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夫婦の絆と子供への思い
夫婦の絆と子供への思い 10
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蒼太は基本的には1週間~10日間ずつ、それぞれの花嫁達の実家に滞在していたのだがその間に出来る事と言うのはだから、非常に限られたモノになってしまう。
特に子供達や愛妻へのスキンシップは殊の外大切なモノなので、彼は絶対に疎かにはしないようにしていたのである。
今現在はフェデラール家にお邪魔している身であるが、この期間中に蒼太はだから、何としてでも長男であるマエルの足りない部分を見つけ出し、それを補ってあげたいと切に願っていたのであった。
「婿殿・・・!!!」
「お義父さん!!!」
毎朝の日課である、“二時間程の自己鍛錬”を粗方終えて一息付いている青年の元に、誰がしかの気配が近付いて来たので“何者だろう?”と思って身構えていると、それは岳父であるアルベール伯爵のモノだった。
「自己鍛錬か?朝から精が出るな・・・!!!」
「はい、有り難う御座います。・・・そう言うお義父さんも、トレーニングですか?」
「うん?まあ、君ほどでは無いがね。私も多少は体を動かしているのだよ、さもないといざという時に鈍って動けなくなってしまうからな・・・!!!」
「同感ですね・・・」
息を整えつつもそう応える娘婿に対して、アルベールは尚も言葉を続けた。
「最近どうかね?仕事の方は・・・」
「国際情勢が安定して来ていますからね。世界が正常化に向かっているのでしょう、良い兆候です。我々としても潜入や戦闘を前提としているような、危険な任務がそれほど回って来なくなって来たので有り難い限りですよ!!!」
「ふむふむ、そうかそうか・・・!!!」
「・・・それとお義父さん。改めてになるのですが、ルグランジュ侯爵の時は本当に有り難う御座いました。お陰様で事件も明るみに出る事無く済みましたよ」
「まあ、あれは我々の身を守る為にも致し方の無い事だったからね。それに本人の買っていた恨み事の多さも相当なモノだったし・・・!!!」
“やむを得ない処置であったろうよ・・・!!!”とアルベールは敢えて晴れ晴れとした顔を覗かせながら、宙を仰いでそう告げた。
蒼太と言う人間に全身全霊で向き合い、彼の事をキチンと見極めていたアルベールはこの自慢の娘婿が例え悪人ではあっても人を斬り殺した事に対する“心の苦味”や“痛々しい生々しさ”に苛まれている事を知っていた為に、それらを出来る限りで軽減してやろうとしたのである。
「孫達も、皆順調に育っているようだし・・・。それに何よりかによりオリヴィアとも、仲良くしてくれているようだしな!!!」
「・・・オリヴィアは愛しい僕の番です、大切にするのは当然の事ですよ。お義父さん達こそ、子供達の面倒を見て下さって大変に感謝しています。本当に有り難う御座います!!!」
「なに、礼には及ばんよ。あの子達は全員、可愛いし。それに皆に囲まれてこのフェデラール家も、かつての賑わいを取り戻しつつあるからな!!!・・・ところで婿殿、8人目は作らんのか?」
「・・・あまり妊娠と出産とを繰り返していると、流石に母体に負担が掛かりますからね。オリヴィアの事が心配なので、今は彼女を愛でるだけにしています」
「・・・そうか。まあ、そう言う事ならば仕方があるまい」
「ところでお義父さん。ちょっとお聞きしたいのですけれども・・・」
「うん・・・?」
蒼太の答えに些か残念さを噛み締めていたアルベールだったが、続く彼からの質問に今度は何事かと言う顔を覗かせた。
「息子のマエルの事なんですけど・・・。お義父さんから見てどう思いますか?」
「ほう?と言う事は、君もやはり気付いたか!!!」
「ええ。今一歩の気迫が足りないと言いますか。剣の腕前は確かなモノがあるんですけれども、アルベリクなんかに比べると気持ちで負けているんですよね?それが昨日や一昨日の試合で何度か顕著になっていた、と言うか・・・」
「ふむ・・・」
その説明を聞いたアルベールは暫しの間考え込んでから、徐に口を開いた。
「・・・ライバルがいないのが、最大の問題なのでは無いかな?」
「・・・ライバル?」
「そうだ・・・」
蒼太の言葉にアルベールが応えた。
「もっと言ってしまえば“目標とする存在”がいないのだよ、婿殿。これは祖父としての欲目もあるかも知れんが、我が家の孫達は皆が全員、こと剣術の試合に関してならば今まで負け知らずでここまで来ておる。多分カッシーニ家やフォンティーヌ家の子供達よりもその腕前は上だろうが、その事が却ってマエルを鈍らせたのでは無いかな?」
「・・・・・」
「君は剣術を学ぶ時は、どう言う気持ちで鍛錬に臨んでいたのだ?」
「・・・私は、幼い頃は常に父親の姿を追い掛けて来ました。父のようになりたい、いつか父に打ち勝ちたいと思って修業を繰り返して来たのです」
「それだよ、それが無いのだマエルには・・・」
アルベールが再び言葉を紡いだ。
「断っておくが、あの子にも向上心自体はある。ただそれの向かうべき先を見失ってしまっているのだ。例えば、婿殿。些か申し訳ない話になるが、マエルは多分、君に対して父親としての親愛の情を抱いてはいても、いつか自分が超えるべき壁だとまでは思ってはいないのでは無いのかね・・・?」
「・・・やはり僕がいつもは側にいないのが原因なのでしょうか。ただ自分の経験から言わせてもらうと、僕が父親に勝ちたいと思ったのは単に“父のような強くて立派な人間になりたい”と願っていた、と言う事以外にももう一つ、“他の誰にも負けたくない”と言う思いがあったからです」
“最初は”と蒼太は語る、“確かに私の目標は父であり、それを乗り越える事が全てだと思っていました”と。
「ただそれは、あくまで幼少期に限った場合の話です。大人になるに連れて様々な世界や人々に出会い、見聞を広めて来た私は徐々に“やるからには一番を目指さなければならない”と言う気概を持つに至りました。そうでないと、どうしても大事な場面で気持ちで負けてしまうのです」
「・・・それだよ、婿殿!!!」
アルベールがハタと膝を打った。
「マエルにはまだ、その気概が足りないのだよ。だから何だかダレて見えるし、気迫ある踏み込みや体捌きが出来ないでいるのだろうな!!!」
“それが一瞬の間合いを制する事が出来ない理由だろう”、“どうしてもギリギリの所でブレーキが掛かってしまうのだろうな”と言うのがアルベールの出した結論だった。
「しかし“一番になりたい”とはね。大人しそうに見えて君も中々に、負けず嫌いではないか。もっとも嫌いでは無いがね?そう言うのは・・・」
「・・・一般人ならば、ともかくと致しましても。やはり僕達のような世界に生きる者ならば常に一番を目指さなければ、まずもって気持ちで負けてしまいますよ。お義父さん!!!大体“2番手3番手で良い”等と思っている人が、本当の意味での栄光や幸せを手に入れた例など何処にもありませんからね?」
「そうだ。武道に生きる者ならば例え一番を取れなかったにせよ、その気持ちや気概だけはいつまでも忘れないようにせねばな?“これだけは誰にも負けない”と言う心の熱さをな。さもないと張りが無くなってしまうし、人生も輝けなくなってしまうからな!!!」
そう言って二人は頷き合うモノのこの時、蒼太は“これは難題だぞ?”と心の中で感じていた、何故ならば彼が一番を目指すようになったのはやはり、メリアリアの存在が非常に大きかったからである。
彼女を守る為に、そして確実に自分のモノとする為に、し続ける為に彼は一番を目指し、更に言ってしまえば“神の領域”を目指していたのであった。
蒼太は神に憧れた、もし自分が神になれれば、もっと言ってしまえば神のような心の持ちようを体得する事が出来たなら、どんな事態に陥ろうとも動じる事なくメリアリアを、そして何より自分自身を受け止め、癒し、救いに導いてやる事が出来る。
そうすればどんな現実が来ようとも、何が起ころうともずっと二人で愛し合って満ち足りた人生を送る事が出来るだろう、否、それ以前にありとあらゆる障害や苦しみ、痛み等からメリアリアを守ってあげる事が出来るようになるだろうと、彼は本気で考えていたのだ。
しかし。
(マエルにとってのメリーは居てくれるのだろうか・・・)
そこが蒼太はちょっぴり気掛かりだった、“確かあの子にも異性関係のある幼馴染は居たはずだけど・・・”と考えを巡らせるモノの現状ではマエルにはまだ“婚約”の話は来ていない。
(マエルにはまだ居ないのかな。“守ってあげたい”、“傷一つ付けさせたくない”と思える程に大切な人が・・・)
かつての自分の幼い頃と我が子とを重ね合わせて蒼太はどうしても、多少の不安と焦燥感が湧き上がって来るのを堪える事が出来なかった。
ーーーーーーーーーーーーーー
読者の皆様方こんばんは、ハイパーキャノンと申します。
いきなりの突然で誠に申し訳御座いませんが、皆様方は所謂(いわゆる)“陰キャ”と“陽キャ”の境目は、何処にあると思われますか?
私が思うにそれはまず“自分が一番でいたい”、“中心でいたい”、“天辺を取ってやるんだ!!!”と言う意気込みと言いますか、一種の気迫、熱意を持てるかどうかにあると考えます(もっと言ってしまいますと、“これだけは絶対、誰にも負けない!!!”と言う気概を本気で抱けるかどうかにあると思われます)。
こんな事を言ってしまいますと“お前、一々煩い奴だな!!!”ですとか“何を偉そうに言ってやがる!!!”と言うお叱りの声が聞こえて来そうですが、それらは一旦、脇に置きましてまずはどうか最後まで話を聞いて下さいませ。
些か哲学めいたお話になってしまうのですが改めまして“自分”と言うモノを考える時、それは時空を超越して存在する、“己と関わりのある全ての存在が織り成す世界・宇宙”と言い換える事が出来るのです、そして“己”とはまさにそんな世界の根本を為している柱であり、個々の宇宙の中心である、と言う事が出来るのです。
これはどう言う事を意味するのか、と言いますと“現実”と言うのは(変な意味では無くて)否応なしに、それぞれの“己”を中心として展開されて行くモノである、と説明する事が出来るのですが、だからこそこの“己”と言う宇宙の中心核を最も輝かせる事が出来る心の持ちようこそが非常に重要になって来るのです(それが即ち“自分が一番になってやる!!!”と言う強固な意思と決心です)。
こんな事を偉そうに申し上げさせていただきまして大変、恐縮なのですが肝心要の自分は、と言いますとこの様な心構えは未だ以て全く出来てはおりません(所謂(いわゆる)“陰キャ”な自分と致しましてはまさに“小心者バンザイ”と言った状態なのです)、なのですけれども。
やはり最初から“どうせ俺なんて・・・”ですとか“2番手3番手で良いや”等と考えている方と言うのは既にして、気持ちが現実に負けてしまっているのです(自分で自分を諦めてしまっているじゃないですか)、つまりは“己”と言う宇宙の中心が最も輝こうとしているのを、わざわざ自分で封殺してしまっているのです。
そしてそう言う方と言うのは例外無く、“別の現実の圧力の侵食”を受ける事となります(即ち他人を構成している“宇宙”の圧力を受ける事となります)、自分がしっかりと輝けない宇宙ではとてものことこの圧に対抗する事は出来ません、結果上からのし掛かられてマウントを取られ、下へと追いやられてしまうのです(要するに他人の勢いに飲まれてしまい、“押し潰されて”しまうのです)。
これが所謂(いわゆる)“陰キャ”と呼ばれている人間のなれの果てです、だから陰キャは何をやっても何処か地味で目立たず、輝けないのです。
一方で確かに“陽キャ”と言うのは身の程知らずで自惚れが強く、ともすれば暴走しがちです、しかし“楽しく行こうぜ?”、“自分を一番輝かせてやるんだ!!!”と言う心の持ちよう自体は、決して間違っているとは思えません。
そう言う人間というのは外に向かって意識や気力を発し続けますから上昇志向が強くてイケイケになり、勢いに乗って人生を送る事が出来ます、そしてだからこそ自分自身が持ち合わせている魅力や能力と言ったモノを最大限に発揮する事が可能となって行くのです(反面、猪突猛進的な激しさがあるために向こう見ずでどこか暴力的で非常に危うげな存在である、とも言う事が出来るのです)。
不思議なモノで、そう言う人間というのは得てして他人を惹き付けます(男も女も、性別問わずです)、そしてその全てが堪らない程に魅力的に映るのです(特に女性にはその荒々しさと言いますか、暴力的な雰囲気も何処か秘めたる危うさも、心を刺激する絶妙なスパイスとなるのです)。
勿論、実際に一番を取るのは、そして取り続けるのは非常に難しい話です(この世は意思と意思とのぶつかり合いの場ですし、特に武道やスポーツのように誰もが皆“一番を取りたい”と志しているような現場では殊の外厳しいと言わざるを得ません)、だけど最低でも気持ちでは負けないようにしないと(気持ちだけは負けないようにしないと)必ず誰かにやられてしまいます(これは私の経験則ですが、自分に負ける人間と言うのは得てして他人にも負けるモノです)。
かく言う私もつい最近、漸くにしてこの事に気が付く事が出来ました(要するに私も今までの人生の大半を実りの少ない“陰キャ”として過ごして来たのです)、ハッキリと申し上げて未だ以て口ほども無い、ただの未熟者でしかありませんが、それでも私は毎日を、私なりに一生懸命に生きて来ました(皆様方に於かれましても多分、そうであろうと思われます。そしてそれってとても尊い事だと思っています)。
この“自分の人生を自分なりに一生懸命に生きる”と言う事に付きましては、私は誰にも非難される謂(いわ)れは無いと考えております(もしかしたならただの思い上がりかも知れませんが)。
ちなみに(後のお話で本文中に詳しく出て来ますが)蒼太君はこれらの事を“神との修業”を通じて気付き、理解しました、あれらは単に肉体的強靱さや霊体波動オーラの極大化を果たすのみならず、こうした精神の高尚化、先鋭化にも一役買っていたのです(それらを活かしてメリアリアちゃんやアウロラちゃん、そしてオリヴィアちゃん達と深い領域まで付き合い、向き合い、相対しているのです←要するに彼女達の中で“良くも悪くも自分が一番で在り続ける”と言う気概を持って夫婦生活を送り続けているのです)。
勿論、最終的には“神”を目指しているのですが、これは自分を救ってあげる為には、伝説上の人物や過去の偉人達を目指しても無駄である、と言う事に気が付いた故の志です(要するに同じ人間を目標にしている内は、永遠にその領域まで手が届かない、と言う事に気が付いたのです)。
それに加えてもう一つ、例え決して手が届かない存在であろうとそこに到達する為に努力する事は無駄では無い、と彼は考えているのです(そう言う事もあってだから、彼は神を目指しているのです←勿論、この事は誰にも言っていません。言っても周囲の反感を買ったり、或いはバカにされるだけだ、と言う事を彼は知っているからです←ちなみにメリアリアちゃん達にも言っていません、彼女達ならば確かに話は聞いてくれるでしょうし、気持ちを理解もしてくれるでしょうけれどもこう言った事はやはり、自分の中に秘している方が良い、と言うのが彼の考え方ではあります)。
敬具。
ハイパーキャノン。
追伸です。
実は“陰キャ”と“陽キャ”の性質の違いはもう一つ、あるのです。
それは意識が“現実”を向いているか、はたまた“幻想”を向いているか、と言う点です(“自分が絶対に一番になる”、“これだけは絶対、誰にも負けない”、“譲れない!!!”と言う気概を持つ以外にも、これらもまた重要なファクターになって行きます)。
特に子供達や愛妻へのスキンシップは殊の外大切なモノなので、彼は絶対に疎かにはしないようにしていたのである。
今現在はフェデラール家にお邪魔している身であるが、この期間中に蒼太はだから、何としてでも長男であるマエルの足りない部分を見つけ出し、それを補ってあげたいと切に願っていたのであった。
「婿殿・・・!!!」
「お義父さん!!!」
毎朝の日課である、“二時間程の自己鍛錬”を粗方終えて一息付いている青年の元に、誰がしかの気配が近付いて来たので“何者だろう?”と思って身構えていると、それは岳父であるアルベール伯爵のモノだった。
「自己鍛錬か?朝から精が出るな・・・!!!」
「はい、有り難う御座います。・・・そう言うお義父さんも、トレーニングですか?」
「うん?まあ、君ほどでは無いがね。私も多少は体を動かしているのだよ、さもないといざという時に鈍って動けなくなってしまうからな・・・!!!」
「同感ですね・・・」
息を整えつつもそう応える娘婿に対して、アルベールは尚も言葉を続けた。
「最近どうかね?仕事の方は・・・」
「国際情勢が安定して来ていますからね。世界が正常化に向かっているのでしょう、良い兆候です。我々としても潜入や戦闘を前提としているような、危険な任務がそれほど回って来なくなって来たので有り難い限りですよ!!!」
「ふむふむ、そうかそうか・・・!!!」
「・・・それとお義父さん。改めてになるのですが、ルグランジュ侯爵の時は本当に有り難う御座いました。お陰様で事件も明るみに出る事無く済みましたよ」
「まあ、あれは我々の身を守る為にも致し方の無い事だったからね。それに本人の買っていた恨み事の多さも相当なモノだったし・・・!!!」
“やむを得ない処置であったろうよ・・・!!!”とアルベールは敢えて晴れ晴れとした顔を覗かせながら、宙を仰いでそう告げた。
蒼太と言う人間に全身全霊で向き合い、彼の事をキチンと見極めていたアルベールはこの自慢の娘婿が例え悪人ではあっても人を斬り殺した事に対する“心の苦味”や“痛々しい生々しさ”に苛まれている事を知っていた為に、それらを出来る限りで軽減してやろうとしたのである。
「孫達も、皆順調に育っているようだし・・・。それに何よりかによりオリヴィアとも、仲良くしてくれているようだしな!!!」
「・・・オリヴィアは愛しい僕の番です、大切にするのは当然の事ですよ。お義父さん達こそ、子供達の面倒を見て下さって大変に感謝しています。本当に有り難う御座います!!!」
「なに、礼には及ばんよ。あの子達は全員、可愛いし。それに皆に囲まれてこのフェデラール家も、かつての賑わいを取り戻しつつあるからな!!!・・・ところで婿殿、8人目は作らんのか?」
「・・・あまり妊娠と出産とを繰り返していると、流石に母体に負担が掛かりますからね。オリヴィアの事が心配なので、今は彼女を愛でるだけにしています」
「・・・そうか。まあ、そう言う事ならば仕方があるまい」
「ところでお義父さん。ちょっとお聞きしたいのですけれども・・・」
「うん・・・?」
蒼太の答えに些か残念さを噛み締めていたアルベールだったが、続く彼からの質問に今度は何事かと言う顔を覗かせた。
「息子のマエルの事なんですけど・・・。お義父さんから見てどう思いますか?」
「ほう?と言う事は、君もやはり気付いたか!!!」
「ええ。今一歩の気迫が足りないと言いますか。剣の腕前は確かなモノがあるんですけれども、アルベリクなんかに比べると気持ちで負けているんですよね?それが昨日や一昨日の試合で何度か顕著になっていた、と言うか・・・」
「ふむ・・・」
その説明を聞いたアルベールは暫しの間考え込んでから、徐に口を開いた。
「・・・ライバルがいないのが、最大の問題なのでは無いかな?」
「・・・ライバル?」
「そうだ・・・」
蒼太の言葉にアルベールが応えた。
「もっと言ってしまえば“目標とする存在”がいないのだよ、婿殿。これは祖父としての欲目もあるかも知れんが、我が家の孫達は皆が全員、こと剣術の試合に関してならば今まで負け知らずでここまで来ておる。多分カッシーニ家やフォンティーヌ家の子供達よりもその腕前は上だろうが、その事が却ってマエルを鈍らせたのでは無いかな?」
「・・・・・」
「君は剣術を学ぶ時は、どう言う気持ちで鍛錬に臨んでいたのだ?」
「・・・私は、幼い頃は常に父親の姿を追い掛けて来ました。父のようになりたい、いつか父に打ち勝ちたいと思って修業を繰り返して来たのです」
「それだよ、それが無いのだマエルには・・・」
アルベールが再び言葉を紡いだ。
「断っておくが、あの子にも向上心自体はある。ただそれの向かうべき先を見失ってしまっているのだ。例えば、婿殿。些か申し訳ない話になるが、マエルは多分、君に対して父親としての親愛の情を抱いてはいても、いつか自分が超えるべき壁だとまでは思ってはいないのでは無いのかね・・・?」
「・・・やはり僕がいつもは側にいないのが原因なのでしょうか。ただ自分の経験から言わせてもらうと、僕が父親に勝ちたいと思ったのは単に“父のような強くて立派な人間になりたい”と願っていた、と言う事以外にももう一つ、“他の誰にも負けたくない”と言う思いがあったからです」
“最初は”と蒼太は語る、“確かに私の目標は父であり、それを乗り越える事が全てだと思っていました”と。
「ただそれは、あくまで幼少期に限った場合の話です。大人になるに連れて様々な世界や人々に出会い、見聞を広めて来た私は徐々に“やるからには一番を目指さなければならない”と言う気概を持つに至りました。そうでないと、どうしても大事な場面で気持ちで負けてしまうのです」
「・・・それだよ、婿殿!!!」
アルベールがハタと膝を打った。
「マエルにはまだ、その気概が足りないのだよ。だから何だかダレて見えるし、気迫ある踏み込みや体捌きが出来ないでいるのだろうな!!!」
“それが一瞬の間合いを制する事が出来ない理由だろう”、“どうしてもギリギリの所でブレーキが掛かってしまうのだろうな”と言うのがアルベールの出した結論だった。
「しかし“一番になりたい”とはね。大人しそうに見えて君も中々に、負けず嫌いではないか。もっとも嫌いでは無いがね?そう言うのは・・・」
「・・・一般人ならば、ともかくと致しましても。やはり僕達のような世界に生きる者ならば常に一番を目指さなければ、まずもって気持ちで負けてしまいますよ。お義父さん!!!大体“2番手3番手で良い”等と思っている人が、本当の意味での栄光や幸せを手に入れた例など何処にもありませんからね?」
「そうだ。武道に生きる者ならば例え一番を取れなかったにせよ、その気持ちや気概だけはいつまでも忘れないようにせねばな?“これだけは誰にも負けない”と言う心の熱さをな。さもないと張りが無くなってしまうし、人生も輝けなくなってしまうからな!!!」
そう言って二人は頷き合うモノのこの時、蒼太は“これは難題だぞ?”と心の中で感じていた、何故ならば彼が一番を目指すようになったのはやはり、メリアリアの存在が非常に大きかったからである。
彼女を守る為に、そして確実に自分のモノとする為に、し続ける為に彼は一番を目指し、更に言ってしまえば“神の領域”を目指していたのであった。
蒼太は神に憧れた、もし自分が神になれれば、もっと言ってしまえば神のような心の持ちようを体得する事が出来たなら、どんな事態に陥ろうとも動じる事なくメリアリアを、そして何より自分自身を受け止め、癒し、救いに導いてやる事が出来る。
そうすればどんな現実が来ようとも、何が起ころうともずっと二人で愛し合って満ち足りた人生を送る事が出来るだろう、否、それ以前にありとあらゆる障害や苦しみ、痛み等からメリアリアを守ってあげる事が出来るようになるだろうと、彼は本気で考えていたのだ。
しかし。
(マエルにとってのメリーは居てくれるのだろうか・・・)
そこが蒼太はちょっぴり気掛かりだった、“確かあの子にも異性関係のある幼馴染は居たはずだけど・・・”と考えを巡らせるモノの現状ではマエルにはまだ“婚約”の話は来ていない。
(マエルにはまだ居ないのかな。“守ってあげたい”、“傷一つ付けさせたくない”と思える程に大切な人が・・・)
かつての自分の幼い頃と我が子とを重ね合わせて蒼太はどうしても、多少の不安と焦燥感が湧き上がって来るのを堪える事が出来なかった。
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読者の皆様方こんばんは、ハイパーキャノンと申します。
いきなりの突然で誠に申し訳御座いませんが、皆様方は所謂(いわゆる)“陰キャ”と“陽キャ”の境目は、何処にあると思われますか?
私が思うにそれはまず“自分が一番でいたい”、“中心でいたい”、“天辺を取ってやるんだ!!!”と言う意気込みと言いますか、一種の気迫、熱意を持てるかどうかにあると考えます(もっと言ってしまいますと、“これだけは絶対、誰にも負けない!!!”と言う気概を本気で抱けるかどうかにあると思われます)。
こんな事を言ってしまいますと“お前、一々煩い奴だな!!!”ですとか“何を偉そうに言ってやがる!!!”と言うお叱りの声が聞こえて来そうですが、それらは一旦、脇に置きましてまずはどうか最後まで話を聞いて下さいませ。
些か哲学めいたお話になってしまうのですが改めまして“自分”と言うモノを考える時、それは時空を超越して存在する、“己と関わりのある全ての存在が織り成す世界・宇宙”と言い換える事が出来るのです、そして“己”とはまさにそんな世界の根本を為している柱であり、個々の宇宙の中心である、と言う事が出来るのです。
これはどう言う事を意味するのか、と言いますと“現実”と言うのは(変な意味では無くて)否応なしに、それぞれの“己”を中心として展開されて行くモノである、と説明する事が出来るのですが、だからこそこの“己”と言う宇宙の中心核を最も輝かせる事が出来る心の持ちようこそが非常に重要になって来るのです(それが即ち“自分が一番になってやる!!!”と言う強固な意思と決心です)。
こんな事を偉そうに申し上げさせていただきまして大変、恐縮なのですが肝心要の自分は、と言いますとこの様な心構えは未だ以て全く出来てはおりません(所謂(いわゆる)“陰キャ”な自分と致しましてはまさに“小心者バンザイ”と言った状態なのです)、なのですけれども。
やはり最初から“どうせ俺なんて・・・”ですとか“2番手3番手で良いや”等と考えている方と言うのは既にして、気持ちが現実に負けてしまっているのです(自分で自分を諦めてしまっているじゃないですか)、つまりは“己”と言う宇宙の中心が最も輝こうとしているのを、わざわざ自分で封殺してしまっているのです。
そしてそう言う方と言うのは例外無く、“別の現実の圧力の侵食”を受ける事となります(即ち他人を構成している“宇宙”の圧力を受ける事となります)、自分がしっかりと輝けない宇宙ではとてものことこの圧に対抗する事は出来ません、結果上からのし掛かられてマウントを取られ、下へと追いやられてしまうのです(要するに他人の勢いに飲まれてしまい、“押し潰されて”しまうのです)。
これが所謂(いわゆる)“陰キャ”と呼ばれている人間のなれの果てです、だから陰キャは何をやっても何処か地味で目立たず、輝けないのです。
一方で確かに“陽キャ”と言うのは身の程知らずで自惚れが強く、ともすれば暴走しがちです、しかし“楽しく行こうぜ?”、“自分を一番輝かせてやるんだ!!!”と言う心の持ちよう自体は、決して間違っているとは思えません。
そう言う人間というのは外に向かって意識や気力を発し続けますから上昇志向が強くてイケイケになり、勢いに乗って人生を送る事が出来ます、そしてだからこそ自分自身が持ち合わせている魅力や能力と言ったモノを最大限に発揮する事が可能となって行くのです(反面、猪突猛進的な激しさがあるために向こう見ずでどこか暴力的で非常に危うげな存在である、とも言う事が出来るのです)。
不思議なモノで、そう言う人間というのは得てして他人を惹き付けます(男も女も、性別問わずです)、そしてその全てが堪らない程に魅力的に映るのです(特に女性にはその荒々しさと言いますか、暴力的な雰囲気も何処か秘めたる危うさも、心を刺激する絶妙なスパイスとなるのです)。
勿論、実際に一番を取るのは、そして取り続けるのは非常に難しい話です(この世は意思と意思とのぶつかり合いの場ですし、特に武道やスポーツのように誰もが皆“一番を取りたい”と志しているような現場では殊の外厳しいと言わざるを得ません)、だけど最低でも気持ちでは負けないようにしないと(気持ちだけは負けないようにしないと)必ず誰かにやられてしまいます(これは私の経験則ですが、自分に負ける人間と言うのは得てして他人にも負けるモノです)。
かく言う私もつい最近、漸くにしてこの事に気が付く事が出来ました(要するに私も今までの人生の大半を実りの少ない“陰キャ”として過ごして来たのです)、ハッキリと申し上げて未だ以て口ほども無い、ただの未熟者でしかありませんが、それでも私は毎日を、私なりに一生懸命に生きて来ました(皆様方に於かれましても多分、そうであろうと思われます。そしてそれってとても尊い事だと思っています)。
この“自分の人生を自分なりに一生懸命に生きる”と言う事に付きましては、私は誰にも非難される謂(いわ)れは無いと考えております(もしかしたならただの思い上がりかも知れませんが)。
ちなみに(後のお話で本文中に詳しく出て来ますが)蒼太君はこれらの事を“神との修業”を通じて気付き、理解しました、あれらは単に肉体的強靱さや霊体波動オーラの極大化を果たすのみならず、こうした精神の高尚化、先鋭化にも一役買っていたのです(それらを活かしてメリアリアちゃんやアウロラちゃん、そしてオリヴィアちゃん達と深い領域まで付き合い、向き合い、相対しているのです←要するに彼女達の中で“良くも悪くも自分が一番で在り続ける”と言う気概を持って夫婦生活を送り続けているのです)。
勿論、最終的には“神”を目指しているのですが、これは自分を救ってあげる為には、伝説上の人物や過去の偉人達を目指しても無駄である、と言う事に気が付いた故の志です(要するに同じ人間を目標にしている内は、永遠にその領域まで手が届かない、と言う事に気が付いたのです)。
それに加えてもう一つ、例え決して手が届かない存在であろうとそこに到達する為に努力する事は無駄では無い、と彼は考えているのです(そう言う事もあってだから、彼は神を目指しているのです←勿論、この事は誰にも言っていません。言っても周囲の反感を買ったり、或いはバカにされるだけだ、と言う事を彼は知っているからです←ちなみにメリアリアちゃん達にも言っていません、彼女達ならば確かに話は聞いてくれるでしょうし、気持ちを理解もしてくれるでしょうけれどもこう言った事はやはり、自分の中に秘している方が良い、と言うのが彼の考え方ではあります)。
敬具。
ハイパーキャノン。
追伸です。
実は“陰キャ”と“陽キャ”の性質の違いはもう一つ、あるのです。
それは意識が“現実”を向いているか、はたまた“幻想”を向いているか、と言う点です(“自分が絶対に一番になる”、“これだけは絶対、誰にも負けない”、“譲れない!!!”と言う気概を持つ以外にも、これらもまた重要なファクターになって行きます)。
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