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運命の舵輪編
蒼太とメリーの日常 その5
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「ソーくん、メリーちゃん!!こんにちわ~(´▽`)ノ(´▽`)ノ(´▽`)ノ」
「げえぇっ!?」
「来やがったな・・・っ!!」
冬にしては珍しく、朝から雨が降り続いていた、ある休日の午前のこと。
その時は久々に4日連続で休みを取ることが出来ていた蒼太は自室においてメリアリアとイチャついていたのであるが、そんな折りー。
“やつ”が再びやって来るモノの、その気配を察したメリアリアはまるで出会いたくなかった人物に会ってしまった“さくらももこ”のような表情を作り出し、もう一方の蒼太はと言えばこちらもちょうどギニュー特戦隊と戦うことを余儀なくされてしまった際の、ベ○ータのような台詞を口にする。
「ソーくん、メリーちゃん、遊びましょーっ(*^▽^*)(*^▽^*)(*^▽^*)」
「・・・・・っ!!」
「そ、蒼太・・・っ!!」
自身に必死にしがみ付きながらも、そるでも明らかに“どうしよう?”と“断って!?”と言う思いを秘めた眼差しと表情を向けてくる恋人に対して蒼太は”大丈夫だから“と小声で囁くと、インターホン越しに応対した。
「ノエルさん、せっかくなのですが。今日は忙しいのです、なにも出来ません」
「うそーっ、ソーくん嘘付いてるわーっ。この時間帯にいるって事は今日はお休みでしょーっp(`Д´)qp(`Д´)qp(`Д´)q」
「・・・・・」
(そう来たか・・・)
最近、少しずつ知恵を付け始めて来たこの天然人型有機AIに対して蒼太も並々ならぬ苦労を背負い込む事となった、彼女には前に一度、ハッキリとお断りさせていただいているのである、“自分には恋人がいること”、“その人と同棲をしていること”、“二人の時間を大切にしたいこと”等を、キチンと言葉に直して伝えたのであるが、しかしー。
「解ってもらえましたか?ノエルさん・・・っ!!」
「解ってるって、大丈夫よ~っ。私、そう言うのちゃんと解ってるから~(o´∀`)b(o´∀`)b(o´∀`)b」
とその時はそういって、現に一ヶ月程度は大人しくしてくれていたノエルであったが最近はまた遊びに来る回数が増えており今現在は多い時だと1週間に3回、月に10回を数える程の、ヘビーゲストユーザーと化してしまっていたのだ。
それもこちらが断ったり、居留守を使ったりした上でのモノであり、そうでなければ週5で月20日間は通い詰める程の、一種のセカンドハウスのような感覚で来訪されるに至っていたのであった。
「一昨日も遊べなかったんだからぁーっ(`Д´)(`Д´)(`Д´)今日は絶対に遊ぶのーっ。遊ぶ遊ぶ、遊ぶったら遊ぶーっ!!!」
「落ち着いて下さい、ノエルさん」
蒼太は取り敢えず宥めるモノのこれは困った、と思った、現状、どうしてもの場合は申し訳ないと思うのだけれども“人よけの呪い”を用いる事にしているのであり、その場合は効果覿面でノエルを含めて誰も、訪ねて来る事はしなかったから、彼は心行くまでメリアリアとの思慕と愛欲とに満ち満ちた、“いちゃラブライフ”を堪能する事が出来ていたのだ。
そしてメリアリアもそんな時は心底嬉しそうに、満たされた表情を見せてくれるのだが、この術は本来であれば、時間を掛けてキチンと精製しなければならないモノであり、そうやって正しい手順で気を練り込みながら掛けた場合は何十年、何百年でも持つのであるが、普段が忙しい蒼太は大体、いつも即席でやってしまうために、その効果も3日程度で終わってしまう代物に過ぎなかったのである。
もっとも。
メリアリアとしては現状、それで充分に満足出来ていたし、またそう言った彼の多忙な事も知ってはいたから特に無理を言ったりする事はしなかった、代わりに。
最近では蒼太の助手として度々、霊能相談や除霊、鬼の封殺、魔物退治、結界伸張、浄化昇聖等にくっ付いていったり、そうで無い場合は朝の内にさっさと家事洗濯を済ませた後で買い物がてら、散策に出掛けたりと自分の時間を自分自身で見出しては有効活用するように心掛けていたのである。
しかし。
如何にそうやって自分達で二人だけの時間を作ったり、自由時間を満喫するようにしてはいても、それで彼女の来訪を完全に遮断できていた訳では決して無かった(ただし家に来ても誰もいないので効果自体はかなりあったのであるが)、現に今日もそうなってしまったモノの、本来であれば蒼太は連休に入る前はその前日に必ず“人よけの結界”を張り巡らせておくのであるが、昨夜は案件の解決が長引いてしまったのと彼自身、連日連夜続いていた仕事の関係で消耗が著しかった為に、次の日の朝にやろうとしていたのである、そうしたところー。
溜まっていた疲れからかつい、九時近くにまで寝過ごしてしまい、メリアリアに起こされなければ下手をすれば、午前中ずっと寝むったままの状態で過ごしていた可能性すらあったのだ。
だからー。
「ねぇー、ねぇーっ。ソーくん、ソーくん。遊びましょーっ!?今日は私、絶対に帰らないからねーっ。絶対に遊ぶんだから!!遊ぶためには何度だって蘇っちゃうんだから、“フェニックスのノエル”なんだからねーっ!!」
「・・・・・」
(なにが“フェニックスのノエル”だよ、全く・・・!!)
蒼太は心底呆れてしまうが大体においてこの人は、なにをいい年こいて今更“聖闘士星矢(セイントセイヤ)”に嵌まっているのかが彼には理解できないのであり、それも朝っぱらから他人様の家に押し掛けてきては自分を“フェニックスのセイント”だと宣(のたま)っている訳であってもし、これらの話が事実であるなら前任者である筈の一輝はヤケクソのあまりに投げ捨てたか、そうでなければ度重なる激戦における後遺症で重度の“PTSD”を発症していたとしか思えずに、何れにせよ早期の治療が望まれる。
「大体ね。どこの世界に遊ぶために決死の思いで蘇って来る聖闘士がいるって言うんですか、一輝が聞いたら泣きますよ!?」
「ふーんだ、そんなことないもーんだ(`Д´)(`Д´)(`Д´)一輝は心置きなく私に聖闘士の座を譲ってくれたもーんだ!!!」
「ぜってぇウソだろ、そんな話っ!!」
蒼太は思わず絶叫するモノの、もしかしたならその時既に、一輝はノエルによって“鳳凰幻魔拳”を仕掛けられていたのかも知れず、妄想に酔っ払ってしまっていた可能性も否定できない状況であるが、いずれにしても。
「いいですか?ノエルさん。ここは所謂(いわゆる)“聖域(サンクチュアリ)”なんです、間違っても青銅聖闘士(ブロンズセイント)ごときが出しゃばって来ていい場所では無いんですよ?」
「・・・なんの聖域(サンクチュアリ)なのよ?」
「“僕とメリーの愛の巣”に決まってるじゃないですか!!そう言う訳で青銅(ブロンズ)は・・・」
「ふっふっふ・・・っ!!」
「・・・?」
蒼太がそこまで話した時だった、不意にノエルが俯き加減になって何やらしたり顔を作り、不敵な笑みを浮かべ始めるモノのその内に、“残念だったわね、ソーくん・・・”とゆっくりと、自信ありげに重々しい口調で語り始める。
「なんですか?急に・・・」
「あなたは既に、私の“幻朧魔皇拳”を受けているのよ?身体の自由は効かないわ!!」
「“鳳凰幻魔拳”じゃねーのかよっ!?」
蒼太が思わず突っ込みを入れるがコイツは確かに、それもつい今しがたまで自分のことを“フェニックスのノエル”と宣(のたま)っていたのであり、それがいつの間にかに“黄金聖闘士(ゴールドセイント)”に置き換わってしまっていたのである。
「お前“フェニックス”って言っただろ!!“フェニックス”って言ったよな!?なんだ“幻朧魔皇拳”て、なんで“ジェミニのサガ”になってんだよ!!」
「ふっふっふっ。残念だったわね、ソーくん。私は遊びにやって来る度にドンドン強くなって行くのだよ、私の中の小宇宙(コスモ)が燃え上がって行くの。そして私は遂に、“第7感”を手に入れたんだわ!!」
「ふざけた事言ってんじゃねぇっ!!」
と遂に蒼太は堪らなくなって本心から叫ぶと同時に自らの意思を叩き付けるが一体、どこの世界に遊ぶ度にコスモに目覚めて行く聖闘士がいると言うのであろうか。
「お前、いい加減にしておかないと、本気(マジ)でその内黄金聖闘士にしばき倒されるぞ!?」
「あん(^0^;)もう、そんなに怒らないで?ソーくん。それとも貴方はコスモを感じた事が無いのかしら!?」
「・・・そりゃ“コスモ”と言うか。その人の持っている“本質生命体”の放つ、“力”と“輝き”ならば感じた事はありますよ?」
と蒼太は告げるが確かにそれらは、圧倒的なまでの尊さと恐ろしい程の凄まじさ、そしてー。
それでいて暖かな、無限の光とエネルギーとに満ち溢れている、その人その人の奥底に眠っている“神性の発露”そのものであって、その力強い煌めきの迸りの事を、人によっては小宇宙(コスモ)と呼び表すのだろうと理解するモノの、しかし。
「そんな“セブンセンシズ”に目覚めている筈のあなたに是非お聞きしたいのですが。“クロス”はどうしたんですか?」
「えっ、えっ!?あぁー、あれねぇ~っ。えっとぉ~・・・っ(;^_^A(;^_^A(;^_^A」
するとそれを言われたノエルは途端にしどろもどろとなり“アハハハハハッ”と困ったように笑い始める、そしてそのままー。
“ちょっと壊れちゃってぇ~、ムゥに直してもらっているの~(^◇^;)(^◇^;)(^◇^;)”と告げるに至るがそれを聞いた蒼太はあくまで覚めた表情と眼差しとを、この年上ハーフの友人へと向けて“へえぇぇぇ・・・”と呟いた。
「聖闘士の誇りとも言えるクロスをねぇ~、そんなに簡単に壊れるモノなんですか?あれって・・・」
「い、いやぁ~、まあ私もさぁっ。これまで数々の激戦を潜り抜けて来たって言うか・・・」
「問答無用ですね」
そこまで聞いた時には流石の蒼太も些かうんざりとしてしまっていた、もうこれ以上、彼女に関わっていたとしても有益な事など何も無いし、それになにより。
自分の可愛い女性(ひと)がずっと待っててくれているのである、蒼太としても一刻も早くに彼女の元へと帰りたいし、見るとメリアリアも恋しくて堪らなさそうな表情を浮かべて此方を見ている、無駄な時間を一秒たりとも過ごすわけにはいかない。
「・・・取り敢えずは“デス・フェニックス島”に行って下さい、そこでクロスが待ってますっ。それじゃっ!!!」
思わず呆れてしまった蒼太が“沙織お嬢様によろしく!!”と言って通信を切ろうとした時だった、“あーっ、あーっ。そんなこと言って良いのかなーっ!?”とノエルが思いっ切り思わせぶりな態度を取っては尚も食い下がって来たのである。
「わたし、せっかくの良い情報を持ってきてあげたのになーっ!?そんな態度を取って良いのかなーっ!?」
「・・・・・!!」
「・・・・・?」
(“情報”・・・!?)
その言葉に、思わず蒼太がメリアリアを見ると彼女も些か困惑したかのような表情を浮かべて自分を見つめており一応、確認しておくべき事項である事が伺える。
「・・・その“情報”って言うのは何ですか?」
「ふふーんだ、教えてあげない。遊んでくれたら教えてあげる!!」
「・・・・・」
“何に関するモノですか?”と蒼太は聞いた、“それくらい、教えてくれても良いでしょう?”と。
「本当に必要な情報かどうかは此方が判断します、先ずは話して見て下さい。本当に貴女が情報を持っているんであればね」
「ソーくんとメリアリアちゃん、最近誰かと戦わなかった?」
「・・・・・」
「・・・・・っ!!?」
その言葉に、蒼太もメリアリアも再びお互いを見つめるモノの、彼等には確かに、身に覚えがあった。
つい一ヶ月と半月ほど前に、幼い頃からの因縁の相手であった“カインとノエル”という名の二人組と戦って無事に勝ちを収めたモノの、その直後に別の“何者か”によって“遠隔透視”を受けた事があって、それ自体は直ちに結界を張って跳ね返したのであるが、相手の正体が已然、不明のままだったのだ。
「その時に戦った相手の事についてなんだけど・・・。“彼等”は4人組で来ている事が判明しているの」
「・・・・・」
「・・・・・」
蒼太がメリアリアを見ると、彼女もまた、真面目な顔をしてコクンと頷くモノのどうやら、ノエルの持っている情報と言うのは今の二人にとってはかなり貴重なモノらしくて取り敢えずは聞いておいて損は無いと思えるほどに、確かで重要性の高いそれであることは間違いない事のように感じられる。
カチャン、カチャン、ガコンッ、ガチャ・・・ッ!!
「お邪魔しまーす(*^▽^*)(*^▽^*)(*^▽^*)」
メリアリアに対して“なにが起きても大丈夫なように身構えておいて”と断りを入れると一応、周囲にノエル以外の気配が無いことを確認した上で蒼太は玄関の二重ロックとドアガードとを解除しては、その頑丈なアルミ製の鉄の扉を開け放つが、するとそこにはいつものようにお茶とお茶菓子をバスケットに入れて持ってきていたノエルの姿があった。
「あははっ、良かったぁ~っ。やっと聖域(サンクチュアリ)への扉が開いたわ~ヾ(o´∀`o)ノヾ(o´∀`o)ノヾ(o´∀`o)ノ」
「早く入って・・・」
「は~い!!!」
彼女を招き入れると蒼太は更に周囲を伺いつつも、素早くドアを閉じて施錠をし、年上ハーフの友人をリビングへと案内する。
「あははっ。メリアリアちゃん、こんちには~っ!!!」
「ええ、ノエル。5日ぶりね・・・」
「取り敢えず座って。お茶は此方で用意しますから・・・」
「え~っ!?せっかく持ってきたんだよ~っ!!“エディアール”と“ミツティー”、あとスコーンもねぇ~(*'▽'*)(*'▽'*)(*'▽'*)」
「・・・・・」
「やだ、ソーくんたらっ!!毒なんて入ってないもーんっっっ(`Д´)(`Д´)(`Д´)」
ノエルの用意してきたお茶っ葉類やスコーン等を、いつもよりも更に念入りに調べ上げること5分、ようやくなんの仕込みも無いことを確認した蒼太は話の本題に入る事にした。
「どうして僕達が戦闘したことを知っているんですか?ノエルさん・・・」
「簡単な事よ~。だって私の実家って、エウロペでも有数の調略情報戦専門国家なんだもの。毎日色々な情報が入って来るの~(≧∇≦)b(≧∇≦)b(≧∇≦)b」
“その中に”とノエルは続けた、“貴方達の事があったのよ~”とそう言って。
「ビックリしたわ~っ!?まさか貴方達が“レウルーラ”の標的リストに名を連ねていた、なんて知った時にはねぇ~っ!!!」
「・・・・・」
「“レウルーラ”の・・・?」
“一体、どうして?”とメリアリアは疑問を呈するモノの、蒼太は思い当たる節があった、それというのは。
「“エカテリーナ”か?」
「ピンポーン、だいせいかーい!!」
蒼太の言葉にノエルが素早く反応するモノの確かに彼の睨んだ通りでノエルの集めた情報によると5ヶ月ほど前、“レウルーラ”に“エカテリーナ”を名乗る女性から通報があったそうなのである、いわく“セイレーン内部における最高戦力の一角であるメリアリアを弱体化させて放逐する事に成功した”と。
「その後の足取りは、まだ掴めてはいないモノの・・・。どうやら東に向かったらしい事は突き止める事が出来たの!!」
「東に・・・!!」
それを聞き付けたエイジャックス連合王国の誇る秘密情報組織、通称“M16”からレウルーラへと極秘指令が下されたのであった、“事の真相を確かめた上でメリアリアを撃滅せよ”とー。
「・・・・・っ!!?」
「・・・・・」
(そうか、そう言う事だったのね!?)
(そこへ持ってきて、カインとメイルが居たものだから、尚更その情報に鋭く反応した、と言うわけか・・・)
とそこまで思い至った時に、蒼太の中からはこの“エカテリーナと言う存在が何者であり、どうしてここまで執拗なまでにメリーを抹殺しようとしているのか”、と言う、当然の疑問が湧き上がって来るモノの、しかしどんなに考えようとも彼には“エカテリーナ”等と言う名前には心当たりは存在せずに、また以前、メリアリアから聞かされたような容姿の女性にも出会った覚えは皆無であった。
「その“エカテリーナ”と呼ばれている女性の顔写真みたいなモノはありませんか?」
「うう~ん・・・」
ノエルは“ちょっと待ってて~”と言うとスマートフォンを弄くってある動画を再生させるが、そこに映っていたのがー。
「・・・・・っ?」
「あ、ああ・・・っ!!」
それを見た途端に“こいつよ!!”とメリアリアが絶叫するモノの、その映像にはどこぞの大型ショッピングモールと思しき場所の建物の中の2階か3階部分において今まさに下に向かうエスカレーターへと乗り込もうとしている、一人の女性の姿があった。
遠目で詳しい顔の造形までは解らないモノの、それでもメリアリアから聞かされた通りの、膝の辺りにまで伸びている紫色の、少しカールの掛かっているボリューミーな髪の毛をしている。
ただし。
服装は聞いていたのとは違っており黒のニットを白亜色のサルエルパンツでシックに着こなしていた、この映像が撮られたのは多分、夏だったのだろうが季節柄、コーデも変えたと言う所だろうか。
「蒼太・・・っ!!」
「ううーん・・・っ!!」
メリアリアから向けられる、縋り付くかのような眼差しに対して蒼太も思わず難しい表情を見せては唸り声を挙げてしまうモノの正直、もう少し鮮明かつ、近くから撮られた画像が欲しい。
それも出来れば相手の顔がハッキリと映っているモノが良いのであるが現状、これでは相手が女性である事と尚かつ、その髪の毛が長くて紫色のカールの掛かっているそれである、と言うこと以外は何も判別する事が出来なかった。
或いは。
(・・・もし。相手を生で見ることが出来たのならば。その波動を感知して過去に、自身が会っていた人物のそれらと照会して行く事も出来るんだけれども、今見た感じだと恐らく、このエカテリーナという女性は自らの気配を極限まで封じ込めながら生活している、これだと探査が効かない!!)
流石の蒼太も困ってしまうモノのもはや、こうなっては今一度“神人化”して相手の波動を念入りに精査すると共に、その正体を判別するより他は無く、そう思いを決した青年が二人に断りを入れて自室へと引き籠もろうとした、その時だ。
「それなら、これはどうかしら~・・・」
「・・・・・っ!!?」
「あ・・・っ!!」
そこには恐らくは同じショッピングモール内にある、地下の駐車場と思しき場所を外へと向けて歩いて行くエカテリーナの姿があったがカメラの位置の問題もあるのだろうが先程のそれよりは、かなり近い場所からの撮影となっていた、ただしー。
「画質がやっぱり良くないですね。それに移っているのも一瞬だし。これだけだと解らないですよ・・・」
「ふふーん、そんなこともあろうかと思ってぇ・・・っ!!!」
とノエルは先程までの二つの動画の内でエカテリーナが映っている部分だけを静止画にして保存し、そこから更にスマートフォンを操作して彼女の顔の部分の拡大、及び画像の鮮明化を施して行った、そうしておいてー。
一瞬、彼女の顔をテクスチャー状に処理して混ぜ合い、再構築させたモノを3D処理して蒼太に見せる、するとー。
「・・・っ!?!?!?!?」
「蒼太・・・?」
「知ってる娘(こ)なの?ソーくん・・・」
“この女性(ひと)は・・・っ!?”と呟きつつも、暫くの間、顎と口とに手を当てながらもその画像を注意深そうに見つめ続けていた蒼太はそれでも、次の瞬間には“バカな!?”と呻くような声を発してワナワナと震え始めた、“なぜ、どうして・・・?”とそう告げて。
「そんな筈は・・・っ!!!いや、しかし・・・っ。まさかっ!?」
「蒼太・・・?」
「・・・・・?」
不安そうな瞳を向けるメリアリアとノエルに対して“レベッカだ”と蒼太は言った、“間違いない。生きていたなんて・・・!!”と、信じられないようなモノを見るかのような眼差しを向けて。
「・・・・・?」
「レベッカ・・・?」
「ああ・・・っ!!」
恋人が発したその言葉に、珍しく驚愕の表情を浮かべたままで蒼太が頷き応えるモノの、“彼女”の名前は“レベッカ・デ・アラゴン・イ・シシリア”と言い、ヒスパニア王国の貴族である“バルセロナ家”の血を引いていた、魔法剣士の少女であった。
ーーーーーーーーーーーーーー
ちなみに、ですが。
蒼太のみならずメリアリアも、そしてノエルもまた英検と普通免許に加えてTOEIC、TOEFL、各種IT業界関連の資格を保持しています。
メリアリアの場合は英検一級、普通免許に加えて“MOS”、“TOEIC”894点、“TOEFL”117点を有しており、ノエルに至っては英検一級、普通免許以外にも“TOEIC”938点、“TOEFL”120点満点、果ては“情報セキュリティスペシャリスト”所謂(いわゆる)“SC”の有資格者でもあります。
他にも彼女は物理学学士号も修得しております(最終学歴が大学卒のためにです)、語学も大変堪能であり、日本語、英語、フランス語等を含めた七ヶ国語を話せます(みんな殆どペラペラな領域で話すことが出来ますので、やろうと思えば“通訳”の仕事なんかも簡単に熟せる訳です)。
容姿も上の下と言った所で体型も良く、脱ぐと大変セクシーなのですが。
如何せん、重度のオタク気質と異常性欲の為に中々友達が出来ません(出来ても長続きしないのです)、ちなみに彼女自身はノーマルであり同性愛者ではありません(もっとハッキリと言ってしまえば“バイセクシャル”でもありません)。
要するにただ単に、成長途中の女の子とエッチな事をする(やりまくる)事が大好きなだけの、ちょっと歪んだ性癖を持っている(おねロリ好きの)どこにでもいる(危険な)お姉さんと言うだけなのですが、ただし。
そんな彼女でも絶対にやらない事と言うのがあります、それというのは。
如何に自分が気に入っているとはいえどもその娘にもし、本当に好きな人がいた場合等には一切、手を出すような真似はしませんし決して関わろうとはしません(何があってもしない人なんです、そう言った物事についてだけは)。
ちなみにそんな彼女自身にも好きな人はいます、原作にはまだ未登場なのですが、遠縁の男の子で(どちらかと言えば“幼馴染み”と言った方が良いかも知れませんが)4歳年下の“レアンドロ”と言う男性です。
フットボールの大好きな爽やか系イケメンであり裏表はありません(要するに、良くも悪くも“お坊ちゃん”な子です)、スポーツをやっている関係上身体は筋肉質でそれなりには鍛えられています(身長は183cmでノエルよりも20cmくらいは上です)。
チン長も勃起した際には20cmちょっとは行くそうなのですが如何せん、向こうの男性(ひと)のそれなので、勃った際でも“フニャ○ン”らしいですよ?←勃起した際にバッキバキにまで硬くなるのはアジア人の中でも取り分け、日本人だけらしいです、だから向こうはいくら大きくてもその実態はフニャフニャなままなのだとか。
つまり本当の意味で“勃起してバッキバキなデカチン”と言うのは日本人男性の巨根だけらしいです(“民族的な差異”があるのかもしれませんが。少なくとも全世界の男性全員が“皆が皆、そうではない”って事ですね)、悪しからず御了承下さい。
それともう一つ、あるのですが。
“絶対熱”について調べたい方がいらっしゃいましたならば、“YouTube”の解説サイトを御覧になられる方が宜しかろうと存じます(ウィキペディア等ではちっとも説明が為されておりませんから)。
またもう暫くいたしましたなら、例の“AIエンペラー”についての考察や“ルクセンブルク大公国”及び“高麗連邦”の抱える“歴史の闇”についても言及が為されて行くかと思います。
そしてもう一つ、“中統”←正式名称“中華人民統一国家共同体”と呼ばれる国においても(もうお気付きの方もいらっしゃられるかと思いますけれどもこれが現実世界における“中国”のことです)同様なのですが。
どうぞもう暫くお待ち下さいませ。
敬具。
ハイパーキャノン。
「げえぇっ!?」
「来やがったな・・・っ!!」
冬にしては珍しく、朝から雨が降り続いていた、ある休日の午前のこと。
その時は久々に4日連続で休みを取ることが出来ていた蒼太は自室においてメリアリアとイチャついていたのであるが、そんな折りー。
“やつ”が再びやって来るモノの、その気配を察したメリアリアはまるで出会いたくなかった人物に会ってしまった“さくらももこ”のような表情を作り出し、もう一方の蒼太はと言えばこちらもちょうどギニュー特戦隊と戦うことを余儀なくされてしまった際の、ベ○ータのような台詞を口にする。
「ソーくん、メリーちゃん、遊びましょーっ(*^▽^*)(*^▽^*)(*^▽^*)」
「・・・・・っ!!」
「そ、蒼太・・・っ!!」
自身に必死にしがみ付きながらも、そるでも明らかに“どうしよう?”と“断って!?”と言う思いを秘めた眼差しと表情を向けてくる恋人に対して蒼太は”大丈夫だから“と小声で囁くと、インターホン越しに応対した。
「ノエルさん、せっかくなのですが。今日は忙しいのです、なにも出来ません」
「うそーっ、ソーくん嘘付いてるわーっ。この時間帯にいるって事は今日はお休みでしょーっp(`Д´)qp(`Д´)qp(`Д´)q」
「・・・・・」
(そう来たか・・・)
最近、少しずつ知恵を付け始めて来たこの天然人型有機AIに対して蒼太も並々ならぬ苦労を背負い込む事となった、彼女には前に一度、ハッキリとお断りさせていただいているのである、“自分には恋人がいること”、“その人と同棲をしていること”、“二人の時間を大切にしたいこと”等を、キチンと言葉に直して伝えたのであるが、しかしー。
「解ってもらえましたか?ノエルさん・・・っ!!」
「解ってるって、大丈夫よ~っ。私、そう言うのちゃんと解ってるから~(o´∀`)b(o´∀`)b(o´∀`)b」
とその時はそういって、現に一ヶ月程度は大人しくしてくれていたノエルであったが最近はまた遊びに来る回数が増えており今現在は多い時だと1週間に3回、月に10回を数える程の、ヘビーゲストユーザーと化してしまっていたのだ。
それもこちらが断ったり、居留守を使ったりした上でのモノであり、そうでなければ週5で月20日間は通い詰める程の、一種のセカンドハウスのような感覚で来訪されるに至っていたのであった。
「一昨日も遊べなかったんだからぁーっ(`Д´)(`Д´)(`Д´)今日は絶対に遊ぶのーっ。遊ぶ遊ぶ、遊ぶったら遊ぶーっ!!!」
「落ち着いて下さい、ノエルさん」
蒼太は取り敢えず宥めるモノのこれは困った、と思った、現状、どうしてもの場合は申し訳ないと思うのだけれども“人よけの呪い”を用いる事にしているのであり、その場合は効果覿面でノエルを含めて誰も、訪ねて来る事はしなかったから、彼は心行くまでメリアリアとの思慕と愛欲とに満ち満ちた、“いちゃラブライフ”を堪能する事が出来ていたのだ。
そしてメリアリアもそんな時は心底嬉しそうに、満たされた表情を見せてくれるのだが、この術は本来であれば、時間を掛けてキチンと精製しなければならないモノであり、そうやって正しい手順で気を練り込みながら掛けた場合は何十年、何百年でも持つのであるが、普段が忙しい蒼太は大体、いつも即席でやってしまうために、その効果も3日程度で終わってしまう代物に過ぎなかったのである。
もっとも。
メリアリアとしては現状、それで充分に満足出来ていたし、またそう言った彼の多忙な事も知ってはいたから特に無理を言ったりする事はしなかった、代わりに。
最近では蒼太の助手として度々、霊能相談や除霊、鬼の封殺、魔物退治、結界伸張、浄化昇聖等にくっ付いていったり、そうで無い場合は朝の内にさっさと家事洗濯を済ませた後で買い物がてら、散策に出掛けたりと自分の時間を自分自身で見出しては有効活用するように心掛けていたのである。
しかし。
如何にそうやって自分達で二人だけの時間を作ったり、自由時間を満喫するようにしてはいても、それで彼女の来訪を完全に遮断できていた訳では決して無かった(ただし家に来ても誰もいないので効果自体はかなりあったのであるが)、現に今日もそうなってしまったモノの、本来であれば蒼太は連休に入る前はその前日に必ず“人よけの結界”を張り巡らせておくのであるが、昨夜は案件の解決が長引いてしまったのと彼自身、連日連夜続いていた仕事の関係で消耗が著しかった為に、次の日の朝にやろうとしていたのである、そうしたところー。
溜まっていた疲れからかつい、九時近くにまで寝過ごしてしまい、メリアリアに起こされなければ下手をすれば、午前中ずっと寝むったままの状態で過ごしていた可能性すらあったのだ。
だからー。
「ねぇー、ねぇーっ。ソーくん、ソーくん。遊びましょーっ!?今日は私、絶対に帰らないからねーっ。絶対に遊ぶんだから!!遊ぶためには何度だって蘇っちゃうんだから、“フェニックスのノエル”なんだからねーっ!!」
「・・・・・」
(なにが“フェニックスのノエル”だよ、全く・・・!!)
蒼太は心底呆れてしまうが大体においてこの人は、なにをいい年こいて今更“聖闘士星矢(セイントセイヤ)”に嵌まっているのかが彼には理解できないのであり、それも朝っぱらから他人様の家に押し掛けてきては自分を“フェニックスのセイント”だと宣(のたま)っている訳であってもし、これらの話が事実であるなら前任者である筈の一輝はヤケクソのあまりに投げ捨てたか、そうでなければ度重なる激戦における後遺症で重度の“PTSD”を発症していたとしか思えずに、何れにせよ早期の治療が望まれる。
「大体ね。どこの世界に遊ぶために決死の思いで蘇って来る聖闘士がいるって言うんですか、一輝が聞いたら泣きますよ!?」
「ふーんだ、そんなことないもーんだ(`Д´)(`Д´)(`Д´)一輝は心置きなく私に聖闘士の座を譲ってくれたもーんだ!!!」
「ぜってぇウソだろ、そんな話っ!!」
蒼太は思わず絶叫するモノの、もしかしたならその時既に、一輝はノエルによって“鳳凰幻魔拳”を仕掛けられていたのかも知れず、妄想に酔っ払ってしまっていた可能性も否定できない状況であるが、いずれにしても。
「いいですか?ノエルさん。ここは所謂(いわゆる)“聖域(サンクチュアリ)”なんです、間違っても青銅聖闘士(ブロンズセイント)ごときが出しゃばって来ていい場所では無いんですよ?」
「・・・なんの聖域(サンクチュアリ)なのよ?」
「“僕とメリーの愛の巣”に決まってるじゃないですか!!そう言う訳で青銅(ブロンズ)は・・・」
「ふっふっふ・・・っ!!」
「・・・?」
蒼太がそこまで話した時だった、不意にノエルが俯き加減になって何やらしたり顔を作り、不敵な笑みを浮かべ始めるモノのその内に、“残念だったわね、ソーくん・・・”とゆっくりと、自信ありげに重々しい口調で語り始める。
「なんですか?急に・・・」
「あなたは既に、私の“幻朧魔皇拳”を受けているのよ?身体の自由は効かないわ!!」
「“鳳凰幻魔拳”じゃねーのかよっ!?」
蒼太が思わず突っ込みを入れるがコイツは確かに、それもつい今しがたまで自分のことを“フェニックスのノエル”と宣(のたま)っていたのであり、それがいつの間にかに“黄金聖闘士(ゴールドセイント)”に置き換わってしまっていたのである。
「お前“フェニックス”って言っただろ!!“フェニックス”って言ったよな!?なんだ“幻朧魔皇拳”て、なんで“ジェミニのサガ”になってんだよ!!」
「ふっふっふっ。残念だったわね、ソーくん。私は遊びにやって来る度にドンドン強くなって行くのだよ、私の中の小宇宙(コスモ)が燃え上がって行くの。そして私は遂に、“第7感”を手に入れたんだわ!!」
「ふざけた事言ってんじゃねぇっ!!」
と遂に蒼太は堪らなくなって本心から叫ぶと同時に自らの意思を叩き付けるが一体、どこの世界に遊ぶ度にコスモに目覚めて行く聖闘士がいると言うのであろうか。
「お前、いい加減にしておかないと、本気(マジ)でその内黄金聖闘士にしばき倒されるぞ!?」
「あん(^0^;)もう、そんなに怒らないで?ソーくん。それとも貴方はコスモを感じた事が無いのかしら!?」
「・・・そりゃ“コスモ”と言うか。その人の持っている“本質生命体”の放つ、“力”と“輝き”ならば感じた事はありますよ?」
と蒼太は告げるが確かにそれらは、圧倒的なまでの尊さと恐ろしい程の凄まじさ、そしてー。
それでいて暖かな、無限の光とエネルギーとに満ち溢れている、その人その人の奥底に眠っている“神性の発露”そのものであって、その力強い煌めきの迸りの事を、人によっては小宇宙(コスモ)と呼び表すのだろうと理解するモノの、しかし。
「そんな“セブンセンシズ”に目覚めている筈のあなたに是非お聞きしたいのですが。“クロス”はどうしたんですか?」
「えっ、えっ!?あぁー、あれねぇ~っ。えっとぉ~・・・っ(;^_^A(;^_^A(;^_^A」
するとそれを言われたノエルは途端にしどろもどろとなり“アハハハハハッ”と困ったように笑い始める、そしてそのままー。
“ちょっと壊れちゃってぇ~、ムゥに直してもらっているの~(^◇^;)(^◇^;)(^◇^;)”と告げるに至るがそれを聞いた蒼太はあくまで覚めた表情と眼差しとを、この年上ハーフの友人へと向けて“へえぇぇぇ・・・”と呟いた。
「聖闘士の誇りとも言えるクロスをねぇ~、そんなに簡単に壊れるモノなんですか?あれって・・・」
「い、いやぁ~、まあ私もさぁっ。これまで数々の激戦を潜り抜けて来たって言うか・・・」
「問答無用ですね」
そこまで聞いた時には流石の蒼太も些かうんざりとしてしまっていた、もうこれ以上、彼女に関わっていたとしても有益な事など何も無いし、それになにより。
自分の可愛い女性(ひと)がずっと待っててくれているのである、蒼太としても一刻も早くに彼女の元へと帰りたいし、見るとメリアリアも恋しくて堪らなさそうな表情を浮かべて此方を見ている、無駄な時間を一秒たりとも過ごすわけにはいかない。
「・・・取り敢えずは“デス・フェニックス島”に行って下さい、そこでクロスが待ってますっ。それじゃっ!!!」
思わず呆れてしまった蒼太が“沙織お嬢様によろしく!!”と言って通信を切ろうとした時だった、“あーっ、あーっ。そんなこと言って良いのかなーっ!?”とノエルが思いっ切り思わせぶりな態度を取っては尚も食い下がって来たのである。
「わたし、せっかくの良い情報を持ってきてあげたのになーっ!?そんな態度を取って良いのかなーっ!?」
「・・・・・!!」
「・・・・・?」
(“情報”・・・!?)
その言葉に、思わず蒼太がメリアリアを見ると彼女も些か困惑したかのような表情を浮かべて自分を見つめており一応、確認しておくべき事項である事が伺える。
「・・・その“情報”って言うのは何ですか?」
「ふふーんだ、教えてあげない。遊んでくれたら教えてあげる!!」
「・・・・・」
“何に関するモノですか?”と蒼太は聞いた、“それくらい、教えてくれても良いでしょう?”と。
「本当に必要な情報かどうかは此方が判断します、先ずは話して見て下さい。本当に貴女が情報を持っているんであればね」
「ソーくんとメリアリアちゃん、最近誰かと戦わなかった?」
「・・・・・」
「・・・・・っ!!?」
その言葉に、蒼太もメリアリアも再びお互いを見つめるモノの、彼等には確かに、身に覚えがあった。
つい一ヶ月と半月ほど前に、幼い頃からの因縁の相手であった“カインとノエル”という名の二人組と戦って無事に勝ちを収めたモノの、その直後に別の“何者か”によって“遠隔透視”を受けた事があって、それ自体は直ちに結界を張って跳ね返したのであるが、相手の正体が已然、不明のままだったのだ。
「その時に戦った相手の事についてなんだけど・・・。“彼等”は4人組で来ている事が判明しているの」
「・・・・・」
「・・・・・」
蒼太がメリアリアを見ると、彼女もまた、真面目な顔をしてコクンと頷くモノのどうやら、ノエルの持っている情報と言うのは今の二人にとってはかなり貴重なモノらしくて取り敢えずは聞いておいて損は無いと思えるほどに、確かで重要性の高いそれであることは間違いない事のように感じられる。
カチャン、カチャン、ガコンッ、ガチャ・・・ッ!!
「お邪魔しまーす(*^▽^*)(*^▽^*)(*^▽^*)」
メリアリアに対して“なにが起きても大丈夫なように身構えておいて”と断りを入れると一応、周囲にノエル以外の気配が無いことを確認した上で蒼太は玄関の二重ロックとドアガードとを解除しては、その頑丈なアルミ製の鉄の扉を開け放つが、するとそこにはいつものようにお茶とお茶菓子をバスケットに入れて持ってきていたノエルの姿があった。
「あははっ、良かったぁ~っ。やっと聖域(サンクチュアリ)への扉が開いたわ~ヾ(o´∀`o)ノヾ(o´∀`o)ノヾ(o´∀`o)ノ」
「早く入って・・・」
「は~い!!!」
彼女を招き入れると蒼太は更に周囲を伺いつつも、素早くドアを閉じて施錠をし、年上ハーフの友人をリビングへと案内する。
「あははっ。メリアリアちゃん、こんちには~っ!!!」
「ええ、ノエル。5日ぶりね・・・」
「取り敢えず座って。お茶は此方で用意しますから・・・」
「え~っ!?せっかく持ってきたんだよ~っ!!“エディアール”と“ミツティー”、あとスコーンもねぇ~(*'▽'*)(*'▽'*)(*'▽'*)」
「・・・・・」
「やだ、ソーくんたらっ!!毒なんて入ってないもーんっっっ(`Д´)(`Д´)(`Д´)」
ノエルの用意してきたお茶っ葉類やスコーン等を、いつもよりも更に念入りに調べ上げること5分、ようやくなんの仕込みも無いことを確認した蒼太は話の本題に入る事にした。
「どうして僕達が戦闘したことを知っているんですか?ノエルさん・・・」
「簡単な事よ~。だって私の実家って、エウロペでも有数の調略情報戦専門国家なんだもの。毎日色々な情報が入って来るの~(≧∇≦)b(≧∇≦)b(≧∇≦)b」
“その中に”とノエルは続けた、“貴方達の事があったのよ~”とそう言って。
「ビックリしたわ~っ!?まさか貴方達が“レウルーラ”の標的リストに名を連ねていた、なんて知った時にはねぇ~っ!!!」
「・・・・・」
「“レウルーラ”の・・・?」
“一体、どうして?”とメリアリアは疑問を呈するモノの、蒼太は思い当たる節があった、それというのは。
「“エカテリーナ”か?」
「ピンポーン、だいせいかーい!!」
蒼太の言葉にノエルが素早く反応するモノの確かに彼の睨んだ通りでノエルの集めた情報によると5ヶ月ほど前、“レウルーラ”に“エカテリーナ”を名乗る女性から通報があったそうなのである、いわく“セイレーン内部における最高戦力の一角であるメリアリアを弱体化させて放逐する事に成功した”と。
「その後の足取りは、まだ掴めてはいないモノの・・・。どうやら東に向かったらしい事は突き止める事が出来たの!!」
「東に・・・!!」
それを聞き付けたエイジャックス連合王国の誇る秘密情報組織、通称“M16”からレウルーラへと極秘指令が下されたのであった、“事の真相を確かめた上でメリアリアを撃滅せよ”とー。
「・・・・・っ!!?」
「・・・・・」
(そうか、そう言う事だったのね!?)
(そこへ持ってきて、カインとメイルが居たものだから、尚更その情報に鋭く反応した、と言うわけか・・・)
とそこまで思い至った時に、蒼太の中からはこの“エカテリーナと言う存在が何者であり、どうしてここまで執拗なまでにメリーを抹殺しようとしているのか”、と言う、当然の疑問が湧き上がって来るモノの、しかしどんなに考えようとも彼には“エカテリーナ”等と言う名前には心当たりは存在せずに、また以前、メリアリアから聞かされたような容姿の女性にも出会った覚えは皆無であった。
「その“エカテリーナ”と呼ばれている女性の顔写真みたいなモノはありませんか?」
「うう~ん・・・」
ノエルは“ちょっと待ってて~”と言うとスマートフォンを弄くってある動画を再生させるが、そこに映っていたのがー。
「・・・・・っ?」
「あ、ああ・・・っ!!」
それを見た途端に“こいつよ!!”とメリアリアが絶叫するモノの、その映像にはどこぞの大型ショッピングモールと思しき場所の建物の中の2階か3階部分において今まさに下に向かうエスカレーターへと乗り込もうとしている、一人の女性の姿があった。
遠目で詳しい顔の造形までは解らないモノの、それでもメリアリアから聞かされた通りの、膝の辺りにまで伸びている紫色の、少しカールの掛かっているボリューミーな髪の毛をしている。
ただし。
服装は聞いていたのとは違っており黒のニットを白亜色のサルエルパンツでシックに着こなしていた、この映像が撮られたのは多分、夏だったのだろうが季節柄、コーデも変えたと言う所だろうか。
「蒼太・・・っ!!」
「ううーん・・・っ!!」
メリアリアから向けられる、縋り付くかのような眼差しに対して蒼太も思わず難しい表情を見せては唸り声を挙げてしまうモノの正直、もう少し鮮明かつ、近くから撮られた画像が欲しい。
それも出来れば相手の顔がハッキリと映っているモノが良いのであるが現状、これでは相手が女性である事と尚かつ、その髪の毛が長くて紫色のカールの掛かっているそれである、と言うこと以外は何も判別する事が出来なかった。
或いは。
(・・・もし。相手を生で見ることが出来たのならば。その波動を感知して過去に、自身が会っていた人物のそれらと照会して行く事も出来るんだけれども、今見た感じだと恐らく、このエカテリーナという女性は自らの気配を極限まで封じ込めながら生活している、これだと探査が効かない!!)
流石の蒼太も困ってしまうモノのもはや、こうなっては今一度“神人化”して相手の波動を念入りに精査すると共に、その正体を判別するより他は無く、そう思いを決した青年が二人に断りを入れて自室へと引き籠もろうとした、その時だ。
「それなら、これはどうかしら~・・・」
「・・・・・っ!!?」
「あ・・・っ!!」
そこには恐らくは同じショッピングモール内にある、地下の駐車場と思しき場所を外へと向けて歩いて行くエカテリーナの姿があったがカメラの位置の問題もあるのだろうが先程のそれよりは、かなり近い場所からの撮影となっていた、ただしー。
「画質がやっぱり良くないですね。それに移っているのも一瞬だし。これだけだと解らないですよ・・・」
「ふふーん、そんなこともあろうかと思ってぇ・・・っ!!!」
とノエルは先程までの二つの動画の内でエカテリーナが映っている部分だけを静止画にして保存し、そこから更にスマートフォンを操作して彼女の顔の部分の拡大、及び画像の鮮明化を施して行った、そうしておいてー。
一瞬、彼女の顔をテクスチャー状に処理して混ぜ合い、再構築させたモノを3D処理して蒼太に見せる、するとー。
「・・・っ!?!?!?!?」
「蒼太・・・?」
「知ってる娘(こ)なの?ソーくん・・・」
“この女性(ひと)は・・・っ!?”と呟きつつも、暫くの間、顎と口とに手を当てながらもその画像を注意深そうに見つめ続けていた蒼太はそれでも、次の瞬間には“バカな!?”と呻くような声を発してワナワナと震え始めた、“なぜ、どうして・・・?”とそう告げて。
「そんな筈は・・・っ!!!いや、しかし・・・っ。まさかっ!?」
「蒼太・・・?」
「・・・・・?」
不安そうな瞳を向けるメリアリアとノエルに対して“レベッカだ”と蒼太は言った、“間違いない。生きていたなんて・・・!!”と、信じられないようなモノを見るかのような眼差しを向けて。
「・・・・・?」
「レベッカ・・・?」
「ああ・・・っ!!」
恋人が発したその言葉に、珍しく驚愕の表情を浮かべたままで蒼太が頷き応えるモノの、“彼女”の名前は“レベッカ・デ・アラゴン・イ・シシリア”と言い、ヒスパニア王国の貴族である“バルセロナ家”の血を引いていた、魔法剣士の少女であった。
ーーーーーーーーーーーーーー
ちなみに、ですが。
蒼太のみならずメリアリアも、そしてノエルもまた英検と普通免許に加えてTOEIC、TOEFL、各種IT業界関連の資格を保持しています。
メリアリアの場合は英検一級、普通免許に加えて“MOS”、“TOEIC”894点、“TOEFL”117点を有しており、ノエルに至っては英検一級、普通免許以外にも“TOEIC”938点、“TOEFL”120点満点、果ては“情報セキュリティスペシャリスト”所謂(いわゆる)“SC”の有資格者でもあります。
他にも彼女は物理学学士号も修得しております(最終学歴が大学卒のためにです)、語学も大変堪能であり、日本語、英語、フランス語等を含めた七ヶ国語を話せます(みんな殆どペラペラな領域で話すことが出来ますので、やろうと思えば“通訳”の仕事なんかも簡単に熟せる訳です)。
容姿も上の下と言った所で体型も良く、脱ぐと大変セクシーなのですが。
如何せん、重度のオタク気質と異常性欲の為に中々友達が出来ません(出来ても長続きしないのです)、ちなみに彼女自身はノーマルであり同性愛者ではありません(もっとハッキリと言ってしまえば“バイセクシャル”でもありません)。
要するにただ単に、成長途中の女の子とエッチな事をする(やりまくる)事が大好きなだけの、ちょっと歪んだ性癖を持っている(おねロリ好きの)どこにでもいる(危険な)お姉さんと言うだけなのですが、ただし。
そんな彼女でも絶対にやらない事と言うのがあります、それというのは。
如何に自分が気に入っているとはいえどもその娘にもし、本当に好きな人がいた場合等には一切、手を出すような真似はしませんし決して関わろうとはしません(何があってもしない人なんです、そう言った物事についてだけは)。
ちなみにそんな彼女自身にも好きな人はいます、原作にはまだ未登場なのですが、遠縁の男の子で(どちらかと言えば“幼馴染み”と言った方が良いかも知れませんが)4歳年下の“レアンドロ”と言う男性です。
フットボールの大好きな爽やか系イケメンであり裏表はありません(要するに、良くも悪くも“お坊ちゃん”な子です)、スポーツをやっている関係上身体は筋肉質でそれなりには鍛えられています(身長は183cmでノエルよりも20cmくらいは上です)。
チン長も勃起した際には20cmちょっとは行くそうなのですが如何せん、向こうの男性(ひと)のそれなので、勃った際でも“フニャ○ン”らしいですよ?←勃起した際にバッキバキにまで硬くなるのはアジア人の中でも取り分け、日本人だけらしいです、だから向こうはいくら大きくてもその実態はフニャフニャなままなのだとか。
つまり本当の意味で“勃起してバッキバキなデカチン”と言うのは日本人男性の巨根だけらしいです(“民族的な差異”があるのかもしれませんが。少なくとも全世界の男性全員が“皆が皆、そうではない”って事ですね)、悪しからず御了承下さい。
それともう一つ、あるのですが。
“絶対熱”について調べたい方がいらっしゃいましたならば、“YouTube”の解説サイトを御覧になられる方が宜しかろうと存じます(ウィキペディア等ではちっとも説明が為されておりませんから)。
またもう暫くいたしましたなら、例の“AIエンペラー”についての考察や“ルクセンブルク大公国”及び“高麗連邦”の抱える“歴史の闇”についても言及が為されて行くかと思います。
そしてもう一つ、“中統”←正式名称“中華人民統一国家共同体”と呼ばれる国においても(もうお気付きの方もいらっしゃられるかと思いますけれどもこれが現実世界における“中国”のことです)同様なのですが。
どうぞもう暫くお待ち下さいませ。
敬具。
ハイパーキャノン。
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