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神世への追憶編
真夏のメリークリスマス
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読者の皆様方こんばんは、ハイパーキャノンと申します。
申し訳御座いません、“数ヶ月後にまたお会いしましょう”等と申しましたが実はまだまだ“メサイアの灯火”で書き残した事はいっぱいあります。
なので物語の大筋自体は既に完結しておりますけれども今後は折りを見てちょこちょことその辺りの話を出して行ければ、等と考えております(ちなみに今後は戦闘よりも主にラブシーンを含めた蒼太君とメリアリアちゃん、アウロラちゃん、オリヴィアちゃん達の日常にフォーカスを当てて行きたいと思っております)。
定期連載と言うよりも適度に休みを取りつつ、自分に無理の無いペースでやって行きたいと思います、どうかもう暫くの間はお付き合いいただけましたなら幸いです。
敬具。
ハイパーキャノン。
ーーーーーーーーーーーーーー
「私っから~メリークリスマス、あなたっから~メリークリスマス。サンタクロースイズカミングヒア~ッ♪♪♪」
「・・・・・っ!?!?!?」
「・・・ちょ、おい待てやノエルさん。あんた今何月だと思ってやがる!!!」
ゾルデニール達との戦いを終えてから、更に10日間程経ったある日。
相変わらずのハイテンションで朝早くから遊びに来たノエルに対してメリアリアがまず頭を抱え、蒼太がジト目を向けつつ突っ込みを入れるがなんとこのクソ暑い最中にも関わらずに彼女は真っ赤なサンタクロースの衣装に身を包み、自分の背丈程もある布で出来た巨大な袋を肩に担いで来訪したのだ。
「メリークリスマス。ソー君、メリアリアちゃん!!!」
「・・・・・」
「・・・このクソ暑い中、季節を二つもすっ飛ばして何やってんですか?あんたは!!!」
「あん、怒らないで?ソー君。私これでも精一杯のお祝いの気持ちを込めているんだから!!!」
そう言うとノエルは早速持ってきたハイクラスのシャンパンと大型の高級ショートケーキ、そしてブランド物の鳥の丸焼きを今現在蒼太の暮らしているセイレーン隊員寮のダイニングキッチンに設置されているテーブルの上に並べ始めていった。
「・・・・・っ。ち、ちょっとちょっと。ノエル、ノエルったら!!!」
「何ですか?この御馳走の群れは、一体・・・!!!」
「何って・・・。遂に宿敵であるゾルデニールを討ち破った訳でしょ?これで世の中が平和になる事に対しての障害は綺麗さっぱり取り除かれた事だし。ここは一つ、お祝いをしなくちゃなって思ってさ!!?」
驚き戸惑う夫婦に対して明るくて無邪気な笑みを浮かべたままそう応える、この年上のゆるフワピンクな友人はその後も“勝手知ったる他人の家”を家捜ししてはスプーンにフォーク、お皿などを次々と準備しては蒼太達の眼前に並べて行く。
「えへへへ~っ。ここの料理美味しいんだよ~っ(*^▽^*)(*^▽^*)(*^▽^*)それとねぇ~、この衣装って滅茶苦茶暑そうに見えるけれども冷風ファンが二つも付いてるから真夏でも蒸れずに涼しいんだぁ~っ(≧∇≦)b(≧∇≦)b(≧∇≦)b」
“特注で作ってもらったの~っ(*´▽`*)(*´▽`*)(*´▽`*)”等と言いつつもパーティーの準備を進めて行くノエルであったが、その光景を神妙そうな面持ちのまま蒼太達が眺めているとー。
外から知っている人の気配がすると同時にインターフォンが鳴り響き、蒼太とメリアリアとがモニター越しに確認してみる、すると。
そこにはアウロラとオリヴィアの姿が映し出されており、慌てて二人は施錠を解いて彼女達を迎え入れた。
「ああっ。メリアリアさんっ!!!」
「やっぱり来ていたんだな?部屋に行ってもいなかったからもしかしたらと思っていたけれども・・・!!!」
「・・・・・」
(まあ“来ていた”と言うよりも。昨日は蒼太の所に泊まったんだけどね・・・?)
“だって私達夫婦だし、愛し合っているんだもん・・・!!!”と胸の内でそう告げるメリアリアはまるで二人に見せ付けるかのようにして青年にピタリと寄り添いつつも、その腕に自らのそれを絡み付かせた。
「ああっ!!?な、何をしているんですかっ、メリアリアさん!!!」
「コラッ。メリアリア離れろっ!!!君はもう充分に蒼太との時間を堪能したのだろうが。・・・っと、先客か?」
「ヤッホー、アウロラちゃんにオリヴィアちゃん。こんにちわ~っ(∩´∀`∩)(∩´∀`∩)(∩´∀`∩)」
そう言って更にサンタクロース姿のまま“メリークリスマス!!!”とのたまうノエルに流石の二人も目を白黒させて固まってしまった、蒼太達がそうだったように事態が全く飲み込めずにいたのだ。
「メ、メリークリスマス!?!?!?一体全体何なのですか?これは・・・!!!」
「ど、どうしてメリークリスマス・・・?と言うよりも何なのですかプリンセス、その出で立ちは!!!」
「なにって・・・。本当に知らないの?オリヴィアちゃん。これはサンタクロースって言ってね?良い子にしていると年に1回、プレゼントを持って来てくれるのよ?」
「そんな事は聞いていません。と言うよりも知っています、それぐらい!!!私が言っているのは何で8月の暑い最中にわざわざそんな分厚い服を着込んでいるのか、と言う事です!!!」
「あん、怒らないで?オリヴィアちゃん。これはね?お祝いの証なの、ソー君達は頑張ってゾルデニール一味を打倒してくれたでしょ?そのお祝いをするためにこうやってわざわざやって来たのーっ(//∇//)(//∇//)(//∇//)」
「・・・来たのーっ(//∇//)(//∇//)(//∇//)じゃないですよ、来たのーっ(//∇//)(//∇//)(//∇//)じゃ!!!」
堪らなくなって蒼太が突っ込みを入れた、彼としてみればこの場を何とかして収めたいと思っていた、と言うのもある程度予想はしていたモノの、やはりオリヴィアとノエルは相性があまりよろしく無いようであり、互いに傷付け合うような展開になってしまう前に何とかして両者を取り繕う事を試みる。
「ノエルさん、お気持ちだけいただいておきます。そもそもまだ本当に平和な世の中が到来した訳じゃ無いですし、やる事は山積みに残っています。流石にこの段階でのお祝いは・・・!!!」
「でもさでもさ。目出度い事があったならまずは皆でお祝いするのって験担ぎになるじゃない?それに未来に対してのお祝いならば縁起が良い事この上無いし、まずはお祝いするのって大事だと思うな~っ( ̄∇ ̄)( ̄∇ ̄)( ̄∇ ̄)」
「それは・・・っ。確かにそうですけれども・・・!!!」
「それにもう、材料買っちゃったモン。今更返せないし・・・。それに私一人じゃ食べきれないもん、皆で楽しく食べようよ。ねっ、ねっ!!!」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「う~ん・・・」
そう言われると誰もが返答に困ってしまうが確かに縁起を担ぐのは大切な事をだし食べ物を粗末にするのはよろしく無い。
かと言って蒼太達から見たらとてもの事、現状でバカ騒ぎをする気にはならなかった、何故ならばあの後。
ゾルデニールを滅した後でエイジャックスを始めとした“反ガリア同盟”は事実上の崩壊の憂き目にあって瓦解して行き、各国の関係は正常化の一途を辿っていた、それは良かったのだが長く続いたそれぞれの国同士の確執は容易に解けるモノでは無くて、ルテティアを始めとしたガリア帝国の街中や郊外では工作員や魔術師同士の戦闘の後と見受けられる痕跡が彼方此方に散乱していたのだ。
現に蒼太達も1週間程前には国境付近でのプロイセンに所属する魔法騎士団とセイレーン隊員とのいざこざを鎮圧する任務を与えられてそれを果たし、帰還して来たばかりであったから、とてもの事ゾルデニール抹殺を手放しで喜んでは居られない状況だったのである。
「ノエルさん、解っている筈だとは思いますがまだ戦闘は終わっていません。今後に向けた課題も山積していますし、とてもではありませんがこの状況からで全てを忘れてハッピーになるような事は・・・」
「だからやるんじゃん、ソー君!!!」
するとそこまで蒼太が自身の考えを述べた時、珍しくノエルが毅然とした態度で言い放った。
「だからこそ。一つの節目が終わったらお祝いしなくちゃ行けないんだよ?ソー君。それでまずは今現在を幸せにして、皆の英気を養うの。それが出来て初めて次の瞬間も、その次の瞬間もハッピーな現実を作って行けるんじゃないかしら・・・」
「・・・・・」
その言葉に青年はまたしても黙りこくってしまった、成る程正論である、普段はおちゃらけているノエルであったが本当に時たま“真理”を口にする事があり、そしてそれを否定する訳にはいかない為に蒼太は沈黙を持って応えざるを得なかったのであった。
「ねっ?ソー君。だから皆でお祝いしよ?もう準備もしちゃったしさぁ・・・っ(^∇^)(^∇^)(^∇^)」
「・・・・・」
「ねっ?ソー君。良いでしょ?」
「う、うーん・・・!!!」
「ねっ?ソー君。や・ら・な・い・か?」
「言い方っ!!!」
蒼太が思わず絶叫した。
「言い方っ。そう言う所なんですよ、ノエルさんは全くもうっ!!!」
そう述べ立てると蒼太は思わず“はぁ・・・っ!!!”と大きな溜息を付いた、せっかく珍しく良い事を言ったと思ったら台無しでは無いか。
「はぁ・・・っ!!!もう良いですよ、解った。解りました、やりましょう。せっかくここまで用意してくれたんだし。それに・・・」
“皆も集まってくれたんだしね・・・?”と言って花嫁達の顔を見やると皆多少困ったような笑みを浮かべて此方を見ている。
どうやら“しょうがないかな・・・?”等と思っている様子であるが、果たして。
「ヤッターッ!!!」
それに対してノエルだけは一人燥いで着々と準備を進めて行った、お祭り好きの彼女はなんだかんだ言ってはお祝い事をしたがるのであり、それは昔から変わらない。
だけど。
(・・・まあでも。確かにたまには良いかな?皆で楽しくお祝い事をしても、決してバチは当たらない筈さ!!!)
“ねえ神様?”と心の中で健御雷神に尋ねてみるとー。
神がニッコリと微笑んでくれたように、蒼太には感じられた。
ーーーーーーーーーーーーーー
次回から一気に世界が十年後にまで飛びます(章も新しくなります)、それに関連した事なのですが。
イラストを何とかして挿入したいんです・・・。
だけどその為にはどうしても時間が掛かります、御了承下さいませ(実は金銭面ではかなりサービスして下さっておられるんですよね、“焼きそばパン太郎&ネギトロ子”様は。だからとっても助かっているのですが、と言ってもやはり無料と言う訳には参りませんので時間や手間暇等掛かるモノは掛かるのです)。
申し訳御座いません、“数ヶ月後にまたお会いしましょう”等と申しましたが実はまだまだ“メサイアの灯火”で書き残した事はいっぱいあります。
なので物語の大筋自体は既に完結しておりますけれども今後は折りを見てちょこちょことその辺りの話を出して行ければ、等と考えております(ちなみに今後は戦闘よりも主にラブシーンを含めた蒼太君とメリアリアちゃん、アウロラちゃん、オリヴィアちゃん達の日常にフォーカスを当てて行きたいと思っております)。
定期連載と言うよりも適度に休みを取りつつ、自分に無理の無いペースでやって行きたいと思います、どうかもう暫くの間はお付き合いいただけましたなら幸いです。
敬具。
ハイパーキャノン。
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「私っから~メリークリスマス、あなたっから~メリークリスマス。サンタクロースイズカミングヒア~ッ♪♪♪」
「・・・・・っ!?!?!?」
「・・・ちょ、おい待てやノエルさん。あんた今何月だと思ってやがる!!!」
ゾルデニール達との戦いを終えてから、更に10日間程経ったある日。
相変わらずのハイテンションで朝早くから遊びに来たノエルに対してメリアリアがまず頭を抱え、蒼太がジト目を向けつつ突っ込みを入れるがなんとこのクソ暑い最中にも関わらずに彼女は真っ赤なサンタクロースの衣装に身を包み、自分の背丈程もある布で出来た巨大な袋を肩に担いで来訪したのだ。
「メリークリスマス。ソー君、メリアリアちゃん!!!」
「・・・・・」
「・・・このクソ暑い中、季節を二つもすっ飛ばして何やってんですか?あんたは!!!」
「あん、怒らないで?ソー君。私これでも精一杯のお祝いの気持ちを込めているんだから!!!」
そう言うとノエルは早速持ってきたハイクラスのシャンパンと大型の高級ショートケーキ、そしてブランド物の鳥の丸焼きを今現在蒼太の暮らしているセイレーン隊員寮のダイニングキッチンに設置されているテーブルの上に並べ始めていった。
「・・・・・っ。ち、ちょっとちょっと。ノエル、ノエルったら!!!」
「何ですか?この御馳走の群れは、一体・・・!!!」
「何って・・・。遂に宿敵であるゾルデニールを討ち破った訳でしょ?これで世の中が平和になる事に対しての障害は綺麗さっぱり取り除かれた事だし。ここは一つ、お祝いをしなくちゃなって思ってさ!!?」
驚き戸惑う夫婦に対して明るくて無邪気な笑みを浮かべたままそう応える、この年上のゆるフワピンクな友人はその後も“勝手知ったる他人の家”を家捜ししてはスプーンにフォーク、お皿などを次々と準備しては蒼太達の眼前に並べて行く。
「えへへへ~っ。ここの料理美味しいんだよ~っ(*^▽^*)(*^▽^*)(*^▽^*)それとねぇ~、この衣装って滅茶苦茶暑そうに見えるけれども冷風ファンが二つも付いてるから真夏でも蒸れずに涼しいんだぁ~っ(≧∇≦)b(≧∇≦)b(≧∇≦)b」
“特注で作ってもらったの~っ(*´▽`*)(*´▽`*)(*´▽`*)”等と言いつつもパーティーの準備を進めて行くノエルであったが、その光景を神妙そうな面持ちのまま蒼太達が眺めているとー。
外から知っている人の気配がすると同時にインターフォンが鳴り響き、蒼太とメリアリアとがモニター越しに確認してみる、すると。
そこにはアウロラとオリヴィアの姿が映し出されており、慌てて二人は施錠を解いて彼女達を迎え入れた。
「ああっ。メリアリアさんっ!!!」
「やっぱり来ていたんだな?部屋に行ってもいなかったからもしかしたらと思っていたけれども・・・!!!」
「・・・・・」
(まあ“来ていた”と言うよりも。昨日は蒼太の所に泊まったんだけどね・・・?)
“だって私達夫婦だし、愛し合っているんだもん・・・!!!”と胸の内でそう告げるメリアリアはまるで二人に見せ付けるかのようにして青年にピタリと寄り添いつつも、その腕に自らのそれを絡み付かせた。
「ああっ!!?な、何をしているんですかっ、メリアリアさん!!!」
「コラッ。メリアリア離れろっ!!!君はもう充分に蒼太との時間を堪能したのだろうが。・・・っと、先客か?」
「ヤッホー、アウロラちゃんにオリヴィアちゃん。こんにちわ~っ(∩´∀`∩)(∩´∀`∩)(∩´∀`∩)」
そう言って更にサンタクロース姿のまま“メリークリスマス!!!”とのたまうノエルに流石の二人も目を白黒させて固まってしまった、蒼太達がそうだったように事態が全く飲み込めずにいたのだ。
「メ、メリークリスマス!?!?!?一体全体何なのですか?これは・・・!!!」
「ど、どうしてメリークリスマス・・・?と言うよりも何なのですかプリンセス、その出で立ちは!!!」
「なにって・・・。本当に知らないの?オリヴィアちゃん。これはサンタクロースって言ってね?良い子にしていると年に1回、プレゼントを持って来てくれるのよ?」
「そんな事は聞いていません。と言うよりも知っています、それぐらい!!!私が言っているのは何で8月の暑い最中にわざわざそんな分厚い服を着込んでいるのか、と言う事です!!!」
「あん、怒らないで?オリヴィアちゃん。これはね?お祝いの証なの、ソー君達は頑張ってゾルデニール一味を打倒してくれたでしょ?そのお祝いをするためにこうやってわざわざやって来たのーっ(//∇//)(//∇//)(//∇//)」
「・・・来たのーっ(//∇//)(//∇//)(//∇//)じゃないですよ、来たのーっ(//∇//)(//∇//)(//∇//)じゃ!!!」
堪らなくなって蒼太が突っ込みを入れた、彼としてみればこの場を何とかして収めたいと思っていた、と言うのもある程度予想はしていたモノの、やはりオリヴィアとノエルは相性があまりよろしく無いようであり、互いに傷付け合うような展開になってしまう前に何とかして両者を取り繕う事を試みる。
「ノエルさん、お気持ちだけいただいておきます。そもそもまだ本当に平和な世の中が到来した訳じゃ無いですし、やる事は山積みに残っています。流石にこの段階でのお祝いは・・・!!!」
「でもさでもさ。目出度い事があったならまずは皆でお祝いするのって験担ぎになるじゃない?それに未来に対してのお祝いならば縁起が良い事この上無いし、まずはお祝いするのって大事だと思うな~っ( ̄∇ ̄)( ̄∇ ̄)( ̄∇ ̄)」
「それは・・・っ。確かにそうですけれども・・・!!!」
「それにもう、材料買っちゃったモン。今更返せないし・・・。それに私一人じゃ食べきれないもん、皆で楽しく食べようよ。ねっ、ねっ!!!」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「う~ん・・・」
そう言われると誰もが返答に困ってしまうが確かに縁起を担ぐのは大切な事をだし食べ物を粗末にするのはよろしく無い。
かと言って蒼太達から見たらとてもの事、現状でバカ騒ぎをする気にはならなかった、何故ならばあの後。
ゾルデニールを滅した後でエイジャックスを始めとした“反ガリア同盟”は事実上の崩壊の憂き目にあって瓦解して行き、各国の関係は正常化の一途を辿っていた、それは良かったのだが長く続いたそれぞれの国同士の確執は容易に解けるモノでは無くて、ルテティアを始めとしたガリア帝国の街中や郊外では工作員や魔術師同士の戦闘の後と見受けられる痕跡が彼方此方に散乱していたのだ。
現に蒼太達も1週間程前には国境付近でのプロイセンに所属する魔法騎士団とセイレーン隊員とのいざこざを鎮圧する任務を与えられてそれを果たし、帰還して来たばかりであったから、とてもの事ゾルデニール抹殺を手放しで喜んでは居られない状況だったのである。
「ノエルさん、解っている筈だとは思いますがまだ戦闘は終わっていません。今後に向けた課題も山積していますし、とてもではありませんがこの状況からで全てを忘れてハッピーになるような事は・・・」
「だからやるんじゃん、ソー君!!!」
するとそこまで蒼太が自身の考えを述べた時、珍しくノエルが毅然とした態度で言い放った。
「だからこそ。一つの節目が終わったらお祝いしなくちゃ行けないんだよ?ソー君。それでまずは今現在を幸せにして、皆の英気を養うの。それが出来て初めて次の瞬間も、その次の瞬間もハッピーな現実を作って行けるんじゃないかしら・・・」
「・・・・・」
その言葉に青年はまたしても黙りこくってしまった、成る程正論である、普段はおちゃらけているノエルであったが本当に時たま“真理”を口にする事があり、そしてそれを否定する訳にはいかない為に蒼太は沈黙を持って応えざるを得なかったのであった。
「ねっ?ソー君。だから皆でお祝いしよ?もう準備もしちゃったしさぁ・・・っ(^∇^)(^∇^)(^∇^)」
「・・・・・」
「ねっ?ソー君。良いでしょ?」
「う、うーん・・・!!!」
「ねっ?ソー君。や・ら・な・い・か?」
「言い方っ!!!」
蒼太が思わず絶叫した。
「言い方っ。そう言う所なんですよ、ノエルさんは全くもうっ!!!」
そう述べ立てると蒼太は思わず“はぁ・・・っ!!!”と大きな溜息を付いた、せっかく珍しく良い事を言ったと思ったら台無しでは無いか。
「はぁ・・・っ!!!もう良いですよ、解った。解りました、やりましょう。せっかくここまで用意してくれたんだし。それに・・・」
“皆も集まってくれたんだしね・・・?”と言って花嫁達の顔を見やると皆多少困ったような笑みを浮かべて此方を見ている。
どうやら“しょうがないかな・・・?”等と思っている様子であるが、果たして。
「ヤッターッ!!!」
それに対してノエルだけは一人燥いで着々と準備を進めて行った、お祭り好きの彼女はなんだかんだ言ってはお祝い事をしたがるのであり、それは昔から変わらない。
だけど。
(・・・まあでも。確かにたまには良いかな?皆で楽しくお祝い事をしても、決してバチは当たらない筈さ!!!)
“ねえ神様?”と心の中で健御雷神に尋ねてみるとー。
神がニッコリと微笑んでくれたように、蒼太には感じられた。
ーーーーーーーーーーーーーー
次回から一気に世界が十年後にまで飛びます(章も新しくなります)、それに関連した事なのですが。
イラストを何とかして挿入したいんです・・・。
だけどその為にはどうしても時間が掛かります、御了承下さいませ(実は金銭面ではかなりサービスして下さっておられるんですよね、“焼きそばパン太郎&ネギトロ子”様は。だからとっても助かっているのですが、と言ってもやはり無料と言う訳には参りませんので時間や手間暇等掛かるモノは掛かるのです)。
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