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神世への追憶編
南国のバカンス 14
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アナルを正式な手順で無理なく開発する為には、事前準備に最低でも2、3日前から行う必要がある。
まずは浣腸や下剤を使って宿便等を一つ残らず排出させる等、直腸内の洗浄を行わなければならない上に、実際に陰茎を挿入をする直前にも菊座やその周囲を徹底的に解しておいて最終的にはローションを塗布し、滑りを良くしなければならないのである。
その為。
(まずは何日間か“子宮姦”を行ってからお尻でする流れの方が良いのかな?どっちみちアナルの開発には時間が掛かるし・・・。だけどそれだとせっかく生殖器に突き入れた“アレ”を一度抜き去らなきゃならないんだよな、それにお尻でする場合は“巨大化”も出来ないし・・・。それだと逆に、オリヴィアのお尻でエッチしてからの方が良いのか?いやだけどそれだと・・・)
“それをそのまま、また女性器に入れるのは不衛生だしな・・・”等と準備を整えた蒼太が思案に思案を重ねながらもオリヴィアの部屋の前までやって来た。
・・・コンコン。
「・・・・・っ。どなただろうか?」
「オリヴィア、僕だよ」
「・・・・・っっ!!!!!」
青年が部屋のドアをノックして言葉を発すると中からは嬉しそうな、それでいてホッとしたかの様な声色で年上騎士姫が“蒼太かっ!!?”と叫んで施錠を解く。
「蒼太・・・っ❤❤❤❤❤ま、まったくもうっ。いつまで私を待たせる気なんだ?いい加減、こっちから押し掛けようかと思っていたよ!!!」
「あははっ、あははははは・・・っ!!!」
一種の照れ隠しと喜びの為だろう、扉を開け放って中へと夫を誘う愛妻令嬢は怒りながらも嬉しさを顔に滲ませ、瞳をキラキラと潤ませていた。
彼女とのエッチもアウロラと同様に、大きく分けると今回で三回目でありその態度や装い等から幾分は、行為に慣れて来た事が窺えるが、さて。
「・・・・・」
(・・・まあ、“時の涙滴”を使用してエッチを繰り返しているからね。アウロラの場合もそうだったけれども実際は僕達1ヶ月半もの間、連続して行為に臨んでいる様なモノだから。流石に心も身体も僕に合うように変化変質して来ていてもおかしくはないか!!!)
そんな事を考えていると彼を室内へと引き入れたオリヴィアが“何か飲むか?”と尋ねて来た為に、蒼太はメリアリアの時と同じように部屋に備え付けられている冷蔵庫の中で冷やされていた、上質なジャパン・ウィスキーに似た風味のカラメル色をした“純正ハイ・リキュール”を所望した。
「な・・・っ。酒を飲むのか?」
「悪いかい?オリヴィア。そうだ、良い機会だから一緒に飲もうよ!!!」
「な・・・っ!!?し、しかし酒とは・・・。確かに私も時々は嗜むけれど・・・っ!!!」
“まさか下戸なんて事は無いだろ?”と続ける青年に戸惑いから些か気圧され気味にそう応える年上騎士姫だったが蒼太に尚もせがまれて、遂にはOKせざるを得なくなってしまった。
「頼むよ、オリヴィア。僕、君と一緒に飲みたいんだ!!!それともオリヴィアは僕と飲むのは嫌かい?」
「・・・別に。そう言う訳じゃあ」
「じゃあ決まりだね?グラスを出すからリキュールを出しておいてよ。あっ、お代は後で僕が払うから!!!」
「・・・・・っ。い、いいわよそんな事をしなくても!!!元はと言えば私が誘ったんだし」
「・・・・・っ。あははっ、オリヴィア。言葉遣いが女の子に戻ってるよ?」
「・・・・・っ!!?そ、蒼太っ。君はっ!!!」
「あはははっ。可愛いよ?オリヴィア、その方が何倍も可愛いっ!!!」
「・・・・・っ。も、もうっ。知らないっっっ!!!!!」
笑顔で応じる青年に対してそう言うと、オリヴィアは顔を真っ赤にしたまま“プイッ!!!”とあさっての方を向いしまった。
「あははっ、怒らないでよ。オリヴィア・・・!!!」
「・・・・・」
「ごめんね。僕さ、オリヴィアが自分を曝け出してくれて凄く嬉しかったんだ。普段の君は警戒心と義務感の塊みたいな所があるからさ・・・?」
「・・・・・」
「それに僕と一緒にお酒を飲んでくれるのが、滅茶苦茶嬉しかったんだ。僕の夢だったんだよ、自分の大好きな人とまったりとしながらお酒を飲むのが・・・!!!」
「・・・・・」
「怒らないで?オリヴィア、僕の事を許してよ。君が僕の前で女の子に戻ってくれるのが、僕はとても嬉しいんだ。だってそれだけ僕に心を許してくれている、と言う事だからね・・・?」
「・・・・・」
「・・・それとも。僕の事もう嫌い?顔もみたくない?」
「・・・・・っ!!!!!」
そう声を掛け様に、蒼太はオリヴィアの両肩に手をやって自分の方へと向き直らせる。
メリアリアやアウロラ等、3人の花嫁達の中では最もフィジカル面の能力が強くて反射神経も抜群な愛妻令嬢だったがそれでも、蒼太の比類無き力の前には為す術も無く、彼の良いように姿勢を変えられ、彼へと相対する格好となった。
「・・・・・」
(蒼太、こんなにも力が強かったんだ。私なんてかたなしだ・・・!!!)
自身の夫の強さと逞しさとに満悦となりながらも、それでも尚もオリヴィアは意地を張って顔を背ける。
本当は蒼太の胸に飛び込んで行きたい、あなたの事が大好きと言いたい、全身で抱いてもらいたい、等と考えながらもどうしても、自身のプライドが優先してしまい素直になれなかった。
しかし。
「オリヴィア、僕さ。オリヴィアにお酒をついで欲しいんだ。ここにあるのは皆、僕達の為だけに用意されているモノなんだよ?それをね、オリヴィア。君についで飲ませて欲しいんだ・・・」
「・・・・・」
「自分の為だけに用意されている酒を、自分の為だけに生まれて来てくれた女の子に注いでもらいながら飲みたいんだよ。オリヴィア・・・」
「・・・・・っ!!!!!」
“ダメ・・・?”と尚も自分に対して、それも先程までとは打って変わって真剣な眼差しで迫ってくる蒼太に対してオリヴィアは遂に根負けしてしまい、彼の方に向き直ると“バカ・・・”と短く言い放った、そうしておいて。
無言で冷蔵庫の前まで行くと、静かなしかし、素早い動作でまずはロックグラスを取りに行くと、返す刀で“純正ハイ・リキュール”の瓶と共にロックアイスを用意して蒼太の前まで帰って来る。
「・・・・・」
「・・・有り難う、オリヴィア」
年上騎士姫の行動にそう言って報いると蒼太は早速、自分はソファに腰掛けて“ついで?”とオリヴィアに促した。
「・・・・・っ。わ、私がつぐの?」
「当然だろ?君は僕のなんだから。それとも僕にお酒をつぐのは嫌・・・?」
「・・・・・」
そんな青年からの言葉を聞いた愛妻令嬢は、一瞬の逡巡の後にー。
オリヴィアは結局は彼に屈して言いなりになった、ロックアイスの入っていた蒼太のグラスにハイ・リキュールをなみなみと注ぐとそれを彼へと差し出すが、するとその刹那ー。
「・・・・・」
「キャ・・・ッ!!!」
グラスを受け取った蒼太が更に、一瞬の隙を突いてオリヴィアを自身へと引き寄せてはその鋼鉄の肉体に寄り添わせるようにする。
「な、なにを・・・っ!!?」
「飲もうよ、オリヴィア・・・」
蒼太が告げた。
「僕達は、恋人同士って言うよりも“夫婦”なんだからさ?たまには良いだろ、こう言うのも・・・」
「・・・・・っ!!!!!」
そんな青年からの言葉に最初は恥ずかしさから抵抗の意を露わにしていた愛妻令嬢も、しかし終いには観念したかのように蒼太の身体へとしな垂れかかり、ある種の憂いを帯びた瞳で彼を見つめる。
「・・・・・っ。ぷはぁっ!!!美味しいな、オリヴィア」
「・・・・・」
まず1杯目を流し込んだ夫に対してオリヴィアは複雑そうな面持ちを浮かべていた。
「・・・どうしたのさ、オリヴィア」
「・・・・・」
「・・・もしかしてメリーとアウロラの事?」
「・・・・・っ!!!!?」
自身の背中に手を回しながら一口、二口とハイ・リキュールを口に含んで行く蒼太の放った言葉に、オリヴィアが思わずピクリとなった。
「・・・私は、君の幼馴染では無い」
「・・・うん、そうだね」
「あの二人と私とでは、どうしても越えられない壁がある・・・!!!」
オリヴィアが静かに語り始めた、“自分には君とのエピソードや思い出が何も無いんだ”とそう告げて。
「私が君を好きになったのは、運命だと思っている。自分で言うのも何だけれども、その・・・。初めて君と出会った瞬間、雷に打たれたかのようになってしまったんだ・・・」
「・・・・・」
「おかしいだろ?年だって10歳以上も離れているのに、それでも私は君の事が頭から離れなくなってしまった。この気持ちと体験に嘘偽りは無い・・・!!!」
「・・・・・」
「それでいい、と思っていたんだ。少なくとも今だってそう思っている、だって私が君を好きな気持ちは決してあの二人に劣るものでは無いのだから・・・!!!」
“だけど!!!”とオリヴィアは言った、“それだけじゃ足りないんだ!!!”とそう述べて。
「メリアリアもアウロラも。君の事が本当に大好きなんだ!!!勿論、私だってそうなんだけれども私にはあの二人と違って君との間に積み上げて来たモノが足りないんだ・・・!!!」
「・・・・・」
「そんな私が、君達の側にいても良いのだろうか。いいや、この際だからハッキリと言ってくれ、蒼太!!!仮にお義理や同情で一緒にいてもらったとしても、この先きっと辛くなるだけだから。だから・・・!!!」
“それならばいっそ・・・っ!!!”と尚も年上騎士姫が何事かを言い掛けた時だった。
不意に蒼太がガバッと跳ね起きたかと思うとグラスをテーブルの上に置き、そのまま両腕で彼女を抱き締めしっかりと抱擁したのだ。
「・・・・・っ。そ、蒼太っ。私は!!!」
「オリヴィア・・・」
珍しく熱の籠もった口調となり、ともすれば騒々しくなってしまった愛妻令嬢に対して蒼太が静かな、それでいて恐ろしい程に力強い声を発して語り掛ける。
「君は僕が、メリーやアウロラの事を好きになったのは幼馴染だったからだと思うのかい?」
「・・・・・っ。そ、そんな事は無いが!!!それも一つの要因だったと」
「僕はね?オリヴィア。あの二人が幼馴染だったから好きになったんじゃあ無いよ?あの二人が、あの二人だったからこそ大好きになって、愛する事が出来たんだよ・・・!!!」
「・・・・・っ!!!!?」
「メリーが掛け替えのないメリーと言う人であったからこそ、僕はこれ以上無い位にまで愛しているし。それにアウロラだってそうだよ、あの子があの子だったからこそ大好きになって行ったんだ・・・!!!」
“君だってそうだよ、オリヴィア・・・!!!”と蒼太は語った、“君は確かに魅力的な女性だけれども、だけどそれだけが結婚までした理由じゃないよ?”とそう続けて。
「君が他に代わりの利かないオリヴィアと言う人だったから、僕は好きになって惹かれて。そしてそれが故に君の全てが魅力的に映ったんだ、その逆は有り得ないよ・・・!!!」
「・・・わ、私が魅力的?」
「そうだよ?」
蒼太は尚も言葉を続けた。
「確かに最初はオリヴィアの事“綺麗な人だな”とは思ったよ?でもただそれだけだったんだ、それが一緒に過ごす内にどんどん僕の中で君の存在が大きなモノになっていって、無くてはならないモノになっていって。気が付いたら好きになっていたんだ、君の事が想像以上にチャーミングで魅力的な女性(ひと)なんだって気付いたのは、その後の事だったからね?」
「そ、蒼太・・・っ!!!」
「メリーもアウロラも同じだよ?メリーだって出会ったばかりの時は“うわぁ、可愛い子だなぁっ!!!”って思ってたんだ、だから確かに惹かれたと言えば惹かれたんだけど。でも最初の内はそれ以上ではなかったんだ、それが一緒にいる内にメリーへの思いが段々と膨らんでいって、強くなっていって。気が付いたら物凄く好きになっていたんだ、自分にとって唯一無二の、掛け替えのない大切な女性(ひと)になっていたんだよ。アウロラの事だってそうだよ?」
「・・・・・」
「確かに幼馴染って言うのは思い出補正だとか、その関係性だとか凄いモノがあるかも知れない、だけどそれは絶対的なモノじゃない。強いて言うならメリーが他の誰でも無い、メリー自身で居てくれた上に、“幼馴染だったから尚のこと良かった”って感じかな?だってそのお陰で今生で僕は子供の内から人として大切なものを発見出来たし、いっぱいいっぱい手に入れる事が出来たからね!!!」
「・・・・・」
「君だってそうだよ?オリヴィア。僕は例えば君とも幼馴染だったとして、だけどそれ故に君のことが好きになる訳じゃあ無いよ?君が何処の誰でも無い、この世に二人と居ない君だからこそ、掛け替えのない君だからこそ好きになるんだよ。それこそ何処に居て何をしていようとも、そして何度でもね!!!」
「・・・・・っ。蒼太っ!!!」
「それに思い出ならばいっぱいあるだろ?君が僕の事を思って夢想を重ねていた日々が、そしてその夢想の内容こそが二人の掛け替えのない思い出じゃないか!!!」
「えええっ!!?そ、それは・・・っ。しかし、そんな事・・・っ!!!」
「聞かせてくれよ、オリヴィア。君が僕とどんな事をしたいと思っていたのか、どんな夢を見ていたのかを。それを二人で共有した瞬間に、それらは立派な思い出になる。それ以外のエピソードはこれから二人で創って行こうよ、時間はタップリあるんだしさ!!!」
「・・・・・っ!!!そ、蒼太っ❤❤❤❤❤」
そんな青年からの思いを聞かされた時に。
オリヴィアは心の底から、否、魂の底から感激して打ち振るわされてしまい、もう何も言えなくなってしまっていた、蒼太は誰々の何々が好きだ、とかどんな所に惚れた、等と言った、そんな理屈を超越してしまっていたのである。
(私が、私であるからこそ蒼太は好きになり。そして愛してくれたんだ・・・っ!!!)
そう思うと彼女はそれまで悩み苦しんでいた心境から一転、嬉しくて嬉しくて仕方が無くなってしまっていた、否、それまで塞ぎ込んでいた事も手伝ってその喜びは一入(ひとしお)であったのだ。
「あああっ!!?蒼太っ。蒼太蒼太蒼太蒼太っ、蒼太あああぁぁぁぁぁっっっ❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤」
愛しい夫の名前を叫んで、それと同時に彼に抱き着く。
もうその胸の内になんの澱みも痼りも存在しては居なくなったオリヴィアの表情は険や硬さも取れて、まるで無垢な少女の様に明るくて純真なそれと化していたのであった。
「蒼太ぁっ。蒼太、もう離さないっっっ❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤」
「あははっ。オリヴィア、良かった!!!」
そう言って自身もしっかりとこの黒髪の愛妻令嬢の事を抱擁すると一頻り、二人で抱き合ったその後でー。
漸くにして本当の意味で心を通わせ合った夫婦は長くて熱い口付けを交わすが、それが済むとー。
「飲もうよ、オリヴィア・・・」
「うん・・・っ!!!」
蒼太は再びグラスへと手を伸ばして中に注がれたアルコールを口へと運ぶ青年に対してオリヴィアは彼に身を寄り添わせるながら“私にも飲ませて?”と初めて甘えた声で懇願して来た。
「ほら・・・。オリヴィア、無理しないでね?」
「・・・ぷはぁっ。本当に美味しいな、これはなんて言う名前なのかしらね?」
「エルフの言葉で書かれているね。“ムーベルジュ・ザフォイアー”って読むみたいだ・・・!!!」
「凄いわ、エルフの言葉が解るのね!!?蒼太・・・っ!!!」
「まあ、完全にじゃないけどね?多少は読み書きは出来たり、理解は出来るよ。前の冒険の最中に、仲間になってくれた人々から教えてもらう機会があったからね・・・!!!」
年上騎士姫の言葉にそう応えると、蒼太は遠くを見るような、それでいて懐かしい何かを思い出す様な眼差しを宙に向けるが、それを見たオリヴィアはいたたまれなくなってますます強く彼にしがみ付く。
・・・まるで“もっと自分を見て”とでも言うかの様に。
「・・・そう言えば、オリヴィア」
「・・・・・?」
「僕との事って、どんな事を考えていたのさ」
「えええっ!!?そ、それは・・・っ!!!」
「聞かせてくれよ、オリヴィア。僕も君との夢や思い出を共有したいな、それでこそ世界は宇宙となるのだから・・・!!!」
「・・・・・?」
「二人のモノとして共有された思念は現実化する、つまりは立派なエピソードになるって事さ。教えてよ、オリヴィア・・・」
「う、うん・・・。あのね・・・?」
そう言ってオリヴィアは語り出した、一緒に遊園地やテーマパークに行こうと思った事や、流行のカフェバーに連れて行きたいと思っていた事、それに二人でお揃いの服を着て並んで歩き、取り止めのない話に花を咲かせている様子等を。
その時のオリヴィアの面持ちを、蒼太は一生忘れないだろう、それほどまでに彼女は活き活きとしていながら、清らかに輝く乙女そのものであったのである。
「それでね?その時に雪の舞い散る道の上であなたが・・・っ!!!」
「・・・・・っ?」
「ム、ムグググッ。な、何でも無いったら何でも無いっっっ!!!!!!!!!!」
「・・・そ、そうなのか?包み隠さずに言ってよ、そうじゃないと君との思い出を共有する事が出来ないからね?」
クリスマスデートをしている場面、クライマックスにおいて思わず恥じらいを覚えて悶絶する愛妻令嬢に、青年はそう催促を行うモノの実はこれには彼女の鬱憤や悲しみを晴らす以外にももう一つの狙いがあった、それというのは。
オリヴィアの心の琴線に触れる話を敢えて聞く事で彼女の趣味嗜好や意識や考えの届く領域を調べ、今後の付き合いに活かそうと言うモノであったのだが現状、蒼太はある程度話を聞くだけでその人物の“心理的能力範囲”が感覚で感じ取れる様になっており、即ち“この人の前でこんな時にこう言う事を言うとこうなる、だからこうしよう”と言うのがある程度先まで予見出来る様になっていたのであった。
これは“想念観察”や“自己観察”を通して“自分とは何者か”をそれなりに理解し、また“自分を愛する”と言う事をより深く実践出来る様になった彼の開眼した能力でもあった訳だがこれを蒼太はオリヴィアに対して用い、今後の関係性において地雷を踏んだり、彼女を不用意に傷付けない様に心掛けていたのである。
「うううっ!!?ほ、本当に何でも無いったら・・・!!!」
「・・・・・」
そんな能力を活かしていた結果、尚も照れ隠しをするオリヴィアに対して蒼太はある事を瞬時に閃き、実行するモノのそれは舌と舌とを絡め合う、極めてディープな口付けであった。
最初は啄むようなバードキスから始まって、徐々に激しさを増して行くそれに当初はビックリしていたオリヴィアも次第に彼のテクニックにメロメロになっていった。
やがてー。
「ぷああぁぁぁっ!!?はぁーっ、はぁーっ、はぁーっ。はああぁぁぁ・・・っ❤❤❤」
「はあはあ、ふうぅぅ・・・っ!!!」
二人が接吻を解いた時、夫婦の口元には1本の唾液で出来た糸がツーッと垂れて滴り落ちて行った。
「これだろ?オリヴィア。僕がクリスマスデートの最後に君に掛けた魔法って・・・っ!!!」
「はあはあ、はあはあ・・・っ❤❤❤う、うう・・・っ!!!な、何で解ったの・・・!!?」
「あははっ。君の事は大体、お見通しだからね?多分、そうじゃないかと思ったんだよ!!!」
「うううっ。もう蒼太ったら、本当にいやらしいんだから!!!」
“そう言う事ばかり鼻が利くんだね!!?”とまたちょっとだけ年上騎士姫としての側面が出てしまった愛妻令嬢を、今度は優しく抱き締めながら蒼太は尚も彼女との逢瀬を満喫し続けていった。
まだ“時の涙滴”は発動してはいないモノの、時間はタップリとあり焦る必要はサラサラ無かった、まずはオリヴィアの心の棘を抜き去る事に成功した蒼太は続いて二段階目の調教に移る事にしたのである。
即ち。
(決めた、やっぱり最初にアナルに挿入しよう。今のオリヴィアなら大抵の事は許してくれるだろうから、お尻でしたいと言えば受け入れてくれるだろうし・・・!!!)
“何だか愛する妻の真心を利用するみたいで嫌だな”等と思いつつも、“でも自分がオリヴィアとやりたいのはオリヴィアの事が好きだからだ!!!”とそこは自分に正直になった青年はやはり彼女に己の思いを打ち明ける事にした。
ーーーーーーーーーーーーーー
エッチまで行けませんでした、申し訳御座いません。
まずは浣腸や下剤を使って宿便等を一つ残らず排出させる等、直腸内の洗浄を行わなければならない上に、実際に陰茎を挿入をする直前にも菊座やその周囲を徹底的に解しておいて最終的にはローションを塗布し、滑りを良くしなければならないのである。
その為。
(まずは何日間か“子宮姦”を行ってからお尻でする流れの方が良いのかな?どっちみちアナルの開発には時間が掛かるし・・・。だけどそれだとせっかく生殖器に突き入れた“アレ”を一度抜き去らなきゃならないんだよな、それにお尻でする場合は“巨大化”も出来ないし・・・。それだと逆に、オリヴィアのお尻でエッチしてからの方が良いのか?いやだけどそれだと・・・)
“それをそのまま、また女性器に入れるのは不衛生だしな・・・”等と準備を整えた蒼太が思案に思案を重ねながらもオリヴィアの部屋の前までやって来た。
・・・コンコン。
「・・・・・っ。どなただろうか?」
「オリヴィア、僕だよ」
「・・・・・っっ!!!!!」
青年が部屋のドアをノックして言葉を発すると中からは嬉しそうな、それでいてホッとしたかの様な声色で年上騎士姫が“蒼太かっ!!?”と叫んで施錠を解く。
「蒼太・・・っ❤❤❤❤❤ま、まったくもうっ。いつまで私を待たせる気なんだ?いい加減、こっちから押し掛けようかと思っていたよ!!!」
「あははっ、あははははは・・・っ!!!」
一種の照れ隠しと喜びの為だろう、扉を開け放って中へと夫を誘う愛妻令嬢は怒りながらも嬉しさを顔に滲ませ、瞳をキラキラと潤ませていた。
彼女とのエッチもアウロラと同様に、大きく分けると今回で三回目でありその態度や装い等から幾分は、行為に慣れて来た事が窺えるが、さて。
「・・・・・」
(・・・まあ、“時の涙滴”を使用してエッチを繰り返しているからね。アウロラの場合もそうだったけれども実際は僕達1ヶ月半もの間、連続して行為に臨んでいる様なモノだから。流石に心も身体も僕に合うように変化変質して来ていてもおかしくはないか!!!)
そんな事を考えていると彼を室内へと引き入れたオリヴィアが“何か飲むか?”と尋ねて来た為に、蒼太はメリアリアの時と同じように部屋に備え付けられている冷蔵庫の中で冷やされていた、上質なジャパン・ウィスキーに似た風味のカラメル色をした“純正ハイ・リキュール”を所望した。
「な・・・っ。酒を飲むのか?」
「悪いかい?オリヴィア。そうだ、良い機会だから一緒に飲もうよ!!!」
「な・・・っ!!?し、しかし酒とは・・・。確かに私も時々は嗜むけれど・・・っ!!!」
“まさか下戸なんて事は無いだろ?”と続ける青年に戸惑いから些か気圧され気味にそう応える年上騎士姫だったが蒼太に尚もせがまれて、遂にはOKせざるを得なくなってしまった。
「頼むよ、オリヴィア。僕、君と一緒に飲みたいんだ!!!それともオリヴィアは僕と飲むのは嫌かい?」
「・・・別に。そう言う訳じゃあ」
「じゃあ決まりだね?グラスを出すからリキュールを出しておいてよ。あっ、お代は後で僕が払うから!!!」
「・・・・・っ。い、いいわよそんな事をしなくても!!!元はと言えば私が誘ったんだし」
「・・・・・っ。あははっ、オリヴィア。言葉遣いが女の子に戻ってるよ?」
「・・・・・っ!!?そ、蒼太っ。君はっ!!!」
「あはははっ。可愛いよ?オリヴィア、その方が何倍も可愛いっ!!!」
「・・・・・っ。も、もうっ。知らないっっっ!!!!!」
笑顔で応じる青年に対してそう言うと、オリヴィアは顔を真っ赤にしたまま“プイッ!!!”とあさっての方を向いしまった。
「あははっ、怒らないでよ。オリヴィア・・・!!!」
「・・・・・」
「ごめんね。僕さ、オリヴィアが自分を曝け出してくれて凄く嬉しかったんだ。普段の君は警戒心と義務感の塊みたいな所があるからさ・・・?」
「・・・・・」
「それに僕と一緒にお酒を飲んでくれるのが、滅茶苦茶嬉しかったんだ。僕の夢だったんだよ、自分の大好きな人とまったりとしながらお酒を飲むのが・・・!!!」
「・・・・・」
「怒らないで?オリヴィア、僕の事を許してよ。君が僕の前で女の子に戻ってくれるのが、僕はとても嬉しいんだ。だってそれだけ僕に心を許してくれている、と言う事だからね・・・?」
「・・・・・」
「・・・それとも。僕の事もう嫌い?顔もみたくない?」
「・・・・・っ!!!!!」
そう声を掛け様に、蒼太はオリヴィアの両肩に手をやって自分の方へと向き直らせる。
メリアリアやアウロラ等、3人の花嫁達の中では最もフィジカル面の能力が強くて反射神経も抜群な愛妻令嬢だったがそれでも、蒼太の比類無き力の前には為す術も無く、彼の良いように姿勢を変えられ、彼へと相対する格好となった。
「・・・・・」
(蒼太、こんなにも力が強かったんだ。私なんてかたなしだ・・・!!!)
自身の夫の強さと逞しさとに満悦となりながらも、それでも尚もオリヴィアは意地を張って顔を背ける。
本当は蒼太の胸に飛び込んで行きたい、あなたの事が大好きと言いたい、全身で抱いてもらいたい、等と考えながらもどうしても、自身のプライドが優先してしまい素直になれなかった。
しかし。
「オリヴィア、僕さ。オリヴィアにお酒をついで欲しいんだ。ここにあるのは皆、僕達の為だけに用意されているモノなんだよ?それをね、オリヴィア。君についで飲ませて欲しいんだ・・・」
「・・・・・」
「自分の為だけに用意されている酒を、自分の為だけに生まれて来てくれた女の子に注いでもらいながら飲みたいんだよ。オリヴィア・・・」
「・・・・・っ!!!!!」
“ダメ・・・?”と尚も自分に対して、それも先程までとは打って変わって真剣な眼差しで迫ってくる蒼太に対してオリヴィアは遂に根負けしてしまい、彼の方に向き直ると“バカ・・・”と短く言い放った、そうしておいて。
無言で冷蔵庫の前まで行くと、静かなしかし、素早い動作でまずはロックグラスを取りに行くと、返す刀で“純正ハイ・リキュール”の瓶と共にロックアイスを用意して蒼太の前まで帰って来る。
「・・・・・」
「・・・有り難う、オリヴィア」
年上騎士姫の行動にそう言って報いると蒼太は早速、自分はソファに腰掛けて“ついで?”とオリヴィアに促した。
「・・・・・っ。わ、私がつぐの?」
「当然だろ?君は僕のなんだから。それとも僕にお酒をつぐのは嫌・・・?」
「・・・・・」
そんな青年からの言葉を聞いた愛妻令嬢は、一瞬の逡巡の後にー。
オリヴィアは結局は彼に屈して言いなりになった、ロックアイスの入っていた蒼太のグラスにハイ・リキュールをなみなみと注ぐとそれを彼へと差し出すが、するとその刹那ー。
「・・・・・」
「キャ・・・ッ!!!」
グラスを受け取った蒼太が更に、一瞬の隙を突いてオリヴィアを自身へと引き寄せてはその鋼鉄の肉体に寄り添わせるようにする。
「な、なにを・・・っ!!?」
「飲もうよ、オリヴィア・・・」
蒼太が告げた。
「僕達は、恋人同士って言うよりも“夫婦”なんだからさ?たまには良いだろ、こう言うのも・・・」
「・・・・・っ!!!!!」
そんな青年からの言葉に最初は恥ずかしさから抵抗の意を露わにしていた愛妻令嬢も、しかし終いには観念したかのように蒼太の身体へとしな垂れかかり、ある種の憂いを帯びた瞳で彼を見つめる。
「・・・・・っ。ぷはぁっ!!!美味しいな、オリヴィア」
「・・・・・」
まず1杯目を流し込んだ夫に対してオリヴィアは複雑そうな面持ちを浮かべていた。
「・・・どうしたのさ、オリヴィア」
「・・・・・」
「・・・もしかしてメリーとアウロラの事?」
「・・・・・っ!!!!?」
自身の背中に手を回しながら一口、二口とハイ・リキュールを口に含んで行く蒼太の放った言葉に、オリヴィアが思わずピクリとなった。
「・・・私は、君の幼馴染では無い」
「・・・うん、そうだね」
「あの二人と私とでは、どうしても越えられない壁がある・・・!!!」
オリヴィアが静かに語り始めた、“自分には君とのエピソードや思い出が何も無いんだ”とそう告げて。
「私が君を好きになったのは、運命だと思っている。自分で言うのも何だけれども、その・・・。初めて君と出会った瞬間、雷に打たれたかのようになってしまったんだ・・・」
「・・・・・」
「おかしいだろ?年だって10歳以上も離れているのに、それでも私は君の事が頭から離れなくなってしまった。この気持ちと体験に嘘偽りは無い・・・!!!」
「・・・・・」
「それでいい、と思っていたんだ。少なくとも今だってそう思っている、だって私が君を好きな気持ちは決してあの二人に劣るものでは無いのだから・・・!!!」
“だけど!!!”とオリヴィアは言った、“それだけじゃ足りないんだ!!!”とそう述べて。
「メリアリアもアウロラも。君の事が本当に大好きなんだ!!!勿論、私だってそうなんだけれども私にはあの二人と違って君との間に積み上げて来たモノが足りないんだ・・・!!!」
「・・・・・」
「そんな私が、君達の側にいても良いのだろうか。いいや、この際だからハッキリと言ってくれ、蒼太!!!仮にお義理や同情で一緒にいてもらったとしても、この先きっと辛くなるだけだから。だから・・・!!!」
“それならばいっそ・・・っ!!!”と尚も年上騎士姫が何事かを言い掛けた時だった。
不意に蒼太がガバッと跳ね起きたかと思うとグラスをテーブルの上に置き、そのまま両腕で彼女を抱き締めしっかりと抱擁したのだ。
「・・・・・っ。そ、蒼太っ。私は!!!」
「オリヴィア・・・」
珍しく熱の籠もった口調となり、ともすれば騒々しくなってしまった愛妻令嬢に対して蒼太が静かな、それでいて恐ろしい程に力強い声を発して語り掛ける。
「君は僕が、メリーやアウロラの事を好きになったのは幼馴染だったからだと思うのかい?」
「・・・・・っ。そ、そんな事は無いが!!!それも一つの要因だったと」
「僕はね?オリヴィア。あの二人が幼馴染だったから好きになったんじゃあ無いよ?あの二人が、あの二人だったからこそ大好きになって、愛する事が出来たんだよ・・・!!!」
「・・・・・っ!!!!?」
「メリーが掛け替えのないメリーと言う人であったからこそ、僕はこれ以上無い位にまで愛しているし。それにアウロラだってそうだよ、あの子があの子だったからこそ大好きになって行ったんだ・・・!!!」
“君だってそうだよ、オリヴィア・・・!!!”と蒼太は語った、“君は確かに魅力的な女性だけれども、だけどそれだけが結婚までした理由じゃないよ?”とそう続けて。
「君が他に代わりの利かないオリヴィアと言う人だったから、僕は好きになって惹かれて。そしてそれが故に君の全てが魅力的に映ったんだ、その逆は有り得ないよ・・・!!!」
「・・・わ、私が魅力的?」
「そうだよ?」
蒼太は尚も言葉を続けた。
「確かに最初はオリヴィアの事“綺麗な人だな”とは思ったよ?でもただそれだけだったんだ、それが一緒に過ごす内にどんどん僕の中で君の存在が大きなモノになっていって、無くてはならないモノになっていって。気が付いたら好きになっていたんだ、君の事が想像以上にチャーミングで魅力的な女性(ひと)なんだって気付いたのは、その後の事だったからね?」
「そ、蒼太・・・っ!!!」
「メリーもアウロラも同じだよ?メリーだって出会ったばかりの時は“うわぁ、可愛い子だなぁっ!!!”って思ってたんだ、だから確かに惹かれたと言えば惹かれたんだけど。でも最初の内はそれ以上ではなかったんだ、それが一緒にいる内にメリーへの思いが段々と膨らんでいって、強くなっていって。気が付いたら物凄く好きになっていたんだ、自分にとって唯一無二の、掛け替えのない大切な女性(ひと)になっていたんだよ。アウロラの事だってそうだよ?」
「・・・・・」
「確かに幼馴染って言うのは思い出補正だとか、その関係性だとか凄いモノがあるかも知れない、だけどそれは絶対的なモノじゃない。強いて言うならメリーが他の誰でも無い、メリー自身で居てくれた上に、“幼馴染だったから尚のこと良かった”って感じかな?だってそのお陰で今生で僕は子供の内から人として大切なものを発見出来たし、いっぱいいっぱい手に入れる事が出来たからね!!!」
「・・・・・」
「君だってそうだよ?オリヴィア。僕は例えば君とも幼馴染だったとして、だけどそれ故に君のことが好きになる訳じゃあ無いよ?君が何処の誰でも無い、この世に二人と居ない君だからこそ、掛け替えのない君だからこそ好きになるんだよ。それこそ何処に居て何をしていようとも、そして何度でもね!!!」
「・・・・・っ。蒼太っ!!!」
「それに思い出ならばいっぱいあるだろ?君が僕の事を思って夢想を重ねていた日々が、そしてその夢想の内容こそが二人の掛け替えのない思い出じゃないか!!!」
「えええっ!!?そ、それは・・・っ。しかし、そんな事・・・っ!!!」
「聞かせてくれよ、オリヴィア。君が僕とどんな事をしたいと思っていたのか、どんな夢を見ていたのかを。それを二人で共有した瞬間に、それらは立派な思い出になる。それ以外のエピソードはこれから二人で創って行こうよ、時間はタップリあるんだしさ!!!」
「・・・・・っ!!!そ、蒼太っ❤❤❤❤❤」
そんな青年からの思いを聞かされた時に。
オリヴィアは心の底から、否、魂の底から感激して打ち振るわされてしまい、もう何も言えなくなってしまっていた、蒼太は誰々の何々が好きだ、とかどんな所に惚れた、等と言った、そんな理屈を超越してしまっていたのである。
(私が、私であるからこそ蒼太は好きになり。そして愛してくれたんだ・・・っ!!!)
そう思うと彼女はそれまで悩み苦しんでいた心境から一転、嬉しくて嬉しくて仕方が無くなってしまっていた、否、それまで塞ぎ込んでいた事も手伝ってその喜びは一入(ひとしお)であったのだ。
「あああっ!!?蒼太っ。蒼太蒼太蒼太蒼太っ、蒼太あああぁぁぁぁぁっっっ❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤」
愛しい夫の名前を叫んで、それと同時に彼に抱き着く。
もうその胸の内になんの澱みも痼りも存在しては居なくなったオリヴィアの表情は険や硬さも取れて、まるで無垢な少女の様に明るくて純真なそれと化していたのであった。
「蒼太ぁっ。蒼太、もう離さないっっっ❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤」
「あははっ。オリヴィア、良かった!!!」
そう言って自身もしっかりとこの黒髪の愛妻令嬢の事を抱擁すると一頻り、二人で抱き合ったその後でー。
漸くにして本当の意味で心を通わせ合った夫婦は長くて熱い口付けを交わすが、それが済むとー。
「飲もうよ、オリヴィア・・・」
「うん・・・っ!!!」
蒼太は再びグラスへと手を伸ばして中に注がれたアルコールを口へと運ぶ青年に対してオリヴィアは彼に身を寄り添わせるながら“私にも飲ませて?”と初めて甘えた声で懇願して来た。
「ほら・・・。オリヴィア、無理しないでね?」
「・・・ぷはぁっ。本当に美味しいな、これはなんて言う名前なのかしらね?」
「エルフの言葉で書かれているね。“ムーベルジュ・ザフォイアー”って読むみたいだ・・・!!!」
「凄いわ、エルフの言葉が解るのね!!?蒼太・・・っ!!!」
「まあ、完全にじゃないけどね?多少は読み書きは出来たり、理解は出来るよ。前の冒険の最中に、仲間になってくれた人々から教えてもらう機会があったからね・・・!!!」
年上騎士姫の言葉にそう応えると、蒼太は遠くを見るような、それでいて懐かしい何かを思い出す様な眼差しを宙に向けるが、それを見たオリヴィアはいたたまれなくなってますます強く彼にしがみ付く。
・・・まるで“もっと自分を見て”とでも言うかの様に。
「・・・そう言えば、オリヴィア」
「・・・・・?」
「僕との事って、どんな事を考えていたのさ」
「えええっ!!?そ、それは・・・っ!!!」
「聞かせてくれよ、オリヴィア。僕も君との夢や思い出を共有したいな、それでこそ世界は宇宙となるのだから・・・!!!」
「・・・・・?」
「二人のモノとして共有された思念は現実化する、つまりは立派なエピソードになるって事さ。教えてよ、オリヴィア・・・」
「う、うん・・・。あのね・・・?」
そう言ってオリヴィアは語り出した、一緒に遊園地やテーマパークに行こうと思った事や、流行のカフェバーに連れて行きたいと思っていた事、それに二人でお揃いの服を着て並んで歩き、取り止めのない話に花を咲かせている様子等を。
その時のオリヴィアの面持ちを、蒼太は一生忘れないだろう、それほどまでに彼女は活き活きとしていながら、清らかに輝く乙女そのものであったのである。
「それでね?その時に雪の舞い散る道の上であなたが・・・っ!!!」
「・・・・・っ?」
「ム、ムグググッ。な、何でも無いったら何でも無いっっっ!!!!!!!!!!」
「・・・そ、そうなのか?包み隠さずに言ってよ、そうじゃないと君との思い出を共有する事が出来ないからね?」
クリスマスデートをしている場面、クライマックスにおいて思わず恥じらいを覚えて悶絶する愛妻令嬢に、青年はそう催促を行うモノの実はこれには彼女の鬱憤や悲しみを晴らす以外にももう一つの狙いがあった、それというのは。
オリヴィアの心の琴線に触れる話を敢えて聞く事で彼女の趣味嗜好や意識や考えの届く領域を調べ、今後の付き合いに活かそうと言うモノであったのだが現状、蒼太はある程度話を聞くだけでその人物の“心理的能力範囲”が感覚で感じ取れる様になっており、即ち“この人の前でこんな時にこう言う事を言うとこうなる、だからこうしよう”と言うのがある程度先まで予見出来る様になっていたのであった。
これは“想念観察”や“自己観察”を通して“自分とは何者か”をそれなりに理解し、また“自分を愛する”と言う事をより深く実践出来る様になった彼の開眼した能力でもあった訳だがこれを蒼太はオリヴィアに対して用い、今後の関係性において地雷を踏んだり、彼女を不用意に傷付けない様に心掛けていたのである。
「うううっ!!?ほ、本当に何でも無いったら・・・!!!」
「・・・・・」
そんな能力を活かしていた結果、尚も照れ隠しをするオリヴィアに対して蒼太はある事を瞬時に閃き、実行するモノのそれは舌と舌とを絡め合う、極めてディープな口付けであった。
最初は啄むようなバードキスから始まって、徐々に激しさを増して行くそれに当初はビックリしていたオリヴィアも次第に彼のテクニックにメロメロになっていった。
やがてー。
「ぷああぁぁぁっ!!?はぁーっ、はぁーっ、はぁーっ。はああぁぁぁ・・・っ❤❤❤」
「はあはあ、ふうぅぅ・・・っ!!!」
二人が接吻を解いた時、夫婦の口元には1本の唾液で出来た糸がツーッと垂れて滴り落ちて行った。
「これだろ?オリヴィア。僕がクリスマスデートの最後に君に掛けた魔法って・・・っ!!!」
「はあはあ、はあはあ・・・っ❤❤❤う、うう・・・っ!!!な、何で解ったの・・・!!?」
「あははっ。君の事は大体、お見通しだからね?多分、そうじゃないかと思ったんだよ!!!」
「うううっ。もう蒼太ったら、本当にいやらしいんだから!!!」
“そう言う事ばかり鼻が利くんだね!!?”とまたちょっとだけ年上騎士姫としての側面が出てしまった愛妻令嬢を、今度は優しく抱き締めながら蒼太は尚も彼女との逢瀬を満喫し続けていった。
まだ“時の涙滴”は発動してはいないモノの、時間はタップリとあり焦る必要はサラサラ無かった、まずはオリヴィアの心の棘を抜き去る事に成功した蒼太は続いて二段階目の調教に移る事にしたのである。
即ち。
(決めた、やっぱり最初にアナルに挿入しよう。今のオリヴィアなら大抵の事は許してくれるだろうから、お尻でしたいと言えば受け入れてくれるだろうし・・・!!!)
“何だか愛する妻の真心を利用するみたいで嫌だな”等と思いつつも、“でも自分がオリヴィアとやりたいのはオリヴィアの事が好きだからだ!!!”とそこは自分に正直になった青年はやはり彼女に己の思いを打ち明ける事にした。
ーーーーーーーーーーーーーー
エッチまで行けませんでした、申し訳御座いません。
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