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運命の舵輪編
青き星の祈り姫
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メリアリアのアウロラとは陰陽の関係です、所謂(いわゆる)“ツインズ”なんです。
だからどちらか一方のみを取り立てて、もう一方を蹴落とす、等という真似だけは、絶対にしてはいけません(なのでこのお話も“メリアリア・レポート”との一対になっております←あのお話を読んでいないとこのお話も理解が出来ません)。
それにメリアリアやアウロラの性格、性質、お互いへの兼ね合い、と言ったモノを考えてみますと、こうする方がしっくり来るんです(お互いがお互いをフォローするって言うんですかね?尊敬する親友であると同時に競い合うライバルでもあるって言う関係です)。
特にメリアリアちゃんの気持ち、蒼太君への思い、みたいなモノを考えると絶対にこうなると思うんですよね(この子は凄い純朴でピュアで真面目な子ですから、特に“自分の中の大切な事”=“蒼太君への思い”については絶対に妥協を許しません、誤魔化しを許さないんです)。
だから蒼太君からハッキリと許す、と言われない限り(言われたとしても本人の中ではちょっと残ってしまうのですが)“許された”とは思えないんですね(次回がその話になります、ってか蒼太君は最初っから気にして無いんですがね)。
ちなみにこの時のアウロラは、髪の毛を伸ばし始めています(この時点で既に“セミロング”位の長さがあります)、彼女も彼女である意味自分なりのケジメを付けてるんです。←“蒼太君に再会するまでは髪の毛を伸ばし続けるんだ”、もしくは“伸ばしたままにするんだ”と言う彼女なりの、“私は私なりに一生懸命に生きて来ました”と言う思いを形にしたメッセージなんです(最終的には髪の毛を下ろしたメリアリアちゃんと同じくらいの長さになります)。
そう言う事で御座います。
ーーーーーーーーーーーーーー
「えええっ!?アウロラが、そんな事を言ってくれたの?」
「うん・・・」
「・・・・・」
空港へと向かう途次(みちすがら)、銀行に立ち寄って、窓口で預金を全額引き下ろしてから蒼太達はまたタクシーに乗り込むと、後は到着までの間に自分達の過去の話に花を咲かせていたのであるが、その最中にー。
話が“蒼太が崩落に巻き込まれた後”の事へと移り変わっていったのであるが、その席上、メリアリアは当時の話をなるべく正確に、詳細に蒼太に話して聞かせた。
自分が後を追って死のうとした事、それを仲間達が押し留めておいてくれた事、蒼太が掛けておいてくれた言葉のお陰で何とか立ち直る事が出来た事、等をー。
「そうか、そんな事が・・・!!」
「うん・・・」
その話を聞かされた時に、蒼太は少し難しそうな顔をして何事かを言おうとしたが、止めた、そんな事をしなくても現在(いま)のメリアリアならば解ってくれているだろうし、現に彼女は生き延びてくれてもいたのである、別段、自分が何かを言う必要は無いと、蒼太は思い直したのであるが、ただ一言ー。
“有り難う”とだけ告げた、“良く生き抜いてくれていたね・・・”と労うように、包み込むようにそう告げて。
「君は、本当に強い女の子なんだね。それに、とっても可愛くて優しい女の子だ!!」
「もうっ。蒼太ったら・・・!!」
“私はもう、子供じゃないのよ!?”と困ったように微笑みながらそう告げるメリアリアだったが、それでも直ぐに優しい笑みを浮かべたままで“でも嬉しいわ”と応えてくれた。
「有り難う・・・」
そう言うと彼女もまた、自身の頭部を蒼太の肩にチョコンとくっ付けると身体ごと彼氏へと向けて寄り掛かってくるモノの、それを見た蒼太もまた、そんな愛妻の後ろから腕を伸ばすと肩を抱き寄せ、自分へと密着させる。
「だけどメリー、君も気にし過ぎだよ。あれはどう見ても事故だったんだから、そんな事まで気にしていたなら本当に身が持たなくなっちゃうよ?」
「うん、ごめんなさい。でも本当にあの時は苦しかったわ。自分のせいで蒼太が居なくなっちゃったんだって、あの時自分が声を掛けなければ、もっと別の場所で待機していたならって。何度も何度もそう思ったもの・・・!!」
そう言ってメリアリアは悲しみの光を瞳に浮かび上がらせるモノの、その様子からまだ完全に、彼女が自分自身を許せていないのだと言う事が、蒼太にはハッキリと伝わって来た。
「実際ね。あなたの言葉がなかったら私、もうとっくに死んでいたと思う、だって他の誰の言葉もどんな思いもちっとも響いて来なかったもの・・・。だけど」
彼女が続けた、“私、一回だけ耐えきれなくなっちゃって、自害しようとした事があったんだ・・・”と。
「ええっ!?」
「だけどその時に、アウロラから言われたんだ。“逃げるんですか?”って・・・」
そう言うとメリアリアは遠い目をするモノの、それは事件から一年程経った、ある夜の事だった、当時自責の念に駆られ続けていたメリアリアはその精神を大分病んでしまっており自分自身を保ち続けるのも限界になって来ていたのである。
辛い任務を終えて帰っては来たとしても、そこには自分を包み込んでくれる蒼太はもういない、あるのは誰もいない、暗くて冷たい伽藍堂だけであり、無機質なコンクリートで囲まれた、立体的な空間がただただどこまでも広がっているだけであった。
「うっ、ううっ。グスッ、ヒグウゥゥ・・・ッ!!!」
そこに居るとしかし、メリアリアには思い出されてしまうのである、楽しかった蒼太との思い出の数々が、明るく微笑む彼の笑顔、彼の声、暖かくて逞しかったその肉体の感触と温もり、何もかもがー。
「ううっ、グスッ。もういやっ、いやああぁぁぁっっ!!!!!」
“死にたい”と、メリアリアはその時切に願った、幸いにしてここの学生寮は7階建てで屋上にも出入り出来るようになっていた、そこから落ちれば間違いなく死ねるだろう。
「うわあああぁぁぁぁぁーーーんっっっ!!!!!!!ヒグウゥゥッ、グズッ。グジュッ!!うえええぇぇぇぇぇーーーんっっっ!!!!!!!」
(蒼太ぁっ、蒼太っ!!)
嗚咽をあげて泣きじゃくりながら、メリアリアは恋人の事を思い続けていた、彼は言った、“生きろ”と、“何が何でも生き抜け”とー。
しかしー。
もうそれも限界だった、この一年間彼女は必死に生き続けて来た、学業も成績を落とさずに努力し続けて来たのであり修練にも必死になって取り組んで行った、勿論、任務の手抜かりなんて有り得ない事だったのであり、どれを取っても以前と同じだけの成果を保ち続けていたのである。
しかしー。
「う、ううううっ。グスッ、ヒグッ!!う、うう・・・っ!!!」
そこにただ一人、蒼太だけが居なかった、まるで心にポッカリと穴が空いたようになってしまっていた彼女はだから、何をやっても何を食べても美味しくなかったし、楽しめなかった、心の底から夢中になれる、と言った事が片時として存在してはいなかったのである。
挙げ句ー。
(蒼太が居なくなってしまったのは自分のせいなんだ!!)
その思いが一番、彼女をして自身の心を追い詰める要因となっていたのであり、その時の事を思い返す度に生きようとする気力自体が萎え萎んで行くモノのそれでも、彼女は耐え続けていた、蒼太は“生きろ”と言ったのだ、となれば自分は何があっても生き続けなくてはならない。
しかし。
(蒼太を酷い目に遭わせたのは、自分なんだ!!)
何度振り払おうとも次々と浮かんで来るその想念に、終いには“自分は果たして生きていても良いのだろうか?”と言う考えが過(よぎ)るようになってしまい、そこへ持ってきて毎日の過酷な練習や学業、任務等が加わってしまった結果、ますます精神的に追い詰められて行ってしまったのである。
そしてー。
(蒼太・・・っ!!!)
恋人の事を思って彼女は、ゆっくりと屋上へと向けて、その備え付けられている階段(ステップ)を登って行った、途中で何度も何度も彼の言葉を思い返しては歩みを止めようとしたモノのしかし、結局はそのまま最上階にある、屋上へと向かう螺旋階段の側にまで、歩を進めて来てしまうが、しかしー。
「こんばんは」
「貴女は・・・っ!!」
そこには既に、先客である一人の少女が立っており、夜風にその青くて長い髪の毛を、気持ち良さそうに棚引かせていた。
「アウロラ・・・!!」
「どうしたんですか?こんな時間に・・・!!」
思わぬ人物に出会ってしまった事で多少、メリアリアの胸中には心境の小波(さざなみ)が立ったが階段の中央部分で両手を後ろで組みながら爽やかな笑みを浮かべて此方を見ていた少女は紛うことなき“アウロラ・フォンティーヌ”その人であって、本来であればあの格式高い邸宅の、3階部分に住居している筈の、フォンティーヌ財閥のご令嬢であったのだ。
元々は7年間の間は高名な修道院である“サン=サヴァン・シュル・ガルタンプ”に通い、そこで上流階級の教養や、レディとしての立ち振る舞いの数々を身に付ける筈であった彼女はしかし、その類い稀なる魔法能力と演算能力、空間認識能力とを買われて途中からこの“魔導師・超能力者育成学園”通称“セラフィム”へと編入して来たのであり、そう言った事情と実家であるフォンティーヌ財閥の意向で他の生徒達に遅れる事、1年半後に“初等部寮”へと本格的な入寮を果たしており、そこで課題と鍛錬に励む傍ら“青き星の祈り姫”としてセイレーンの任務に勤しんでいたのである(一応、それまでは“体験入寮”と言う形をとっており生活のリズムを慣らしていたのだ)。
「疲れていらっしゃる御様子ですけれども・・・。本日は“お仕事”をされて来たんですか・・・?」
「・・・・・」
あくまでも屈託無く尋ねてくるアウロラに対してメリアリアが思わず俯いてしまうモノの、それは致し方が無いと言うモノだっただろう、ただでさえ、苛烈な任務から帰って来たばかりだった事に加えて挙げ句の果てには心の底から慟哭を繰り返していたメリアリアはだから、その時酷く憔悴しており、それとは対照的にアウロラは、こざっぱりとした落ち着いた雰囲気の、美しさを醸し出している。
シャワーでも浴びて来たのだろうか、ボディーソープとヘアコンディショナーの甘い香りが周囲に強く漂っていた。
「夜風に、当たりに来たのですか・・・?」
「・・・・・」
「ずっと泣かれていたみたいでしたけれど・・・。どうしてここに来られたのですか?」
「・・・・・」
「気晴らしですか?それなら私もお付き合い致します」
「・・・・・」
「メリアリアさん」
「ごめんなさい、アウロラ・・・」
“一人になりたいの”とメリアリアが告げるがその顔と瞳には、ある種の凄絶さと言うか、いっそ冷たいまでの光が宿っており凡そ生気と言うものが感じられない。
「私、疲れているの。だからソッとしておいて・・・っ!!」
「逃げるんですか!?メリアリアさん!!」
「・・・・・?」
そう告げて尚も、螺旋階段を上がろうとするメリアリアへと向けてアウロラが、それまでとは比較にならないほどの強さと勢いとで言い放った。
「貴女は、生きなければいけません。私に“生きろ”、と言った言葉をお忘れですか!?」
「あれは、貴女に・・・」
「蒼太さんは、貴女に言ったんですメリアリアさん!!」
「・・・・・っ!!!」
その言葉に、メリアリアは一瞬、ピクリと反応するモノのそうだった、蒼太は直接あの言葉を、繰り返し繰り返し自分に掛けてくれていたのだった。
「あの人の思いを、真心を踏み躙るおつもりですか!?」
「・・・・・」
「蒼太さんに申し訳ないとは思わないのですか!?」
「・・・・・」
「貴女は蒼太さんから逃げています、蒼太さんの願いからも言葉からも!!ただただ自分が辛いから、耐えられなくなっちゃったから、それで逃げてるだけなんじゃないですか!?」
「・・・・・・っっっ!!!!!!!」
“・・・言わないで”とその言葉を聞いたメリアリアは俯き加減となり、ワナワナと震えたままで呟いた、両手で握り拳を作り、それを更にギュッと強く握り締めていた、かと思うとー。
「勝手な事ばかり言わないで!!!」
メリアリアが絶叫した、その瞳には怒りの涙が溢れ出しており、顔には憤怒の表情が浮かび上がっている、そしてー。
「勝手な事ばかり言わないでよ、貴女が何を知っているって言うのっ!?この一年間、私がどんな思いで生きてきたかっ。貴女になんかは解らないわっ!!!」
全身からは憤怒の怒気をこれでもか、と言うくらいに漲らせて、心の底から怒声を迸らせるモノの、それと同時にー。
パシンッと言う渇いた音がして、メリアリアはアウロラの頬を叩き抜いていた、それをー。
「ハアッ、ハア・・・ッ!!」
「・・・・・」
アウロラは防ごうともせずそのまま受けると、ゆっくりと再び、憤りの余りに呼吸を乱してしまっている金髪碧眼のいばら姫へと向き直る。
「・・・意外と元気じゃないですか、安心しました」
「・・・・・っ!!!」
「どうしてその憤りを力に変えようとなさらないのです?」
アウロラの言葉にカチンッと来てしまったメリアリアがもう一発、ビンタをお見舞いしようとするとその直前ですかさずアウロラが言葉を掛ける。
「その悔しさをバネに、生きていこうとは思わないのですか?」
「なんですって!?」
「蒼太さんに、謝れば良いじゃないですか。直接会って“ごめんなさい”って!!」
「・・・・・っ!!!!!」
アウロラからの突然のその言葉に、メリアリアがまたしてもハッとなって動きを止めるが、するとそれと同時に全身を覆っていた怒気がみるみる内に雲散霧消して行く。
「オリヴィアさんから、聞きました!!貴女は仰ったそうですね、“蒼太さんは生きている”って、“私には解る”って・・・!!」
「・・・・・」
「私も同じです、メリアリアさん!!」
「・・・・・っ!!!!!?」
アウロラのその言葉に、メリアリアがまた反応するモノの、そんな彼女を真っ直ぐに見据えたままでこの青髪碧眼の美少女は続けた、“私もそう感じるんです”とそう告げて。
「私も、蒼太さんが生きていると思っています。・・・理由はありません、ただ」
“そう感じるんです”とアウロラはメリアリアから瞳をそう告げた、メリアリアはビックリしてしまっていた、まさかアウロラもまた、そんな風に感じていたなんて、蒼太の生存を、信じ続けていたなんて!!!
だけど。
「勿論、何の保証もあるわけではありません。私も時々、不安にはなりますよ?“もしかしたなら自分はただ、蒼太さんが居なくなってしまったのを認められないでいるだけなんじゃないか”って・・・。ですけど!!」
“それでもやっぱりそう感じるんです”とアウロラが続けて言った、“あなたもそうじゃないんですか!?”と。
「・・・・・っ!!!!!」
「もし!!蒼太さんが生きていたならば、どうするつもりなんですか、ここに帰って来たとしたならどうするつもりなんですか?そんな時に貴女が居なくなってしまっていたなら、今度は蒼太さんが同じ事になるって思えませんか!?蒼太さんが苦しんで悲しんで、とんでもない事になるって、なんで解らないんですかっ!!?」
「・・・・・」
「蒼太さんに謝りたいのでしたら、先ずはしっかりと生きてからにして下さいっ。生きたままで謝ってあげて下さいっ!!そうじゃないと蒼太さんは貴女のこと、絶対に許しませんよっ!!?」
「・・・・・」
「メリアリアさんっ!!!」
「・・・解ったわ」
と尚も何某かの言葉を続けようとするアウロラに対してメリアリアがようやく真面(まとも)に応えてくれた、その雰囲気は先程までと比べて幾分、落ち着いて来ており、何というか全体的に地に足が着いたような感覚がある。
「解ったわ、アウロラ。確かに貴女の言う通りだわ。蒼太には、ちゃんと生きたままで謝らなきゃだし。・・・それに」
“一生懸命に、生きなければ”とメリアリアは繰り返し頷くモノの確かに、蒼太はそれと同義語な事を自分に何度となく述べてくれていた上に、それが為された後ではなければ自分がどんなにか謝った所で決して許してくれはしないだろう。
「私、蒼太にちゃんと会うわ。そしてそれまで一生懸命に生きる。蒼太に許してもらうためにも・・・」
「・・・・・っ!!!」
“ハアァァ~ッ!!”とその言葉を聞いたアウロラは思わず安堵の溜息を漏らすが正直に言ってここ最近のメリアリアは鬼気迫ると言うべきか、何となく追い詰められていた感じが濃厚に漂っており、それに気付いたアウロラはだから、悪いとは思ったのだけれども密かに、フォンティーヌ家に伝わる“エクストラ・ホロスコープ”を用いて彼女の運命を占ってみたのである、その結果。
“自責”と“自死”の二つの卦がクッキリと浮かび上がってきた為に、大急ぎでオリヴィア達にも相談すると同時に密かにこの金髪碧眼のいばら姫の様子を探り続けていた、と言う次第であったがそれがまさに本日、報われたのであってこれを持ってメリアリアはようやくにして、日常生活を差し障りなく送る事が出来る程度には“自分自身の呪縛”から解き放たれる事が出来たのだ。
「ごめんなさい、アウロラ。そして有り難う!!」
「これでこの前の借りは返しましたからねっ!?もう次は知りませんっ!!」
“勝手に死んで下さいっ!!”とアウロラは告げるとようやくにしてその場を離れ、自らの部屋のある初等部寮へと向けて、“テク、テク、テク・・・”と歩き去って行った。
「・・・・・っ!!!」
(蒼太・・・っ!!!)
後に一人、残されたメリアリアは思わず宙を仰いで瞳を閉じる、そしてー。
恋人の事を強く思うがそこにいたのはもう、先程までの自責の念に苛まされ続けているだけの、弱々しい彼女では決して無かった、新たな覚悟と気持ちとで、自分自身の人生に立ち向かって行こうとする、紛う事無き“光輝玉のいばら姫”そのものの姿だったのである。
(もう一度、あなたに出会えるその日まで。私は精一杯に生きる。生きて生きて生き延びてっ。必ずあなたと巡り合ってみせるからっ!!ううん。何度だって、絶対にっ!!!)
そう思い直すと自らに気合いを入れ直して、メリアリアは力強いしっかりとした足取りのまま、自らもその場を後にした。
だからどちらか一方のみを取り立てて、もう一方を蹴落とす、等という真似だけは、絶対にしてはいけません(なのでこのお話も“メリアリア・レポート”との一対になっております←あのお話を読んでいないとこのお話も理解が出来ません)。
それにメリアリアやアウロラの性格、性質、お互いへの兼ね合い、と言ったモノを考えてみますと、こうする方がしっくり来るんです(お互いがお互いをフォローするって言うんですかね?尊敬する親友であると同時に競い合うライバルでもあるって言う関係です)。
特にメリアリアちゃんの気持ち、蒼太君への思い、みたいなモノを考えると絶対にこうなると思うんですよね(この子は凄い純朴でピュアで真面目な子ですから、特に“自分の中の大切な事”=“蒼太君への思い”については絶対に妥協を許しません、誤魔化しを許さないんです)。
だから蒼太君からハッキリと許す、と言われない限り(言われたとしても本人の中ではちょっと残ってしまうのですが)“許された”とは思えないんですね(次回がその話になります、ってか蒼太君は最初っから気にして無いんですがね)。
ちなみにこの時のアウロラは、髪の毛を伸ばし始めています(この時点で既に“セミロング”位の長さがあります)、彼女も彼女である意味自分なりのケジメを付けてるんです。←“蒼太君に再会するまでは髪の毛を伸ばし続けるんだ”、もしくは“伸ばしたままにするんだ”と言う彼女なりの、“私は私なりに一生懸命に生きて来ました”と言う思いを形にしたメッセージなんです(最終的には髪の毛を下ろしたメリアリアちゃんと同じくらいの長さになります)。
そう言う事で御座います。
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「えええっ!?アウロラが、そんな事を言ってくれたの?」
「うん・・・」
「・・・・・」
空港へと向かう途次(みちすがら)、銀行に立ち寄って、窓口で預金を全額引き下ろしてから蒼太達はまたタクシーに乗り込むと、後は到着までの間に自分達の過去の話に花を咲かせていたのであるが、その最中にー。
話が“蒼太が崩落に巻き込まれた後”の事へと移り変わっていったのであるが、その席上、メリアリアは当時の話をなるべく正確に、詳細に蒼太に話して聞かせた。
自分が後を追って死のうとした事、それを仲間達が押し留めておいてくれた事、蒼太が掛けておいてくれた言葉のお陰で何とか立ち直る事が出来た事、等をー。
「そうか、そんな事が・・・!!」
「うん・・・」
その話を聞かされた時に、蒼太は少し難しそうな顔をして何事かを言おうとしたが、止めた、そんな事をしなくても現在(いま)のメリアリアならば解ってくれているだろうし、現に彼女は生き延びてくれてもいたのである、別段、自分が何かを言う必要は無いと、蒼太は思い直したのであるが、ただ一言ー。
“有り難う”とだけ告げた、“良く生き抜いてくれていたね・・・”と労うように、包み込むようにそう告げて。
「君は、本当に強い女の子なんだね。それに、とっても可愛くて優しい女の子だ!!」
「もうっ。蒼太ったら・・・!!」
“私はもう、子供じゃないのよ!?”と困ったように微笑みながらそう告げるメリアリアだったが、それでも直ぐに優しい笑みを浮かべたままで“でも嬉しいわ”と応えてくれた。
「有り難う・・・」
そう言うと彼女もまた、自身の頭部を蒼太の肩にチョコンとくっ付けると身体ごと彼氏へと向けて寄り掛かってくるモノの、それを見た蒼太もまた、そんな愛妻の後ろから腕を伸ばすと肩を抱き寄せ、自分へと密着させる。
「だけどメリー、君も気にし過ぎだよ。あれはどう見ても事故だったんだから、そんな事まで気にしていたなら本当に身が持たなくなっちゃうよ?」
「うん、ごめんなさい。でも本当にあの時は苦しかったわ。自分のせいで蒼太が居なくなっちゃったんだって、あの時自分が声を掛けなければ、もっと別の場所で待機していたならって。何度も何度もそう思ったもの・・・!!」
そう言ってメリアリアは悲しみの光を瞳に浮かび上がらせるモノの、その様子からまだ完全に、彼女が自分自身を許せていないのだと言う事が、蒼太にはハッキリと伝わって来た。
「実際ね。あなたの言葉がなかったら私、もうとっくに死んでいたと思う、だって他の誰の言葉もどんな思いもちっとも響いて来なかったもの・・・。だけど」
彼女が続けた、“私、一回だけ耐えきれなくなっちゃって、自害しようとした事があったんだ・・・”と。
「ええっ!?」
「だけどその時に、アウロラから言われたんだ。“逃げるんですか?”って・・・」
そう言うとメリアリアは遠い目をするモノの、それは事件から一年程経った、ある夜の事だった、当時自責の念に駆られ続けていたメリアリアはその精神を大分病んでしまっており自分自身を保ち続けるのも限界になって来ていたのである。
辛い任務を終えて帰っては来たとしても、そこには自分を包み込んでくれる蒼太はもういない、あるのは誰もいない、暗くて冷たい伽藍堂だけであり、無機質なコンクリートで囲まれた、立体的な空間がただただどこまでも広がっているだけであった。
「うっ、ううっ。グスッ、ヒグウゥゥ・・・ッ!!!」
そこに居るとしかし、メリアリアには思い出されてしまうのである、楽しかった蒼太との思い出の数々が、明るく微笑む彼の笑顔、彼の声、暖かくて逞しかったその肉体の感触と温もり、何もかもがー。
「ううっ、グスッ。もういやっ、いやああぁぁぁっっ!!!!!」
“死にたい”と、メリアリアはその時切に願った、幸いにしてここの学生寮は7階建てで屋上にも出入り出来るようになっていた、そこから落ちれば間違いなく死ねるだろう。
「うわあああぁぁぁぁぁーーーんっっっ!!!!!!!ヒグウゥゥッ、グズッ。グジュッ!!うえええぇぇぇぇぇーーーんっっっ!!!!!!!」
(蒼太ぁっ、蒼太っ!!)
嗚咽をあげて泣きじゃくりながら、メリアリアは恋人の事を思い続けていた、彼は言った、“生きろ”と、“何が何でも生き抜け”とー。
しかしー。
もうそれも限界だった、この一年間彼女は必死に生き続けて来た、学業も成績を落とさずに努力し続けて来たのであり修練にも必死になって取り組んで行った、勿論、任務の手抜かりなんて有り得ない事だったのであり、どれを取っても以前と同じだけの成果を保ち続けていたのである。
しかしー。
「う、ううううっ。グスッ、ヒグッ!!う、うう・・・っ!!!」
そこにただ一人、蒼太だけが居なかった、まるで心にポッカリと穴が空いたようになってしまっていた彼女はだから、何をやっても何を食べても美味しくなかったし、楽しめなかった、心の底から夢中になれる、と言った事が片時として存在してはいなかったのである。
挙げ句ー。
(蒼太が居なくなってしまったのは自分のせいなんだ!!)
その思いが一番、彼女をして自身の心を追い詰める要因となっていたのであり、その時の事を思い返す度に生きようとする気力自体が萎え萎んで行くモノのそれでも、彼女は耐え続けていた、蒼太は“生きろ”と言ったのだ、となれば自分は何があっても生き続けなくてはならない。
しかし。
(蒼太を酷い目に遭わせたのは、自分なんだ!!)
何度振り払おうとも次々と浮かんで来るその想念に、終いには“自分は果たして生きていても良いのだろうか?”と言う考えが過(よぎ)るようになってしまい、そこへ持ってきて毎日の過酷な練習や学業、任務等が加わってしまった結果、ますます精神的に追い詰められて行ってしまったのである。
そしてー。
(蒼太・・・っ!!!)
恋人の事を思って彼女は、ゆっくりと屋上へと向けて、その備え付けられている階段(ステップ)を登って行った、途中で何度も何度も彼の言葉を思い返しては歩みを止めようとしたモノのしかし、結局はそのまま最上階にある、屋上へと向かう螺旋階段の側にまで、歩を進めて来てしまうが、しかしー。
「こんばんは」
「貴女は・・・っ!!」
そこには既に、先客である一人の少女が立っており、夜風にその青くて長い髪の毛を、気持ち良さそうに棚引かせていた。
「アウロラ・・・!!」
「どうしたんですか?こんな時間に・・・!!」
思わぬ人物に出会ってしまった事で多少、メリアリアの胸中には心境の小波(さざなみ)が立ったが階段の中央部分で両手を後ろで組みながら爽やかな笑みを浮かべて此方を見ていた少女は紛うことなき“アウロラ・フォンティーヌ”その人であって、本来であればあの格式高い邸宅の、3階部分に住居している筈の、フォンティーヌ財閥のご令嬢であったのだ。
元々は7年間の間は高名な修道院である“サン=サヴァン・シュル・ガルタンプ”に通い、そこで上流階級の教養や、レディとしての立ち振る舞いの数々を身に付ける筈であった彼女はしかし、その類い稀なる魔法能力と演算能力、空間認識能力とを買われて途中からこの“魔導師・超能力者育成学園”通称“セラフィム”へと編入して来たのであり、そう言った事情と実家であるフォンティーヌ財閥の意向で他の生徒達に遅れる事、1年半後に“初等部寮”へと本格的な入寮を果たしており、そこで課題と鍛錬に励む傍ら“青き星の祈り姫”としてセイレーンの任務に勤しんでいたのである(一応、それまでは“体験入寮”と言う形をとっており生活のリズムを慣らしていたのだ)。
「疲れていらっしゃる御様子ですけれども・・・。本日は“お仕事”をされて来たんですか・・・?」
「・・・・・」
あくまでも屈託無く尋ねてくるアウロラに対してメリアリアが思わず俯いてしまうモノの、それは致し方が無いと言うモノだっただろう、ただでさえ、苛烈な任務から帰って来たばかりだった事に加えて挙げ句の果てには心の底から慟哭を繰り返していたメリアリアはだから、その時酷く憔悴しており、それとは対照的にアウロラは、こざっぱりとした落ち着いた雰囲気の、美しさを醸し出している。
シャワーでも浴びて来たのだろうか、ボディーソープとヘアコンディショナーの甘い香りが周囲に強く漂っていた。
「夜風に、当たりに来たのですか・・・?」
「・・・・・」
「ずっと泣かれていたみたいでしたけれど・・・。どうしてここに来られたのですか?」
「・・・・・」
「気晴らしですか?それなら私もお付き合い致します」
「・・・・・」
「メリアリアさん」
「ごめんなさい、アウロラ・・・」
“一人になりたいの”とメリアリアが告げるがその顔と瞳には、ある種の凄絶さと言うか、いっそ冷たいまでの光が宿っており凡そ生気と言うものが感じられない。
「私、疲れているの。だからソッとしておいて・・・っ!!」
「逃げるんですか!?メリアリアさん!!」
「・・・・・?」
そう告げて尚も、螺旋階段を上がろうとするメリアリアへと向けてアウロラが、それまでとは比較にならないほどの強さと勢いとで言い放った。
「貴女は、生きなければいけません。私に“生きろ”、と言った言葉をお忘れですか!?」
「あれは、貴女に・・・」
「蒼太さんは、貴女に言ったんですメリアリアさん!!」
「・・・・・っ!!!」
その言葉に、メリアリアは一瞬、ピクリと反応するモノのそうだった、蒼太は直接あの言葉を、繰り返し繰り返し自分に掛けてくれていたのだった。
「あの人の思いを、真心を踏み躙るおつもりですか!?」
「・・・・・」
「蒼太さんに申し訳ないとは思わないのですか!?」
「・・・・・」
「貴女は蒼太さんから逃げています、蒼太さんの願いからも言葉からも!!ただただ自分が辛いから、耐えられなくなっちゃったから、それで逃げてるだけなんじゃないですか!?」
「・・・・・・っっっ!!!!!!!」
“・・・言わないで”とその言葉を聞いたメリアリアは俯き加減となり、ワナワナと震えたままで呟いた、両手で握り拳を作り、それを更にギュッと強く握り締めていた、かと思うとー。
「勝手な事ばかり言わないで!!!」
メリアリアが絶叫した、その瞳には怒りの涙が溢れ出しており、顔には憤怒の表情が浮かび上がっている、そしてー。
「勝手な事ばかり言わないでよ、貴女が何を知っているって言うのっ!?この一年間、私がどんな思いで生きてきたかっ。貴女になんかは解らないわっ!!!」
全身からは憤怒の怒気をこれでもか、と言うくらいに漲らせて、心の底から怒声を迸らせるモノの、それと同時にー。
パシンッと言う渇いた音がして、メリアリアはアウロラの頬を叩き抜いていた、それをー。
「ハアッ、ハア・・・ッ!!」
「・・・・・」
アウロラは防ごうともせずそのまま受けると、ゆっくりと再び、憤りの余りに呼吸を乱してしまっている金髪碧眼のいばら姫へと向き直る。
「・・・意外と元気じゃないですか、安心しました」
「・・・・・っ!!!」
「どうしてその憤りを力に変えようとなさらないのです?」
アウロラの言葉にカチンッと来てしまったメリアリアがもう一発、ビンタをお見舞いしようとするとその直前ですかさずアウロラが言葉を掛ける。
「その悔しさをバネに、生きていこうとは思わないのですか?」
「なんですって!?」
「蒼太さんに、謝れば良いじゃないですか。直接会って“ごめんなさい”って!!」
「・・・・・っ!!!!!」
アウロラからの突然のその言葉に、メリアリアがまたしてもハッとなって動きを止めるが、するとそれと同時に全身を覆っていた怒気がみるみる内に雲散霧消して行く。
「オリヴィアさんから、聞きました!!貴女は仰ったそうですね、“蒼太さんは生きている”って、“私には解る”って・・・!!」
「・・・・・」
「私も同じです、メリアリアさん!!」
「・・・・・っ!!!!!?」
アウロラのその言葉に、メリアリアがまた反応するモノの、そんな彼女を真っ直ぐに見据えたままでこの青髪碧眼の美少女は続けた、“私もそう感じるんです”とそう告げて。
「私も、蒼太さんが生きていると思っています。・・・理由はありません、ただ」
“そう感じるんです”とアウロラはメリアリアから瞳をそう告げた、メリアリアはビックリしてしまっていた、まさかアウロラもまた、そんな風に感じていたなんて、蒼太の生存を、信じ続けていたなんて!!!
だけど。
「勿論、何の保証もあるわけではありません。私も時々、不安にはなりますよ?“もしかしたなら自分はただ、蒼太さんが居なくなってしまったのを認められないでいるだけなんじゃないか”って・・・。ですけど!!」
“それでもやっぱりそう感じるんです”とアウロラが続けて言った、“あなたもそうじゃないんですか!?”と。
「・・・・・っ!!!!!」
「もし!!蒼太さんが生きていたならば、どうするつもりなんですか、ここに帰って来たとしたならどうするつもりなんですか?そんな時に貴女が居なくなってしまっていたなら、今度は蒼太さんが同じ事になるって思えませんか!?蒼太さんが苦しんで悲しんで、とんでもない事になるって、なんで解らないんですかっ!!?」
「・・・・・」
「蒼太さんに謝りたいのでしたら、先ずはしっかりと生きてからにして下さいっ。生きたままで謝ってあげて下さいっ!!そうじゃないと蒼太さんは貴女のこと、絶対に許しませんよっ!!?」
「・・・・・」
「メリアリアさんっ!!!」
「・・・解ったわ」
と尚も何某かの言葉を続けようとするアウロラに対してメリアリアがようやく真面(まとも)に応えてくれた、その雰囲気は先程までと比べて幾分、落ち着いて来ており、何というか全体的に地に足が着いたような感覚がある。
「解ったわ、アウロラ。確かに貴女の言う通りだわ。蒼太には、ちゃんと生きたままで謝らなきゃだし。・・・それに」
“一生懸命に、生きなければ”とメリアリアは繰り返し頷くモノの確かに、蒼太はそれと同義語な事を自分に何度となく述べてくれていた上に、それが為された後ではなければ自分がどんなにか謝った所で決して許してくれはしないだろう。
「私、蒼太にちゃんと会うわ。そしてそれまで一生懸命に生きる。蒼太に許してもらうためにも・・・」
「・・・・・っ!!!」
“ハアァァ~ッ!!”とその言葉を聞いたアウロラは思わず安堵の溜息を漏らすが正直に言ってここ最近のメリアリアは鬼気迫ると言うべきか、何となく追い詰められていた感じが濃厚に漂っており、それに気付いたアウロラはだから、悪いとは思ったのだけれども密かに、フォンティーヌ家に伝わる“エクストラ・ホロスコープ”を用いて彼女の運命を占ってみたのである、その結果。
“自責”と“自死”の二つの卦がクッキリと浮かび上がってきた為に、大急ぎでオリヴィア達にも相談すると同時に密かにこの金髪碧眼のいばら姫の様子を探り続けていた、と言う次第であったがそれがまさに本日、報われたのであってこれを持ってメリアリアはようやくにして、日常生活を差し障りなく送る事が出来る程度には“自分自身の呪縛”から解き放たれる事が出来たのだ。
「ごめんなさい、アウロラ。そして有り難う!!」
「これでこの前の借りは返しましたからねっ!?もう次は知りませんっ!!」
“勝手に死んで下さいっ!!”とアウロラは告げるとようやくにしてその場を離れ、自らの部屋のある初等部寮へと向けて、“テク、テク、テク・・・”と歩き去って行った。
「・・・・・っ!!!」
(蒼太・・・っ!!!)
後に一人、残されたメリアリアは思わず宙を仰いで瞳を閉じる、そしてー。
恋人の事を強く思うがそこにいたのはもう、先程までの自責の念に苛まされ続けているだけの、弱々しい彼女では決して無かった、新たな覚悟と気持ちとで、自分自身の人生に立ち向かって行こうとする、紛う事無き“光輝玉のいばら姫”そのものの姿だったのである。
(もう一度、あなたに出会えるその日まで。私は精一杯に生きる。生きて生きて生き延びてっ。必ずあなたと巡り合ってみせるからっ!!ううん。何度だって、絶対にっ!!!)
そう思い直すと自らに気合いを入れ直して、メリアリアは力強いしっかりとした足取りのまま、自らもその場を後にした。
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