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神世への追憶編
南国のバカンス 29
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「ち、ちょっと待ってくれ蒼太。君は神の己をこの世に顕現させる事が出来るのか・・・?」
四人が沈痛な表情を浮かべて議論を重ねていると、その内容を聞いていたエルファサリアが青年に対して言葉を掛けて来た。
「・・・やろうと思えば出来ますよ?しかも僕だけじゃ無くてこの子達も皆、神力の断片とでも言うべき力を自在に顕現させて操る事が出来るんです。そうだろ?メリー、アウロラ。オリヴィア!!!」
「ええっ!!!」
「はいですっ!!!」
「その気になりさえすればな・・・!!!」
そう言ってにべも無く応える乙女達に、流石のエルファサリアも沈黙してしまった、まさか自分の直ぐ側に“神に近しい次元の領域”が展開していようとは夢にも思わなかったのである。
「君達がここに来たのは、やはり運命だったのかも知れん・・・。蒼太、そして皆の者も!!!」
“付いて来て欲しい”とエルファサリアは続けて言った、“この城の宝物庫に案内する”とそう述べて。
「皆に見せたいモノがあるのだ。アウディミアの話は一旦、打ち止めだ。私自身が案内するから一緒に来るように・・・」
そう言うとエルファサリアは玉座から立ち上がり、蒼太達を引き連れて宮殿の地下深くにある宝物庫へと向かって歩き始めた、兵士達の詰め所を過ぎて王族の生活スペースを通り抜け、壁に隠されている“秘密の階段”を使って下へ下へと降りて行くモノのその道程は中々に長くて、また様々な法力仕掛けのカウンタートラップが随所に仕掛けられている事が蒼太達には感じられた。
「私も宝物庫には余り立ち入らぬのでな。この前来たのも半年ほども前の事だから、清掃などはしておらずに心苦しいのだが・・・」
「いいえ、陛下。陛下御自らが案内して下さるのは光栄な事です・・・!!!」
「そう言ってもらえると有り難い。何しろこの場所はそれ自体が秘密になっているのだ、皆も口外しないと約束してくれ」
「お約束します」
そんなやり取りが行われている内に蒼太達一行は漸くにして宝物庫の前にまで辿り着いたがそこには白を基調とした金で周りに細工が施されている重厚な扉が聳え立っていた。
「これは王族で無ければ絶対に開けない事になっている。もしそれ以外の者がここにまで侵入して宝物庫に手を掛けたとしたら忽ちの内に“死の呪い”が発動して死んでしまう事になるのだよ・・・!!!」
そんな説明をしつつもエルファサリアは持っていた鍵で扉を解錠し、扉を開けて中へと蒼太達を招き入れたがそこは中々の広さを誇っており、黄金で出来ている皿やグラス等の食器や宝剣、金の延べ棒等が所狭しと据え置かれていたのだ、その奥に。
一際豪華な祭壇の上で光り輝いている、赤い煌めきを放つやや大きめのルビーのような鉱物が目に止まった。
「・・・・・っ!!?」
「あれは・・・っ!!?」
「真っ赤な、宝石・・・っ!!!」
「美しいな・・・っ!!!」
メリアリア達が口々にそう言って感嘆を露わにしているとー。
「な、なんだ!!?“光輝玉の金剛石”が・・・!!!」
「“蒼水星の青煌石”が・・・っ!!!」
「我が家の“銀水晶の黒曜石”までも・・・!!!」
それまで黙って付いて来ていたダーヴィデ達伯爵連中から驚愕の声が挙がるが何と彼等が密かに持って来ていたそれぞれの家宝の聖石が突如として熱を帯び始めて輝き出し、奥にあるルビーと共鳴し始めたではないか。
「・・・・・っ。それは!!?」
「・・・これらはそれぞれ、我等の家に古から伝わる家宝で御座います。陛下」
「遙かな昔日に家の創始者達が神から与えられた、とされているモノです」
「爾来我等はそれを大切に守り抜いて来たのですが・・・。しかし何故に唐突に輝き始めたのであろうか・・・」
そんな伯爵連中の言葉が終わらぬ内に輝きはますます激しさを増して行き、宝物庫の中は金色と青、銀色と赤の光に包まれていった、それだけではない、四つの聖石からはそれぞれに崇高なる波動が解き放たれて渦を巻き、周囲に満ち満ちていく。
「・・・こ、これは一体!!?」
「何とした事だ!!!」
「聖石達が一斉に共鳴を始めて、手が付けられん・・・!!!」
「・・・・・」
それは暫くの間、続いていたのだがやがてー。
聖石達はまるで満足をしたかのように共鳴を停止して煌めきが落ち着いていった、それらは程なくして元の状態に戻ると今度は伯爵達の手の中で静かで安らかな光を放ち続けている。
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・これはな?エルフの言葉で“ソーサリーの赤き涙”と言われるモノでな、我が王家に代々伝わる神からの授かりものなのだ」
騒ぎが収まるのを待ってからエルファサリアが赤い宝石に近寄りつつも手に取って、その上で改めて語り始めるモノのそれによるとー。
遙かな昔にここ、エルヴスヘイムが開闢されてから更に数万年程が経過した頃に、エルフ族の間で大規模な内乱が勃発した、それを収めて平定し、再び世界に安寧をもたらしたのが現王家の始祖である、との事だったのだ。
「今にして思えば、その時の内乱も果たして偶発的に発生したモノだったのかどうか解らん。もしかしたならガドラが関与していたのかも知れんがしかし、いずれにせよ大乱は収まって人々は戦火から解放された。その功績を称えると共に人柄を大地母神に認められた我が始祖は、女神からこの“ソーサリーの赤き涙”を下賜されて現代に至っている、と言う訳なのだよ」
そう言うとエルファサリアは再び視線を伯爵達へと戻した、“そなたらにも似たような歴史があるようだな?”とそう述べて。
「・・・我等の先祖達は皆、古の昔は非常に高位な神官であり法力や摩訶不思議な物事にも精通していたそうです!!!」
「その人格、霊力を“ガイア”と呼ばれる大地母神に認められて、特別にその願いと神力の込められている神宝を数多の祝福と共に授かった、とされているのですよ・・・!!!」
「実は我々三家が揃った折にも神宝の共鳴現象が起こりましてな?それで解ったのですがどうやらこれらは互いに呼び合う性質を持ち合わせているようなのです・・・!!!」
「・・・それだけではあるまい」
伯爵達が語り終えた後でエルファサリアが口を開いた。
「共鳴を行う事でこれらの神宝は互いを高め合っているのだ。現にそなたらの聖石のみならず、この“ソーサリーの赤き涙”も以前とは比べ物にならない位の力の充足を感じる・・・!!!」
「仰る通りです、陛下・・・!!!」
「陛下はこれらの聖石に付いて、何か御存知なのですか?」
「知っている事があるのならば、是非とも教えていただきたい。正直に申しまして我等にも解らぬ事が多過ぎましてな・・・」
「・・・無論だ」
“その為にもここに来てもらったのだからな!!!”とエルファサリアは告げると今度は蒼太達へと向き直った。
「これらの聖石にはな?それを神から与えられた存在の血筋に連なる者達の身や心、魂等を“神の波動”に同調させる効果がある。そうするとその副産物としてその者達はこの世の存在とは隔絶された力を振るう事が出来るようになるのだよ。まあ神の力である“神力”を身に纏う事になるのだから当然と言えば当然だがな?その他にも穢れた土地を浄化させて“パワースポット”と呼ばれる場所に作り変えたり、持っている存在の願いを叶えて幸運をもたらす等、細かく挙げたらキリが無いのだが・・・。その中でも極め付けなのが安置されている場所を中心として”神々が住まう世界”、要するに“神界”をある程度までこの宇宙に顕現出来る、と言う効能を持っている点だ」
「・・・・・っ!!?」
「な、なんですってっ!!?」
「それじゃあガドラと同じじゃないですか!!?」
「我々もまた、知らず知らずの内にアウディミアと同様の事をやらかしていた、と言う事ですか・・・!!?」
カッと目を見開いたまま、そう捲し立てて来るメリアリア達を、流石に悠久の時を生きて来ただけあってエルファサリア王は“まあ聞きなさい”とやんわり制して話を続けた。
「先に私や蒼太が言ったのはあくまでも“唐突に”、そして“無理矢理に”この世に神を、それも“完全な形で”顕現させようとした時に起こり得る反応現象なのだ。これら神宝はな?それとは違ってゆっくりと時間を掛けて人々を神力に馴染ませると共に、周囲の時空を神界のそれに書き換えて行く効能を持っているのだよ」
“例えば”とエルファサリアが言った、“君達は神官の末裔と言う事だが占い等はしないのか?”とそう告げて。
「多分、君達の実家には古くから伝わる占いの技法やお抱えの占い師等が存在している筈だ。そしてそれらはいずれも抜群の的中率を誇っている事と思うが、それが何故か解るかね?」
「・・・そうか、なるほど!!!」
「・・・え、えっ!!?なになに、蒼太。どう言うこと?」
「いや、お義父さん達にも話を聞かなくてはならないけれども・・・。その前にまずはメリー、アウロラ。それにオリヴィアも!!!君達はどうやって“絶対熱の極意”や“星振魔法”、それに“パルサー呪文”を修得したんだ?その時ってやっぱり手こずったかい?それとも自然と出来た感じだった?」
「ええっ!!?う~ん、どうやってって言っても。訓練は確かにしたけれども後は自然と出来るようになったとしか・・・」
「私の場合も同じです、気が付いたら出来るようになっていました」
「同感だな、それに修得する際もそれほど手こずった訳では無くて、どちらかと言えばすんなりと事が運んでいったよ・・・?」
「・・・僕が見た所、あれらは“神威”に限りない程にまで近い威力、特性を持っているんだ。それらをすんなりと修得出来たのは君達が普段から神力をふんだんに浴び続けてその波動に染まっていたからだと思うよ?それに普通に考えるのならば、占いなんかに関しても他の場所でやるよりも遥かに良く当たるようになっていた筈なんだ。何しろ神界では空間連続体が超越されている上に時間もまた過去、現在、未来が一緒くたにしなって存在しているから、人間界にいるよりもそれぞれの事情が見やすかった筈だしね!!!」
「・・・・・っ!!?」
「そうなん、ですか・・・?」
「信じられん、我が身に神の波動が宿っている等と・・・!!!」
一頻り、花嫁達と言葉を交わしたその後で蒼太は今度は義父達に向き直った。
「・・・お義父さん方。お話を聞かせて下さい、あったりいたりするんでしょ?それぞれの家には昔から伝わる占いの方法やお抱えの占い師が!!!」
「う、うん・・・。まあね・・・」
「我が家にもあるよ?どう言うモノかは詳しくは言えないが・・・」
「家にはお抱えの占い師がいるが、まさか良く的中させるのにそんな理由があったとはな・・・!!!」
ダーヴィデ達が得心が行ったように頷くモノのそれを見たエルファサリアがまた口を開いた。
「蒼太の言う通りで神界は我々3次元のそれとは時間や空間の在り方が全く異なる。それ故対象となる事象に、人間界以上にダイレクトなアクセスをする事が可能となっている、と言う訳なんだよ」
“しかし”とエルファサリアが続けて述べた、“聖石の効能はそれだけに留まらない”と。
「我等の言い伝えではな。あれを持って祈りを捧げればやがて神界への道を開く事が出来る、とされているのだ。他にも“神と同調して直結する事が出来る”ともな、まあ元々が神の祈りの思念エネルギーが顕現したモノだから、当然と言えば当然だがな・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「陛下、聖石の事は良く解ったのですが・・・。その・・・」
「解っているよ、蒼太。まあそう急くな・・・」
聖石に付いての説明が終わった所で、押し黙ってしまった一行の中でただ一人、何事か言いたげな表情を浮かべて此方を見ている者がいた、蒼太である。
「話を元に戻そうか。アウディミアがガドラをこの世に顕現させてまで成し遂げたかった事がなんなのか、と言う事に付いてだったな・・・」
そんな彼に応える形で“コホン・・・”と咳払いを一つするとエルファサリアは尚も続けて語り始めた。
「彼女は“世界を根本から作り変えたい”と思っていたそうだ。それは異神の加護の元で、人間やエルフに代わって自分達が直接的に支配する、暴力と略奪、そして肉欲とに塗れた世界になる筈だったらしいが・・・。とにもかくにもその為には今の世界を一度、徹底的に破壊して混沌に帰す事が必要である、と本気で考えていたようだな」
「・・・要するに“ゾルデニール”の目指しているモノとある意味では同じであった、と言う事ですよね?生理欲求や本能の赴くままにただひたすらに食って寝て遊んで、やりたくなったらやる。そしてそれを邪魔する奴らや気に入らない奴らは徹底的に叩き潰す、と。まさに無法と横暴さ、狂気と力のみが跋扈する、さながら地獄のような世界、と言う事でしょうか」
「そうだ!!!」
蒼太の言葉にエルファサリアが強く頷くがまさに彼の言う通りでゾルデニールもアウディミアも最終的な目標とする所は完全に一致していたのであった。
自分達が理想とする世界の新生を行いたかったのであるモノの、そんな“世界の改革者”としての自己の正当性を確保する為にも彼等は“神々への反逆”を企てては推し進め、人類を堕落させるべく日夜あの手この手を駆使していた次第であったのだ。
もっともその内の一人である、アウディミアの息の根は完全に停止した、残るはゾルデニールただ一人であるモノのそれでも、安心する事はまだ出来なかった、何しろ奴には“キング・カイザーリン”と言う名の妻女兼巫女がいる、用心するにしくはない。
「ゾルデニール一人となった今、最早ガドラをこの世に呼び出す、等という暴挙は食い止められたと思いたいが・・・」
「普通はそうです。しかし連中は“愛”や“真心”、“人の道”と言ったモノを知らない存在ですから何をやって来るのかは解りませんよ?」
“それに”と蒼太は尚も続けた、“ゾルデニールは一人ではない”とそう述べて。
「まだ正体は解りませんが・・・。“キング・カイザーリン”と言う名の相棒がいます、恐らくはゾルデニールの“妻”と言うよりも“巫女”のような存在だと思われますが、コイツを放置して置くのはとても危険だと感じるのです」
「巫女か、それは確かに危険だな。もしも優れた力量や適性を持っていた場合は第二のアウディミアになりかねんぞ?」
「その通りです、ゾルデニールがどの程度アウディミアに加担していたのかは解りりませんが・・・。少なくともガドラを復活させてこの世に顕現させ、人間達を一層させる、と言う手筈を整えようとしていた事までは理解出来ました。しかし・・・」
「・・・・・?」
「ゾルデニールと言うのは人間や神々が憎いあまりに些か目が見えなくなっているように思われます。よくよく考えてみれば解る事なのですが、例えガドラを復活させたとして、果たして自分達が人間達の代わりとして異神に認めてもらえるのかどうかはまた別問題になってくると思うのですが・・・?」
「・・・ガドラは元々猜疑心が強くて他者に対して否定的だった、そんな神を復活させた所で自分達が認めてもらえる事等ないだろうに。如何にエルフや人間達を滅ぼす為とは言えども確かに愚かなモノだな、自分達の足下すらも見えなくなってしまっていたとは」
「結局はゾルデニールもアウディミアも、ガドラを精神的拠り所にするのみならず、自分達の為に利用しようとしていたのでしょうね。そう言った輩ほど肝心要の所には気が付かないモノですよ、陛下が仰られた通りで足下が見えなくなっているのでしょうね・・・」
そう言って蒼太は後は俯いて沈黙してしまい、エルファサリアも暫くの間はそれに倣っていたのだが、やがて口を開いて告げた、“そろそろ謁見の間に帰ろうか”とそう言って。
「とにもかくにも君達が神宝を持っている事が解っただけでも収穫だった、解っているとは思うが大事にしなさい。それらはやがて蒼太とその三人の花嫁達を守り抜いてくれるのだからね・・・」
「エルファサリア王・・・」
「今のは多分、予言だと思うよ?蒼太。よく覚えておくように・・・」
そう告げるとエルファサリアは率先して先頭に立ち、皆を誘導して行った。
ーーーーーーーーーーーーーー
今回のお話はそれ単体だとハッキリと言って“えっ、これでお終いなの?”、“一体全体なんだったの?”と言う、山も谷も無い平凡な物語に過ぎませんが、実は終盤に対する重要な伏線が隠されています(聖石達の共鳴に、そのヒントがあります←ちなみになんでダーヴィデ達が自分達の家宝をわざわざこのエルヴスヘイムの地に持って来ていたのか、と言うことに付きましては第4章の“第二次エルヴスヘイム事件6”をお読み下さいませ)。
終盤に蒼太君達がある事をするのですが、それを無事に成し遂げる為にもとても大切な話だったのです(もしよろしかったら覚えておいて下さい)。
またもう一つ、このお話で蒼太君達は初めてアウディミアやゾルデニールと言った“暗闇の存在”達の目的を具体的かつ正確に知りました(蒼太君だけは一応、前々から大雑把には掴んでいましたが今回の事によりそれが一層ハッキリとしてきた感じです←その為にもどうしても書いておかねばならなかったお話であったのです)。
今後は蒼太君達は現世に戻ります、そして物語は終盤に向けて一気に加速して行きます(あと残っているのは“キング・カイザーリン”と“ゾルデニール”のみなのですがコイツらを倒す為には色々と準備しなければならない事やクリアーしなければならない課題がまだ幾つかあるのです)。
また前話で説明し忘れたのですが、“天津神”に対して“国津神”と言う神々がいらっしゃいますけれども この国津神とは天津神の子孫が地上に降りられてそこに定着していったり、はたまた各地で自然発生した精霊が神となって崇められたり、また或いは何か立派な事を為した英雄を神としてお祭りしているのをそう呼ぶそうです。
ちなみに(これは前話の後書きにて記させていただいておりますが)神々は私達人間や生物を創造する際に先ずは一番、その者に合った姿形、有り様をイメージしては全精力を注ぎ込んでこの世に顕現させて行くのだそうです。
それは最初から最後まで気の抜けない作業の連続だそうでして、それぞれの存在を最高の形で仕上げて行かれるのだとか。
中でも人間はその最たるモノだそうでして、魂に神の分け御霊を使って創造を為されたのだと言う事です(だからその辺にいる動物達とはまた違っているのです←勿論、だからと言って人間が動物達を好き勝手に扱って良い理由にはなりません。悪しからず御了承下さい)。
四人が沈痛な表情を浮かべて議論を重ねていると、その内容を聞いていたエルファサリアが青年に対して言葉を掛けて来た。
「・・・やろうと思えば出来ますよ?しかも僕だけじゃ無くてこの子達も皆、神力の断片とでも言うべき力を自在に顕現させて操る事が出来るんです。そうだろ?メリー、アウロラ。オリヴィア!!!」
「ええっ!!!」
「はいですっ!!!」
「その気になりさえすればな・・・!!!」
そう言ってにべも無く応える乙女達に、流石のエルファサリアも沈黙してしまった、まさか自分の直ぐ側に“神に近しい次元の領域”が展開していようとは夢にも思わなかったのである。
「君達がここに来たのは、やはり運命だったのかも知れん・・・。蒼太、そして皆の者も!!!」
“付いて来て欲しい”とエルファサリアは続けて言った、“この城の宝物庫に案内する”とそう述べて。
「皆に見せたいモノがあるのだ。アウディミアの話は一旦、打ち止めだ。私自身が案内するから一緒に来るように・・・」
そう言うとエルファサリアは玉座から立ち上がり、蒼太達を引き連れて宮殿の地下深くにある宝物庫へと向かって歩き始めた、兵士達の詰め所を過ぎて王族の生活スペースを通り抜け、壁に隠されている“秘密の階段”を使って下へ下へと降りて行くモノのその道程は中々に長くて、また様々な法力仕掛けのカウンタートラップが随所に仕掛けられている事が蒼太達には感じられた。
「私も宝物庫には余り立ち入らぬのでな。この前来たのも半年ほども前の事だから、清掃などはしておらずに心苦しいのだが・・・」
「いいえ、陛下。陛下御自らが案内して下さるのは光栄な事です・・・!!!」
「そう言ってもらえると有り難い。何しろこの場所はそれ自体が秘密になっているのだ、皆も口外しないと約束してくれ」
「お約束します」
そんなやり取りが行われている内に蒼太達一行は漸くにして宝物庫の前にまで辿り着いたがそこには白を基調とした金で周りに細工が施されている重厚な扉が聳え立っていた。
「これは王族で無ければ絶対に開けない事になっている。もしそれ以外の者がここにまで侵入して宝物庫に手を掛けたとしたら忽ちの内に“死の呪い”が発動して死んでしまう事になるのだよ・・・!!!」
そんな説明をしつつもエルファサリアは持っていた鍵で扉を解錠し、扉を開けて中へと蒼太達を招き入れたがそこは中々の広さを誇っており、黄金で出来ている皿やグラス等の食器や宝剣、金の延べ棒等が所狭しと据え置かれていたのだ、その奥に。
一際豪華な祭壇の上で光り輝いている、赤い煌めきを放つやや大きめのルビーのような鉱物が目に止まった。
「・・・・・っ!!?」
「あれは・・・っ!!?」
「真っ赤な、宝石・・・っ!!!」
「美しいな・・・っ!!!」
メリアリア達が口々にそう言って感嘆を露わにしているとー。
「な、なんだ!!?“光輝玉の金剛石”が・・・!!!」
「“蒼水星の青煌石”が・・・っ!!!」
「我が家の“銀水晶の黒曜石”までも・・・!!!」
それまで黙って付いて来ていたダーヴィデ達伯爵連中から驚愕の声が挙がるが何と彼等が密かに持って来ていたそれぞれの家宝の聖石が突如として熱を帯び始めて輝き出し、奥にあるルビーと共鳴し始めたではないか。
「・・・・・っ。それは!!?」
「・・・これらはそれぞれ、我等の家に古から伝わる家宝で御座います。陛下」
「遙かな昔日に家の創始者達が神から与えられた、とされているモノです」
「爾来我等はそれを大切に守り抜いて来たのですが・・・。しかし何故に唐突に輝き始めたのであろうか・・・」
そんな伯爵連中の言葉が終わらぬ内に輝きはますます激しさを増して行き、宝物庫の中は金色と青、銀色と赤の光に包まれていった、それだけではない、四つの聖石からはそれぞれに崇高なる波動が解き放たれて渦を巻き、周囲に満ち満ちていく。
「・・・こ、これは一体!!?」
「何とした事だ!!!」
「聖石達が一斉に共鳴を始めて、手が付けられん・・・!!!」
「・・・・・」
それは暫くの間、続いていたのだがやがてー。
聖石達はまるで満足をしたかのように共鳴を停止して煌めきが落ち着いていった、それらは程なくして元の状態に戻ると今度は伯爵達の手の中で静かで安らかな光を放ち続けている。
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・これはな?エルフの言葉で“ソーサリーの赤き涙”と言われるモノでな、我が王家に代々伝わる神からの授かりものなのだ」
騒ぎが収まるのを待ってからエルファサリアが赤い宝石に近寄りつつも手に取って、その上で改めて語り始めるモノのそれによるとー。
遙かな昔にここ、エルヴスヘイムが開闢されてから更に数万年程が経過した頃に、エルフ族の間で大規模な内乱が勃発した、それを収めて平定し、再び世界に安寧をもたらしたのが現王家の始祖である、との事だったのだ。
「今にして思えば、その時の内乱も果たして偶発的に発生したモノだったのかどうか解らん。もしかしたならガドラが関与していたのかも知れんがしかし、いずれにせよ大乱は収まって人々は戦火から解放された。その功績を称えると共に人柄を大地母神に認められた我が始祖は、女神からこの“ソーサリーの赤き涙”を下賜されて現代に至っている、と言う訳なのだよ」
そう言うとエルファサリアは再び視線を伯爵達へと戻した、“そなたらにも似たような歴史があるようだな?”とそう述べて。
「・・・我等の先祖達は皆、古の昔は非常に高位な神官であり法力や摩訶不思議な物事にも精通していたそうです!!!」
「その人格、霊力を“ガイア”と呼ばれる大地母神に認められて、特別にその願いと神力の込められている神宝を数多の祝福と共に授かった、とされているのですよ・・・!!!」
「実は我々三家が揃った折にも神宝の共鳴現象が起こりましてな?それで解ったのですがどうやらこれらは互いに呼び合う性質を持ち合わせているようなのです・・・!!!」
「・・・それだけではあるまい」
伯爵達が語り終えた後でエルファサリアが口を開いた。
「共鳴を行う事でこれらの神宝は互いを高め合っているのだ。現にそなたらの聖石のみならず、この“ソーサリーの赤き涙”も以前とは比べ物にならない位の力の充足を感じる・・・!!!」
「仰る通りです、陛下・・・!!!」
「陛下はこれらの聖石に付いて、何か御存知なのですか?」
「知っている事があるのならば、是非とも教えていただきたい。正直に申しまして我等にも解らぬ事が多過ぎましてな・・・」
「・・・無論だ」
“その為にもここに来てもらったのだからな!!!”とエルファサリアは告げると今度は蒼太達へと向き直った。
「これらの聖石にはな?それを神から与えられた存在の血筋に連なる者達の身や心、魂等を“神の波動”に同調させる効果がある。そうするとその副産物としてその者達はこの世の存在とは隔絶された力を振るう事が出来るようになるのだよ。まあ神の力である“神力”を身に纏う事になるのだから当然と言えば当然だがな?その他にも穢れた土地を浄化させて“パワースポット”と呼ばれる場所に作り変えたり、持っている存在の願いを叶えて幸運をもたらす等、細かく挙げたらキリが無いのだが・・・。その中でも極め付けなのが安置されている場所を中心として”神々が住まう世界”、要するに“神界”をある程度までこの宇宙に顕現出来る、と言う効能を持っている点だ」
「・・・・・っ!!?」
「な、なんですってっ!!?」
「それじゃあガドラと同じじゃないですか!!?」
「我々もまた、知らず知らずの内にアウディミアと同様の事をやらかしていた、と言う事ですか・・・!!?」
カッと目を見開いたまま、そう捲し立てて来るメリアリア達を、流石に悠久の時を生きて来ただけあってエルファサリア王は“まあ聞きなさい”とやんわり制して話を続けた。
「先に私や蒼太が言ったのはあくまでも“唐突に”、そして“無理矢理に”この世に神を、それも“完全な形で”顕現させようとした時に起こり得る反応現象なのだ。これら神宝はな?それとは違ってゆっくりと時間を掛けて人々を神力に馴染ませると共に、周囲の時空を神界のそれに書き換えて行く効能を持っているのだよ」
“例えば”とエルファサリアが言った、“君達は神官の末裔と言う事だが占い等はしないのか?”とそう告げて。
「多分、君達の実家には古くから伝わる占いの技法やお抱えの占い師等が存在している筈だ。そしてそれらはいずれも抜群の的中率を誇っている事と思うが、それが何故か解るかね?」
「・・・そうか、なるほど!!!」
「・・・え、えっ!!?なになに、蒼太。どう言うこと?」
「いや、お義父さん達にも話を聞かなくてはならないけれども・・・。その前にまずはメリー、アウロラ。それにオリヴィアも!!!君達はどうやって“絶対熱の極意”や“星振魔法”、それに“パルサー呪文”を修得したんだ?その時ってやっぱり手こずったかい?それとも自然と出来た感じだった?」
「ええっ!!?う~ん、どうやってって言っても。訓練は確かにしたけれども後は自然と出来るようになったとしか・・・」
「私の場合も同じです、気が付いたら出来るようになっていました」
「同感だな、それに修得する際もそれほど手こずった訳では無くて、どちらかと言えばすんなりと事が運んでいったよ・・・?」
「・・・僕が見た所、あれらは“神威”に限りない程にまで近い威力、特性を持っているんだ。それらをすんなりと修得出来たのは君達が普段から神力をふんだんに浴び続けてその波動に染まっていたからだと思うよ?それに普通に考えるのならば、占いなんかに関しても他の場所でやるよりも遥かに良く当たるようになっていた筈なんだ。何しろ神界では空間連続体が超越されている上に時間もまた過去、現在、未来が一緒くたにしなって存在しているから、人間界にいるよりもそれぞれの事情が見やすかった筈だしね!!!」
「・・・・・っ!!?」
「そうなん、ですか・・・?」
「信じられん、我が身に神の波動が宿っている等と・・・!!!」
一頻り、花嫁達と言葉を交わしたその後で蒼太は今度は義父達に向き直った。
「・・・お義父さん方。お話を聞かせて下さい、あったりいたりするんでしょ?それぞれの家には昔から伝わる占いの方法やお抱えの占い師が!!!」
「う、うん・・・。まあね・・・」
「我が家にもあるよ?どう言うモノかは詳しくは言えないが・・・」
「家にはお抱えの占い師がいるが、まさか良く的中させるのにそんな理由があったとはな・・・!!!」
ダーヴィデ達が得心が行ったように頷くモノのそれを見たエルファサリアがまた口を開いた。
「蒼太の言う通りで神界は我々3次元のそれとは時間や空間の在り方が全く異なる。それ故対象となる事象に、人間界以上にダイレクトなアクセスをする事が可能となっている、と言う訳なんだよ」
“しかし”とエルファサリアが続けて述べた、“聖石の効能はそれだけに留まらない”と。
「我等の言い伝えではな。あれを持って祈りを捧げればやがて神界への道を開く事が出来る、とされているのだ。他にも“神と同調して直結する事が出来る”ともな、まあ元々が神の祈りの思念エネルギーが顕現したモノだから、当然と言えば当然だがな・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「陛下、聖石の事は良く解ったのですが・・・。その・・・」
「解っているよ、蒼太。まあそう急くな・・・」
聖石に付いての説明が終わった所で、押し黙ってしまった一行の中でただ一人、何事か言いたげな表情を浮かべて此方を見ている者がいた、蒼太である。
「話を元に戻そうか。アウディミアがガドラをこの世に顕現させてまで成し遂げたかった事がなんなのか、と言う事に付いてだったな・・・」
そんな彼に応える形で“コホン・・・”と咳払いを一つするとエルファサリアは尚も続けて語り始めた。
「彼女は“世界を根本から作り変えたい”と思っていたそうだ。それは異神の加護の元で、人間やエルフに代わって自分達が直接的に支配する、暴力と略奪、そして肉欲とに塗れた世界になる筈だったらしいが・・・。とにもかくにもその為には今の世界を一度、徹底的に破壊して混沌に帰す事が必要である、と本気で考えていたようだな」
「・・・要するに“ゾルデニール”の目指しているモノとある意味では同じであった、と言う事ですよね?生理欲求や本能の赴くままにただひたすらに食って寝て遊んで、やりたくなったらやる。そしてそれを邪魔する奴らや気に入らない奴らは徹底的に叩き潰す、と。まさに無法と横暴さ、狂気と力のみが跋扈する、さながら地獄のような世界、と言う事でしょうか」
「そうだ!!!」
蒼太の言葉にエルファサリアが強く頷くがまさに彼の言う通りでゾルデニールもアウディミアも最終的な目標とする所は完全に一致していたのであった。
自分達が理想とする世界の新生を行いたかったのであるモノの、そんな“世界の改革者”としての自己の正当性を確保する為にも彼等は“神々への反逆”を企てては推し進め、人類を堕落させるべく日夜あの手この手を駆使していた次第であったのだ。
もっともその内の一人である、アウディミアの息の根は完全に停止した、残るはゾルデニールただ一人であるモノのそれでも、安心する事はまだ出来なかった、何しろ奴には“キング・カイザーリン”と言う名の妻女兼巫女がいる、用心するにしくはない。
「ゾルデニール一人となった今、最早ガドラをこの世に呼び出す、等という暴挙は食い止められたと思いたいが・・・」
「普通はそうです。しかし連中は“愛”や“真心”、“人の道”と言ったモノを知らない存在ですから何をやって来るのかは解りませんよ?」
“それに”と蒼太は尚も続けた、“ゾルデニールは一人ではない”とそう述べて。
「まだ正体は解りませんが・・・。“キング・カイザーリン”と言う名の相棒がいます、恐らくはゾルデニールの“妻”と言うよりも“巫女”のような存在だと思われますが、コイツを放置して置くのはとても危険だと感じるのです」
「巫女か、それは確かに危険だな。もしも優れた力量や適性を持っていた場合は第二のアウディミアになりかねんぞ?」
「その通りです、ゾルデニールがどの程度アウディミアに加担していたのかは解りりませんが・・・。少なくともガドラを復活させてこの世に顕現させ、人間達を一層させる、と言う手筈を整えようとしていた事までは理解出来ました。しかし・・・」
「・・・・・?」
「ゾルデニールと言うのは人間や神々が憎いあまりに些か目が見えなくなっているように思われます。よくよく考えてみれば解る事なのですが、例えガドラを復活させたとして、果たして自分達が人間達の代わりとして異神に認めてもらえるのかどうかはまた別問題になってくると思うのですが・・・?」
「・・・ガドラは元々猜疑心が強くて他者に対して否定的だった、そんな神を復活させた所で自分達が認めてもらえる事等ないだろうに。如何にエルフや人間達を滅ぼす為とは言えども確かに愚かなモノだな、自分達の足下すらも見えなくなってしまっていたとは」
「結局はゾルデニールもアウディミアも、ガドラを精神的拠り所にするのみならず、自分達の為に利用しようとしていたのでしょうね。そう言った輩ほど肝心要の所には気が付かないモノですよ、陛下が仰られた通りで足下が見えなくなっているのでしょうね・・・」
そう言って蒼太は後は俯いて沈黙してしまい、エルファサリアも暫くの間はそれに倣っていたのだが、やがて口を開いて告げた、“そろそろ謁見の間に帰ろうか”とそう言って。
「とにもかくにも君達が神宝を持っている事が解っただけでも収穫だった、解っているとは思うが大事にしなさい。それらはやがて蒼太とその三人の花嫁達を守り抜いてくれるのだからね・・・」
「エルファサリア王・・・」
「今のは多分、予言だと思うよ?蒼太。よく覚えておくように・・・」
そう告げるとエルファサリアは率先して先頭に立ち、皆を誘導して行った。
ーーーーーーーーーーーーーー
今回のお話はそれ単体だとハッキリと言って“えっ、これでお終いなの?”、“一体全体なんだったの?”と言う、山も谷も無い平凡な物語に過ぎませんが、実は終盤に対する重要な伏線が隠されています(聖石達の共鳴に、そのヒントがあります←ちなみになんでダーヴィデ達が自分達の家宝をわざわざこのエルヴスヘイムの地に持って来ていたのか、と言うことに付きましては第4章の“第二次エルヴスヘイム事件6”をお読み下さいませ)。
終盤に蒼太君達がある事をするのですが、それを無事に成し遂げる為にもとても大切な話だったのです(もしよろしかったら覚えておいて下さい)。
またもう一つ、このお話で蒼太君達は初めてアウディミアやゾルデニールと言った“暗闇の存在”達の目的を具体的かつ正確に知りました(蒼太君だけは一応、前々から大雑把には掴んでいましたが今回の事によりそれが一層ハッキリとしてきた感じです←その為にもどうしても書いておかねばならなかったお話であったのです)。
今後は蒼太君達は現世に戻ります、そして物語は終盤に向けて一気に加速して行きます(あと残っているのは“キング・カイザーリン”と“ゾルデニール”のみなのですがコイツらを倒す為には色々と準備しなければならない事やクリアーしなければならない課題がまだ幾つかあるのです)。
また前話で説明し忘れたのですが、“天津神”に対して“国津神”と言う神々がいらっしゃいますけれども この国津神とは天津神の子孫が地上に降りられてそこに定着していったり、はたまた各地で自然発生した精霊が神となって崇められたり、また或いは何か立派な事を為した英雄を神としてお祭りしているのをそう呼ぶそうです。
ちなみに(これは前話の後書きにて記させていただいておりますが)神々は私達人間や生物を創造する際に先ずは一番、その者に合った姿形、有り様をイメージしては全精力を注ぎ込んでこの世に顕現させて行くのだそうです。
それは最初から最後まで気の抜けない作業の連続だそうでして、それぞれの存在を最高の形で仕上げて行かれるのだとか。
中でも人間はその最たるモノだそうでして、魂に神の分け御霊を使って創造を為されたのだと言う事です(だからその辺にいる動物達とはまた違っているのです←勿論、だからと言って人間が動物達を好き勝手に扱って良い理由にはなりません。悪しからず御了承下さい)。
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