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ガリア帝国編
時と薬物
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「“賢者(セイジ)の思念”、結果は良好だったようだな・・・」
「はい、メイヨール。このアイテムのお陰で病院内にいた患者も医師もナース達も、全てが白髪の老人と相成りました!!」
「良い報告だ、素晴らしい!!」
暗がりの中でエカテリーナからの報告を受けたデュマはそう言って安堵すると同時にほくそ笑んだ、何しろここの所失敗続きで“キング・カイザーリン”からも叱られてばかりだったから、今回の成果はむしろ快挙と言える。
「これでまた一歩ずつではあるが、“人類恐竜化計画”が前進するな・・・」
「ただ一部の者達には拒絶反応が出ています、高熱やアトピー、精神的疾患を発症する者もいて・・・」
「構わぬ!!」
そう報告を続けるエカテリーナの言葉を、デュマは強い口調で遮った。
「中にはそうした者が出る事も織り込み済みだ、何しろ“下天の法則”を捻じ曲げる程の強さで術式を用いているのだからな!!」
「はっ。メイヨール・・・!!」
「此度は良くやってくれた、次回もこの調子で頼むぞ?因みに迷い子達の救出の件は、準備は進んでいるであろうな?」
「お任せ下さい、メイヨール。何しろ“実験対象”はまだまだおりますからね!!それに“救出作戦”についても問題はありません。その為にわざわざ、これだけの騒ぎを引き起こしたのですから・・・!!」
それを聞いたデュマは“うむ・・・”と短く頷くと後は沈黙してしまうモノの、一方のエカテリーナはそう報告する傍らでは冷たい笑みを浮かべていたのだが正直に言ってここまで来るのは大変だった、この“賢者(セイジ)の思念”と言うモノは元々、“サン・サヴァン・シェル・ガルダンプ”大聖堂の“奥の院”に収まっていたモノを、そこまでに忍び込んで強奪し、しかも今回はその効能の程を確かめる為に人体に対する限界を敢えて超えて使用したのである。
“超人(アートマン)の石精”とは全く逆の働きをするこの宝玉は、前者が“子供に戻りたい”と言った願いを叶えるモノなのだとしたなら後者はむしろ“早く大人になりたい”と言った人間の願いに答える為のアイテムであったのであるモノの、使い方を間違えれば“自然の摂理”を歪めて捻じ曲げ、人体に甚大なる害悪を与えてしまう“諸刃の剣”であったのだった。
(まあ半分は)
とエカテリーナが尚も思考を進めて行った、“このアイテムに封じられていた術式が、暴走した結果だけどね”と醜悪な笑みを満面に浮かべて。
(まあでも、メイヨールからはお褒めの言葉をいただけた訳だし。万事結果オーライって事で良かったかな?)
“後は”とエカテリーナが続けて思うが現状、彼女の唯一の汚点はメリアリアの事であって、彼女をどうしても打ち倒さなければ、個人的に気が収まらない理由と言うのが、彼女にはあったのである。
(あの時の復讐を、どうしても果たす!!ただその前に・・・)
“アイツの戦力を、徹底的に分析しなければね!!”と意気込むと、エカテリーナは次なる目標に向かって蠢動を開始して行った。
(それにしても、アイツの。メリアリアの“浄化耐性能力”の強さは予想外だったわ、まさか伝説の法具である“超人(アートマン)の石精”をも退けるなんて。いいや、もしかしたならそれだけではない。何某かの“力”が働いたのかも知れない、まだ私達の知らない、人知を超えた何らかの力が・・・!!!)
そう思うエカテリーナ、即ちレベッカであった訳だが果たしてそれは、彼女の思い込みや見当違いな見立てから来る的外れな推理等ともまるきり違っていたのであって、確かにメリアリアにはその身に宿した“浄化耐性”以外にも極めて強靱な事この上ない、ある力が備え秘められていたのであるが、それは一言で言い表すのならば“意思の力”そのものであって、決して挫けぬ精神力、と言い換えても良かったのであるモノの、元来が非常に純粋で純朴な彼女はそこへ持って来て本当に大事な事は最後の最後で絶対に譲らない、必ずと言って良いほど守り抜く、と言う一種の強情さ、否、もっと言ってしまえば“凄絶さ”を内包していたのであった。
これは幼い頃から、否、生まれ変われるずっと以前から蒼太との逢瀬、邂逅を重ねる内に自然自然と彼女の中へと染み込まされて行き、発揮されて行った強さである、と言い換えても良かったモノの、唯一無二の人である彼に意識を向けて行く中で蒼太の存在そのものに惹かれ、知らず知らずの内に、その波動や意識の影響を一身に受け続けて来た彼女はだから、元から彼女自身がそう言った心根、素質を持ち合わせていた事も手伝って遂にはそれらが開花しては、結果として蒼太に導かれる形で彼と同じ強さ、純漠たる意思を有するに至っていた次第であったのである。
そしてそんな彼女のピュアで強靱なる精神力こそが、前述の“浄化耐性能力”にも絶大なる影響を与え続けていたのであり、持って生まれたその力を更に何倍にまでも高め上げていたのであるがその為、“超人(アートマン)の石精”の放つ、記憶を封印してしまう作用を有する“精神干渉波”にも無意識の内に彼女の魂は徹底的なる抵抗を示していたのであって、遂にはその力を完膚無きまでに打ち破っては無力化してしまったのだった、要はそれだけ彼女は蒼太と過ごした思い出の日々を、そして何より蒼太の事を、その比類無き愛情の全てを“忘れまい”としたのであったがレベッカは知る由も無かったモノの、これは他の即死や混乱、時空魔法に毒物汚染や催眠等のそれらに対しても絶対的かつ根幹的に作用して発動する為に、彼女が心の底から“嫌だ”と思い願えばそれらを敢然と跳ね返して浄化滅殺してしまうことが可能だった訳である。
しかし。
(ええいっ、忌々しいメリアリアめっ。今度会う時こそはただでは済まさないよっ!!)
そう言った“人の心”や“思い”と言ったモノを、頭では理解していても非常に軽視していたレベッカにはだから、メリアリアの持つ本当の力、強さ、輝きと言ったモノが、永遠に理解出来なかったのであった。
(まあいい・・・)
と、自らを落ち着けたレベッカは握り拳を解きながらも、今は囚われの身となっている“カインの子供達”に向かって意識を飛ばしては、その救出作戦成功の為に改めて、全力を注入する事にしたのである。
蒼太やメリアリアは恐らく、今は此方の使用した術式の洗い直しに躍起になっている頃合いだろうが、しかしどれだけ調べようとも現場からは何も出て来る筈は無い、全てレベッカ本人が念入りに始末を付けていた為であるが、しかし。
(だけど蒼太の事だからな。アイツは妙に勘が鋭い、もしかしたなら此方の使った術式が、マジックアイテム由来である事を見破るかも知れないわ!!)
“まあもっとも”とレベッカは続けて思うが、それならそれで、別に困った事には何一つとしてなりはしない、何故ならばもはや、“賢者(セイジ)の思念”の役割は完全に終わっている、仮に調査の結果、すぐにでもあれが“サン・サヴァン・シェル・ガルダンプ”から盗み出された事が知れてもそれならそれで好都合であった。
何故ならばその分、奴らは警備の為にも各地に余計な人員を割かなければならなくなる、本部の守衛が手薄になってくれる事は、自分達にとっては僥倖にしかならないのだ。
(まっ。こっちの狙いに気付かせない為と、奴らに動揺を与える為に、今回はわざとセイレーン本部の直ぐ側で騒ぎを起こしてやった訳だけど。本部そのものをどうこうした訳じゃないし、攻撃を加える訳でも無い。それに今は、奴らはこっちの尻尾を掴む事に躍起になっているだろうから、侵入も割かし楽だろうさ!!)
“後は”とレベッカは思うが、“潜入部隊の実力次第だ”と。
(私はもう、やることはやった。これで上手く行けばそれでよし、よしんば失敗したとしても、叱責をされる言われもない!!)
“高みの見物でもしていれば良い”と、レベッカは一人高をくくっては満悦気味な笑みを浮かべていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
一方でその頃。
漸くにして到着したセイレーンの誇る“波動分析班”と共同で現場の検証に当たりながらも、蒼太達は使用されたと思しき“マジックアイテム”に内包されていた“魔法術式”の解読に、全力で取り組んでいたのだった。
ところが。
「ダメです!!」
分析班の一人が告げた。
「重ねて精査致しましたが、“時空干渉波”の類いは検出されておりません!!」
「なにぃ・・・!?」
“そんなバカな!!”とオリヴィアが呻くが彼女達はその目でハッキリと見て来たのである、つい先程まで多数の救急車に搬送されて行った、夥しい数に昇る老化現象を引き起こされてしまった人々の長蛇に過ぎる程の膨大なる列を。
「そんな筈は無いだろう、我々は確かに見たのだ!!時を進めさせられて、老人と化してしまった人々の姿をな!!」
「いいえ、オリヴィア。確かに、それはそうなのですが。しかし・・・!!」
「どう?あなた。何か解った・・・?」
そんな“氷炎の大騎士”と分析班のやり取りを横目に見ながら、メリアリアは少ししゃがみ込むようにして現場の波動を調査していた自らの夫に声を掛けた、その結果。
「ああ、これはあくまでも、今までに得られた情報を元にした、僕なりの仮説でしかないんだけれども。今回使用されたアイテムは所謂(いわゆる)“時空魔法系統”のモノでは無い、と思われるんだよ・・・!!」
「・・・・・?」
「・・・・・」
「どう言う、事だ・・・?」
その話を聞いたメリアリアとアウロラとがキョトンとした面持ちとなり、側にいたオリヴィアもまた怪訝そうな表情を浮かべて、彼に直に聞き返して来るモノの、蒼太の見立てでは一見、“人体の時間そのものを操作して老化現象を引き起こさせた”かのように見える今回の魔法術式は、実はそれほど大したモノでは決して無くて、要は肉体の持つ原子や元素の“固有振動数”に働き掛けて“状態変化”を誘発させるそれである事が解って来たのである。
「僕の感覚を最大限に研ぎ澄まして、“時空粒子”の流れを追ってみたんだけど・・・。今現在、感知出来る範囲ではそれらが乱れていないんだ、つまりこれは、時空間に対して何らかの干渉が無かった事を意味するんだよ」
「・・・・・」
「・・・・・」
「つまり、どう言う事だ?」
「時空魔法に見せ掛けた、ハッタリって事です」
蒼太が断言するモノのそもそも、人間の身体が何故成長して大人になり、やがて老いさらばえて行くのか、と言うとそれは細胞の中に秘められている“染色体”が細胞分裂の際に段々と短くなって行き、その結果として新陳代謝が落ちてくる(即ち細胞分裂が行われなくなって来る)からに他ならない。
つまりはこれをある程度の領域にまで活性化して活発化させると身体が素早く成長して“大人”になって来るのであり、反対に分裂数を一定にまで抑え、染色体を構成している成分である“テロメア”を回復させてやることで肉体そのものを若返らせる事が出来るのだ(失われてしまった遺伝子情報を修復してやる事で、見た目を子供に戻してやる訳である)。
即ち時を進めたり、或いは巻き戻したり、と言った事は全く関係が無いのであってその為、どれだけ時空関連を調査してみた所で何も出て来ないのは至極当然の事であったのだ。
「“人間の形態”のままではこれ以上の事は解らないけれども・・・。もしまだ本部にいるのならば、“時流の揺蕩うクレモンス”よりも“薬物師アンナ”を呼んだ方が良いかも知れないよ?多分、適任者は彼女じゃ無いかと思われます・・・!!」
「アンナに至急、現場に来るように言ってくれ!!一応、クレモンスも連れてな!!」
「・・・・・」
(しかし一体、奴らの目的と言うのは何なのだろうな?“神々に対する反抗”と今回の出来事と、どう言う繋がりがあるのだろうか・・・)
オリヴィアがテキパキと指示を飛ばして行くその傍らで、蒼太はメリアリア、アウロラと共に黙って立ち尽くしていたモノの、その胸の内ではレベッカに対す憎悪と同時に疑問が湧き上がって来るのを禁じ得なかった。
人々を老人にする、それで一体、彼等を利する何があると言うのであろうか、それとも或いは今回の事は、以前自分達が“カインの子供達”を捕縛した事に対する“意趣返し”的な行動であろうか。
「・・・・・」
“そう言えば”と蒼太は更に思考を進めた、“カインの子供達”の行く末は、どうなっているのかと、彼はふと、それが気になったのである。
実は捕縛した当時、蒼太を始めとしてメリアリアもアウロラも、すぐに仲間達が行動を起こす可能性がある事を非常に警戒していたのである。
何故ならば“カインの子供達”に限らずに“ドラクロワ・カウンシル”と言うのは非常に限られた、そして選び抜かれたスタッフ達なのであって、その秘密主義は徹底しておりそれ故、その人員配置から目的、そして何より具体的な活動内容の詳細は、未だかつて何処の国の情報調査機関を以てしても、把握しきれていないと言うのが実状に他ならなかったのである。
その為、すぐにでも他の仲間達が彼等の奪還、或いは口封じに出動して来る事が間違いなく考えられた為に、オリヴィアの発案と指揮の元で一見、セイレーン本部に護送する素振りを見せてその実、ミラベルの誇る国家情報管理院の機密地下留置場、そこへと身柄を遷していたのだ。
(奴らの事だ、単なる腹癒(はらい)せの為だけに、これだけの騒ぎを起こして来た筈が無い。必ず何か裏があるとは思うんだけど・・・。それが何なのかが読めないんだよなぁ・・・!!)
「あなた、どうしたの・・・?」
蒼太がそんな事を考えているとー。
愛妻(メリアリア)がまたしてもキョトンとした面持ちとなり自分に声を掛けて来た。
「うん、いやね?奴らの狙いが良く解らないんだよ、こんな本部の側で騒ぎを起こしてしまえば警戒は一層、厳重になるはずだろ?奴らにもう、そんな戦力的な余力は無くなりつつある、と思うんだよね。つまりは何か事を企てるとしたなら、事実上の一発勝負で来る事になるだろうから、相当に覚悟と準備をこちらもしておかなければならないと、そう思っていたんだけれども・・・。だからこそ、なんて言うべきなのかな?些か拍子抜けしたって言うか、どうにもそこが腑に落ちなくてさ・・・」
「確かに、変だよね?だって普通なら、こんな事をするくらいなら本部を直接、襲撃した方が早いもんね?本部は逃げられないんだから、確実にダメージを与える事が出来るって言うのに・・・!!!」
「奴らの狙いは恐らくは、本部の襲撃にあったと思う」
するとその話を聞いていたオリヴィアが、横から口を挟んで来た。
「今、君達が言った通りで通常、こんな病院を襲って老人だらけにした所で彼等に何かの得がある訳では無いはずだ、あるとすればそれは此方の、本部の戦力や注意が此処へと集中する事で、本部の警備が手薄になる事位だろうな。如何に近いとは言っても、ここまで5分から10分は掛かる距離なのだから・・・」
「・・・・・」
「それが解っていながら、どうして・・・?」
「なに、本部が如何に手薄になった、とは言ってもその中枢部分には我々、“女王位”が詰めているし、人員だって必要最低限度は常に揃えているつもりだ。現にアンリ達も今日は出張って来てくれているしね。人の流れや気配等から彼等もそれは知っている筈だから、つまり狙いは本部の中枢部分には無い、と言う事だよ。だとすると何処だと思う?」
「・・・・・!!」
「ひょっとして・・・!?」
「そう、君達が以前捕縛した彼等の仲間達、それの抹殺か奪還かが、その真に意図する所だと思う・・・」
「オリヴィア!!」
「だったらすぐに、本部に行って・・・!!」
「・・・・・」
“心配はいらない”とオリヴィアは笑顔で頷くと、二人に向き直ってそう告げた。
「君達ともあろうモノが、“女王位”の強さを忘れているぞ?仮に彼等の別働隊がいたとして。今頃本部に潜入していたとしても。・・・恐らくは撃退されている筈だ!!」
“蒼太”とオリヴィアが、その自身の意中の思い人に向かって口を開いた。
「君は確か、アンリと幼馴染同士だったな?彼の強さは、良く知っているだろう?」
「えっ!?ええっ。まあ、それは・・・!!」
「メリアリア、君もだぞ?」
“エマやアデールに悪いだろうが”と仲間内を少し窘めるようにそう言葉を綴ると、オリヴィアは瞳を閉じてニンマリと微笑んだ。
ーーーーーーーーーーーーーーー
失われてしまった遺伝子情報を修復してやる事で、見た目を子供に戻してやる訳である←がん細胞にその成分、即ち“若返りの成分”があるそうです(“テロメラーゼ”、とか名付けられているのだそうです)、なのでがん細胞自体は不滅であり、年を取って劣化しません。
つまりは自然消滅はしない訳でして、奴らをやっつけるにはですから、その細胞の持っている“固有振動数”を著しく変化させるか、もしくは外科手術によって患部丸ごと取り除く以外、方法が無いらしいです。
因みに年を取ると人間は背が縮むそうです(別に時間を巻き戻したりしなくとも、です)これは精神的な事は勿論、魂や霊性に拠るのですが、反面で肉体的な事と言うのはあくまでも遺伝子情報や細胞組織の働きによって決まって来る、と言われています(勿論、精神が肉体に影響を与える、と言う事も、事実として多分に存在しているそうです)、そして今回のマジックアイテムのお話しは、それらをモチーフにして作り上げてみましたモノの、そのマジックアイテムについても1つ(どうだって良いと言えば、どうだって良いのですが)、お話ししておきたい事がございます
この“賢者”の部分に何故、“セイジ”と言う名前が当て字として付けられているのか、と言いますとそれは、この“セイジ”と言う言葉が英語で“賢者”を現すモノだからです(私もビックリしたのですが、調べてみるとそうだったんです、それでこれを当て字にしたんです)。
そう言う事でございます。
「はい、メイヨール。このアイテムのお陰で病院内にいた患者も医師もナース達も、全てが白髪の老人と相成りました!!」
「良い報告だ、素晴らしい!!」
暗がりの中でエカテリーナからの報告を受けたデュマはそう言って安堵すると同時にほくそ笑んだ、何しろここの所失敗続きで“キング・カイザーリン”からも叱られてばかりだったから、今回の成果はむしろ快挙と言える。
「これでまた一歩ずつではあるが、“人類恐竜化計画”が前進するな・・・」
「ただ一部の者達には拒絶反応が出ています、高熱やアトピー、精神的疾患を発症する者もいて・・・」
「構わぬ!!」
そう報告を続けるエカテリーナの言葉を、デュマは強い口調で遮った。
「中にはそうした者が出る事も織り込み済みだ、何しろ“下天の法則”を捻じ曲げる程の強さで術式を用いているのだからな!!」
「はっ。メイヨール・・・!!」
「此度は良くやってくれた、次回もこの調子で頼むぞ?因みに迷い子達の救出の件は、準備は進んでいるであろうな?」
「お任せ下さい、メイヨール。何しろ“実験対象”はまだまだおりますからね!!それに“救出作戦”についても問題はありません。その為にわざわざ、これだけの騒ぎを引き起こしたのですから・・・!!」
それを聞いたデュマは“うむ・・・”と短く頷くと後は沈黙してしまうモノの、一方のエカテリーナはそう報告する傍らでは冷たい笑みを浮かべていたのだが正直に言ってここまで来るのは大変だった、この“賢者(セイジ)の思念”と言うモノは元々、“サン・サヴァン・シェル・ガルダンプ”大聖堂の“奥の院”に収まっていたモノを、そこまでに忍び込んで強奪し、しかも今回はその効能の程を確かめる為に人体に対する限界を敢えて超えて使用したのである。
“超人(アートマン)の石精”とは全く逆の働きをするこの宝玉は、前者が“子供に戻りたい”と言った願いを叶えるモノなのだとしたなら後者はむしろ“早く大人になりたい”と言った人間の願いに答える為のアイテムであったのであるモノの、使い方を間違えれば“自然の摂理”を歪めて捻じ曲げ、人体に甚大なる害悪を与えてしまう“諸刃の剣”であったのだった。
(まあ半分は)
とエカテリーナが尚も思考を進めて行った、“このアイテムに封じられていた術式が、暴走した結果だけどね”と醜悪な笑みを満面に浮かべて。
(まあでも、メイヨールからはお褒めの言葉をいただけた訳だし。万事結果オーライって事で良かったかな?)
“後は”とエカテリーナが続けて思うが現状、彼女の唯一の汚点はメリアリアの事であって、彼女をどうしても打ち倒さなければ、個人的に気が収まらない理由と言うのが、彼女にはあったのである。
(あの時の復讐を、どうしても果たす!!ただその前に・・・)
“アイツの戦力を、徹底的に分析しなければね!!”と意気込むと、エカテリーナは次なる目標に向かって蠢動を開始して行った。
(それにしても、アイツの。メリアリアの“浄化耐性能力”の強さは予想外だったわ、まさか伝説の法具である“超人(アートマン)の石精”をも退けるなんて。いいや、もしかしたならそれだけではない。何某かの“力”が働いたのかも知れない、まだ私達の知らない、人知を超えた何らかの力が・・・!!!)
そう思うエカテリーナ、即ちレベッカであった訳だが果たしてそれは、彼女の思い込みや見当違いな見立てから来る的外れな推理等ともまるきり違っていたのであって、確かにメリアリアにはその身に宿した“浄化耐性”以外にも極めて強靱な事この上ない、ある力が備え秘められていたのであるが、それは一言で言い表すのならば“意思の力”そのものであって、決して挫けぬ精神力、と言い換えても良かったのであるモノの、元来が非常に純粋で純朴な彼女はそこへ持って来て本当に大事な事は最後の最後で絶対に譲らない、必ずと言って良いほど守り抜く、と言う一種の強情さ、否、もっと言ってしまえば“凄絶さ”を内包していたのであった。
これは幼い頃から、否、生まれ変われるずっと以前から蒼太との逢瀬、邂逅を重ねる内に自然自然と彼女の中へと染み込まされて行き、発揮されて行った強さである、と言い換えても良かったモノの、唯一無二の人である彼に意識を向けて行く中で蒼太の存在そのものに惹かれ、知らず知らずの内に、その波動や意識の影響を一身に受け続けて来た彼女はだから、元から彼女自身がそう言った心根、素質を持ち合わせていた事も手伝って遂にはそれらが開花しては、結果として蒼太に導かれる形で彼と同じ強さ、純漠たる意思を有するに至っていた次第であったのである。
そしてそんな彼女のピュアで強靱なる精神力こそが、前述の“浄化耐性能力”にも絶大なる影響を与え続けていたのであり、持って生まれたその力を更に何倍にまでも高め上げていたのであるがその為、“超人(アートマン)の石精”の放つ、記憶を封印してしまう作用を有する“精神干渉波”にも無意識の内に彼女の魂は徹底的なる抵抗を示していたのであって、遂にはその力を完膚無きまでに打ち破っては無力化してしまったのだった、要はそれだけ彼女は蒼太と過ごした思い出の日々を、そして何より蒼太の事を、その比類無き愛情の全てを“忘れまい”としたのであったがレベッカは知る由も無かったモノの、これは他の即死や混乱、時空魔法に毒物汚染や催眠等のそれらに対しても絶対的かつ根幹的に作用して発動する為に、彼女が心の底から“嫌だ”と思い願えばそれらを敢然と跳ね返して浄化滅殺してしまうことが可能だった訳である。
しかし。
(ええいっ、忌々しいメリアリアめっ。今度会う時こそはただでは済まさないよっ!!)
そう言った“人の心”や“思い”と言ったモノを、頭では理解していても非常に軽視していたレベッカにはだから、メリアリアの持つ本当の力、強さ、輝きと言ったモノが、永遠に理解出来なかったのであった。
(まあいい・・・)
と、自らを落ち着けたレベッカは握り拳を解きながらも、今は囚われの身となっている“カインの子供達”に向かって意識を飛ばしては、その救出作戦成功の為に改めて、全力を注入する事にしたのである。
蒼太やメリアリアは恐らく、今は此方の使用した術式の洗い直しに躍起になっている頃合いだろうが、しかしどれだけ調べようとも現場からは何も出て来る筈は無い、全てレベッカ本人が念入りに始末を付けていた為であるが、しかし。
(だけど蒼太の事だからな。アイツは妙に勘が鋭い、もしかしたなら此方の使った術式が、マジックアイテム由来である事を見破るかも知れないわ!!)
“まあもっとも”とレベッカは続けて思うが、それならそれで、別に困った事には何一つとしてなりはしない、何故ならばもはや、“賢者(セイジ)の思念”の役割は完全に終わっている、仮に調査の結果、すぐにでもあれが“サン・サヴァン・シェル・ガルダンプ”から盗み出された事が知れてもそれならそれで好都合であった。
何故ならばその分、奴らは警備の為にも各地に余計な人員を割かなければならなくなる、本部の守衛が手薄になってくれる事は、自分達にとっては僥倖にしかならないのだ。
(まっ。こっちの狙いに気付かせない為と、奴らに動揺を与える為に、今回はわざとセイレーン本部の直ぐ側で騒ぎを起こしてやった訳だけど。本部そのものをどうこうした訳じゃないし、攻撃を加える訳でも無い。それに今は、奴らはこっちの尻尾を掴む事に躍起になっているだろうから、侵入も割かし楽だろうさ!!)
“後は”とレベッカは思うが、“潜入部隊の実力次第だ”と。
(私はもう、やることはやった。これで上手く行けばそれでよし、よしんば失敗したとしても、叱責をされる言われもない!!)
“高みの見物でもしていれば良い”と、レベッカは一人高をくくっては満悦気味な笑みを浮かべていた。
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一方でその頃。
漸くにして到着したセイレーンの誇る“波動分析班”と共同で現場の検証に当たりながらも、蒼太達は使用されたと思しき“マジックアイテム”に内包されていた“魔法術式”の解読に、全力で取り組んでいたのだった。
ところが。
「ダメです!!」
分析班の一人が告げた。
「重ねて精査致しましたが、“時空干渉波”の類いは検出されておりません!!」
「なにぃ・・・!?」
“そんなバカな!!”とオリヴィアが呻くが彼女達はその目でハッキリと見て来たのである、つい先程まで多数の救急車に搬送されて行った、夥しい数に昇る老化現象を引き起こされてしまった人々の長蛇に過ぎる程の膨大なる列を。
「そんな筈は無いだろう、我々は確かに見たのだ!!時を進めさせられて、老人と化してしまった人々の姿をな!!」
「いいえ、オリヴィア。確かに、それはそうなのですが。しかし・・・!!」
「どう?あなた。何か解った・・・?」
そんな“氷炎の大騎士”と分析班のやり取りを横目に見ながら、メリアリアは少ししゃがみ込むようにして現場の波動を調査していた自らの夫に声を掛けた、その結果。
「ああ、これはあくまでも、今までに得られた情報を元にした、僕なりの仮説でしかないんだけれども。今回使用されたアイテムは所謂(いわゆる)“時空魔法系統”のモノでは無い、と思われるんだよ・・・!!」
「・・・・・?」
「・・・・・」
「どう言う、事だ・・・?」
その話を聞いたメリアリアとアウロラとがキョトンとした面持ちとなり、側にいたオリヴィアもまた怪訝そうな表情を浮かべて、彼に直に聞き返して来るモノの、蒼太の見立てでは一見、“人体の時間そのものを操作して老化現象を引き起こさせた”かのように見える今回の魔法術式は、実はそれほど大したモノでは決して無くて、要は肉体の持つ原子や元素の“固有振動数”に働き掛けて“状態変化”を誘発させるそれである事が解って来たのである。
「僕の感覚を最大限に研ぎ澄まして、“時空粒子”の流れを追ってみたんだけど・・・。今現在、感知出来る範囲ではそれらが乱れていないんだ、つまりこれは、時空間に対して何らかの干渉が無かった事を意味するんだよ」
「・・・・・」
「・・・・・」
「つまり、どう言う事だ?」
「時空魔法に見せ掛けた、ハッタリって事です」
蒼太が断言するモノのそもそも、人間の身体が何故成長して大人になり、やがて老いさらばえて行くのか、と言うとそれは細胞の中に秘められている“染色体”が細胞分裂の際に段々と短くなって行き、その結果として新陳代謝が落ちてくる(即ち細胞分裂が行われなくなって来る)からに他ならない。
つまりはこれをある程度の領域にまで活性化して活発化させると身体が素早く成長して“大人”になって来るのであり、反対に分裂数を一定にまで抑え、染色体を構成している成分である“テロメア”を回復させてやることで肉体そのものを若返らせる事が出来るのだ(失われてしまった遺伝子情報を修復してやる事で、見た目を子供に戻してやる訳である)。
即ち時を進めたり、或いは巻き戻したり、と言った事は全く関係が無いのであってその為、どれだけ時空関連を調査してみた所で何も出て来ないのは至極当然の事であったのだ。
「“人間の形態”のままではこれ以上の事は解らないけれども・・・。もしまだ本部にいるのならば、“時流の揺蕩うクレモンス”よりも“薬物師アンナ”を呼んだ方が良いかも知れないよ?多分、適任者は彼女じゃ無いかと思われます・・・!!」
「アンナに至急、現場に来るように言ってくれ!!一応、クレモンスも連れてな!!」
「・・・・・」
(しかし一体、奴らの目的と言うのは何なのだろうな?“神々に対する反抗”と今回の出来事と、どう言う繋がりがあるのだろうか・・・)
オリヴィアがテキパキと指示を飛ばして行くその傍らで、蒼太はメリアリア、アウロラと共に黙って立ち尽くしていたモノの、その胸の内ではレベッカに対す憎悪と同時に疑問が湧き上がって来るのを禁じ得なかった。
人々を老人にする、それで一体、彼等を利する何があると言うのであろうか、それとも或いは今回の事は、以前自分達が“カインの子供達”を捕縛した事に対する“意趣返し”的な行動であろうか。
「・・・・・」
“そう言えば”と蒼太は更に思考を進めた、“カインの子供達”の行く末は、どうなっているのかと、彼はふと、それが気になったのである。
実は捕縛した当時、蒼太を始めとしてメリアリアもアウロラも、すぐに仲間達が行動を起こす可能性がある事を非常に警戒していたのである。
何故ならば“カインの子供達”に限らずに“ドラクロワ・カウンシル”と言うのは非常に限られた、そして選び抜かれたスタッフ達なのであって、その秘密主義は徹底しておりそれ故、その人員配置から目的、そして何より具体的な活動内容の詳細は、未だかつて何処の国の情報調査機関を以てしても、把握しきれていないと言うのが実状に他ならなかったのである。
その為、すぐにでも他の仲間達が彼等の奪還、或いは口封じに出動して来る事が間違いなく考えられた為に、オリヴィアの発案と指揮の元で一見、セイレーン本部に護送する素振りを見せてその実、ミラベルの誇る国家情報管理院の機密地下留置場、そこへと身柄を遷していたのだ。
(奴らの事だ、単なる腹癒(はらい)せの為だけに、これだけの騒ぎを起こして来た筈が無い。必ず何か裏があるとは思うんだけど・・・。それが何なのかが読めないんだよなぁ・・・!!)
「あなた、どうしたの・・・?」
蒼太がそんな事を考えているとー。
愛妻(メリアリア)がまたしてもキョトンとした面持ちとなり自分に声を掛けて来た。
「うん、いやね?奴らの狙いが良く解らないんだよ、こんな本部の側で騒ぎを起こしてしまえば警戒は一層、厳重になるはずだろ?奴らにもう、そんな戦力的な余力は無くなりつつある、と思うんだよね。つまりは何か事を企てるとしたなら、事実上の一発勝負で来る事になるだろうから、相当に覚悟と準備をこちらもしておかなければならないと、そう思っていたんだけれども・・・。だからこそ、なんて言うべきなのかな?些か拍子抜けしたって言うか、どうにもそこが腑に落ちなくてさ・・・」
「確かに、変だよね?だって普通なら、こんな事をするくらいなら本部を直接、襲撃した方が早いもんね?本部は逃げられないんだから、確実にダメージを与える事が出来るって言うのに・・・!!!」
「奴らの狙いは恐らくは、本部の襲撃にあったと思う」
するとその話を聞いていたオリヴィアが、横から口を挟んで来た。
「今、君達が言った通りで通常、こんな病院を襲って老人だらけにした所で彼等に何かの得がある訳では無いはずだ、あるとすればそれは此方の、本部の戦力や注意が此処へと集中する事で、本部の警備が手薄になる事位だろうな。如何に近いとは言っても、ここまで5分から10分は掛かる距離なのだから・・・」
「・・・・・」
「それが解っていながら、どうして・・・?」
「なに、本部が如何に手薄になった、とは言ってもその中枢部分には我々、“女王位”が詰めているし、人員だって必要最低限度は常に揃えているつもりだ。現にアンリ達も今日は出張って来てくれているしね。人の流れや気配等から彼等もそれは知っている筈だから、つまり狙いは本部の中枢部分には無い、と言う事だよ。だとすると何処だと思う?」
「・・・・・!!」
「ひょっとして・・・!?」
「そう、君達が以前捕縛した彼等の仲間達、それの抹殺か奪還かが、その真に意図する所だと思う・・・」
「オリヴィア!!」
「だったらすぐに、本部に行って・・・!!」
「・・・・・」
“心配はいらない”とオリヴィアは笑顔で頷くと、二人に向き直ってそう告げた。
「君達ともあろうモノが、“女王位”の強さを忘れているぞ?仮に彼等の別働隊がいたとして。今頃本部に潜入していたとしても。・・・恐らくは撃退されている筈だ!!」
“蒼太”とオリヴィアが、その自身の意中の思い人に向かって口を開いた。
「君は確か、アンリと幼馴染同士だったな?彼の強さは、良く知っているだろう?」
「えっ!?ええっ。まあ、それは・・・!!」
「メリアリア、君もだぞ?」
“エマやアデールに悪いだろうが”と仲間内を少し窘めるようにそう言葉を綴ると、オリヴィアは瞳を閉じてニンマリと微笑んだ。
ーーーーーーーーーーーーーーー
失われてしまった遺伝子情報を修復してやる事で、見た目を子供に戻してやる訳である←がん細胞にその成分、即ち“若返りの成分”があるそうです(“テロメラーゼ”、とか名付けられているのだそうです)、なのでがん細胞自体は不滅であり、年を取って劣化しません。
つまりは自然消滅はしない訳でして、奴らをやっつけるにはですから、その細胞の持っている“固有振動数”を著しく変化させるか、もしくは外科手術によって患部丸ごと取り除く以外、方法が無いらしいです。
因みに年を取ると人間は背が縮むそうです(別に時間を巻き戻したりしなくとも、です)これは精神的な事は勿論、魂や霊性に拠るのですが、反面で肉体的な事と言うのはあくまでも遺伝子情報や細胞組織の働きによって決まって来る、と言われています(勿論、精神が肉体に影響を与える、と言う事も、事実として多分に存在しているそうです)、そして今回のマジックアイテムのお話しは、それらをモチーフにして作り上げてみましたモノの、そのマジックアイテムについても1つ(どうだって良いと言えば、どうだって良いのですが)、お話ししておきたい事がございます
この“賢者”の部分に何故、“セイジ”と言う名前が当て字として付けられているのか、と言いますとそれは、この“セイジ”と言う言葉が英語で“賢者”を現すモノだからです(私もビックリしたのですが、調べてみるとそうだったんです、それでこれを当て字にしたんです)。
そう言う事でございます。
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