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ガリア帝国編
レベッカ返り討ち作戦
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夜の帳が降りる頃。
ルテティア第3環状区画の中にある“東地区”そこに広がっている、自然との調和の取れた閑静な住宅街の一角に、21、2名からなるセイレーンの隊員達の姿があった。
中には蒼太、メリアリア、アウロラを始めとして親衛隊の面々や、他にもアンリ等の主力メンバーの姿がチラホラと混ざっていてその内の1つの邸宅の前である者は屯(たむろ)したり、またある者は忙しなく動き回ったりしている。
「いたか!?」
「いいや、こっちにもいないぞ!!」
「建物の中には、人影は見当たりませんでした!!」
「また逃げられたか・・・!!」
“今回で5度目だな”と、仲間達と無線で語らいながらも蒼太が呻き声を漏らすが彼等は今現在、“レベッカ返り討ち作戦”とでも言うべき計画を実行している真っ最中であり、それに基づいて、セイレーンを挙げて今までに判明している奴らのアジトに強襲を掛けては踏み込み、一個ずつ虱潰しに捜索してはその足取りを追って行く、と言う地道な作業を全員で繰り返していたのであった。
ちなみに。
蒼太達がレベッカのアジトと思しき場所に踏み込むのは、これで5回目の事でありその度に“骨折り損の草臥れ儲け”を、強いられていたのであるモノの、しかし。
「だけど決して無駄骨じゃないよ」
蒼太がメリアリア以下、女王位達にそう告げるモノの現にアジトに踏み込む度に、レベッカの残留思念が色濃く残るようになって来ており、今回に至っては生活臭がまる出しの状態であり、余程慌てて逃亡した事が見て取れた。
「残っている物は全て、“分析班”に回して調査させろ。残留思念探索(サイコメトリー)と波動追跡(エネルギートレーサー)に掛けさせるんだ。奴らの足取りに繋がるモノが発見出来るかも知れないからな・・・」
「段々と、なり振り構ってはいられなくなって来ているもんね・・・」
「今回も余程慌てて逃げたのでしょうね、コーヒー等もまだ暖かいままですし、ポットもスイッチが入れっ放しになっていましたからね・・・」
オリヴィアとメリアリアとアウロラの話を後ろに聞きながらも、蒼太は油断無くレベッカの残留思念から彼女がこのアジトでどこに居たのかを探り、そこに残されていた物品をサイコメトリーに掛けて彼女を追い続けていた、エカテリーナ、即ちレベッカが逃走する前に思い浮かべた場所、それが即ち次のアジトになるに決まっているのであり、ここで追撃の手を緩める訳には断じてならなかった為である。
「手の空いた者は直ちに付近の警戒に当たれ、ただし4人一組になってだぞ?どんな時でも隊列を崩さないように。何かあったらすぐ報告しろ!!」
“氷炎の大騎士”の掛け声一下、“親衛隊”の面々が次々と出立して行くモノの正直、彼女達が居てくれたお陰でここの所は助かりっ放しであった、何しろある程度の“人海戦術”を余儀なくされている蒼太達としては、それなりに実力があって訓練も行き届いている彼女達に任せておけば、幹部相手の捕縛は無理でも追跡位は難なく熟す事が出来ていた為であり、それどころか彼女達は既に3回ほども、レベッカの手下達を確保連行しているのである、今回もやってくれる可能性が高かった。
「このアジトは暫くはミラベル、セイレーンの共同管理下に置かれる、よって余人は立ち入りを禁止する!!!」
「必要最低限度の人員と、連絡機材だけ残して、私達も追撃に加わりましょう!!!」
「この場合、勢いに乗っている方が優位ですからね。彼方はさぞ、大変でしょうけれども・・・」
「蒼太・・・!!」
「・・・敵は南南東に向かっている。小川の側の森に、もう一つの隠れ家があるみたいだ」
“エカテリーナはどこにいる!?”とのオリヴィアからの問い掛けに、蒼太は瞑想したまま答えるモノの、彼の残留思念探索(サイコメトリー)と波動追跡(エネルギートレーサー)によると、ここからの位置は直線距離で4キロほど、レベッカの頭の中を読んでいた彼の精神に、そう言う感覚が込み上げて来た。
無論、“人間形態”での“エネルギートレース”なので、何処まで当たっているのかは解らないモノの、しかし行ってみる価値は充分にありそうだった、何しろ他に思い当たる場所も無いのである、迷っている暇は無いと言えた。
「今夜中にケリを着けるぞ?何としてもエカテリーナを確保、もしくは“制圧”してハウシェプスト協会の野望を挫くのだ。無論、我々への攻勢もな!!!」
オリヴィアの指揮の下、蒼太達は再びの、レベッカ追討に乗り出すが、事の起こりは1週間前にまで遡る、例の“女王会議(クイーンズ・カウンシル)”において、今後暫くの間はプライベートを含めて4人一組で行動する事、敵の来襲を待つのでは無く、此方から積極的に討って出て行って、相手に付け込む隙を与えない事、等が提議され、それらが全会一致の賛成を以て了承された。
蒼太達はそれらに基づいてまずは、今までの尋問や取り調べ等の過程で判明していたレベッカの、即ちエカテリーナのアジトと思しき場所に当たりを付けて、手当たり次第にガサ入れを行って行った、と言う訳である。
その裏には、なるべく早期にエカテリーナを捕縛して、例の“第三総合病院事件”に見られるような被害者達の救済を図りたいとする、彼等の思惑も働いてはいたモノの、もう一つの理由があった。
それは被害者が一般人である、と言う訳柄に尽きるのであるモノの、これが例えば“霊能者”だったり“魔法使い”だったり、はたまた蒼太達のような厳しい修業をキチンと積んだ人間達であるならば、それほど問題では無かったのである。
それというのは魔法や呪術と言った、“超自然的エネルギー”を用いる事の出来る存在と言うのはだから、(本人にその自覚が無かったとしても)生まれつき高い霊力が備わっていたり、神々によって祝福され、選ばれた人々である可能性が高いだけあって(要するに“認められている存在”なだけはあって)、その精神も高尚で強靱であり、一本筋が通っている場合が殆どである上に、それに加えて“法術”を発動させたりして普段から“霊力”やら“波動エネルギー”に慣れ親しんでいる為に妖魔の発する魔力や魔術に対して高い抵抗力があるだけで無く、上位の者になればなる程そう言ったまやかしを一瞬で見破った挙げ句に一気に弾き返してしまえる強さ、凄まじさとでも言うべきモノを持っているからに他ならなかったからであるモノの、これが一般人であると中々に、そう言う訳には行かなくなる。
彼等にはそう言った強さは殆どの場合、何も無く、それどころか知らぬ間に寄生されては栄養分にされてしまったり、初歩的な呪いやまやかしの魔力でてんてこ舞いさせられてしまうケースが圧倒的に多い。
今回の“第三総合病院事件”は彼等の魔力によるモノでは無くて、あくまで古の賢者の残したマジックアイテムが使用されたケースであったがしかし、いずれにしても一般人に対して呪(まじな)いが発動されてしまった事には変わりは無く、それ故に蒼太達はこの事件の解決に躍起になっていたのであった。
その結果として、1週間の間に5回出撃し、今回の事となった訳だが遂にこの5回目の出撃で、レベッカをあと一歩の所まで追い詰めた訳であり、恐らく今夜中に片が付くであろう事は、誰の目にも明らかであったのである。
しかし。
「南南東に4キロか、遠くは無いが近くも無い。なんとも微妙な距離だな・・・」
「あくまでも、自分の感覚ですからね。ただ僕が“エネルギートレーサー”を重ね掛けして“サイコメトリー”と組み合わせた所、そう出たんです・・・」
「蒼太は、凄いのよ?オリヴィア。意識を集中さえすれば“未来視”だって使えるし、“失せ物捜し”だって出来るんだから!!・・・それに」
「そうです。指示だって何も間違った事は言わないですし、いつも的確な事を意見して、皆を導いてくれていますし。・・・それに」
“それに”とメリアリアとアウロラは同時に思った、“もうずっと前から、自分の事を何度も助けてくれているのだから”と。
だから。
その思いを胸に秘めつつ、2人はキッとオリヴィアを睨み付けた、まるで“蒼太を疑う事は許さない”と言わんばかりに、すると。
「いや、なにね?疑っている訳では無いんだよ」
蒼太の言葉と2人の態度にオリヴィアがフフッと笑ってそう答えた。
「君の事は、蒼太の事は私だって信用している、ずっと昔からな。ただ器用な事が出来るようになったな、と思ってな。些か驚いていた所だ」
「・・・・・っ。はあ、まあ」
「驚いた、と言えば」
とオリヴィアが再び続けた、“回復魔法を熟せるようになったそうじゃ無いか”とそう言って。
「メリアリアが言っていたぞ?“自分が小さな女の子になっていた時に、指を怪我してしまったらそれをアッサリ治してくれた”とな。感心したよ、先の“カインの子供達”との一件と言い、今更ながらだが随分と急激なパワーアップを成し遂げたのだな!!!」
「・・・それを言うならオリヴィアも随分と強くなりましたよ、昔見た時よりも遥かに鋭さと俊敏さを感じます」
「私の場合は、今が最盛期かも知れん・・・」
と、オリヴィアがちょっぴり悲しそうに微笑んだ。
「後はもう、落ちて行くだけだよ。でもね、蒼太。だからこそ私は今を精一杯に生きたいのだよ、命を燃やしていきたいのだ、一片の悔いも無いように!!」
「・・・・・」
「オリヴィア・・・」
「オリヴィアさん・・・」
「らしくない話をしてしまったな。急ごうか、老人にされてしまった人々を、早く元に戻してあげないといけないからな!!!」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
その言葉に蒼太とメリアリアとアウロラは頷き合うと、蒼太を先頭にした4人一組の班を作ってはエカテリーナの身柄を求めて南南東へと急行していった、車で行くのは憚られた、何故ならば恐らくの所、レベッカは移動に車を使っていないからであり、それと察知されたなら却って行方を眩まされる可能性があったからである。
ただし。
「第二、第三班は車を使え!!場所はここから南南東に4キロの地点にあると推測される、敵のアジトだ。ここに先回りして奴らの行動に制限を掛けるんだ。それからこの周辺の駅やバス停等にも張り込みを掛けろ、犯人(ホシ)が公共機関を利用するとは思えないが一応、手は打っておく、もし必要ならば“ミラベル”にも増援を要請して構わん!!!」
「そ、それは良いんですけれども・・・」
「オリヴィアさん達は、一体どうするつもりなのです?」
「私達か?私達は・・・」
“走る!!”とオリヴィアはそう告げた、彼女達は身体を鍛えているから、その程度の距離ならば走破するのは造作も無いし、それに何よりかにより。
レベッカを追跡しなければならないモノの、彼女が自動車を持っている訳では無いし、また自身が手配されている身でありながら、公共機関を利用する可能性はかなり低いと言わざるを得ない、となると彼女もまた、徒歩か走行かのどちらかでしかない。
「我々は走りながらエカテリーナの後を追う。君達は先回りして犯人(ホシ)の行動に制限を掛けてくれ、これ以上、彼方此方に移動されてはかなわんからな、それを防ぐ為の処置だ」
“重ねて言うが”とオリヴィアは語気をやや強めて言った、“間違っても奴に手を出す事はするな?”とそう告げて。
「我々が行くまで待つんだ、あくまでも足止めさえしてくれたならばそれで良い!!」
「了解しました!!」
オリヴィアの号令の下でそれぞれが与えられた役割を的確に熟して行く。
隊員達の目には迷いは無い、彼等は反対に自信に満ち溢れていた、そしてだからこそ。
オリヴィアは心の中で祈っていたのである、“くれぐれも自重してくれよ”とそう叫んで。
「・・・・・」
(今夜中にケリが着く。いいや、着けてみせる!!!)
そう自分自身に言い含めると。
オリヴィアは蒼太に目配せをした、“行こう”と言う合図である、それを見た蒼太は頷くと、更にメリアリア、アウロラにも目配せをして頷き合い、そして次の瞬間には南南東を目指して、常人とは思えぬ速さで走り出していたのであるが、一方のエカテリーナはその時何をしていたのか、と言うと。
彼女は正直に言ってイラついていた、自分の思い通りに事が進まない事にもそうだが何よりかにより蒼太を始めとする、セイレーンの活動が目障りとなって来ていたのである。
しかし。
逃げない訳には行かなかった、奴らと真面に戦っても勝てるかどうかは解らないのであり、もし自分が死ぬような事にでもなれば、彼女の場合はもはや、輪廻転生の輪の中に戻る事等出来はしない。
悪魔に魂を捧げてしまった彼女は今ではもう、仮初めの意識と命を与えられてこの世に存在しているに過ぎない訳であり、宇宙からはだから、いつ“抹殺”されてもおかしくない状況になっている、と言えたのだ。
(・・・・・っ。ち、ちくしょうっ。ちくしょう、ちくしょうっ!!!)
泣き出したい気持ちを堪えて何処までもアジトへ向けて直走りに走るモノの、本来であればこんな筈では決して無かった、状況が整ってさえいたのならば、自分の方が手下どもを引き連れてセラフィムに乗り込み、蒼太以下、主だった者達を1人ずつ抹殺して行く手筈であったがしかし、蓋を開けて見ればその作戦は蒼太によってとっくのとうに見抜かれており、しかも先手を打たれてしまったのである。
デュマは言った、“組織に痛みを与える事は許さぬ”と。
そしてその結果として彼女は隠れ家を5つも失った挙げ句に、同志達にも多数の捕縛者を出して後退に次ぐ後退を余儀なくされていたのであったが、逃走を続けながらもエカテリーナはデュマの言った言葉を頭の中で反芻していた、即ち。
“組織に傷を与える事は許さぬ”と、それであったがそんなデュマの言動は一層、エカテリーナを追い詰めて行った、このままでは最早、ハウシェプスト協会の中にすらも己の居場所を見出せなくなる危険性のあった彼女はだから、途中で考え方を変える事にしたのである。
「・・・・・」
(超長距離精密射撃だ)
“それしかない”と思案を重ねて行くモノの、折角逃げているのであるから、ただアジトからアジトへと、移動するだけではつまらない。
むしろこれはチャンスでは無いか、何故ならば向こうは此方の正確な位置など解っていない、無論、此方とて向こうの位置など知る由も無いモノの、それだって方々が無いわけでは決して無かった。
(探知型の魔法陣を最大で発動すれば・・・。2キロか3キロは探知が効くようになる筈だ、そうすれば最早、こっちのモノだ・・・!!!)
ほくそ笑むエカテリーナであったがよくよく考えてみれば、蒼太達は自分を追ってきている筈であり、つまりは今ならば直線上で捕らえやすい状況になっている、と言えたのである、これを活かさない手は無い。
(とすると・・・。後は見晴らしが良い場所を見つけ出してそこに腰を据えるのが確実か・・・っ!!)
“ちいぃっ!!”とエカテリーナは臍をかんだ、正直に言って“しまった”と思った、こんな事なら逆にルテティア中心部にある“モンマルトル”か“モンパルナス”に向かうべきであったのであり、そこからならいくらでも、長距離精密射撃が可能であった、と言うのにも関わらず、自分はなんてバカだったんだ、と今更になって思い知る。
(ええい、構うか!!このまま行けばやがて小高い岡の上にでる、その時が勝負だ!!)
すっかりとやる気を取り戻したエカテリーナは、街中を疾走しつつも魔力を練り上げ、それを槍状にして担ぎ上げると同時に岡の頂上まで来た瞬間に今度は意識を集中させて、蒼太達の波動を感知しようと試みる。
が。
「・・・・・っ!!」
(ちくしょうっ!!)
と次の瞬間には地団駄踏んで悔しがる結末となった、彼等はどうやら“意識阻害魔法”を用いている様子であり、彼女の探索が効かなくなってしまっていたのだ。
(蒼太のやつ!!相変わらずの用心深さだな、こうなったら“探索魔法陣”を発動させて奴らの居場所を探る他無い・・・!!)
そう思い立つとエカテリーナは早速にして自身の魔力を地に這わせ、術式を作り出すモノの、仮にそうしたところで“意識阻害魔法”を使用している者達を、正確に捉える事は困難である。
何故ならば自身の精神波動を攪乱されて防御され、相手に伝わらなくなってしまっている(即ち、その正体を掴むことが出来なくなってしまっている)からであるモノのしかし、エカテリーナはある秘策があった、それというのは。
特別に何と言う事は無い、“探索魔法陣内部”において先に自分達が脱出したアジトの方角から、自分の居場所へと向けて一直線に向かって来ている連中を探し出し、それを狙撃してやれば良いだけの事だったのである。
「・・・・・っ!!!」
(早く、来るが良いよ蒼太っ。目に物見せてやるからっ!!!)
暴虐なる闘志を抑える事もせずに剥き出しのまま、エカテリーナは醜悪なる笑みを浮かべつつも“その時”を待った、するとー。
「・・・・・っ!!?」
“掛かったな!!?”とレベッカが判断しては戦闘態勢に入るモノの、凡そ2キロ程後方から真っ直ぐ自分へと向けて疾走して来る“気配”が4つ。
正体を特定できないのは魔力と意識とが攪乱されているからであろうモノの、地面を蹴る足音の確かさ、乱れの無い呼吸、自信に満ち溢れたリズムと体幹、そのどれを取っても一般人のそれとは違っていた、間違いは無い、コイツらが蒼太達だ。
「・・・・・っ!!!」
(先ずは挨拶代わりだっ。一発食らえぃっ、蒼太!!!)
そう思った次の瞬間には。
レベッカは魔力で生み出した磁場の反発力を利用して、呪いで作り出したエネルギーの槍を蒼太目掛けて投擲していた。
ーーーーーーーーーーーーーーー
ちょっと長くなりそうなので一旦、ここで区切ります(次回か、その次の回でレベッカとは決着を着けさせます)。
早く蒼太君を“超神化”させたいです、“超神アマテラス”とか“超神スサノオ”とか出してみたい。
あと4人一組で行動していた時の事は、後日纏めて発表させていただきます(これもこれで大切な事なので←ただし今は物語を先に進める事と、レベッカを撃滅する事を優先させていただきます事を悪しからず御了承下さいませ)。
敬具。
ハイパーキャノン。
ルテティア第3環状区画の中にある“東地区”そこに広がっている、自然との調和の取れた閑静な住宅街の一角に、21、2名からなるセイレーンの隊員達の姿があった。
中には蒼太、メリアリア、アウロラを始めとして親衛隊の面々や、他にもアンリ等の主力メンバーの姿がチラホラと混ざっていてその内の1つの邸宅の前である者は屯(たむろ)したり、またある者は忙しなく動き回ったりしている。
「いたか!?」
「いいや、こっちにもいないぞ!!」
「建物の中には、人影は見当たりませんでした!!」
「また逃げられたか・・・!!」
“今回で5度目だな”と、仲間達と無線で語らいながらも蒼太が呻き声を漏らすが彼等は今現在、“レベッカ返り討ち作戦”とでも言うべき計画を実行している真っ最中であり、それに基づいて、セイレーンを挙げて今までに判明している奴らのアジトに強襲を掛けては踏み込み、一個ずつ虱潰しに捜索してはその足取りを追って行く、と言う地道な作業を全員で繰り返していたのであった。
ちなみに。
蒼太達がレベッカのアジトと思しき場所に踏み込むのは、これで5回目の事でありその度に“骨折り損の草臥れ儲け”を、強いられていたのであるモノの、しかし。
「だけど決して無駄骨じゃないよ」
蒼太がメリアリア以下、女王位達にそう告げるモノの現にアジトに踏み込む度に、レベッカの残留思念が色濃く残るようになって来ており、今回に至っては生活臭がまる出しの状態であり、余程慌てて逃亡した事が見て取れた。
「残っている物は全て、“分析班”に回して調査させろ。残留思念探索(サイコメトリー)と波動追跡(エネルギートレーサー)に掛けさせるんだ。奴らの足取りに繋がるモノが発見出来るかも知れないからな・・・」
「段々と、なり振り構ってはいられなくなって来ているもんね・・・」
「今回も余程慌てて逃げたのでしょうね、コーヒー等もまだ暖かいままですし、ポットもスイッチが入れっ放しになっていましたからね・・・」
オリヴィアとメリアリアとアウロラの話を後ろに聞きながらも、蒼太は油断無くレベッカの残留思念から彼女がこのアジトでどこに居たのかを探り、そこに残されていた物品をサイコメトリーに掛けて彼女を追い続けていた、エカテリーナ、即ちレベッカが逃走する前に思い浮かべた場所、それが即ち次のアジトになるに決まっているのであり、ここで追撃の手を緩める訳には断じてならなかった為である。
「手の空いた者は直ちに付近の警戒に当たれ、ただし4人一組になってだぞ?どんな時でも隊列を崩さないように。何かあったらすぐ報告しろ!!」
“氷炎の大騎士”の掛け声一下、“親衛隊”の面々が次々と出立して行くモノの正直、彼女達が居てくれたお陰でここの所は助かりっ放しであった、何しろある程度の“人海戦術”を余儀なくされている蒼太達としては、それなりに実力があって訓練も行き届いている彼女達に任せておけば、幹部相手の捕縛は無理でも追跡位は難なく熟す事が出来ていた為であり、それどころか彼女達は既に3回ほども、レベッカの手下達を確保連行しているのである、今回もやってくれる可能性が高かった。
「このアジトは暫くはミラベル、セイレーンの共同管理下に置かれる、よって余人は立ち入りを禁止する!!!」
「必要最低限度の人員と、連絡機材だけ残して、私達も追撃に加わりましょう!!!」
「この場合、勢いに乗っている方が優位ですからね。彼方はさぞ、大変でしょうけれども・・・」
「蒼太・・・!!」
「・・・敵は南南東に向かっている。小川の側の森に、もう一つの隠れ家があるみたいだ」
“エカテリーナはどこにいる!?”とのオリヴィアからの問い掛けに、蒼太は瞑想したまま答えるモノの、彼の残留思念探索(サイコメトリー)と波動追跡(エネルギートレーサー)によると、ここからの位置は直線距離で4キロほど、レベッカの頭の中を読んでいた彼の精神に、そう言う感覚が込み上げて来た。
無論、“人間形態”での“エネルギートレース”なので、何処まで当たっているのかは解らないモノの、しかし行ってみる価値は充分にありそうだった、何しろ他に思い当たる場所も無いのである、迷っている暇は無いと言えた。
「今夜中にケリを着けるぞ?何としてもエカテリーナを確保、もしくは“制圧”してハウシェプスト協会の野望を挫くのだ。無論、我々への攻勢もな!!!」
オリヴィアの指揮の下、蒼太達は再びの、レベッカ追討に乗り出すが、事の起こりは1週間前にまで遡る、例の“女王会議(クイーンズ・カウンシル)”において、今後暫くの間はプライベートを含めて4人一組で行動する事、敵の来襲を待つのでは無く、此方から積極的に討って出て行って、相手に付け込む隙を与えない事、等が提議され、それらが全会一致の賛成を以て了承された。
蒼太達はそれらに基づいてまずは、今までの尋問や取り調べ等の過程で判明していたレベッカの、即ちエカテリーナのアジトと思しき場所に当たりを付けて、手当たり次第にガサ入れを行って行った、と言う訳である。
その裏には、なるべく早期にエカテリーナを捕縛して、例の“第三総合病院事件”に見られるような被害者達の救済を図りたいとする、彼等の思惑も働いてはいたモノの、もう一つの理由があった。
それは被害者が一般人である、と言う訳柄に尽きるのであるモノの、これが例えば“霊能者”だったり“魔法使い”だったり、はたまた蒼太達のような厳しい修業をキチンと積んだ人間達であるならば、それほど問題では無かったのである。
それというのは魔法や呪術と言った、“超自然的エネルギー”を用いる事の出来る存在と言うのはだから、(本人にその自覚が無かったとしても)生まれつき高い霊力が備わっていたり、神々によって祝福され、選ばれた人々である可能性が高いだけあって(要するに“認められている存在”なだけはあって)、その精神も高尚で強靱であり、一本筋が通っている場合が殆どである上に、それに加えて“法術”を発動させたりして普段から“霊力”やら“波動エネルギー”に慣れ親しんでいる為に妖魔の発する魔力や魔術に対して高い抵抗力があるだけで無く、上位の者になればなる程そう言ったまやかしを一瞬で見破った挙げ句に一気に弾き返してしまえる強さ、凄まじさとでも言うべきモノを持っているからに他ならなかったからであるモノの、これが一般人であると中々に、そう言う訳には行かなくなる。
彼等にはそう言った強さは殆どの場合、何も無く、それどころか知らぬ間に寄生されては栄養分にされてしまったり、初歩的な呪いやまやかしの魔力でてんてこ舞いさせられてしまうケースが圧倒的に多い。
今回の“第三総合病院事件”は彼等の魔力によるモノでは無くて、あくまで古の賢者の残したマジックアイテムが使用されたケースであったがしかし、いずれにしても一般人に対して呪(まじな)いが発動されてしまった事には変わりは無く、それ故に蒼太達はこの事件の解決に躍起になっていたのであった。
その結果として、1週間の間に5回出撃し、今回の事となった訳だが遂にこの5回目の出撃で、レベッカをあと一歩の所まで追い詰めた訳であり、恐らく今夜中に片が付くであろう事は、誰の目にも明らかであったのである。
しかし。
「南南東に4キロか、遠くは無いが近くも無い。なんとも微妙な距離だな・・・」
「あくまでも、自分の感覚ですからね。ただ僕が“エネルギートレーサー”を重ね掛けして“サイコメトリー”と組み合わせた所、そう出たんです・・・」
「蒼太は、凄いのよ?オリヴィア。意識を集中さえすれば“未来視”だって使えるし、“失せ物捜し”だって出来るんだから!!・・・それに」
「そうです。指示だって何も間違った事は言わないですし、いつも的確な事を意見して、皆を導いてくれていますし。・・・それに」
“それに”とメリアリアとアウロラは同時に思った、“もうずっと前から、自分の事を何度も助けてくれているのだから”と。
だから。
その思いを胸に秘めつつ、2人はキッとオリヴィアを睨み付けた、まるで“蒼太を疑う事は許さない”と言わんばかりに、すると。
「いや、なにね?疑っている訳では無いんだよ」
蒼太の言葉と2人の態度にオリヴィアがフフッと笑ってそう答えた。
「君の事は、蒼太の事は私だって信用している、ずっと昔からな。ただ器用な事が出来るようになったな、と思ってな。些か驚いていた所だ」
「・・・・・っ。はあ、まあ」
「驚いた、と言えば」
とオリヴィアが再び続けた、“回復魔法を熟せるようになったそうじゃ無いか”とそう言って。
「メリアリアが言っていたぞ?“自分が小さな女の子になっていた時に、指を怪我してしまったらそれをアッサリ治してくれた”とな。感心したよ、先の“カインの子供達”との一件と言い、今更ながらだが随分と急激なパワーアップを成し遂げたのだな!!!」
「・・・それを言うならオリヴィアも随分と強くなりましたよ、昔見た時よりも遥かに鋭さと俊敏さを感じます」
「私の場合は、今が最盛期かも知れん・・・」
と、オリヴィアがちょっぴり悲しそうに微笑んだ。
「後はもう、落ちて行くだけだよ。でもね、蒼太。だからこそ私は今を精一杯に生きたいのだよ、命を燃やしていきたいのだ、一片の悔いも無いように!!」
「・・・・・」
「オリヴィア・・・」
「オリヴィアさん・・・」
「らしくない話をしてしまったな。急ごうか、老人にされてしまった人々を、早く元に戻してあげないといけないからな!!!」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
その言葉に蒼太とメリアリアとアウロラは頷き合うと、蒼太を先頭にした4人一組の班を作ってはエカテリーナの身柄を求めて南南東へと急行していった、車で行くのは憚られた、何故ならば恐らくの所、レベッカは移動に車を使っていないからであり、それと察知されたなら却って行方を眩まされる可能性があったからである。
ただし。
「第二、第三班は車を使え!!場所はここから南南東に4キロの地点にあると推測される、敵のアジトだ。ここに先回りして奴らの行動に制限を掛けるんだ。それからこの周辺の駅やバス停等にも張り込みを掛けろ、犯人(ホシ)が公共機関を利用するとは思えないが一応、手は打っておく、もし必要ならば“ミラベル”にも増援を要請して構わん!!!」
「そ、それは良いんですけれども・・・」
「オリヴィアさん達は、一体どうするつもりなのです?」
「私達か?私達は・・・」
“走る!!”とオリヴィアはそう告げた、彼女達は身体を鍛えているから、その程度の距離ならば走破するのは造作も無いし、それに何よりかにより。
レベッカを追跡しなければならないモノの、彼女が自動車を持っている訳では無いし、また自身が手配されている身でありながら、公共機関を利用する可能性はかなり低いと言わざるを得ない、となると彼女もまた、徒歩か走行かのどちらかでしかない。
「我々は走りながらエカテリーナの後を追う。君達は先回りして犯人(ホシ)の行動に制限を掛けてくれ、これ以上、彼方此方に移動されてはかなわんからな、それを防ぐ為の処置だ」
“重ねて言うが”とオリヴィアは語気をやや強めて言った、“間違っても奴に手を出す事はするな?”とそう告げて。
「我々が行くまで待つんだ、あくまでも足止めさえしてくれたならばそれで良い!!」
「了解しました!!」
オリヴィアの号令の下でそれぞれが与えられた役割を的確に熟して行く。
隊員達の目には迷いは無い、彼等は反対に自信に満ち溢れていた、そしてだからこそ。
オリヴィアは心の中で祈っていたのである、“くれぐれも自重してくれよ”とそう叫んで。
「・・・・・」
(今夜中にケリが着く。いいや、着けてみせる!!!)
そう自分自身に言い含めると。
オリヴィアは蒼太に目配せをした、“行こう”と言う合図である、それを見た蒼太は頷くと、更にメリアリア、アウロラにも目配せをして頷き合い、そして次の瞬間には南南東を目指して、常人とは思えぬ速さで走り出していたのであるが、一方のエカテリーナはその時何をしていたのか、と言うと。
彼女は正直に言ってイラついていた、自分の思い通りに事が進まない事にもそうだが何よりかにより蒼太を始めとする、セイレーンの活動が目障りとなって来ていたのである。
しかし。
逃げない訳には行かなかった、奴らと真面に戦っても勝てるかどうかは解らないのであり、もし自分が死ぬような事にでもなれば、彼女の場合はもはや、輪廻転生の輪の中に戻る事等出来はしない。
悪魔に魂を捧げてしまった彼女は今ではもう、仮初めの意識と命を与えられてこの世に存在しているに過ぎない訳であり、宇宙からはだから、いつ“抹殺”されてもおかしくない状況になっている、と言えたのだ。
(・・・・・っ。ち、ちくしょうっ。ちくしょう、ちくしょうっ!!!)
泣き出したい気持ちを堪えて何処までもアジトへ向けて直走りに走るモノの、本来であればこんな筈では決して無かった、状況が整ってさえいたのならば、自分の方が手下どもを引き連れてセラフィムに乗り込み、蒼太以下、主だった者達を1人ずつ抹殺して行く手筈であったがしかし、蓋を開けて見ればその作戦は蒼太によってとっくのとうに見抜かれており、しかも先手を打たれてしまったのである。
デュマは言った、“組織に痛みを与える事は許さぬ”と。
そしてその結果として彼女は隠れ家を5つも失った挙げ句に、同志達にも多数の捕縛者を出して後退に次ぐ後退を余儀なくされていたのであったが、逃走を続けながらもエカテリーナはデュマの言った言葉を頭の中で反芻していた、即ち。
“組織に傷を与える事は許さぬ”と、それであったがそんなデュマの言動は一層、エカテリーナを追い詰めて行った、このままでは最早、ハウシェプスト協会の中にすらも己の居場所を見出せなくなる危険性のあった彼女はだから、途中で考え方を変える事にしたのである。
「・・・・・」
(超長距離精密射撃だ)
“それしかない”と思案を重ねて行くモノの、折角逃げているのであるから、ただアジトからアジトへと、移動するだけではつまらない。
むしろこれはチャンスでは無いか、何故ならば向こうは此方の正確な位置など解っていない、無論、此方とて向こうの位置など知る由も無いモノの、それだって方々が無いわけでは決して無かった。
(探知型の魔法陣を最大で発動すれば・・・。2キロか3キロは探知が効くようになる筈だ、そうすれば最早、こっちのモノだ・・・!!!)
ほくそ笑むエカテリーナであったがよくよく考えてみれば、蒼太達は自分を追ってきている筈であり、つまりは今ならば直線上で捕らえやすい状況になっている、と言えたのである、これを活かさない手は無い。
(とすると・・・。後は見晴らしが良い場所を見つけ出してそこに腰を据えるのが確実か・・・っ!!)
“ちいぃっ!!”とエカテリーナは臍をかんだ、正直に言って“しまった”と思った、こんな事なら逆にルテティア中心部にある“モンマルトル”か“モンパルナス”に向かうべきであったのであり、そこからならいくらでも、長距離精密射撃が可能であった、と言うのにも関わらず、自分はなんてバカだったんだ、と今更になって思い知る。
(ええい、構うか!!このまま行けばやがて小高い岡の上にでる、その時が勝負だ!!)
すっかりとやる気を取り戻したエカテリーナは、街中を疾走しつつも魔力を練り上げ、それを槍状にして担ぎ上げると同時に岡の頂上まで来た瞬間に今度は意識を集中させて、蒼太達の波動を感知しようと試みる。
が。
「・・・・・っ!!」
(ちくしょうっ!!)
と次の瞬間には地団駄踏んで悔しがる結末となった、彼等はどうやら“意識阻害魔法”を用いている様子であり、彼女の探索が効かなくなってしまっていたのだ。
(蒼太のやつ!!相変わらずの用心深さだな、こうなったら“探索魔法陣”を発動させて奴らの居場所を探る他無い・・・!!)
そう思い立つとエカテリーナは早速にして自身の魔力を地に這わせ、術式を作り出すモノの、仮にそうしたところで“意識阻害魔法”を使用している者達を、正確に捉える事は困難である。
何故ならば自身の精神波動を攪乱されて防御され、相手に伝わらなくなってしまっている(即ち、その正体を掴むことが出来なくなってしまっている)からであるモノのしかし、エカテリーナはある秘策があった、それというのは。
特別に何と言う事は無い、“探索魔法陣内部”において先に自分達が脱出したアジトの方角から、自分の居場所へと向けて一直線に向かって来ている連中を探し出し、それを狙撃してやれば良いだけの事だったのである。
「・・・・・っ!!!」
(早く、来るが良いよ蒼太っ。目に物見せてやるからっ!!!)
暴虐なる闘志を抑える事もせずに剥き出しのまま、エカテリーナは醜悪なる笑みを浮かべつつも“その時”を待った、するとー。
「・・・・・っ!!?」
“掛かったな!!?”とレベッカが判断しては戦闘態勢に入るモノの、凡そ2キロ程後方から真っ直ぐ自分へと向けて疾走して来る“気配”が4つ。
正体を特定できないのは魔力と意識とが攪乱されているからであろうモノの、地面を蹴る足音の確かさ、乱れの無い呼吸、自信に満ち溢れたリズムと体幹、そのどれを取っても一般人のそれとは違っていた、間違いは無い、コイツらが蒼太達だ。
「・・・・・っ!!!」
(先ずは挨拶代わりだっ。一発食らえぃっ、蒼太!!!)
そう思った次の瞬間には。
レベッカは魔力で生み出した磁場の反発力を利用して、呪いで作り出したエネルギーの槍を蒼太目掛けて投擲していた。
ーーーーーーーーーーーーーーー
ちょっと長くなりそうなので一旦、ここで区切ります(次回か、その次の回でレベッカとは決着を着けさせます)。
早く蒼太君を“超神化”させたいです、“超神アマテラス”とか“超神スサノオ”とか出してみたい。
あと4人一組で行動していた時の事は、後日纏めて発表させていただきます(これもこれで大切な事なので←ただし今は物語を先に進める事と、レベッカを撃滅する事を優先させていただきます事を悪しからず御了承下さいませ)。
敬具。
ハイパーキャノン。
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