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神世への追憶編
第二次エルヴスヘイム事件6(ノエルの願いとフォルジュナの意志)
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「ぷっはああぁぁぁーっ!!!ああーっ、すっごく美味しいっ。生き返るうぅぅっ❤❤❤❤❤」
「本当です、冷たくて清々しくて。それにほんのちょっぴりだけれども優しい甘さを感じます!!!」
「東洋には“甘露”と言うモノがあるそうだが、これなどはまさにそれだな。それにただ単に喉が潤うだけではない、飲めば飲んだ分だけ不思議と元気が湧いてくるぞ!!?」
途中で合流して来たサリナ達エルフ族の道案内のお陰もあって、それから程なく彼女達の聖集落“アイリスベルグ”へと到達する事が出来たメリアリア達一行はまず、フォルジュナに面会を果たす前に小休止を取ることにした、蒼太が“このままでは皆、疲労困憊で話が耳に入らないし、それに第一、初対面の人に対して息も切れ切れで挨拶にいったら失礼になる”とサリナ達に進言してそれが受け入れられたのである。
「みんな向こうにある“中央広場”へと行って見てごらん?この通りを真っ直ぐ進めば着くから。そこには大きな噴水とは別に水飲み場があって、誰もが清潔で新鮮な水を飲めるようになっている。ここの水には体力と気力とを回復させる効能があるから、飲めばすぐに元気になるよ?」
“大勢で行くと他のエルフ達に迷惑になるから2回に分けよう”、“先ずは女性の人達からだね?”とそう言って自らが一行の中心となり、皆を導き続けていた蒼太に促されるようにして送り出されたメリアリア達花嫁とノエル、それにメイド団と伯爵夫人達はそれぞれ広場に到着するとめいめいの場所でそこかしこに設置されている水道の蛇口を捻って冷水を出し、先ずは入念に手洗いをした後、両手でそれを掬い取ってはゴクゴクと喉の奥へと流し込んでいった、すると確かに。
「あなたの言った通りだったわ?私もう、こんなに元気になっちゃった!!!」
「私もです、だけどずるいです蒼太さん。こんなに素敵な場所にまで、子供の頃に一人で来るなんて・・・っ!!!」
「仕方が無い事だとは解っているけれども・・・。それでも欲を言えば私達も連れてきて欲しかったぞ?それももっと早くにだ!!!」
「わわわっ!!?ご、ごめんみんな。ゴメンて・・・」
蒼太の言った通りで飲めば飲んだ分だけ不思議と元気と力が湧いて来て、それまで蓄積されていた疲労がたちどころに吹っ飛んで行くが、それを自分達で体験した後で戻ってくるなや否やそう言って迫ってくる花嫁達に多少、気圧されながらも続いて蒼太を始めとして伯爵達やレアンドロが、彼に率いられるようにして水を飲みに出掛けて行くが、ここの景色は確かに以前来た時のままであり、蒼太は何となくだが嬉しくなってしまい、同時にホッと安堵の溜息を吐く。
「そう言えば・・・。お義父さん達はどうして今日、カッシーニ邸に集まっていたのですか?それもそれぞれのお義母さん達まで一緒に連れて来たりして・・・!!!」
「ああ、そう言えば蒼太にはまだ伝えていなかったっけな・・・!!!」
彼等と共に水を飲み、自らの渇きを潤した所でふと疑問に思った蒼太が尋ねると、ダーヴィデ達が思い出したかのように口を開いて説明を開始するモノの、それによるとー。
「私達の家々には古くから“神より託されし宝物”が代々、家宝として伝わっている。その事に気付いた私達はだから、それぞれの家の“神宝”を持ち寄って一カ所に集め、それらを共鳴させようと思っていたんだよ」
「“神宝”の、共鳴・・・?」
「そうだ・・・」
怪訝そうな表情を浮かべて聞き返して来た蒼太の言葉にダーヴィデ達が頷きながら応えて続ける。
「これら神宝の持つ力を最大限に発揮して、そこに我々の願い事を封入しようと思ってな?“世界が平和と安寧の内にあるように”、“全人類が幸福と豊かさとを享受する事が出来るように”とな。そうすれば必ずそれらは叶えられて、世界はより良い方向へと発展して行くだろうと思って・・・」
「何しろ今回は“世界平和”と“人類の幸福豊穣”を願うのだから、憖っかな手段では手に負えないと判断したのだよ。私達だっていずれは死ぬが、せめてまだ見ぬ愛しき子孫達の為にもこの世界は平和で豊かで美しいままに残して行ってあげたいからね?」
「そこで我々の持っている“光輝玉の金剛石”、“蒼水星の青煌石”、そして我が家に伝わっている“銀水晶の黒曜石”を持ち寄ってその場で一気に共鳴させてそれぞれの力を一体化させ、極大化させた上で願い事をし、祈りを捧げようとしていたのだ。そしてその為に私達のみならず、妻達も連れて来た、と言う次第だったんだよ・・・!!!」
「なるほど、そうだったのですか!!!」
そこまで話を聞いていた蒼太は義父達の心意気に感動すると同時に感激を覚えて感服した、まさか自分の岳父全員がそんな事を考えていたなんて!!!
「私達の妻達も皆、その身に霊力を宿しているからね。だから彼女達の力を借りればまさに“鬼に金棒”と言うわけで、事情を説明して一緒に来てもらった、と言う訳だったんだ」
「なるほどなるほど。夫婦で合力すれば確かに、深い領域にまでも“陰陽和合”が為されてその霊力もお義父さん達が単一で祈ったよりも遥かに強力なモノになりますからね!!!」
蒼太が納得したように頷くとダーヴィデ達も“そうだろう?”とでも言うかのようにそれぞれに頷いて見せた。
「その為にも家宝共々、夫婦揃ってダーヴィデ伯爵の元へとお邪魔させていただいていた、と言う次第だったのだよ・・・。それがまさか、こんな事態にまで発展して行こうとは夢にも思って無かったがね?」
「申し訳ありません、お義父さん・・・」
「いいや、別に怒ってはいないよ?むしろ興奮して感謝してる位だ、私達も“エルフの世界”と言うモノに少なからず関心があったしそれに。正直に言って憧れを抱いてもいたのだからね・・・!!!」
「我等は勿論の事、我等の父母も祖父母も、はたまた曾祖父母達でさえもそれまで触れる事はおろか、見る事すらも叶わなかったのだからな。だから実物をこうやって視覚出来た挙げ句に実際に触れてまでみると、全く胸の空く思いと言うか、目の覚める思いがしたよ。信じられない位にドラマティックだ!!!」
「まさか自分達が生きている間にエルフの世界に行けるなんて、夢にも思っていなかったからなぁっ!!?蒼太、君は私達が長年、夢見て来た思いを叶えてくれた、と言う訳だよ。本当に良くやってくれた・・・!!!」
「い、いいや。何と言うかその・・・。そう言ってもらえたなら嬉しいのですが・・・!!!」
満足そうにニッコリと笑ってそう告げる義父達に面映ゆくなってしまった蒼太が照れ臭そうにそれでいて、やや困惑したように俯きながらそう応えるがこの時実は彼は彼で些か以上に“申し訳なさ”を感じてしまっていたのである。
何故ならば。
(お義父さん達は気付いているのだろうか。この後僕達は多分、否応なしに冒険と戦闘の旅路へと出立して行く運命にあるのだ、と言う事を・・・!!!)
それが蒼太をしてある種の不安と警戒感とを抱かせるに至っていた、と言うのもここ最近になって漸く、彼は自分とメリアリア達だけならば何とか守り切れる自信と言うモノが根本から付いて来たし、それと同時に彼女達にもまたいざという時に自分を助けて支えてくれるに足り得るだけの実力と確かなる愛情と、そして“神秘の波動”がある、と言う事をそれまで以上にハッキリと感じ取る事が出来るようになって来ていたのであった。
要するに戦闘面においても確固たる自負と覇気、そしてそれ故の勇気が生まれつつあったのであったがここに伯爵達やその夫人グループまで加わると言うのであれば話は別だ、彼等の事も守り抜かなければならないとなると護衛対象が広がる分これまでとは段違なレベルで、それも常に気を張っていかなければならない事を意味していた、それだけではない。
(さっきの話からするとお義父さん達はこの世界にそれぞれの家の家宝までをも持ち込んで来てしまっている、と言う事になる。それがあの“アウディミア”とか言う奴の耳に入らなければ良いのだけれども・・・)
「どうしたんだい?蒼太、一体何を考えている・・・」
「あっ、いえ。別に、ちょっとした事でして・・・!!!」
蒼太が新たな心配の種に頭を悩ませ始めていると、そこに何も知らないのであろう義父達が気さくに声を掛けてくる。
「君のことだから多分、自分も私達の“祈りの儀式”に参加したい、とでも思っていたんじゃないのかね?」
「なんだ、そんな事だったのか。よろしいよ君ならな、何しろ我等自慢の娘婿であると同時に私達全員の息子なのだから!!!」
ダーヴィデもエリオットもアルベールも嬉々として彼を“祈りの儀式”へと誘うがそれはそれで、蒼太は別に嫌では無かった、実はそう言う事態になっても良いようにと予め、彼の一番の願い事はもう決められてあったのだ、即ち。
“天地の神々の御開運をお祈り申し上げ奉る”、それであった。
これさえ実現出来れば全ての悩み苦しみは自然と消滅して行き、人々は愛と正義と希望と安寧の中で自由に暮らして行く事が出来るようになる筈である、何故ならば神々の意志や意識、或いは願いと言ったモノがあの世もこの世も含めた宇宙全体に拡散して行き、尚且つ顕現し易くなるからであるモノの基本的に神とは最も純化され、且つ完成された愛の形であると言えた。
そしてそんな存在を開運させる事が出来ればそれ即ち、彼等の願いや思いが、もっと言ってしまえばその愛情の光と温もりの心とが全世界に行き渡ると同時に届き易くなる事を意味しているのであって、それは=で人類の救済にも必ずや繋がる筈なのだ。
神々の愛情と温もりと光が隅々まで行き渡る、と言うことはつまり神々の祝福が人間達を始めとする遍く存在、生命体にもたらされる事になるのと同義語であってつまりはだから、彼等は互いに喜びと平和の中で暮らす事が出来るようになるのであり、そしてそうなれば後の“世界平和”や“人類を含めたありとあらゆる動植物の安寧と豊穣”は自然と達成する事が出来るようになる訳で、しかもそれらが恒久的に継続し続ける事も夢物語でも無くなる、と言う次第であったのである。
だから蒼太は“天地の神々の御開運”を絶対的かつ最優先で叶えてもらいたいと、心の底から希い続けていたのだが、そんな彼が義父達との会話を一段落指させて、一人で改めて今後の事に付いて物思いに耽っていると、今度は背後からある人物の気配が彼へと近付いて来た。
他ならぬレアンドロであったのであるモノのそうなのだ、“彼もノエルさんと一緒だったんだっけ・・・!!?”と思い出した蒼太は一瞬、殆ど泣きたくなるような感傷に襲われた、勿論の事、嬉し涙であろう筈が無い。
「何を考えているんだよ、蒼太・・・!!!」
「レアンドロ・・・」
「なんだか浮かない顔をしているようだけれども・・・。あんまり物事を思い詰めすぎるのは良くないぜ?ここは気楽に行こうよ、気楽に!!!」
「・・・僕は君みたいな楽天的思考の出来る奴が、羨ましくもあり恨めしくもあるんだよ。今ちょうど、そんな気分なんだ」
「あはは、オーバーだな蒼太は。いつもの君らしく無いよ、さっきまでの君は実に勇敢で精気と言うか覇気?に満ち溢れていたのに・・・。此処に着いてからと言うモノ、どうにも元気が無いみたいだね?」
「これからの事を考えると、とてもの事手放しで喜んでいられる状況では無いのさ・・・。僕も君もね?」
「せっかくエルフ達の国まで来たんだ、モノは考えようだぞ?ここは思いっ切りパーッと派手に、楽しく行こうじゃないか!!!」
「・・・・・」
(ダメだ、こりゃ・・・!!!)
今は亡き“いかりや長助”氏ばりの心証を吐露しつつも思わず心の中でガックリとなる蒼太であったが裏貴族出身であり武道と呪術の心得のある伯爵達とは違っていて多少、スポーツが出来て身体が動かせると言ってもレアンドロは(ノエルもだが)戦力的には殆ど一般人と変わらないと言って良く、とてもの事今回の“アウディミア征伐”の旅路や戦いには連れて行く事は出来ない。
(この二人とメイド団、それに一緒に転移してきた“カッシーニ邸”の事はエルフの里で保護してもらおうか。事情を話せばフォルジュナ様とサリナの事だ、心配りをしてくれるに違いない・・・)
そんな事を蒼太が考えているとー。
「どうしたの?あなた・・・」
「メリー・・・」
広場へと続く通路の入口で待っていた筈のメリアリアが、彼の側までやって来ていた、彼女だけではない、見るとアウロラとオリヴィア、それにノエルと義母達にメイド団の姿まである。
「ずっと黙って下向いちゃって・・・。どうせまた、何事かを考え込んでいたのでしょう?」
「それに先程はお父様達とお話されていた様子でしたけれども・・・。一体、何を話されていたのですか?」
「私達にも教えて欲しい、蒼太。もう他人じゃ無いのだから・・・!!!」
「そーよそーよ、その通り!!!隠し事なんてらしくないわぁ~、ソー君。一体、何を話していたのか皆に話して聞かせなさいな~っ(≧∇≦)b(≧∇≦)b(≧∇≦)b」
「・・・・・」
妻達の心配りと愛情とに感謝する一方、“あんたらの事だよ!!!”とこのゆるフワピンクの年上フレンドに対してジト目を向ける蒼太であったが、そうだった。
確かにこの事はメリアリア達にも、またノエル達にもキチンと話して聞かせておく必要がある、間違っても自分の中だけで留めて置いて良い話では無かった。
「それについてはあとで、メリー達には話すけれども・・・。その前にまず、ノエルさん達です」
「ええぇ~っ!!?なになに、私達のことぉ~っ(゜o゜;)(゜o゜;)(゜o゜;)」
「そうです。ノエルさん達にはメイドさん達共々、カッシーニ邸宅に残っていただきます、そしてここ“アイリスベルグ”のエルフ達の保護下に置いてもらいますよ?異論は認めません!!!」
「ええ~っ!!?やだやだ有り得なーい∑(OωO; )∑(OωO; )∑(OωO; )なんでそんな話になってる訳ぇ~っ(゜Д゜;)(゜Д゜;)(゜Д゜;)」
「ノエル達はこの世界では、戦えないでしょう?」
すると何事かを言い掛けた蒼太の横から、彼に代わって此処ぞとばかりにメリアリア達が声を挙げ始めた、即座に対応して来た所を見るとどうやら彼女達もまた、同じ思いを抱いていたらしいが、それだけではない。
彼女達は彼女達で夫に対する援護射撃をしてあげようとの心遣いだったのであり、それと同時にノエル達に危険な事は絶対にさせられないと、断固として拒絶する意志を露わにしたのだ。
「ノエルは確かに言語学と電子機器系統の技術戦には強いだろうけれども・・・。此処ではそれらが発揮できる場面が無いわ?」
「誠に申し訳ありませんけれども。戦力的に一般人と殆ど変わらない方と御一緒していて、万が一遅れを取るような事にでもなったらもう、取り返しが付きませんもの・・・!!!」
「ハッキリと申し上げさせていただいて、戦闘の場面と言うモノは、それほど甘くはないのです。プリンセスにもプリンスにも、その辺りの事は良く良く弁えておいていただかねば!!!」
「う、うーん。それを言われてしまうとぉ・・・っ(_ _)(_ _)(_ _)」
「解っていただけましたか?ノエルさん。少々キツい言葉になってしまったかも知れませんけれどもしかし、皆あなた方の事を心配しているのですよ?どうかここは御自重していただきたいです・・・!!!」
「ま、待て待て。少し待ってくれ、蒼太・・・!!!」
するとその言葉には納得しつつも不満顔でむくれてしまうノエルに代わって今度はレアンドロが絶賛ディペート中の彼等の中に割って入って来た。
「確かに僕達は戦闘の役には立たないかも知れないけれども・・・。それでも出来る事はいっぱいあるよ?例えば野営をする場合のキャンプの準備だとか水汲みだとか・・・。或いは敵方の言語や未知の物質の解析だとか、力になれる事なら幾らでもある!!!」
「・・・それは確かに。だけれども!!!」
「その為に貴方達は危険な目にあっても良いって言うの!!?」
「そりゃ僕達だって本当は怖いと思っているさ?だけどここまで来て何の役にも立たないんじゃあ、せっかくエルフの国まで連れて来てもらった甲斐が無いよ!!!」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「うーん・・・」
「・・・ごめんなさい、蒼太。少し良い?」
するとそう訴えるレアンドロに対して蒼太達が困ったような、それでいて何かを思案するような面持ちとなるモノのしかし、“やはり危険な事はさせられない!!!”と判断した青年が何事かを言い掛けた時に、今度はノエル達の背後から現れたサリナが議論に水を差して来た。
「白熱している所、申し訳ないんだけれども・・・。そろそろ皆を、“大婆様”の元へと案内させていただきたいわ?」
「ああ、そうか。そうだねサリナ、だけどもう少しだけ待ってくれないか?この二人をここに残ってもらえるように、どうにかして言い含めなければいけないんだ。然(さ)もないと彼等の身の安全と命とが全く保障出来ないんだよ、危険な場所には連れて行けないんだ・・・」
「ノエル達の気持ちも解るんだけど・・・。でも万が一、一緒に旅に同行させて何かあったなら私達は責任が取れないわ?」
「同感です」
「同じく、だな!!!」
「その事なんだけどね、みんな・・・」
するとそんな蒼太達側の意見を聞いていたサリナが些か困惑したような、それでいて申し訳無いような顔付きとなって彼等に告げるが、それによるとー。
「私達も気になって“大婆様”にお尋ねした所、“彼等二人も伯爵達も全員、連れて来るように”との事だったわ?“私の責任において事を為させる”って言ってね。どうやら大婆様に何か、お考えがあるみたいなの・・・!!!」
「なんだって?」
「ええ・・・っ!!?」
「嘘でしょう?」
「まさか、そんな事が・・・!!!」
「ふっふーん。ほら見た?見たでしょソー君、世界はこのノエル様の力を、存在を必要としているのよ?ああ、やっぱり今まさに私が。いいえ“私達”が輝くべき時なんだわ!!!」
“フォルジュナ様が・・・!!?”と多少、ビックリして聞き返す蒼太の言葉に“ええ・・・”とサリナが返した途端に息を吹き返したノエルが得意満面の笑みを浮かべてズイッと前へとしゃしゃり出て来る。
「ねぇレアンドロ。貴男も付いて来てくれるでしょう?」
「勿論だよ、ノエル!!!」
“君が行く所ならば何処へでも行くさ!!!”と、それまで劣勢に立たされながらも必死で食らい付いていたレアンドロまでもが安堵と喜びの表情を浮かべたままでその場で“シャンッ!!!”と立って見せるが、それを見た蒼太はまだどうにも不安で納得は出来かねる様相を呈していた、呈していたが、しかし。
「・・・サリナ。本当にフォルジュナ様が“全員を連れて来い”と仰(おっしゃ)ったんだね?」
「ええ・・・っ!!!」
“間違い無いわ?”、“何か起こってしまった場合の責任ならば私が取るからと、そこまで仰られた上でね?”と何かを訴え掛けるような、それでいて若干、困ったような面持ちのまま自身の問い掛けに応える友人エルフの姿に青年は暫くの間両目を瞑り、宙を仰いで何事か思案を重ねていたモノの、やがてゆっくりと眼を見開いては再びサリナに向き合った。
「・・・・・っ。あなた?」
「蒼太さん?」
「蒼太・・・?」
「・・・解った」
“とにかくこの場は”と漸くにして口を開いた彼は己自身とそして、自分の可愛い花嫁達に言い聞かせるかのように、そしてちょっぴり申し訳なさげに言葉を発した、“フォルジュナ様に従おう”とそう言って。
「ええ・・・っ!!?でも良いの?」
「蒼太さんは、本当は反対なのでしょう・・・?」
「彼等の身の安全の為にはこの場で、街に残ってもらう選択をしてもらった方が私は良いと思うけれど・・・!!!」
「解ってる、僕だって同じ気持ちだよ?だけれども・・・」
“あの方が連れて来なさいと言った以上は無下に断る事は出来ないよ”と蒼太もやや困ったような顔付きとなり、戸惑い気味の花嫁達に声を掛ける。
「フォルジュナ様には何某かの未来が見えているのかも知れないし・・・。とにかく何かのお考えがおありなんだろう。だから二人も連れて来いと言った、そうだろ?サリナ・・・」
「ええ・・・っ!!!」
“それは間違いないわね”と蒼太から再度の視線を投げ掛けられたエルフ族の友人は、それには素直に頷いて答えた。
「大婆様は滅多な事ではその力をお使いにはならないわ?ただし用いた場合は物凄く鋭く、且つ正確に未来や本質を見通す方なの。それはこの里にいるエルフ全員が知っているわ・・・!!!」
「・・・・・」
それを聞いた蒼太は改めて頷くと、花嫁達に“取り敢えず先ずはフォルジュナ様に会おう”、“話はそれからだ”と告げて後、伯爵一行にも声を掛けては彼等の了承を得てから、そのままの足でサリナと共に全員を、フォルジュナの待つ“長老の木”の“中央の間”へと導き誘って行ったのである。
ーーーーーーーーーーーーーー
今回、蒼太君の言葉の中で“天地の神々の御開運をお祈り申し上げ奉る”と言う部分が出て参りますが(確か以前も皆様方にお伝えした事があったかと思いますが)、皆様方におかれましても神社に御参拝の折にはどうかこのお願いを神様になさってみて下さい(日本式に、そして正式にお願いする場合は“八百万の神々の御開運をお祈り申し上げ奉ります”と言う感じになりますでしょうか)、神々様がとても喜んで下さいます(一回、二回で終わりでは無くて叶うまで、それこそ神社に行く度にお願いしてみて下さい)。
またもし、御祈祷を受けられる方がいらっしゃいましたらこのお願いを一緒に為される事を是非お勧めしたいです(ただちょっとお金が掛かってしまいますが)、ちなみに筆者が霊能者の方にお聞きした話ですと、“明治神宮”や“鹿島神宮”、そして“香取神宮”等が特に良くお願い事が叶うそうです(なので東京近郊や関東圏にお住まいの方は是非足を運ばれてみて下さいませ)。
ただしちょっとした注意事項が御座います、それというのはお願い事を為さった場合、それを誰かに知られたり、言ったりしてはいけません、願い事は秘密にする事で初めて叶うのだそうです(これはある、神社の宮司さんから教えていただいた事なのですが、秘密は=で火水であり、火水はやがて“カミ”、即ち“神”となる、と言う教えがあるそうなのです)。
そしてもう一つが神社(仏閣も同様らしいのですが)にお参りに行く時間なのですが(余程の事が無い限りかは)、必ず午前6時~午後4時までの間でお済ませ下さいませ←これは何故かと申しますと(これも霊能者や宮司さんにお聞きしたお話なのですが)午後4時を過ぎると所謂“逢魔が時”となり、即ち魔物や亡者達の徘徊して来る時間帯となって参ります。
この時、神社仏閣では何が起きているのか、と言うとその地に佇んでいる(取り憑いている)亡者達が神様や仏様に救いを求めて一斉に押し寄せて来るのだそうです(それで波長があってしまうと所謂“心霊現象”が起こってしまうのだそうです←他にも世間一般的に“神隠し”と呼ばれている現象もその類なのだそうです)。
なので明るいお日様の下で御参拝為されますように、お勧め申し上げる次第です(“必ず遭う”とは言い切れませんがそれでも所謂“心霊現象”を体験してみたい方は自己責任でどうぞ)。
あともう一つだけ皆様方に、是非ともお伝えしたい事が御座います、それと申しますのはpixiv様で公開中の“リュカとビアンカ”シリーズの方も御愛読、御声援の程よろしくお願い申し上げます(特に“その5”、“その6”、“特別編”をよろしくお願い申し上げます←それぞれの前書き部分もお読みになられると、より御理解が深まるかと存じます)。
敬具。
ハイパーキャノン。
「本当です、冷たくて清々しくて。それにほんのちょっぴりだけれども優しい甘さを感じます!!!」
「東洋には“甘露”と言うモノがあるそうだが、これなどはまさにそれだな。それにただ単に喉が潤うだけではない、飲めば飲んだ分だけ不思議と元気が湧いてくるぞ!!?」
途中で合流して来たサリナ達エルフ族の道案内のお陰もあって、それから程なく彼女達の聖集落“アイリスベルグ”へと到達する事が出来たメリアリア達一行はまず、フォルジュナに面会を果たす前に小休止を取ることにした、蒼太が“このままでは皆、疲労困憊で話が耳に入らないし、それに第一、初対面の人に対して息も切れ切れで挨拶にいったら失礼になる”とサリナ達に進言してそれが受け入れられたのである。
「みんな向こうにある“中央広場”へと行って見てごらん?この通りを真っ直ぐ進めば着くから。そこには大きな噴水とは別に水飲み場があって、誰もが清潔で新鮮な水を飲めるようになっている。ここの水には体力と気力とを回復させる効能があるから、飲めばすぐに元気になるよ?」
“大勢で行くと他のエルフ達に迷惑になるから2回に分けよう”、“先ずは女性の人達からだね?”とそう言って自らが一行の中心となり、皆を導き続けていた蒼太に促されるようにして送り出されたメリアリア達花嫁とノエル、それにメイド団と伯爵夫人達はそれぞれ広場に到着するとめいめいの場所でそこかしこに設置されている水道の蛇口を捻って冷水を出し、先ずは入念に手洗いをした後、両手でそれを掬い取ってはゴクゴクと喉の奥へと流し込んでいった、すると確かに。
「あなたの言った通りだったわ?私もう、こんなに元気になっちゃった!!!」
「私もです、だけどずるいです蒼太さん。こんなに素敵な場所にまで、子供の頃に一人で来るなんて・・・っ!!!」
「仕方が無い事だとは解っているけれども・・・。それでも欲を言えば私達も連れてきて欲しかったぞ?それももっと早くにだ!!!」
「わわわっ!!?ご、ごめんみんな。ゴメンて・・・」
蒼太の言った通りで飲めば飲んだ分だけ不思議と元気と力が湧いて来て、それまで蓄積されていた疲労がたちどころに吹っ飛んで行くが、それを自分達で体験した後で戻ってくるなや否やそう言って迫ってくる花嫁達に多少、気圧されながらも続いて蒼太を始めとして伯爵達やレアンドロが、彼に率いられるようにして水を飲みに出掛けて行くが、ここの景色は確かに以前来た時のままであり、蒼太は何となくだが嬉しくなってしまい、同時にホッと安堵の溜息を吐く。
「そう言えば・・・。お義父さん達はどうして今日、カッシーニ邸に集まっていたのですか?それもそれぞれのお義母さん達まで一緒に連れて来たりして・・・!!!」
「ああ、そう言えば蒼太にはまだ伝えていなかったっけな・・・!!!」
彼等と共に水を飲み、自らの渇きを潤した所でふと疑問に思った蒼太が尋ねると、ダーヴィデ達が思い出したかのように口を開いて説明を開始するモノの、それによるとー。
「私達の家々には古くから“神より託されし宝物”が代々、家宝として伝わっている。その事に気付いた私達はだから、それぞれの家の“神宝”を持ち寄って一カ所に集め、それらを共鳴させようと思っていたんだよ」
「“神宝”の、共鳴・・・?」
「そうだ・・・」
怪訝そうな表情を浮かべて聞き返して来た蒼太の言葉にダーヴィデ達が頷きながら応えて続ける。
「これら神宝の持つ力を最大限に発揮して、そこに我々の願い事を封入しようと思ってな?“世界が平和と安寧の内にあるように”、“全人類が幸福と豊かさとを享受する事が出来るように”とな。そうすれば必ずそれらは叶えられて、世界はより良い方向へと発展して行くだろうと思って・・・」
「何しろ今回は“世界平和”と“人類の幸福豊穣”を願うのだから、憖っかな手段では手に負えないと判断したのだよ。私達だっていずれは死ぬが、せめてまだ見ぬ愛しき子孫達の為にもこの世界は平和で豊かで美しいままに残して行ってあげたいからね?」
「そこで我々の持っている“光輝玉の金剛石”、“蒼水星の青煌石”、そして我が家に伝わっている“銀水晶の黒曜石”を持ち寄ってその場で一気に共鳴させてそれぞれの力を一体化させ、極大化させた上で願い事をし、祈りを捧げようとしていたのだ。そしてその為に私達のみならず、妻達も連れて来た、と言う次第だったんだよ・・・!!!」
「なるほど、そうだったのですか!!!」
そこまで話を聞いていた蒼太は義父達の心意気に感動すると同時に感激を覚えて感服した、まさか自分の岳父全員がそんな事を考えていたなんて!!!
「私達の妻達も皆、その身に霊力を宿しているからね。だから彼女達の力を借りればまさに“鬼に金棒”と言うわけで、事情を説明して一緒に来てもらった、と言う訳だったんだ」
「なるほどなるほど。夫婦で合力すれば確かに、深い領域にまでも“陰陽和合”が為されてその霊力もお義父さん達が単一で祈ったよりも遥かに強力なモノになりますからね!!!」
蒼太が納得したように頷くとダーヴィデ達も“そうだろう?”とでも言うかのようにそれぞれに頷いて見せた。
「その為にも家宝共々、夫婦揃ってダーヴィデ伯爵の元へとお邪魔させていただいていた、と言う次第だったのだよ・・・。それがまさか、こんな事態にまで発展して行こうとは夢にも思って無かったがね?」
「申し訳ありません、お義父さん・・・」
「いいや、別に怒ってはいないよ?むしろ興奮して感謝してる位だ、私達も“エルフの世界”と言うモノに少なからず関心があったしそれに。正直に言って憧れを抱いてもいたのだからね・・・!!!」
「我等は勿論の事、我等の父母も祖父母も、はたまた曾祖父母達でさえもそれまで触れる事はおろか、見る事すらも叶わなかったのだからな。だから実物をこうやって視覚出来た挙げ句に実際に触れてまでみると、全く胸の空く思いと言うか、目の覚める思いがしたよ。信じられない位にドラマティックだ!!!」
「まさか自分達が生きている間にエルフの世界に行けるなんて、夢にも思っていなかったからなぁっ!!?蒼太、君は私達が長年、夢見て来た思いを叶えてくれた、と言う訳だよ。本当に良くやってくれた・・・!!!」
「い、いいや。何と言うかその・・・。そう言ってもらえたなら嬉しいのですが・・・!!!」
満足そうにニッコリと笑ってそう告げる義父達に面映ゆくなってしまった蒼太が照れ臭そうにそれでいて、やや困惑したように俯きながらそう応えるがこの時実は彼は彼で些か以上に“申し訳なさ”を感じてしまっていたのである。
何故ならば。
(お義父さん達は気付いているのだろうか。この後僕達は多分、否応なしに冒険と戦闘の旅路へと出立して行く運命にあるのだ、と言う事を・・・!!!)
それが蒼太をしてある種の不安と警戒感とを抱かせるに至っていた、と言うのもここ最近になって漸く、彼は自分とメリアリア達だけならば何とか守り切れる自信と言うモノが根本から付いて来たし、それと同時に彼女達にもまたいざという時に自分を助けて支えてくれるに足り得るだけの実力と確かなる愛情と、そして“神秘の波動”がある、と言う事をそれまで以上にハッキリと感じ取る事が出来るようになって来ていたのであった。
要するに戦闘面においても確固たる自負と覇気、そしてそれ故の勇気が生まれつつあったのであったがここに伯爵達やその夫人グループまで加わると言うのであれば話は別だ、彼等の事も守り抜かなければならないとなると護衛対象が広がる分これまでとは段違なレベルで、それも常に気を張っていかなければならない事を意味していた、それだけではない。
(さっきの話からするとお義父さん達はこの世界にそれぞれの家の家宝までをも持ち込んで来てしまっている、と言う事になる。それがあの“アウディミア”とか言う奴の耳に入らなければ良いのだけれども・・・)
「どうしたんだい?蒼太、一体何を考えている・・・」
「あっ、いえ。別に、ちょっとした事でして・・・!!!」
蒼太が新たな心配の種に頭を悩ませ始めていると、そこに何も知らないのであろう義父達が気さくに声を掛けてくる。
「君のことだから多分、自分も私達の“祈りの儀式”に参加したい、とでも思っていたんじゃないのかね?」
「なんだ、そんな事だったのか。よろしいよ君ならな、何しろ我等自慢の娘婿であると同時に私達全員の息子なのだから!!!」
ダーヴィデもエリオットもアルベールも嬉々として彼を“祈りの儀式”へと誘うがそれはそれで、蒼太は別に嫌では無かった、実はそう言う事態になっても良いようにと予め、彼の一番の願い事はもう決められてあったのだ、即ち。
“天地の神々の御開運をお祈り申し上げ奉る”、それであった。
これさえ実現出来れば全ての悩み苦しみは自然と消滅して行き、人々は愛と正義と希望と安寧の中で自由に暮らして行く事が出来るようになる筈である、何故ならば神々の意志や意識、或いは願いと言ったモノがあの世もこの世も含めた宇宙全体に拡散して行き、尚且つ顕現し易くなるからであるモノの基本的に神とは最も純化され、且つ完成された愛の形であると言えた。
そしてそんな存在を開運させる事が出来ればそれ即ち、彼等の願いや思いが、もっと言ってしまえばその愛情の光と温もりの心とが全世界に行き渡ると同時に届き易くなる事を意味しているのであって、それは=で人類の救済にも必ずや繋がる筈なのだ。
神々の愛情と温もりと光が隅々まで行き渡る、と言うことはつまり神々の祝福が人間達を始めとする遍く存在、生命体にもたらされる事になるのと同義語であってつまりはだから、彼等は互いに喜びと平和の中で暮らす事が出来るようになるのであり、そしてそうなれば後の“世界平和”や“人類を含めたありとあらゆる動植物の安寧と豊穣”は自然と達成する事が出来るようになる訳で、しかもそれらが恒久的に継続し続ける事も夢物語でも無くなる、と言う次第であったのである。
だから蒼太は“天地の神々の御開運”を絶対的かつ最優先で叶えてもらいたいと、心の底から希い続けていたのだが、そんな彼が義父達との会話を一段落指させて、一人で改めて今後の事に付いて物思いに耽っていると、今度は背後からある人物の気配が彼へと近付いて来た。
他ならぬレアンドロであったのであるモノのそうなのだ、“彼もノエルさんと一緒だったんだっけ・・・!!?”と思い出した蒼太は一瞬、殆ど泣きたくなるような感傷に襲われた、勿論の事、嬉し涙であろう筈が無い。
「何を考えているんだよ、蒼太・・・!!!」
「レアンドロ・・・」
「なんだか浮かない顔をしているようだけれども・・・。あんまり物事を思い詰めすぎるのは良くないぜ?ここは気楽に行こうよ、気楽に!!!」
「・・・僕は君みたいな楽天的思考の出来る奴が、羨ましくもあり恨めしくもあるんだよ。今ちょうど、そんな気分なんだ」
「あはは、オーバーだな蒼太は。いつもの君らしく無いよ、さっきまでの君は実に勇敢で精気と言うか覇気?に満ち溢れていたのに・・・。此処に着いてからと言うモノ、どうにも元気が無いみたいだね?」
「これからの事を考えると、とてもの事手放しで喜んでいられる状況では無いのさ・・・。僕も君もね?」
「せっかくエルフ達の国まで来たんだ、モノは考えようだぞ?ここは思いっ切りパーッと派手に、楽しく行こうじゃないか!!!」
「・・・・・」
(ダメだ、こりゃ・・・!!!)
今は亡き“いかりや長助”氏ばりの心証を吐露しつつも思わず心の中でガックリとなる蒼太であったが裏貴族出身であり武道と呪術の心得のある伯爵達とは違っていて多少、スポーツが出来て身体が動かせると言ってもレアンドロは(ノエルもだが)戦力的には殆ど一般人と変わらないと言って良く、とてもの事今回の“アウディミア征伐”の旅路や戦いには連れて行く事は出来ない。
(この二人とメイド団、それに一緒に転移してきた“カッシーニ邸”の事はエルフの里で保護してもらおうか。事情を話せばフォルジュナ様とサリナの事だ、心配りをしてくれるに違いない・・・)
そんな事を蒼太が考えているとー。
「どうしたの?あなた・・・」
「メリー・・・」
広場へと続く通路の入口で待っていた筈のメリアリアが、彼の側までやって来ていた、彼女だけではない、見るとアウロラとオリヴィア、それにノエルと義母達にメイド団の姿まである。
「ずっと黙って下向いちゃって・・・。どうせまた、何事かを考え込んでいたのでしょう?」
「それに先程はお父様達とお話されていた様子でしたけれども・・・。一体、何を話されていたのですか?」
「私達にも教えて欲しい、蒼太。もう他人じゃ無いのだから・・・!!!」
「そーよそーよ、その通り!!!隠し事なんてらしくないわぁ~、ソー君。一体、何を話していたのか皆に話して聞かせなさいな~っ(≧∇≦)b(≧∇≦)b(≧∇≦)b」
「・・・・・」
妻達の心配りと愛情とに感謝する一方、“あんたらの事だよ!!!”とこのゆるフワピンクの年上フレンドに対してジト目を向ける蒼太であったが、そうだった。
確かにこの事はメリアリア達にも、またノエル達にもキチンと話して聞かせておく必要がある、間違っても自分の中だけで留めて置いて良い話では無かった。
「それについてはあとで、メリー達には話すけれども・・・。その前にまず、ノエルさん達です」
「ええぇ~っ!!?なになに、私達のことぉ~っ(゜o゜;)(゜o゜;)(゜o゜;)」
「そうです。ノエルさん達にはメイドさん達共々、カッシーニ邸宅に残っていただきます、そしてここ“アイリスベルグ”のエルフ達の保護下に置いてもらいますよ?異論は認めません!!!」
「ええ~っ!!?やだやだ有り得なーい∑(OωO; )∑(OωO; )∑(OωO; )なんでそんな話になってる訳ぇ~っ(゜Д゜;)(゜Д゜;)(゜Д゜;)」
「ノエル達はこの世界では、戦えないでしょう?」
すると何事かを言い掛けた蒼太の横から、彼に代わって此処ぞとばかりにメリアリア達が声を挙げ始めた、即座に対応して来た所を見るとどうやら彼女達もまた、同じ思いを抱いていたらしいが、それだけではない。
彼女達は彼女達で夫に対する援護射撃をしてあげようとの心遣いだったのであり、それと同時にノエル達に危険な事は絶対にさせられないと、断固として拒絶する意志を露わにしたのだ。
「ノエルは確かに言語学と電子機器系統の技術戦には強いだろうけれども・・・。此処ではそれらが発揮できる場面が無いわ?」
「誠に申し訳ありませんけれども。戦力的に一般人と殆ど変わらない方と御一緒していて、万が一遅れを取るような事にでもなったらもう、取り返しが付きませんもの・・・!!!」
「ハッキリと申し上げさせていただいて、戦闘の場面と言うモノは、それほど甘くはないのです。プリンセスにもプリンスにも、その辺りの事は良く良く弁えておいていただかねば!!!」
「う、うーん。それを言われてしまうとぉ・・・っ(_ _)(_ _)(_ _)」
「解っていただけましたか?ノエルさん。少々キツい言葉になってしまったかも知れませんけれどもしかし、皆あなた方の事を心配しているのですよ?どうかここは御自重していただきたいです・・・!!!」
「ま、待て待て。少し待ってくれ、蒼太・・・!!!」
するとその言葉には納得しつつも不満顔でむくれてしまうノエルに代わって今度はレアンドロが絶賛ディペート中の彼等の中に割って入って来た。
「確かに僕達は戦闘の役には立たないかも知れないけれども・・・。それでも出来る事はいっぱいあるよ?例えば野営をする場合のキャンプの準備だとか水汲みだとか・・・。或いは敵方の言語や未知の物質の解析だとか、力になれる事なら幾らでもある!!!」
「・・・それは確かに。だけれども!!!」
「その為に貴方達は危険な目にあっても良いって言うの!!?」
「そりゃ僕達だって本当は怖いと思っているさ?だけどここまで来て何の役にも立たないんじゃあ、せっかくエルフの国まで連れて来てもらった甲斐が無いよ!!!」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「うーん・・・」
「・・・ごめんなさい、蒼太。少し良い?」
するとそう訴えるレアンドロに対して蒼太達が困ったような、それでいて何かを思案するような面持ちとなるモノのしかし、“やはり危険な事はさせられない!!!”と判断した青年が何事かを言い掛けた時に、今度はノエル達の背後から現れたサリナが議論に水を差して来た。
「白熱している所、申し訳ないんだけれども・・・。そろそろ皆を、“大婆様”の元へと案内させていただきたいわ?」
「ああ、そうか。そうだねサリナ、だけどもう少しだけ待ってくれないか?この二人をここに残ってもらえるように、どうにかして言い含めなければいけないんだ。然(さ)もないと彼等の身の安全と命とが全く保障出来ないんだよ、危険な場所には連れて行けないんだ・・・」
「ノエル達の気持ちも解るんだけど・・・。でも万が一、一緒に旅に同行させて何かあったなら私達は責任が取れないわ?」
「同感です」
「同じく、だな!!!」
「その事なんだけどね、みんな・・・」
するとそんな蒼太達側の意見を聞いていたサリナが些か困惑したような、それでいて申し訳無いような顔付きとなって彼等に告げるが、それによるとー。
「私達も気になって“大婆様”にお尋ねした所、“彼等二人も伯爵達も全員、連れて来るように”との事だったわ?“私の責任において事を為させる”って言ってね。どうやら大婆様に何か、お考えがあるみたいなの・・・!!!」
「なんだって?」
「ええ・・・っ!!?」
「嘘でしょう?」
「まさか、そんな事が・・・!!!」
「ふっふーん。ほら見た?見たでしょソー君、世界はこのノエル様の力を、存在を必要としているのよ?ああ、やっぱり今まさに私が。いいえ“私達”が輝くべき時なんだわ!!!」
“フォルジュナ様が・・・!!?”と多少、ビックリして聞き返す蒼太の言葉に“ええ・・・”とサリナが返した途端に息を吹き返したノエルが得意満面の笑みを浮かべてズイッと前へとしゃしゃり出て来る。
「ねぇレアンドロ。貴男も付いて来てくれるでしょう?」
「勿論だよ、ノエル!!!」
“君が行く所ならば何処へでも行くさ!!!”と、それまで劣勢に立たされながらも必死で食らい付いていたレアンドロまでもが安堵と喜びの表情を浮かべたままでその場で“シャンッ!!!”と立って見せるが、それを見た蒼太はまだどうにも不安で納得は出来かねる様相を呈していた、呈していたが、しかし。
「・・・サリナ。本当にフォルジュナ様が“全員を連れて来い”と仰(おっしゃ)ったんだね?」
「ええ・・・っ!!!」
“間違い無いわ?”、“何か起こってしまった場合の責任ならば私が取るからと、そこまで仰られた上でね?”と何かを訴え掛けるような、それでいて若干、困ったような面持ちのまま自身の問い掛けに応える友人エルフの姿に青年は暫くの間両目を瞑り、宙を仰いで何事か思案を重ねていたモノの、やがてゆっくりと眼を見開いては再びサリナに向き合った。
「・・・・・っ。あなた?」
「蒼太さん?」
「蒼太・・・?」
「・・・解った」
“とにかくこの場は”と漸くにして口を開いた彼は己自身とそして、自分の可愛い花嫁達に言い聞かせるかのように、そしてちょっぴり申し訳なさげに言葉を発した、“フォルジュナ様に従おう”とそう言って。
「ええ・・・っ!!?でも良いの?」
「蒼太さんは、本当は反対なのでしょう・・・?」
「彼等の身の安全の為にはこの場で、街に残ってもらう選択をしてもらった方が私は良いと思うけれど・・・!!!」
「解ってる、僕だって同じ気持ちだよ?だけれども・・・」
“あの方が連れて来なさいと言った以上は無下に断る事は出来ないよ”と蒼太もやや困ったような顔付きとなり、戸惑い気味の花嫁達に声を掛ける。
「フォルジュナ様には何某かの未来が見えているのかも知れないし・・・。とにかく何かのお考えがおありなんだろう。だから二人も連れて来いと言った、そうだろ?サリナ・・・」
「ええ・・・っ!!!」
“それは間違いないわね”と蒼太から再度の視線を投げ掛けられたエルフ族の友人は、それには素直に頷いて答えた。
「大婆様は滅多な事ではその力をお使いにはならないわ?ただし用いた場合は物凄く鋭く、且つ正確に未来や本質を見通す方なの。それはこの里にいるエルフ全員が知っているわ・・・!!!」
「・・・・・」
それを聞いた蒼太は改めて頷くと、花嫁達に“取り敢えず先ずはフォルジュナ様に会おう”、“話はそれからだ”と告げて後、伯爵一行にも声を掛けては彼等の了承を得てから、そのままの足でサリナと共に全員を、フォルジュナの待つ“長老の木”の“中央の間”へと導き誘って行ったのである。
ーーーーーーーーーーーーーー
今回、蒼太君の言葉の中で“天地の神々の御開運をお祈り申し上げ奉る”と言う部分が出て参りますが(確か以前も皆様方にお伝えした事があったかと思いますが)、皆様方におかれましても神社に御参拝の折にはどうかこのお願いを神様になさってみて下さい(日本式に、そして正式にお願いする場合は“八百万の神々の御開運をお祈り申し上げ奉ります”と言う感じになりますでしょうか)、神々様がとても喜んで下さいます(一回、二回で終わりでは無くて叶うまで、それこそ神社に行く度にお願いしてみて下さい)。
またもし、御祈祷を受けられる方がいらっしゃいましたらこのお願いを一緒に為される事を是非お勧めしたいです(ただちょっとお金が掛かってしまいますが)、ちなみに筆者が霊能者の方にお聞きした話ですと、“明治神宮”や“鹿島神宮”、そして“香取神宮”等が特に良くお願い事が叶うそうです(なので東京近郊や関東圏にお住まいの方は是非足を運ばれてみて下さいませ)。
ただしちょっとした注意事項が御座います、それというのはお願い事を為さった場合、それを誰かに知られたり、言ったりしてはいけません、願い事は秘密にする事で初めて叶うのだそうです(これはある、神社の宮司さんから教えていただいた事なのですが、秘密は=で火水であり、火水はやがて“カミ”、即ち“神”となる、と言う教えがあるそうなのです)。
そしてもう一つが神社(仏閣も同様らしいのですが)にお参りに行く時間なのですが(余程の事が無い限りかは)、必ず午前6時~午後4時までの間でお済ませ下さいませ←これは何故かと申しますと(これも霊能者や宮司さんにお聞きしたお話なのですが)午後4時を過ぎると所謂“逢魔が時”となり、即ち魔物や亡者達の徘徊して来る時間帯となって参ります。
この時、神社仏閣では何が起きているのか、と言うとその地に佇んでいる(取り憑いている)亡者達が神様や仏様に救いを求めて一斉に押し寄せて来るのだそうです(それで波長があってしまうと所謂“心霊現象”が起こってしまうのだそうです←他にも世間一般的に“神隠し”と呼ばれている現象もその類なのだそうです)。
なので明るいお日様の下で御参拝為されますように、お勧め申し上げる次第です(“必ず遭う”とは言い切れませんがそれでも所謂“心霊現象”を体験してみたい方は自己責任でどうぞ)。
あともう一つだけ皆様方に、是非ともお伝えしたい事が御座います、それと申しますのはpixiv様で公開中の“リュカとビアンカ”シリーズの方も御愛読、御声援の程よろしくお願い申し上げます(特に“その5”、“その6”、“特別編”をよろしくお願い申し上げます←それぞれの前書き部分もお読みになられると、より御理解が深まるかと存じます)。
敬具。
ハイパーキャノン。
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