星降る国の恋と愛

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神世への追憶編

第二次エルヴスヘイム事件3(サリナの焦りと時空間転移魔法)

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 読者の皆様方こんにちは、ハイパーキャノンと申します。

 いつもいつも小説を読んで下さいまして誠に誠に有難う御座います。

 本日は少しだけ、皆様方にお聞きしたい事があるのですが、“ラブ陵辱”と言う言葉を聞いた事は御座いますでしょうか(多分、聞いた事がある方はいらっしゃられないのではないだろうか、等と思っております)。

 物凄く簡潔に纏めてしまいますと“純愛をその根幹に据えて行われる陵辱モノ”と言う意味の言葉なのですが、これを実行するに当たってはある条件が御座います。

 それは男の子女の子をちゃんと愛している事は勿論、屈強で(男の子が強靱であればあるほど良いのです)絶倫で尚且つ巨根、剛根の持ち主であり、それに加えて女の子の弱い部分を熟知し、更に言うならば責め方をも心得ている事です(当然、女の子側にもある程度の強さと莫大なる感度の良さ、そして何よりもナイスなバディと男の子に対する猛烈な迄の一途な愛情が求められます)。

 以上の内容を踏まえまして、もう少し噛み砕いた説明を付け加えさせていただきますと“最も愛している人をその激情の赴くままに求めに求め、或いは貪りに貪り続けて遂には互いに高みへと昇り果てて行く”と言うような方向性でエッチが繰り広げられて行く事となるのですが、実は私は数年前にデビューした当初から(当時は“スーパーキャノン”と名乗っておりましたが)この“ラブ陵辱”に特にピントを合わせつつ、ラブシーンを展開させていただいて参りました。

 “愛し合うが故に何処までも何処までも燃え上がって相手を何度もイカせ続け、自分もまた頂を極め続ける”。

 “自分の全てを相手にぶつけ、そして相手の全てを受け止め合って互いに一つになり尽くして行く”と言うのは“深く愛し合っている者同士の交わりに於いては極々自然な行為、成り行きでは無いだろうか?”と思われるのですが、皆様方はどうお考えになられますか?
ーーーーーーーーーーーーーー
「サリナ、サリナは何処にいますか・・・?」

「はい、大婆様。サリナはここに御座います・・・!!!」

 蒼太達が人間界で着々と異世界であるエルヴスヘイムに向かう準備を整えつつあった頃。

 そのエルヴスヘイムの中核部分を構成している一角である、“長老の木”を有する一大森林聖清集落“アイゼンベルグ”、その更に中枢部に於いて一人の女性エルフが長老格たる“フォルジュナ”に直々に呼び出されていた。

 基本的にエルフと言うのは長身で美形であり、“彼女”もまたそのご多分に漏れずに身長は173cm前後に左右対称(シンメトリー)で整った顔立ち、腰辺りまで伸びている輝くプラチナブロンドと濃い群青色の両目をしていた。

 彼女の名前は“サリナ”と言った、かつて蒼太をエルヴスヘイムへと誘った張本人であり、そう言う意味では彼による“救国の旅”の切っ掛けを作り出した英雄の一人であると言えたが、しかし彼女はその賞賛を敢えて辞退していた、“自分は確かに蒼太を認めてこの世界へと連れてきたけれど、やった事はそれだけであり別段、賞賛に値する事柄を熟した訳では無い”と言うのがその理由だったのである、そんなエルヴスヘイムに於いてー。

 今、未曾有の危機が訪れようとしていたのであり、慌ただしい混乱の只中に於いてサリナはフォルジュナらと共に“それ”に対処すべく、日に夕に全力で祈りを捧げ続けていたのであった、そんな折ー。

 蒼太から再びとなる連絡があった、今回は前回と違ってサリナは蒼太に自分達から救援要請を行うつもりは無かったのであるモノの、その内心では“出来る事ならもう一度、あの日の戦士に助けて欲しい”と希い続けていたのである。

 ではどうして彼女達が素直に蒼太に救いを求めなかったのか、と言えばそれは一つが、かつてまだ子供の彼に重すぎる重責を背負わせてしまった事に対する反省と詫びのつもりだったのであり、二点目がこれ以上、他種族の助力を請えばそれが新たなカルマとなって将来的に、自分達がその解決に対して責任を負わなければならなくなる可能性があったから、であったのだ。

 以上の二つの観点からサリナ達エルフは今回は自発的に救援を請うのは止めにして、己達の全力で以て国難を乗り越えようとしていたのである。

 ・・・それが例え、一歩間違えば破滅に繋がりかねない程の大惨事を招く事になったとしても。

 それ程の覚悟と悲壮感とを胸に秘めつつ、日々の祈りを捧げ続けていたサリナの前にしかし、天啓とも言うべき事象が起こった、蒼太がもう一度、しかも彼の側から連絡をしてきてくれたのである。

 話を聞いた感じでは、彼は別段、エルヴスヘイムの危機を感じてそうした訳では無いらしいのだがその事が却ってサリナに“これは神々の思し召しだ!!!”と言う天上への畏敬と感謝とそして確信とを抱かすに至っていたのだ。

(これこそまさに天運、天啓だ。そうで無くて何であろうか!!!)

 そう思い立ったサリナはだから、その日の内に早速、この事を長老格たるフォルジュナへと伝えて彼女を動かし、その結果として彼等の時間で2週間と言う比較的短期間の内にエルフ王“エルファサリア”直筆の手紙を得て彼等に届ける事が出来たのであった。

(それがもう直ぐ奏功する・・・!!!)

 サリナは確かなる手応えを感じて密かに両手を握り締めるがそれ以降、肝心な蒼太達からの音沙汰が無い。

 確かに自分達のいる“エルヴスヘイム”と蒼太達の“人間界”とでは時間の流れや在り方が全く違うがこのまま手を拱(こまね)いている訳にはいかない、自分達には時間が無いのだ!!!

(仕方が無い。ごめんなさい蒼太、もうこれ以上待ってはいられないわ!!!)

 追い詰められてしまったサリナはとうとうこの場で現時点を以て、“召喚の術式”を発動させる事としたのであったが、一方でー。

 そんなエルヴスヘイムの危機の差し迫る事を、まだ本格的に感じ取れていなかった蒼太は妻や友人、そして義父達と共に夕食会(ディナーショー)へと参加していた。

 ちなみに古来よりこれら食事会、お茶会、デビュタントと言うモノはそれは大抵が貴族の子息、令嬢にとっては己が普段から叩き込まれている礼儀作法と教養の高さとを他家の面々に見せ付ける為の絶好の場であった、それと同時に。

 “絶対に失敗をしてはいけない”と言う真剣勝負の瞬間でもあったが、それと言うのはここでスマートな受け答えや凛々しい出で立ち、そして優れたテーブルマナー等を発揮できなければ“お前の所は息子娘にキチンとした教育も施せないのか?”と立ち所に本人とその実家とに二流、三流の烙印を押されて社交場から事実上の追放を喰らう事になるからである。

 とは言えどもそれは今はもう、昔の事。

 近代、現代の貴族の食事は予め食べやすい様に一口サイズに切り揃えられており、要は相手との会話を楽しみつつも優雅に過ごせればそれで良い、とされるに至っていたのだ。

「プリンセス、そしてプリンス。どうぞお召し上がり下さい、鴨肉のローストで御座います・・・」

「ワインは何になさいますか?それともシャンパンの方がよろしいでしょうか・・・」

「デザートにもコック達が腕によりを掛けております故、どうぞ御期待なさって下さいませ・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

 そんな貴族の食事会にお呼ばれしていた蒼太達一行とノエル、レアンドロのペアは主催者であるダーヴィデ達から下にも置かれぬ熱烈なもてなしを受けていた、特に非公式ながらもルクセンブルク大公国のプリンセス・ノエルと、分家の立ち位置とは言えどもれっきとしたプリンスたるレアンドロに対するそれは、流石に相手が準王族な事もあって非常に厳格な礼儀作法に則って行われていたのだがその間、蒼太達一行(特に蒼太とメリー)は内心でヒヤヒヤしていた、ノエルとレアンドロの正体(?)を知っている彼等としてはいつ、何時二人がボロを出すのかが知れたモノでは無かったからである。

 しかし。

(そうなったらなったで、こっちで何とかフォローしなくちゃならないんだけれども・・・!!!)

(問題はこの二人をどうフォローすれば良いのか、まだよく掴めていないと言う事よね。とにかくそれでも何とかしないと・・・!!!)

 そんな風にハラハラしながら事態の推移を見守っている蒼太夫妻を尻目にノエルとレアンドロのペアはダーヴィデ達三伯爵の接待を、少しも動じる事無く受け続けていた、その振る舞いは完璧であり言葉遣いも流暢丁寧で少しも下劣さや不自然さが無い、“流石は準王族だな”とダーヴィデ達が感心している様が蒼太達にはありありと見て取れる。

 それに。

「それにしてもプリンセスは語学や最新の電子技術に精通していらっしゃられる様で、大変に感服致しました・・・!!!」

「私達でもTOEIC、TOEFLでそこまでの高得点は保持できていないと言うのに・・・!!!」

「他にも“情報セキュリティスペシャリスト”の資格を取っておいでだとか。もしプリンセスさえよろしければ今度、家の電子機器も是非見ていただきたいですわ・・・!!?」

 伯爵達はそれぞれに、自分達の妻である伯爵夫人も同伴させていて彼女達からの受けも悪くは無かった、今のところは至って順風満帆と言った具合であった、しかし。

「聞くところによるとお二方ともお付き合いをなされているとか。美男美女で誠に以て結構ですな」

「絵に描いた様なお二人ですな?」

「ノエル様は慈愛に満ちておられるし、レアンドロ様は溌剌としていらっしゃられる、本当に眩いばかりのお二人だ・・・」

「・・・・・」

(お義父さん達、持ち上げるのもその位にしておかないとコイツら調子に乗りますよ・・・?だけど確かに!!!)

(もう、お父さんたら。礼儀作法だからしょうがない所はあるけれど・・・。でも確かに見てくれだけなら美男美女で、お似合いのカップルではあるわよね?ノエルとレアンドロって・・・!!!)

(御父様達が礼儀を尽くすのは解ります。さっきまでとは全然、立ち振る舞いや雰囲気が違いますもの、ノエル様とレアンドロさん。ま、まあちょっと何というか・・・!!!)

(ま、まあ多少はぶっ飛んだ所もある方々のようだがな?何はともあれ元気になられたのは本当に良かった・・・!!!)

 宴も酣(たけなわ)、四人がそんな事を考えていた最中に、事件は起こった。

 最初に異変に気が付いたのは蒼太だった、自らが持参していた聖剣である“ナレク・アレスフィア”が青くて眩い輝きを放ち始めたかと思うとその場にいた全員を包み込んで行く。

「・・・・・っ!!?」

「・・・っ!?!?!?」

「な、何だこれはっ。何事だっ!!?」

「・・・・・っ!!!」

(これは、まさか・・・っ!!?)

 “拙いっ!!!”と蒼太が叫んだ時にはもう、遅かった光は部屋中に充満して照り返しており、そこら中からエルヴスヘイムの気配と波動とが漂い始める。

(まさかサリナ、もしくはフォルジュナ様か!!?よりにもよってこんなタイミングで転移魔法を使うなんて!!!)

 蒼太は“待ってくれ!!!”と叫びたかったがもう遅くてこの瞬間、ダーヴィデ邸の中は確実に異世界と繋がってしまっていたのである。

「皆、僕の側に集まれ!!!」

「・・・・・・っ。え、えっ?えっ!!!」

「どう言う、事ですの・・・?」

「蒼太、これは一体どうした事だ?」

「訳は後、早くしてっ!!!」

 檄を飛ばす蒼太の元へと戸惑いながらも先ず馳せ参じたのがメリアリア達花嫁組の面々であり続いてノエルとレアンドロ、そしてそれにつられる形でダーヴィデ達伯爵連中やベアトリーチェ達伯爵夫人と使用人達の群れだった。

「突然だけれども・・・っ。このまま行くよ?“エルヴスヘイム”に!!!」

「えっ?えっ。本当にっ!!?」

「つ、遂に不思議と神秘の世界にっ!!!」

「今この瞬間、繋がっているというのか?向こうの世界と!!!」

 蒼太の言葉に口々にそう叫んで応えるメリアリアとアウロラとオリヴィアだったがこの四人以外の面々は何の事だか解らずにある者はポカンとし、またある者は怪訝そうな表情を見せつつそれでも警戒感を露わにする。

「蒼太、これは一体どう言う事だい?」

「蒼太君、我々はどうなるのかね?」

「婿殿、これはただ事ではないぞ!!?」

「お義父さん達もお義母さん達も、こうなったら一緒に付いて来てもらいます。行き先はエルフ達の住まう世界、“エルヴスヘイム”です!!!」

「・・・・・っ!!!」

「・・・・・っ!!?」

「な、なんだと・・・っ!!?」

 そんな受け答えが終わるか終わらないかの内に室内の景観がグニャリと歪んだ様に感じられて、気を抜くと思わず酔ってしまいそうな感覚に陥ってしまう。

 時空間が乱れてプラズマオーラがバチバチと弾け飛び、周囲から生き物の持つトーンが完全に失われてセピア一色に染め上げられた、かと思ったら。

 次の瞬間にはそうした事象は雲散霧消して世界が落ち着きを取り戻し、色彩が蘇って来た。

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・?」

 全員が困惑しつつも辺りを見渡すが、部屋の内部からは変わった様子は見受けられないモノのしかし。

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「感覚を、シャープにしてごらん?外の波動を感じるんだ・・・!!!」

 蒼太の言葉通りに花嫁達が意識を研ぎ澄まして拡大させ、感覚を四方に向けてみる、するとー。

 そこはそれまでいた人間界とは、何もかもが違っていた、最初に彼女達が感じたモノ、それは現実世界よりも一際強大に降り注ぐ太陽の煌めきと木々のざわめき、通り抜けて行くそよ風の優しさに清流の潺(せせらぎ)だった。

 大小様々な生き物達に溢れていたそこはそれぞれの奏でる生命の波長が饗宴のリズムを形作っており、その楽しそうなメロディーに思わず心が弾む。

「・・・・・っ!!?」

「・・・・・っ!!!」

「こ、ここが・・・っ!!?」

「そうさ・・・!!!」

 “エルヴスヘイムだよ”と蒼太がメリアリア達花嫁の質問に頷いて見せるが何と蒼太達は焦ったサリナの半ばヤケクソ的な法力放出によりメリアリアの屋敷ごと転移させられてしまったのであり、彼等の他にもノエルとレアンドロを始めとしてダーヴィデ達伯爵やベアトリーチェ達伯爵夫人、それにお付きのお供や家令、執事、メイド軍団まで全て纏めてエルヴスヘイムに召喚されてしまったのであった。

「取り敢えず、皆一旦、外へ出よう。先ずは状況を確認しなくてはね・・・。メリー!!!」

「・・・・・?」

「ドレスから着替えて、部屋から装備を持って来るんだ・・・。勿論、アウロラとオリヴィアもね?」

「解ったわ!!!」

「解りました!!!」

「了解だ!!!」

 念の為にと油断無く、屋敷の中全体にまで意識を広げて気配を窺いつつ様子を探っていた蒼太だったが、やがて問題が無い事が解ると妻達にそう言葉を掛けて、何が起きても良いようにと“戦闘準備”を整えて来るようにと告げて、それぞれに宛がわれている部屋へと送り出すモノの、そんな夫からの指示を受けたメリアリア達花嫁組はメイド達の内数名の、自分達にお付きの者達を引き連れていそいそと自分達の部屋へと移動していった。

「・・・ノエルさん、レアンドロ。それにお義父さん達、お義母さん達。メイドや執事の皆さん。さっきもチラリと言いましたけれどもここはもう、僕達の知っている人間界ではありません。エルフや精霊達の揺蕩(たゆた)う世界、“エルヴスヘイム”です」

「・・・・・っ!!!」

「し、信じられん。こんな世界が本当にあったとは・・・!!!」

「噂には、聞いていたモノの・・・。ではここがかつて婿殿が救ったと言うエルフの国なのか?」

 アルベール伯爵の言葉に“そうです”と頷くと、蒼太はメリアリア達の到着を待ってから全員で外に出てみる事にした、なんにせよ先ずは自分達の置かれた現状を把握する事から始めなければ話にならず、それを実行に移そうとしていたのだ、それから。

「待たせたわ!!!」

「遅くなりました!!!」

「済まないな、ドレスを片付けるのに手間取ってしまった・・・!!!」

 すっかり全身の装備を調えた三人が再び皆の前に姿を現すと蒼太は“よしっ!!!”と言い放ち、その場にいた全員を引き連れて早速外へと他出してみる。

「・・・・・っ!!!」

(懐かしい・・・!!!)

 蒼太は思った、そしてそれと同時に“また来てしまったのか・・・”と言う感慨を抱くが以前いたのは凡そ一ヶ月程度であったモノの、実際には蒼太は1年近くもの間そこにいたかのような感覚に陥ってしまっていたのである。

 それはそれだけ、この“エルヴスヘイム”の世界での日常や出来事等に蒼太が深い感傷を覚えていたからに他ならなかったが、今思えばとんでもない程に向こう見ずな事を仕出かしてしまったモノだった、と都度に感じる。

 何しろ下手をすればあの時に、あの冒険の途中で命を落としていてもおかしくない場面が何度となくあった訳であって、そう言う意味では蒼太は間違いなく強運の持ち主であったのだ、そしてそんな蒼太の目の前には。

 幼き日に見た光景と同じそれが広がっていた、今彼等が立っているのは青空の下で風が心地よく吹き抜けて行く大平原であったのであるモノの、そんな蒼太達の遥か彼方には深い緑の森林に囲まれて“長老の木”が聳え立っており、あれが視認出来る、と言う事はここはどうやら“アイゼンベルグ”に程近い場所なのだろう事が窺える。

「・・・・・」

(サリナが、一応は場所を選んでくれたって事なんだろうか・・・!!!)

 そう考えて改めて彼女に意識を向けてみると、方角的に長老の木の一角に彼女の名前は息吹を感じる事が出来た、それだけではない、何やら呪(まじな)いの力で此方を遠隔透視している事も理解したモノの、さて。

「・・・ねえ。ねえ、あなた!!!」

「これから一体、どうするんですか・・・?」

「エルフの国には来れたモノの、これからどうしたら良いのかサッパリ解らないよ!!!」

「・・・・・っ。取り敢えず」

 “皆、彼処(あそこ)まで行こう!!!”と蒼太が告げて、遠方にそそり立っている“長老の木”を指差した、此処からなら歩いて二時間程の距離だろう、それ程遠くまで行く冒険にはならずに済むはずである。

 それに近くにモンスター等の気配も無い、問題は全くと言って良い程に存在してはいなかったのだ。

「彼処(あそこ)は“アイゼンベルグ”と言う集落のある森で、エルフ達が暮らしているんだ。僕が以前来た時も旅は彼処(あそこ)から始まった、言わばこの世界での基準点であり“始まりの地”なんだ!!!」

「・・・・・っ!!!」

「始まりの、地・・・!!!」

「そうか、彼処(あそこ)にエルフが居るのか・・・!!!」

 そう言って花嫁達は互いに頷き合うと蒼太の顔を見て“行きましょう?”と彼を誘(いざな)う。

 それに導かれるままに蒼太は彼女達と、そしてその他の面々を引き連れて先陣切って歩き出した、目指すは“アイゼンベルグ”の森、“長老の木”の中核部分だ、そこに今もサリナとフォルジュナがいて彼等を待ち構えている筈である。

 一応、用心の為にと屋敷に三分の二程の人員を残して蒼太達一行は出立し、遙かなる旅路の第一歩を踏み出して行ったのだった。
ーーーーーーーーーーーーーー
 幼馴染との純愛成就派(特に主ビア派)の方にお知らせです。

 本来ならばこう言う場であまり他のサイト様の宣伝をするべきでは無いのでしょうが実は私(わたくし)、“モナド体”と言う名でpixiv様で“リュカとビアンカ”と言う小説を7作品、シリーズで展開しております(全編に渡って主人公とビアンカの“ラブ陵辱”系統純愛R-18物語なのであちら様に登録していないと閲覧出来ませんが)、もしよろしければ御覧下さいませ(それと申しますのもこちら、“メサイアの灯火”本編では暫くの間エッチシーンは出て来ません。実はこの“リュカとビアンカ”シリーズは、その為のスピンオフ的な意味合いも兼ねて出させていただいております)。

 なのでラブシーンの読みたい方は其方を御覧下さいませ(どうかよろしくお願い申し上げます)。

                敬具。

          ハイパーキャノン。
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