星降る国の恋と愛

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ガリア帝国編

VSレプティリアン戦(ガイヤール編)

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「聞こえるか、ミラベルのクソ共めっ。出て来い!!」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「隠れたって無駄だ、まだいることは解っているんだぞ!?」

 閑静な住宅街にガイヤールの怒声が響くがメリアリア達はヒッソリと息を殺したままで絶対に物音一つ立てなかった、もっとも。

 立てたとしても、ここは彼のいる場所からは50メートルは離れた地点にある、主要交通区画(メイン・ストリート・アベニュー)の曲がり角の一角の、建物の後ろである、つまりは新造分譲地の入り口付近に止めてある車の中にまで蒼太達は退避して来た訳であって、その理由は至って簡単であり、蒼太が“神人化”するための時間を稼ぐ為であったのだ。

 “神人化”するためには精神を集中させて感覚を研ぎ澄ませ、己の中に眠る本質生命体、即ち“神の部分”に意識を直結させなければならないのであり、その為には深い深い瞑想に入って芯からトランス状態に陥る必要がある。

 当然、その間は蒼太は完全なる無防備になってしまう訳であり、そしてその間の守りをメリアリア、アウロラ、オリヴィアの三人に託した、と言う次第であったのだ。

「良いか?舐めた真似をしやがって!!お前らが束になって掛かって来ようとも俺様に傷一つ付ける事は出来ねぇ、俺様は不死身なんだ!!」

 再び大きな怒声が住宅街から響いて来るが、結論から言って突入作戦は失敗した、蒼太の要請を受けてやって来た合計8名、2チームの“攻撃隊”は当初こそ意気揚々と“波動追跡”を行って、住宅街の彼方此方を虱潰しに探してはいたモノの、調査対象住宅が10棟を数えようとしていた時に、彼等の目の前に1人の男が現れた、言うまでもなく“ガイヤール・デュポン”本人だったのであるモノのそれを見た時。

 “攻撃隊”は二手に分かれて一方は正面から、もう一方は後背から同士討ちにならない様に注意しつつも一気に攻撃を開始した、魔法、銃、槍、剣等の、ありとあらゆる武器や攻撃がガイヤールを一斉に襲ったモノの、結果は全く無駄だった、何やら防御壁のようなモノを身に纏っているガイヤールには傷一つ付ける事が出来なかったのであり、その悉(ことごと)くが弾き返されてしまっていたのだ。

 唯一、有効打を与えられたのは数名の隊員達が放った“渾身の一撃”のみであり、それだけはガイヤールのバリアーを突破して幾許かはダメージを与えたモノの、やはり倒すまでには至らなかった、このバリアーは彼自慢のモノだったらしく、数発とは言えどもそれを突破された事に激しく憤慨したガイヤールは彼等を全滅に追いやってもまだ腹の虫が治まらずに、結果まだその辺りにいるであろうミラベルの残党、即ち蒼太達に向かって怒鳴り散らしていた、と言う訳である。

「どうした腰抜け、出て来い!!貴様らの仲間達は全員が虫の息だぞ!?助けに来ないのか、このヘタレ野郎共が!!」

 “それとも”とガイヤールは続けて言った、“臆病風にでも吹かれたか!!”と。

「もしお前らがあくまでも出て来ないと言うのであれば、こっちにも考えがあるぞ!?捕らえてある人質を一人ずつ殺してやるぞ。解ったかクソ共!!」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

 ガイヤールの咆哮が、空気を切り裂き伝わるモノの、尚もメリアリア達は動かなかった、本当は罪も無い一般人を巻き込んだ挙げ句に、蒼太の命をも要求して来たアイツを自分達の手で“ぶん殴ってやりたい”と思っていた、引っ叩いて這い蹲らせ、抹殺してやりたい、とすら考えていたのであるモノのしかし、彼女達は前もって、蒼太に言われていたのである、何があったとしても決して動いてはならない、と。

 “徹底的に無視を決め込んで準備が整うまで待っていて欲しい”とー。

「でもあなた、それじゃあ・・・!!!」

「皆さんが、殺されてしまいます・・・!!!」

「アイツらなら、本当にやりかねんぞ・・・!!?」

 突入班が調査に赴く前に、上役との約束で決められた通りに予め、自動車にまで退避してきていた蒼太達は仲間達が戦闘をしている間中、後方からモニターを通じてガイヤールの戦い振りを見ており“これは一筋縄ではいかない相手だ”と直感していた、動きや攻撃力自体にはそれほど特筆すべき箇所は無いモノのやはり、あのバリアーは厄介である、それは遥か以前、まだ蒼太とメリアリアとが子供の頃に戦った相手である“カインとメイル”が仕掛けて来たモノと同系統的な障壁であると言って良く、兎に角此方の攻撃が通らないのである以上、これをどうにかしない限りかは突破口が見出せない、と言うモノであったのだ。

 “考えてみればあの時も”と蒼太が思った、“メリーが助けてくれたっけ”と当時の事を思い出しては意識を飛ばして振り返るモノの、あんな奇跡はそう何度も起きるモノでは決して無く、何より本人が自由意志で起こせる訳でもまた無かった、それというのもあれはあくまでも、メリアリアの秘め抱きたる蒼太への偽りなき真愛と真心の発露、その光り輝きが限界以上に爆発した結果として引き起こされて来た現象だったのであって、それに頼った戦い方をする、等というのはだから、言うまでもなくNGであり非常に危険極まりない行為と言わざるを得なかったのだ。

 だから。

 蒼太は今回、躊躇うこと無く“神人化”を使う事にして突入班が全滅した直後から自分自身への祈りに入った、その直前にメリアリア達によくよく言い聞かせておいていたのである、“何があっても決して挑発に乗らないように”と、“ウカウカ出ていってしまったとすれば、それこそ奴等の思う壺になってしまうから”とそう告げて。

「約束して。僕が神人化を終えるまで、決して僕の側を離れない事、何人たりとも僕に手出しをさせない事を!!!」

「誓うわ!!!」

 とメリアリアは一も二も無く頷いた、蒼太の事は誰よりも何よりも信用しているし、それに彼女は三人の中で唯一、“神人化”の凄まじさを実際にその目で目撃しているのである、それに付いての異論はだから、全く以て無かったのであるが、しかし。

「でも・・・。それじゃあ結局は、あなたにばかり無茶をさせちゃう!!!私達、何の役にも立てていないわ。折角こうして一緒にいるって言うのに・・・!!!」

「そうです!!!私達、三人もいるのに、結局蒼太さんにばっかり大変な役割を押し付けて・・・!!!」

「情け無いと言うよりも、申し訳ないと言うか、何だか寂しくなってしまう。もっと肩代わりさせて欲しい、君の苦しみも悲しみも、我々にだってそれ位の事は出来る筈だ・・・!!!」

「メリー、アウロラ、オリヴィア・・・!!!」

 するとそれを聞いた蒼太は優しい顔で否定した、“そんな事は無いよ”とそう言って。

「皆はね?僕に大切なモノを、いつもいっぱい、いっぱいくれるんだよ?だから僕は頑張れるんだ、だからね?メリー、アウロラ、オリヴィア。そんな事言わないで?僕、君達の事を守ってあげられるのがとてもとても嬉しいんだから、誇らしいんだから・・・!!!」

 “勿論”、と蒼太は続けた、“君達を悲しませるような真似はしないと約束する!!!”とそう言って。

「・・・・・っ。本当?」

「うん、勿論!!!」

「本当の、本当に!?」

「うん、本当に!!」

「絶対の、絶対!?約束してくれる!!?」

「うん、約束する。絶対に!!!」

 “だから”と蒼太は切り返した、“君達も無茶をしないと約束して欲しい”とそう告げて。

「約束する、君達が無茶をしない限りかは、僕も絶対に無茶な事はしないから。だから大丈夫だから・・・。ねっ?メリー、アウロラ、オリヴィア・・・!!!」

「うう・・・っ。そ、そんな事言われたら・・・っ!!!」

「狡いです、そんな事を言われたら・・・っ!!!」

「言うことを聞かない訳には、行かなくなってしまうでは無いか・・・!!!」

 三人は口々にそう訴えるとそれぞれ、まだ他にも何か言いたそうにしていたモノの、それでも言葉を飲み込んで、黙って笑顔で頷いた、こんな事を言われてしまったのならば、もう蒼太に無条件で従うしか無い、例え他の誰を見捨てる事になったとしても、それで地獄の底にまで、落ちる事になったとしても。

 “悔いは無い!!!”と三人はそこまで思った、それでも自分はこの人に、この唯一無二なる大切な人に自身の最愛を捧げるのだと、人知れずにそう決心しながら。

 すると。

「皆にハッキリ言うけれど・・・。決してそれを進んでやるつもりは無いけれども、それでも僕は君達が無事でいてくれるのならばいよいよとなったなら最悪、他の誰を何を犠牲にしてでも良いと思っているよ。・・・嘘じゃ無くて本気でね!!!」

「・・・・・っ!!!」

「・・・・・っ!!!」

「・・・・・っ!!!」

「例え、それで地獄に落ちる事になったとしても、悔いは無い・・・。だから君達は何が起きても絶対にここを離れないで?ほんのちょっとの間で良いから、僕の事を守って欲しい・・・。お願いしても良い・・・?」

「う、ううっ。グスッ、ヒグウゥゥッ!!!」

「ウ、ウエェェッ。グスッ、ヒグッ!!!」

「ず、狡いよ、そんな言い方・・・っ。ウ、ウゥゥッ!!!」

 三人は嬉しかったのだ、自分だけでは決して無くて、この人もまた、同じ思いを抱いていてくれたのだと、つまりはそれだけの覚悟を持って共に在ってくれていたのだと、改めてそう感じさせられた瞬間、一気に思いが溢れ出して来て。

 気が付くと、メリアリアもアウロラもオリヴィアも、蒼太にしがみ付いて泣いていた、声を殺してはいたモノの、嗚咽を漏らして泣いていたのだ、そしてそんな彼女達を、暫しの間、黙って優しく抱き締めながら。

 蒼太はポツリと呟いた、“有り難う”とそう言って。

「メリー、アウロラ、オリヴィア。皆後は頼むよ?絶対に誰もここに来させないでくれ!!!」

「ウ、ウゥゥ、グスッ。ヒッグ・・・!!!わ、解ったわ!!!」

「ウ、ウエェェッ。ヒッグ、グスウゥゥ・・・ッ!!!わ、解りました!!!」

「ウゥゥゥ、グス、ヒグ・・・ッ!!!ま、任せておけ・・・!!!」

「・・・・・っ!!!」

 “うん!!!”とそう頷いて蒼太が祈りを捧げ始めてから、既に5分は経っていた、神人化もそろそろ出来てもいい頃合であるのだが、しかし。

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

(まだだ。まだあの人の祈りは終わらない!!!それが済むまでは、誰もここを通させはしないっ!!!)

(蒼太さんが出て来るまで、ここは守り切って見せる!!!)

(そうだ、何があっても守り抜く。例え何を誰を犠牲にしたとしても!!!)

 花嫁達はそう思って頷き合うと、決意を新たに鉄壁の防御を固めていったのだった、ガイヤールまでの距離は凡そ50メートルと言った所であり、もし奴に発見されてしまったならば、10秒と経たずに襲撃されるのは目に見えていた、その為に。

 彼女達は息を殺して潜んでいたのであり、奴からのどんな挑発にも決して乗る事無く受け流していたのであるが、しかし。

「・・・・・」

(くそぅ、ミラベル共め・・・っ!!!)

 一方で。

 ガイヤールの忍耐はもはや、限界に達しようとしていた、これだけ挑発しても出て来ないと言う事は、元から本当にいなかったのか、それとも此方を警戒して隠れているかのどちらかである。

(ええい、こうなったら・・・っ!!!)

 “厄介だが”とガイヤールは思った、“レプティリアン化して一気に葬ってやろう”とそう独り言ちて、そして。

「“神々に反逆する者よ”、“盟約に従いてその身、その力を我へと与えよ!!!”」

 レベッカと同じように膨大なる憎しみと凶暴性を秘めた魔力を空中に放出すると“コオオォォォッ”、“コオオォォォッ”と独自の呼吸音を響かせながらそれを丹田へと溜めて行き、呪いの言葉を唱えると同時に一気に外へと向けて吐き出した、すると途端に。

 ガイヤールの全身が鱗と蜥蜴革とに覆われて行き、全身の骨格、筋肉等が膨れ上がって増長しては体積が2倍近く強大化して顔が爬虫類のそれとなった。

 オーラはますます、その禍々しさと分厚さとを増してはドス黒い光を放ち始めるモノの、それを目撃していた何名かの人々は驚きの余りにパニックになり、また何人かの人々はその“瘴気”に充てられてその場に倒れ伏してしまった、無理も無いだろう、ここは街中にある売り出し中の住宅地なのであり、決して人気の無い場所では無かったのである。

 そんな場所で10名近い戦闘員と乱闘になった挙げ句にそれからも更に5分以上も喚き続けていたガイヤールの姿を、人々はガラス越しに、或いはドアの隙間から最初こそ珍妙そうに覗いていたのであって、それが突然、化け物に変わった時の衝撃と言ったら無かった、何しろ隣人が魔物と化したのである、その驚きと恐怖は想像するに難くない。

「ひいいいぃぃぃぃぃっ!!!!?」

「な、なんじゃあ、アイツはっ!!!!!」

「バケモノが住んでるなんて聞いてねーやっ!!!!!」

 口々にそう言い合っては人々は我先にと逃げ出して行った、ある者は玄関から、またある者は裏口からである、車を使って逃げだそうとする者もいたモノの兎に角、住宅街は一時、騒然となってしまった、これも蒼太達にとっては僥倖となった、住民が“隠れ蓑”になってくれたからである。

 しかし。

「・・・・・」

 それが済んでしまうともはや、辺りは静寂に包まれた、強大なる“魔”の気配に覆われているそこには人の声は勿論の事、虫の羽音一つ聞こえて来ない。

「グルルルルルルル・・・ッ!!!!!ウゴオオオォォォォォッッッ!!!!!」

 ガイヤールは堪らず吠えた、この体になったからには今までとは違うとでも言いたげである彼はだから、まずは気配から探る事にして全身に神経を張り巡らせて感覚をシャープに尖らせるモノの当然、人っ子一人いないそこに人の気配など在るわけは無く、あるのは全て、ガイヤールにやられたミラベルの戦闘員達のモノだったのだ。

 ではこの間に、蒼太やメリアリア達はどうしていたのか、と言うと、そろそろ10分近くになろうと言うにも関わらず彼はまだ祈りを捧げ続けており、メリアリア達は相変わらず、その周囲で彼の事を守り続けていた、取り敢えず彼等が居る場所というのは住宅街の出入り口に当たる、曲がり角のその奥だったから、ガイヤールからは直接的には見えておらずにおり、その事もまた、蒼太達に味方していたのであった。

「・・・・・っ!!!」

 もっともガイヤールもガイヤールで“それならば”と尚も追求の手を緩めたりはしなかった、“敵の呼吸音を探れば良い”と考えた彼はだから、今度は耳に全神経を注ぎ込んでは“それ”の解析に乗り出したモノの、それというのは“能力者”や“達人”と言った存在が、精神を集中させて意識を研ぎ澄ましている時の呼吸音と言うのは独特のリズムを形成するからであり、それを辿れば必ずや、奴等の首根っこを引っ捕まえられる、その筈であったからだったのだ。

 しかし。

「ちいいぃぃぃっ!!!」

 ガイヤールはまたも憤慨した、それというのは確かに付近一帯には人は確かにいなかったモノの、この住宅街を抜けた先にはまだまだ人の往来の激しい主要交通区画(メイン・ストリート・アベニュー)があった上に、メリアリア達は息を殺して潜んでいたからそれを探り出すのははだはだ困難を極めたのである。

(くそ、こうなったら!!!)

 ガイヤールは思った、“今よりも更に悪目立ちしてしまうがこの辺り一帯を徹底的に捜索してやろう”と。

(それで奴等がいなければそれでよし。もしいたら一人残らず縊り殺してやろう!!!)

 そう考えてガイヤールが探索行動を起こそうとした、まさにその時。

 漸くにしてメリアリア達花嫁の努力と忍耐とが結実する瞬間がやって来たのである。

「・・・・・っ!!!」

「・・・・・っ!!?」

「・・・・・っ!!?」

(き、来たっ。蒼太の、あの人の神の波動・・・っ!!!)

(あ、ああっ。この暖かくて安らぎに満ちた波動は・・・っ!!!)

(な、何という神々しくて強烈な暖かさなのだっ。まるで此方を優しく包み込んで、ありとあらゆる苦しみを溶かして消して行くかのような・・・!!!)

 “有り難い”と、三人は感覚的にそう思ったがそれと同時に緊張感でいっぱいだった心が、安らぎで満ち満ちて行くのを感じていた、一方で。

 ガイヤールもまた、その波動を感知した、それと同時に驚愕もした、信じられない出来事が起こったと思った、彼等にとって絶対に忌むべき存在であると同時に避けるべき存在である、“神”が降臨したのである。

「・・・・・っ!!!!?」

(バ、バカなっ。なんだ、この凄まじいまでの光のオーラはっ。眩しくて目が開けてらんねえぞ!!!)

 ガイヤールはここに来て初めてハッキリとした狼狽を覚えた、心が恐怖で満ち満ちて顔が引き攣り、体中の血が一気に逆流するかのような怖気を覚えて戦慄する。

 しかし。

(うそだっ、うそだうそだっ。そんな筈は有り得ねぇっ!!!)

 この期に及んでまだ現実を、直視する勇気の持てなかったガイヤールはだから、一目散にその波動を感じる場所目掛けて掛け出して行くモノの、現場に着くと。

「・・・・・」

「・・・・・っ!!!」

 そこには三人の絶世の美女達に囲まれた一人の男性が立っていた、見た所日本人の様ではあるが堂々たる偉丈夫であり、白を基調とした不思議な服を着ている。

 長く伸びている黒髪を頭の両脇で結び上げ、腰には剣を佩いて此方を凄まじいまでの眼力で以て睨み付けていたのだが、それを見た瞬間に、ガイヤールは“コイツだ”と直感した、“コイツこそが自分の感じた“神”の正体そのモノであり、今ここで、何を置いても倒さなければならない相手だと認識するモノの、しかし。

 そんなガイヤールに対してなんの罪も無い親子を人質として使った事や、彼等と引き換え条件として花嫁達の命を要求するなどした怒りが心頭に達してしまっていた蒼太は相手の名前すらも聞かぬまま、その場で両脚を踏ん張っては両手の掌を正面で合わせ、精神を集中させて一気に“覚醒モード”に入るといきなり“神業”を発動させた。

「神威、“黄雷雪花”!!」

「・・・・・っ!!!!!?」

 蒼太がそう言い放ったと同時に刹那の刹那のそのまた刹那、僅か0.0000000001秒と満たない間にこの世界へと顕現された神界の巨大な大風雷、その猛烈な怒涛のエネルギーが一気にガイヤールに襲い掛かると彼の身を焼き焦がしては、全身をズタズタに切り刻んで行く。

 時間も空間も超越した高次元エネルギーである、“神力の光球”によって発生したその大嵐は容易く彼のバリアーを打ち破ってその身にダメージを与えていった、ガイヤールは“ぐわああああああああっ!!!!!!”と叫ぶと同時に“住宅街”の中心方向へと吹き飛ばされては地面に叩き付けられていたのだ。

「ああああああああっ!!!!!?ぐっはあぁぁぁっ。はあ、はあ、はあ、はあ・・・っ!!!」

(!?!?!?!?バ、バカなっ、なんだ今のはっ。何で俺様がダメージを受けていやがる、俺様は不死身の筈なんだぞっ!!!)

 何が起こったのか、と言う事に関しては、彼は全く理解が出来なかった、彼の身は確かに、障壁によって守られている筈であり、それ故自分にダメージが通る事等有り得ない、と彼は考えていたのであった、だから。

 一瞬にも満たない間に自身の身が無残にも切り裂かれているのを見て、驚愕すると同時に改めて戦慄を覚えるモノの、しかし。

「くそっ!!!」

 ガイヤールは何とか起き上がると瞑想する事で魔力を高め、それによって得たエネルギーで自身の傷を回復させた、元々が六次元の化け物であるレプティリアンには高い復元能力が備わっており、ガイヤールは精神を集中させる事でそれを更に数倍にまで高めたのであるモノの、挙げ句の果てには。

 体内で生成した、凍て付く程の猛吹雪を蒼太へと向けて吐き出しては、その極寒の冷気と弓矢の様な氷の礫(つぶて)で反撃を試みるモノの、それらは悉(ことごと)くが彼の発する光のオーラによって弾き飛ばされ、或いは消滅させられて行き、攻撃の用を為さなかった、反対に。

「神威、“王雷絶華”!!」

「・・・・・っ!!!!!?」

 蒼太がまたも両掌を併せて真言を唱え、神業を発現させると俄に天上が掻き曇り、それまでガイヤールの見た事も無いような強大なる積乱雲が出現していてその中心からは実に電圧1億ボルトを超える神界の巨大な雷がガイヤールに情け容赦無く、振り注いでいったのだった。

「・・・・・」

 今度はもう、叫び出す事も出来なかったガイヤールは気が付くと真っ黒焦げになった状態で地面に仰向けに倒れ伏していた、見ると自分を中心として周囲にはまるでクレーターか何かのような巨大な大穴が空いており、そこからは虹色に輝く不思議な色の空が顔を覗かせていたのだ。

「・・・・・っ。な、なに?」

「ここは、人間達のいる世界では無いよ」

 そう言ってまだ、自由を回復出来ないガイヤールの身元へと蒼太が歩み寄ってきた、あれだけ凄まじい術式を発動させたと言うのにも関わらず、本人は至って涼しい顔をしており呼吸一つ乱れていない。

「先程、この辺り一帯に結界を張り巡らせた。今、ここにいるのはお前と僕だけだ・・・」

 そう言うと蒼太は少し離れた距離で立ち止まってガイヤールの事をマジマジと見つめていたが、やがて眥(まなじり)を決して彼を唾棄した、“お前は本当にどうしようも無い奴なんだな”とそう言って。

 ガイヤールの波動から、彼の犯してきた罪科の全てを読み解いた蒼太はこの時、確信していた、“この者を存続させておくべきではない”と。

 だから。

「お前はここで殺す、死ぬまでの間に今まで自分が犯してきた罪の深さと業の深さを痛みと共に思い知れ!!!」

 そう言うと蒼太は再び両掌を合わせて合掌し、神威を発動させる態勢を整えた、すると。

「てめぇにそんな事を言われる筋合いはねえんだ!!!」

 ガイヤールは黒焦げになった体を何とか回復させると直ぐさま自身もレベッカと同じように、穂先に黒い雷球を纏っている“魔力の槍”を出現させては蒼太目掛けて襲い掛かって行ったのである。

 しかし。

「ち、ちくしょう・・・っ!!!」

(攻撃が、通らねぇ・・・っ!!!)

 ガイヤールがいよいよ焦るが自身の魔力は蒼太の放つ光のオーラに吸収、緩衝されて威力を失い、彼まで届かない挙げ句に攻撃が攻撃として機能しなくなっていたのだ。

「くそぅ、くそくそっ。ならこれで・・・っ!!!」

 “どうだ!!?”と彼は尚も乱舞する真空波の奔流や燃え盛る火炎等で蒼太に攻撃を試みるモノの、蒼太には一切届かずにただ、無闇矢鱈(むやみやたら)と己の魔力を消耗するだけであったのだ。

 其れ処か。

「神威。雷神・建御雷神!!!」

「ぐおっぎゃあああああぁぁぁぁぁっ!!!!!」

 蒼太がまた新たな神威を発動させると、先程のモノより遥かに巨大で強大なる雷(いかづち)が頭上で煌めいたかと思えばそれは一柱の神の姿となり、そうしてー。

 神雷の高圧エネルギーを帯びた超光速の拳の連打を僅か一秒間にも満たない間にガイヤール目掛けて数十万発以上も叩き付けるモノの、流石にそれを受けたガイヤールはだから、体が粉微塵になって粉砕され、そのままサラサラと風に舞う塵芥の様に吹き飛ばされて消えて行った。

 しかし。

 蒼太の怒りはそれだけでは留まらなかった、彼は更に追撃の神威である、“悪鬼滅砕”を発動させては、その場から霊体化して逃れようとしているガイヤール目掛けて解き放つが、これは本来であれば、滅多な事では発動させてはならないとされる、禁断の神威であった、その正体とは。

 相手の魂、そのものをこの宇宙全体から、跡形も無く消し去ってしまう代物だったのであり、これを受けたガイヤールは先程の神威である、“雷神・建御雷神”のダメージが多分に残されていた事も手伝って、断末魔の呻き声を挙げながら消滅していった。

「うっぎゃあああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーー・・・・・・・っっっ!!!!!?い、嫌だぁっ。死にたくないっ。消えたくねえよおおおぉぉぉぉぉーーー・・・・・っっっ!!!!!!!」

 それが、“ガイヤール・デュポン”だった存在が発した最後の波動となっていった、後に残されたモノはただただ何処までも、何事も無かったかのように広がり続ける虹色の空と穏やかな空気、そして。

 蒼太の側を駆け抜けて行く一陣の、爽やかな春風だった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
 蒼太君には何故ガイヤールのバリアーが効かなかったのでしょうか(ついでに言えば攻撃もですが)。

 それは蒼太君が“神人化”していたからです。

 これについて少し、御説明させていただきますが、そもそもバリアーには大きく分けて二つあります、一つ目は己の発するオーラや波動法力、または魔力等の形成する力場を利用して相手から与えられる衝撃エネルギーであったり攻撃だったりを吸収、緩衝して無力化するモノ。

 もう一つは“時空の法則”を用いて対象の周囲に“時空歪曲”や“時空断絶”を引き起こさせ、世界と隔絶させてしまうモノ(要するに“結界”を張る方法)です(ただし此方の方は確かに、威力は強力なのですが、一々術を発動させる為にそれなりの“儀式”を行わなければならずに前者に比べて即用性、即応性で劣ります)。

 この内、蒼太君のそれは前者であり、ガイヤールの使っていたのは主に後者の“時空断絶”です(ついでに言えば彼はそれを使えません、デュマに泣き付いて掛けてもらったのです)、ただし両者には同じ弱点があります、それは何かと言えば(これは特に実際に、攻撃を受けている時に顕著なのですが)効果、効能の持続時間に限界がある事、そして例え発動している最中であっても“緩衝力”や“断絶力”を上回る力で攻撃された場合は防ぎ切れない、と言うモノです。

 蒼太君の場合、“神人化”している為にその神力は絶大なるモノがあります。

 それに加えて“神”、もしくは“超神”(便宜上、そうとしか呼べない程に高次元な存在達の事ですが)の暮らす世界においては時間の在り方、空間の在り方が人間界のそれとは違っているそうなのです(あくまで聞いた話ですので、そう言う風にしか言えません、申し訳無いのですが)。

 具体的にどんな形になっているのか、と言いますと、これが例えば人間達のいる世界だと空間は平面的で恐ろしいほど広大、お互いも離れ離れに点在している上に、時間もまた、過去から現在、そして未来へと向かって一本の川の様に流れて行きます。

 ところが神界では時間は“今いる自分自身”を起点として過去、現在、未来が球体状に、一緒くたに存在しているそうなのです(空間も一緒)、つまりは空間は勿論、時間すらも全て引っくるめてごちゃ混ぜに存在している訳であって、その中でも特に“時空の中心点”とでも言うべき蒼太君はまさしく、あらゆる次元、あらゆる時空をぶち抜いて今、この瞬間にも“自分と言う名の時空連続体”、即ち“宇宙”を顕現している、或いは“し続けていられるだけの力(光)を持った“超次元生命体”、もしくは“超時空生命体”とでも言うべき存在”、と言う事になります(前にお話させていただきましたが、存在するとは周囲に影響を与える、と言う事です。そして“消滅する”とはその影響力が無くなる事を意味します、何故ならば“存在”している者は皆、悉(ことごと)くが質量を持って波動を放っており←“魂”すらも質量を持っているそうなのですが、それが周囲の時空を良きにつけ悪しきにつけ変質させます←つまりは“歪める”と言う事です。“消滅する”とはそれが完全に無くなってしまう、と言う事です)。

 そしてそんな蒼太君は、決して意図的には使えなくても、その魂の内側にあらゆる時空法則を内包し、そしてそれらを超越した存在である、と言う事が出来るのです(そうで無ければ“自分”と言う名の“時空の連続体”を作り出し、次の瞬間も次の瞬間も生き続ける事は出来ません、即ち“時空の法則”を使用して生き続ける事は出来ない、と言う事です)。

 元々、神々はこの宇宙を創造した(即ち次元も時間も空間も創造した)“絶対的能力”(根源たる霊的生命体)の分身として創造されて行きました、そして人間と言うモノは、更にその神々の“分け御霊”をいただいて創造されたモノですのでその身に、魂の中にあらゆる“宇宙法則”を内包している存在である、と言う事が出来ます(繰り返しになりますが、だからこそ、その瞬間、その瞬間毎に次の現実を創造して無限の時を生きて行く事が出来るのです←つまりは無意識の内に時空法則を使い熟(こな)している、と言う事でありそう言う意味では即ち、“時空を支配している存在”と言っても良いでしょう)。

 特に蒼太君の場合は“神”となっておりますので、余計にそれが強くでるのです(より宇宙の根源に近いからです)、即ちだからこそ、人為的かつ作為的な(自分達よりも低次元なレベルで張られている)“時空歪曲”や“時空断絶”を突破する事が出来るのです(彼の方が“時空に及ぼす影響力”が強いからです)。

 またもう一つ、これには波動の高さ、強さも関わって来ます。

 基本的にはレプティリアンの波動と言うのは5次元~6次元です(これに対して蒼太君の波動は7次元~8次元、その表層まで届きます←神や悪魔と言った存在の住んでいる波動領域に付きましては、以前に説明させていただいております)、つまりはそれだけ宇宙の根源に近い=“時空の支配力”や“時空に対する波動力”と言うモノが強いのです(だから彼等の技は通用しません)、反対に蒼太君の技は120%相手に効きます。

 そしてもう一つ、なのですがメリアリアちゃん達の度々放っている“奇跡の力”と言うモノも基本的にはこの7次元~8次元に準拠しています(物語を読んで来て下さった方々にはお解りいただけるかと思われますが、彼女達もまた、“神の波動力”と言うモノをその身に宿しているのです)、ちなみに次元のレベルが上がれば上がる分だけ、現実世界において及ぼされる影響力(この場合はそのものズバリ、言ってしまいますと“現実を書き換えてしまう力”の事です、そもそも論として“時空への影響力”とは“現実を作り出す能力”、もしくは“現実を作り変えてしまう能力”と言うモノに他なりません)と言うモノは絶大なモノになって行く、とされており、そしてそれは徹底的に作用します。

 メリアリアちゃん達はその力を使って蒼太君を助けたのです(カインとの戦いの時も、また“子供達”との戦いの時も、瀕死に陥ってしまっている蒼太君を完全に回復させました、またその強靱なる波動力、即ち“時空への影響力”はメリアリアちゃんの意志に従ってカインのバリアーを打ち砕いたのです←要するにメイルの施した時空防御術式よりも、メリアリアちゃんの思いの方が勝ったのですね、彼女の方がより深い領域にまで意識をクリアにして集中し、アクセスしてその力を使う事が出来たのです、そしてそれはとりもなおさずそれだけ蒼太君の事を大事に、必死に、真剣に思い続けていた、と言う事なのです。だからこそ表層意識の雑念が消えて本当にピュアな自分自身、即ち“神の部分”へとアクセスする事が出来た、と言う訳です)、そう言う事で御座います。
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