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神世への追憶編
衝突・次章
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2日間はアッという間に過ぎ去って行き、とうとうメリアリア達女王位とルクレール達超新星との決戦の朝がやって来た、当日の早暁にマーガレット達が夜間タクシーで指定された通りにセイレーン本部前まで行くとー。
そこには閑散としている幾つものビル群がもの悲しげに立っていた、普段に比べて人通りが全く無い所為だろう、通常ならば見慣れた建物の列が酷く巨大で不気味に見える。
「・・・・・」
「マーガレット・・・」
ある種の寒気を感じて思わず立ち止まってしまう玉泉の騎士に対してルクレールが背中を押すかのように声を掛けるが、するとマーガレットは“解っている・・・”と短く応えてまずは身に付けている衣服を脱ぎ捨てては着込んで来ていた灰色を基調としたプロテクター付きの戦闘装束姿となり、そのまま髪の毛を後ろで纏めると、後は無言のままに颯爽と中へと入って行った。
その後を同じく戦闘装束姿となったルクレール達が追い掛けて行くモノの普段は衛兵と見張りがいるであろう、エントランスを通り過ぎるとやがて奥に設置されている4つの高速エレベーターが姿を見せた、ここからはこれらの内の何れかに乗って地下11階にまで降りなくてはならない。
「・・・みんな。解っているとは思うが再度気を引き締めるんだ、何しろ相手はあのセイレーンの女王位なのだ。何が起きても不思議では無いからな!!!」
振り返ってまるでその目に焼き付けるように同僚や部下達の顔を一人一人、マジマジと見つめてそれだけ告げるとマーガレットはまずは隊を二手に分けた。
セイレーン側の行動を警戒した事もあるが何より、全員が1度に1つのエレベーターに乗る事が出来なかった為である。
「私達は一番右側を使う、ルクレールとエヴァリナ達はその左のヤツだ・・・」
そう告げるとマーガレットは自らエレベーターに乗り込みボタンを押して下へ下へと降りていった。
その後をルクレール達が追うが彼女達は緊張はしているモノの誰もが自分達の必勝を疑ってはいなかった、これまで一体どれほど鍛錬を重ねて来ただろう、戦闘を潜り抜けて来ただろう、一体何度の死線を乗り越えて来ただろう。
それら全てが練り上げられた強さとなり、そして更には自信となって今の彼女達を形作っていたのだが、ただ単にそれだけではない。
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
(大丈夫・・・)
(大丈夫だ!!!)
(自分達には“レウルーラの加護”がある!!!)
その事もまた、大きな希望となって彼女達を精神的に支え続けていたのであったが、そんなレウルーラの集団が一塊となってエレベーターを降り、地下11階にある長い回廊を突き進んで行くとー。
目の前には白地に金の淵で彩られている、巨大な鋼鉄製の扉が現れた、そこに近付いた瞬間に、中から複数の人間達の気配がして、それに向かって進んで行くと果たして扉が自ら開いて内側が露わになる、そこにはー。
「・・・待っていたよマーガレット、ルクレール。エヴァリナ!!!」
無数のライトで照らし出されたワンフロアぶち抜きの広大な地下空間が存在しておりその真っ只中に彼女達の標的である綾壁蒼太その人の姿があった、もっとも彼がいる場所は今現在、マーガレット達のいるエントランス部分よりも更に1階層分は低くなっていてここが11階と12階に渡って構成されている部屋である事が窺える、そしてー。
その向こう側、即ち蒼太の背後にはメリアリアやアウロラ、オリヴィア等の女王位達と共に親衛隊の面々が控えていたモノの、そんな中で。
「・・・・・?」
「あなたは・・・!!?」
蒼太とメリアリアが特に、マーガレット達と共に入って来た一人の女性に反応するモノのそれこそが誰あろう、白銀の美女ヴェルキナであった、かつて蒼太やメリアリアと2度に渡って戦った事もある彼女もまた、今や立派なレウルーラの一員となっていたのだ。
「ヒュドラのヴェルキナ・・・!!?」
「生きていたの?あんた・・・!!!」
「・・・・・」
当時の事を思い出して思わず眉をひそめる二人に対してヴェルキナは相変わらずの無表情と無言を貫き通していた。
「・・・・・」
(まあ、いいや・・・)
あまり良い思い出では無いモノのそれでも懐古の情を覚えていた蒼太とメリアリアはしかし、次の瞬間意識を今に戻して改めてマーガレット達へと向き直る。
「・・・それで全員か、こっちの挑戦状はちゃんと届いたようだな?ああまで言えば、必ずや来るだろうと踏んでいた。予想通りだな!!!」
「随分と舐めた真似をしてくれたな?“ソウタ・アヤカベ”。まさかあんな大胆不敵な“果たし状”を叩き付けられるとは思っても見なかったよ・・・」
「・・・そっちこそ大分回りくどい手段に訴えて来ていたじゃないか、マーガレット」
マーガレットの放った言葉に蒼太が反応する。
「真に其方に己の実力に対する自信があったのならば、コソコソと出張って来ている僕らの友人達を狙うような事などしないで此方に堂々と直接攻撃を掛けて来れば良かったじゃないか。“玉泉のマーガレット”ともあろう者が恐れを為したか!!?」
「・・・くっ」
“はははははっ!!!”とそれを聞いていたマーガレットがいきなり笑い始めてその様子を“何事か?”と思いつつもメリアリア達やルクレール達が見守っている。
「あはははははっ!!!ああ、失礼。中々に面白い言い方だったものでな・・・」
マーガレットは相変わらず余裕しゃくしゃくだ、それは間違いなく“自分達は必ず勝てる”と確信しているからに他ならない事を、蒼太やメリアリア達は見て取っていた。
「自分とて窖の中に隠れていた癖に良く言ったモノだな?ソウタ・アヤカベ。お前こそそのつもりがあったのならば堂々と打って出て来てさっさと雌雄を決するようにすれば良かったのでは無いか?それなのに・・・」
“買い物すらも友人達に任せなければならない程にまで我等を恐れていたのかな?”と。
しかし。
「・・・・・」
(なるほど、大したモノだ・・・)
言葉の上では相手を嗾けるような口上を述べつつもその実、マーガレットは油断無く蒼太の実力の程を推し量り続けていた、一見すると細身だがその実見事に鍛え抜かれている肉体と、静かにしかし濃密なまでに練り上げられた闘気の持ち主。
本人は抑えているつもりであろうがそれでも全身から僅かに漏れ出して来る気配から察するに相手として申し分なしと、そこまで直感するマーガレットだったがこれならば確かに、ルクレール達が後れを取ったのも頷けると、彼女は密かにこの目の前にいる日本人の青年の事を認め始めていたのである。
「・・・なに、此方は君達と違って自信過剰で無駄な行動は一切、取らない事にしているんでね」
一方で此方も、マーガレットとの距離を計りつつもその重厚なる底力の凄まじさをひしひしと感じ取っていた蒼太はそれでも、“特に”と表面上はそれらを感じさせない涼し気な面持ちのままに続けて言った、“切った張ったの命のやり取りをするような極限状態的場面ではね?”とそう述べ立てて。
「君達の敗因を教えてやろう、まだ勝ってもいないのに何の根拠も無く勝ちを確信している所だ。人はそれを慢心と言う、そんなモノがあればせっかくの実力も宝の持ち腐れだぞ?」
「・・・では実際にその目で見てみれば良い。果たして我等の確信が根拠の無い慢心なのかどうかをなっ!!!」
そう言い放ち様。
マーガレットは腰に穿いていた、鍔に金の宝飾が施されている大型のロングソードを抜き去ると両手でそれをつがえて上段に構え、2階から飛び降りるとそのまま一挙に距離を詰めて蒼太目掛けて力強く振り下ろした、瞬間。
ガキイイィィィンッ!!!と言う金属同士の衝突音が“女王の間”に響き渡り、鍔迫り合いが始まった、蒼太が自身の愛刀“ナレク・アレスフィア”を反射的に構えて咄嗟に身を守ったのだ。
その反射神経や動体視力、身のこなしの鋭さに、仕掛けたマーガレットは驚かされた、それと同時に彼女は一瞬で理解したのである、“なるほど確かに言う程の事はある”と。
(さ、流石は名にし負うソウタ・アヤカベだな。少し甘く見ていたか・・・?)
そう判断したのも束の間、マーガレットは今度は徐々に自分が押され始めている事に気が付いた、なんという馬鹿力であろうかと内心で再び驚愕する。
「てやああぁぁぁっ!!!」
「ぐぬおおぉぉぉっ!!?」
一方の蒼太は“これは行ける!!!”と直感して一気に彼女の剣を押し返すと愛刀を煌めかせつつ一歩、また一歩と踏み込みながらも上段からの袈裟切りや逆袈裟を次々と決め込んでいった。
ガキイイィィィン、ガン、キンッ!!!と言う金属同士のぶつかり合う音が何度となくこだましては二人の間に無数の火花が飛び散るモノのしかし、それでも遮二無二攻めている蒼太は“玉泉のマーガレット”相手に無茶振りをする気は一切無く、また何の考えも無しに攻撃を繰り出していた訳でも無かったのだ。
蒼太は気が付いていた、マーガレットがまずは此方の実力の程を見定める為に敢えて挑発に乗った呈で戦闘を開始して真正面から仕掛けて来たのだ、と言う事に。
だがしかし。
(感覚の探り合いではもう、これ以上得られるモノは何も無い。こうなったなら後は互いに肉体をぶつけ合うのみ!!!)
それが青年の考えであり、そしてまたマーガレットの思いであったのであるモノの、しかし。
「ぐううぅぅぅ・・・っ!!!」
ここに来て、マーガレットは正面からぶつかり合うのは得策では無いと判断していた、先程からの打ち合いを通じて解ったのだが単純な腕力や体力ならば恐らく、彼方の方が遥かに上であり、このままでは此方の方が先にへばって来てしまうだろう、そう考えた玉泉の騎士は。
「・・・・・っ!!?」
まだ余力のある内に一旦、後方に大きく飛んでルクレール達の居る場所まで戻ると改めて剣を構え直しつつも同時に息を整える。
「ふうぅぅ・・・っ。流石だな、ソウタ・アヤカベ。まさかこれ程の底力を隠し持っていたとは夢にも思わなかったよ・・・!!!」
「・・・・・」
「蒼太っ!!!」
「蒼太さん!!!」
「蒼太・・・!!!」
それを見て己もまた、仕切り直す蒼太の下にメリアリア達花嫁がいても立ってもいられなくなって飛び出して来ては駆け付けるモノの、彼女達もまたマーガレット相手の戦闘がこのままで済むはずが無い、と言う事を直感しており心配になってしまったのだ。
「・・・・・」
(確かに腕っ節や体力等ならば多分、僕に分があるけれども・・・。しかし攻撃の鋭さや身のこなし等も含めるならば果たしてどうなるか・・・!!!)
“ましてや”と蒼太は思うが剣の技量は恐らくではあるけれどもマーガレットの方が上手であり、このまま戦闘を続けていたら些か危ない事態に陥りかねない。
かてて加えて。
(向こうには謎の力がある、例え近くで大爆発の直撃を受けても無傷で済んでしまう、と言う力が・・・!!!)
その解明も、これからしなくてはならなかったがなんにせよ、蒼太はこのまま彼女達レウルーラの掌の上で躍らされ続けるつもりは全く無かった。
「・・・みんな、よく聞いてくれ。これから僕が奴等に対して攻撃を仕掛けてみるから、その際の反応を見ておくんだ!!!」
「えええっ!!?そんなの・・・っ!!!」
「危険です、止めて下さいっ!!!」
「奴等の底力も解っていないのに、それはさせられないよ。蒼太・・・っ!!!」
尚も自分を思ってくれる花嫁達の真心に感謝しつつも蒼太はどうしても確かめておきたい事柄があったのである、それが。
「奴等の自信の理由だ、良く考えてみてくれ。メリー、アウロラ。オリヴィア!!!僕が見た所奴等とこっちの実力は殆ど拮抗している筈なんだ、にも関わらずに向こうには気負いが全く無い。まるで“自分達は何があっても傷付かない”と言う事を確信しているかのような態度だろう?」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「普通ならば有り得ない事なんだよ、特に今回みたいにお互いの実力が最強レベルで纏まっている上に、しかもほぼほぼ同等な状態にある、と言う事はそれは裏を返せばその分だけ凄惨な戦いになる可能性が極めて高いと言う事なんだ。にも関わらず向こうにはある種の悲壮感と言うか真に覚悟した者だけが持つ壮絶さ、と言うのがまるで見受けられないんだ。本当に自分達が軽く勝つことが出来る、と思っている節があるんだよ・・・」
“それが恐らく”と蒼太は更に続けて言った、“ルクレールがアンリの爆裂魔法の直撃から無傷で生還して来た理由なんだ”とそう告げて。
「この謎を解き明かす事が出来た時、初めてレウルーラは僕達に跪くんだ。だけどこれを何とかしない限りかは僕達に何時まで経っても勝ち目は無い気がするんだよ・・・」
「・・・あら、それなら!!!」
そんな夫の言葉にメリアリアが即座に反応した、“まずは私が行くわ!!?”とそう言って。
「・・・・・っ。えっ、何言ってんの!!?」
「蒼太だけを危険に晒す訳にはいかないもの!!!」
愛妻淑女の言葉を聞いて驚いてしまい、思わず眼を白黒させてしまう青年に対してメリアリアは言い放った、“私は本気よ?”とそう告げて。
「言ったでしょ?あなたの事を守ってあげるって。それに死ぬ時は一緒だからね!!?」
そう言って蒼太に優しく微笑むと。
メリアリアはツカツカと前に進み出て、いきなり自身に高威力の火焔を纏わせ始めた、彼女の誇る得意術式である“光炎魔法”を扱い始めたのである。
光炎は“紅炎”とも呼ばれており、その正体は太陽を始めとする恒星の表面等に時折吹き荒れるプラズマを纏った対流圏の熱の塊、要するに“プロミネンス”をこの地上に顕現させる事が出来る代物であった、メリアリアはこれを子供の時分から使い熟す事が出来ており攻守に渡ってバランスの取れている彼女にはまさに打って付けな法力だったのだ。
「・・・・・っ!!?」
「・・・・・っ!!!」
「あれは・・・っ!!?」
それを見ていたレウルーラの面々は皆一様に引き攣ったような表情を浮かべた、“バカな!!!”、“何故・・・っ!!?”等と言う驚愕と戸惑いの声も聞こえていたモノの全ては遅きに失したのである。
「燃え尽きなさい、レウルーラ!!!」
グオオオォォォォォッ!!!と言う轟音と同時に発生した巨大な炎の渦がやがて1つの塊となってマーガレットを始めとするレウルーラと親衛隊の全員に直撃し、包み込むが、その直前に。
「・・・・・っ!!?」
「うぐ・・・っ!!!」
「なにぃ・・・っ!!?」
蒼太とエマとクレモンスとが思わず顔を顰めるモノの、まただ。
またあの時の感覚が蘇って来た、即ち“時空歪曲”が引き起こされる感覚である。
「・・・・・っ!!?」
(一体全体、なんなんだ?これは。10日程前のあれと一緒だ、しかも起こっているのは前方の空間、ちょうどレウルーラ達がいる地点だぞ・・・!!?)
そんな事を考えながらも轟々たる紅炎に飲み込まれて姿が見えなくなっているレウルーラへと向けて再び視線を向ける蒼太であったが、やがてその炎が収まると、果たしてー。
「・・・・・っ!!?」
「・・・・・っ!!!」
「あ、ああ・・・っ!!!」
「嘘だろう・・・!!?」
何とそこにはマーガレットを始めとするレウルーラの全員が平然と立ち尽くしており、しかも誰もが皆、無傷なだけで無く衣服に焼け焦げた跡1つさえ無かったのだ。
「・・・なんだと?」
「うそ・・・?」
これには流石の蒼太もメリアリアも驚きを隠せなかった、特にメリアリアにとってはショックだった、自身の決め手の魔法の1つが宿敵相手に何の効果も無いなんて。
「嘘でしょう?こんな事って・・・!!!」
(やはり、何かタネがあるな?しかしなんで時空歪曲が巻き起こっていたんだろうか・・・)
花嫁を気遣いながらもそう思考を巡らせる蒼太であったがしかし、一方でその相方であるメリアリアは確かに驚愕こそしたモノの、それ位でへこたれるような柔な精神の持ち主では決して無かった、すぐさま気を取り直して第二撃を撃ち放とうと身構えるが、そんな彼女の後ろから今度は青く輝く光球が3つ程、マーガレット達を目指して疾走して行くモノのアウロラがすかさず“爆雷魔法”を用いてレウルーラに対して発動してみせたのだ、ところが。
「・・・・・?」
(まただ、また時空歪曲が巻き起こっている。それも極めて局所的なモノだけれども一体、あの中心で何が・・・!!!)
またもや“それ”を感知して考察を続ける蒼太であったが、そんな彼の前方からはドッガアアアァァァァァッ!!!と言う衝撃音と共に激しい爆風と熱波が発生して駆け抜けて行くモノの、その後着弾地点を確認した一行は殆ど全員が“信じられない”と言う顔付きのまま固まってしまう事となった、理由は至って簡単でありレウルーラとその親衛隊員とが無傷のまま立位の姿勢を取っていたからである。
「・・・・・!!?」
「そんな・・・!!!」
「有り得ませんわ・・・!!!」
「なら、次は私だ!!!」
そう叫んで必殺の“パルサー呪文”を唱えようとしていたオリヴィアに対して蒼太が鋭く“待て!!!”と留める。
「何故だ?蒼太。何故止めるんだ、もう私しかいないだろうが!!!」
「待つんだよオリヴィア、ちょっと考えがあるんだ。まだもしかしたなら、って言うレベルでしかないんだけれども。それでも漸く解って来たんだよ・・・!!!」
“奴等の不死身の秘密がね?”とそう言って蒼太はオリヴィアを制止させると再び自らが前に出て、両手の平を胸の前で向かい合わさせる。
「・・・・・っ。蒼太?」
「蒼太さん・・・?」
「何をする気なんだ?蒼太・・・!!!」
「・・・・・」
花嫁達の質問に答える代わりに青年は“波動真空呪文”の生成に取り掛かった、これはそもそもが真空の刃に光のプラズマ波動を纏わせたモノを極大化させて一挙に敵に叩き付ける大技だったが今回、彼はその工程に1つの工夫を付ける事とした、即ち。
自身の法力と生命エネルギーを己やメリアリア達の身の安全が保たれるギリギリのレベルにまで放出させて生成させたそれを最大出力のままに両手の平の中の極一点にまで集約させて、その上でバーストセクションで発動、相手に向かって解き放とうと言うのだ。
この時、集約された波動エネルギーは徐々に“オーラ力場の重複領域”を形成して周囲の空間連続体を歪ませて行き、更に全方位から圧縮を加える事で中心に向かって際限なく加速し続ける極小サイズの“マイクロブラックホール”を出現させて行く。
そしてー。
(・・・その中心はやがて“特異点”となり光の速さを超越してアインシュタインの言う所の“閉じた宇宙論”にある“時間軸”をも飛び越え始める。つまりは理論上、“神人化”していなくとも今の僕は次元を穿つ事の出来る“超時空砲撃”が可能となっているはずなんだ!!!)
もしも自分の考えが正しければ、これならレウルーラに対して必ずやダメージを与える事が出来る筈だと、蒼太はある確信を持って直感していた、それは単に戦い慣れしていたからだけでは無くて時空間現象に通じている上に感性の鋭い彼だからこそ気が付けた事だったのである。
程なくしてー。
「“インフィニテッツァ・ブリージア”!!!」
蒼太の両手の平の中で小さな球体状になるまで圧縮された波動真空呪文は極大の威力を保ったまま“ギュオオオォォォォォッ!!!”と言う独自のエネルギー対流音を立てて回転を続けていたが、蒼太は最後の最後でそれに名前を与えて命を吹き込み、両手をストライカーボルトに見立ててレウルーラに向かって思いっ切り強く突き出した、その瞬間に。
一方に向かって勢い良く解放された荒れ狂う波動法力の怒濤の奔流は光速を超える速度で周囲の時空間を歪曲させつつ直進して行き、何一つとして反応する隙も与えずレウルーラと親衛隊各位を飲み込んでいった。
あまりにも高威力な上に限界いっぱいまで集束していたそれは彼女達に命中しただけでは飽き足らず、更にその後背にある特殊合金製の複合装甲板や頑丈な土壌をぶち抜いて地上まで貫通し、ルテティアの街を激震させた。
「・・・・・」
「・・・・・っ!!?」
「・・・・・っ!!!」
「な、なんという・・・っ!!!」
波動真空呪文発動の瞬間、余りの眩しさに思わず目を瞑ってしまったメリアリア達は瞳を開けてからその光景を目撃して思わず愕然としてしまった、今現在、地球上に存在しているどんな兵器の直撃にも耐えられる設計構造となっている筈のセイレーン本部の女王の間を、青年は一瞬にして半壊させてしまったのだ。
その総エネルギー量と貫通力、破壊力はそれまで彼女達が遭遇して来た、どんな呪文や技、魔法よりも超絶的なモノだったのであり、卓越しているモノだったのである。
「・・・・・っ。そ、蒼太っ。あなた!!!」
「蒼太さん、大丈夫ですか!!?」
「怪我は無いか?蒼太・・・!!!」
暫しの間を置いて我に返ったメリアリア達が夫の身を心配して慌てて青年に駆け寄るが、彼は何も無くなって真空状態にある前方の空間を無言のまま見据えていた、“残心”を取っていたのであるモノの暫くするとー。
「・・・みんな油断しないで。レウルーラはまだ生きている!!!」
そう告げて自身も再び身構えるモノの正直、メリアリア達には信じられなかった、あれだけの攻撃を食らって尚も生き延びている者達がいるなんて!!!
しかし。
「・・・・・っ!!?」
「・・・・・っ!!!」
「た、確かに。気配がある・・・!!!」
そう叫んでメリアリア達が戦闘態勢を取って周囲に意識を配っているとー。
巨大な穴が空いた部屋の2階部分の瓦礫の下からマーガレットが、次いでルクレールやエヴァリナ達が姿を見せるモノの今度は彼女達は無傷では無かった、衣服は所々破けてそこかしこから出血し、全身が埃で煤汚れている。
しかも。
立ち上がって来たのは“超新星”達だけであった、親衛隊の面々は皆、気絶してしまっており戦闘不能になってしまっていたのである。
「ぐ、ぐ・・・っ。やってくれたな?ソウタ・アヤカベ。まさか“レウルーラの加護”の秘密に気付くとは・・・!!!」
「・・・・・」
(やはりな・・・)
“次元跳躍か”とマーガレットの言葉を受けて蒼太が言った、“それがお前達の加護の正体だったんだな?”とそう告げて。
「蒼太・・・?」
「蒼太さん・・・?」
「次元跳躍・・・?」
「・・・なるほどな」
キョトンとするメリアリア達とは対照的にそれを聞いたエマとクレモンスはそれぞれが納得した表情で頷いた、“それで何度も時空歪曲が巻き起こされていたのか・・・!!!”とそう述べ立てて。
「つまりは攻撃を瞬間的に別の次元世界へとワープさせていた訳だな?蒼太・・・」
「そうだ・・・」
エマとクレモンスの言葉に青年が頷くモノの、メリアリア達には一体何の事だかさっぱり解らなかった為、蒼太に詳しい説明を求めた。
「ね、ねえあなた。一体どう言う事なの?時空歪曲ってなに・・・?」
「どう言う事ですか?蒼太さん。私達にも解るように話して聞かせて下さい!!!」
「このままじゃどうにもスッキリしないし。なるべく簡潔に解りやすく説明をしてくれ・・・!!!」
「・・・メリーは多分、知っていると思うけれど。だけどよく思い返してみてくれよ、僕達がヴェルキナと戦った際に天地が歪んで回転して行くような感覚に襲われただろ?あれが“時空歪曲”と呼ばれている現象で次元跳躍を行ったり、はたまた対象物を異次元の彼方へと吹き飛ばしてしまう際に発生するモノなんだ。僕らの時はヴェルキナがこっちを“トワイライトゾーン”に閉じ込める為に故意に時空歪曲を誘発させていた訳なんだけれども」
“今回、レウルーラはそれを防御に使ったんだ”と蒼太は続けた。
「此方の攻撃によって放たれる熱エネルギーや衝撃波なんかを、全て根刮ぎ異次元の彼方へと吹き飛ばしていっていたのさ。だからマーガレット達には通常の魔法攻撃が効かなかったんだよ」
「・・・それじゃあ前に、エマとクレモンスを狙った、と言うのは」
「この二人が万に一つもその秘密に気付かないとは限らないからさ。それに対抗策を打てるのも時空間の事象に精通している彼女達だけだからね、そう言った意味でも二人を真っ先に始末しようとしていたんだろう・・・!!!」
「・・・あ、あの。それなら!!!」
蒼太がそこまで解説し終えた時に、アウロラが口を開いた。
「それでしたら私達にも経験があります、蒼太さんがエルヴスヘイムで“時空間転位”を行った時に感じた事がありますわ?それは良く解ったんですけれども、ですがあの・・・」
「・・・・・?」
「どうして蒼太さんの波動真空呪文は効き目があったのに、私達のそれは無効化されてしまったのでしょうか・・・」
「ああ、それは」
と青髪少女の質問に答える形で蒼太は続けた、“僕のあれはこの時空の連続体に穴を開ける攻撃だったからだ”とそう告げて。
「みんなは“ブラックホール”を知っているよね?あの中心、即ち“事象の地平面”の内側には重力と質量とが無限大にまで高まっている“特異点”と呼ばれている次元の穴が存在している。僕はそれを極小サイズで出現させてレウルーラに叩き付けたのさ?だから彼女達の防御幕を以てしても防ぎきる事が出来なかったんだよ、お互い同質の力が加わった為に反発し合ってしまったんだろうね。それで彼女達は吹き飛ばされたのさ。・・・まあそれ以外にも」
“こっちの総エネルギー量がレウルーラの防御幕のそれを遥かに上回っていた、と言うのもあるけれど”と蒼太はにべも無く平然とそう言ってのけた。
ーーーーーーーーーーーーーー
長くなったので一旦、ここで切ります。
解りやすく言ってしまえば、要するにレウルーラは攻撃によって生じたエネルギーの全てを瞬時に異次元にワープさせて防いでいた訳です(ちなみに“時空歪曲”と言うのは“次元跳躍”を行う際に発生する現象でして、蒼太君達はそれを捉えていたのですね)。
ところが蒼太君の場合は“次元の穴”と言う時空間を極限まで歪曲させてしまう特異点を作り出して彼女達へと直接的に叩き付けたので同質の力で覆われていたレウルーラの面々は反発作用でその場から吹き飛ばされてしまったのでした(あと蒼太君の放ったエネルギーの総量が“レウルーラの加護”のそれよりも遥かに大きかった為にマーガレット達は己が力を限界まで振り絞って耐えなければならなかったのです、それでも結局は“防御幕”を突破されてしまいダメージを負った、と言う事です)。
そこには閑散としている幾つものビル群がもの悲しげに立っていた、普段に比べて人通りが全く無い所為だろう、通常ならば見慣れた建物の列が酷く巨大で不気味に見える。
「・・・・・」
「マーガレット・・・」
ある種の寒気を感じて思わず立ち止まってしまう玉泉の騎士に対してルクレールが背中を押すかのように声を掛けるが、するとマーガレットは“解っている・・・”と短く応えてまずは身に付けている衣服を脱ぎ捨てては着込んで来ていた灰色を基調としたプロテクター付きの戦闘装束姿となり、そのまま髪の毛を後ろで纏めると、後は無言のままに颯爽と中へと入って行った。
その後を同じく戦闘装束姿となったルクレール達が追い掛けて行くモノの普段は衛兵と見張りがいるであろう、エントランスを通り過ぎるとやがて奥に設置されている4つの高速エレベーターが姿を見せた、ここからはこれらの内の何れかに乗って地下11階にまで降りなくてはならない。
「・・・みんな。解っているとは思うが再度気を引き締めるんだ、何しろ相手はあのセイレーンの女王位なのだ。何が起きても不思議では無いからな!!!」
振り返ってまるでその目に焼き付けるように同僚や部下達の顔を一人一人、マジマジと見つめてそれだけ告げるとマーガレットはまずは隊を二手に分けた。
セイレーン側の行動を警戒した事もあるが何より、全員が1度に1つのエレベーターに乗る事が出来なかった為である。
「私達は一番右側を使う、ルクレールとエヴァリナ達はその左のヤツだ・・・」
そう告げるとマーガレットは自らエレベーターに乗り込みボタンを押して下へ下へと降りていった。
その後をルクレール達が追うが彼女達は緊張はしているモノの誰もが自分達の必勝を疑ってはいなかった、これまで一体どれほど鍛錬を重ねて来ただろう、戦闘を潜り抜けて来ただろう、一体何度の死線を乗り越えて来ただろう。
それら全てが練り上げられた強さとなり、そして更には自信となって今の彼女達を形作っていたのだが、ただ単にそれだけではない。
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
(大丈夫・・・)
(大丈夫だ!!!)
(自分達には“レウルーラの加護”がある!!!)
その事もまた、大きな希望となって彼女達を精神的に支え続けていたのであったが、そんなレウルーラの集団が一塊となってエレベーターを降り、地下11階にある長い回廊を突き進んで行くとー。
目の前には白地に金の淵で彩られている、巨大な鋼鉄製の扉が現れた、そこに近付いた瞬間に、中から複数の人間達の気配がして、それに向かって進んで行くと果たして扉が自ら開いて内側が露わになる、そこにはー。
「・・・待っていたよマーガレット、ルクレール。エヴァリナ!!!」
無数のライトで照らし出されたワンフロアぶち抜きの広大な地下空間が存在しておりその真っ只中に彼女達の標的である綾壁蒼太その人の姿があった、もっとも彼がいる場所は今現在、マーガレット達のいるエントランス部分よりも更に1階層分は低くなっていてここが11階と12階に渡って構成されている部屋である事が窺える、そしてー。
その向こう側、即ち蒼太の背後にはメリアリアやアウロラ、オリヴィア等の女王位達と共に親衛隊の面々が控えていたモノの、そんな中で。
「・・・・・?」
「あなたは・・・!!?」
蒼太とメリアリアが特に、マーガレット達と共に入って来た一人の女性に反応するモノのそれこそが誰あろう、白銀の美女ヴェルキナであった、かつて蒼太やメリアリアと2度に渡って戦った事もある彼女もまた、今や立派なレウルーラの一員となっていたのだ。
「ヒュドラのヴェルキナ・・・!!?」
「生きていたの?あんた・・・!!!」
「・・・・・」
当時の事を思い出して思わず眉をひそめる二人に対してヴェルキナは相変わらずの無表情と無言を貫き通していた。
「・・・・・」
(まあ、いいや・・・)
あまり良い思い出では無いモノのそれでも懐古の情を覚えていた蒼太とメリアリアはしかし、次の瞬間意識を今に戻して改めてマーガレット達へと向き直る。
「・・・それで全員か、こっちの挑戦状はちゃんと届いたようだな?ああまで言えば、必ずや来るだろうと踏んでいた。予想通りだな!!!」
「随分と舐めた真似をしてくれたな?“ソウタ・アヤカベ”。まさかあんな大胆不敵な“果たし状”を叩き付けられるとは思っても見なかったよ・・・」
「・・・そっちこそ大分回りくどい手段に訴えて来ていたじゃないか、マーガレット」
マーガレットの放った言葉に蒼太が反応する。
「真に其方に己の実力に対する自信があったのならば、コソコソと出張って来ている僕らの友人達を狙うような事などしないで此方に堂々と直接攻撃を掛けて来れば良かったじゃないか。“玉泉のマーガレット”ともあろう者が恐れを為したか!!?」
「・・・くっ」
“はははははっ!!!”とそれを聞いていたマーガレットがいきなり笑い始めてその様子を“何事か?”と思いつつもメリアリア達やルクレール達が見守っている。
「あはははははっ!!!ああ、失礼。中々に面白い言い方だったものでな・・・」
マーガレットは相変わらず余裕しゃくしゃくだ、それは間違いなく“自分達は必ず勝てる”と確信しているからに他ならない事を、蒼太やメリアリア達は見て取っていた。
「自分とて窖の中に隠れていた癖に良く言ったモノだな?ソウタ・アヤカベ。お前こそそのつもりがあったのならば堂々と打って出て来てさっさと雌雄を決するようにすれば良かったのでは無いか?それなのに・・・」
“買い物すらも友人達に任せなければならない程にまで我等を恐れていたのかな?”と。
しかし。
「・・・・・」
(なるほど、大したモノだ・・・)
言葉の上では相手を嗾けるような口上を述べつつもその実、マーガレットは油断無く蒼太の実力の程を推し量り続けていた、一見すると細身だがその実見事に鍛え抜かれている肉体と、静かにしかし濃密なまでに練り上げられた闘気の持ち主。
本人は抑えているつもりであろうがそれでも全身から僅かに漏れ出して来る気配から察するに相手として申し分なしと、そこまで直感するマーガレットだったがこれならば確かに、ルクレール達が後れを取ったのも頷けると、彼女は密かにこの目の前にいる日本人の青年の事を認め始めていたのである。
「・・・なに、此方は君達と違って自信過剰で無駄な行動は一切、取らない事にしているんでね」
一方で此方も、マーガレットとの距離を計りつつもその重厚なる底力の凄まじさをひしひしと感じ取っていた蒼太はそれでも、“特に”と表面上はそれらを感じさせない涼し気な面持ちのままに続けて言った、“切った張ったの命のやり取りをするような極限状態的場面ではね?”とそう述べ立てて。
「君達の敗因を教えてやろう、まだ勝ってもいないのに何の根拠も無く勝ちを確信している所だ。人はそれを慢心と言う、そんなモノがあればせっかくの実力も宝の持ち腐れだぞ?」
「・・・では実際にその目で見てみれば良い。果たして我等の確信が根拠の無い慢心なのかどうかをなっ!!!」
そう言い放ち様。
マーガレットは腰に穿いていた、鍔に金の宝飾が施されている大型のロングソードを抜き去ると両手でそれをつがえて上段に構え、2階から飛び降りるとそのまま一挙に距離を詰めて蒼太目掛けて力強く振り下ろした、瞬間。
ガキイイィィィンッ!!!と言う金属同士の衝突音が“女王の間”に響き渡り、鍔迫り合いが始まった、蒼太が自身の愛刀“ナレク・アレスフィア”を反射的に構えて咄嗟に身を守ったのだ。
その反射神経や動体視力、身のこなしの鋭さに、仕掛けたマーガレットは驚かされた、それと同時に彼女は一瞬で理解したのである、“なるほど確かに言う程の事はある”と。
(さ、流石は名にし負うソウタ・アヤカベだな。少し甘く見ていたか・・・?)
そう判断したのも束の間、マーガレットは今度は徐々に自分が押され始めている事に気が付いた、なんという馬鹿力であろうかと内心で再び驚愕する。
「てやああぁぁぁっ!!!」
「ぐぬおおぉぉぉっ!!?」
一方の蒼太は“これは行ける!!!”と直感して一気に彼女の剣を押し返すと愛刀を煌めかせつつ一歩、また一歩と踏み込みながらも上段からの袈裟切りや逆袈裟を次々と決め込んでいった。
ガキイイィィィン、ガン、キンッ!!!と言う金属同士のぶつかり合う音が何度となくこだましては二人の間に無数の火花が飛び散るモノのしかし、それでも遮二無二攻めている蒼太は“玉泉のマーガレット”相手に無茶振りをする気は一切無く、また何の考えも無しに攻撃を繰り出していた訳でも無かったのだ。
蒼太は気が付いていた、マーガレットがまずは此方の実力の程を見定める為に敢えて挑発に乗った呈で戦闘を開始して真正面から仕掛けて来たのだ、と言う事に。
だがしかし。
(感覚の探り合いではもう、これ以上得られるモノは何も無い。こうなったなら後は互いに肉体をぶつけ合うのみ!!!)
それが青年の考えであり、そしてまたマーガレットの思いであったのであるモノの、しかし。
「ぐううぅぅぅ・・・っ!!!」
ここに来て、マーガレットは正面からぶつかり合うのは得策では無いと判断していた、先程からの打ち合いを通じて解ったのだが単純な腕力や体力ならば恐らく、彼方の方が遥かに上であり、このままでは此方の方が先にへばって来てしまうだろう、そう考えた玉泉の騎士は。
「・・・・・っ!!?」
まだ余力のある内に一旦、後方に大きく飛んでルクレール達の居る場所まで戻ると改めて剣を構え直しつつも同時に息を整える。
「ふうぅぅ・・・っ。流石だな、ソウタ・アヤカベ。まさかこれ程の底力を隠し持っていたとは夢にも思わなかったよ・・・!!!」
「・・・・・」
「蒼太っ!!!」
「蒼太さん!!!」
「蒼太・・・!!!」
それを見て己もまた、仕切り直す蒼太の下にメリアリア達花嫁がいても立ってもいられなくなって飛び出して来ては駆け付けるモノの、彼女達もまたマーガレット相手の戦闘がこのままで済むはずが無い、と言う事を直感しており心配になってしまったのだ。
「・・・・・」
(確かに腕っ節や体力等ならば多分、僕に分があるけれども・・・。しかし攻撃の鋭さや身のこなし等も含めるならば果たしてどうなるか・・・!!!)
“ましてや”と蒼太は思うが剣の技量は恐らくではあるけれどもマーガレットの方が上手であり、このまま戦闘を続けていたら些か危ない事態に陥りかねない。
かてて加えて。
(向こうには謎の力がある、例え近くで大爆発の直撃を受けても無傷で済んでしまう、と言う力が・・・!!!)
その解明も、これからしなくてはならなかったがなんにせよ、蒼太はこのまま彼女達レウルーラの掌の上で躍らされ続けるつもりは全く無かった。
「・・・みんな、よく聞いてくれ。これから僕が奴等に対して攻撃を仕掛けてみるから、その際の反応を見ておくんだ!!!」
「えええっ!!?そんなの・・・っ!!!」
「危険です、止めて下さいっ!!!」
「奴等の底力も解っていないのに、それはさせられないよ。蒼太・・・っ!!!」
尚も自分を思ってくれる花嫁達の真心に感謝しつつも蒼太はどうしても確かめておきたい事柄があったのである、それが。
「奴等の自信の理由だ、良く考えてみてくれ。メリー、アウロラ。オリヴィア!!!僕が見た所奴等とこっちの実力は殆ど拮抗している筈なんだ、にも関わらずに向こうには気負いが全く無い。まるで“自分達は何があっても傷付かない”と言う事を確信しているかのような態度だろう?」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「普通ならば有り得ない事なんだよ、特に今回みたいにお互いの実力が最強レベルで纏まっている上に、しかもほぼほぼ同等な状態にある、と言う事はそれは裏を返せばその分だけ凄惨な戦いになる可能性が極めて高いと言う事なんだ。にも関わらず向こうにはある種の悲壮感と言うか真に覚悟した者だけが持つ壮絶さ、と言うのがまるで見受けられないんだ。本当に自分達が軽く勝つことが出来る、と思っている節があるんだよ・・・」
“それが恐らく”と蒼太は更に続けて言った、“ルクレールがアンリの爆裂魔法の直撃から無傷で生還して来た理由なんだ”とそう告げて。
「この謎を解き明かす事が出来た時、初めてレウルーラは僕達に跪くんだ。だけどこれを何とかしない限りかは僕達に何時まで経っても勝ち目は無い気がするんだよ・・・」
「・・・あら、それなら!!!」
そんな夫の言葉にメリアリアが即座に反応した、“まずは私が行くわ!!?”とそう言って。
「・・・・・っ。えっ、何言ってんの!!?」
「蒼太だけを危険に晒す訳にはいかないもの!!!」
愛妻淑女の言葉を聞いて驚いてしまい、思わず眼を白黒させてしまう青年に対してメリアリアは言い放った、“私は本気よ?”とそう告げて。
「言ったでしょ?あなたの事を守ってあげるって。それに死ぬ時は一緒だからね!!?」
そう言って蒼太に優しく微笑むと。
メリアリアはツカツカと前に進み出て、いきなり自身に高威力の火焔を纏わせ始めた、彼女の誇る得意術式である“光炎魔法”を扱い始めたのである。
光炎は“紅炎”とも呼ばれており、その正体は太陽を始めとする恒星の表面等に時折吹き荒れるプラズマを纏った対流圏の熱の塊、要するに“プロミネンス”をこの地上に顕現させる事が出来る代物であった、メリアリアはこれを子供の時分から使い熟す事が出来ており攻守に渡ってバランスの取れている彼女にはまさに打って付けな法力だったのだ。
「・・・・・っ!!?」
「・・・・・っ!!!」
「あれは・・・っ!!?」
それを見ていたレウルーラの面々は皆一様に引き攣ったような表情を浮かべた、“バカな!!!”、“何故・・・っ!!?”等と言う驚愕と戸惑いの声も聞こえていたモノの全ては遅きに失したのである。
「燃え尽きなさい、レウルーラ!!!」
グオオオォォォォォッ!!!と言う轟音と同時に発生した巨大な炎の渦がやがて1つの塊となってマーガレットを始めとするレウルーラと親衛隊の全員に直撃し、包み込むが、その直前に。
「・・・・・っ!!?」
「うぐ・・・っ!!!」
「なにぃ・・・っ!!?」
蒼太とエマとクレモンスとが思わず顔を顰めるモノの、まただ。
またあの時の感覚が蘇って来た、即ち“時空歪曲”が引き起こされる感覚である。
「・・・・・っ!!?」
(一体全体、なんなんだ?これは。10日程前のあれと一緒だ、しかも起こっているのは前方の空間、ちょうどレウルーラ達がいる地点だぞ・・・!!?)
そんな事を考えながらも轟々たる紅炎に飲み込まれて姿が見えなくなっているレウルーラへと向けて再び視線を向ける蒼太であったが、やがてその炎が収まると、果たしてー。
「・・・・・っ!!?」
「・・・・・っ!!!」
「あ、ああ・・・っ!!!」
「嘘だろう・・・!!?」
何とそこにはマーガレットを始めとするレウルーラの全員が平然と立ち尽くしており、しかも誰もが皆、無傷なだけで無く衣服に焼け焦げた跡1つさえ無かったのだ。
「・・・なんだと?」
「うそ・・・?」
これには流石の蒼太もメリアリアも驚きを隠せなかった、特にメリアリアにとってはショックだった、自身の決め手の魔法の1つが宿敵相手に何の効果も無いなんて。
「嘘でしょう?こんな事って・・・!!!」
(やはり、何かタネがあるな?しかしなんで時空歪曲が巻き起こっていたんだろうか・・・)
花嫁を気遣いながらもそう思考を巡らせる蒼太であったがしかし、一方でその相方であるメリアリアは確かに驚愕こそしたモノの、それ位でへこたれるような柔な精神の持ち主では決して無かった、すぐさま気を取り直して第二撃を撃ち放とうと身構えるが、そんな彼女の後ろから今度は青く輝く光球が3つ程、マーガレット達を目指して疾走して行くモノのアウロラがすかさず“爆雷魔法”を用いてレウルーラに対して発動してみせたのだ、ところが。
「・・・・・?」
(まただ、また時空歪曲が巻き起こっている。それも極めて局所的なモノだけれども一体、あの中心で何が・・・!!!)
またもや“それ”を感知して考察を続ける蒼太であったが、そんな彼の前方からはドッガアアアァァァァァッ!!!と言う衝撃音と共に激しい爆風と熱波が発生して駆け抜けて行くモノの、その後着弾地点を確認した一行は殆ど全員が“信じられない”と言う顔付きのまま固まってしまう事となった、理由は至って簡単でありレウルーラとその親衛隊員とが無傷のまま立位の姿勢を取っていたからである。
「・・・・・!!?」
「そんな・・・!!!」
「有り得ませんわ・・・!!!」
「なら、次は私だ!!!」
そう叫んで必殺の“パルサー呪文”を唱えようとしていたオリヴィアに対して蒼太が鋭く“待て!!!”と留める。
「何故だ?蒼太。何故止めるんだ、もう私しかいないだろうが!!!」
「待つんだよオリヴィア、ちょっと考えがあるんだ。まだもしかしたなら、って言うレベルでしかないんだけれども。それでも漸く解って来たんだよ・・・!!!」
“奴等の不死身の秘密がね?”とそう言って蒼太はオリヴィアを制止させると再び自らが前に出て、両手の平を胸の前で向かい合わさせる。
「・・・・・っ。蒼太?」
「蒼太さん・・・?」
「何をする気なんだ?蒼太・・・!!!」
「・・・・・」
花嫁達の質問に答える代わりに青年は“波動真空呪文”の生成に取り掛かった、これはそもそもが真空の刃に光のプラズマ波動を纏わせたモノを極大化させて一挙に敵に叩き付ける大技だったが今回、彼はその工程に1つの工夫を付ける事とした、即ち。
自身の法力と生命エネルギーを己やメリアリア達の身の安全が保たれるギリギリのレベルにまで放出させて生成させたそれを最大出力のままに両手の平の中の極一点にまで集約させて、その上でバーストセクションで発動、相手に向かって解き放とうと言うのだ。
この時、集約された波動エネルギーは徐々に“オーラ力場の重複領域”を形成して周囲の空間連続体を歪ませて行き、更に全方位から圧縮を加える事で中心に向かって際限なく加速し続ける極小サイズの“マイクロブラックホール”を出現させて行く。
そしてー。
(・・・その中心はやがて“特異点”となり光の速さを超越してアインシュタインの言う所の“閉じた宇宙論”にある“時間軸”をも飛び越え始める。つまりは理論上、“神人化”していなくとも今の僕は次元を穿つ事の出来る“超時空砲撃”が可能となっているはずなんだ!!!)
もしも自分の考えが正しければ、これならレウルーラに対して必ずやダメージを与える事が出来る筈だと、蒼太はある確信を持って直感していた、それは単に戦い慣れしていたからだけでは無くて時空間現象に通じている上に感性の鋭い彼だからこそ気が付けた事だったのである。
程なくしてー。
「“インフィニテッツァ・ブリージア”!!!」
蒼太の両手の平の中で小さな球体状になるまで圧縮された波動真空呪文は極大の威力を保ったまま“ギュオオオォォォォォッ!!!”と言う独自のエネルギー対流音を立てて回転を続けていたが、蒼太は最後の最後でそれに名前を与えて命を吹き込み、両手をストライカーボルトに見立ててレウルーラに向かって思いっ切り強く突き出した、その瞬間に。
一方に向かって勢い良く解放された荒れ狂う波動法力の怒濤の奔流は光速を超える速度で周囲の時空間を歪曲させつつ直進して行き、何一つとして反応する隙も与えずレウルーラと親衛隊各位を飲み込んでいった。
あまりにも高威力な上に限界いっぱいまで集束していたそれは彼女達に命中しただけでは飽き足らず、更にその後背にある特殊合金製の複合装甲板や頑丈な土壌をぶち抜いて地上まで貫通し、ルテティアの街を激震させた。
「・・・・・」
「・・・・・っ!!?」
「・・・・・っ!!!」
「な、なんという・・・っ!!!」
波動真空呪文発動の瞬間、余りの眩しさに思わず目を瞑ってしまったメリアリア達は瞳を開けてからその光景を目撃して思わず愕然としてしまった、今現在、地球上に存在しているどんな兵器の直撃にも耐えられる設計構造となっている筈のセイレーン本部の女王の間を、青年は一瞬にして半壊させてしまったのだ。
その総エネルギー量と貫通力、破壊力はそれまで彼女達が遭遇して来た、どんな呪文や技、魔法よりも超絶的なモノだったのであり、卓越しているモノだったのである。
「・・・・・っ。そ、蒼太っ。あなた!!!」
「蒼太さん、大丈夫ですか!!?」
「怪我は無いか?蒼太・・・!!!」
暫しの間を置いて我に返ったメリアリア達が夫の身を心配して慌てて青年に駆け寄るが、彼は何も無くなって真空状態にある前方の空間を無言のまま見据えていた、“残心”を取っていたのであるモノの暫くするとー。
「・・・みんな油断しないで。レウルーラはまだ生きている!!!」
そう告げて自身も再び身構えるモノの正直、メリアリア達には信じられなかった、あれだけの攻撃を食らって尚も生き延びている者達がいるなんて!!!
しかし。
「・・・・・っ!!?」
「・・・・・っ!!!」
「た、確かに。気配がある・・・!!!」
そう叫んでメリアリア達が戦闘態勢を取って周囲に意識を配っているとー。
巨大な穴が空いた部屋の2階部分の瓦礫の下からマーガレットが、次いでルクレールやエヴァリナ達が姿を見せるモノの今度は彼女達は無傷では無かった、衣服は所々破けてそこかしこから出血し、全身が埃で煤汚れている。
しかも。
立ち上がって来たのは“超新星”達だけであった、親衛隊の面々は皆、気絶してしまっており戦闘不能になってしまっていたのである。
「ぐ、ぐ・・・っ。やってくれたな?ソウタ・アヤカベ。まさか“レウルーラの加護”の秘密に気付くとは・・・!!!」
「・・・・・」
(やはりな・・・)
“次元跳躍か”とマーガレットの言葉を受けて蒼太が言った、“それがお前達の加護の正体だったんだな?”とそう告げて。
「蒼太・・・?」
「蒼太さん・・・?」
「次元跳躍・・・?」
「・・・なるほどな」
キョトンとするメリアリア達とは対照的にそれを聞いたエマとクレモンスはそれぞれが納得した表情で頷いた、“それで何度も時空歪曲が巻き起こされていたのか・・・!!!”とそう述べ立てて。
「つまりは攻撃を瞬間的に別の次元世界へとワープさせていた訳だな?蒼太・・・」
「そうだ・・・」
エマとクレモンスの言葉に青年が頷くモノの、メリアリア達には一体何の事だかさっぱり解らなかった為、蒼太に詳しい説明を求めた。
「ね、ねえあなた。一体どう言う事なの?時空歪曲ってなに・・・?」
「どう言う事ですか?蒼太さん。私達にも解るように話して聞かせて下さい!!!」
「このままじゃどうにもスッキリしないし。なるべく簡潔に解りやすく説明をしてくれ・・・!!!」
「・・・メリーは多分、知っていると思うけれど。だけどよく思い返してみてくれよ、僕達がヴェルキナと戦った際に天地が歪んで回転して行くような感覚に襲われただろ?あれが“時空歪曲”と呼ばれている現象で次元跳躍を行ったり、はたまた対象物を異次元の彼方へと吹き飛ばしてしまう際に発生するモノなんだ。僕らの時はヴェルキナがこっちを“トワイライトゾーン”に閉じ込める為に故意に時空歪曲を誘発させていた訳なんだけれども」
“今回、レウルーラはそれを防御に使ったんだ”と蒼太は続けた。
「此方の攻撃によって放たれる熱エネルギーや衝撃波なんかを、全て根刮ぎ異次元の彼方へと吹き飛ばしていっていたのさ。だからマーガレット達には通常の魔法攻撃が効かなかったんだよ」
「・・・それじゃあ前に、エマとクレモンスを狙った、と言うのは」
「この二人が万に一つもその秘密に気付かないとは限らないからさ。それに対抗策を打てるのも時空間の事象に精通している彼女達だけだからね、そう言った意味でも二人を真っ先に始末しようとしていたんだろう・・・!!!」
「・・・あ、あの。それなら!!!」
蒼太がそこまで解説し終えた時に、アウロラが口を開いた。
「それでしたら私達にも経験があります、蒼太さんがエルヴスヘイムで“時空間転位”を行った時に感じた事がありますわ?それは良く解ったんですけれども、ですがあの・・・」
「・・・・・?」
「どうして蒼太さんの波動真空呪文は効き目があったのに、私達のそれは無効化されてしまったのでしょうか・・・」
「ああ、それは」
と青髪少女の質問に答える形で蒼太は続けた、“僕のあれはこの時空の連続体に穴を開ける攻撃だったからだ”とそう告げて。
「みんなは“ブラックホール”を知っているよね?あの中心、即ち“事象の地平面”の内側には重力と質量とが無限大にまで高まっている“特異点”と呼ばれている次元の穴が存在している。僕はそれを極小サイズで出現させてレウルーラに叩き付けたのさ?だから彼女達の防御幕を以てしても防ぎきる事が出来なかったんだよ、お互い同質の力が加わった為に反発し合ってしまったんだろうね。それで彼女達は吹き飛ばされたのさ。・・・まあそれ以外にも」
“こっちの総エネルギー量がレウルーラの防御幕のそれを遥かに上回っていた、と言うのもあるけれど”と蒼太はにべも無く平然とそう言ってのけた。
ーーーーーーーーーーーーーー
長くなったので一旦、ここで切ります。
解りやすく言ってしまえば、要するにレウルーラは攻撃によって生じたエネルギーの全てを瞬時に異次元にワープさせて防いでいた訳です(ちなみに“時空歪曲”と言うのは“次元跳躍”を行う際に発生する現象でして、蒼太君達はそれを捉えていたのですね)。
ところが蒼太君の場合は“次元の穴”と言う時空間を極限まで歪曲させてしまう特異点を作り出して彼女達へと直接的に叩き付けたので同質の力で覆われていたレウルーラの面々は反発作用でその場から吹き飛ばされてしまったのでした(あと蒼太君の放ったエネルギーの総量が“レウルーラの加護”のそれよりも遥かに大きかった為にマーガレット達は己が力を限界まで振り絞って耐えなければならなかったのです、それでも結局は“防御幕”を突破されてしまいダメージを負った、と言う事です)。
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