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ガリア帝国編
龍神の咆哮
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「全員が、敗れたか・・・!!」
「も、申し訳御座いません。“キング・カイザーリン”・・・!!」
“カインの子供達ともあろう者が!!”と些か興奮気味に語られるその言葉の連綿に、暗闇の只中において、デュマはただただ平服していた、相手は“影”だけの存在であり、そこに実体は存在していない。
ただし話し口調と声色から“女”だとは解った、それ以外の事は不明である。
「残念だ、極めてな。目障りな事この上ないガリアを骨抜きに出来る、千載一遇の機会であったと言うのにな・・・!!」
「はは、誠に申し訳なき次第にて・・・!!」
デュマが多少、緊張した面持ちのままで、それでも恭しく頭を下げるが内心、彼は怯えきっていた、下手をするならば自分など、その口から燃え盛る火炎を浴びて直ぐさま“消滅行き”だろう。
「“ガイアの青石”、あれを奪えなかったのも残念だった。跡形も無く打ち砕いてやろうと思っていたのに。それさえ出来ていたのならば・・・!!」
“声の主”はやや、忌々しげに呟いた、“フォンティーヌも終わりになっていたであろうに”と。
「無念じゃ、つくづく口惜しいっ!!“カイザー”に何と報告すれば良いのやら・・・!!」
「・・・・・」
「ゴールデン・ダイヤは。“黄金の光輝玉”はどうなっているのかっ、行方位は解っているのであろうなっ!!?」
「は、はっ!!申し訳御座いません、カイザーリン。目下全力で捜索しておりますモノの、こちらも未だに・・・!!」
「お前がいて、手掛かり一つ掴むことが出来んとはな!!」
“カイザーリン”と呼ばれた“影”は一瞬、怒気を極大化させたと思うとしかし、次の瞬間臍を噛んではその場で大きな溜息を付いた。
「夫も。“カイザー”も待ち侘びている、と言うのに・・・」
「誠にもって、遺憾ながら・・・!!」
「もう、良い・・・」
申し訳なさと心苦しさ全開で為されるデュマの贖罪の言葉と現状報告に、些かうんざりしたかのような口調で“カイザーリン”はそう応えた、“やり方が、生易しすぎた”と。
「やはりここは、強硬で行くか、当初の予定通りにな。デュマよ、解っているであろうな?」
「お、お言葉ですがカイザーリン。それではガリア帝国そのものが破滅する事になりまするぞ!?」
「そうしろと、言っている!!」
“何を今更・・・!!”と、カイザーリンは吐き捨てるように、それでいてやや呆れたような声色で言い放った、その態度からは焦りと同時に余裕と言うか、ある種の失望が感じられる。
「お前は時々、物解りが鈍くなるな、デュマよ。どっちみち、青石もゴールデン・ダイヤも諸共消失させる腹積もりであったのだ。取り立てて慌てる事も無かろう・・・?」
「し、しかし。ガリアは・・・!!」
「ガリアなど、どうなっても良い。呪法の発動は可能だな?」
「はっ、カイザーリン・・・!!」
「明日には最早、ガリア帝国は消失する。そうなればまた一歩、我々の復讐はなるのだ!!・・・解るな!?」
「勿論で御座います!!」
「では後は全て任せる、我が右腕よ。お前達は“霊体”になって帰ってこい、“三次元世界”の奴らは根刮ぎ抹殺してやるっ!!!」
そう告げると“カイザーリン”は通信を切った、後には物音一つしない静寂と共に、辺りを覆い尽くして食い潰すかのような、漆黒の暗闇だけが、どこまでもどこまでも広がっていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「叔父様・・・っ!!!」
「ア、アウロラ・・・ッ!!!」
一方その頃。
ヴィクトー邸の応接室では姪と叔父とが再びの対面を果たしていた、しかし。
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
それは“感動の対面”等では間違っても無かった、それどころかアウロラは“どうしてこんな事をなさったのですか!?”と彼女にしては珍しく、面持ちと語気とに怒勢を混ぜてこの憐れな身内者の表情をキッと見据えて問い詰めていたのだ。
「ゆ、許しておくれアウロラ!!私には他に、どうにも出来なかったのだ!!!」
姪っ子からの追求に、ヴィクトーはソファにグッタリと腰を降ろしたままで、両手で頭を抱えながらもワナワナと震えていた、酒はとっくに切れていた、というよりは飲んでも飲んでも酔えなかった、全てが恐怖と後悔と苛立ちと焦燥とに変わって行って、“こんな事ならば何もしなければ良かった”と、そんな事ばかりを考える。
「叔父様が為された事が、どれだけ多くの方々に御迷惑と御心配をお掛けした事か、お解りになっておられますか!!?」
「私には他に、選択肢など無かったのだ!!あのまま行けば私には最早、一族の中で居場所など、少しも残りはしなかったであろうし一生、後ろ指を指されながら生きて行かねばならなくなる所であったのだから・・・!!」
「オーバーに過ぎますわ、叔父様は・・・!!」
蒼太達に見せる、気の強くてお転婆な顔と違い、あくまでフォンティーヌの令嬢らしく振る舞うアウロラの顔にはしかし、若干の免赦の色が浮かび上がって来ていた、取り敢えずは現状、ヴィクトーは誰とも何の取り引きもしておらずに、また先の介護関係のそれを除けばフォンティーヌに与えた損害も無い、事も一族内部への迷惑行為だけで済んだ、後は彼女の父であり現当主であるエリオットの判断次第であるが、恐らくは大事にはならないであろう。
「だけど良かったよ、今回の陰謀を撥ね除ける事が出来て・・・!!」
そんな彼女のやや背後、壁の側に立っていた蒼太が隣にいた愛妻(メリアリア)と共にヒソヒソ声で話し掛けるモノの正直、彼としてみれば終わって後から振り返ってみれば、地味に大変だった、と言うよりも意外に手間取ったと言う印象の方が強かった、何しろヴィクトー一人の為に九日間近くも見張りに立たされ、この間彼もメリアリアもどこにも行く事が出来なかったのである、否それどころか。
確かに愛妻(メリアリア)との間においては“ハイラート・ミラクル”を発現させる事が出来たのは大いなる喜び事ではあったモノのしかし、それにしたって何だか訳の分からない、胡散臭い事この上ないパーティー一座と戦闘状態に突入せざるを得なくなってしまったのであって、しかも味方である筈の親衛隊の面々はやる気がゼロと来ている始末である、全く以ていい迷惑とはまさにこの事だったのだ。
挙げ句の果てには。
「うん。でも良かったわ、あなたが無事でいてくれて。だけど・・・っ!!!」
と夫が戦闘中に行った、危険行為の数々を鑑みてメリアリアが些か怒気を露わにした。
「本当にもうっ、あんなに無茶しないでって言ったのにっ!!!本当に心配したんだからねっ!!!!?」
「ご、ごめんよ。メリーッ!!ごめんなさい・・・っ!!!」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
“反省は、してくれているみたいだけれど・・・”とメリアリアは多少、語気を緩めつつも続けて告げた。
「でも帰ったら、今日の事はお仕置きだからね・・・!!?」
「ううっ!!わ、解ったよ・・・!!!」
(怒られてしまった・・・。でも本当に良かったよ、メリーが無事でいてくれて・・・!!!)
「あ・な・た・・・!!?」
「ううっ。な、なんでもありません!!!」
と、少ししょんぼりしつつも蒼太が愛妻との一時を、それでも満喫していたその前方の空間においては、アウロラが着々とヴィクトーから話しを聞き出し続けていっていた、“メイヨール・デュマ”と名乗る謎の男が尋ねて来た事、彼がその一切を自分に対して指示していた事、今日ここに来た面々は“カインの子供達”と呼ばれる一団であった事などを。
「メイヨール・デュマ・・・?」
「そうだ・・・っ!!」
アウロラの呟きに、ヴィクトーは大きく頷いて見せた。
「あの男は只者じゃ無かった、まさしく“黒の男”、それそのものの奴だったのだが・・・。しかしそれだけでは無かった!!」
ヴィクトーは言った、“得体の知れない不気味さを持っていたのだ”と。
「その真実の姿を何一つとして、まるで見通せない男だった、その実力の底など全く知る由も無い・・・」
“そもそも人であったかどうかすらも解らない”と、ヴィクトーは語った、その心は底無しの闇、冷たく冷え切った肝端、凡そ暖かさなど微塵も感じられなかったのだ。
「正直言って胡散臭さ以外の何者でも無かったのだが・・・。しかし私は、私は・・・っ!!!」
“すまないっ!!”とヴィクトーはまた、頭を抱えて俯いてしまった、その口からは嗚咽が漏れており、心底悔やんでいる事が伺えた、ワンマンタイプで聞き分けが無かったとは言えども根が悪人では無かった彼はだから、それ故にずっと苦悩し続けていたのである。
しかし。
「だからと言って・・・。叔父様が為された事は、決して許されるモノではありません、今回はたまたま私達(わたくしたち)が気が付きましたから良かったようなモノの、そうでなければ今頃は、一体全体どうなっていた事か・・・!!」
「そ、それは・・・っ!!」
と姪っ子から突き付けられたその言葉にヴィクトーは思わず呻いて二の句が継げなくなってしまった、それは確かにそうだった、もし今回の事がアウロラ達に露見しなければ、自分は取り返しの付かない過ちと、償い切れない罪とを犯してしまう所であったのだから。
「とにかく。今回の事は父に報告させていただきますわ、話しはそれからです!!」
「う、うむ。そうか、そうだよな・・・!!!」
“すまなかった、アウロラ・・・!!”と力無く、呟くようにそう告げるとヴィクトーは下を向いて黙ってしまった、“うちの姪っ子はこんなにも強くて鋭い娘だったのか!!”と、彼はアウロラの持つ強さ、激しさに今更気付いて狼狽したがしかし、一方でそれは何の贖罪にもならなければ真相究明の助にも役にも立ってはいなかったのである。
「アウロラ、あれを・・・」
「・・・・・」
“取り戻さないと”と告げる蒼太の言葉に頷くと、この青髪の少女は改めて、自らの叔父に向き直る。
「叔父様、なによりもかによりもお伺いしなければならないことがありますわ。“ガイアの青石”はどこにあるのです!?」
「あ、ああっ。あれは私の寝室の中に隠してある、兄上の血で描かれた“遮蔽魔方陣”の施されている布地に包まれてな・・・!!」
そう答えるとヴィクトーは立ち上がり、アウロラ達を三階にある、彼の寝室へと誘(いざな)った、青石は彼の言う通りに特殊な魔方陣の施されている淡い薄紫色の、それなりの厚さのある布地に包まれて衣類の収納されているタンスの棚の奥深くへと仕舞い込まれていたのだ、それを。
アウロラは手に取ると布地を払って直接、自らの掌に収めて見せた、ちょっとした重さと同時に鉱石物特有の滑らかな感触が走ってそれと同時に。
猛烈なまでの神々しさと力の迸りと共に、ある種の懐かしさとが彼女の脳裏を駆け抜けて行き、全身に濃厚な暖かな波動が満ち満ちて来る。
「・・・・・っ!!!!?」
(信じられないっ、なんて力なのでしょう。これが“ガイアの青石”なのですわね!!!)
己の家に代々伝わりし幻の秘宝に触れた事で、アウロラの血肉と魂とは一時的に活性化しており、一種の“オーバードライヴ状態”へと至ってしまうがそれは先程のメリアリアのそれのように、決して体に精神に、無理の掛かるそれでは無かった、それどころか奥底から穏やかなる光の波動がコンコンと湧き上がって来ては、それが彼女に力を与えてくれていたのだ。
「・・・確かに。“ガイアの青石”に間違いは御座いませんわ、私(わたくし)、ハッキリと解りますもの!!」
「・・・・・っ!!!」
「・・・良かったね、アウロラ!!」
(なんだろう、この感じ。初めて見る物の筈なのに、酷く懐かしい感じがする・・・!!)
一方で。
それを見ていたメリアリアもまた、不思議と気分が“落ち着くと同時に高揚していた”、それは蒼太と交わり合う時のような、彼に優しく撫でてもらえている時のようなハッキリとしたモノでは無かったモノのそれでも、まるで大昔の知己に出会ったような、まるで懐かしい親戚のおばさんか誰かに久方振りに訪ねて来てもらったかのような、そんな喜ばしい感覚である。
(何かしら、この感覚。まるで身体中の血潮が騒いでいるみたい・・・!!!)
安堵の溜息を漏らす蒼太の傍らに位置しつつもメリアリアはアウロラの持つ“ガイアの青石”を、だからそう言う意味もあって珍しそうに眺めていたのであるモノの、それは“神の波動”をその身に宿した者の共鳴。
同じく神代(しんだい)からもたらされた神宝(かんたから)を持ち合わせたる者にだけ見られる、まさしく特有の現象でありそれが故にメリアリアは懐かしさを覚えて困惑していたのである。
「・・・・・」
(一体、これは・・・!!?)
と彼女が尚も解らないながらも己の意識の中枢に向けて感覚を集中させては事の真相に迫ろうとした、その時だ。
「・・・・・・っ。あなた?」
「どうしたのですか、蒼太さん・・・?」
「・・・・・っ!!!!!」
(なんだ!!?これは!!!!)
蒼太が何かに“ハッ”とした呈で上を向き、やおらキョロキョロとし始めたのだが彼はその時、ハッキリと感じていたのである、“宇宙が、泣いている!!”と。
そしてそれは間違い等では決して無かった、この時、彼の耳に飛び込んできたのは宇宙の慟哭と星々の悲鳴、そしてー。
“逃げなさい!!”と言う、他ならぬ“地球そのもの”からの警告だった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ふうううぅぅぅぅぅ・・・っ!!!!!」
“事はなったな”と、安堵と喜びの溜息を付きつつも“メイヨール・デュマ”はそう一人ごちた、彼はその時、ガリア帝国の隣国である“チューリッヒ諸侯連邦”の首都であるベルン、その国立図書館の地下深くにある“フリー・ピープルズ”のグラウンド・ロッジにいた、ここが目下の所、今現在のACO、即ち“アンチ・クライスト・オーダーズ”の本拠地となっていたのである。
「この時の為に」
と暗闇の只中で、彼は一人呟いた、“数年掛けて準備してきた甲斐があったと言うモノだ”と。
「“時空召喚魔法”か、私も本格的に用いたのは初めてであったが・・・。これでガリア帝国は終わりだ、夜の帳が降りる頃、どんなに遅くとも本日未明を以てルテティアは、いいや彼の国全てが地球上から消滅する!!!」
そう呟くとデュマは実体を影へと溶け込ませて行った、体を捨てて“霊体モード”へと移行したのであるモノのこれで、万が一にもここまで爆発の余波が及んだとしてでも自身は痛くも痒くも無かった、何故ならば“人間の言葉”を借りるのならば彼は、既に死んでいるのと同義語的存在と化しているのだから。
(直径1キロ以上の鉄鉱石で出来た小惑星が、秒速22キロの速さで激突するのだ、それも単なる隕石等とは訳が違うぞ?此方の数年分の怨念と魔力とをふんだんに送り込んで強化までしてあるそれなのだから、ただ普通に触れただけでも命は尽き果てて、万物は朽ち枯れる。まあそれでも何とか、エウロペの西半分が瓦解するだけで事は足りるだろうモノの・・・。それにしても!!)
とデュマは思った、“相変わらずに、カイザーリンは容赦がない”と。
(自身とて、国を治めている身であられる、と言うのに。・・・いいや、だがしかし、その激しさと容赦の無さこそが、“あのお方”の“あのお方”たる所以であろうよ、いざとなれば自身の国民諸共に全てを抹殺し尽くす事の出来る非情さこそがな!!)
そう思い至るとデュマは。
暗闇の中で凡そ人とは思えない程のおぞましい嗤声を発してその薄気味悪い声紋を、漆黒の中にいつまでもこだまさせ続けていた。
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「隕石ですってっ!!?」
「そうだ!!!」
“ガイアの青石”を確保してヴィクトーを捕縛し、屋敷で待機をしていた蒼太の元へと慌てふためいてやって来たオリヴィアが緊迫した面持ちでそう告げるがその瞳には悲しみと辛さとが満ち溢れていた、どうやら彼女は突入してくる隕石の、それも詳細なるデータを“国立宇宙物理学研究所”の“天体観測警鐘チーム”から聞かされているらしくて今回、このまま事態が進んだ場合の悲惨に過ぎる光景が、脳裏に焼き付いていて離れないのだろう事が伺い知れた。
「隕石の大きさは凡そ1・3キロメートル、突入速度は毎秒22キロでこれは時速に直すと凡そ79200キロとなる、音速の凡そ60倍に近い速度だ。その上突入角度も18・9度、落着予想ポイントはガリア帝国帝都ルテティア、つまり、ここだ!!!」
「・・・・・」
「・・・・・っ!!!」
「嘘でしょう!?そんな事って・・・っ!!!」
蒼太が沈黙すると同時にメリアリアが驚愕の表情を浮かべ、アウロラに至ってはその思いを声にすら出しているモノの、それほどまでにこの時に彼等にもたらされた第一報と言うモノは信じられない程の衝撃力を秘めていたのであって第一、そもそも論的な話しとしてはそれ以前の段階としてはまず有り得ないと断言してしまっても構わない程に、不可解かつ反真理的な出来事だったからである。
「落着予想時刻は今夜20時前後、今が18時過ぎだからあと二時間も無いな、その上隕石に対する詳しい予定は一切不明でこれが早まるか、遅まるかも解らない。ただ一つ、言える事は今夜、ガリア帝国は確実なる終焉を迎える、と言う事だ。正直に言ってこれだけの質量を持ったモノが、これだけの速度で落着したのならもう、どこへ逃げようとも絶対に間に合わん!!」
「・・・オリヴィア、でも」
“おかしくない?”と流石にメリアリアが疑問を提するモノの、彼女としてみればどうしてここに来て急に隕石が地球に向けて落下をし始めたのか、どうしてこうなる前にもっと早くに予想が出来なかったのかが、どうあっても納得、理解が出来なかった為であった。
「だってその為の“国立宇宙物理学研究所”でしょう?その為の“天体観測警鐘チーム”だったんじゃないの!?どうして今まで何にも言ってくれなかったのかしら、あんまりだわ!!!」
「彼等から言わせれば、“自分達にも訳が解らない”と」
オリヴィアが告げるが通常、コリジョン・コースに入る可能性のある天体に関してはかなりの確率で予測、計算も立てる事が数年単位で前もって出来ると言うが今回のそれに限って言うのならば地球周辺を遊泳していたモノの一つが突然、進路を変えて落着コースに入って来たのだという、しかもその上。
「観測時、件の隕石はちょうど地球の影に入ってしまっていたらしくてな。つまりは対象地域が“夜”の状態であった為に尚更、全く発光しない小惑星は見つけられ難かったらしいのだ、それで発見が遅れたらしい・・・」
「そんな事って・・・!!」
「各国の宇宙観測所等からも、同様の声明が発表されてガリア帝国正統政府及び、各国首脳に届けられているらしいのだ。・・・流石にまだ、一般人に対する発表は行われてはいないがそれでも、国境周辺の街や村々の内、幾つかには“退避命令”が通達され始めたらしい・・・」
「・・・・・」
「そっか。国境近くの村々ならば、ルテティアからも離れているし・・・」
「パスポートとビザさえあれば、簡単に他の国へと逃げられますモノね・・・」
メリアリアとアウロラとがそれぞれ、納得したように呟くモノのあと数時間の後には自分達が死ぬかも知れない、と言うのにこの子達はと蒼太は思った、こんな時でもパニックを起こすどころか腹を決めては気を確(しっか)りと持ち、恐らくはこれからも生きて行くであろう他人の心配をしているのである、それを見たときに蒼太は思わず、心と目頭の熱くなるのを感じた、人間の本性はこう言う時に出るのであり、そして自らの愛して止まない妻が、思いを寄せてくれる女性がそう言う人間であったと改めて知ることが出来た蒼太はだから、感動で胸がいっぱいになると同時にやはり、何としてでもこの子達を守り抜かなくてはならないと心に決めて、ある決断を下す事にしたのだ。
「メリー、アウロラ。そしてオリヴィア」
「・・・・・?」
「・・・・・!!」
「どうしたのだ?一体・・・」
「お願いがある」
蒼太は告げると彼女達に告げたのである、“あの隕石は自分が必ず何とかする。だから自分が良いと言うまでは目を瞑っていて欲しい”と言って。
「ええっ!?あの隕石を・・・!!!」
「そんな、でも・・・!!?」
「可能なのか?そんな事が・・・!!!」
三人が見せる戸惑いに、蒼太はそれでも力強く頷いて応えると、親衛隊の面々にも同じ事を告げて了承を求めた。
「君達も頼む。ちょっと物凄い力を使うからね、“人間が見てしまうと”、“余りの光量の多さに失明してしまう”かも知れないんだ!!」
「えっ!?目が見えなくなっちゃうんですか?」
「そりゃ困るっす、勘弁っす!!」
「頼まれなくても、見ないようにします!!」
「・・・うん。なんか微妙だけれども、有り難う。感謝するよ!!」
そう告げると蒼太は改めてメリアリア達へと向き直るが、この時にはもう、彼女達もそれぞれ、覚悟を決めた顔になっていた。
「解ったわ、蒼太!!」
「何をするつもりかは、存じ上げませんけれども・・・!!」
「私達は君を、信じる事にする!!」
「・・・・・っ!!!」
それぞれ、全幅の信頼を寄せつつも、笑顔で応じる愛妻達に蒼太は一言、“有り難う・・・!!”と告げては照れたように下を向くモノの、やがて。
「ヴィクトーさん、ちょっと庭をお借りします」
「そ、それは別に構わんが・・・。一体、何をする気かね!!?」
ヴィクトーも事態が事態な為に、一も二もなく蒼太に同意するモノの、蒼太はメリアリア達に頼み込んだ、“急いでこの場から離れるように”と。
「出来たら、半径500メートル以上は離れていて欲しいし、なるべく建物の中に居てもらいたいんだ!!」
「そ、それは良いけれども・・・。でもあなた、そしたらどうやって私達に指示を出すつもりなの?」
「そ、そうです。確か目を瞑っていなければならないのでしょう?」
「大丈夫・・・!!」
些か慌てるメリアリア達に、蒼太は穏やかに応じて告げた、“必ず、君達に解るようにするから”と。
「だから安心して欲しい、必ず君達を守るよ、約束する!!」
「「「・・・・・」」」
「・・・・・」
「「「・・・・・」」」
「・・・・・」
「「「・・・・・」」」
「・・・・・」
「「「・・・・・」」」
「・・・・・」
「「「・・・・・」」」
「・・・・・」
「「「・・・・・」」」
「・・・・・」
“解ったわ!!”と暫しの沈黙の後に、メリアリアが告げた、“あなたの事を、信じてる!!!”と魂の底からそう言って。
「何があっても、ずっとずっと信じてるわ。今までも、そしてこれからも。ずっと、ずっと・・・!!!」
「私達も、蒼太さんの事を信じています。だから・・・!!!」
「頼んだぞ、蒼太・・・!!!」
「ああ、勿論だ!!!」
全員からの返答と声援に、決意を込めてしかし、明るい笑顔でそう答えると、蒼太は早速に、メリアリア達を始めとする伴侶や恋人、仲間達を屋敷のメイドや執事達共々門の外まで送り出し、“事が終わったら自分の方が君達に合流するからその場で待つように”と告げて、自らは屋敷の敷地の中央部、モダンな噴水が設置されている場所へと戻っていった、そうしておいてー。
付近に誰もいない事を確認した後、自身の周囲に強力なる“時空断絶結界”を張り巡らせては“神人化”の祈りを行い、自らを“現人神”にまで昇華させると隕石がやって来る空中目掛けて両手を掲げ、その掌から己が身に宿っている、極めて超多量かつ凄絶無比なる次元跳躍波動係数を誇る“神力エネルギー”を迸らせ始めた。
それは金色とも白とも青ともつかない、ただただひたすら眩しくて暖かい、比類無き程にまで強力常離な波動オーラのエネルギー放射帯そのものであって、この世のどんな法力すらも及びの付かない、まさに“多次元超越波動粒子”とでも呼ぶべき程の“高次元エネルギー力場”生成の瞬間だったのだ。
蒼太はそれを、この世で暮らす余人達や、動植物等に不要な影響を与えぬようにと自身の遥か上空の空間で極一点にまで超集約し始めており、しかもそれを核として様々な時空軸線の“神界”から“神々の命と波動”を流入させては巨大なる光の玉を形作って行ったのだ。
(“祈り”の波動は時空を超える。何故ならばそれは最も純化した“意思エネルギー”の結晶であり、突き詰めて行けば宇宙の大いなる根本にして始原なる神、“創造”に通じるものだからだ!!創造が発する力と同等、同質の波動法力を持ち合わせるモノである“祈り”はだから、各時間軸のみならず次元をも超える振動数を発生させては様々な世界線そのものに影響を与え続けて行く・・・!!!)
“ましてや”と蒼太は思った、“神の意思が加わっているのならば尚更だ!!”と。
そしてそれらが決して誤り等では無い事を、“必殺の神威”を生成しつつも彼自身がハッキリと感じ取っていたのであるが、“神”と言う8次元以上の超時空的存在となった今の蒼太の放つ波動は平行世界の各所に影響を及ぼし続けているのであり、そしてもっと言ってしまえばそれはそれらの世界全てにおいて、“同時に自分が存在している”事と全く同義語的意味を持つのであって、現に今現在、上空に顕現している波動光球からはだから、様々な世界軸線からのエネルギーが流入して来ておりその威力は恐ろしいまでに高まりつつあった。
それというのも、蒼太が今、この世界で発動させようとしている“神威”は同時に重なり合って存在している様々な平行世界においても生成が為されている状況になっているのであり、その全てがお互いに影響を及ぼし合っている訳であって、そのお互いのお互いに対する何重にも及ぶ照り返しとエネルギー光球同士の度重なる干渉、合体の結果としての神威の威力は元の次元をも遥かに超えて何乗の何乗の何乗倍にも倍加、精斂されて行っていたのでありそれは最早、“ハイラート・ミラクル”の及ぼすエネルギー波動の影響力すらをも圧倒的なまでに上回る程に増大の一途を辿っていたのだ。
「くううぅぅぅ・・・っっっ!!!!!」
(こ、このエネルギーの輻射量はっ。余りにも危険すぎる、結界を張っていなければ、この身体でも耐えられたかどうか・・・っ!!!)
思わず蒼太が呻くモノのそれだけ、この時のエネルギーの総量は絶大なるモノがあったのであってコントロールが難しく、またその輻射熱というモノも想像を絶するモノがあったのだ。
やがて。
「・・・・・っ!!!!!」
(“出来た”!!“神威”を生成し終えたぞっ!!!)
蒼太がハッとなって上空を見上げると、そこには太陽のように金色に光り輝く超巨大煌球が出現して滞空しており、その周囲には凄まじいまでの量子プラズマ波動光子が迸っていた、それだけではない。
周囲からはそこへと向けて風や物質、エネルギー等が際限なく流入しており、一種の“ミニブラックホール”のような様相を呈していたのであるがそれを見た時。
蒼太はメリアリアの事を強く思った、彼女の心で感じて頭で“今から目を瞑っていて!!”と強く念じて語り掛ける、すると。
殆ど反射的に“あなた!!!”と言う嬉しそうな思いが頭の中に響き渡って来た、それに続いて。
“愛しい”、“大好き”、“会いたい”、“寂しい”、“不安だわ”、“恐いわ”と言う思いが同時に次々と入れ替わり立ち替わり、彼女の魂から蒼太の頭の央芯部分へと向けて送り込まれて来る。
(もう少しだよ、必ず君を守ってあげるからね!!今からアイツを破壊するから、“良いよ”と言うまで目を瞑っていて、もし車に乗っているのならば一旦止めて、全員で下を向いて目を瞑っているんだ!!!)
(解ったわ!!!)
そんな愛妻との念話を終えると。
蒼太はいよいよ、“神威生成”の最終段階に入ろうとしていた、出現させた超巨大煌球の後ろ側部分に、蒼太はわざと最後の最後で暴走する波動力場を作り出し、そこへ向かって自身の法力を物質化寸前まで凝縮させた上、神威の名前を唱えて命を吹き込み、この世に顕在化させると同時に後ろから撃鉄の要領で隕石目掛けて押し出したのだ。
「神威・神風迅雷っっっ!!!!!!!!」
その閃刻の極瞬の、刹那にも満たない僅かな間に。
顕現した“それ”は超絶的なまでの質量とエネルギーとを併せ持ったまま“キュオオオオオォォォォォォォッッッッッ!!!!!!!”と言う独自の高音を発して一瞬、更に極大化して行き、元の数倍の大きさにまで膨れ上がった直後に一挙にー。
一方向へ向けて弾け飛び、それと同時に集束された怒濤のバースト波動流が光速を遙かに超える速度でギャオオオオオォォォォォォォッッッッッ!!!!!!!と言う爆音と同時に疾走して行った、激烈極まるその奔流はまだ肉眼でも見えるか見えないかの位置を地球へと向けて落着コースに入っていた圧縮された鉄鉱石の塊である巨大超高速隕石を、僅か0.0000000000001秒にも満たない時間で完膚なきまでに打ち砕いて蒸発させ、そこに纏わり付いていた魔力も怨念も、あっという間に浄化させては雲散霧消させてしまった。
「・・・・・ッッッ!!!!!?」
(バカな・・・っ!!!)
一方、ちょうどその頃。
“エイジャックス連合王国”の“ヴァッキンガム宮殿”において“夜の茶会”を楽しんでいた“彼女”は信じられないモノを見た、それは即ち、ガリア帝国の方向から一筋の光の束が宇宙(そら)に向かって疾走して行き、その直後に。
星空が一瞬、真っ昼間のように明るくなったと思ったら次の瞬間、自らの魔力の反応が、完全に消失し尽くしてしまったのであるモノの、それはまさに“無限大質量放出”と呼ばれている現象であって“龍神の咆哮”、“オメガニック・バースト”の名前で通っていた“対天体防御”の非常手段、“超時空法撃”の一種だったのである。
「・・・・・」
(信じられん、またしても・・・!!)
“失敗したのか、デュマの奴め!!!”と内心臍を噛んだ“彼女”はしかし、その直後にはもう既に、“次の手”を考え始めていた、こんな事で一々驚いてはいられないし、そんな事をしている場合ではない。
(あの人の、夫の悲願を何としてでも叶えてやろう。この私の全ての魔力、能力に代えたとしてでも!!)
“それにしても”と同時に“彼女”は考えた、“一体何者の仕業であろうか”と。
(誠にもって信じられぬ、かつての神々のやりようを、そっくりそのまま再現してやろうかと思っていたのだが・・・!!!)
どうやら“運命”は此方の想像した以上の手駒を送り込んで来ているようだ、成る程これからば“カインの子供達”が打ち破られたのも頷けるが、しかし。
(・・・まあ良いわ)
と“彼女”は思った、まだまだ此方にも手駒があるし、時間も資金も手段もある、慌てる事等何も無い、却って余興が一つ増えて、面白くなったではないか。
(とは言えども、だ。このままでは格好がつかないな・・・)
“後でまた、デュマのヤツを叱ってやるか!!”等と考えながらも“彼女”はティーカップになみなみと注ぎ込まれていた、熱々のロイヤルミルクティーを二口三口と喉奥にまで流し込んで行ったのだった。
ーーーーーーーーーーーーーー
以前から度々、お話しさせていただいていましたね、“自分の体力や生命力、精神力等を全てエネルギーに直して真正面から撃ち合った場合は蒼太君の方がメリアリアちゃん達よりも、3倍強~4倍弱くらいは強いです”と。
今回はその具体的な術式(神威)についてのお話しでしたがでは一体、蒼太君が使っている“波動エネルギー”とはなんなのでしょうか。
それを説明するためにはまず、“人間とは何か”と言う所から始めなければなりませんがそれを超簡潔かつ、極めてシンプルに、解りやすく説明させていただきますと、人間とは“宇宙最大の愛の顕現”でありその身に永遠なる不滅の霊性、即ち“神の分け御霊”を宿している存在、と言う事になるのです。
ちなみに皆様は宇宙がどうやって創造されたか御存知ですか?
今の一般的な見解では“ビックバン”によって生み出された、とする説が有力ですが、では“ビックバン”はどうやって引き起こされたのでしょうか。
勿論、これに対する答はまだありません、と言うよりも誰もそんなモノを観測出来ないために、証明のしようが無いのです。
そこで登場するのが近年、科学者達によって提唱されている、“サムシング・グレート”と呼ばれている存在です。
基本的に彼等は“神”を認めませんがしかし、“宇宙論”や“量子力学”を専攻している研究者達の間では、“正体不明なる偉大なる何かが存在しており、それが万物を創成しているとしか思えない”とする考え方が生み出されて来ているのです(マクロな宇宙を観測したり、または超微細な世界を測定するとどうもそうとしか思えない、と言う結論に達するそうです)。
この“何者か”を、科学者達はそれでも決して“神”とは呼ばずに“サムシング・グレート”、即ち“偉大なる何か”と呼んでいるのです。
ちなみに私に色々な事を教えて下さった方々はこの“サムシング・グレート”の事を“宇宙創造能力”、通称“創造”と呼んでいました(彼等でもそうとしか呼び表す事が出来ないそうです)。
彼等から聞いた話によれば最初、宇宙も何も無い“無”から“創造”が生まれ、そしてこの“創造”こそが宇宙を創造したのだそうです(私はこの物語においては“大いなる宇宙の深淵に宿りし根源の意思”こそを“全ての始まりの始まり”にして“万物を生み出しし根本の神”と定義しているのですが、彼等から言わせると、“神”も“宇宙”も全て“創造”によって生み出された存在なのだそうです)。
“創造”は宇宙を創造する(それも多次元的宇宙をです)と同時に自らの分身として働く、即ち“宇宙創造”を手伝ってくれる“根本創造神”を創造したのだそうですが、彼等は更に“創造神”を、そして“創造神”は“宇宙神”を創造し、“宇宙神”は“銀河神霊”を、“銀河神霊”は“星座神霊”を(ただしこの場合、地球で定義されている“星座”とは必ずしも一致しません)、そして“星座神霊”は“各太陽系惑星神霊(及びその眷族)”をそれぞれ創造し続けて行き(ここまでが所謂(いわゆる)“天つ神”となります)、最後に“国つ神”が生み出されて行った“らしい”のです(皆様方ごめんなさい、私も聞いた話でして、自分で確認した訳ではありませんのでこう言う風にしか言えないのです。あとちなみに、なのですけれども宇宙は彼方此方(あちらこちら)に無数に存在しているらしくて、その中でも特に、私達の宇宙を司っておられる宇宙神こそが、“記紀神話”の冒頭にチョロッとだけ出て参ります、“別天神(ことあまつかみ)”の一柱にして始まりの神、“天御中主神”だそうです)。
ちなみにどうやって創造が神を、そして神々が神々を創造して行ったのか、と言いますと、これは第104話、105話の前書きでチョロッと説明させていただきましたが、“その役割や存在意義に相応しい、最もバランスの取れている愛の形をイメージ”して、“それに則って創造を行っていった”そうなのですが。
神様を生み出す場合は単にそれだけでは足りませんでした、何しろ自らの分身として宇宙創成を共に手伝っていってもらわなくてはなりません、そうなりますとまず、根本である“創造”の持っている意思や願いをキチンと受け継いでいなければならず、また能力も受け継いでいなければなりませんでした(そうでなければ出来上がった宇宙が歪なモノになってしまいますから)、その上。
何よりも必要だったのが万物を(この場合特に被造物の全てを)教え導くための、照らして進化の道筋をキチンと指し示すための“絶対的な愛”でした(これはもう一つ、自分自身が途中で変な道に入り込んだり、迷って堕ちる事が無いようにする為にも必要な処置だったのです)、その為“創造”は“根本創造神”創造の際に、そして“根本創造神”は“創造神”創造の際に、更に言えば“創造神”は“宇宙神”創造の際に(ごめんなさい、後は以下略でお願いします)、ありったけの愛と願いとを注ぎ込んだ挙げ句に自らの分身(これを“分け御霊”と言います)すらをも分け与えて“神生み”を行っていったのです。
そしてー。
神々は“創造”の願い通りにこの宇宙の様々なる場所に、様々なる種族、種類の存在を生み出して行きました、そしてやがてはー。
その究極の愛の形とも言える存在、所謂(いわゆる)“人間”を生み出すに至っていったのですが、人間達にはある重要なる役割が課せられていました、それはこの物質世界、即ち“三次元世界”において、神々や創造の愛を、意思を体現して生き、その光を温もりを、世の隅々まで行き渡らせる、と言うモノです。
と言うのは神々や創造は当初、この三次元世界における存在、魂達にはわざとノータッチで好きなようにさせておき、彼等がどのような進化を辿るのか見てみたい、と言うちょっとした遊び心を持っていたらしいのです。
なので新しく生み出された魂も未熟で真っさらなまま(ただし一応、それでも根本に愛の光、輝きは宿させはしましたが必要最低限のモノしか与えられなかったようです←彼等も一応、“愛”から生み出された存在ですから“愛”を持ってはいるのですね。・・・ただしそれは、本当に申し訳ないのですけれども正直な事を言ってしまいますと、“完璧な形”には程遠かったそうなのです。ただ最初は神々も“それで良い”と思われていたそうなのです、つまりはそう言う不完全さをどうやって覆して行くのか、それが見物だな、等と思っていたそうなのです)、各地上の生き物達として逐次投入されて行ったそうなのですが。
結果は惨憺たるモノでした、彼等は無法を自由と勘違いして思いやり、優しさをいつまで経っても持たずにおりその結果、何処も彼処も“弱肉強食”の超競争的なる暴力社会が生み出されて行ってしまったらしいのです。
そこで急遽、彼等を教え導くための存在が必要になりました、“それ”は天(神々)と地(生物達)の間に立って天の意思を地に知らしめる、そして暴力と競争とが蔓延してしまった世の中を再び、“愛”と“光”で満たすための力と輝きとを併せ持った、全く新しい“生命体”。
それこそが即ち“人間”でしたが、彼等を創造する際に、神々は自らの姿に模して(多分、自分達が肉体を持ったらこんな姿になるのだろうな、と言うのをイメージしながら創造を行ったのだと思います)、そして自分達の親が(即ち“創造”や“創造神”、“宇宙神”等が)やってくれたように、自らの持つありったけの愛と願いとを注ぎ込んで、更には自らの分霊まで与えて存在となさしめたのです。
それ故に、人間には他の動物達に比べて格段に深くて複雑な愛が、優しさが、そして知能がありますし、それと並んでもう一つ、ある特徴が御座います。
世界を、宇宙を、文明を、文化を“創造する事が出来る”と言う事です。
例えとして挙げさせていただきますけれども、皆様方におかれましては“四大文明”と言う言葉を聞いた事は御座いませんか?“~~文化”と言う言葉を聞いた事は御座いませんか?あれは人間だけが成し得た事です、即ち。
“無”から“概念”を作り出し、更にそれを形に変えた、と言う事なのです(文明や文化とは、そう言ったモノの象徴なのです)。
また皆様は漫画やアニメを御存知ではありませんか?(例えば“宇宙戦艦ヤマト”や“ドラゴンボール”、他にも“ドラえもん”や“クレヨンしんちゃん”とかでも構いません、なんでも良いのです)彼等だって最初は概念、もっと言ってしまいますと作者の“妄想”でしかなかったんです、それが形になり、皆様に受け入れられては世界となり、宇宙となっていったのです(二次元と三次元の違いはありますけれども彼等は確かに、存在しているのです)。
そしてそう言う事が出来るのも、人間だけの特権であり、そして人間が“神の分け御霊”を、即ち“創造能力”を分け与えられている確かなる証拠なのです(これは間違いなく、他の動物には出来ない事です)。
他にも動物には“感情”はあっても“愛情”は無い(“所詮は犬畜生”と言う言葉も御座います通り、仮にあったとしても、人間のモノほど完璧で複雑なモノではありません)、等の明確な違いも多々御座いますが、取り敢えずはここまでにしておきます(話しが横道にそれてしまいますから)。
話しを元に戻します、人間にはつまり、“創造”から続く、“宇宙創成の能力”が備わっている訳であり、その最大の“愛の顕現”としての光、輝きが内包されているわけなのですが。
これは=で、もう一つのある事実を指し示している事にもなります、即ち人間とは真理の塊である、と言う事実です(これは考えていただければすぐに“そうだ”とお解りいただけるかと思います)。
宇宙を作り出したる“創造”の魂を受け継ぎし“神々”、その分け御霊を与えられている“人間”は即ち、それそのものが(本来であれば)“究極なる愛の顕現”であると同時に“大いなる真理”の内包者であり体現者である筈なのです(残念ながら“地球人類”はまだまだそこまで至っていない方々の方が多いですが←勿論、私も含めてです)、そしてそんな私達の身に宿るエネルギーとは即ち、“多次元超越波動粒子”、通称“宇宙エネルギー”とでも呼んで差し支えないモノの筈なのです(宇宙を創造した“創造”のエネルギーであり遍(あまね)く宇宙に満ち満ちている“愛と生命の顕現である光のエネルギー”と言う意味での名称です)。
勿論、蒼太君の扱う“波動エネルギー”もそれに当たりますが(これを何と呼んで良いのか解らない為に便宜上、そのまま“宇宙エネルギー”と呼ぶことに致します)、蒼太君はこれを極限まで高め、更には絶大なる量を収集、超圧縮して極一点にまで纏め上げては球形状に精製する事により“神威・神風迅雷”、即ち“オメガニック・バースト”を発動させました。
ちなみにモデルになった技は何か、と申しますと皆様はきっと“ドラゴンボール”の“かめはめ波”だと思うでしょうが、違います。
あれは“宇宙戦艦ヤマト2202”に出て来る超絶決戦兵器、“トランジット波動砲”をその大元モデルにしているのです(そこに独自の科学的見解を入れているのです)が、実は近年の研究で“宇宙空間は光速を超える速度で膨張を続けている”事が解って来ているのだそうですが、ただし。
皆様方も御存知なように、あらゆる物質は“光の速度”を超える事は出来ません、ではどうやって宇宙は光速を突破しているのでしょう?。
答は“空間だから”だそうです、即ち、確かに物質は光速を突破できないが“空間”ならば光速を突破する事が出来るのではないか?との予測、理論が科学界においてはなされ始めているのだとか(もしこれが事実ならば超光速移動航法、即ち“ワープ”も実現可能となりますし、またもう一つ、宇宙戦艦ヤマトにおける“波動砲”の理論、威力、効能も全てが書き換わる事になります←あれは“空間”や“余剰次元”を爆縮放射させる事により周辺宇宙を歪曲させ、相手をグチャグチャに引き千切って撃破殲滅する兵器でして単なるレーザービームとはそこが全く違います、要するに一種の“移動性ブラックホール砲”な訳です)。
もし、空間が光速を突破する事が出来るのであれば、既存の時空法則理論が書き換わる、とまでは行かなくとも新たなる1ページが刻まれる事は間違いないでしょうし、何よりかにより“空間はワープを行える”となれば(つまりは“時間の流れ”を突破する事が出来るのならば)それを利用する兵器である“波動砲”は単なる三次元空間のみならず、“時間”をも穿てる事となり(少なくとも“時の流れ”に干渉する事が出来るようになり)その結果、“超時空砲”つまりまさしく“次元波動砲”となる訳ですが、今回はその予測理論と科学的可能性に基づいて新たなる“法撃技”を作り出し、劇中に登場させてみました、皆様方におかれましては何卒御理解いただけますように、伏してお願い申し上げます(ちなみに“法撃”と言うのは“法力を用いた攻撃”の事であり別段、誤字脱字ではありません)。
敬具。
ハイパーキャノン。
追伸です。
皆様方にもう二つだけ、お伝えしておかなければならないことが御座います。
先に三次元世界での生物達の有り様の下りで、私はこんな事を書かせていただきました、“不完全なる魂を持った者達が、どうやってその不完全さを覆して行くのか見物だと、神々は思っていた”と(そして結果は惨憺たるモノだった、と)。
実はこれ、三次元世界だけでは無いのです、と言うのは本当に時々なのですけれども、神々の世界においても“不完全なる神魂”を持った神様が生み出される事があるのだとか。
どうしてか、と言いますと、先に挙げた理由です、即ち“不完全なる魂を持った者達が、どうやってその不完全さを覆して行くのかを見てみたい”と、“上の神々”も思われる事があるそうなのですが。
そうして生み出された(と言ってもごく稀にですが)神々の内大半は、立派にお務めを果たされるのですが、それでも時折、道を外れてしまう神がいらっしゃられるそうなのです、そしてそう言った神様が所謂(いわゆる)“邪神”だったり“大魔王”に堕ちてしまうそうなのです(そう言った存在と言うモノは、自らの愛を見失い、それと同時に“親の愛”をも忘れてしまってそうなってしまうのだそうです←また中には凶悪なる悪霊が力を付けて、自ら勝手に“邪神”等の称号を名乗る場合もあるそうです)。
これを聞いた皆様方の中には疑問に思われる方がいらっしゃられるのではありませんか?どうして神々は未来が見える筈なのに、それを防ごうとはしないのか、と。
答は二つ御座いますが、先ず一つはそうした自分自身達の予測をそれでも、“良い意味で覆して欲しいから”であり、そして二つ目が、もしどうしても魔道に堕ちてしまった場合は“正しき道を歩もうとする者達に対する試練としての必要悪”としての役割が待っているから、なのだそうです。
そしてこれは、特に二つ目の場合についてなのですが、その必要が無くなった場合にはその存在は宇宙から完全に抹殺されるそうです(これを“消滅”と言います)、ちなみにこの話しを聞いて“恐い”、“嫌だ”ですとか、“いくらなんでも冗談だろ?でも本当だったらゾッとするわ!!”でも何でも良いんです、要するにそれに対して恐怖や不安、抵抗の僅かでもある方(暗い気持ちになる、とかでも良いのですが)。
そう言った方は大丈夫だそうです、それは正常な反応だと言っていました(自分は消滅したくない、即ち“存在していたい”と言う確固たる意思がある方なので大丈夫、との事でした、心配はいりません)←そもそも普通に生きている限りにおいて(どんな境遇にある方でもですが)、消滅される可能性は120%ありません、繰り返しますが普通は無いんです。
寧ろ心配なのはこれを聞いても特に何にも感じない人々の方だそうです、そう言う人達というのはもうどうあっても救われる可能性が無いために、宇宙からの慈悲でその瞬間まで苦痛を味あわないようにされているそうなのです(宇宙は無駄な事、余計な事をしませんから)。
そしてあともう一つ、皆様方にお断りさせていただきたい事があるのですけれども、“龍”と“龍神様”は違います(微妙に違うんだそうです)、ではその違いはなんなのか、と申しますと、それは“秘密”なのだそうです(ちょっと残念ですね、私も聞きたかったのですが)。
そう言う事で御座います。
「も、申し訳御座いません。“キング・カイザーリン”・・・!!」
“カインの子供達ともあろう者が!!”と些か興奮気味に語られるその言葉の連綿に、暗闇の只中において、デュマはただただ平服していた、相手は“影”だけの存在であり、そこに実体は存在していない。
ただし話し口調と声色から“女”だとは解った、それ以外の事は不明である。
「残念だ、極めてな。目障りな事この上ないガリアを骨抜きに出来る、千載一遇の機会であったと言うのにな・・・!!」
「はは、誠に申し訳なき次第にて・・・!!」
デュマが多少、緊張した面持ちのままで、それでも恭しく頭を下げるが内心、彼は怯えきっていた、下手をするならば自分など、その口から燃え盛る火炎を浴びて直ぐさま“消滅行き”だろう。
「“ガイアの青石”、あれを奪えなかったのも残念だった。跡形も無く打ち砕いてやろうと思っていたのに。それさえ出来ていたのならば・・・!!」
“声の主”はやや、忌々しげに呟いた、“フォンティーヌも終わりになっていたであろうに”と。
「無念じゃ、つくづく口惜しいっ!!“カイザー”に何と報告すれば良いのやら・・・!!」
「・・・・・」
「ゴールデン・ダイヤは。“黄金の光輝玉”はどうなっているのかっ、行方位は解っているのであろうなっ!!?」
「は、はっ!!申し訳御座いません、カイザーリン。目下全力で捜索しておりますモノの、こちらも未だに・・・!!」
「お前がいて、手掛かり一つ掴むことが出来んとはな!!」
“カイザーリン”と呼ばれた“影”は一瞬、怒気を極大化させたと思うとしかし、次の瞬間臍を噛んではその場で大きな溜息を付いた。
「夫も。“カイザー”も待ち侘びている、と言うのに・・・」
「誠にもって、遺憾ながら・・・!!」
「もう、良い・・・」
申し訳なさと心苦しさ全開で為されるデュマの贖罪の言葉と現状報告に、些かうんざりしたかのような口調で“カイザーリン”はそう応えた、“やり方が、生易しすぎた”と。
「やはりここは、強硬で行くか、当初の予定通りにな。デュマよ、解っているであろうな?」
「お、お言葉ですがカイザーリン。それではガリア帝国そのものが破滅する事になりまするぞ!?」
「そうしろと、言っている!!」
“何を今更・・・!!”と、カイザーリンは吐き捨てるように、それでいてやや呆れたような声色で言い放った、その態度からは焦りと同時に余裕と言うか、ある種の失望が感じられる。
「お前は時々、物解りが鈍くなるな、デュマよ。どっちみち、青石もゴールデン・ダイヤも諸共消失させる腹積もりであったのだ。取り立てて慌てる事も無かろう・・・?」
「し、しかし。ガリアは・・・!!」
「ガリアなど、どうなっても良い。呪法の発動は可能だな?」
「はっ、カイザーリン・・・!!」
「明日には最早、ガリア帝国は消失する。そうなればまた一歩、我々の復讐はなるのだ!!・・・解るな!?」
「勿論で御座います!!」
「では後は全て任せる、我が右腕よ。お前達は“霊体”になって帰ってこい、“三次元世界”の奴らは根刮ぎ抹殺してやるっ!!!」
そう告げると“カイザーリン”は通信を切った、後には物音一つしない静寂と共に、辺りを覆い尽くして食い潰すかのような、漆黒の暗闇だけが、どこまでもどこまでも広がっていた。
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「叔父様・・・っ!!!」
「ア、アウロラ・・・ッ!!!」
一方その頃。
ヴィクトー邸の応接室では姪と叔父とが再びの対面を果たしていた、しかし。
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
それは“感動の対面”等では間違っても無かった、それどころかアウロラは“どうしてこんな事をなさったのですか!?”と彼女にしては珍しく、面持ちと語気とに怒勢を混ぜてこの憐れな身内者の表情をキッと見据えて問い詰めていたのだ。
「ゆ、許しておくれアウロラ!!私には他に、どうにも出来なかったのだ!!!」
姪っ子からの追求に、ヴィクトーはソファにグッタリと腰を降ろしたままで、両手で頭を抱えながらもワナワナと震えていた、酒はとっくに切れていた、というよりは飲んでも飲んでも酔えなかった、全てが恐怖と後悔と苛立ちと焦燥とに変わって行って、“こんな事ならば何もしなければ良かった”と、そんな事ばかりを考える。
「叔父様が為された事が、どれだけ多くの方々に御迷惑と御心配をお掛けした事か、お解りになっておられますか!!?」
「私には他に、選択肢など無かったのだ!!あのまま行けば私には最早、一族の中で居場所など、少しも残りはしなかったであろうし一生、後ろ指を指されながら生きて行かねばならなくなる所であったのだから・・・!!」
「オーバーに過ぎますわ、叔父様は・・・!!」
蒼太達に見せる、気の強くてお転婆な顔と違い、あくまでフォンティーヌの令嬢らしく振る舞うアウロラの顔にはしかし、若干の免赦の色が浮かび上がって来ていた、取り敢えずは現状、ヴィクトーは誰とも何の取り引きもしておらずに、また先の介護関係のそれを除けばフォンティーヌに与えた損害も無い、事も一族内部への迷惑行為だけで済んだ、後は彼女の父であり現当主であるエリオットの判断次第であるが、恐らくは大事にはならないであろう。
「だけど良かったよ、今回の陰謀を撥ね除ける事が出来て・・・!!」
そんな彼女のやや背後、壁の側に立っていた蒼太が隣にいた愛妻(メリアリア)と共にヒソヒソ声で話し掛けるモノの正直、彼としてみれば終わって後から振り返ってみれば、地味に大変だった、と言うよりも意外に手間取ったと言う印象の方が強かった、何しろヴィクトー一人の為に九日間近くも見張りに立たされ、この間彼もメリアリアもどこにも行く事が出来なかったのである、否それどころか。
確かに愛妻(メリアリア)との間においては“ハイラート・ミラクル”を発現させる事が出来たのは大いなる喜び事ではあったモノのしかし、それにしたって何だか訳の分からない、胡散臭い事この上ないパーティー一座と戦闘状態に突入せざるを得なくなってしまったのであって、しかも味方である筈の親衛隊の面々はやる気がゼロと来ている始末である、全く以ていい迷惑とはまさにこの事だったのだ。
挙げ句の果てには。
「うん。でも良かったわ、あなたが無事でいてくれて。だけど・・・っ!!!」
と夫が戦闘中に行った、危険行為の数々を鑑みてメリアリアが些か怒気を露わにした。
「本当にもうっ、あんなに無茶しないでって言ったのにっ!!!本当に心配したんだからねっ!!!!?」
「ご、ごめんよ。メリーッ!!ごめんなさい・・・っ!!!」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
“反省は、してくれているみたいだけれど・・・”とメリアリアは多少、語気を緩めつつも続けて告げた。
「でも帰ったら、今日の事はお仕置きだからね・・・!!?」
「ううっ!!わ、解ったよ・・・!!!」
(怒られてしまった・・・。でも本当に良かったよ、メリーが無事でいてくれて・・・!!!)
「あ・な・た・・・!!?」
「ううっ。な、なんでもありません!!!」
と、少ししょんぼりしつつも蒼太が愛妻との一時を、それでも満喫していたその前方の空間においては、アウロラが着々とヴィクトーから話しを聞き出し続けていっていた、“メイヨール・デュマ”と名乗る謎の男が尋ねて来た事、彼がその一切を自分に対して指示していた事、今日ここに来た面々は“カインの子供達”と呼ばれる一団であった事などを。
「メイヨール・デュマ・・・?」
「そうだ・・・っ!!」
アウロラの呟きに、ヴィクトーは大きく頷いて見せた。
「あの男は只者じゃ無かった、まさしく“黒の男”、それそのものの奴だったのだが・・・。しかしそれだけでは無かった!!」
ヴィクトーは言った、“得体の知れない不気味さを持っていたのだ”と。
「その真実の姿を何一つとして、まるで見通せない男だった、その実力の底など全く知る由も無い・・・」
“そもそも人であったかどうかすらも解らない”と、ヴィクトーは語った、その心は底無しの闇、冷たく冷え切った肝端、凡そ暖かさなど微塵も感じられなかったのだ。
「正直言って胡散臭さ以外の何者でも無かったのだが・・・。しかし私は、私は・・・っ!!!」
“すまないっ!!”とヴィクトーはまた、頭を抱えて俯いてしまった、その口からは嗚咽が漏れており、心底悔やんでいる事が伺えた、ワンマンタイプで聞き分けが無かったとは言えども根が悪人では無かった彼はだから、それ故にずっと苦悩し続けていたのである。
しかし。
「だからと言って・・・。叔父様が為された事は、決して許されるモノではありません、今回はたまたま私達(わたくしたち)が気が付きましたから良かったようなモノの、そうでなければ今頃は、一体全体どうなっていた事か・・・!!」
「そ、それは・・・っ!!」
と姪っ子から突き付けられたその言葉にヴィクトーは思わず呻いて二の句が継げなくなってしまった、それは確かにそうだった、もし今回の事がアウロラ達に露見しなければ、自分は取り返しの付かない過ちと、償い切れない罪とを犯してしまう所であったのだから。
「とにかく。今回の事は父に報告させていただきますわ、話しはそれからです!!」
「う、うむ。そうか、そうだよな・・・!!!」
“すまなかった、アウロラ・・・!!”と力無く、呟くようにそう告げるとヴィクトーは下を向いて黙ってしまった、“うちの姪っ子はこんなにも強くて鋭い娘だったのか!!”と、彼はアウロラの持つ強さ、激しさに今更気付いて狼狽したがしかし、一方でそれは何の贖罪にもならなければ真相究明の助にも役にも立ってはいなかったのである。
「アウロラ、あれを・・・」
「・・・・・」
“取り戻さないと”と告げる蒼太の言葉に頷くと、この青髪の少女は改めて、自らの叔父に向き直る。
「叔父様、なによりもかによりもお伺いしなければならないことがありますわ。“ガイアの青石”はどこにあるのです!?」
「あ、ああっ。あれは私の寝室の中に隠してある、兄上の血で描かれた“遮蔽魔方陣”の施されている布地に包まれてな・・・!!」
そう答えるとヴィクトーは立ち上がり、アウロラ達を三階にある、彼の寝室へと誘(いざな)った、青石は彼の言う通りに特殊な魔方陣の施されている淡い薄紫色の、それなりの厚さのある布地に包まれて衣類の収納されているタンスの棚の奥深くへと仕舞い込まれていたのだ、それを。
アウロラは手に取ると布地を払って直接、自らの掌に収めて見せた、ちょっとした重さと同時に鉱石物特有の滑らかな感触が走ってそれと同時に。
猛烈なまでの神々しさと力の迸りと共に、ある種の懐かしさとが彼女の脳裏を駆け抜けて行き、全身に濃厚な暖かな波動が満ち満ちて来る。
「・・・・・っ!!!!?」
(信じられないっ、なんて力なのでしょう。これが“ガイアの青石”なのですわね!!!)
己の家に代々伝わりし幻の秘宝に触れた事で、アウロラの血肉と魂とは一時的に活性化しており、一種の“オーバードライヴ状態”へと至ってしまうがそれは先程のメリアリアのそれのように、決して体に精神に、無理の掛かるそれでは無かった、それどころか奥底から穏やかなる光の波動がコンコンと湧き上がって来ては、それが彼女に力を与えてくれていたのだ。
「・・・確かに。“ガイアの青石”に間違いは御座いませんわ、私(わたくし)、ハッキリと解りますもの!!」
「・・・・・っ!!!」
「・・・良かったね、アウロラ!!」
(なんだろう、この感じ。初めて見る物の筈なのに、酷く懐かしい感じがする・・・!!)
一方で。
それを見ていたメリアリアもまた、不思議と気分が“落ち着くと同時に高揚していた”、それは蒼太と交わり合う時のような、彼に優しく撫でてもらえている時のようなハッキリとしたモノでは無かったモノのそれでも、まるで大昔の知己に出会ったような、まるで懐かしい親戚のおばさんか誰かに久方振りに訪ねて来てもらったかのような、そんな喜ばしい感覚である。
(何かしら、この感覚。まるで身体中の血潮が騒いでいるみたい・・・!!!)
安堵の溜息を漏らす蒼太の傍らに位置しつつもメリアリアはアウロラの持つ“ガイアの青石”を、だからそう言う意味もあって珍しそうに眺めていたのであるモノの、それは“神の波動”をその身に宿した者の共鳴。
同じく神代(しんだい)からもたらされた神宝(かんたから)を持ち合わせたる者にだけ見られる、まさしく特有の現象でありそれが故にメリアリアは懐かしさを覚えて困惑していたのである。
「・・・・・」
(一体、これは・・・!!?)
と彼女が尚も解らないながらも己の意識の中枢に向けて感覚を集中させては事の真相に迫ろうとした、その時だ。
「・・・・・・っ。あなた?」
「どうしたのですか、蒼太さん・・・?」
「・・・・・っ!!!!!」
(なんだ!!?これは!!!!)
蒼太が何かに“ハッ”とした呈で上を向き、やおらキョロキョロとし始めたのだが彼はその時、ハッキリと感じていたのである、“宇宙が、泣いている!!”と。
そしてそれは間違い等では決して無かった、この時、彼の耳に飛び込んできたのは宇宙の慟哭と星々の悲鳴、そしてー。
“逃げなさい!!”と言う、他ならぬ“地球そのもの”からの警告だった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ふうううぅぅぅぅぅ・・・っ!!!!!」
“事はなったな”と、安堵と喜びの溜息を付きつつも“メイヨール・デュマ”はそう一人ごちた、彼はその時、ガリア帝国の隣国である“チューリッヒ諸侯連邦”の首都であるベルン、その国立図書館の地下深くにある“フリー・ピープルズ”のグラウンド・ロッジにいた、ここが目下の所、今現在のACO、即ち“アンチ・クライスト・オーダーズ”の本拠地となっていたのである。
「この時の為に」
と暗闇の只中で、彼は一人呟いた、“数年掛けて準備してきた甲斐があったと言うモノだ”と。
「“時空召喚魔法”か、私も本格的に用いたのは初めてであったが・・・。これでガリア帝国は終わりだ、夜の帳が降りる頃、どんなに遅くとも本日未明を以てルテティアは、いいや彼の国全てが地球上から消滅する!!!」
そう呟くとデュマは実体を影へと溶け込ませて行った、体を捨てて“霊体モード”へと移行したのであるモノのこれで、万が一にもここまで爆発の余波が及んだとしてでも自身は痛くも痒くも無かった、何故ならば“人間の言葉”を借りるのならば彼は、既に死んでいるのと同義語的存在と化しているのだから。
(直径1キロ以上の鉄鉱石で出来た小惑星が、秒速22キロの速さで激突するのだ、それも単なる隕石等とは訳が違うぞ?此方の数年分の怨念と魔力とをふんだんに送り込んで強化までしてあるそれなのだから、ただ普通に触れただけでも命は尽き果てて、万物は朽ち枯れる。まあそれでも何とか、エウロペの西半分が瓦解するだけで事は足りるだろうモノの・・・。それにしても!!)
とデュマは思った、“相変わらずに、カイザーリンは容赦がない”と。
(自身とて、国を治めている身であられる、と言うのに。・・・いいや、だがしかし、その激しさと容赦の無さこそが、“あのお方”の“あのお方”たる所以であろうよ、いざとなれば自身の国民諸共に全てを抹殺し尽くす事の出来る非情さこそがな!!)
そう思い至るとデュマは。
暗闇の中で凡そ人とは思えない程のおぞましい嗤声を発してその薄気味悪い声紋を、漆黒の中にいつまでもこだまさせ続けていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「隕石ですってっ!!?」
「そうだ!!!」
“ガイアの青石”を確保してヴィクトーを捕縛し、屋敷で待機をしていた蒼太の元へと慌てふためいてやって来たオリヴィアが緊迫した面持ちでそう告げるがその瞳には悲しみと辛さとが満ち溢れていた、どうやら彼女は突入してくる隕石の、それも詳細なるデータを“国立宇宙物理学研究所”の“天体観測警鐘チーム”から聞かされているらしくて今回、このまま事態が進んだ場合の悲惨に過ぎる光景が、脳裏に焼き付いていて離れないのだろう事が伺い知れた。
「隕石の大きさは凡そ1・3キロメートル、突入速度は毎秒22キロでこれは時速に直すと凡そ79200キロとなる、音速の凡そ60倍に近い速度だ。その上突入角度も18・9度、落着予想ポイントはガリア帝国帝都ルテティア、つまり、ここだ!!!」
「・・・・・」
「・・・・・っ!!!」
「嘘でしょう!?そんな事って・・・っ!!!」
蒼太が沈黙すると同時にメリアリアが驚愕の表情を浮かべ、アウロラに至ってはその思いを声にすら出しているモノの、それほどまでにこの時に彼等にもたらされた第一報と言うモノは信じられない程の衝撃力を秘めていたのであって第一、そもそも論的な話しとしてはそれ以前の段階としてはまず有り得ないと断言してしまっても構わない程に、不可解かつ反真理的な出来事だったからである。
「落着予想時刻は今夜20時前後、今が18時過ぎだからあと二時間も無いな、その上隕石に対する詳しい予定は一切不明でこれが早まるか、遅まるかも解らない。ただ一つ、言える事は今夜、ガリア帝国は確実なる終焉を迎える、と言う事だ。正直に言ってこれだけの質量を持ったモノが、これだけの速度で落着したのならもう、どこへ逃げようとも絶対に間に合わん!!」
「・・・オリヴィア、でも」
“おかしくない?”と流石にメリアリアが疑問を提するモノの、彼女としてみればどうしてここに来て急に隕石が地球に向けて落下をし始めたのか、どうしてこうなる前にもっと早くに予想が出来なかったのかが、どうあっても納得、理解が出来なかった為であった。
「だってその為の“国立宇宙物理学研究所”でしょう?その為の“天体観測警鐘チーム”だったんじゃないの!?どうして今まで何にも言ってくれなかったのかしら、あんまりだわ!!!」
「彼等から言わせれば、“自分達にも訳が解らない”と」
オリヴィアが告げるが通常、コリジョン・コースに入る可能性のある天体に関してはかなりの確率で予測、計算も立てる事が数年単位で前もって出来ると言うが今回のそれに限って言うのならば地球周辺を遊泳していたモノの一つが突然、進路を変えて落着コースに入って来たのだという、しかもその上。
「観測時、件の隕石はちょうど地球の影に入ってしまっていたらしくてな。つまりは対象地域が“夜”の状態であった為に尚更、全く発光しない小惑星は見つけられ難かったらしいのだ、それで発見が遅れたらしい・・・」
「そんな事って・・・!!」
「各国の宇宙観測所等からも、同様の声明が発表されてガリア帝国正統政府及び、各国首脳に届けられているらしいのだ。・・・流石にまだ、一般人に対する発表は行われてはいないがそれでも、国境周辺の街や村々の内、幾つかには“退避命令”が通達され始めたらしい・・・」
「・・・・・」
「そっか。国境近くの村々ならば、ルテティアからも離れているし・・・」
「パスポートとビザさえあれば、簡単に他の国へと逃げられますモノね・・・」
メリアリアとアウロラとがそれぞれ、納得したように呟くモノのあと数時間の後には自分達が死ぬかも知れない、と言うのにこの子達はと蒼太は思った、こんな時でもパニックを起こすどころか腹を決めては気を確(しっか)りと持ち、恐らくはこれからも生きて行くであろう他人の心配をしているのである、それを見たときに蒼太は思わず、心と目頭の熱くなるのを感じた、人間の本性はこう言う時に出るのであり、そして自らの愛して止まない妻が、思いを寄せてくれる女性がそう言う人間であったと改めて知ることが出来た蒼太はだから、感動で胸がいっぱいになると同時にやはり、何としてでもこの子達を守り抜かなくてはならないと心に決めて、ある決断を下す事にしたのだ。
「メリー、アウロラ。そしてオリヴィア」
「・・・・・?」
「・・・・・!!」
「どうしたのだ?一体・・・」
「お願いがある」
蒼太は告げると彼女達に告げたのである、“あの隕石は自分が必ず何とかする。だから自分が良いと言うまでは目を瞑っていて欲しい”と言って。
「ええっ!?あの隕石を・・・!!!」
「そんな、でも・・・!!?」
「可能なのか?そんな事が・・・!!!」
三人が見せる戸惑いに、蒼太はそれでも力強く頷いて応えると、親衛隊の面々にも同じ事を告げて了承を求めた。
「君達も頼む。ちょっと物凄い力を使うからね、“人間が見てしまうと”、“余りの光量の多さに失明してしまう”かも知れないんだ!!」
「えっ!?目が見えなくなっちゃうんですか?」
「そりゃ困るっす、勘弁っす!!」
「頼まれなくても、見ないようにします!!」
「・・・うん。なんか微妙だけれども、有り難う。感謝するよ!!」
そう告げると蒼太は改めてメリアリア達へと向き直るが、この時にはもう、彼女達もそれぞれ、覚悟を決めた顔になっていた。
「解ったわ、蒼太!!」
「何をするつもりかは、存じ上げませんけれども・・・!!」
「私達は君を、信じる事にする!!」
「・・・・・っ!!!」
それぞれ、全幅の信頼を寄せつつも、笑顔で応じる愛妻達に蒼太は一言、“有り難う・・・!!”と告げては照れたように下を向くモノの、やがて。
「ヴィクトーさん、ちょっと庭をお借りします」
「そ、それは別に構わんが・・・。一体、何をする気かね!!?」
ヴィクトーも事態が事態な為に、一も二もなく蒼太に同意するモノの、蒼太はメリアリア達に頼み込んだ、“急いでこの場から離れるように”と。
「出来たら、半径500メートル以上は離れていて欲しいし、なるべく建物の中に居てもらいたいんだ!!」
「そ、それは良いけれども・・・。でもあなた、そしたらどうやって私達に指示を出すつもりなの?」
「そ、そうです。確か目を瞑っていなければならないのでしょう?」
「大丈夫・・・!!」
些か慌てるメリアリア達に、蒼太は穏やかに応じて告げた、“必ず、君達に解るようにするから”と。
「だから安心して欲しい、必ず君達を守るよ、約束する!!」
「「「・・・・・」」」
「・・・・・」
「「「・・・・・」」」
「・・・・・」
「「「・・・・・」」」
「・・・・・」
「「「・・・・・」」」
「・・・・・」
「「「・・・・・」」」
「・・・・・」
「「「・・・・・」」」
「・・・・・」
“解ったわ!!”と暫しの沈黙の後に、メリアリアが告げた、“あなたの事を、信じてる!!!”と魂の底からそう言って。
「何があっても、ずっとずっと信じてるわ。今までも、そしてこれからも。ずっと、ずっと・・・!!!」
「私達も、蒼太さんの事を信じています。だから・・・!!!」
「頼んだぞ、蒼太・・・!!!」
「ああ、勿論だ!!!」
全員からの返答と声援に、決意を込めてしかし、明るい笑顔でそう答えると、蒼太は早速に、メリアリア達を始めとする伴侶や恋人、仲間達を屋敷のメイドや執事達共々門の外まで送り出し、“事が終わったら自分の方が君達に合流するからその場で待つように”と告げて、自らは屋敷の敷地の中央部、モダンな噴水が設置されている場所へと戻っていった、そうしておいてー。
付近に誰もいない事を確認した後、自身の周囲に強力なる“時空断絶結界”を張り巡らせては“神人化”の祈りを行い、自らを“現人神”にまで昇華させると隕石がやって来る空中目掛けて両手を掲げ、その掌から己が身に宿っている、極めて超多量かつ凄絶無比なる次元跳躍波動係数を誇る“神力エネルギー”を迸らせ始めた。
それは金色とも白とも青ともつかない、ただただひたすら眩しくて暖かい、比類無き程にまで強力常離な波動オーラのエネルギー放射帯そのものであって、この世のどんな法力すらも及びの付かない、まさに“多次元超越波動粒子”とでも呼ぶべき程の“高次元エネルギー力場”生成の瞬間だったのだ。
蒼太はそれを、この世で暮らす余人達や、動植物等に不要な影響を与えぬようにと自身の遥か上空の空間で極一点にまで超集約し始めており、しかもそれを核として様々な時空軸線の“神界”から“神々の命と波動”を流入させては巨大なる光の玉を形作って行ったのだ。
(“祈り”の波動は時空を超える。何故ならばそれは最も純化した“意思エネルギー”の結晶であり、突き詰めて行けば宇宙の大いなる根本にして始原なる神、“創造”に通じるものだからだ!!創造が発する力と同等、同質の波動法力を持ち合わせるモノである“祈り”はだから、各時間軸のみならず次元をも超える振動数を発生させては様々な世界線そのものに影響を与え続けて行く・・・!!!)
“ましてや”と蒼太は思った、“神の意思が加わっているのならば尚更だ!!”と。
そしてそれらが決して誤り等では無い事を、“必殺の神威”を生成しつつも彼自身がハッキリと感じ取っていたのであるが、“神”と言う8次元以上の超時空的存在となった今の蒼太の放つ波動は平行世界の各所に影響を及ぼし続けているのであり、そしてもっと言ってしまえばそれはそれらの世界全てにおいて、“同時に自分が存在している”事と全く同義語的意味を持つのであって、現に今現在、上空に顕現している波動光球からはだから、様々な世界軸線からのエネルギーが流入して来ておりその威力は恐ろしいまでに高まりつつあった。
それというのも、蒼太が今、この世界で発動させようとしている“神威”は同時に重なり合って存在している様々な平行世界においても生成が為されている状況になっているのであり、その全てがお互いに影響を及ぼし合っている訳であって、そのお互いのお互いに対する何重にも及ぶ照り返しとエネルギー光球同士の度重なる干渉、合体の結果としての神威の威力は元の次元をも遥かに超えて何乗の何乗の何乗倍にも倍加、精斂されて行っていたのでありそれは最早、“ハイラート・ミラクル”の及ぼすエネルギー波動の影響力すらをも圧倒的なまでに上回る程に増大の一途を辿っていたのだ。
「くううぅぅぅ・・・っっっ!!!!!」
(こ、このエネルギーの輻射量はっ。余りにも危険すぎる、結界を張っていなければ、この身体でも耐えられたかどうか・・・っ!!!)
思わず蒼太が呻くモノのそれだけ、この時のエネルギーの総量は絶大なるモノがあったのであってコントロールが難しく、またその輻射熱というモノも想像を絶するモノがあったのだ。
やがて。
「・・・・・っ!!!!!」
(“出来た”!!“神威”を生成し終えたぞっ!!!)
蒼太がハッとなって上空を見上げると、そこには太陽のように金色に光り輝く超巨大煌球が出現して滞空しており、その周囲には凄まじいまでの量子プラズマ波動光子が迸っていた、それだけではない。
周囲からはそこへと向けて風や物質、エネルギー等が際限なく流入しており、一種の“ミニブラックホール”のような様相を呈していたのであるがそれを見た時。
蒼太はメリアリアの事を強く思った、彼女の心で感じて頭で“今から目を瞑っていて!!”と強く念じて語り掛ける、すると。
殆ど反射的に“あなた!!!”と言う嬉しそうな思いが頭の中に響き渡って来た、それに続いて。
“愛しい”、“大好き”、“会いたい”、“寂しい”、“不安だわ”、“恐いわ”と言う思いが同時に次々と入れ替わり立ち替わり、彼女の魂から蒼太の頭の央芯部分へと向けて送り込まれて来る。
(もう少しだよ、必ず君を守ってあげるからね!!今からアイツを破壊するから、“良いよ”と言うまで目を瞑っていて、もし車に乗っているのならば一旦止めて、全員で下を向いて目を瞑っているんだ!!!)
(解ったわ!!!)
そんな愛妻との念話を終えると。
蒼太はいよいよ、“神威生成”の最終段階に入ろうとしていた、出現させた超巨大煌球の後ろ側部分に、蒼太はわざと最後の最後で暴走する波動力場を作り出し、そこへ向かって自身の法力を物質化寸前まで凝縮させた上、神威の名前を唱えて命を吹き込み、この世に顕在化させると同時に後ろから撃鉄の要領で隕石目掛けて押し出したのだ。
「神威・神風迅雷っっっ!!!!!!!!」
その閃刻の極瞬の、刹那にも満たない僅かな間に。
顕現した“それ”は超絶的なまでの質量とエネルギーとを併せ持ったまま“キュオオオオオォォォォォォォッッッッッ!!!!!!!”と言う独自の高音を発して一瞬、更に極大化して行き、元の数倍の大きさにまで膨れ上がった直後に一挙にー。
一方向へ向けて弾け飛び、それと同時に集束された怒濤のバースト波動流が光速を遙かに超える速度でギャオオオオオォォォォォォォッッッッッ!!!!!!!と言う爆音と同時に疾走して行った、激烈極まるその奔流はまだ肉眼でも見えるか見えないかの位置を地球へと向けて落着コースに入っていた圧縮された鉄鉱石の塊である巨大超高速隕石を、僅か0.0000000000001秒にも満たない時間で完膚なきまでに打ち砕いて蒸発させ、そこに纏わり付いていた魔力も怨念も、あっという間に浄化させては雲散霧消させてしまった。
「・・・・・ッッッ!!!!!?」
(バカな・・・っ!!!)
一方、ちょうどその頃。
“エイジャックス連合王国”の“ヴァッキンガム宮殿”において“夜の茶会”を楽しんでいた“彼女”は信じられないモノを見た、それは即ち、ガリア帝国の方向から一筋の光の束が宇宙(そら)に向かって疾走して行き、その直後に。
星空が一瞬、真っ昼間のように明るくなったと思ったら次の瞬間、自らの魔力の反応が、完全に消失し尽くしてしまったのであるモノの、それはまさに“無限大質量放出”と呼ばれている現象であって“龍神の咆哮”、“オメガニック・バースト”の名前で通っていた“対天体防御”の非常手段、“超時空法撃”の一種だったのである。
「・・・・・」
(信じられん、またしても・・・!!)
“失敗したのか、デュマの奴め!!!”と内心臍を噛んだ“彼女”はしかし、その直後にはもう既に、“次の手”を考え始めていた、こんな事で一々驚いてはいられないし、そんな事をしている場合ではない。
(あの人の、夫の悲願を何としてでも叶えてやろう。この私の全ての魔力、能力に代えたとしてでも!!)
“それにしても”と同時に“彼女”は考えた、“一体何者の仕業であろうか”と。
(誠にもって信じられぬ、かつての神々のやりようを、そっくりそのまま再現してやろうかと思っていたのだが・・・!!!)
どうやら“運命”は此方の想像した以上の手駒を送り込んで来ているようだ、成る程これからば“カインの子供達”が打ち破られたのも頷けるが、しかし。
(・・・まあ良いわ)
と“彼女”は思った、まだまだ此方にも手駒があるし、時間も資金も手段もある、慌てる事等何も無い、却って余興が一つ増えて、面白くなったではないか。
(とは言えども、だ。このままでは格好がつかないな・・・)
“後でまた、デュマのヤツを叱ってやるか!!”等と考えながらも“彼女”はティーカップになみなみと注ぎ込まれていた、熱々のロイヤルミルクティーを二口三口と喉奥にまで流し込んで行ったのだった。
ーーーーーーーーーーーーーー
以前から度々、お話しさせていただいていましたね、“自分の体力や生命力、精神力等を全てエネルギーに直して真正面から撃ち合った場合は蒼太君の方がメリアリアちゃん達よりも、3倍強~4倍弱くらいは強いです”と。
今回はその具体的な術式(神威)についてのお話しでしたがでは一体、蒼太君が使っている“波動エネルギー”とはなんなのでしょうか。
それを説明するためにはまず、“人間とは何か”と言う所から始めなければなりませんがそれを超簡潔かつ、極めてシンプルに、解りやすく説明させていただきますと、人間とは“宇宙最大の愛の顕現”でありその身に永遠なる不滅の霊性、即ち“神の分け御霊”を宿している存在、と言う事になるのです。
ちなみに皆様は宇宙がどうやって創造されたか御存知ですか?
今の一般的な見解では“ビックバン”によって生み出された、とする説が有力ですが、では“ビックバン”はどうやって引き起こされたのでしょうか。
勿論、これに対する答はまだありません、と言うよりも誰もそんなモノを観測出来ないために、証明のしようが無いのです。
そこで登場するのが近年、科学者達によって提唱されている、“サムシング・グレート”と呼ばれている存在です。
基本的に彼等は“神”を認めませんがしかし、“宇宙論”や“量子力学”を専攻している研究者達の間では、“正体不明なる偉大なる何かが存在しており、それが万物を創成しているとしか思えない”とする考え方が生み出されて来ているのです(マクロな宇宙を観測したり、または超微細な世界を測定するとどうもそうとしか思えない、と言う結論に達するそうです)。
この“何者か”を、科学者達はそれでも決して“神”とは呼ばずに“サムシング・グレート”、即ち“偉大なる何か”と呼んでいるのです。
ちなみに私に色々な事を教えて下さった方々はこの“サムシング・グレート”の事を“宇宙創造能力”、通称“創造”と呼んでいました(彼等でもそうとしか呼び表す事が出来ないそうです)。
彼等から聞いた話によれば最初、宇宙も何も無い“無”から“創造”が生まれ、そしてこの“創造”こそが宇宙を創造したのだそうです(私はこの物語においては“大いなる宇宙の深淵に宿りし根源の意思”こそを“全ての始まりの始まり”にして“万物を生み出しし根本の神”と定義しているのですが、彼等から言わせると、“神”も“宇宙”も全て“創造”によって生み出された存在なのだそうです)。
“創造”は宇宙を創造する(それも多次元的宇宙をです)と同時に自らの分身として働く、即ち“宇宙創造”を手伝ってくれる“根本創造神”を創造したのだそうですが、彼等は更に“創造神”を、そして“創造神”は“宇宙神”を創造し、“宇宙神”は“銀河神霊”を、“銀河神霊”は“星座神霊”を(ただしこの場合、地球で定義されている“星座”とは必ずしも一致しません)、そして“星座神霊”は“各太陽系惑星神霊(及びその眷族)”をそれぞれ創造し続けて行き(ここまでが所謂(いわゆる)“天つ神”となります)、最後に“国つ神”が生み出されて行った“らしい”のです(皆様方ごめんなさい、私も聞いた話でして、自分で確認した訳ではありませんのでこう言う風にしか言えないのです。あとちなみに、なのですけれども宇宙は彼方此方(あちらこちら)に無数に存在しているらしくて、その中でも特に、私達の宇宙を司っておられる宇宙神こそが、“記紀神話”の冒頭にチョロッとだけ出て参ります、“別天神(ことあまつかみ)”の一柱にして始まりの神、“天御中主神”だそうです)。
ちなみにどうやって創造が神を、そして神々が神々を創造して行ったのか、と言いますと、これは第104話、105話の前書きでチョロッと説明させていただきましたが、“その役割や存在意義に相応しい、最もバランスの取れている愛の形をイメージ”して、“それに則って創造を行っていった”そうなのですが。
神様を生み出す場合は単にそれだけでは足りませんでした、何しろ自らの分身として宇宙創成を共に手伝っていってもらわなくてはなりません、そうなりますとまず、根本である“創造”の持っている意思や願いをキチンと受け継いでいなければならず、また能力も受け継いでいなければなりませんでした(そうでなければ出来上がった宇宙が歪なモノになってしまいますから)、その上。
何よりも必要だったのが万物を(この場合特に被造物の全てを)教え導くための、照らして進化の道筋をキチンと指し示すための“絶対的な愛”でした(これはもう一つ、自分自身が途中で変な道に入り込んだり、迷って堕ちる事が無いようにする為にも必要な処置だったのです)、その為“創造”は“根本創造神”創造の際に、そして“根本創造神”は“創造神”創造の際に、更に言えば“創造神”は“宇宙神”創造の際に(ごめんなさい、後は以下略でお願いします)、ありったけの愛と願いとを注ぎ込んだ挙げ句に自らの分身(これを“分け御霊”と言います)すらをも分け与えて“神生み”を行っていったのです。
そしてー。
神々は“創造”の願い通りにこの宇宙の様々なる場所に、様々なる種族、種類の存在を生み出して行きました、そしてやがてはー。
その究極の愛の形とも言える存在、所謂(いわゆる)“人間”を生み出すに至っていったのですが、人間達にはある重要なる役割が課せられていました、それはこの物質世界、即ち“三次元世界”において、神々や創造の愛を、意思を体現して生き、その光を温もりを、世の隅々まで行き渡らせる、と言うモノです。
と言うのは神々や創造は当初、この三次元世界における存在、魂達にはわざとノータッチで好きなようにさせておき、彼等がどのような進化を辿るのか見てみたい、と言うちょっとした遊び心を持っていたらしいのです。
なので新しく生み出された魂も未熟で真っさらなまま(ただし一応、それでも根本に愛の光、輝きは宿させはしましたが必要最低限のモノしか与えられなかったようです←彼等も一応、“愛”から生み出された存在ですから“愛”を持ってはいるのですね。・・・ただしそれは、本当に申し訳ないのですけれども正直な事を言ってしまいますと、“完璧な形”には程遠かったそうなのです。ただ最初は神々も“それで良い”と思われていたそうなのです、つまりはそう言う不完全さをどうやって覆して行くのか、それが見物だな、等と思っていたそうなのです)、各地上の生き物達として逐次投入されて行ったそうなのですが。
結果は惨憺たるモノでした、彼等は無法を自由と勘違いして思いやり、優しさをいつまで経っても持たずにおりその結果、何処も彼処も“弱肉強食”の超競争的なる暴力社会が生み出されて行ってしまったらしいのです。
そこで急遽、彼等を教え導くための存在が必要になりました、“それ”は天(神々)と地(生物達)の間に立って天の意思を地に知らしめる、そして暴力と競争とが蔓延してしまった世の中を再び、“愛”と“光”で満たすための力と輝きとを併せ持った、全く新しい“生命体”。
それこそが即ち“人間”でしたが、彼等を創造する際に、神々は自らの姿に模して(多分、自分達が肉体を持ったらこんな姿になるのだろうな、と言うのをイメージしながら創造を行ったのだと思います)、そして自分達の親が(即ち“創造”や“創造神”、“宇宙神”等が)やってくれたように、自らの持つありったけの愛と願いとを注ぎ込んで、更には自らの分霊まで与えて存在となさしめたのです。
それ故に、人間には他の動物達に比べて格段に深くて複雑な愛が、優しさが、そして知能がありますし、それと並んでもう一つ、ある特徴が御座います。
世界を、宇宙を、文明を、文化を“創造する事が出来る”と言う事です。
例えとして挙げさせていただきますけれども、皆様方におかれましては“四大文明”と言う言葉を聞いた事は御座いませんか?“~~文化”と言う言葉を聞いた事は御座いませんか?あれは人間だけが成し得た事です、即ち。
“無”から“概念”を作り出し、更にそれを形に変えた、と言う事なのです(文明や文化とは、そう言ったモノの象徴なのです)。
また皆様は漫画やアニメを御存知ではありませんか?(例えば“宇宙戦艦ヤマト”や“ドラゴンボール”、他にも“ドラえもん”や“クレヨンしんちゃん”とかでも構いません、なんでも良いのです)彼等だって最初は概念、もっと言ってしまいますと作者の“妄想”でしかなかったんです、それが形になり、皆様に受け入れられては世界となり、宇宙となっていったのです(二次元と三次元の違いはありますけれども彼等は確かに、存在しているのです)。
そしてそう言う事が出来るのも、人間だけの特権であり、そして人間が“神の分け御霊”を、即ち“創造能力”を分け与えられている確かなる証拠なのです(これは間違いなく、他の動物には出来ない事です)。
他にも動物には“感情”はあっても“愛情”は無い(“所詮は犬畜生”と言う言葉も御座います通り、仮にあったとしても、人間のモノほど完璧で複雑なモノではありません)、等の明確な違いも多々御座いますが、取り敢えずはここまでにしておきます(話しが横道にそれてしまいますから)。
話しを元に戻します、人間にはつまり、“創造”から続く、“宇宙創成の能力”が備わっている訳であり、その最大の“愛の顕現”としての光、輝きが内包されているわけなのですが。
これは=で、もう一つのある事実を指し示している事にもなります、即ち人間とは真理の塊である、と言う事実です(これは考えていただければすぐに“そうだ”とお解りいただけるかと思います)。
宇宙を作り出したる“創造”の魂を受け継ぎし“神々”、その分け御霊を与えられている“人間”は即ち、それそのものが(本来であれば)“究極なる愛の顕現”であると同時に“大いなる真理”の内包者であり体現者である筈なのです(残念ながら“地球人類”はまだまだそこまで至っていない方々の方が多いですが←勿論、私も含めてです)、そしてそんな私達の身に宿るエネルギーとは即ち、“多次元超越波動粒子”、通称“宇宙エネルギー”とでも呼んで差し支えないモノの筈なのです(宇宙を創造した“創造”のエネルギーであり遍(あまね)く宇宙に満ち満ちている“愛と生命の顕現である光のエネルギー”と言う意味での名称です)。
勿論、蒼太君の扱う“波動エネルギー”もそれに当たりますが(これを何と呼んで良いのか解らない為に便宜上、そのまま“宇宙エネルギー”と呼ぶことに致します)、蒼太君はこれを極限まで高め、更には絶大なる量を収集、超圧縮して極一点にまで纏め上げては球形状に精製する事により“神威・神風迅雷”、即ち“オメガニック・バースト”を発動させました。
ちなみにモデルになった技は何か、と申しますと皆様はきっと“ドラゴンボール”の“かめはめ波”だと思うでしょうが、違います。
あれは“宇宙戦艦ヤマト2202”に出て来る超絶決戦兵器、“トランジット波動砲”をその大元モデルにしているのです(そこに独自の科学的見解を入れているのです)が、実は近年の研究で“宇宙空間は光速を超える速度で膨張を続けている”事が解って来ているのだそうですが、ただし。
皆様方も御存知なように、あらゆる物質は“光の速度”を超える事は出来ません、ではどうやって宇宙は光速を突破しているのでしょう?。
答は“空間だから”だそうです、即ち、確かに物質は光速を突破できないが“空間”ならば光速を突破する事が出来るのではないか?との予測、理論が科学界においてはなされ始めているのだとか(もしこれが事実ならば超光速移動航法、即ち“ワープ”も実現可能となりますし、またもう一つ、宇宙戦艦ヤマトにおける“波動砲”の理論、威力、効能も全てが書き換わる事になります←あれは“空間”や“余剰次元”を爆縮放射させる事により周辺宇宙を歪曲させ、相手をグチャグチャに引き千切って撃破殲滅する兵器でして単なるレーザービームとはそこが全く違います、要するに一種の“移動性ブラックホール砲”な訳です)。
もし、空間が光速を突破する事が出来るのであれば、既存の時空法則理論が書き換わる、とまでは行かなくとも新たなる1ページが刻まれる事は間違いないでしょうし、何よりかにより“空間はワープを行える”となれば(つまりは“時間の流れ”を突破する事が出来るのならば)それを利用する兵器である“波動砲”は単なる三次元空間のみならず、“時間”をも穿てる事となり(少なくとも“時の流れ”に干渉する事が出来るようになり)その結果、“超時空砲”つまりまさしく“次元波動砲”となる訳ですが、今回はその予測理論と科学的可能性に基づいて新たなる“法撃技”を作り出し、劇中に登場させてみました、皆様方におかれましては何卒御理解いただけますように、伏してお願い申し上げます(ちなみに“法撃”と言うのは“法力を用いた攻撃”の事であり別段、誤字脱字ではありません)。
敬具。
ハイパーキャノン。
追伸です。
皆様方にもう二つだけ、お伝えしておかなければならないことが御座います。
先に三次元世界での生物達の有り様の下りで、私はこんな事を書かせていただきました、“不完全なる魂を持った者達が、どうやってその不完全さを覆して行くのか見物だと、神々は思っていた”と(そして結果は惨憺たるモノだった、と)。
実はこれ、三次元世界だけでは無いのです、と言うのは本当に時々なのですけれども、神々の世界においても“不完全なる神魂”を持った神様が生み出される事があるのだとか。
どうしてか、と言いますと、先に挙げた理由です、即ち“不完全なる魂を持った者達が、どうやってその不完全さを覆して行くのかを見てみたい”と、“上の神々”も思われる事があるそうなのですが。
そうして生み出された(と言ってもごく稀にですが)神々の内大半は、立派にお務めを果たされるのですが、それでも時折、道を外れてしまう神がいらっしゃられるそうなのです、そしてそう言った神様が所謂(いわゆる)“邪神”だったり“大魔王”に堕ちてしまうそうなのです(そう言った存在と言うモノは、自らの愛を見失い、それと同時に“親の愛”をも忘れてしまってそうなってしまうのだそうです←また中には凶悪なる悪霊が力を付けて、自ら勝手に“邪神”等の称号を名乗る場合もあるそうです)。
これを聞いた皆様方の中には疑問に思われる方がいらっしゃられるのではありませんか?どうして神々は未来が見える筈なのに、それを防ごうとはしないのか、と。
答は二つ御座いますが、先ず一つはそうした自分自身達の予測をそれでも、“良い意味で覆して欲しいから”であり、そして二つ目が、もしどうしても魔道に堕ちてしまった場合は“正しき道を歩もうとする者達に対する試練としての必要悪”としての役割が待っているから、なのだそうです。
そしてこれは、特に二つ目の場合についてなのですが、その必要が無くなった場合にはその存在は宇宙から完全に抹殺されるそうです(これを“消滅”と言います)、ちなみにこの話しを聞いて“恐い”、“嫌だ”ですとか、“いくらなんでも冗談だろ?でも本当だったらゾッとするわ!!”でも何でも良いんです、要するにそれに対して恐怖や不安、抵抗の僅かでもある方(暗い気持ちになる、とかでも良いのですが)。
そう言った方は大丈夫だそうです、それは正常な反応だと言っていました(自分は消滅したくない、即ち“存在していたい”と言う確固たる意思がある方なので大丈夫、との事でした、心配はいりません)←そもそも普通に生きている限りにおいて(どんな境遇にある方でもですが)、消滅される可能性は120%ありません、繰り返しますが普通は無いんです。
寧ろ心配なのはこれを聞いても特に何にも感じない人々の方だそうです、そう言う人達というのはもうどうあっても救われる可能性が無いために、宇宙からの慈悲でその瞬間まで苦痛を味あわないようにされているそうなのです(宇宙は無駄な事、余計な事をしませんから)。
そしてあともう一つ、皆様方にお断りさせていただきたい事があるのですけれども、“龍”と“龍神様”は違います(微妙に違うんだそうです)、ではその違いはなんなのか、と申しますと、それは“秘密”なのだそうです(ちょっと残念ですね、私も聞きたかったのですが)。
そう言う事で御座います。
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