星降る国の恋と愛

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運命の舵輪編

セイレーン編18

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 メリアリアはずっと、蒼太に恋をしていた、それは“いつから”とか“何で?”とか具体的な事は思い出せなかった、とにかく気が付いたらのメリアリアへの思いは弾けており、蒼太一色に染まっていたのだ。

 彼と初めて出会ったのはデパートの階段での踊り場だったがその時はろくにお話しも出来なかった、だけど。

 それから僅か1週間後、少年は魔法戦士育成組織である“セラフィム”へと入学をしてきた、そこで二人は再会を果たすことになった、その際に。

 蒼太は自分の話を、凄く熱心に聞いてくれた、それもただ単に聞き流すだけでは無い、例え解らなくても一生懸命に理解しようとしてくれて、自分にちゃんと向き合ってくれたのである。

 そしてそれは、その時だけの事では無かった、その後もメリアリアが何か話をする度に蒼太は熱心に聞き入ってくれて、それに対してキチンと反応もしてくれていた、当時から感性も鋭くて機転の利いたメリアリアは、打ち続く修業や勉学の中で様々な事に気が付いていったがしかし、それらを茶化さずに最後まで話を聞いてくれていたのは蒼太ただ一人だったのだ。

 この時の少女はまだ、幼くて解らなかったけれどもそんな少年の態度や雰囲気から、メリアリアは心の奥底ではハッキリと感じていたのである、彼の持っている優しさと暖かさ、そしてその誠実さとを。

 何処か遊びに行く際も同様だった、子供の頃のメリアリアは少しお転婆な所があり、思わず無茶振りをする所もあったがしかし、蒼太はそれにも嫌がる事無く何処までも一緒に付いてきてくれた、情熱的で好奇心旺盛なその心を、しっかりと受け止めてくれていたのである。

 その上。

「痛てえええぇぇぇぇぇっ!!!?」

「メリーッ、逃げろ!!」

 自分がガキ大将グループに目を付けられて、殴られそうになっていた時には憶する事無く敢然と立ち向かい、彼女を守ってくれたのであるが、そんな蒼太はメリアリアにとってまさに、“白馬の王子様”だった、自分よりも背も小さくて年下だったけれども、彼は紛うこと無き彼女の王子様だったのだ。

 そしてそう気付いた時には。

 メリアリアはもう、恋に落ちてしまっていた、元が純粋だった少女の思いはどこまでも一途に膨らんで行き、自分でもどうにも抑える事が出来ない位に熱く激しく燃え上がってしまっていた、まだ幼くて小さな彼女の胸の内を少しも余さず焦がし尽くして行ったのだがそんな彼への強すぎる恋慕の情はメリアリアを早めの性へと目覚めさせては徐々に蒼太との間に“秘密の遊び”を繰り返させて行くモノの、大好きな人との間に為されるそれは、とても気持ち良くて心地好くて、これ以上無いくらいに刺激的なモノだった、二人は夢中になって逢瀬を繰り返して行った、そしてそうしている内にー。

 遂には互いに初めてを捧げ合った時に、メリアリアの中でそれはハッキリとした“愛情”へと変わって行ったのである、“ああ私は”と彼女は思った、“この時の為に生きて来たのだ”と、“この人と結ばれる為に生まれて来たのだ”と、心の底から自覚したのであり、そしてそれは日に日に巨大で強固でしっかりとしたモノへと進化すると同時に深化していった、彼女の中で何があっても揺るぎない、真に絶対的なモノにまで昇華されて行ったのであるが、それ故にこそ。

 “蒼太を、守る”。

 メリアリアは思っていた、この最愛の人を、何があっても守ってあげたい、何があっても守り抜くんだと、自らの心に固く誓っていたモノの、そしてそれはある時、遂に実在の現象として、ありとあらゆる傷害物を超越した絆の物語として二人の心に、そして魂にと深く刻みつけられる事となった、自らの真我の奥底へと眠っていた彼への愛の輝きを、その迸る純真無垢なる思いの丈を遺憾なく発揮しては蒼太を助けて守り続け、その後もずっとずっと支え続けて寄り添い続けて来た彼女はだから、そんな二人の前にアウロラが現れた時に思ったのである、“私も絶対に負けない”と。

 元々ー。

 メリアリアとアウロラの仲は、決して悪いモノでは無かった、彼女が初めて“クイーンズ・カウンシル”に姿を現した時には“大人しい子が来たな”と思っていた、些か緊張していたのだろう、最後の方は少しどもってしまっていたモノのそれでも、その挨拶や立ち振る舞いは丁寧なモノであり、何処となく上品で清楚な雰囲気を、全身から醸し出していた。

 聞くとフォンティーヌ家のお嬢様だと言う、そんな凄い人をここに入れて良いのかと思ったモノの、彼女の能力は確かに高かった、身体能力は、まだ発展途上と言った所であるがその空間認識能力と演算能力、そして何より魔法の才能に関しては、間違いなく自分を超える逸材だった、仲間として信頼出来るし何より、彼女のその無垢な瞳は見ているモノを心の底から癒してくれたのだ。

 しかしそれは、長くは続かなかった、まさか蒼太と彼女が知り合いだったなんて思わなかったがそれでも、自分から蒼太を奪い去ろうとしている事だけは、嫌というほどに思い知った。

 “そんなことさせない、絶対に!!”

「・・・メリー?」

「なんでも、ないわ・・・」

 “なんでもないの”、と繰り返すとメリアリアは隣で裸のまま、横になっている少年へと告げた、そしてー。

 そのまま唇に唇を重ねると彼に覆い被さるようにして抱き着いては、激しい口付けを繰り返し始めた。
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