感じる!!!)

 そんな思慮を頭の片隅で巡らせながらも、蒼太はその日も子供達の世話をヤキながら、愛妻達を愛でていった。
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