星降る国の恋と愛

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夫婦の絆と子供への思い

蒼太と花嫁達 1

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 蒼太とメリアリア、アウロラ、オリヴィアを“戦士”として比べた場合、実はメリアリア達の方が蒼太よりも強かった。

 これは彼女達の方が“戦術スキル”や“身のこなし”、そして“法力操作能力”等で勝っているからに他ならなかったのだが一方で、己の持てる生命力や気力、呪術力や精神力等を全て高エネルギー化して撃ち合った場合は、蒼太の方が彼女達それぞれよりも3倍強~4倍弱位は優勢であり、要するに彼はとんでもないタフさとスタミナ、耐久力を手に入れていた、と言えたのである。

 そしてそれはセックスのような、“命と命のぶつかり合い”の場面に於いて特に遺憾なく発揮されて来たのであり、現にメリアリアもアウロラもオリヴィアも、彼に抱かれる際にはそのあまりの絶倫さに耐え切れずにヘロヘロとなって気を失ってしまうケースが後を絶たなかったのだが、そんな蒼太が修得した一番の切り札とも言うべき大技こそが無限大質量放出、通称“オメガニックバースト”と呼ばれている砲撃術儀であり、これは古くは“龍神の咆哮”とも呼ばれ、恐れられていた代物でもあったのだ。

 そしてこれを更に強化・発展させたモノが神威である“神風迅雷”であり、その究極形が“龍神天翔”であったのだが今現在、この2つの神威はそのあまりの威力の確かさ、凄絶さから神々によって“使用禁止令”が出されてしまっていた為に、蒼太も封印せざるを得ない事態に陥ってしまっていた。

 ただし。

 蒼太はそれでも別に構わなかった、何故ならばこの“龍神の咆哮”は元々が、蒼太が“古来からの決め手”を身に付けようとして会得した訳では無くて、自らを鍛え抜く訓練の最中で偶然にも辿り着けた秘儀だったからである。

 彼が目指していたのはメリアリアやアウロラ、オリヴィアと言った花嫁達の内でも特に、“メリアリアを受け止められる強さを纏う”、“彼女と共にある事が出来る確かさを手に入れる”と言う事であり、その為に厳しい修業に精を出していったのだ。

 蒼太は思った、“メリアリアを圧倒したい”と。

 ただしそれは間違っても“彼女をぶちのめしたい”と言う類いのモノでは決して無くて、要するに“メリアリアを征服したい”、“自分だけのモノにしたい”と言う思いから出た行動であったのだが当時から既に恋人として結ばれ、セックスをこなす間柄であった二人はしかし、その“戦闘技術”に於いては蒼太がメリアリアから水を空けられている状況であった。

 特にその“法力発現能力”と“高機動体術”から繰り出されてくる攻撃技は極めて強力なモノであり、誰も歯が立つ者がいない程であったのだが裏を返せばだからこそ、メリアリアは僅かよわい12歳にしてガリア帝国の誇る裏方任務専用組織、魔法剣技特殊銃士隊の“セイレーン”に入隊した挙げ句、その最高戦力たる“女王位”の一角を占める事が出来たのであり、かてて加えて“炎の聖女”、“光輝玉の棘姫”の異名までをも欲しいままにしていたのであった。

 そんな恋人の事を誇りに思うと同時に男としてある種の劣等感をも感じていた少年期の彼はだから、それ故にずっと考え、かつ切望していた、“メリアリアの攻撃に耐え切れるだけの逞しい肉体が欲しい”、“彼女の鋭さを真正面から受け止められるだけの強靱な精神力が欲しい”と。

 そしてそれらを示して後に、メリアリアに自分の凄まじさを思い知らせて認めさせ、その上で改めて彼女に思って欲しかったのである、“この人はなんて逞しい人なんだろう”、“なんて強くて立派な人なんだろう”と。

 “自分はこの人の前では一人の女に過ぎないんだ”、“私はこの人のモノなんだ”と自覚させて受け入れさせ、女王としての矜持を含めて彼女を屈服させたかった、それこそが蒼太の言う所の“征服”であり彼女を圧倒する、と言う事に対する真意そのものだったのである。

 だから蒼太は、その事に気が付いてからは特にだが“自分の方が戦士として劣っているから”と言って別段いじけたり、劣等感の虜になって苦しむ事は無くなっていった、“そう言う事”に対してはとても真面目で一切の妥協や誤魔化しを許さなかった彼は大人になるに従って自分自身の愛し方や男としての在り方、彼女に対する接し方と言った事にしっかりと向き合ってそれらについての答えを出していたからメリアリアを目の前にしても自信を失う事も無く、むしろ誇らしくさえあったのだ。

 そしてそれは“龍神の咆哮”を体得してから更に確固たるモノになっていった、星一つを丸ごと砕く事が出来る砲撃術儀を扱える、と言う事は当然、蒼太にはそれだけの総エネルギー量子が内包されていて尚且つ、彼はその技を撃つ際の波動法力輻射や反動に耐え切れるだけの強靱さを身に付けていた事になる。

 それだけではない、もう一歩踏み込んだ話しとしては、要はそれだけとんでもない程の“絶倫さ”を併せ持っている、と言う事の何よりの証となったのであるがこれこそがまさに蒼太の望んでいた“凄まじさ”であって、現に彼はこれらを駆使して何度となくメリアリアを、アウロラを、オリヴィアを官能と愛欲の遙かなる高みへと追いやっていく事になるのであった。
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