星降る国の恋と愛

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神世への追憶編

第二次エルヴスヘイム事件18(古代遺跡と魔女の居城)

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「・・・・・」

(“来た”な・・・?)

 “尖塔の間”に於いて“黒雲の儀式”を行っていたアウディミアがハタと気付くが蒼太がそうであったように彼女もまた、異次元越しに相手の波動を感知する事が出来る能力を持っており、それを使って油断無く探りを入れ続けていたのであった。

「誰かっ。誰かおらぬか!!?」

「はい、アウディミア様・・・!!!」

 彼女の叫びに側に控えていた一団が恭しく頭(こうべ)を垂れたまま進み出て来るモノの、全身が毛むくじゃらな彼等は一見、オークに似通っていたのだがその体色はネズミ色をしていて肉体は二回り程大きく、まだ所作も中々に俊敏であった。

「お前達はたしか、ゾルデニールから遣わされた者達であったな?」

「はい、アウディミア様。左様で御座います・・・」

「我が主より、アウディミア様にくれぐれも粗相の無いようにと仰せつかって御座います。なんなりと御命令を・・・」

「・・・良かろう」

 短くそう告げると“黒雲の魔女”はほくそ笑みつつ彼等に続けて声を掛けた、“ハイ・オークの力を見せてもらおう”とそう言って。

「相手は十人前後の小集団だが・・・。しかしだからと言って侮るなよ?奴等はそれで“オーガスタの沼地”を抜き去り、ドグバを殺して見せたらしいのでな・・・」

「・・・・・っ!!?」

「ドグバ様を・・・っ!!!」

 アウディミアのその言葉に一瞬、ざわめきが起こり掛けるが直ぐさまそれは鎮まった、どうやら“彼等”に動揺はないらしい。

「・・・よし、それでいい。どうやら今度は使えそうな者共らしいな」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「お前達はよもや、ドグバの様な愚か者に成り下がる事はあるまいが・・・。それでも連中を甘くみるでないぞ?何しろ奴等は“白の導き手”に率いられている集団だ、お前達であっても手こずるかも知れん・・・」

「何ですと!!?」

「白の導き手とは・・・っ!!!」

 その言葉に今度はさしものハイ・オークの群れも響(どよ)めき慄いてしまい、それがアウディミアの癇に障る。

「ええい、一々狼狽えるでない。この腰抜け共が!!!」

 “良いか?”とアウディミアは尚も告げた、“連中を見掛けてもすぐには手を出すで無いぞ?”と。

「先ずは私が“白の導き手”を縊(くび)り殺す。お前達はその後で残った奴等に総攻撃を仕掛けるのだ、解ったか!!?」

 “グオオオオッ!!!”とその言葉を聞いたハイ・オークの群れから今度は雄叫びが沸き上がり、そしてそれはアウディミアの心を漸くにして和ませて、ほぼほぼ満足させていった。

(これで良い!!!)

 アウディミアは思った、“白の導き手さえいなくなれば連中は中心点を失って有象無象と化すだろう”と、そうなれば勝機は此方にある、アウディミアはまだまだその余裕を崩してはいなかったが、一方で。

 その頃“エルフの虹水晶”の聖光によりアウディミアの魔力を押し退けながら前進を続ける一行の前に本格的な“それら”が出現するまでにはそれ程時間が掛からなかった。

「・・・・・っ!!!」

「・・・・・っ!!?」

「ここは・・・っ!!?」

「何かの建物だった様だな・・・!!!」

 そこに放置されていたのは果たして、滅び去った文明の残骸だった、今では見る影もない程にまで朽ち果ててしまっている“それら”はかつてはどれも皆、巨大で荘厳な建造物だった事が伺い知れる。

 恐らくは目的地である“古代遺跡の神殿跡地”を中心として栄えていた“一大宗教都市”であったのだろうが、さて。

「詳しい事は、調査してみないと解らないけれども・・・。往時は多分、“北極星信仰”を行っていたんだろうね。ただなんでそれがここまで廃れてしまったのかは解らないけれども・・・」

「燃料や食料が、取れなかったんじゃないかしら・・・」

 すると周囲を警戒しながらも感慨の言葉を言い放つ蒼太に対して愛妻淑女(メリアリア)が持論を述べた。

「この周囲って見渡す限り不毛の大地が続いていて山も川も無いし、それに植物や食物が育てられる環境じゃないもの。とても恒常的に人々が生きて行ける土地では無いわ・・・」

「確かに途中で小高い丘は幾つかありましたけれども、木々が生い茂っている様な山々は存在していませんものね、これでは寒くても暖を取る事もまま成りませんわ?」

「食物もそうだが水が無いのは何より痛いな、餓えは何とか我慢できても喉の渇きはどうにもならないモノだから・・・」

 メリアリアの声を皮切りに花嫁達が口々にそう言い合うが、そんな最中。

 蒼太は辺りを見渡しつつこの巨大都市群の遺跡の最深部分を目指して一路、パーティーの先導を続けた、向かうは“古代遺跡の神殿跡地”である、まだ自分達は出入り口から中へと潜入を果たしただけに過ぎない。

「皆、気を付けろ。アウディミアはこっちの動きを読んでいる、何処から襲い掛かって来るか解らないぞ?」

「解ってる・・・」

「・・・・」

「上等だよ!!!」

 蒼太の号令一下、改めて臨戦態勢を取る一行だったがしかし、どれほど進んでもモンスターの気配はおろか、人っ子一人見当たらない。

「・・・・・?」

「・・・・・」

「どなたも、いらっしゃいませんわね。一体、どうしたと言うのでしょう?」

「まるで“幾らでも探して下さい”と言わんばかりの呈だな、却って気味が悪いよ・・・」

 辺りを見渡しながらそう声を掛け合う一行だったが、事実として蒼太達が旧市街地の探索を開始してから優に三十分は経過している、と言うのに一度たりとも敵性勢力とエンカウントせずに済んでいる。

 まるで空き家の探索をしている様な、些か拍子抜けする事態であったが、しかし。

(いいや、気を抜くなよ?蒼太。アウディミアは確実に存在していて此方を捕捉している。現に街の中心地の上空からは禍々しい波動が漏れ出して来ている・・・!!!)

 青年が思うがだとすればこれは多分、アウディミアの戦略なのだろうと彼は理解した、即ちこの広大に過ぎる遺跡群での防衛を敢えて捨てて自分の本拠地に全軍を込め、やって来た自分達を迎え撃つ腹だろう、と。

 それは完全に的を得ていて、アウディミアは戦力分散を引き起こし兼ねない遺跡内部では手出しをせずに、居城である“無廟宮”に精鋭を集中させていたのであった。

 本来ならばここに更に、ドグバ率いる軍勢が加わって背後から挟み撃ちにする段取りであったのだが、ひょんな事から彼は先に敗死してしまい、その軍勢もまた“オーガスタの沼地”と共に消失してしまう事態となってしまったのである、そう言う意味ではノエルの“怪我の功名”と言えた。

「・・・どうやら敵は、ここでは仕掛けて来ない腹積もりらしいな」

「私達を、ギリギリまで誘(おび)き寄せようって魂胆ね・・・?」

「確かにこんな広くて複雑な古代遺跡を戦場にしても、全軍を効率的に運用は出来ませんものね・・・」

「こちらを引き付けるだけ引き付けてから、一気に叩き潰そうと言う訳か・・・!!!」

 蒼太の呟きにメリアリア達が反応するモノの彼女達も彼女達で青年と同様の考えを持っているらしく、一行はそれでも油断無く周囲に気を配りながらも敢えてその誘いに乗って、最短ルートで中心部分を目指す事にした。

「ただ一応、用心はしておいてね?敵はいなくても罠は大量に仕掛けられているかも知れないから・・・」

 蒼太の言葉に頷くと花嫁達は彼と共に前進を開始した、後には伯爵連中とその夫人組、そしてノエルとレアンドロが続くが行けども行けどもトラップやカウンターマジックの類いは存在せずに、それらが仕掛けられている気配も無かった。

「・・・・・?」

(本当に、ここを素通りさせる気か・・・?だとしたならアウディミアの奴、随分とこちらを甘く見たな・・・!!!)

 蒼太は思うがこの時点で彼はまだアウディミアの本来の戦略を知らなかった、要はそれほど、あの“黒雲の魔女”にとってドグバとその軍勢を失った事は痛手だった訳であり、且つ予想外の出来事だったのだ。

 彼女がそれを知った時には最早、この古代遺跡群全域に罠を仕掛ける時間的余裕は無く、新たな防衛線を構築出来るだけの戦力も無かったのである。

 あの時点で彼女に残されていた選択肢はどの道、城に籠もってそこに全兵力を集中させ、やって来る彼等を邀撃(ようげき)しつつもその力を刮ぎ落として最後のとどめを自らが刺すと言う、要するにドグバが採ったのと同じ方法であった。

 一方で。

(奴等の本拠地は次元の裂け目の向こうにある、彼方へ行ったら無事に此方に戻って来られると言う保証は無い・・・)

 “まあその時は”と蒼太は思った、“時渡りを行ってこの時空線に帰還を果たせばそれでいい”と、それというのも。

 子供の時から何度となく“トワイライトゾーン”等に閉じ込められて来た経験を持つ彼はそれを察知した神から“時空間転位”のみならずそうした“次元跳躍法”すら修得させられていたために、アウディミアの様な異次元に身を置く存在と戦うのに打って付けの人物であった、それにいざという時に冷静に事態を見渡しながら大胆な手を打てる等、要するにその能力や性質はまさしく“導き手”に相応しかったのであって、そう言う意味ではフォルジュナの目は正しかったのだ、と言えた、そんな彼は。

 一行を率いつつもとうとう、目的地である“古代遺跡の神殿跡地”にまでやって来た、巨大なピラミッド型の構造物であるここは比較的原型を留めており耐久性も高そうである、アウディミアが出現するまではここで“北極星”に対する祈りの儀式が行われていた、と言うのも頷ける話しであったが、しかし。

「・・・・・」

(北極星、“妙見様”か。まさか“アメノミナカヌシノカミ”を祀る信仰が、この世界でもあったなんて・・・!!!)

 “いいや”とそこまで考えた時に蒼太は頭(かぶり)を振った、“別に不思議な事では無い”と、“この宇宙をお造りになった神様をお祭りするのは至極当然の事だからな”と。

(そこに世界線は関係ないだろう。“天之御中主神”様、どうか御加護を。我等が闇を払い除けられますように、そして誰一人欠ける事無く無事に戻って来られますように・・・!!!)

 心の中で“宇宙神”にそう祈りを捧げると蒼太は皆を引き連れたまま、ピラミッドの百段以上はある石造りの階段を一歩、また一歩と踏み締めつつも上がっていった、目指すは頂上付近にある“次元の裂け目”のその奥である、もうここまで来たなら引き返す事等出来ないし、またそのつもりもない。

「・・・・・っ。皆、いるか?大丈夫か?」

「はあはあ・・・っ。ええ、平気よ・・・!!!」

「はあっ、はあっ。はあぁぁぁ・・・っ!!?はい、大丈夫です!!!」

「ふうふう・・・っ。ここが奴等の本拠地への入り口だな・・・?」

 蒼太は尚も進み続けてとうとう階段を昇り切り、頂上の祭壇にまで辿り着いたがそこまで来た時に青年は仲間達に声を掛けると同時に後続が全員揃うまで待って、更にその上最後の小休止を行った、“オーガスタの沼地”のそれよりは大分マシだったが何しろ数えてみたなら石段は全部で365段はあって恐らくは、1段階が一日を表していると考えられ、かつてここに住みながら儀式を行っていた神官や巫女達が高度な天文学の知識を持っていた事が窺える。

 それだけではない、蒼太は改めて感じるモノのこの辺り一帯は俗に言う“パワースポット”でもあって集約された龍脈と地脈とが上空に向けて放たれていたのだが、そのエネルギーが途中から、次元の裂け目の奥へと流れ込むように流れを変えられているのが見て取れた、何者の仕業であるかは最早、疑う余地は無い。

「・・・・・」

(アウディミアめ、その為にここを本拠地に選んだのか。この世界の龍脈と地脈とが最も強力に解き放たれているこの場所を狙って侵攻して来たんだな・・・?)

 思わず舌打ちする青年であったが本来ならばここは北極星から降りて来るエネルギーと、逆に彼処(あそこ)まで昇って行く地球の波動とが交わる場所であり最重要拠点の一つであった。

 ここに滞りや流れの乱れが生じると世界全体に悪影響を及ぼし兼ねないのであって即ち、アウディミアはそれを狙ってやったのであろう事は間違い無いと思われる。

「・・・・・」

(それにしても解らないな。ゾルデニールはともかくとしても、何故アウディミアは世界全体を掻き乱す様な真似をするのだろう。人間を堕落させるのが目的ならば、ここまでする必要は無い筈だけど・・・)

 “鍵を握っているのはガドラだな”と蒼太は思うがもし、無事に帰還する事ができたなら。

(この異端の神を研究してみる価値があるかも知れない、もしかしたならそこにアウディミアの、そしてもっと言ってしまえばゾルデニールの正体やら真の目的やらを知る手掛かりがあるかも知れないからな・・・)

 そう考えるがそれというのもアウディミアと同盟関係を結んでいる以上はゾルデニールとて今回の事には無関係でいる筈が無く、だとすると彼等の目的は人類を破滅させるのみならず、もっと大掛かりなモノであるかも知れないと、蒼太はちょっとした予感と危惧とを抱いていたのだ。

 だがそれはまあ、後で考えれば良い話である、先ずは目前に迫っている“黒雲の魔女”討伐を何としても成功率させなくてはならなかった。

「・・・そろそろ、行くぞ。皆、準備は良いかい?」

「ええっ!!!」

「はいですっ!!!」

「問題無いぞ?」

 花嫁達を筆頭に皆、口々に蒼太の質問にそう応えるが、それを確認した青年はその場で再び“時空間転位”の術式を発動させてアウディミアの居城へと乗り込んで行った。
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