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神世への追憶編
戦いの後
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「はぁーっ、はぁー・・・っ!!!」
「はあはあっ、はあはあ・・・っ!!!」
「ふうふうっ、ふうふう・・・っ!!!」
“うぐぅっ!!!”と肩で荒く息を付いたその後で苦しそうな、そして悔しそうな呻き声を発するレウルーラの面々を、蒼太達は眉1つ動かす事無く見つめ続けていた、既に勝敗は着いていた、まだまだ余裕のあるメリアリア達女王位と蒼太に対して超新星達は既に活動限界に達しており、力がどんどん流出してしまっていたのだ。
前線を張っていたマーガレットとルクレール、エヴァリナは勿論の事、後方支援を担当していたヴェルキナとリエラでさえも苦しそうな表情を浮かべていた。
「・・・・・」
(今回は余人を巻き込まないようにする為と、手っ取り早く決着を着けなければならなかったからここで決闘を申し込んだけれども・・・。もし本格的に市街戦を展開していたならヤバかったかも知れないな。特にあのリエラとか言う少女の力はスナイパーとしては突出したモノだった、引き金を引く直前まで殺気を抑えていられる上に、長距離精密狙撃に加えて瞬間移動まで出来るとあれば、本来姿を見せずに敵を仕留める事を生業としている狙撃手にはまさに打って付けの能力だからな・・・!!!)
“恐ろしい相手だった”とリエラに対してそんな事を思いつつもしかし、正直に言って蒼太は彼女に半ば激昂していた、理由は至って簡単で自分にとって一番可愛くて大切な愛妻であるメリアリアを撃ち殺そうとしていたからだ。
もしあの時、蒼太のガードが間に合わなければメリアリアはアソコで絶命していた可能性が極めて高かったのだが時空間歪曲フィールドを身に纏ったまま戦っていた彼女達が瞬間転移を発動させても高次元世界からこの3次元宇宙に実体化するまで気付くのは至難の業であり、現に蒼太はリエラの姿が掻き消えるのを目視で確認していたのと彼女がメリアリアの横に出現して来る際の“時空震”を感知していた為に咄嗟に対応する事が出来ていたのだ。
(殺気を確認出来たのはあるけれども・・・。正直に言ってそれから動いたのではとても間に合わなかっただろう、あの少女は危険過ぎる・・・!!!)
“もっとも”と青年は尚も考えを巡らせるが危険と言うのであれば今、目の前にいる“レウルーラ”全員がそうであり、一人として逃す訳には行かない相手である、特にルクレールとマーガレットの二人は蒼太ですら手に終えない程の機動力を有していて、現に彼は“極超新星”と化したルクレールの動きを途中から捉えきれず、マーガレットに至っては感覚の目を総動員させても尚も追い付けない位に凄絶なモノだったのである。
「・・・・・」
「あなた・・・?」
「蒼太さん・・・?」
「どうした?蒼太・・・」
そこまで思慮を重ねた後に、蒼太は改めて愛妻達へと目を向けるが後方支援をしていたアウロラはともかく、無傷であった者は青年本人を含めて存在していなかった、皆彼方此方に切り傷を負い、更に戦闘装束が切り刻まれていて傷跡が生々しい。
「・・・いいや、なんでも。君達が無事でいてくれて良かったと思っていたんだよ」
そう述べると蒼太は剣を構えてエヴァリナに向かった、まずは彼女を拘束しようと言うのだが最早、レウルーラ側にそれを阻止する戦力は残されていなかった。
「ぐ、ぐ・・・っ!!!」
「青天のエヴァリナ、君を拘束する。容疑は僕への殺人未遂と器物破損、そして他のセイレーン隊員達への公務執行妨害だ!!!」
そう言って特殊金属で生成されていた手錠を取り出して彼女の両手の手首に取り付けようとした、その時だ。
「・・・・・っ!!?」
(なんだ?誰かが近付いて来るのを感じる。えらく慌てているようだけれども・・・)
そう思い立って蒼太が気配がした方を見やるとマーガレット達が通ってきたここへと続く通路から、ハンドガンを携えた一人の男が姿を現した、蒼太はその男に見覚えがあった、日本を出立する少し前に、彼に決闘を申し込んで来た人物であったのだ。
「レイッ!!!」
「ボブ、どうしてここに!!?」
男性の声にルクレールが反応した、何故ならばその男性と言うのは彼女の婚約者にして幼馴染でもあるロバートに他ならなかったからである。
「ボブ・・・ッ。ダメ、早く逃げてっ!!!」
「ソウタ・アヤカベ。レイから離れろ。さもないと君を撃つ!!!」
「・・・やってみろ」
蒼太はにべも無く言い放った。
「悪いけど君の実力は知っている。仮に銃を使ったとしても僕には何ともないぞ・・・?」
「・・・本当に撃つぞ!!?」
「・・・・・」
蒼太は一瞬、逡巡したモノのエヴァリナよりも先にロバートを何とかする事にした、最早超新星達には逃げる力すらも残されてはいない様子である、後回しにしたとしても如何という事は無かった。
「・・・メリー、アウロラ。オリヴィア!!!」
「・・・・・っ!!!」
「・・・は、はいっ!!!」
「なんだ?蒼太・・・」
夫の呼ぶ声に花嫁達が反応するが、そんな彼女達に対して蒼太は告げた、“ロバートを制圧する”、“援護を頼む”と。
そう言い様に。
「・・・・・」
「・・・・・っ!!?」
蒼太はロバート目掛けて猛烈な勢いで接近していった、一応銃を警戒して真正面から突撃する事はせずに反復横跳びの要領でジワジワと距離を詰めて行く。
「・・・・・」
(リエラやヴェルキナは動かないか、やれやれだよ・・・!!!)
気掛かりだった二人の存在にも注意を払いつつ、尚もロバートに肉薄して行くと。
「ううっ。ク、クソ・・・ッ!!!」
そう呻き様にロバートは蒼太のいる場所へと向けて、自ら愛用のハンドガンを構えてぶっ放し始めた。
(・・・チューリッヒ製のグロックか。流石に良い命中精度を誇ってる。だけど)
弾道と弾丸とを見切りつつもある時は躱し、またある時は剣で弾いたり切り捨てたりしつつも蒼太は尚も全身を続けてとうとう己の間合いにロバートを捉える事に成功した、こうなると勝負は一方的である。
「ぐわぁ・・・っ!!!」
「ああ・・・っ!!!」
“ボブ!!!”とルクレールの悲痛な叫びがこだまするが蒼太は“斬鉄”を行ってグロックを切り破ると返す刀でロバート本人を剣の腹で強かに殴打した、勝負はアッサリと着いてしまった訳である。
「はあ・・・っ。これで逮捕者は21人目だな。大収穫だった・・・!!!」
そう言って蒼太は一人ごちつつロバートに手錠を掛けようとするモノの、そんな彼の背後から、凄まじい闘志と闘気が迸って来た、驚いた彼が思わずロバートから飛び退いて振り返るとそこでは。
「・・・ボブから離れなさい、ソウタ・アヤカベ!!!」
なんと心身共にボロボロの筈のルクレールが立ち上がって自分を睨み付けているでは無いか。
「・・・無謀だな、ルクレール。立っているのもやっとな筈だろうに」
「黙りなさい!!!」
幾許かの驚愕を覚えながらも、それでも尚も怪訝そうな面持ちを浮かべる青年に対してルクレールは鬼気迫る顔付きとなって絶叫した、“それ以上、その人に触れたら許さない!!!”とそう告げて。
「・・・・・」
「その人から離れなさい、ソウタ・アヤカベ。貴男の狙いは私達でしょう・・・!!!」
“そうか・・・”と蒼太は理解した、“ルクレールにとってこの男はそれほどまでに大切な存在なんだ・・・!!!”と言う事を。
(僕にメリーがいてくれたように・・・。このロバートと言う男にもルクレールがいるのか・・・!!!)
その事に思い当たってしまった時に、蒼太の脳裏にはありありとかつての自分達の情景が浮かんで来た、特に己が倒れ伏したる折に、何度となくメリアリアに助けられて来た場面が、である。
勿論、アウロラやオリヴィアにも支えられて来たけれどもそんな中でもとりわけ、彼にとって一番印象深かったのがまだ幼い時分、ヴェルキナとの戦いやカインとメイルの術中に陥ってしまった際の事だ、“あの時には本当に救われた・・・”と、青年はしみじみ感じていたのだ。
そう思い返して見てメリアリアの事を見やると彼女もまた同様の事を考えていたのだろう、困ったような笑顔を青年へと向けて来るが彼女にはこの一瞬で夫が何を考えていたのかが解ってしまった、彼はルクレールとロバートの中にかつての自分達の姿を見てしまっており、些か以上に打ちのめされてしまっていたのである。
「・・・行けよ」
「・・・・・っ。蒼太さん?」
「蒼太?何を・・・」
「さっさと行けっ!!!」
その言葉の意味が解らず戸惑うアウロラとオリヴィアを制しながらも蒼太はルクレール達に逃げるように促した、彼はとてものこと彼女達に止めを刺す気にはなれなかったし、また捕まえる気力も失せてしまっていた。
「蒼太さん、どうして・・・?」
「今やらないと・・・。次にまた襲われたなら勝てるかどうか解らないんだぞ!!?」
「・・・・・」
“あれは僕とメリーなんだ”と、悲痛な表情を浮かべて訴えて来るアウロラとオリヴィアとに蒼太は応えた、“僕とアウロラであり僕とオリヴィアなんだよ?”とそう言って。
「僕は君達に何度となく助けられて来た、僕がロバートだとしたならルクレールはメリーであり、アウロラでありオリヴィアでもあるんだ。そんな彼等に止めを刺す事なんて、僕には出来ない・・・!!!」
「・・・・・っ。そんな、それでも!!!」
「それとこれとは話が違うぞ?蒼太。君は・・・!!!」
「良いんじゃ無い?それで・・・」
それでも尚も追い縋って来たアウロラ達が、続けて何か述べ立てようとした、その時だ。
メリアリアが静かな笑みを浮かべつつも進み出て来て蒼太の左腕にソッと自身の両腕を巻き付ける、・・・まるで“解っているよ”とでも言うかのように。
「メリアリアさん!!?」
「メリアリア、何を言っているんだ!!!」
「私は。ううん、私達は何があってもあなたに付いて行くからね?愛してるわ、蒼太・・・!!!」
「・・・・・っ!!!」
「ぐ・・・っ!!!」
そう言って。
最愛の夫に口付けをするメリアリアの姿を見て、さしもの二人も押し黙るしか無かった、しかし。
“だけど”とそんな二人に聞こえない様な小声でメリアリアは続けて言った、“私が一番、誰よりも何よりもあなたの事を愛してるんだからね?”と、“だから後でいっぱい愛して?”とそう告げて。
「・・・ねっ?」
「・・・有り難う、メリー!!!」
愛妻淑女にそう礼を述べると蒼太は彼女にキスを返した、それで全ては決まった、他の女王位達や親衛隊の面々は特に賛成も反対もしなかった、彼女達は結局は、終始戦闘には参加しなかったから自分達に何も言う資格が無いと判断したようである。
「正直に言って脱出は至難の業だろうけど・・・。ここは見逃してやるよ、ルクレール。後は君達次第だ・・・」
“ただし”と蒼太は尚も彼女達に重ねて伝えた、“帰る前に幾つか尋問させてもらうぞ?”とそう続けて。
「まず今回の一連の事件はどうして起きた?なんで君達がわざわざ僕を抹殺する様な真似をしたのかが知りたい・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
“ガーター騎士団からの命令よ”と暫しの沈黙の後に、俯き加減でルクレールがそう応えた、“私達もそれ以上の詳しい理由は知らないわ・・・”とそう言って。
「ガーター騎士団の総長が、貴男の抹殺を直々に進言して女王陛下を動かされたそうよ?それで命令が下ったそうなの・・・」
「・・・・・」
(ガーター騎士団、か・・・)
“また焦臭くなって来たな”と青年は考えていた、ガーター騎士団についてはちょうど、今回の事件が始まる前にメリアリア達と話しをしていた最中の懸案事項だったのだが、こうなってはなるべく早い時期に本格的な調査に乗り出した方が良いのかも知れない。
「・・・ガーター騎士団の総長の名前は?一体何者なんだ、ソイツは」
「それは私達にも解らないわ」
とルクレールは正直に言い放った。
「ガーター騎士団は普段は王室の背後にいて、余程の事がない限りかは決して表に出て来る事は無いの。前回の時も今の女王陛下即位の時に“総長と思しき人物”がウェストミンスター寺院に顔を覗かせただけだった、と聞いているからその全貌は謎に包まれている、と考えて良さそうね・・・」
「・・・なるほどな。では君らはそのガーター騎士団が既にハウシェプスト協会によって乗っ取られてしまった事も知らない、と言う訳か?」
「何ですって?」
これには流石のルクレール達も目を丸くした、“ハウシェプスト協会”と言う名前は彼女達にも聞き覚えがあった、この世界を股に掛けて暗躍する秘密組織でその一切が謎に包まれている、とされている、怪しい宗教団体であった。
「触れる事がタブー視されているハウシェプスト協会を、あなた達が最近躍起になって追っている事は知っているわ?だけどそれがうちの騎士団とどう言う関係があると言うの?」
「僕も直接的に確認した訳では無いから、詳しい事は解らないんだけれども・・・。ガーター騎士団とハウシェプスト協会とは似たような教義や儀式、組織体系であったらしいんだ、そして何より2つの間にはもう1つの秘密結社“フリーピープルズ”とか“フリーメーソン”と呼ばれる集団が関わっている、とされている。そもそもがガーター騎士団はフリーピープルズの大本になったモノで両者には繋がりがあった、ところがそのフリーピープルズが19世紀末にハウシェプスト協会に乗っ取られてしまった際に一緒に内部が簒奪されてしまった、と言われているんだよ」
「嘘よ!!!」
ルクレールは叫んだ、“貴男は嘘を付いているわ!!?”とそう告げて。
「見損なわないでちょうだい?ガーター騎士団は大ブリテンを治めるエイジャックス連合王国の王室騎士団なのよ?それが薄汚い秘密結社に易々と乗っ取られる訳が・・・」
「・・・さっきも言ったがそれについては僕は何とも言えないよ。これはあくまで噂の領域を出ないモノだからね、ただね?ルクレール。僕らが確保したハウシェプスト協会の捕虜も同じ事を言っているんだ」
「・・・・・っ!!!」
「フリーメーソンを乗っ取った足でそのまま大本のガーター騎士団も、と言うのは有り得ない話では無い。ま、無事に帰れたなら君達も調べてみるんだな、ガーター騎士団の今現在を。なんなら“ロスチャイルド一族”よりも深い闇かも知れないけれど・・・」
そこまで言うと蒼太は“これ以上話していても無駄だろうな”と呟いて彼等を解き放った、正直に言って収穫は何も無かったモノの、ここはそれでも彼女達を撃退出来ただけでも“よし”としなければならない。
「ソウタ・アヤカベ」
「・・・・・?」
帰り際、ロバートと連れ立って歩き出そうとしたルクレールはふと思い出したかのように足を止めた。
「1つだけ、答えてちょうだい。どうして私達を無事に帰してくれる心積もりになったのか・・・」
「・・・そうだな」
少し考える振りをしてメリアリアを見てから蒼太は告げた、“ある人への真心さ”とそう述べて。
「それにルクレールとロバート、君達は互いに真心で思い合っているのが解った。そう言う人々を踏み潰すのは僕の望む所ではない・・・」
「・・・真心?」
「そうだ」
神妙な面持ちで聞き返して来たルクレールに対して蒼太は頷いてみせた、“君達の真心が僕にも伝わった、そう言う事だよ”とにべも無く続けて。
「君にとってロバートは掛け替えの無い、大切な人なんだろう?だったらお互いに誠意を尽くしていつも一緒にいなきゃね・・・」
「・・・・・」
それを聞いたルクレールは暫しの間、俯き加減で何事かを考えていたモノの、やがて顔を上げて言った。
「このまま帰るのは癪だわ?貴男に借りを作りたくない!!!」
そう述べ立てるとルクレールは彼女が身に付けていた、ルビーの様な赤い輝石が中央に据えてある金で彩られた不思議なネックレスを取り外して彼に手渡した。
「・・・それが“レウルーラの加護”の正体よ?これを持っていれば時空間歪曲フィールドが貴男を包んでありとあらゆる攻撃や衝撃から身を守ってくれるわ」
「・・・・・」
するとそれを見た他の超新星達もまた、次々に自らが身に付けていたネックレスを外して蒼太の元へと持って来る。
「どう使うかは貴様次第だ、ソウタ・アヤカベ。取り敢えずこれで礼はした・・・」
「マーガレット・・・」
最後に彼女達の首領であるマーガレットが蒼太へとネックレスを手渡しながら続けた。
「ファイブスターの形状に陣形を展開させてそれぞれを同調させ、発動すると効能を最大限に発揮させる事が出来る、とされている。もっとも我々もやった事は無いがな・・・!!!」
そう告げると“さらばだ”と言い放ってレウルーラの面々は気絶していた親衛隊を揺さ振り起こすとエレベーターからでは無くて蒼太の“波動真空呪文”によって穿ち抜かれた大穴から今度こそ外へと出て行った。
ーーーーーーーーーーーーーー
読者の皆様方、ここまでお付き合いいただきまして誠に有り難う御座いました。
大体あと8話~10話(早ければ5話)位で完結する予定ですのでもう暫くの間、お付き合い下さいませ(その後はおまけとして花嫁達との子作りエッチ編か、それかもしくは子供が産まれてから数年経った後の蒼太君とメリアリアちゃん、アウロラちゃん、オリヴィアちゃんの純愛イチャラブエッチなお話を書いていこうかと思っております←また出来ましたらもう1度だけ、イラストを複数枚投入してみたいな、等とも考えております。ただお金が掛かってしまいますのでその状況次第となります、どうぞ悪しからず御了承下さいませ)。
これまで沢山の応援やお気に入り登録等をいただきまして本当に有り難う御座いました、物凄い励みになりました(どうかあともう少しだけお付き合い下さいませ)。
「はあはあっ、はあはあ・・・っ!!!」
「ふうふうっ、ふうふう・・・っ!!!」
“うぐぅっ!!!”と肩で荒く息を付いたその後で苦しそうな、そして悔しそうな呻き声を発するレウルーラの面々を、蒼太達は眉1つ動かす事無く見つめ続けていた、既に勝敗は着いていた、まだまだ余裕のあるメリアリア達女王位と蒼太に対して超新星達は既に活動限界に達しており、力がどんどん流出してしまっていたのだ。
前線を張っていたマーガレットとルクレール、エヴァリナは勿論の事、後方支援を担当していたヴェルキナとリエラでさえも苦しそうな表情を浮かべていた。
「・・・・・」
(今回は余人を巻き込まないようにする為と、手っ取り早く決着を着けなければならなかったからここで決闘を申し込んだけれども・・・。もし本格的に市街戦を展開していたならヤバかったかも知れないな。特にあのリエラとか言う少女の力はスナイパーとしては突出したモノだった、引き金を引く直前まで殺気を抑えていられる上に、長距離精密狙撃に加えて瞬間移動まで出来るとあれば、本来姿を見せずに敵を仕留める事を生業としている狙撃手にはまさに打って付けの能力だからな・・・!!!)
“恐ろしい相手だった”とリエラに対してそんな事を思いつつもしかし、正直に言って蒼太は彼女に半ば激昂していた、理由は至って簡単で自分にとって一番可愛くて大切な愛妻であるメリアリアを撃ち殺そうとしていたからだ。
もしあの時、蒼太のガードが間に合わなければメリアリアはアソコで絶命していた可能性が極めて高かったのだが時空間歪曲フィールドを身に纏ったまま戦っていた彼女達が瞬間転移を発動させても高次元世界からこの3次元宇宙に実体化するまで気付くのは至難の業であり、現に蒼太はリエラの姿が掻き消えるのを目視で確認していたのと彼女がメリアリアの横に出現して来る際の“時空震”を感知していた為に咄嗟に対応する事が出来ていたのだ。
(殺気を確認出来たのはあるけれども・・・。正直に言ってそれから動いたのではとても間に合わなかっただろう、あの少女は危険過ぎる・・・!!!)
“もっとも”と青年は尚も考えを巡らせるが危険と言うのであれば今、目の前にいる“レウルーラ”全員がそうであり、一人として逃す訳には行かない相手である、特にルクレールとマーガレットの二人は蒼太ですら手に終えない程の機動力を有していて、現に彼は“極超新星”と化したルクレールの動きを途中から捉えきれず、マーガレットに至っては感覚の目を総動員させても尚も追い付けない位に凄絶なモノだったのである。
「・・・・・」
「あなた・・・?」
「蒼太さん・・・?」
「どうした?蒼太・・・」
そこまで思慮を重ねた後に、蒼太は改めて愛妻達へと目を向けるが後方支援をしていたアウロラはともかく、無傷であった者は青年本人を含めて存在していなかった、皆彼方此方に切り傷を負い、更に戦闘装束が切り刻まれていて傷跡が生々しい。
「・・・いいや、なんでも。君達が無事でいてくれて良かったと思っていたんだよ」
そう述べると蒼太は剣を構えてエヴァリナに向かった、まずは彼女を拘束しようと言うのだが最早、レウルーラ側にそれを阻止する戦力は残されていなかった。
「ぐ、ぐ・・・っ!!!」
「青天のエヴァリナ、君を拘束する。容疑は僕への殺人未遂と器物破損、そして他のセイレーン隊員達への公務執行妨害だ!!!」
そう言って特殊金属で生成されていた手錠を取り出して彼女の両手の手首に取り付けようとした、その時だ。
「・・・・・っ!!?」
(なんだ?誰かが近付いて来るのを感じる。えらく慌てているようだけれども・・・)
そう思い立って蒼太が気配がした方を見やるとマーガレット達が通ってきたここへと続く通路から、ハンドガンを携えた一人の男が姿を現した、蒼太はその男に見覚えがあった、日本を出立する少し前に、彼に決闘を申し込んで来た人物であったのだ。
「レイッ!!!」
「ボブ、どうしてここに!!?」
男性の声にルクレールが反応した、何故ならばその男性と言うのは彼女の婚約者にして幼馴染でもあるロバートに他ならなかったからである。
「ボブ・・・ッ。ダメ、早く逃げてっ!!!」
「ソウタ・アヤカベ。レイから離れろ。さもないと君を撃つ!!!」
「・・・やってみろ」
蒼太はにべも無く言い放った。
「悪いけど君の実力は知っている。仮に銃を使ったとしても僕には何ともないぞ・・・?」
「・・・本当に撃つぞ!!?」
「・・・・・」
蒼太は一瞬、逡巡したモノのエヴァリナよりも先にロバートを何とかする事にした、最早超新星達には逃げる力すらも残されてはいない様子である、後回しにしたとしても如何という事は無かった。
「・・・メリー、アウロラ。オリヴィア!!!」
「・・・・・っ!!!」
「・・・は、はいっ!!!」
「なんだ?蒼太・・・」
夫の呼ぶ声に花嫁達が反応するが、そんな彼女達に対して蒼太は告げた、“ロバートを制圧する”、“援護を頼む”と。
そう言い様に。
「・・・・・」
「・・・・・っ!!?」
蒼太はロバート目掛けて猛烈な勢いで接近していった、一応銃を警戒して真正面から突撃する事はせずに反復横跳びの要領でジワジワと距離を詰めて行く。
「・・・・・」
(リエラやヴェルキナは動かないか、やれやれだよ・・・!!!)
気掛かりだった二人の存在にも注意を払いつつ、尚もロバートに肉薄して行くと。
「ううっ。ク、クソ・・・ッ!!!」
そう呻き様にロバートは蒼太のいる場所へと向けて、自ら愛用のハンドガンを構えてぶっ放し始めた。
(・・・チューリッヒ製のグロックか。流石に良い命中精度を誇ってる。だけど)
弾道と弾丸とを見切りつつもある時は躱し、またある時は剣で弾いたり切り捨てたりしつつも蒼太は尚も全身を続けてとうとう己の間合いにロバートを捉える事に成功した、こうなると勝負は一方的である。
「ぐわぁ・・・っ!!!」
「ああ・・・っ!!!」
“ボブ!!!”とルクレールの悲痛な叫びがこだまするが蒼太は“斬鉄”を行ってグロックを切り破ると返す刀でロバート本人を剣の腹で強かに殴打した、勝負はアッサリと着いてしまった訳である。
「はあ・・・っ。これで逮捕者は21人目だな。大収穫だった・・・!!!」
そう言って蒼太は一人ごちつつロバートに手錠を掛けようとするモノの、そんな彼の背後から、凄まじい闘志と闘気が迸って来た、驚いた彼が思わずロバートから飛び退いて振り返るとそこでは。
「・・・ボブから離れなさい、ソウタ・アヤカベ!!!」
なんと心身共にボロボロの筈のルクレールが立ち上がって自分を睨み付けているでは無いか。
「・・・無謀だな、ルクレール。立っているのもやっとな筈だろうに」
「黙りなさい!!!」
幾許かの驚愕を覚えながらも、それでも尚も怪訝そうな面持ちを浮かべる青年に対してルクレールは鬼気迫る顔付きとなって絶叫した、“それ以上、その人に触れたら許さない!!!”とそう告げて。
「・・・・・」
「その人から離れなさい、ソウタ・アヤカベ。貴男の狙いは私達でしょう・・・!!!」
“そうか・・・”と蒼太は理解した、“ルクレールにとってこの男はそれほどまでに大切な存在なんだ・・・!!!”と言う事を。
(僕にメリーがいてくれたように・・・。このロバートと言う男にもルクレールがいるのか・・・!!!)
その事に思い当たってしまった時に、蒼太の脳裏にはありありとかつての自分達の情景が浮かんで来た、特に己が倒れ伏したる折に、何度となくメリアリアに助けられて来た場面が、である。
勿論、アウロラやオリヴィアにも支えられて来たけれどもそんな中でもとりわけ、彼にとって一番印象深かったのがまだ幼い時分、ヴェルキナとの戦いやカインとメイルの術中に陥ってしまった際の事だ、“あの時には本当に救われた・・・”と、青年はしみじみ感じていたのだ。
そう思い返して見てメリアリアの事を見やると彼女もまた同様の事を考えていたのだろう、困ったような笑顔を青年へと向けて来るが彼女にはこの一瞬で夫が何を考えていたのかが解ってしまった、彼はルクレールとロバートの中にかつての自分達の姿を見てしまっており、些か以上に打ちのめされてしまっていたのである。
「・・・行けよ」
「・・・・・っ。蒼太さん?」
「蒼太?何を・・・」
「さっさと行けっ!!!」
その言葉の意味が解らず戸惑うアウロラとオリヴィアを制しながらも蒼太はルクレール達に逃げるように促した、彼はとてものこと彼女達に止めを刺す気にはなれなかったし、また捕まえる気力も失せてしまっていた。
「蒼太さん、どうして・・・?」
「今やらないと・・・。次にまた襲われたなら勝てるかどうか解らないんだぞ!!?」
「・・・・・」
“あれは僕とメリーなんだ”と、悲痛な表情を浮かべて訴えて来るアウロラとオリヴィアとに蒼太は応えた、“僕とアウロラであり僕とオリヴィアなんだよ?”とそう言って。
「僕は君達に何度となく助けられて来た、僕がロバートだとしたならルクレールはメリーであり、アウロラでありオリヴィアでもあるんだ。そんな彼等に止めを刺す事なんて、僕には出来ない・・・!!!」
「・・・・・っ。そんな、それでも!!!」
「それとこれとは話が違うぞ?蒼太。君は・・・!!!」
「良いんじゃ無い?それで・・・」
それでも尚も追い縋って来たアウロラ達が、続けて何か述べ立てようとした、その時だ。
メリアリアが静かな笑みを浮かべつつも進み出て来て蒼太の左腕にソッと自身の両腕を巻き付ける、・・・まるで“解っているよ”とでも言うかのように。
「メリアリアさん!!?」
「メリアリア、何を言っているんだ!!!」
「私は。ううん、私達は何があってもあなたに付いて行くからね?愛してるわ、蒼太・・・!!!」
「・・・・・っ!!!」
「ぐ・・・っ!!!」
そう言って。
最愛の夫に口付けをするメリアリアの姿を見て、さしもの二人も押し黙るしか無かった、しかし。
“だけど”とそんな二人に聞こえない様な小声でメリアリアは続けて言った、“私が一番、誰よりも何よりもあなたの事を愛してるんだからね?”と、“だから後でいっぱい愛して?”とそう告げて。
「・・・ねっ?」
「・・・有り難う、メリー!!!」
愛妻淑女にそう礼を述べると蒼太は彼女にキスを返した、それで全ては決まった、他の女王位達や親衛隊の面々は特に賛成も反対もしなかった、彼女達は結局は、終始戦闘には参加しなかったから自分達に何も言う資格が無いと判断したようである。
「正直に言って脱出は至難の業だろうけど・・・。ここは見逃してやるよ、ルクレール。後は君達次第だ・・・」
“ただし”と蒼太は尚も彼女達に重ねて伝えた、“帰る前に幾つか尋問させてもらうぞ?”とそう続けて。
「まず今回の一連の事件はどうして起きた?なんで君達がわざわざ僕を抹殺する様な真似をしたのかが知りたい・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
“ガーター騎士団からの命令よ”と暫しの沈黙の後に、俯き加減でルクレールがそう応えた、“私達もそれ以上の詳しい理由は知らないわ・・・”とそう言って。
「ガーター騎士団の総長が、貴男の抹殺を直々に進言して女王陛下を動かされたそうよ?それで命令が下ったそうなの・・・」
「・・・・・」
(ガーター騎士団、か・・・)
“また焦臭くなって来たな”と青年は考えていた、ガーター騎士団についてはちょうど、今回の事件が始まる前にメリアリア達と話しをしていた最中の懸案事項だったのだが、こうなってはなるべく早い時期に本格的な調査に乗り出した方が良いのかも知れない。
「・・・ガーター騎士団の総長の名前は?一体何者なんだ、ソイツは」
「それは私達にも解らないわ」
とルクレールは正直に言い放った。
「ガーター騎士団は普段は王室の背後にいて、余程の事がない限りかは決して表に出て来る事は無いの。前回の時も今の女王陛下即位の時に“総長と思しき人物”がウェストミンスター寺院に顔を覗かせただけだった、と聞いているからその全貌は謎に包まれている、と考えて良さそうね・・・」
「・・・なるほどな。では君らはそのガーター騎士団が既にハウシェプスト協会によって乗っ取られてしまった事も知らない、と言う訳か?」
「何ですって?」
これには流石のルクレール達も目を丸くした、“ハウシェプスト協会”と言う名前は彼女達にも聞き覚えがあった、この世界を股に掛けて暗躍する秘密組織でその一切が謎に包まれている、とされている、怪しい宗教団体であった。
「触れる事がタブー視されているハウシェプスト協会を、あなた達が最近躍起になって追っている事は知っているわ?だけどそれがうちの騎士団とどう言う関係があると言うの?」
「僕も直接的に確認した訳では無いから、詳しい事は解らないんだけれども・・・。ガーター騎士団とハウシェプスト協会とは似たような教義や儀式、組織体系であったらしいんだ、そして何より2つの間にはもう1つの秘密結社“フリーピープルズ”とか“フリーメーソン”と呼ばれる集団が関わっている、とされている。そもそもがガーター騎士団はフリーピープルズの大本になったモノで両者には繋がりがあった、ところがそのフリーピープルズが19世紀末にハウシェプスト協会に乗っ取られてしまった際に一緒に内部が簒奪されてしまった、と言われているんだよ」
「嘘よ!!!」
ルクレールは叫んだ、“貴男は嘘を付いているわ!!?”とそう告げて。
「見損なわないでちょうだい?ガーター騎士団は大ブリテンを治めるエイジャックス連合王国の王室騎士団なのよ?それが薄汚い秘密結社に易々と乗っ取られる訳が・・・」
「・・・さっきも言ったがそれについては僕は何とも言えないよ。これはあくまで噂の領域を出ないモノだからね、ただね?ルクレール。僕らが確保したハウシェプスト協会の捕虜も同じ事を言っているんだ」
「・・・・・っ!!!」
「フリーメーソンを乗っ取った足でそのまま大本のガーター騎士団も、と言うのは有り得ない話では無い。ま、無事に帰れたなら君達も調べてみるんだな、ガーター騎士団の今現在を。なんなら“ロスチャイルド一族”よりも深い闇かも知れないけれど・・・」
そこまで言うと蒼太は“これ以上話していても無駄だろうな”と呟いて彼等を解き放った、正直に言って収穫は何も無かったモノの、ここはそれでも彼女達を撃退出来ただけでも“よし”としなければならない。
「ソウタ・アヤカベ」
「・・・・・?」
帰り際、ロバートと連れ立って歩き出そうとしたルクレールはふと思い出したかのように足を止めた。
「1つだけ、答えてちょうだい。どうして私達を無事に帰してくれる心積もりになったのか・・・」
「・・・そうだな」
少し考える振りをしてメリアリアを見てから蒼太は告げた、“ある人への真心さ”とそう述べて。
「それにルクレールとロバート、君達は互いに真心で思い合っているのが解った。そう言う人々を踏み潰すのは僕の望む所ではない・・・」
「・・・真心?」
「そうだ」
神妙な面持ちで聞き返して来たルクレールに対して蒼太は頷いてみせた、“君達の真心が僕にも伝わった、そう言う事だよ”とにべも無く続けて。
「君にとってロバートは掛け替えの無い、大切な人なんだろう?だったらお互いに誠意を尽くしていつも一緒にいなきゃね・・・」
「・・・・・」
それを聞いたルクレールは暫しの間、俯き加減で何事かを考えていたモノの、やがて顔を上げて言った。
「このまま帰るのは癪だわ?貴男に借りを作りたくない!!!」
そう述べ立てるとルクレールは彼女が身に付けていた、ルビーの様な赤い輝石が中央に据えてある金で彩られた不思議なネックレスを取り外して彼に手渡した。
「・・・それが“レウルーラの加護”の正体よ?これを持っていれば時空間歪曲フィールドが貴男を包んでありとあらゆる攻撃や衝撃から身を守ってくれるわ」
「・・・・・」
するとそれを見た他の超新星達もまた、次々に自らが身に付けていたネックレスを外して蒼太の元へと持って来る。
「どう使うかは貴様次第だ、ソウタ・アヤカベ。取り敢えずこれで礼はした・・・」
「マーガレット・・・」
最後に彼女達の首領であるマーガレットが蒼太へとネックレスを手渡しながら続けた。
「ファイブスターの形状に陣形を展開させてそれぞれを同調させ、発動すると効能を最大限に発揮させる事が出来る、とされている。もっとも我々もやった事は無いがな・・・!!!」
そう告げると“さらばだ”と言い放ってレウルーラの面々は気絶していた親衛隊を揺さ振り起こすとエレベーターからでは無くて蒼太の“波動真空呪文”によって穿ち抜かれた大穴から今度こそ外へと出て行った。
ーーーーーーーーーーーーーー
読者の皆様方、ここまでお付き合いいただきまして誠に有り難う御座いました。
大体あと8話~10話(早ければ5話)位で完結する予定ですのでもう暫くの間、お付き合い下さいませ(その後はおまけとして花嫁達との子作りエッチ編か、それかもしくは子供が産まれてから数年経った後の蒼太君とメリアリアちゃん、アウロラちゃん、オリヴィアちゃんの純愛イチャラブエッチなお話を書いていこうかと思っております←また出来ましたらもう1度だけ、イラストを複数枚投入してみたいな、等とも考えております。ただお金が掛かってしまいますのでその状況次第となります、どうぞ悪しからず御了承下さいませ)。
これまで沢山の応援やお気に入り登録等をいただきまして本当に有り難う御座いました、物凄い励みになりました(どうかあともう少しだけお付き合い下さいませ)。
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