メサイアの灯火

ハイパーキャノン

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神世への追憶編

第二次エルヴスヘイム事件1(シュミータ・エルルとヨベルの年)

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 些か自分の趣味思考や好みの世界に関する説明ばかりが長くしつこくなってしまいまして大変、申し訳御座いません(なるべく早く物語本編も執筆するように致します)。

 しかしながら今回の告知は“こう言った方面では”、本当にこれで最後のそれになるかも知れません(だからこそ出来たら皆様方に是非とも信じていただきたい、そして御支持をいただきたいのです)。

 ちなみに、なのですが。

 メリアリアちゃんは蒼太君を一人の人間として、そして彼を“男”とした場合、“一人の女性”としてこの上なく愛しています(だから二人っ切りの時にはちょいちょい甘えと言うか本心、本性が出て来ます←他の人には絶対に見せません)、要はそれだけ、彼女は蒼太君を思って慕って、そして己自身を預け切っているのですね、全身全霊で受け入れ、受け止め、信じ続けているのです(心酔しているのです)。

 そしてそれは取りも直さず、蒼太君がそれだけ強く、激しく、逞しく、メリアリアちゃんに対して切実であり誠実であり続けている、と言う事に他ならないのです(メリアリアちゃんの事をそれだけ深く深く真剣に、思い続けているのです←まだまだ若くて至らない事も多々ありますが)、そんな彼の真摯な気持ちと態度がメリアリアちゃんの心に、頭に、魂に火を付けてしまったのですね、罪深い奴です(責任は取れるんだろうな?)。

 またあともう一つ、御座いますモノの、それは何かと申しますと物語本編に関する事なのです。

 実は時系列的にはこの後(危険を回避する為もあって)蒼太君達は暫くの間(と言っても一ヶ月と1週間程度の事なのですが)、再びエルフ達の世界であります“エルヴスヘイム”に赴く事となります(新婚旅行の為にです)、そして彼方(あちら)の内でも特に赤道に近い常夏のアワウェア諸島(此方の世界でのハワイ諸島に相当)に旅する事になるのですが、そこで(何故かくっ付いてきた花嫁達の家族やノエル達も交えた)“ドタバタギャグコメディ”や蒼太君とメリアリアちゃん達花嫁組との余人を交えぬ“純愛いちゃラブエッチ”が続くこととなります(当然、ノエルのハチャメチャ振りに堪らなくなって蒼太君が吠えまくります、そしてメリアリアちゃん達がズッコケたり、宥めたりします←暫くの間、因縁との死闘であったり、宿敵との謎解き勝負であったりと、中々にシリアスな回が続きましたのでその反動と言いますか、彼等には思いっ切り羽根を伸ばしていただきたいと思います)。

 今、それをどう言った形で進行させて行き、かつ最終的に纏めて行くのか、と言う事に関しまして色々と知恵を絞っている最中なので御座います(なのでもう暫くの間、何卒時間を下さいますよう、伏してお願い申し上げます)。

               敬具。

         ハイパーキャノン。
ーーーーーーーーーーーーーー
「ハネムーン!?本当にハネムーンに行けるのね!!?」

「ああ」

 堪らずメリアリアの発したその一言に蒼太がすかさず頷いた。

「エルフの国は僕達の住んでいる“現実世界”とは時間の在り方が違っていて、此方の一日が向こうでの1週間に相当するんだ。だから恐らく事件を解決したとしても“新婚旅行”に割ける時間はタップリと残ると思うよ?・・・まあ勿論、エルフ王の手紙の内容にも因ると思うけど」

「嬉しいぃ、あなたぁっ!!!」

「素敵です、エルフの国でのハネムーンだなんて!!!」

「一体どんな世界なのだろうな?今から胸が喜びで高鳴って、止まらなくなってきたぞ!!!」

 そう言って三人が改まって飛び上がり、喜色を露わにするモノの一方で蒼太には別の思惑も存在していた、それというのは。

(現実世界では“ハウシェプスト協会”の目が彼方此方にあって、メリー達と落ち着いて逢瀬を楽しむことが出来ないからな。ひょんな事から厄介事を引き受けた形になってしまったけれども考えようによってはちょうど良かったのかも知れない・・・!!!)

 “メリー達も喜んでくれているしな”と青年は思った、それに“エルヴスヘイムならばハウシェプスト協会の勢力も、多分だけれども此方側よりかは及んではいないだろう”と言うのが彼の目算であって、そう言う様々な考えが絡んでの発言であったのだ。

 では何故ハウシェプスト協会の力が此方側よりも及んでいないだろう、と蒼太が判断したのか、と言えばその理由は至って簡単でありまず第一に人間界と五百年間に渡って関係を絶ってきた事に加え、自分達の今いる“現実世界”よりも神々の住まう世界である“神界”に近しい立ち位置にあるからである。

(以前の冒険で魔物達が溢れて来ていたのも、カインとメイルの二人組によって魔物達の住み家である“トワイライト・ゾーン”への扉が不自然且つ強制的に開け放たれていたからに他ならない。通常のエルヴスヘイムはモンスターとは言っても“スライム”や“ら小型の“魔鳥族”、それに“お化けミミズ”の様な初歩的な連中しか出て来ないようだしね、かつてアイリスさん達がそう言っていた・・・!!!)

 “それに”と蒼太は尚も続けて思った、“エルフの世界の民度は此方に比べて遥かに崇高な部類に属する”、“なのでそう言った意味でも安全だろう”と。

 そこまで思考を重ねた末に、蒼太は思い切って“花嫁達”にもその事を伝え、尚且つ今までずっとお預けを喰らい続けていた“新婚旅行(ハネムーン)”についてのプランも打ち明けたのだ、・・・“恐らくは喜んでくれるだろう”との期待を込めて。

 結果は大成功であった、彼の胸の内と思惑、そして算段を聞くに及んでメリアリア達は狂喜乱舞し、まだエルフ族の事件も解決していないと言うのにもう、既にして“ハネムーン気分”に浸ってしまっていた。

 それだけではない、今まで自分達が伝記物や蒼太から伝え聞いては想像を膨らませるしか出来なかったエルフ族の住まう世界に行ける、と言う事についてもハラハラ、ドキドキとして落ち着けずにおり一層、“夫”にしがみ付いては何度も何度も繰り返してその話を聞きたがる始末だったのである。

「エルフの世界かぁ、きっと夢の様な場所なのでしょうね・・・!!!」

「皆して大きな木の上で暮らしているなんて、なんてロマンティックなのでしょうか!!!」

「早く向こうの空気をその身で感じてみたい、野山や草花をこの目で見てみたい!!!」

「ち、ちょっと待って皆(みんな)!!!」

 その余りにも心ここに非ずな三人組の様相に対して蒼太が流石に“待った”を掛けた。

 しかし。

「解っているとは思うけれども・・・。今回はまずは、エルヴスヘイムで起きている問題を解決する所から始めなくてはならないんだ。それを忘れない様にね?」

「解っているわ?あなた。でも解っているけれども、ねぇ・・・っ!!?」

「どうしても胸が高鳴ってしまって止まりません。凄くファンタジーな感覚と言うか、想像が膨らみますわ!!?」

「エルフの世界の剣術は、どのようなモノなのであろうか。私達の実力が何処まで通用するモノなのか。今からとても楽しみだぞ!!?」

 そう言って三人とも修学旅行の前に燥ぎ回る、仲の良い女子高校生の様なテンションでそれぞれの思いを口にするモノの蒼太にとってもそれは喜ばしい半面でどうしても、“気持ちの緩みの出ない様に、もう一歩釘を刺しておかなくちゃな・・・!!!”と言う判断をさせるに至っていた、彼にとってはエルヴスヘイムは決してファンシーな妖精の国等では無くて、この人間界とは地続きの、れっきとした世界線なのだ。

 無論の事、彼女達にだってそれは伝わっている筈である、筈であるけれども、しかし。

「エルフの世界の魔法って一体全体どう言った類いのモノなのかしらね?もう少し詳しく知りたいわ。私達と同系統の魔法なのか、それともやっぱりちょっと違うのかしら。どうなんでしょうね!!!」

「実は私(わたくし)もそれは気になっておりました。早くこの目で見届けて、確かめたいモノですわ!!!」

「本場エルフの用いる魔法だ、もしかしたなら我々の扱うモノよりも遥かに強力な威力かも知れないぞ!!?」

「・・・・・」

(・・・なに、彼女達だって心得のある戦士達だ。それに戦場だって何度となく経験している、向こうに着いてその地面を踏めば、空気に触れればそこが決しておとぎの国等では無い、現実世界の続きなのだって事が解ってくれる筈だ!!!)

 “その為にも”と蒼太は思った、“今の内からよくよく言い聞かせておかなくてはならないな”と、そこで。

 その日は夜遅くまで自分の経験した事や戦闘の様子等を、改めて事細かに話して聞かせたのであったがそんな蒼太の気苦労等どこ吹く風で三人はエルヴスヘイムへの情熱を、その胸の内に燃え滾らせていたのである。

 そんな日々を二日ほど、送っていた所に予てよりの約束通りにサリナから国王エルファサリア7世直々に救援を求める手紙が届けられ、それを蒼太が(見付かると色々と煩(うるさ)いと思ったのだろう)ミラベルの上層部に内密でハイ・ウィザード達の長、“アルヴィン・ノア”へと献上して内容を確認してもらい、重ねて自分達の今現在の窮状をも心から訴えた、その結果として。

 蒼太を始めとしてメリアリア、アウロラ、オリヴィアの四人には四十日間の休暇が、それも皇帝直々から下賜される事となったのであった。

(流石はノア博士だ、上手くやってくれた。しかし皇帝陛下をも動かされるとは本当にただ者じゃない・・・!!!)

 ポール達“カーディナル卿”連中に恭しく頭を垂れながらも蒼太がそんな事を考えていると、彼等もいよいよ諦めたらしくて溜息を付きながら蒼太達に“明日より四十日間の休暇を与える”旨の辞令を出し、執行証にサインを付した。

 この瞬間にー。

 彼等の“エルヴスヘイム行き”が確定した訳であったモノの、その帰り道の途上で青天の霹靂と言うべきか、彼等は親友でありながら天敵でもある、“とある人物”の襲来を受ける事となったのである。

 その人物と言うのが。

「あーっ、ソー君だ。ヤッホーッ(@^▽^@)(@^▽^@)(@^▽^@)」

「げえぇ・・・!!?」

「あら?あの方は・・・」

「ノエル姫では、無いですか・・・!!!」

 思わずギョッとする表情を浮かべたメリアリアに対してまだその正体を理解していないアウロラとオリヴィアは“何事か?”とキョトンとした面持ちを彼女に向けるが、一方で蒼太は。

「・・・・・」

(やっぱりな・・・)

 いち早くその気配を察知していたこの黒髪の青年はしかし、もう一々逃げ回るのも癪と言うかバカバカしいと思い立ち(ついでに言えば、これまでにも色々と世話を焼いて来てもらった事も手伝って)、特に何処かに隠れたりせずに堂々と、しかしやや冷めた風の顔付きとなってノエルに相対していたのであった。

「はぁ・・・。ノエルさん、相変わらず元気そうですね?」

「うん、元気も元気。だって私、元気なだけが取り柄なんだから~っ(*'▽'*)(*'▽'*)(*'▽'*)」

 と基本的には天然善人、しかし色欲方面に掛けては確信犯的腹黒痴女な彼女は夕日を背に、ニコニコと微笑みながらも蒼太達に近付いて来た。

「こんにちはーっ(*゜▽゜)ノ(*゜▽゜)ノ(*゜▽゜)ノメリアリアちゃん、アウロラちゃん、オリヴィアちゃん!!!」

「・・・・・っ。え、ええっ!!!」

「ごきげんよう、プリンセス・・・!!!」

「ごきげんよう・・・!!!」

 何処かぎこちない笑みを浮かべるメリアリアに対してアウロラとオリヴィアは特に何を気にするでも無く礼儀正しい会釈をして見せた、この時点で二人はノエルの変態性欲に全くと言って良いほど気が付いてはいなかった為に別段、警戒感を露わにしてはいなかったのだが蒼太とメリアリアは話は別だ、確かにお茶会を開く傍らで様々な世間話を熟し手来た友人であるだけで無く、何度と無く助け船を出してくれた恩人ではあったモノのどうにも安心して会話を楽しむ事が出来ないのである。

「どうしたんですか?ノエルさん。確か本日の業務は既に終了している筈ですが・・・」

「そうよ?ノエル。ただでさえ貴女は狙われている上に、非公式な立場とは言えども一国のプリンセスなのですからね。身の振り方には十分に気を付けてくれないと・・・!!!」

「うん、それは良く解ってはいるのよ?解ってはいるんだけれども・・・」

 すると怪訝そうな面持ちを見せつつも、それでもそう言って自身に言い寄って来る蒼太とメリアリアの夫婦に対してノエルが途端にそれまでとは打って変わって寂しそうな、もっと言ってしまえば心細そうな顔付きとなってそう答えた。

「実は、ちょっと困った事になっちゃって・・・。それでソー君達に相談をしたい訳なんだけれども・・・!!!」

「・・・・・?」

「何よ、改まって・・・」

「うん、あのね?ここじゃあちょっと言いにくくて・・・!!!」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

 そう言ってノエルは下を向いたまま口を閉ざしてしまうモノの、その様子を見ていた蒼太は暫しの沈黙の後に“はあぁ・・・っ!!!”と一つ大きな溜息を着いてからメリアリアをチラリと見ると、彼女もまた“しょうが無いわね!!!”と言うような、何処か困った表情を浮かべて夫に目配せして来た。

「取り敢えず、ここじゃ何なんで・・・。僕達の住んでいる部屋に来ます?」

「お茶くらい、出してあげるから。それで話も聞いてあげる!!!」

「本当!!?」

 するとそれを聞いたノエルの表情がパアァッと明るいモノとなって来た、瞳にも幾許かの光が戻って来ており心底安堵している事が伺えるが、さて。

「どうもありがとう~っε=ε=(ノ≧∇≦)ノε=ε=(ノ≧∇≦)ノε=ε=(ノ≧∇≦)ノでもさ、でもさ?ソー君さっきから気になっていたんだけれども寮に帰るなら道が違うよ?」

「ああ。まだ言ってませんでしたね、ノエルさんには・・・」

「私達、今は全員ウチで暮らしているのよ?私の実家であるカッシーニ家でね!!!」

 その言葉に一瞬、ノエルの顔に驚きの色が浮かんだかと思うと続いてキョトンとした面持ちとなって蒼太達に尋ね返して来た。

「どう言う、事なの?皆(みんな)が結婚した事は知っていたし、私も式に呼んでもらったけれども・・・。でも暫くは寮で暮らすんじゃなかったの?」

「お義父(とう)さん達に、言われたんです。“本格的な新居が決まるまでは自分達の邸宅を使っても良い”と。部屋を用意してもらえたんですよ、それでその御厚意に甘える事にしたんです」

「1週間毎に、帰る家を変えるのよ?今週はウチで来週はアウロラのフォンティーヌ家。再来週はオリヴィアのフェデラール家、と言う塩梅にね?」

「ああっ!!!」

 “そう言う事!!!”と叫んでノエルは漸く合点が言った様子であった、要するに蒼太は今現在、花嫁達の実家に於いて“居候”させてもらっているらしく、それも週替わりでそれぞれに、別の邸宅へとお邪魔する仕組みとなっていた訳である。

「そっか、そっかぁ~。良かったわねぇ、ソー君は幸せになれたのねえぇ・・・(*⌒▽⌒*)(*⌒▽⌒*)(*⌒▽⌒*)」

「・・・・・っ。え、ええ?だって」

「・・・どうかしたの?ノエル。あなただって“レアンドロ”って言う素敵な彼氏が出来たんじゃ無かったの?」

 すると蒼太とメリアリアのその言葉を聞いた瞬間に、それまで微笑んでいたノエルが不意に辛そうな笑みを浮かべて再び俯き加減となった。

「実は、実はね?そのレアンドロの事でちょっと相談に乗って欲しいの~・・・!!!」

「・・・・・」

「・・・・・?」

「私が女の子に欲情する性癖がある事は、二人はもう知っているでしょぉ~・・・?」

「・・・・・っ。え、ええ。まあ、そりゃあ、ねぇ?」

「はぁ・・・っ。それについては散々っぱら聞かされたわよ。確か7歳~15歳位までの、日本人かガリア人の女の子が良いんでしょう・・・?」

「う、うん。そうなの、そうなんだけれども・・・。それをレアンドロに知られてしまったの・・・!!!」

 そう言っていよいよ本格的に追い詰められた様な表情を見せて下を向いてしまったノエルの言葉に蒼太達は一瞬、完全に絶句してしまっていた、断っておくが間違っても余りの凄絶な事に思わず言葉を失ってしまった、のでは無くてより具体的に説明をするのならば、“何がどうしてそうなった!!?”とでも言った方が正解に近い様に思われる。

「どうしよう!!?私このままじゃレアンドロに嫌われちゃうかも知れないわぁ~っ(´д`)(´д`)(´д`)」

「ち、ちょっとちょっとノエルさん。落ち着いて下さいってば!!!」

「ひ、人が見てるから!!!ほら泣かないで。ね?」

 そう言ったが最後、突如としてその場で泣き出してしまったこのゆるフワピンクな年上の友人を、とにもかくにも必死になって宥め賺した後で落ち着くのを待ち、取り敢えずの小康状態となった所で隙を突いて蒼太達は彼女を連れて、カッシーニ邸へと向けて歩を進ませ始めた。

 正直に言って“グス、グス・・・ッ!!!”と泣きベソを掻いているノエル本人を除けば誰も彼もが困惑していた、否、まだ彼女の本性を知っていて尚且つ耐性のあった蒼太とメリアリアはともかくとしても、そうした事情を全くと言って良い程飲み込めずにいたアウロラとオリヴィアに至っては何がなにやら、どうして良いのかが解らずに戸惑ってしまっている。

「・・・・・っ。あ、あの。蒼太さん、メリアリアさん。私(わたくし)達、何がなんだか?」

「ど、どう言う事だ、これは?女子に欲情するとは何の事だ。レアンドロとは一体、誰なんだ!!!」

「う、うん。話せば長くなるんだけれども・・・!!!」

「それはウチに着いてから、ゆっくりと説明してあげるから・・・。とにかく今はノエルをソッとしておいてあげて、ね?」

 歩きながら二人に耳打ちすると、蒼太とメリアリアは夕暮れの中、家路を急ぐことにした、カッシーニ家はミラベルの本部から大人の足で徒歩でも一時間弱位の距離である、明日からは本格的な休暇(と言うよりは異世界冒険)の待っている身であった蒼太達はだから、本来ならばゆっくりと歩いて帰るはずであったが途中で予定を変更して思い切ってタクシーを使う事とした、正直に言ってあまり公共の乗り物には乗りたくなかったモノのさりとてノエルをこのままにしておく事は出来ずになるべく時間を短縮したかった為の処置であったのだ。

 結果として。

 果たしてタクシーは彼等を拾ってからモノの十数分で目的地であったカッシーニ邸へと辿り着き、頑丈な黒金設(しつら)えの門の眼前で停止した。

 そこで全員が降車して運賃を支払った蒼太達は門番に鉄製の大門を開けてもらって中に入ると邸宅へと続く道を、ただただひたすら黙って歩く。

 途中ですれ違った庭師のお爺さんに会釈をしつつも漸くカッシーニ家の玄関を潜る事に成功した彼等は使用人達への挨拶もそこそこに素早く自分達の為にと用意されていた三階の一室へと飛び込むと早速、ノエルに事情を聞くべく中央に置かれていた円卓に対で備え付けられていた木製の高級椅子へと腰を降ろした。

「お帰りなさいませ、お嬢様。若旦那様・・・!!!」

「ありがとう。悪いんだけれども紅茶を入れて持ってきてくれる?カップは5人分ね、あとお茶請けにはスコーンをちょうだい。ハニーとバターをタップリと付けてね!!?」

「かしこまりました!!!」

 部屋に入る前にメリアリアは気心の知れている自分のウチの古株メイド連中に対してテキパキと指示を与えていた、彼女にしてみればノエルへと向けたせめてもの“おもてなし”のつもりであったが、さて。

「さあ、ノエルさん・・・!!!」

「ここだったら、私達4人以外に聞いている人なんていないんだから・・・!!!」

「・・・・・」

 その言葉を聞いたノエルはそれでも、最初は一言も発さずに沈黙を貫いていた。

 ・・・しかし、次第に。

「う、ううっ。ひっく、グス・・・ッ!!!」

 “え~ん、え~ん!!!”と漸く安心したのだろう彼女はその場で机に突っ伏しては泣き始めてしまったのだ。

 それを蒼太達は止める事無く見守り続けていた、こう言う場合下手に手を差し伸べて途中で感情の吐露を妨害するよりも、一気に吐き出し尽くさせてしまった方が絶対に良いだろうとの判断からであったのである。

 やがて。

「う、ううっ!!?ヒック、ヒク・・・ッ!!!」

「・・・・・。落ち着きましたか?ノエルさん」

 一頻り泣きじゃくった彼女が漸く本格的な落ち着きを取り戻しつつあったその時に、初めてそれまでタイミングを見計らっていた蒼太が自身のハンカチを差し出すと同時に声を掛けるに及んだ。

「グス、ウエェ・・・ッ。う、うん。ソー君、ありが、と・・・!!!」

「話して下さいノエルさん、一体何があったのかを・・・」

「ヒック、ヒク・・・ッ!!!う、うん・・・」

 蒼太に誘(いざな)われるままに、ノエルはそれまでの事を語り始めたのだが、それによると。

 事の発端は今から一週間程前に遡ると言うモノの、それによるとその夜も、何時もの様にレアンドロとのセックスを終えて彼に抱かれながらも満たされた心持ちで眠りに就いていたノエルはしかし、どうしても“ある事”が気になってしまい、途中で目を覚ましてしまうが、それというのが・・・。

「私ね?今までの事をレアンドロに正直に話そうと思っていたんだ、何だか彼と結ばれて以来、それまでのセックスが空しいモノに思えてきて。それに何だか、レアンドロに悪いような気がして来て、それで思い切って彼に打ち明けてみたの・・・」

「へえぇ、偉いじゃないですか。ノエルさん!!!」

「彼に見付かってしまった、と言うよりは自分でちゃんと告白したのね・・・?」

「う、うん。そうなんだけれども・・・、そうしたらレアンドロがね・・・?」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「彼がドン引きしちゃって、怒っちゃって。“君は僕の事が好きだったんじゃ無いのか”って、“なんで女の子同士でやりまくってるんだよ!!!”って。喧嘩になっちゃったの・・・!!!」

「・・・・・」

「どう言う、事なんですか?女の子同士でって・・・」

「プリンセスは同性愛者であったのか?しかし“レアンドロ”と言う恋人がいる、との事であったが・・・」

「同性愛者って言うよりかは、“バイセクシャル”に近いかもね。それになんて言うのかしら、自分よりも年下の女の子に欲情しちゃう体質らしいの・・・」

 まだ事態の全てを掴んだ訳では無いアウロラとオリヴィアが会話の合間合間で素朴な疑問をぶつけて来るモノのその都度、メリアリアが彼女達に対して答を与えて行くがその言葉を2人とも特に茶化したり嫌悪を催したりせずに、一生懸命に聞いていた。

 彼女達としてもノエルが悪人で無い事は薄々感じ取っていたし、それにそう言ったデリケートな話題をそれでも、嘘偽り無く話してくれる彼女に対して黙って耳を傾けていたのだ。

「私、今まで女の子達と100回以上は“貝合わせ”をして来たんだ~、レアンドロを好きになってからもね?本当に滅茶苦茶気持ち良くって、何だかとっても変態っぽくて。それが凄いゾクゾクしちゃって思わず癖になっていっちゃったの・・・」

「・・・・・。ま、まあそれに付いては何ともかんとも言いようがありませんがね。でも流石に“レアンドロ”って言う思い人がいたにも関わらずにガーラズラブの最たるモノを実践し続けて来たのは拙かったでしょうね、そりゃ怒りますよ」

「だから前に言ったじゃないの、ノエル。“もっとも清純な自分を唯一無二の恋人に捧げようとは思わないの?”って。だからレアンドロも怒ったのよ」

「うう、そうなんだけれども・・・。でもやっぱり・・・」

 するとそれまで嘆き悲しんでいたノエルが少しだけ頬を赤らめて、ウットリとした表情で告げて来た。

「なんて言うかさ?ソー君に前に言ってもらった通りで、“愛のあるセックス”って本当に気持ち良くって心地好くって。“愛されてるんだなぁ、私”って言うのがホロホロと伝わって来るんだよねぇ・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「特にさ?大好きな恋人のオチンチンで子宮口を突き上げられるって言うの?思いっ切り圧迫された状態から小刻みにノックされたり、グリグリッてされたりすると物凄い愛しさと同時に深くて鋭い快楽が連続して押し寄せて来て“もうダメぇ~”ってなっちゃうの。何も考えられなくなっちゃうの!!!」

「・・・・・」

「う、うん。それはまあ・・・!!!」

「そ、それは、まあ・・・。解る気が致しますけれど・・・!!!」

「た、確かに私にも経験があるけれども・・・」

 そう言ってメリアリア達が少しだけ、ギラギラとする眼差しで以てチラチラと蒼太の事を見やり始めるモノの、どうやらノエルの話を聞いている内に彼との逢瀬の快楽が反芻されて来てしまい、どうにもならなくなってしまっているようだった。

「そうでしょう?解ってくれるわよねぇ~、流石は女の子同士だわ!!?でも正直に言っちゃってあれは“貝合わせ”では絶対に得られないエクスタシーだわ、本当に感覚も何もかもが麻痺しちゃって、オルガスムスに溺れちゃって戻って来れなくなっちゃうの!!!彼氏に対する気持ちも相俟って頭の芯から蕩けさせられるって言うのか、“ああ、私はもうこの人のモノなんだ・・・!!!”って言う実感が言葉じゃ無くて心の底から溢れ出して来て止められなくなっちゃうのよねぇ~・・・!!!」

 “ま、要するに”とノエルが結んだ、“オチンポには勝てなかったよ・・・!!!”と実にしみじみとした良い顔付きでそう言って。

「う、うへへへっ。ぐへへへっ、うひひひひひひひ~・・・っ!!!」

「・・・・・っ。ち、ちょっとちょっと。ノエルさん、ノエルさんてば!!!」

 “そう言うとこなんですってば!!!”と事の成り行きを見守っていた蒼太が流石に不味いと判断したのだろう、すかさず止めに入るモノの、当の本人は何の事だか解らずにキョトンとしている。

「ええっ!!?何々、どう言う所なの?ソー君・・・」

「レアンドロの事に付いて議題にしていたんじゃ無かったんですか?それがなんでいつの間にかに男性器で奥を突かれる話題に切り替わっているんですか。あと言い方!!!」

「えっ。言い方って、オチンポの事?」

「そう、それです。他人前で容易くチンポとか言うな、あんた仮にもプリンセスなんだろ?」

「一体何を言っているの?ソー君。人類皆兄弟姉妹、誰もが素直になるべきよ!!!ああーっ、レアンドロッ。早く私を許して、私を抱いてぇっ。貴男のデカ太チンポでいつもみたいに子宮口をガン突きしてえぇっ、激烈チンマンセックスしてくれないと奥が疼いて眠れなくなっちゃうよおぉ~っ!!!」

「だからそれを止めろってば。今言ったばかりだろーが!!!」

「チンチンチンチン、マンマンマンマンッ!!!チンチンマンマン、チンマン。チンマン~・・・ッ♪♪♪」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・っ!?!?!?!?!?」

「・・・・・っ!!!!!!?」

 “ダメだこりゃ”と思って頭を抱える蒼太は堪らなくなって愛妻淑女(メリアリア)に視線を送ると彼女もまた、何かを悟ったかの様な、もしくは諦めたかの様な顔をしていた、しかしそんな彼等二人はまだ良い方でアウロラとオリヴィアとに至っては信じられないモノを見たかのような、それでいてどうしたら良いのか解らない、と言った表情を浮かべてノエルを見ている。

(やっちまいやがった。アウロラとオリヴィアにはせめて、オブラートに包んで話して聞かせる筈だったのだけれども、もう全てが台無しだ!!!ノエルさん、あんたおかしいよ本当に。どうして人前でそこまで開けっぴろげになれるんだ、どうしたらそこまで破廉恥極まりない女になれるんだ!!?)

 と、この(ある意味では)天下無敵の究極生命体でありまさに“GOING MY WAY”な女“ミネオラ・ノエル・キサラギ”に対して頭を悩ませつつもそれでも、蒼太とメリアリアの心からのおもてなし兼恋愛相談は尚も続いて行くのであった。
ーーーーーーーーーーーーーー
 お待たせしてしまい、申し訳御座いません。

 ちなみにシュミータとは、ユダヤの安息年の事です(詳しい説明は私がするよりも、読者の皆様方それぞれが検索を掛けられた方がよろしいかも知れません←決して説明をサボタージュしているのでは御座いません、これに付随する幾つもの細かい取り決めが御座いましてその全てを解説する事が難しいのです)。

 あとDQ5誕生三十周年誠に誠に御目出度う御座います(ビアンカ可愛いよビアンカ)。

 そしてあともう一つ、今回のお話は“蒼太とメリーの日常シリーズ”、“青き星の祈り姫”、“許しの刻と報われの空”、“テイク・オフ”、“心の働き”、及び“セイレーンの岐路”を読まれてから御覧になられると、より理解が深まるかも知れません。

 また次回もなるべく早くに出せたらと思っております(更新が遅れてしまい大変申し訳御座いません)。
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