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夫婦の絆と子供への思い
夫婦の絆と子供への思い 8
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ザァーッ、ザァーッ、と外は土砂降りの雨が降っている。
時間は深夜の静寂の中、既に大勢の人々が暖かな布団に包まって思い思いの夢物語に現を抜かしていた、そんな折ー。
広大な敷地面積を誇るフォンティーヌ邸の4階部分、一族の寝室が配されている一角にそれはあった。
蒼太専用の書斎であるが、勉強熱心な彼は任務や旅先から戻る度に自分が体験した事や見聞きした事、また未知の現象等を詳しく書き記す事を日課にしていたのである。
もっとも今、彼が満喫しているのは辛くて厳しい任務の記録を綴っていたのでは決して無かった、エルヴスヘイム製の“南極純氷”をロック・アイスにして入れたグラスに酒を注いでは自らの五臓六腑に流し込み、己自身と対話をしつつも心を潤し続けていたのだ。
「・・・・・」
カラン、カランと音を立てて回る氷を、更に激しく手でグラスごと振り回して揺さ振りながら、青年は様々な事に思いを馳せる。
メリアリアの事やアウロラの事、そしてオリヴィアの事にそれぞれの花嫁達との間に生まれた我が子達の事。
更には自身の義実家の事等に付いて様々な考えを巡らせているのだが、絶え間ない自己分析と想念観察によって“自分とは何か”、“自分自身を愛するとはどう言う事なのか”を悟った彼は自分に対する理解が進んでその結果、人よりも使える精神の領域や感覚が拡大して霊感が働くようになっていた、そのため。
今やその自我を、例えばメリアリアならばメリアリア、アウロラならばアウロラ、と言うように特定の人物に集中して向けるだけでその人物の反応パターンが意識の連続体として感じ取れるようになり、“こう言ったらこの人はこう言う反応を返すだろう、だからこう応じれば良い”と言う事が瞬時に理解出来るようになっていたのだ。
それはつまり、本物のメリアリア達以外にも、彼の中にもメリアリアやアウロラ、オリヴィアらが居る事を意味しているのであって、彼はつまりそう言った“自分の中の彼女達”とお話をしていたのである、そこへー。
「・・・んん?」
廊下から誰かが、自分の元に近付いて来る気配を感じて蒼太は部屋の出入り口に視線を集中させるモノの、するとー。
「あっ。蒼太さん・・・!!!」
「アウロラか・・・」
ギイィィッと重厚そうな造りの木製の大扉の内、片方が開いてそこには青年の可愛い青髪淑女がホッとしたような顔を覗かせていた。
昨夜は彼女と深くまで愛し合い、気絶するまでイカせ続けたのだがそのまま眠りに就いてしまったアウロラを見ている内に自身も瞼が重くなって来た蒼太は傍で横になって夢の世界へとトリップしていたのである。
ちなみに蒼太は普段は万事穏やかで優しいし、それはどんな場面でも基本的には変わらないモノのエッチの最中は時折、人が変わったかの様に強く激しく花嫁達を責め立てて来る事があったがこれは果てしない安らぎに満ち満ちた愛情と、非常に心地好い官能とに浸っている彼女達にわざと“傷”と言う名の刺激を与える為に蒼太がやっている事だったのだ、それというのも。
通常、どんな女性もその本質的な部分ではどちらかと言えば“ネコ”でありM気質の持ち主なのであって、そんな彼女達をただ単に優しく愛でるだけでは忽ちの内に飽きられてしまい、結果として彼女達は常に物足りなさや鬱屈を抱えたまま日々を過ごす事になって行くのだ。
ではどうすれば良いのか、と言えばそれは決して独り善がりにならないように、かつまたやり過ぎないように注意しつつも、男の持つ荒々しさと逞しさとを感じさせ、存分に見せ付けた挙げ句に心や体に一生モノの傷跡を、それも継続的に付け続けるようにする事が必須なのであって、こうする事で夫婦の間に良い意味での刺激的な緊張感と“間”を持続させつつ、それらが妻をしていつまでもいつまでも夫に対する飽きない慕情を募らせて行く事に繋がるのであった。
「良いか?蒼太よ。女ってのはな、単に優しくされるだけよりも痛くされる方がより興奮して燃え上がる性質を持っているんだ!!!」
かつて蒼太が並行世界である“ガイア・マキナ”に飛ばされた際に、そこで出会った御年70歳になると言う海千山千の現役性豪ジジイに教えてもらった言葉であるが、それによるとー。
“単に優しくされるだけのエッチよりも、痛くて激しくて気持ち良い方が女の中で思い出として残りやすいのだ”との事であり、続けて彼はこう言った、“女を快楽漬けにして調教しろ”、“性感帯に気持ち良い痛みを連続して与えるようにするんだよ”と、“女の尊厳を踏み躙って心と体に一生モノの疵痕を残すのだ”と。
「そうすりゃ女は良くも悪くもお前の事が忘れられなくなる、何があっても決してな。その為には精々、色んな女を抱きまくってまずは経験を積めや。この俺みたいにな!!!」
「・・・要するに誰彼構わず“やりまくれ”って事なんだろ?良いよ別に、そんな事しなくたって!!!」
“余計なお世話だよ!!!”とその時はそう言って突っぱねた蒼太だったが彼には元から天然ドSの気質があって、それが歳と共に開花して来た、と言う訳である、その証拠にー。
彼は幼い頃からメリアリアとのエッチを繰り返して来たわけであったがその時から彼女が感じながらも苦しそうにしているのを見ると、何やら腹の底からムラムラ、ムズムズとして来るのをどうしても止められず、またメリアリアが行為の最中に恥じらいつつも“蒼太のこれを私のここにちょうだい・・・?”と告げると“メリー、これとかここじゃ解らないよ。ちゃんと言ってくれなきゃね?”とちょっとだけ意地悪をしてみたくなる時が何度かあったのだ。
最初の内は思い返して“メリーに甘えていたのかな?”等と呑気に構えていた蒼太であったがその内に。
逢瀬を繰り返して徐々に熱く激しく身悶えて行くメリアリアを見ている内に、段々と蒼太は彼女の事を“もっと滅茶苦茶にしたい”と、つとに思うようになっていった、“もっと感じさせてグチョグチョにさせたい、頭がおかしくなる位にまでイキ狂わせたい!!!”と。
そしてその上で“淫らに乱れたメリアリアと壊れるまで愛し合い、一つになり尽くして溶け合いたい”と、そこまで求めるようになってしまっていたのであるが、その一方で。
蒼太のそんな激情を感じ取ると同時に本人からも直に告げられたメリアリアは最初こそ驚愕したモノの、それと同時に際限なく湧き上がって来る愛しさと喜びの余りに我を忘れて夫の事を貪るようになっていった、それというのも。
元から蒼太に対してどこまでも純情で一途でいじらしくて健気な思いを抱いていた彼女は、この時既に彼に負けない位にまでの凄絶極まる狂愛と純慕とを青年に対して持ち合わせていたのであり“一緒に壊れて一緒に乱れて、最後は一つになり尽くす”、“蒼太と二人でグチョグチョになる”、“いつまでもいつまでも、永遠に”と言う、ある意味では蒼太本人よりも遥かに甘くて危険な願望をその胸の内に秘めていたのだ、それ故にー。
歳が行くに従って多少、病み始めていった愛妻淑女の“確かなる気持ち”は特に、子供が産まれてからはますます過熱の一途を辿って行ったが蒼太のそうした性癖や思想、愛し方はメリアリアのみならずアウロラやオリヴィアにも深く刺さる事となり、結果彼女達の情念をも熾烈なまでに燃え上がらせる事となった。
そのアウロラが。
「・・・・・」
「蒼太さん、あなた・・・っ!!!」
蒼太の元へとやって来た、その頬は薄紅色に紅潮してり瞳は大好きな人をもっと良く見ようと瞳孔が開いていつもより多くの光を反射し、キラキラと輝いていた。
「あなた、有り難う。父を、エリオットを助けて下さって・・・」
「・・・なに、礼を言うのは僕の方さ。結局あの後、お義父さん達に裏から手を回して事件を隠匿してもらったしなぁっ!!!」
「格好良いです、あなた・・・」
アウロラは尚も情熱的に蒼太に迫って来る。
「あなたはやっぱり私の王子様です、ヒーローです。私達の、ううん。私だけの大切な、大切な・・・っ!!!」
「・・・・・」
心底惚れ抜いている表情でそう告げるアウロラに対して、それを聞いた蒼太は優しい笑みを浮かべて告げた、“おいで?アウロラ・・・”と。
「こっちにおいでよ、アウロラ。一緒に飲むかい?」
「・・・・・っ。は、はいっ!!!」
蒼太に誘われるままに、アウロラは静かにしかし、急いで彼の元へと馳せ参じるとソファに腰掛けている彼の逞しい肉体にソッと自らの肢体を寄り添わせて抱き着き、撓垂れ掛かるようにする。
「だけどアウロラ、大丈夫かい?君はお酒あんまり強く無いから無理はしないでね・・・?」
「むーっ、大丈夫ですっ。もうっ、あなたったら。子供扱いして・・・っ!!!」
頬を膨らませて怒る仕草をするとアウロラは蒼太の手の中にあったグラスを受け取り己の口内へと琥珀色をした芳醇な液体を流し込んだ。
「くはー・・・っ!!!」
「・・・・・っ!!?」
その飲みっぷりに、蒼太は思わず絶句してしまった、間違っても感心したのでは無い、別の意味で驚愕してしまったのだ。
「ア、アウロラ。本当に大丈夫・・・?これ、甘口だけどアルコール度数はそれなりにキツいよ・・・?」
「・・・へ、平気です。これ位っ!!!だけどこれ、美味しいですね?バニラの様な風味がします」
「“クライヌリッシュの14年モノ”だよ?ちょっと値段は張るんだけど、甘口でとっても飲みやすいんだ・・・!!!」
「・・・知らない銘柄ですけど。凄く気に入りました、私の好みの味です!!!それに、これ・・・」
そう言うとアウロラはグラスの中で転がり続けている青く輝くロックアイスに目をやった。
「青い氷なんて、初めてです。私の知っているモノはどれもこれも半透明だったり白かったりするのに・・・」
「あはは・・・。これはね?エルヴスヘイムの南極にある、2000000年前に出来た氷河を削って持って来た氷さ。自然が作り出した混じりっ気なしの“純氷”だよ?この氷はね、アウロラ。僕らの暮らす現実世界でもそうらしいんだけれども、煌めく蒼光色をしているらしいんだ・・・」
蒼太が説明すると、アウロラは“キレイ・・・”とウットリとしながら声を発した。
「こんな不思議な氷が、存在しているなんて・・・っ。私、エルフの世界に行けて良かったです!!!」
「あはは、そっか・・・」
「あの時の蒼太さん、凄く格好良かったですよ?伝説にある“白の魔法使い”みたいでした・・・!!!」
「あはは・・・。有り難う、アウロラ。だけど君も凄く美しくてキレイで、とっても可愛らしかったよ?」
「・・・・・っ。そ、蒼太さん。私」
「うん・・・」
「私、いつもいつも引っ込み思案でオドオドしてて。いつか蒼太さんに嫌われてしまうんじゃ無いかって、心配してて・・・!!!」
「そんな事あるわけ、ないじゃないか!!!」
するとその言葉を聞いた途端に蒼太がグラスをテーブルに置いて、両手で彼女を抱き締める。
「あ・・・っ!!!」
「アウロラはね?僕の為に、僕だけの為に生まれて来てくれた女の子なんだよ?僕と一緒に生きる為に生まれて来てくれた女の子なんだよ?その証拠に今までいっぱい、色んな思い出を作って来たじゃないか、共に過ごして来たじゃないか!!!」
「蒼太さん・・・っ!!!」
「一緒に色んな冒険をしたじゃないか。色んな場所に行って、色んなモノを見て・・・。同じ痛みも苦しみも、愛も悲しみも分かち合って来たじゃないか・・・。嫌うなんて有り得ないよ!!!」
「そ、蒼太さん・・・!!!」
「君の方こそ、どうなのさ。もう僕の事、飽きちゃったりしてる?」
「そんなことありません!!!」
少し寂しそうに微笑みながら紡がれた夫の言葉を青髪淑女は強い口調で否定した。
「蒼太さんに飽きるなんて、絶対に有り得ません。私、いつもドキドキしてて。今日だってこんなに・・・!!!」
「・・・・・」
そう言ってアウロラは青年の掌を自分の胸へと押し当てた。
「特にあなたに見つめられると、それだけで私。私・・・!!!」
“幸せです!!!”と熱く潤んだ青空色の瞳で夫の事を見やりつつ、アウロラは心底嬉しそうにそう応えた、それに対して。
「・・・アウロラ。僕はね?君が思っている程善良な人間では無いよ?」
「そんな、そんな事って・・・!!!」
「君に言えない秘密だってまだまだいっぱい抱えているし・・・。一応、頑張って善行は積むようにしているんだけれどね?それでも1回、地獄に落ちた位で足りるかどうか・・・!!!」
「そんな。それなら・・・!!!」
アウロラは身を乗り出して言い放った、“私も一緒に地獄に落ちます!!!”と真面目な顔でそう述べ立てて。
「蒼太さんが地獄に行くわけ、無いじゃないですか。あなたはとっても素晴らしい人だもの、私に愛と勇気を与えてくれたし、夢と希望を授けてもくれた。だけどもし、もし本当にあなたが地獄に落とされるのならば、その時は私も一緒に地獄に落ちます!!!」
「・・・・・っ。アウロラ」
蒼太は暫く、神妙そうな面持ちのままでそんな彼女を見つめ続けていたのだが、やがて“はぁ・・・っ!!!”と腹の中から一つ、溜息を吐き出して来る。
「・・・君を地獄に落とす様な真似は出来ないな!!!」
“出来る限り頑張るよ”と蒼太はそれでも、何処か困った様な顔付きとなりながら口を開いた。
「取り敢えず、寄付とか募金とか。これからも活動を続けて行くよ、出来る所からやっていくようにするから・・・」
「・・・・・っ!!!」
「なるべく善行を積み重ねて、罪を贖って。皆で一緒に天国に行けるようにしようね?アウロラ。これからもよろしくね!!!」
「・・・ぷっ。あははははははっ!!!」
“ボランティアとかも、やった方が良いのかな・・・?”等とブツブツとのたまっていた夫の仕草や行動に、アウロラは堪らない程の愛しさと同時に滑稽さを感じてつい、吹き出してしまう。
「・・・なんだよ、もう。別に笑わなくても良いだろ?こっちは割かし本気なんだから!!!」
「あはははっ。ご、ごめんなさい蒼太さん。でもなんだか面白くって・・・!!!」
そう言って屈託無く笑う青髪淑女を見つめつつ、蒼太は内心で“アウロラには敵わないな”と思い、片腕で彼女を抱き寄せるともう片方の腕で再び酒の注がれているグラスを取り寄せ、そのままウィスキーを美味しそうに口へと流し込んだ。
時間は深夜の静寂の中、既に大勢の人々が暖かな布団に包まって思い思いの夢物語に現を抜かしていた、そんな折ー。
広大な敷地面積を誇るフォンティーヌ邸の4階部分、一族の寝室が配されている一角にそれはあった。
蒼太専用の書斎であるが、勉強熱心な彼は任務や旅先から戻る度に自分が体験した事や見聞きした事、また未知の現象等を詳しく書き記す事を日課にしていたのである。
もっとも今、彼が満喫しているのは辛くて厳しい任務の記録を綴っていたのでは決して無かった、エルヴスヘイム製の“南極純氷”をロック・アイスにして入れたグラスに酒を注いでは自らの五臓六腑に流し込み、己自身と対話をしつつも心を潤し続けていたのだ。
「・・・・・」
カラン、カランと音を立てて回る氷を、更に激しく手でグラスごと振り回して揺さ振りながら、青年は様々な事に思いを馳せる。
メリアリアの事やアウロラの事、そしてオリヴィアの事にそれぞれの花嫁達との間に生まれた我が子達の事。
更には自身の義実家の事等に付いて様々な考えを巡らせているのだが、絶え間ない自己分析と想念観察によって“自分とは何か”、“自分自身を愛するとはどう言う事なのか”を悟った彼は自分に対する理解が進んでその結果、人よりも使える精神の領域や感覚が拡大して霊感が働くようになっていた、そのため。
今やその自我を、例えばメリアリアならばメリアリア、アウロラならばアウロラ、と言うように特定の人物に集中して向けるだけでその人物の反応パターンが意識の連続体として感じ取れるようになり、“こう言ったらこの人はこう言う反応を返すだろう、だからこう応じれば良い”と言う事が瞬時に理解出来るようになっていたのだ。
それはつまり、本物のメリアリア達以外にも、彼の中にもメリアリアやアウロラ、オリヴィアらが居る事を意味しているのであって、彼はつまりそう言った“自分の中の彼女達”とお話をしていたのである、そこへー。
「・・・んん?」
廊下から誰かが、自分の元に近付いて来る気配を感じて蒼太は部屋の出入り口に視線を集中させるモノの、するとー。
「あっ。蒼太さん・・・!!!」
「アウロラか・・・」
ギイィィッと重厚そうな造りの木製の大扉の内、片方が開いてそこには青年の可愛い青髪淑女がホッとしたような顔を覗かせていた。
昨夜は彼女と深くまで愛し合い、気絶するまでイカせ続けたのだがそのまま眠りに就いてしまったアウロラを見ている内に自身も瞼が重くなって来た蒼太は傍で横になって夢の世界へとトリップしていたのである。
ちなみに蒼太は普段は万事穏やかで優しいし、それはどんな場面でも基本的には変わらないモノのエッチの最中は時折、人が変わったかの様に強く激しく花嫁達を責め立てて来る事があったがこれは果てしない安らぎに満ち満ちた愛情と、非常に心地好い官能とに浸っている彼女達にわざと“傷”と言う名の刺激を与える為に蒼太がやっている事だったのだ、それというのも。
通常、どんな女性もその本質的な部分ではどちらかと言えば“ネコ”でありM気質の持ち主なのであって、そんな彼女達をただ単に優しく愛でるだけでは忽ちの内に飽きられてしまい、結果として彼女達は常に物足りなさや鬱屈を抱えたまま日々を過ごす事になって行くのだ。
ではどうすれば良いのか、と言えばそれは決して独り善がりにならないように、かつまたやり過ぎないように注意しつつも、男の持つ荒々しさと逞しさとを感じさせ、存分に見せ付けた挙げ句に心や体に一生モノの傷跡を、それも継続的に付け続けるようにする事が必須なのであって、こうする事で夫婦の間に良い意味での刺激的な緊張感と“間”を持続させつつ、それらが妻をしていつまでもいつまでも夫に対する飽きない慕情を募らせて行く事に繋がるのであった。
「良いか?蒼太よ。女ってのはな、単に優しくされるだけよりも痛くされる方がより興奮して燃え上がる性質を持っているんだ!!!」
かつて蒼太が並行世界である“ガイア・マキナ”に飛ばされた際に、そこで出会った御年70歳になると言う海千山千の現役性豪ジジイに教えてもらった言葉であるが、それによるとー。
“単に優しくされるだけのエッチよりも、痛くて激しくて気持ち良い方が女の中で思い出として残りやすいのだ”との事であり、続けて彼はこう言った、“女を快楽漬けにして調教しろ”、“性感帯に気持ち良い痛みを連続して与えるようにするんだよ”と、“女の尊厳を踏み躙って心と体に一生モノの疵痕を残すのだ”と。
「そうすりゃ女は良くも悪くもお前の事が忘れられなくなる、何があっても決してな。その為には精々、色んな女を抱きまくってまずは経験を積めや。この俺みたいにな!!!」
「・・・要するに誰彼構わず“やりまくれ”って事なんだろ?良いよ別に、そんな事しなくたって!!!」
“余計なお世話だよ!!!”とその時はそう言って突っぱねた蒼太だったが彼には元から天然ドSの気質があって、それが歳と共に開花して来た、と言う訳である、その証拠にー。
彼は幼い頃からメリアリアとのエッチを繰り返して来たわけであったがその時から彼女が感じながらも苦しそうにしているのを見ると、何やら腹の底からムラムラ、ムズムズとして来るのをどうしても止められず、またメリアリアが行為の最中に恥じらいつつも“蒼太のこれを私のここにちょうだい・・・?”と告げると“メリー、これとかここじゃ解らないよ。ちゃんと言ってくれなきゃね?”とちょっとだけ意地悪をしてみたくなる時が何度かあったのだ。
最初の内は思い返して“メリーに甘えていたのかな?”等と呑気に構えていた蒼太であったがその内に。
逢瀬を繰り返して徐々に熱く激しく身悶えて行くメリアリアを見ている内に、段々と蒼太は彼女の事を“もっと滅茶苦茶にしたい”と、つとに思うようになっていった、“もっと感じさせてグチョグチョにさせたい、頭がおかしくなる位にまでイキ狂わせたい!!!”と。
そしてその上で“淫らに乱れたメリアリアと壊れるまで愛し合い、一つになり尽くして溶け合いたい”と、そこまで求めるようになってしまっていたのであるが、その一方で。
蒼太のそんな激情を感じ取ると同時に本人からも直に告げられたメリアリアは最初こそ驚愕したモノの、それと同時に際限なく湧き上がって来る愛しさと喜びの余りに我を忘れて夫の事を貪るようになっていった、それというのも。
元から蒼太に対してどこまでも純情で一途でいじらしくて健気な思いを抱いていた彼女は、この時既に彼に負けない位にまでの凄絶極まる狂愛と純慕とを青年に対して持ち合わせていたのであり“一緒に壊れて一緒に乱れて、最後は一つになり尽くす”、“蒼太と二人でグチョグチョになる”、“いつまでもいつまでも、永遠に”と言う、ある意味では蒼太本人よりも遥かに甘くて危険な願望をその胸の内に秘めていたのだ、それ故にー。
歳が行くに従って多少、病み始めていった愛妻淑女の“確かなる気持ち”は特に、子供が産まれてからはますます過熱の一途を辿って行ったが蒼太のそうした性癖や思想、愛し方はメリアリアのみならずアウロラやオリヴィアにも深く刺さる事となり、結果彼女達の情念をも熾烈なまでに燃え上がらせる事となった。
そのアウロラが。
「・・・・・」
「蒼太さん、あなた・・・っ!!!」
蒼太の元へとやって来た、その頬は薄紅色に紅潮してり瞳は大好きな人をもっと良く見ようと瞳孔が開いていつもより多くの光を反射し、キラキラと輝いていた。
「あなた、有り難う。父を、エリオットを助けて下さって・・・」
「・・・なに、礼を言うのは僕の方さ。結局あの後、お義父さん達に裏から手を回して事件を隠匿してもらったしなぁっ!!!」
「格好良いです、あなた・・・」
アウロラは尚も情熱的に蒼太に迫って来る。
「あなたはやっぱり私の王子様です、ヒーローです。私達の、ううん。私だけの大切な、大切な・・・っ!!!」
「・・・・・」
心底惚れ抜いている表情でそう告げるアウロラに対して、それを聞いた蒼太は優しい笑みを浮かべて告げた、“おいで?アウロラ・・・”と。
「こっちにおいでよ、アウロラ。一緒に飲むかい?」
「・・・・・っ。は、はいっ!!!」
蒼太に誘われるままに、アウロラは静かにしかし、急いで彼の元へと馳せ参じるとソファに腰掛けている彼の逞しい肉体にソッと自らの肢体を寄り添わせて抱き着き、撓垂れ掛かるようにする。
「だけどアウロラ、大丈夫かい?君はお酒あんまり強く無いから無理はしないでね・・・?」
「むーっ、大丈夫ですっ。もうっ、あなたったら。子供扱いして・・・っ!!!」
頬を膨らませて怒る仕草をするとアウロラは蒼太の手の中にあったグラスを受け取り己の口内へと琥珀色をした芳醇な液体を流し込んだ。
「くはー・・・っ!!!」
「・・・・・っ!!?」
その飲みっぷりに、蒼太は思わず絶句してしまった、間違っても感心したのでは無い、別の意味で驚愕してしまったのだ。
「ア、アウロラ。本当に大丈夫・・・?これ、甘口だけどアルコール度数はそれなりにキツいよ・・・?」
「・・・へ、平気です。これ位っ!!!だけどこれ、美味しいですね?バニラの様な風味がします」
「“クライヌリッシュの14年モノ”だよ?ちょっと値段は張るんだけど、甘口でとっても飲みやすいんだ・・・!!!」
「・・・知らない銘柄ですけど。凄く気に入りました、私の好みの味です!!!それに、これ・・・」
そう言うとアウロラはグラスの中で転がり続けている青く輝くロックアイスに目をやった。
「青い氷なんて、初めてです。私の知っているモノはどれもこれも半透明だったり白かったりするのに・・・」
「あはは・・・。これはね?エルヴスヘイムの南極にある、2000000年前に出来た氷河を削って持って来た氷さ。自然が作り出した混じりっ気なしの“純氷”だよ?この氷はね、アウロラ。僕らの暮らす現実世界でもそうらしいんだけれども、煌めく蒼光色をしているらしいんだ・・・」
蒼太が説明すると、アウロラは“キレイ・・・”とウットリとしながら声を発した。
「こんな不思議な氷が、存在しているなんて・・・っ。私、エルフの世界に行けて良かったです!!!」
「あはは、そっか・・・」
「あの時の蒼太さん、凄く格好良かったですよ?伝説にある“白の魔法使い”みたいでした・・・!!!」
「あはは・・・。有り難う、アウロラ。だけど君も凄く美しくてキレイで、とっても可愛らしかったよ?」
「・・・・・っ。そ、蒼太さん。私」
「うん・・・」
「私、いつもいつも引っ込み思案でオドオドしてて。いつか蒼太さんに嫌われてしまうんじゃ無いかって、心配してて・・・!!!」
「そんな事あるわけ、ないじゃないか!!!」
するとその言葉を聞いた途端に蒼太がグラスをテーブルに置いて、両手で彼女を抱き締める。
「あ・・・っ!!!」
「アウロラはね?僕の為に、僕だけの為に生まれて来てくれた女の子なんだよ?僕と一緒に生きる為に生まれて来てくれた女の子なんだよ?その証拠に今までいっぱい、色んな思い出を作って来たじゃないか、共に過ごして来たじゃないか!!!」
「蒼太さん・・・っ!!!」
「一緒に色んな冒険をしたじゃないか。色んな場所に行って、色んなモノを見て・・・。同じ痛みも苦しみも、愛も悲しみも分かち合って来たじゃないか・・・。嫌うなんて有り得ないよ!!!」
「そ、蒼太さん・・・!!!」
「君の方こそ、どうなのさ。もう僕の事、飽きちゃったりしてる?」
「そんなことありません!!!」
少し寂しそうに微笑みながら紡がれた夫の言葉を青髪淑女は強い口調で否定した。
「蒼太さんに飽きるなんて、絶対に有り得ません。私、いつもドキドキしてて。今日だってこんなに・・・!!!」
「・・・・・」
そう言ってアウロラは青年の掌を自分の胸へと押し当てた。
「特にあなたに見つめられると、それだけで私。私・・・!!!」
“幸せです!!!”と熱く潤んだ青空色の瞳で夫の事を見やりつつ、アウロラは心底嬉しそうにそう応えた、それに対して。
「・・・アウロラ。僕はね?君が思っている程善良な人間では無いよ?」
「そんな、そんな事って・・・!!!」
「君に言えない秘密だってまだまだいっぱい抱えているし・・・。一応、頑張って善行は積むようにしているんだけれどね?それでも1回、地獄に落ちた位で足りるかどうか・・・!!!」
「そんな。それなら・・・!!!」
アウロラは身を乗り出して言い放った、“私も一緒に地獄に落ちます!!!”と真面目な顔でそう述べ立てて。
「蒼太さんが地獄に行くわけ、無いじゃないですか。あなたはとっても素晴らしい人だもの、私に愛と勇気を与えてくれたし、夢と希望を授けてもくれた。だけどもし、もし本当にあなたが地獄に落とされるのならば、その時は私も一緒に地獄に落ちます!!!」
「・・・・・っ。アウロラ」
蒼太は暫く、神妙そうな面持ちのままでそんな彼女を見つめ続けていたのだが、やがて“はぁ・・・っ!!!”と腹の中から一つ、溜息を吐き出して来る。
「・・・君を地獄に落とす様な真似は出来ないな!!!」
“出来る限り頑張るよ”と蒼太はそれでも、何処か困った様な顔付きとなりながら口を開いた。
「取り敢えず、寄付とか募金とか。これからも活動を続けて行くよ、出来る所からやっていくようにするから・・・」
「・・・・・っ!!!」
「なるべく善行を積み重ねて、罪を贖って。皆で一緒に天国に行けるようにしようね?アウロラ。これからもよろしくね!!!」
「・・・ぷっ。あははははははっ!!!」
“ボランティアとかも、やった方が良いのかな・・・?”等とブツブツとのたまっていた夫の仕草や行動に、アウロラは堪らない程の愛しさと同時に滑稽さを感じてつい、吹き出してしまう。
「・・・なんだよ、もう。別に笑わなくても良いだろ?こっちは割かし本気なんだから!!!」
「あはははっ。ご、ごめんなさい蒼太さん。でもなんだか面白くって・・・!!!」
そう言って屈託無く笑う青髪淑女を見つめつつ、蒼太は内心で“アウロラには敵わないな”と思い、片腕で彼女を抱き寄せるともう片方の腕で再び酒の注がれているグラスを取り寄せ、そのままウィスキーを美味しそうに口へと流し込んだ。
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「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
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