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夫婦の絆と子供への思い
蒼太はエンブレムを切れるか? 3
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「・・・・・」
「・・・・・」
“どうするんだよ、アンリ?”と黒塗りの高級スポーツカーの車内で助手席に座っていた蒼太が親友に声を掛けるとアンリは難しい顔をして俯いてしまっていた。
ガリア帝国帝都ルテティアの中心部にある“第3環状区画”、その一角にある“ミランザ商会”の15階建てビルディングの脇道に車を停めて張り込む事3日目。
果たしてアンリの読み通り、確かに“奴等”は現れた。
三人組で全員が黒い高級スーツに身を包み、黒革靴を履き熟しているモノの、中でも目を引いたのがその中心人物と思しき一人の男性だった、背中に斬馬刀のような巨大かつ分厚い大剣を背負っていた彼は、その身長が190cmを超えていて筋肉はムキムキ、加えて抑えきれない程の精気が全身から迸っている。
だが。
それだけではない、車内から双眼鏡でその人物の“顔”を確認していた蒼太は再度驚愕してしまった、何故ならば。
「・・・皇太子殿下!!?」
「え・・・っ?」
青年の放ったその言葉に、隣にいたアンリが反応した。
「な、なんだよ蒼太。皇太子殿下って・・・」
「・・・いや」
“何でもない・・・”と親友には応えるモノの、蒼太は内心ではまだ、戸惑いを隠せずにいた、あれは確かに先日、息子であるマエルの件で宮廷にて面会した皇太子、ルイ・メロヴィングその人だったからである。
ただし。
(いいや、違う。確かに恐ろしい程に似ているけれどもあれは別人だ、皇太子殿下はあんなにガタイが良くないし。それに何より視線が違いすぎる、あそこまでギラギラとした目はなさっておられなかった・・・)
「なあ蒼太、教えてくれよ。“皇太子殿下”ってなんなんだ?本当にあれは本物のルイ・メロヴィング様なのか!!?」
「・・・解らない。ただ俺的には違うと思うよ?体格が違いすぎるし、それにあの目だ。この前お会いした皇太子殿下は、もっと穏やかで優しい目をされていた。あんなに、なんていうのかな。血走ったような目では無かったんだ!!!」
“全身のオーラや雰囲気も全然違うしな!!!”と蒼太がアンリに説明しているとー。
「おい、アイツら商会に入って行ったぞ?」
「何をする気かな・・・」
何やら胸騒ぎがして蒼太達は、自分達も車を降りると急いで商会に向かって行った、一方で。
「あの、アポイントメントは取って下さっておられるでしょうか・・・?」
「あのさ、お姉さん。このエンブレムが目に入らない?」
「此方は帝室の一門に名を連ねているお方だぜ?間違えた対応をすんなよ?」
「・・・・・」
ミランザ商会のビルディングに白昼堂々、それも真正面からの侵入を果たした三人組は早速、応対して来た受付嬢に絡んでいた。
流石に大会社のロビーだけあってエントランスホール内には自社のそれや様々な場所から来ていたサラリーマン達でごった返している。
「会長を、呼んで来てくれよ。もしくは社長でも良い、会えば私が誰か解る筈だ。ここに何をしに来たのかもな・・・」
「あの。ですからアポイントメントを取っていたたがない事には、会長や社長にはお繋ぎする事は・・・」
「あのさ、姉さん。あんたもしかして頭悪いだろ?」
「こっちは会長を呼び出せっつってんの。良いからサッサと呼んで来いよ、役に立たねぇ受付嬢だな!!!」
「あの、ですから・・・」
「どうした、どうした。一体・・・」
受付嬢が困り果てていると、そこに運良く会長である“クリストフ・ダナエ・ド・ミランザ”が通り掛かり、彼女と男達の間に割って入る。
「この方々が、会長をお呼びしろと・・・」
「この方々・・・?ああっ!!!」
クリストフは彼等の内でも巨体を誇る男を一目見るなり驚愕の表情を露わにした、そして。
「こ、この方々を応接室にお通ししろ。早く!!!」
「ええっ?で、ですけど会長。会長には朝9時からエイジャックスの・・・」
「構わん、構わんから!!!」
慌てた様子のクリストフに押される形で受付嬢は立ち上がると三人をエレベーターにまで案内し、更に応接室へと連れて行った、そこで。
「久し振りだな、クリストフ。と言ってもまだ一月しか経っていないが・・・。それにしてもお前のところの受付嬢は教育がなっていないな、大変な無礼と言わざるを得んぞ?」
「も、申し訳御座いませんガリウス様。どうかこの事は御内密に・・・」
「それはお前次第だがな・・・。ところで今日来たのは他でもない、今日を遊ぶ為の金が心許なくてな?お前の所ならば腐るほどあるだろう、ちょっと都合してくれないか?」
「そ、それは・・・。ガリウス様、何卒御勘弁下さい。我等とて無限に金を持っている訳では・・・」
「ほう?皇帝陛下には今のお前の態度をしかとお伝えしておくぞ。帝室一門であるこの私に僅かな金を渋って出さなかったと・・・」
「そ、そんな。それは・・・!!!」
「お父様、大変です。エイジャックスのバッファロー社の方々がお待ちですわ?第二応接室へとお通ししておきましたので、御対応を・・・!!!」
ガリウスの言葉に、クリストフが何事かを言い掛けた、その時だ。
不意に応接室の扉が開いて彼の娘の一人、アンジュリーヌが姿を現した。
「・・・・・っ。い、いかんアンジュリーヌ。お前は下がっていなさい!!!」
「ほう?」
露骨に“まずい”と言う顔を晒すクリストフとは対照的に、ガリウスは一目見るなり彼女の事が気に入った様子であり、付き添いの男達に目配せをする。
すると。
「確か、アンジュリーヌとか言ったか?こっちに来なよ・・・」
「ガリウス殿下が、あんたを御所望だぜ?さっさと来いよ、コラ!!!」
「い、いけない。それだけは!!!ガリウス様何卒、お許しを・・・」
「・・・金を払うか、娘を渡すか。どっちにする?」
合図に気付いた男達は頷くと同時にアンジュリーヌの元へと近付き、腕を取ってガリウスの元へと引き連れていった。
それを恐怖と悲しみの眼差しで見つめるクリストフだったが、そんな彼の姿を見ている内に心底面白くなってしまったのだろう、ガリウスは意地の悪い笑顔を浮かべて更に尋ねて来た。
「お前の令嬢は、中々の上玉だ。このままにしておくのは惜しい、どうする・・・?」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「畏まりました・・・」
遂にクリストフは折れた、流石に愛娘と財産を天秤に掛けて子供だけは守ろうとしたのだろう事が窺われる。
しかし。
「10000ユーロだ、それ以下には負けんからな?」
そんなクリストフに対してガリウスは告げた。
「10000ユーロを持って来い。娘と引き換えならば安いモノだろう?」
「そ、そんな。10000ユーロだなどと・・・!!!」
「どうした、何を躊躇っている?時価総額で30億ユーロ規模の資産を持っている、とされるお前達だ。10000ユーロなんか安いモノだろう!!!」
「そ、それは・・・!!!」
「出来ぬ、と言うのならば仕方が無い。娘は借りて行くぞ?今夜には返してやるがな・・・!!!」
「・・・・・っ!!!」
「お、お父様・・・!!!」
アンジュリーヌの悲痛な訴えが、クリストフの耳元に届く。
10000ユーロと言うのは如何にミランザ商会と言えども無視できぬ大金だ、それを一瞬で失うのである。
しかし。
「畏まりました・・・」
そう頷くとクリストフは会計係に命じてすぐさま、“経費”として10000ユーロを用意させてはキャッシュケースごとガリウスに献上した。
「ガリウス様、10000ユーロで御座います・・・」
「ふん、有り難く借りて行ってやるぞ?クリストフ・・・。おい!!!」
「「はいっ!!!」」
ガリウスの言葉に、従者二人はすぐにアンジュリーヌを解放して彼の側に戻ると応接室を後にした。
「お父様・・・」
「良いんだよ?アンジュリーヌ。お前さえ無事ならば、それで・・・」
“しかし”とクリストフは思った、今回でガリウスから金を無心されたのは合計十二回を数えるのであり、しかも態度は完全なるならず者のそれである、流石に腹に据えかねたのだが、それに加えて。
(まずい。あれは本来ならばブルボン家に納める筈の上納金だったんだ、それを奪われてしまった・・・)
途方にくれるクリストフだったが事が事である、ここはもう、正直にブルボン家の当主に話すしか、他に方法は無かったのであるモノの、一方で。
「おい、蒼太。出て来たぞ・・・?」
「・・・・・」
ガリウス達を追ってビルディングの中に侵入を果たした蒼太とアンリであったが一足違いで既に彼等はエレベーターに乗り込んでしまった後だった、こうなってはもうどうしようも無いので並み居るサラリーマン達に混じってエントランスホールにあるソファに座り込み、そのまま20分程待ち続けているとー。
エレベーターの扉が開いて再びガリウス達が姿を現した、手には何やらキャッシュケースを持っている、先程までは荷物など持ってはいなかったのだから、あの中には何か大切なモノが入っていると見てまず間違い無かった。
「ありゃなんだ?金の匂いがプンプンするぞ。それもいかがわしい金の匂いが!!!」
「落ち着けよ、アンリ。まだこの段階では何の証拠も此方は掴んでいないんだ、言い逃れされたら終わりだぞ?」
「確かに。しかし悔しいな、こんなにまで近くに来ていると言うのに。指をくわえて見ているだけとは・・・!!!」
そう言って今にも飛び掛かろうとしている親友を制しながらも蒼太はしっかりとその大男の事を、即ちガリウスの事を見極めていた。
他の二人もそれなりにやるようだが、彼だけは明らかに格が違った、練り上げられられた肉体と闘志に隙の無い体捌き、周囲に抜かりなく意識を発散させているのだろう気配に、奥まで響いて来る重厚な底力。
高い完成度を誇る一介の戦士の姿がそこにはあった。
「・・・・・」
(迂闊に飛び込めば返り討ちにされて殺されるな、相当な実力者だぞ?あの皇太子殿下に激似した男は・・・!!!)
“単なる見た目ばかりではない”と蒼太は判断しており、そしてそこまででは無いにしても、アンリもまた、その男から放出されているただならぬ程の精気に気が付いたのだろう、一気に無言となって油断無く身構える。
「・・・・・」
「・・・・・」
(アンリ、どうする?思い切って接触してみるか?)
(・・・いいや、まだだ蒼太。まだ相手の正体も実力も何も解っちゃいないんだ、ここで迂闊に飛び込む訳には)
二人がヒソヒソと耳元で囁き合っていた、その時だ。
「いたぞ!!?」
「・・・・・っ!!!」
「あん?」
突如として十数名前後の男達が剣を構えて突入して来たかと思うと、あっという間に三人組の周囲を囲んだ。
「なんだ?貴様ら。白昼堂々と!!!」
「この紋章に手出しをすればどう言う事になるのか、解っているのだろうな?」
「やかましいっ!!!」
「この人でなし共めっ!!!」
男達は真剣を構えながら敵意を剥き出しにして言い放つモノの、その気迫を受けても連れの二人はともかく、大男は全くたじろぐ様子は見られなかった、それどころか終始落ち着き払っていて何処か余裕すら感じる程だ。
「・・・・・」
「・・・・・」
(蒼太、どうする?流石に止めた方が良いか?)
(・・・いいやアンリ。ちょっと様子を見てみよう)
二人がそう言って事態を注視しているとー。
「・・・おい」
「はい・・・っ!!!」
大男が連れの一人に合図を送るが、すると男は背中からサーベルを模った木刀を取り出して大男に手渡した、それを。
「・・・・・っ!!?」
「こ、こいつ・・・っ!!!」
素早く構えると大男は剣士の集団に向かって手招きする仕草を見せた、“掛かって来い”と言う挑発であるモノの、それを見た男達は各々が一斉に切り込んでいく。
ところが。
「くわっ!!?」
「ぎゃあっ!!!」
「げふっ!!?」
真剣を構えていた剣士達をモノともせずに大男は木刀一本で暴れ回り、モノの3分も経たない内に全員を打ち据えてその場に蹲らせてしまった。
その身のこなしの見事さや隙を誘う巧みさ、そして何より攻撃の鋭さは他に類を見ない程で、蒼太が想像した以上の手練れであった、現に剣士達は彼自身にダメージを与える事はおろか、木刀と切り結ぶ事すらも一度も無く、殆ど一方的に叩き伏せられていったのである。
「・・・・・っ!!!」
「う、嘘だろう?おい・・・っ!!!」
“腕が立つ、なんてもんじゃねえぞ!!?”とアンリも驚愕を露わにするモノの、大男は蒼太達にもその場にいた野次馬達にも目をくれず、また自分が今し方蹴散らした剣士達にも構うことは無く、キャッシュケースを持ち上げると従者二人を引き連れて、サッサとその場から立ち去っていってしまったのだ。
「・・・・・」
「冗談じゃ無いぜ、あんなバケモノだったなんて・・・!!!」
大男の様子を無言で見つめる蒼太の隣では、すっかり困り顔となったアンリがブツブツと愚痴をこぼしていた、そんな折。
「乱闘騒ぎが、あっただと!!?」
「はい会長、此方です!!!」
背後からエレベーターの開く音がして二人の人間の気配が慌ただしく近付いて来た、見ると一人は受付嬢と思しき女性であり、もう一人は会長と呼ばれている初老の男性である。
「・・・会長?」
「ああ、あれがこのミランザ商会の当代会長クリストフだ。既に出社していたようだな・・・」
二人が見守っている中で、クリストフがオロオロと狼狽しながら辺りを見渡す。
「だ、大丈夫なのか?ガリウス様は。万が一あのお方に怪我でもあったら・・・!!!」
「・・・・・?」
「ガリウスだって!!?」
するとその名前を聞いても些かピンと来ていない蒼太とは対照的にアンリが再び驚愕を露わにするモノの、あの大男こそ何を隠そう今上皇帝の息子の一人で現皇太子ルイ・メロヴィングの双子の弟、ガリウス・メロヴィング本人だったのだ。
「知っているのか?アンリ・・・」
「俺もまだ、直接的にお目に掛かった事は無いが・・・。何でも見た目がルイ皇太子殿下と瓜二つの、双子の弟らしいんだ。今上皇帝陛下である“フィリップ・メロヴィング七世”陛下の方針で皇太子殿下は元より皇室一門に縁のある人物や関係者はあまり外には出ないようにしているから、本当に限られた人間しか会った事は無いらしいけど・・・!!!」
「・・・・・」
(あれが“ガリウス・メロヴィング”。一連の騒動の黒幕か・・・!!!)
“厄介な事になった”と蒼太は思い、その隣ではアンリが“これは親父でもどうにもならないだろうな・・・”等と呟いていた。
「あの地位と権力、それに加えて今し方見せたあの大立ち回り。冗談じゃ無いぜ、確かにコイツは相手が悪過ぎる・・・!!!」
「・・・おいおい、アンリ。良いのかよ?いきなりそんな逃げ腰になって」
弱音を吐くアンリに対して蒼太が此処ぞとばかりに先日の意趣返しを始めた。
「お前がここで諦めてしまったなら、被害にあった人々は一体どうすれば良いんだよ。それにアレをほったらかしにしておくと、いつマリアさんやコリンズ君に牙を剥くか解らんぜ?何か起きてからじゃ、後悔してもし切れ無いだろうが!!!」
「・・・お前ね」
“酷くないか?その言い方・・・!!!”とアンリが言うモノだから、蒼太は“お前がこの前、俺に言った事じゃないか!!!”と言い返してやった。
「うぐ・・・っ。それは・・・!!!」
「・・・まあ、冗談はこれ位にして。真面目にどうするんだよ、一体。あれじゃ証拠を突き付けて捕縛しようにも、反発されて逃げられるぞ?」
「・・・・・」
“下手をすればいきり立って襲い掛かって来るかも知れないしな・・・!!!”等と青年が告げると、すっかりと意気消沈して暗い顔になってしまったアンリが“うう~ん・・・!!!”と言う呻き声を発するモノの、そんな親友を尻目に蒼太は再び、ガリウス達が消えて行った方角を無言で睨み付けていた。
ーーーーーーーーーーーーーー
ガリウスに付いては既に、“夫婦の絆と子供への思い 11”にて名前だけは登場しております(そしてその場で現皇太子であるルイの双子の弟である、と言う事に付いても言及が為されております)。
要するにポッと出のキャラではありません。
「・・・・・」
“どうするんだよ、アンリ?”と黒塗りの高級スポーツカーの車内で助手席に座っていた蒼太が親友に声を掛けるとアンリは難しい顔をして俯いてしまっていた。
ガリア帝国帝都ルテティアの中心部にある“第3環状区画”、その一角にある“ミランザ商会”の15階建てビルディングの脇道に車を停めて張り込む事3日目。
果たしてアンリの読み通り、確かに“奴等”は現れた。
三人組で全員が黒い高級スーツに身を包み、黒革靴を履き熟しているモノの、中でも目を引いたのがその中心人物と思しき一人の男性だった、背中に斬馬刀のような巨大かつ分厚い大剣を背負っていた彼は、その身長が190cmを超えていて筋肉はムキムキ、加えて抑えきれない程の精気が全身から迸っている。
だが。
それだけではない、車内から双眼鏡でその人物の“顔”を確認していた蒼太は再度驚愕してしまった、何故ならば。
「・・・皇太子殿下!!?」
「え・・・っ?」
青年の放ったその言葉に、隣にいたアンリが反応した。
「な、なんだよ蒼太。皇太子殿下って・・・」
「・・・いや」
“何でもない・・・”と親友には応えるモノの、蒼太は内心ではまだ、戸惑いを隠せずにいた、あれは確かに先日、息子であるマエルの件で宮廷にて面会した皇太子、ルイ・メロヴィングその人だったからである。
ただし。
(いいや、違う。確かに恐ろしい程に似ているけれどもあれは別人だ、皇太子殿下はあんなにガタイが良くないし。それに何より視線が違いすぎる、あそこまでギラギラとした目はなさっておられなかった・・・)
「なあ蒼太、教えてくれよ。“皇太子殿下”ってなんなんだ?本当にあれは本物のルイ・メロヴィング様なのか!!?」
「・・・解らない。ただ俺的には違うと思うよ?体格が違いすぎるし、それにあの目だ。この前お会いした皇太子殿下は、もっと穏やかで優しい目をされていた。あんなに、なんていうのかな。血走ったような目では無かったんだ!!!」
“全身のオーラや雰囲気も全然違うしな!!!”と蒼太がアンリに説明しているとー。
「おい、アイツら商会に入って行ったぞ?」
「何をする気かな・・・」
何やら胸騒ぎがして蒼太達は、自分達も車を降りると急いで商会に向かって行った、一方で。
「あの、アポイントメントは取って下さっておられるでしょうか・・・?」
「あのさ、お姉さん。このエンブレムが目に入らない?」
「此方は帝室の一門に名を連ねているお方だぜ?間違えた対応をすんなよ?」
「・・・・・」
ミランザ商会のビルディングに白昼堂々、それも真正面からの侵入を果たした三人組は早速、応対して来た受付嬢に絡んでいた。
流石に大会社のロビーだけあってエントランスホール内には自社のそれや様々な場所から来ていたサラリーマン達でごった返している。
「会長を、呼んで来てくれよ。もしくは社長でも良い、会えば私が誰か解る筈だ。ここに何をしに来たのかもな・・・」
「あの。ですからアポイントメントを取っていたたがない事には、会長や社長にはお繋ぎする事は・・・」
「あのさ、姉さん。あんたもしかして頭悪いだろ?」
「こっちは会長を呼び出せっつってんの。良いからサッサと呼んで来いよ、役に立たねぇ受付嬢だな!!!」
「あの、ですから・・・」
「どうした、どうした。一体・・・」
受付嬢が困り果てていると、そこに運良く会長である“クリストフ・ダナエ・ド・ミランザ”が通り掛かり、彼女と男達の間に割って入る。
「この方々が、会長をお呼びしろと・・・」
「この方々・・・?ああっ!!!」
クリストフは彼等の内でも巨体を誇る男を一目見るなり驚愕の表情を露わにした、そして。
「こ、この方々を応接室にお通ししろ。早く!!!」
「ええっ?で、ですけど会長。会長には朝9時からエイジャックスの・・・」
「構わん、構わんから!!!」
慌てた様子のクリストフに押される形で受付嬢は立ち上がると三人をエレベーターにまで案内し、更に応接室へと連れて行った、そこで。
「久し振りだな、クリストフ。と言ってもまだ一月しか経っていないが・・・。それにしてもお前のところの受付嬢は教育がなっていないな、大変な無礼と言わざるを得んぞ?」
「も、申し訳御座いませんガリウス様。どうかこの事は御内密に・・・」
「それはお前次第だがな・・・。ところで今日来たのは他でもない、今日を遊ぶ為の金が心許なくてな?お前の所ならば腐るほどあるだろう、ちょっと都合してくれないか?」
「そ、それは・・・。ガリウス様、何卒御勘弁下さい。我等とて無限に金を持っている訳では・・・」
「ほう?皇帝陛下には今のお前の態度をしかとお伝えしておくぞ。帝室一門であるこの私に僅かな金を渋って出さなかったと・・・」
「そ、そんな。それは・・・!!!」
「お父様、大変です。エイジャックスのバッファロー社の方々がお待ちですわ?第二応接室へとお通ししておきましたので、御対応を・・・!!!」
ガリウスの言葉に、クリストフが何事かを言い掛けた、その時だ。
不意に応接室の扉が開いて彼の娘の一人、アンジュリーヌが姿を現した。
「・・・・・っ。い、いかんアンジュリーヌ。お前は下がっていなさい!!!」
「ほう?」
露骨に“まずい”と言う顔を晒すクリストフとは対照的に、ガリウスは一目見るなり彼女の事が気に入った様子であり、付き添いの男達に目配せをする。
すると。
「確か、アンジュリーヌとか言ったか?こっちに来なよ・・・」
「ガリウス殿下が、あんたを御所望だぜ?さっさと来いよ、コラ!!!」
「い、いけない。それだけは!!!ガリウス様何卒、お許しを・・・」
「・・・金を払うか、娘を渡すか。どっちにする?」
合図に気付いた男達は頷くと同時にアンジュリーヌの元へと近付き、腕を取ってガリウスの元へと引き連れていった。
それを恐怖と悲しみの眼差しで見つめるクリストフだったが、そんな彼の姿を見ている内に心底面白くなってしまったのだろう、ガリウスは意地の悪い笑顔を浮かべて更に尋ねて来た。
「お前の令嬢は、中々の上玉だ。このままにしておくのは惜しい、どうする・・・?」
「・・・・・」
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「畏まりました・・・」
遂にクリストフは折れた、流石に愛娘と財産を天秤に掛けて子供だけは守ろうとしたのだろう事が窺われる。
しかし。
「10000ユーロだ、それ以下には負けんからな?」
そんなクリストフに対してガリウスは告げた。
「10000ユーロを持って来い。娘と引き換えならば安いモノだろう?」
「そ、そんな。10000ユーロだなどと・・・!!!」
「どうした、何を躊躇っている?時価総額で30億ユーロ規模の資産を持っている、とされるお前達だ。10000ユーロなんか安いモノだろう!!!」
「そ、それは・・・!!!」
「出来ぬ、と言うのならば仕方が無い。娘は借りて行くぞ?今夜には返してやるがな・・・!!!」
「・・・・・っ!!!」
「お、お父様・・・!!!」
アンジュリーヌの悲痛な訴えが、クリストフの耳元に届く。
10000ユーロと言うのは如何にミランザ商会と言えども無視できぬ大金だ、それを一瞬で失うのである。
しかし。
「畏まりました・・・」
そう頷くとクリストフは会計係に命じてすぐさま、“経費”として10000ユーロを用意させてはキャッシュケースごとガリウスに献上した。
「ガリウス様、10000ユーロで御座います・・・」
「ふん、有り難く借りて行ってやるぞ?クリストフ・・・。おい!!!」
「「はいっ!!!」」
ガリウスの言葉に、従者二人はすぐにアンジュリーヌを解放して彼の側に戻ると応接室を後にした。
「お父様・・・」
「良いんだよ?アンジュリーヌ。お前さえ無事ならば、それで・・・」
“しかし”とクリストフは思った、今回でガリウスから金を無心されたのは合計十二回を数えるのであり、しかも態度は完全なるならず者のそれである、流石に腹に据えかねたのだが、それに加えて。
(まずい。あれは本来ならばブルボン家に納める筈の上納金だったんだ、それを奪われてしまった・・・)
途方にくれるクリストフだったが事が事である、ここはもう、正直にブルボン家の当主に話すしか、他に方法は無かったのであるモノの、一方で。
「おい、蒼太。出て来たぞ・・・?」
「・・・・・」
ガリウス達を追ってビルディングの中に侵入を果たした蒼太とアンリであったが一足違いで既に彼等はエレベーターに乗り込んでしまった後だった、こうなってはもうどうしようも無いので並み居るサラリーマン達に混じってエントランスホールにあるソファに座り込み、そのまま20分程待ち続けているとー。
エレベーターの扉が開いて再びガリウス達が姿を現した、手には何やらキャッシュケースを持っている、先程までは荷物など持ってはいなかったのだから、あの中には何か大切なモノが入っていると見てまず間違い無かった。
「ありゃなんだ?金の匂いがプンプンするぞ。それもいかがわしい金の匂いが!!!」
「落ち着けよ、アンリ。まだこの段階では何の証拠も此方は掴んでいないんだ、言い逃れされたら終わりだぞ?」
「確かに。しかし悔しいな、こんなにまで近くに来ていると言うのに。指をくわえて見ているだけとは・・・!!!」
そう言って今にも飛び掛かろうとしている親友を制しながらも蒼太はしっかりとその大男の事を、即ちガリウスの事を見極めていた。
他の二人もそれなりにやるようだが、彼だけは明らかに格が違った、練り上げられられた肉体と闘志に隙の無い体捌き、周囲に抜かりなく意識を発散させているのだろう気配に、奥まで響いて来る重厚な底力。
高い完成度を誇る一介の戦士の姿がそこにはあった。
「・・・・・」
(迂闊に飛び込めば返り討ちにされて殺されるな、相当な実力者だぞ?あの皇太子殿下に激似した男は・・・!!!)
“単なる見た目ばかりではない”と蒼太は判断しており、そしてそこまででは無いにしても、アンリもまた、その男から放出されているただならぬ程の精気に気が付いたのだろう、一気に無言となって油断無く身構える。
「・・・・・」
「・・・・・」
(アンリ、どうする?思い切って接触してみるか?)
(・・・いいや、まだだ蒼太。まだ相手の正体も実力も何も解っちゃいないんだ、ここで迂闊に飛び込む訳には)
二人がヒソヒソと耳元で囁き合っていた、その時だ。
「いたぞ!!?」
「・・・・・っ!!!」
「あん?」
突如として十数名前後の男達が剣を構えて突入して来たかと思うと、あっという間に三人組の周囲を囲んだ。
「なんだ?貴様ら。白昼堂々と!!!」
「この紋章に手出しをすればどう言う事になるのか、解っているのだろうな?」
「やかましいっ!!!」
「この人でなし共めっ!!!」
男達は真剣を構えながら敵意を剥き出しにして言い放つモノの、その気迫を受けても連れの二人はともかく、大男は全くたじろぐ様子は見られなかった、それどころか終始落ち着き払っていて何処か余裕すら感じる程だ。
「・・・・・」
「・・・・・」
(蒼太、どうする?流石に止めた方が良いか?)
(・・・いいやアンリ。ちょっと様子を見てみよう)
二人がそう言って事態を注視しているとー。
「・・・おい」
「はい・・・っ!!!」
大男が連れの一人に合図を送るが、すると男は背中からサーベルを模った木刀を取り出して大男に手渡した、それを。
「・・・・・っ!!?」
「こ、こいつ・・・っ!!!」
素早く構えると大男は剣士の集団に向かって手招きする仕草を見せた、“掛かって来い”と言う挑発であるモノの、それを見た男達は各々が一斉に切り込んでいく。
ところが。
「くわっ!!?」
「ぎゃあっ!!!」
「げふっ!!?」
真剣を構えていた剣士達をモノともせずに大男は木刀一本で暴れ回り、モノの3分も経たない内に全員を打ち据えてその場に蹲らせてしまった。
その身のこなしの見事さや隙を誘う巧みさ、そして何より攻撃の鋭さは他に類を見ない程で、蒼太が想像した以上の手練れであった、現に剣士達は彼自身にダメージを与える事はおろか、木刀と切り結ぶ事すらも一度も無く、殆ど一方的に叩き伏せられていったのである。
「・・・・・っ!!!」
「う、嘘だろう?おい・・・っ!!!」
“腕が立つ、なんてもんじゃねえぞ!!?”とアンリも驚愕を露わにするモノの、大男は蒼太達にもその場にいた野次馬達にも目をくれず、また自分が今し方蹴散らした剣士達にも構うことは無く、キャッシュケースを持ち上げると従者二人を引き連れて、サッサとその場から立ち去っていってしまったのだ。
「・・・・・」
「冗談じゃ無いぜ、あんなバケモノだったなんて・・・!!!」
大男の様子を無言で見つめる蒼太の隣では、すっかり困り顔となったアンリがブツブツと愚痴をこぼしていた、そんな折。
「乱闘騒ぎが、あっただと!!?」
「はい会長、此方です!!!」
背後からエレベーターの開く音がして二人の人間の気配が慌ただしく近付いて来た、見ると一人は受付嬢と思しき女性であり、もう一人は会長と呼ばれている初老の男性である。
「・・・会長?」
「ああ、あれがこのミランザ商会の当代会長クリストフだ。既に出社していたようだな・・・」
二人が見守っている中で、クリストフがオロオロと狼狽しながら辺りを見渡す。
「だ、大丈夫なのか?ガリウス様は。万が一あのお方に怪我でもあったら・・・!!!」
「・・・・・?」
「ガリウスだって!!?」
するとその名前を聞いても些かピンと来ていない蒼太とは対照的にアンリが再び驚愕を露わにするモノの、あの大男こそ何を隠そう今上皇帝の息子の一人で現皇太子ルイ・メロヴィングの双子の弟、ガリウス・メロヴィング本人だったのだ。
「知っているのか?アンリ・・・」
「俺もまだ、直接的にお目に掛かった事は無いが・・・。何でも見た目がルイ皇太子殿下と瓜二つの、双子の弟らしいんだ。今上皇帝陛下である“フィリップ・メロヴィング七世”陛下の方針で皇太子殿下は元より皇室一門に縁のある人物や関係者はあまり外には出ないようにしているから、本当に限られた人間しか会った事は無いらしいけど・・・!!!」
「・・・・・」
(あれが“ガリウス・メロヴィング”。一連の騒動の黒幕か・・・!!!)
“厄介な事になった”と蒼太は思い、その隣ではアンリが“これは親父でもどうにもならないだろうな・・・”等と呟いていた。
「あの地位と権力、それに加えて今し方見せたあの大立ち回り。冗談じゃ無いぜ、確かにコイツは相手が悪過ぎる・・・!!!」
「・・・おいおい、アンリ。良いのかよ?いきなりそんな逃げ腰になって」
弱音を吐くアンリに対して蒼太が此処ぞとばかりに先日の意趣返しを始めた。
「お前がここで諦めてしまったなら、被害にあった人々は一体どうすれば良いんだよ。それにアレをほったらかしにしておくと、いつマリアさんやコリンズ君に牙を剥くか解らんぜ?何か起きてからじゃ、後悔してもし切れ無いだろうが!!!」
「・・・お前ね」
“酷くないか?その言い方・・・!!!”とアンリが言うモノだから、蒼太は“お前がこの前、俺に言った事じゃないか!!!”と言い返してやった。
「うぐ・・・っ。それは・・・!!!」
「・・・まあ、冗談はこれ位にして。真面目にどうするんだよ、一体。あれじゃ証拠を突き付けて捕縛しようにも、反発されて逃げられるぞ?」
「・・・・・」
“下手をすればいきり立って襲い掛かって来るかも知れないしな・・・!!!”等と青年が告げると、すっかりと意気消沈して暗い顔になってしまったアンリが“うう~ん・・・!!!”と言う呻き声を発するモノの、そんな親友を尻目に蒼太は再び、ガリウス達が消えて行った方角を無言で睨み付けていた。
ーーーーーーーーーーーーーー
ガリウスに付いては既に、“夫婦の絆と子供への思い 11”にて名前だけは登場しております(そしてその場で現皇太子であるルイの双子の弟である、と言う事に付いても言及が為されております)。
要するにポッと出のキャラではありません。
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