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夫婦の絆と子供への思い
蒼太と花嫁達 4
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蒼太とメリアリア、そしてアウロラにオリヴィアはいつもいつも仲が良かった訳では無くて、流石にたまには喧嘩をしたり、また如何に愛して止まない男に対して、とは言えども彼女達は蒼太が間違っている、と思えば遠慮なく、そして容赦なく意見する度量と気概を持ち合わせていた。
殊に幼馴染でもあり付き合いの最も深くて長いメリアリアはその分、彼に対して気兼ねなく話せる為に中々に厳しい意見を突き付けて来る事も多くて時々蒼太を戸惑わせたり、ヤキモキさせたりしたのだ。
特にそれは、子育て中に於いて顕著だった。
「ごめん、今手が離せないの!!!」
「大丈夫、僕がやるから・・・」
まだ子供達が生まれて間もない頃の事、そう言って蒼太が我が子にミルクを与えて寝かし付けようとした事があった。
本人は自分の事をどう思っていたのかは定かでは無いが第三者的に見た場合、彼は確かに優しくて暖かで、逞しい男性だったと言えた。
それも“本質的にそうだった”と言えたのだがそれでもやはり、子供にとって一番大切で必要なのは母親からの愛情なのだろう、彼では上手く行かない場面がどうしても出て来てしまう。
「何してるのよ、もうっっっ!!!!!」
「ご、ごめん・・・」
グズり続けて中々に泣き止まない我が子の声にメリアリアの心は小波立ち、イラついてつい夫にキツく当たってしまう事が度々あったがこの時期、メリアリアの関心は間違いなく蒼太から子供達に移ってしまっていた。
“子供が可愛い”、“子供が優先”、“我が身を犠牲にしてでも子供達を守る”。
“子供達こそが自分の生き甲斐”であり、それがメリアリアの全てだった、と言って良かったがもっともこれに関しては同時期のアウロラもオリヴィアも大なり小なり似たような状態であってその為、一緒に過ごしている夫の事が疎ましく思えて来て余計に煩わしく感じるようになってしまっていたのである。
そしてそんな状況だったから、蒼太は募る寂しさと焦る気持ちを“想念観察”によって受け流しつつも酒で自身を慰めては、毎日のように気持ちを新たに入れ換えて彼女達や子供達と真正面から向き合い続け、付き合い続けていったのだ。
「ねえメリー・・・」
「なによ?蒼太・・・」
「今夜、抱かせて?」
そんな彼女達の心の“ささくれ立ち”が最も強く出たのが一番最初の子供達を出産した直後であったが、一方の蒼太はと言えば変わってしまった妻達を目の前にして、何を言われてもやられても決して彼女達を責めなかった、それどころかどんなに疲れて帰って来ても、愚痴一つ言わずに子育てに参加して出来る限りでメリアリア達花嫁の手助けをしていったのである。
そして。
暇さえあれば彼女達に“いつも有り難う”、“苦労を掛けてゴメンね?”と言って労い、子供達が夜泣きをすれば妻達よりも早く駆け付け、懸命にあやしていった。
そうやって何とかして“妻達とコミュニケーションを取ろう”、“育児に於いてはせめて妻達と戦友であろう”としたのであったが、正直に言って蒼太はこうなる事を始めから覚悟していた、職場の先輩や上司達から嫌という程その手の話は聞かされていたし、それになにより妻達に対して散々甘い言葉を吐いていながら彼は知っていたのである、この世に於いて“絶対は絶対に無い”と言う事を、そして“永遠に続く永遠”等というモノもおよそ存在しないのだ、と言う事を。
“今この一瞬一瞬こそが、宇宙に於いては永遠となる”。
“その時々に確かにあった出来事として、宇宙に永遠に認識されて行くのだ“。
それが全てだと知っていて、だからこそ“今”、“この瞬間に”全てを懸けて“自分に出来る事をしよう”、“今を精一杯に生きよう”とした、“せめて妻達を支えよう”、“夫として彼女達に真心を尽くそう”としたのである。
・・・例え彼女達の心が、気持ちが自分から離れて行ってしまったとしても。
(こんな時こそ自分の妻達への愛情と真心が試される時なんだ・・・!!!)
そう考えて蒼太はとにかく彼女達に思いやりと気遣いとを忘れまいとしたのだが、結論から言ってそんな彼の真摯な胸の内はしっかりと妻達に伝わっていた、彼女達は誰しもが皆、“自分は大事にされているんだ”、“愛されているんだ”と言う事を感じてそれにはちゃんと喜びを覚えると同時に感謝もしていたのである。
そうだ、確かに彼女達は心の底ではまだ蒼太の事を愛し続けていたのであり、慕い続けていたのであるが、しかし。
(蒼太に、悪いことをしちゃった・・・!!!)
(蒼太さん、怒っているでしょうか・・・!!!)
(愛想を尽かされていなければ、良いのだけれど・・・!!!)
子供達を最優先にして度々怒りを露わにする自分達に対する蒼太の心は、それでも“徐々に離れて行ってしまっているのでは無いか”、“子供を産んだ事でもう、女としては見てもらえていないのかも知れない”と感じていたメリアリアもアウロラもオリヴィアも、だからその寂しさや焦りがストレスとなって余計な苛つきをもたらし一層、子供達に関心や愛情を注ぐ一方、反対に夫に対しては更なる怒りをぶつける要因にもなっていたのだ。
だけど。
(冗談じゃないよ、このままじゃ終わらせないぞ!!!)
彼女達は“綾壁蒼太”と言う男を見損なっていた、彼は自身を悲劇のヒーローで終わらせるような、そんな生易しい人間等では断じて無かったのだ。
蒼太はもう一つの真理を知っていた、即ち。
“自分を救えるのは自分だけだ”と言う真理を、である。
それに。
(愛とはそれに向かって努力している間は確かに、真に絶対的なモノとなるがそれに甘えて寄り掛かった瞬間に、ただの幻想と成り果てる・・・!!!)
その事も理解していた蒼太はだから、単にメリアリア達に感謝して気遣ったり心配りをするだけでは無くて、折りを見て初心に帰って彼女達に、1からモーションを掛け直す事にした、1人の男として、“自分の女”としてのメリアリア達を取り戻そうとしたのである。
(今ならばまだ、メリー達には僕への愛情も残っている筈だ。それにもう1度火を点けられれば必ずなんとかなる・・・っ!!!)
“その為にはセックスしかない”と蒼太は思った、セックスを通して夫婦で愛し合う事の大切さや気持ち良さを思い出させ、そして何より自身の彼女達に対する思いの丈を、実際に体を通して直に体感してもらおうとしたのだ。
幸いにして、と言うべきか彼のこれまでの誠意ある態度・行動はメリアリア達の心を一定以上は掴んでおり、また彼女達の胸襟を開かせる事には成功していたから、後は様子を見つつもムードを作ってその流れで愛の営みまで持って行けばいいだけである、“自分はまだ、嫌われた訳ではない”、“今ならば勝算は充分にある”と蒼太は踏んでいた。
「いいだろう?ずっと我慢してたんだ、今日はなんとか。お願い・・・!!!」
「ええ・・・っ!!?う、う~ん。良いけど、じゃあ赤ちゃん達を寝かし付けてからね?」
突然な夫からの誘いの言葉にメリアリアは久し振りに彼に男を感じてドキドキしていた、正直に言って子供が生まれてからは蒼太の事を“夫”としてよりも“父親”として見てしまっていたから、彼の自分に対するアプローチを意外に感じると同時に少しだけ、胸が高鳴る。
(蒼太は私を、女として見てくれていたんだ・・・!!!)
その事が何より嬉しかった、自分が大事にされていた事は知っていた、蒼太はメリアリアから何を言われても彼は絶対に怒らなかったし、彼女に当たり返す事もしなかった。
それどころかいつも優しく微笑んでくれて、静かに声を掛けてくれていたのだ。
だから。
蔑ろにし続けた事を本当は蒼太に謝りたかった、それも軽くでは無い、しっかりと真正面から真摯に贖罪の言葉を述べたかったが、どうしても彼女はいざその時になると“さっきはゴメンね?”、“ちょっとイライラしてたの・・・”の一言以上が出せなかった、“女のプライド”が邪魔をして中々に素直になれなかったのだ。
そんな彼女を見て1回だけ、蒼太が悲しそうに微笑んだのを見た、“ああ、傷付けてしまっているんだな・・・”と感じて心が痛くなったがそんな日々を送っていた彼女はだから、蒼太が自分を誘ってくれるとは思わなかった、“まだ自分は女として見てもらえているんだ”、“ちゃんと愛してもらえてたんだ・・・!!!”と感じて気持ちが昂ぶり、それに加えて蒼太はまだまだ若くて逞しい男性でもあったから、それもまたメリアリアの心を燃え滾らせる一因となった。
「もう・・・っ。そんなにしたかったなら、その・・・。素直に言えば良いじゃないの・・・!!!」
「ゴメンね?メリー。だけど君達も疲れているっぽかったから、なんとか折りを見て話そうと思ってさ・・・!!!」
そんな言葉を交わし合った、その夜。
シャワーを浴びて彼の元に赴いたメリアリアを蒼太は片時も離さなかった、“時の涙滴”を発動させた彼はその効力の続く限り彼女の事を抱いて抱いて抱き続け、メリアリアが気絶してしまった後もあらゆる体位で犯し続けたのである。
「ごめんなさい、蒼太・・・」
「えっ?何が・・・」
「私、あなたの事を下に見てしまっていたの・・・」
漸く蒼太が満足してバスマットレスの上で横になり暫く休んでいると、その傍で寄り添うように寝かされていたメリアリアがいつの間にか目を覚ましており、なんとか気力と体力とを回復させたのだろう彼女が彼に語り掛けてきた。
「子供達が生まれて、あの子達を上手くあやす事が出来ずにいたあなたの事を、いつの間にか見下してしまっていたんだわ。本当にごめんなさい、酷いことを、いっぱい言っちゃった・・・!!!」
「あはは・・・っ。メリー、気にして無いよ・・・!!!」
しおらしい態度で自分の素直な気持ちを吐露して来る愛妻淑女に対して蒼太はわざと明るく言い放った。
「知っていたんだ、僕は。前に言っただろ?職場の先輩から色々と聞かされたって・・・」
「・・・うん、ねえでも。本当に怒ってないの?」
「怒ってたら君の事をこんなに抱いたりしないよ?メリー。それに君だって僕の事がまだ好きでいてくれたからこそ、ここまで抱かせてくれたんだろ?」
「それは・・・。うん、そうだけど・・・!!!」
「メリー、おいでよ・・・」
「あ・・・」
そう告げると蒼太はメリアリアの肩を優しく抱きつつ、その肢体を自らの肉体へと寄り添わせる。
「可愛い、メリー。すっごく可愛くて、とってもキレイだ・・・っ!!!」
「・・・蒼太」
「メリー、これからも嫌じゃなかったら。僕に抱かせてくれないか?」
「・・・・・っ!!!嫌、なんかじゃっ。でもあなたは」
「僕はね?メリー、君の事が一番大好きなんだよ。子供達よりも誰よりも、君が一番大好きなんだ・・・」
「・・・・・っ!!!」
その言葉を聞いた途端に、メリアリアは蒼太に抱き着き“え~ん”、“え~ん”と大泣きしてしまっていた、それは申し訳なさと感謝と彼の暖かさとに心が打ち震えた故のモノだったのだ。
「ヒッグ、グス・・・ッ。う、うう・・・っ!!!」
「・・・落ち着いた?」
「グス、ウェ・・・ッ。う、うん・・・」
花嫁が落ち着くまで蒼太はずっと彼女を抱いたままあやし続け、慰め続けていた、そんな彼の優しさに感極まってメリアリアはまた泣いた、泣いて泣いて、泣き濡れたのだが、それが漸く済んでからー。
メリアリアは蒼太に告げた。
「私は今、やっと自分が誰を本当に愛するべきかが解ったわ・・・。蒼太、あの。その・・・っ!!!これからも、よろしくお願いします・・・っ❤❤❤❤❤」
「・・・ああ。よろしくな、メリーッ!!!」
愛妻淑女の言葉にそう応えると。
蒼太は内心で会心のガッツポーズを取るモノのその日、メリアリアは花婿への“確かなる気持ち”と共に夫婦で愛し合う事の素晴らしさとその快楽とを思い出したのである。
そしてそれ以降、メリアリアの夫に対する態度は豹変して行った、彼女は蒼太の雄々しさや逞しさ、何よりその凄まじさを体感する事により彼の事を見直すと同時に大いに惚れ直していったのだ。
(セックスって偉大だなぁ・・・!!!)
愛妻淑女の自分への蟠りや募りに募った思いの丈を見事に氷解させる事に成功した蒼太は胸の内でつとにそう感じていたのだがやはり、必ずしも“セックス=愛”では無いにしてもしかし、最高の愛情表現の一つである事には違いない、と言う事を今回の体験を通して重々思い知らされた格好である。
当然、彼はこの後アウロラともオリヴィアとも褥を共にして愛情を確認し合い、彼女達の自身に対する熱い思いもキチンと取り戻させて関係を修復させて行った、“情けは人のためならず”と言い、かつまた“誠意を尽くせば必ず思いは伝わり願いは叶う”と言う事を再確認させられた、麗らかな日和の午後だった。
殊に幼馴染でもあり付き合いの最も深くて長いメリアリアはその分、彼に対して気兼ねなく話せる為に中々に厳しい意見を突き付けて来る事も多くて時々蒼太を戸惑わせたり、ヤキモキさせたりしたのだ。
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“子供が可愛い”、“子供が優先”、“我が身を犠牲にしてでも子供達を守る”。
“子供達こそが自分の生き甲斐”であり、それがメリアリアの全てだった、と言って良かったがもっともこれに関しては同時期のアウロラもオリヴィアも大なり小なり似たような状態であってその為、一緒に過ごしている夫の事が疎ましく思えて来て余計に煩わしく感じるようになってしまっていたのである。
そしてそんな状況だったから、蒼太は募る寂しさと焦る気持ちを“想念観察”によって受け流しつつも酒で自身を慰めては、毎日のように気持ちを新たに入れ換えて彼女達や子供達と真正面から向き合い続け、付き合い続けていったのだ。
「ねえメリー・・・」
「なによ?蒼太・・・」
「今夜、抱かせて?」
そんな彼女達の心の“ささくれ立ち”が最も強く出たのが一番最初の子供達を出産した直後であったが、一方の蒼太はと言えば変わってしまった妻達を目の前にして、何を言われてもやられても決して彼女達を責めなかった、それどころかどんなに疲れて帰って来ても、愚痴一つ言わずに子育てに参加して出来る限りでメリアリア達花嫁の手助けをしていったのである。
そして。
暇さえあれば彼女達に“いつも有り難う”、“苦労を掛けてゴメンね?”と言って労い、子供達が夜泣きをすれば妻達よりも早く駆け付け、懸命にあやしていった。
そうやって何とかして“妻達とコミュニケーションを取ろう”、“育児に於いてはせめて妻達と戦友であろう”としたのであったが、正直に言って蒼太はこうなる事を始めから覚悟していた、職場の先輩や上司達から嫌という程その手の話は聞かされていたし、それになにより妻達に対して散々甘い言葉を吐いていながら彼は知っていたのである、この世に於いて“絶対は絶対に無い”と言う事を、そして“永遠に続く永遠”等というモノもおよそ存在しないのだ、と言う事を。
“今この一瞬一瞬こそが、宇宙に於いては永遠となる”。
“その時々に確かにあった出来事として、宇宙に永遠に認識されて行くのだ“。
それが全てだと知っていて、だからこそ“今”、“この瞬間に”全てを懸けて“自分に出来る事をしよう”、“今を精一杯に生きよう”とした、“せめて妻達を支えよう”、“夫として彼女達に真心を尽くそう”としたのである。
・・・例え彼女達の心が、気持ちが自分から離れて行ってしまったとしても。
(こんな時こそ自分の妻達への愛情と真心が試される時なんだ・・・!!!)
そう考えて蒼太はとにかく彼女達に思いやりと気遣いとを忘れまいとしたのだが、結論から言ってそんな彼の真摯な胸の内はしっかりと妻達に伝わっていた、彼女達は誰しもが皆、“自分は大事にされているんだ”、“愛されているんだ”と言う事を感じてそれにはちゃんと喜びを覚えると同時に感謝もしていたのである。
そうだ、確かに彼女達は心の底ではまだ蒼太の事を愛し続けていたのであり、慕い続けていたのであるが、しかし。
(蒼太に、悪いことをしちゃった・・・!!!)
(蒼太さん、怒っているでしょうか・・・!!!)
(愛想を尽かされていなければ、良いのだけれど・・・!!!)
子供達を最優先にして度々怒りを露わにする自分達に対する蒼太の心は、それでも“徐々に離れて行ってしまっているのでは無いか”、“子供を産んだ事でもう、女としては見てもらえていないのかも知れない”と感じていたメリアリアもアウロラもオリヴィアも、だからその寂しさや焦りがストレスとなって余計な苛つきをもたらし一層、子供達に関心や愛情を注ぐ一方、反対に夫に対しては更なる怒りをぶつける要因にもなっていたのだ。
だけど。
(冗談じゃないよ、このままじゃ終わらせないぞ!!!)
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蒼太はもう一つの真理を知っていた、即ち。
“自分を救えるのは自分だけだ”と言う真理を、である。
それに。
(愛とはそれに向かって努力している間は確かに、真に絶対的なモノとなるがそれに甘えて寄り掛かった瞬間に、ただの幻想と成り果てる・・・!!!)
その事も理解していた蒼太はだから、単にメリアリア達に感謝して気遣ったり心配りをするだけでは無くて、折りを見て初心に帰って彼女達に、1からモーションを掛け直す事にした、1人の男として、“自分の女”としてのメリアリア達を取り戻そうとしたのである。
(今ならばまだ、メリー達には僕への愛情も残っている筈だ。それにもう1度火を点けられれば必ずなんとかなる・・・っ!!!)
“その為にはセックスしかない”と蒼太は思った、セックスを通して夫婦で愛し合う事の大切さや気持ち良さを思い出させ、そして何より自身の彼女達に対する思いの丈を、実際に体を通して直に体感してもらおうとしたのだ。
幸いにして、と言うべきか彼のこれまでの誠意ある態度・行動はメリアリア達の心を一定以上は掴んでおり、また彼女達の胸襟を開かせる事には成功していたから、後は様子を見つつもムードを作ってその流れで愛の営みまで持って行けばいいだけである、“自分はまだ、嫌われた訳ではない”、“今ならば勝算は充分にある”と蒼太は踏んでいた。
「いいだろう?ずっと我慢してたんだ、今日はなんとか。お願い・・・!!!」
「ええ・・・っ!!?う、う~ん。良いけど、じゃあ赤ちゃん達を寝かし付けてからね?」
突然な夫からの誘いの言葉にメリアリアは久し振りに彼に男を感じてドキドキしていた、正直に言って子供が生まれてからは蒼太の事を“夫”としてよりも“父親”として見てしまっていたから、彼の自分に対するアプローチを意外に感じると同時に少しだけ、胸が高鳴る。
(蒼太は私を、女として見てくれていたんだ・・・!!!)
その事が何より嬉しかった、自分が大事にされていた事は知っていた、蒼太はメリアリアから何を言われても彼は絶対に怒らなかったし、彼女に当たり返す事もしなかった。
それどころかいつも優しく微笑んでくれて、静かに声を掛けてくれていたのだ。
だから。
蔑ろにし続けた事を本当は蒼太に謝りたかった、それも軽くでは無い、しっかりと真正面から真摯に贖罪の言葉を述べたかったが、どうしても彼女はいざその時になると“さっきはゴメンね?”、“ちょっとイライラしてたの・・・”の一言以上が出せなかった、“女のプライド”が邪魔をして中々に素直になれなかったのだ。
そんな彼女を見て1回だけ、蒼太が悲しそうに微笑んだのを見た、“ああ、傷付けてしまっているんだな・・・”と感じて心が痛くなったがそんな日々を送っていた彼女はだから、蒼太が自分を誘ってくれるとは思わなかった、“まだ自分は女として見てもらえているんだ”、“ちゃんと愛してもらえてたんだ・・・!!!”と感じて気持ちが昂ぶり、それに加えて蒼太はまだまだ若くて逞しい男性でもあったから、それもまたメリアリアの心を燃え滾らせる一因となった。
「もう・・・っ。そんなにしたかったなら、その・・・。素直に言えば良いじゃないの・・・!!!」
「ゴメンね?メリー。だけど君達も疲れているっぽかったから、なんとか折りを見て話そうと思ってさ・・・!!!」
そんな言葉を交わし合った、その夜。
シャワーを浴びて彼の元に赴いたメリアリアを蒼太は片時も離さなかった、“時の涙滴”を発動させた彼はその効力の続く限り彼女の事を抱いて抱いて抱き続け、メリアリアが気絶してしまった後もあらゆる体位で犯し続けたのである。
「ごめんなさい、蒼太・・・」
「えっ?何が・・・」
「私、あなたの事を下に見てしまっていたの・・・」
漸く蒼太が満足してバスマットレスの上で横になり暫く休んでいると、その傍で寄り添うように寝かされていたメリアリアがいつの間にか目を覚ましており、なんとか気力と体力とを回復させたのだろう彼女が彼に語り掛けてきた。
「子供達が生まれて、あの子達を上手くあやす事が出来ずにいたあなたの事を、いつの間にか見下してしまっていたんだわ。本当にごめんなさい、酷いことを、いっぱい言っちゃった・・・!!!」
「あはは・・・っ。メリー、気にして無いよ・・・!!!」
しおらしい態度で自分の素直な気持ちを吐露して来る愛妻淑女に対して蒼太はわざと明るく言い放った。
「知っていたんだ、僕は。前に言っただろ?職場の先輩から色々と聞かされたって・・・」
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「怒ってたら君の事をこんなに抱いたりしないよ?メリー。それに君だって僕の事がまだ好きでいてくれたからこそ、ここまで抱かせてくれたんだろ?」
「それは・・・。うん、そうだけど・・・!!!」
「メリー、おいでよ・・・」
「あ・・・」
そう告げると蒼太はメリアリアの肩を優しく抱きつつ、その肢体を自らの肉体へと寄り添わせる。
「可愛い、メリー。すっごく可愛くて、とってもキレイだ・・・っ!!!」
「・・・蒼太」
「メリー、これからも嫌じゃなかったら。僕に抱かせてくれないか?」
「・・・・・っ!!!嫌、なんかじゃっ。でもあなたは」
「僕はね?メリー、君の事が一番大好きなんだよ。子供達よりも誰よりも、君が一番大好きなんだ・・・」
「・・・・・っ!!!」
その言葉を聞いた途端に、メリアリアは蒼太に抱き着き“え~ん”、“え~ん”と大泣きしてしまっていた、それは申し訳なさと感謝と彼の暖かさとに心が打ち震えた故のモノだったのだ。
「ヒッグ、グス・・・ッ。う、うう・・・っ!!!」
「・・・落ち着いた?」
「グス、ウェ・・・ッ。う、うん・・・」
花嫁が落ち着くまで蒼太はずっと彼女を抱いたままあやし続け、慰め続けていた、そんな彼の優しさに感極まってメリアリアはまた泣いた、泣いて泣いて、泣き濡れたのだが、それが漸く済んでからー。
メリアリアは蒼太に告げた。
「私は今、やっと自分が誰を本当に愛するべきかが解ったわ・・・。蒼太、あの。その・・・っ!!!これからも、よろしくお願いします・・・っ❤❤❤❤❤」
「・・・ああ。よろしくな、メリーッ!!!」
愛妻淑女の言葉にそう応えると。
蒼太は内心で会心のガッツポーズを取るモノのその日、メリアリアは花婿への“確かなる気持ち”と共に夫婦で愛し合う事の素晴らしさとその快楽とを思い出したのである。
そしてそれ以降、メリアリアの夫に対する態度は豹変して行った、彼女は蒼太の雄々しさや逞しさ、何よりその凄まじさを体感する事により彼の事を見直すと同時に大いに惚れ直していったのだ。
(セックスって偉大だなぁ・・・!!!)
愛妻淑女の自分への蟠りや募りに募った思いの丈を見事に氷解させる事に成功した蒼太は胸の内でつとにそう感じていたのだがやはり、必ずしも“セックス=愛”では無いにしてもしかし、最高の愛情表現の一つである事には違いない、と言う事を今回の体験を通して重々思い知らされた格好である。
当然、彼はこの後アウロラともオリヴィアとも褥を共にして愛情を確認し合い、彼女達の自身に対する熱い思いもキチンと取り戻させて関係を修復させて行った、“情けは人のためならず”と言い、かつまた“誠意を尽くせば必ず思いは伝わり願いは叶う”と言う事を再確認させられた、麗らかな日和の午後だった。
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