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運命の舵輪編
セイレーン編7
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メリアリアちゃんは休日に、どれくらいの頻度で友達と遊ぶのか、と言えばそれは大体、月に1~2回程度です、ではそれ以外の2~3回は何をしているのか、と言えば蒼太君と一緒に過ごしています。
また平日も大体、鍛錬の後で週に4日間位は彼をこっそりと呼び出しています(時々、鍛錬を中断したり、休んだりして丸々彼と一緒にいる事もあります)。
それ以外の日は友人とお喋りをしていたり、一人で過ごしたりしています(昼休みなんかも同じ感じです)。
ーーーーーーーーーーーーーー
「メリーッ、そっちに行ったよ!!」
「解ってる!!」
無線で連絡を取り合いながら、連携して標的を追い詰めて行く。
相手は爆弾魔だ、時間を掛けて隙を見せると、危ない。
アッと言う間に爆発物を仕掛けられて、逆にこちらが危機に陥ってしまうからだ。
「見つけた・・・っ!!」
跳躍したメリアリアが対象を発見し、その距離を詰めて行く。
一度接近戦に持ち込まれた場合、高機動かつ柔軟な関節を誇る彼女から逃れる術は殆どと言って良いほど存在して居なかった、蒼太も何度か“模擬戦”を行って彼女と対峙した事があるから解るが例えば自分だったら体力もあり、また直線距離で爆発的な加速を掛けられるから、それを活かして彼女から逃げ切る事も可能だったが(ただしそれだと勝つことにはならないが)相手は爆薬製造のテクニカルはあっても、戦闘にはてんで素人らしく、その足下も、走り方も覚束ない。
体力もそれほどある方では無いらしく、既にゼイゼイと息切れを起こしていた、決着は間もなくだろう。
と思っていると。
ドオォォォンッと言う爆音がして森林の一角から火の手が上がる、どうやらメリアリアが火炎呪文を発動させて相手の逃げ足を封じたようだ。
後は。
「蒼太!!」
「うん!!」
呼ばれた少年が鋭く的確に反応する、地を巧みに駆けて木々の間を素早く飛び越え、直ぐさま現場に到着すると、吹き飛ばされて気絶していた爆弾魔の男を特製の電子手錠で拘束した。
「やったね、蒼太!!」
「ありがとう、メリーがアシストしてくれたからだよ!!」
二人はそう言って微笑み合い、翳した手と手をパチンと合わせる。
今回の任務は、あるパーティー会場の警護だった、ガリア帝国中の貴族が参加している“高貴なる連盟”主催の、一大晩餐会だ。
この日は特にガリア帝国皇帝である“ルートヴィッヒ十六世”が特別に参加する事になっており、その為にガードも厳重を極めていたのだ、そんな中で。
ある人物が、爆破予告を出してきたのである、男の正体は“エドワール・オーリク”と言う、建築関係に勤務する26歳の青年であり、個人的な政治思想からかねて“高貴なる連盟”を敵対視していたのである。
予告状を受けた“高貴なる連盟”の理事達は動揺した、場所をルテティア郊外にある“フォンテーヌブロー宮殿”から“リュクサンブール宮殿”に移すべきだ、との意見も出たが、結局は晩餐会はそのまま、そこで開かれる運びとなった、そしてー。
そこに蒼太達も駆り出されたのである、最初は蒼太もメリアリアも、“もしこれが事実だった場合は大変に困難な任務になる”と思っていた、何故ならば仕掛けられている爆発物自体には殺気が無い、今までのように相手の気配を感じてそれに応じて対処する、と言うことが不可能なのだ、ではどうするか。
二人で話し合った結果、この場合は感覚を相当に集中させて“直感”を働かせるか、もしくは仕掛けられている爆発物に残されている相手の“残留思念”を感じ取るしか方法は無い、との結論に達した、相手が見えない敵である以上、こちらがやや受動的になるのはやむを得ないが現状では他に、どうすることも出来なかった。
「まあ、最初っから宮殿が舞台だからね?警備は元から厳重だし、それに一応、現場では先に警察の人達が入ってくれてる。問題は無い、と思うけど・・・」
「別に一般公開されている訳じゃあ、無いんだろ?だったら付け入る隙なんか、無いと思うけどな・・・」
「私もそう思う。単なる脅しじゃない?」
メリアリアの言葉に蒼太も頷くが相手が一人とは限らないし、どう言う手段を取ってくるのかも、まだ解っていないのだ、何れにせよ油断は出来ないと、そう考えていた矢先ー。
彼等の元を、一組の男女が訪ねてきた、その姿を見た瞬間に、蒼太達の相好が崩れる。
「アンリ、マリアさん・・・」
「二人とも、どうしたの・・・?」
急な来客に驚きながらも、二人はそう言って出迎えるが彼等の内、男子を“アンリ・エドワーズ”、女子を“マリア・アヴリーヌ”と言い、アンリは蒼太の、マリアはメリアリアのそれぞれ親友だった。
アンリは“ノルマンディー大公”を祖先に持つと言う名家の出であり、いわゆる一種の貴族であった、頭も良くて礼儀作法を弁えていた彼は性格的にも一本、筋が通っていて不誠実な事はせず、冗談では済まされないような酷いことを言ったりやったりして人を泣かせるような真似だけはしなかった、“が”。
ただし、それ以外の事は何でもやった、彼は特に悪戯好きで悪知恵が働き、その事でいつも両親と教師の頭を悩ませていたのだ。
それに、蒼太も度々巻き込まれる事があった、後から振り返って蒼太は言う、“本当に迷惑な奴だった”と。
「あいつのお陰で何度怒られたか、解んないよ。本当に、いいとばっちりだった」、ところが。
それを聞いたアンリは平然とこう返して来た、「俺が色々と出来たのは段取りと実行を受け持ってくれる、優秀なパートナーがいてくれたからだ」と。
「ええっ!?」
“冗談じゃないよ!!”と蒼太は更に反論したが、メリアリアは溜息を付きながら思った、“どっちもどっちね”と。
ちなみに、そんな彼と蒼太が出会ったのも、蒼太がまだ6歳になったばかりの頃で、しかもお互いに単なる顔見知り以上の存在であり、挙げ句に思い出として共有できるエピソードも(その大半が、ろくでもないモノばかりだったけれども)枚挙に暇が無かったから、二人は立派に“幼馴染み”と言うことが出来た。
切っ掛けは、蒼太がメリアリアを守るためにベイジル達三人組と戦い、ボコボコにされながらもその大将を撃ち破った所を偶然、アンリが目撃した所から始まる。
(へえぇ・・・)
アンリは感心した、それまでは“同じクラスにいる、何だかよく解らない奴”としか思っていなかったのであるが、この事件以降、蒼太を見る目が一変した、“あいつ根性あるな”と思い、それから彼と言う存在に対して、興味を持っていったのだ。
子供の頃の蒼太はおっとりと言うか多少、“ポケ~ッ”とした所もあったがしかし、決してバカでは無かったし、話に対する理解力もあった、それに。
見た目以上にキチンと自分の意見を持っていて、それを言える人間でもあった、アンリは感心した、ダメな事はダメ、嫌な事は嫌だと、ちゃんと反論して来る蒼太に最初はむかっ腹を立てた事もあったがそれでも、本心を晒して自分に意見をしてくる人間などは中々いなかったし、それに何かあると蒼太は親身に寄り添ってくれたりもした、気の済むまで話を聞いてくれたし、それに対する受け答えも、かなりシャープなモノだったのだ。
そんな事を繰り返している内に、気が付いたらアンリはもう、蒼太へと心を許していた、何かある時は大抵、二人で連(つる)んで悪だくみを実行した、自分で言うのもなんだけれど、手の掛かる存在であるアンリに、それでも付き合ってくれる蒼太の存在は、とても有難いモノだった(その代わり、常に蒼太にはとばっちりが行ったが・・・)。
ちなみに。
そんな彼にもまた、特殊な才能があった、戦術と駆け引きの妙である、アンリのそれは下手をすればセイレーンの“女王位”にすら勝るとも劣らぬ程の巧みさであり、また本人自身も中々の、身体能力と腕っ節を持っていたのだ、そのため。
蒼太と時同じくして、セイレーンに入隊させられる運びとなった、メリアリア程では無かったけれども彼とも任務で何度か、一緒になったことがあったからお互いに、“こいつも入れられたんだ”と理解した。
もう一方のマリアと言う少女は蒼太やアンリよりも一学年下の平民、それも孤児院の出身だったがただし、小さな頃から彼女にも不思議な力があった、それは巫女としての能力、即ち感知能力と“祈祷力”である。
その二つを買われてセラフィムへと入学させられていたこの少女はしかし、そこでも優れた能力を発揮して見せたために更にセイレーンへと吸い上げられる運びとなって、そこでアンリと出会い、ペアを組ませられる事となった、と言うわけだ。
マリアの能力は、確かに便利なモノだった、彼女自身は決して戦闘が出来なかったが後方において精神を集中させれば敵の位置やその害意、悪意までをも正確に感じ取る事が出来た。
それは人物だけに止まらずに例えば遺失物等を捜す際にも有用だったのであるが、ただし精神をそれなりに摩耗するために、あまり過剰に使いすぎると彼女に相当な負荷が掛かって生活する事も侭ならなくなってしまう為に、長時間の多用は出来なかった。
「よう蒼太、とメリアリアさんも・・・」
「こんにちは、お二人とも・・・」
「どうしたのさ、急に。って言うか、ここに来たって事は・・・」
「ああ。今回の任務は、俺達も一緒に参加する事になった、爆弾魔が相手なんだろ?だったらマリアの力が役に立つからな・・・」
「・・・っ。そうか!!」
その言葉に、蒼太も頷いた、“マリアさんの力を、使うのか!!”と。
確かにそれなら、仮に爆弾魔が爆弾を仕掛けていたとしても安全に、かつ早期に発見する事が出来る、彼女の探知能力を持ってすれば、決して不可能な話しではない。
「俺達は後方支援が担当になる。マリアの護衛もしなければならないしな」
そう言うと、アンリは“邪魔したな”と言ってマリア共々部屋を出て行った、二人は“助かった”と思った、マリアの探知能力の高さは折り紙付きだった、彼等とは既に何度か同じグループに所属して任務を熟している、連携も上手く行くだろう。
そしてー。
その予感は現実のモノとなった、オーリクは晩餐会に向けて点検作業中だったフォンテーヌブロー宮殿へと、工事関係者として出入りしていたのである。
そしてその際にー。
巡回中だった兵士達の目を盗み、何と13箇所に渡って手製の爆薬を設置していたのだった、その全てをマリアは発見して行った、解体は無事に進んで晩餐会は滞り無く開催された。
その最中に、仕掛けておいた爆薬を起爆させるべく、忍び込んでいたオーリクを発見、ちょっとした逃走劇の後に無事逮捕となった。
「ありがとう、マリアさん。アンリも」
「俺は、何もしてないさ」
「だよね」
「おい!!」
自らの言葉を受けて平然と頷く蒼太に対して、アンリは思わず突っ込みを入れた、勿論冗談だった、蒼太達が外を警戒している間、アンリはマリアにくっ付いてずっと宮殿内を巡回し、爆発物を見付けてはその解体、除去を手伝っていたのだから。
「でもありがとう、本当に助かったよ」
「良いんだ」
アンリは言った、何というか、と小声になって、照れたように。
「お前には、いつも世話になってるからな・・・」
「ん、何か言ったか?」
「いいや、別に・・・」
そんな二人の会話を、メリアリアは怪訝そうに、そしてマリアも不思議そうな面持ちで聞いていたが、アンリは。
正直に言って、蒼太に感謝していた、自分のような面倒臭い男に、対等に、平然と、本心から付き合ってくれたのは彼だけだったからだ。
何だかんだ言っても見捨てずに、友達付き合いを続けてくれたのは彼だけだったからだ。
だがそれだけに、彼の事が心配だった、蒼太は、優しい。
それはとても良い事だし、大事な事だし、何よりアンリだってそれで救われた訳だから、その有り難みは身に染みて解ってはいたのだが。
その一方で、蒼太は何というか、情が深すぎる一面があると、アンリは感じていた、自分の為と見せてその実、人の為に生きているような所があるのだ、何というか、人に寄り添うのが、人に喜んでもらうのが生き甲斐のような所があるのである。
それも多分、自分で考えているよりも遥かに深く、強く、そして広い領域までもー。
勿論、その自覚が本人にあるのかどうかは解らないがだからこそ、心配なのである。
例えばもし。
生死を共にした戦友が、目の前でバタバタと死んでいったなら、コイツはどうなってしまうんだろうか、自分達が居なくなってしまったら、コイツはどうなってしまうんだろうか、と考える。
恐らく激しく動揺して茫然自失に陥ってしまい、下手をすると生きる気力を、戦う意欲そのものを失ってしまうかも知れないと、そう感じてならないのだ。
勿論、普段のコイツは強い、勇敢だし力もある、ただー。
完璧な人間など、どこにもいないのだ、純朴な彼な持つ、だからこその強さと弱さにアンリはある種の危惧を感じていた。
(何か“支え”が、あればなぁ・・・っ!!)
アンリは思うがもし、そうなってしまった時に、彼にも支えてくれる存在が居れば良いんだけどと、密かに考えてマリアを見る。
実はこの時、アンリはマリアに心惹かれていた、彼女は年下だったのだけれども、その包容力は類を見ないほど高いモノがあり、愛情に飢えていた彼の心を優しく包み込んでは潤して行ってくれたのである。
そうだ、マリアの存在はアンリにとっては心の支えであり、全てだったのだ、それは彼の夢であり、生きる希望であったのだ。
(何としても、守ってやりたい。自分の命に変えてもー)
アンリは思うが勿論、こんな過酷な世界に置かれている身である、明日はどうなるかは解らないのだ。
それでも。
(どんな事になってもいい、どんな姿になってもいい。生きていてくれさえするのならば!!)
心の底からそう思っていた、そしてだからこそ。
蒼太にも、そんな人が出来てくれたらいいと、そう思っていたのだが。
アンリはまだ知らなかった、既に蒼太にもそんな人が出来ており、その絆も自分達が思うよりも、遥かに強固なモノになっていたのだと言うことを。
蒼太と“彼女”が、メリアリアが共に死線を乗り越え、単なる恋人以上のパートナーになっていたのだと言うことを、アンリはまだ、知らなかった。
ーーーーーーーーーーーーーー
アンリは子供ながらに、しっかりとした人物眼、考え方を持っています(まあ、それは蒼太もそうなのですが・・・)。
何故彼が、こんなにもしっかりしているのか、と言うとそれは一つに、まだ小さかった頃に母親を亡くしてしまっているんですね。
父親は新しい奥方(いわゆる“後妻”と言う奴です)を迎えたのですが、彼女はアンリの事は、殆ど見向きもしませんでした。
彼は子供の内から権謀術数渦巻く大人の世界に一人ぼっちで取り残され、そこで彼等の視線に晒されます、つまりは汚さや醜さ、そして悪意をまざまざと見せ付けられて来た訳です。
そんな彼はだから、セラフィムに入学した時はちょっと拗ねてしまっていたのです(それでも彼なりに感じて思うところはありましたが・・・)。
そんな中で蒼太君と出会って、話しをする内に何度かぶつかったりして、でも徐々に打ち解けて行ったんです、そしてその交流が、彼の考えを少しずつ変えて行きました(それでマリアとも出会って、一気に人間としての自分を取り戻して行くんです)。
彼が子供ながらに信じられない位に大人びていたり、また色々な事を考えていたり、気付いたりしたのには、そうした人生の前日譚や自らの経験があったからなのです。
また平日も大体、鍛錬の後で週に4日間位は彼をこっそりと呼び出しています(時々、鍛錬を中断したり、休んだりして丸々彼と一緒にいる事もあります)。
それ以外の日は友人とお喋りをしていたり、一人で過ごしたりしています(昼休みなんかも同じ感じです)。
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「メリーッ、そっちに行ったよ!!」
「解ってる!!」
無線で連絡を取り合いながら、連携して標的を追い詰めて行く。
相手は爆弾魔だ、時間を掛けて隙を見せると、危ない。
アッと言う間に爆発物を仕掛けられて、逆にこちらが危機に陥ってしまうからだ。
「見つけた・・・っ!!」
跳躍したメリアリアが対象を発見し、その距離を詰めて行く。
一度接近戦に持ち込まれた場合、高機動かつ柔軟な関節を誇る彼女から逃れる術は殆どと言って良いほど存在して居なかった、蒼太も何度か“模擬戦”を行って彼女と対峙した事があるから解るが例えば自分だったら体力もあり、また直線距離で爆発的な加速を掛けられるから、それを活かして彼女から逃げ切る事も可能だったが(ただしそれだと勝つことにはならないが)相手は爆薬製造のテクニカルはあっても、戦闘にはてんで素人らしく、その足下も、走り方も覚束ない。
体力もそれほどある方では無いらしく、既にゼイゼイと息切れを起こしていた、決着は間もなくだろう。
と思っていると。
ドオォォォンッと言う爆音がして森林の一角から火の手が上がる、どうやらメリアリアが火炎呪文を発動させて相手の逃げ足を封じたようだ。
後は。
「蒼太!!」
「うん!!」
呼ばれた少年が鋭く的確に反応する、地を巧みに駆けて木々の間を素早く飛び越え、直ぐさま現場に到着すると、吹き飛ばされて気絶していた爆弾魔の男を特製の電子手錠で拘束した。
「やったね、蒼太!!」
「ありがとう、メリーがアシストしてくれたからだよ!!」
二人はそう言って微笑み合い、翳した手と手をパチンと合わせる。
今回の任務は、あるパーティー会場の警護だった、ガリア帝国中の貴族が参加している“高貴なる連盟”主催の、一大晩餐会だ。
この日は特にガリア帝国皇帝である“ルートヴィッヒ十六世”が特別に参加する事になっており、その為にガードも厳重を極めていたのだ、そんな中で。
ある人物が、爆破予告を出してきたのである、男の正体は“エドワール・オーリク”と言う、建築関係に勤務する26歳の青年であり、個人的な政治思想からかねて“高貴なる連盟”を敵対視していたのである。
予告状を受けた“高貴なる連盟”の理事達は動揺した、場所をルテティア郊外にある“フォンテーヌブロー宮殿”から“リュクサンブール宮殿”に移すべきだ、との意見も出たが、結局は晩餐会はそのまま、そこで開かれる運びとなった、そしてー。
そこに蒼太達も駆り出されたのである、最初は蒼太もメリアリアも、“もしこれが事実だった場合は大変に困難な任務になる”と思っていた、何故ならば仕掛けられている爆発物自体には殺気が無い、今までのように相手の気配を感じてそれに応じて対処する、と言うことが不可能なのだ、ではどうするか。
二人で話し合った結果、この場合は感覚を相当に集中させて“直感”を働かせるか、もしくは仕掛けられている爆発物に残されている相手の“残留思念”を感じ取るしか方法は無い、との結論に達した、相手が見えない敵である以上、こちらがやや受動的になるのはやむを得ないが現状では他に、どうすることも出来なかった。
「まあ、最初っから宮殿が舞台だからね?警備は元から厳重だし、それに一応、現場では先に警察の人達が入ってくれてる。問題は無い、と思うけど・・・」
「別に一般公開されている訳じゃあ、無いんだろ?だったら付け入る隙なんか、無いと思うけどな・・・」
「私もそう思う。単なる脅しじゃない?」
メリアリアの言葉に蒼太も頷くが相手が一人とは限らないし、どう言う手段を取ってくるのかも、まだ解っていないのだ、何れにせよ油断は出来ないと、そう考えていた矢先ー。
彼等の元を、一組の男女が訪ねてきた、その姿を見た瞬間に、蒼太達の相好が崩れる。
「アンリ、マリアさん・・・」
「二人とも、どうしたの・・・?」
急な来客に驚きながらも、二人はそう言って出迎えるが彼等の内、男子を“アンリ・エドワーズ”、女子を“マリア・アヴリーヌ”と言い、アンリは蒼太の、マリアはメリアリアのそれぞれ親友だった。
アンリは“ノルマンディー大公”を祖先に持つと言う名家の出であり、いわゆる一種の貴族であった、頭も良くて礼儀作法を弁えていた彼は性格的にも一本、筋が通っていて不誠実な事はせず、冗談では済まされないような酷いことを言ったりやったりして人を泣かせるような真似だけはしなかった、“が”。
ただし、それ以外の事は何でもやった、彼は特に悪戯好きで悪知恵が働き、その事でいつも両親と教師の頭を悩ませていたのだ。
それに、蒼太も度々巻き込まれる事があった、後から振り返って蒼太は言う、“本当に迷惑な奴だった”と。
「あいつのお陰で何度怒られたか、解んないよ。本当に、いいとばっちりだった」、ところが。
それを聞いたアンリは平然とこう返して来た、「俺が色々と出来たのは段取りと実行を受け持ってくれる、優秀なパートナーがいてくれたからだ」と。
「ええっ!?」
“冗談じゃないよ!!”と蒼太は更に反論したが、メリアリアは溜息を付きながら思った、“どっちもどっちね”と。
ちなみに、そんな彼と蒼太が出会ったのも、蒼太がまだ6歳になったばかりの頃で、しかもお互いに単なる顔見知り以上の存在であり、挙げ句に思い出として共有できるエピソードも(その大半が、ろくでもないモノばかりだったけれども)枚挙に暇が無かったから、二人は立派に“幼馴染み”と言うことが出来た。
切っ掛けは、蒼太がメリアリアを守るためにベイジル達三人組と戦い、ボコボコにされながらもその大将を撃ち破った所を偶然、アンリが目撃した所から始まる。
(へえぇ・・・)
アンリは感心した、それまでは“同じクラスにいる、何だかよく解らない奴”としか思っていなかったのであるが、この事件以降、蒼太を見る目が一変した、“あいつ根性あるな”と思い、それから彼と言う存在に対して、興味を持っていったのだ。
子供の頃の蒼太はおっとりと言うか多少、“ポケ~ッ”とした所もあったがしかし、決してバカでは無かったし、話に対する理解力もあった、それに。
見た目以上にキチンと自分の意見を持っていて、それを言える人間でもあった、アンリは感心した、ダメな事はダメ、嫌な事は嫌だと、ちゃんと反論して来る蒼太に最初はむかっ腹を立てた事もあったがそれでも、本心を晒して自分に意見をしてくる人間などは中々いなかったし、それに何かあると蒼太は親身に寄り添ってくれたりもした、気の済むまで話を聞いてくれたし、それに対する受け答えも、かなりシャープなモノだったのだ。
そんな事を繰り返している内に、気が付いたらアンリはもう、蒼太へと心を許していた、何かある時は大抵、二人で連(つる)んで悪だくみを実行した、自分で言うのもなんだけれど、手の掛かる存在であるアンリに、それでも付き合ってくれる蒼太の存在は、とても有難いモノだった(その代わり、常に蒼太にはとばっちりが行ったが・・・)。
ちなみに。
そんな彼にもまた、特殊な才能があった、戦術と駆け引きの妙である、アンリのそれは下手をすればセイレーンの“女王位”にすら勝るとも劣らぬ程の巧みさであり、また本人自身も中々の、身体能力と腕っ節を持っていたのだ、そのため。
蒼太と時同じくして、セイレーンに入隊させられる運びとなった、メリアリア程では無かったけれども彼とも任務で何度か、一緒になったことがあったからお互いに、“こいつも入れられたんだ”と理解した。
もう一方のマリアと言う少女は蒼太やアンリよりも一学年下の平民、それも孤児院の出身だったがただし、小さな頃から彼女にも不思議な力があった、それは巫女としての能力、即ち感知能力と“祈祷力”である。
その二つを買われてセラフィムへと入学させられていたこの少女はしかし、そこでも優れた能力を発揮して見せたために更にセイレーンへと吸い上げられる運びとなって、そこでアンリと出会い、ペアを組ませられる事となった、と言うわけだ。
マリアの能力は、確かに便利なモノだった、彼女自身は決して戦闘が出来なかったが後方において精神を集中させれば敵の位置やその害意、悪意までをも正確に感じ取る事が出来た。
それは人物だけに止まらずに例えば遺失物等を捜す際にも有用だったのであるが、ただし精神をそれなりに摩耗するために、あまり過剰に使いすぎると彼女に相当な負荷が掛かって生活する事も侭ならなくなってしまう為に、長時間の多用は出来なかった。
「よう蒼太、とメリアリアさんも・・・」
「こんにちは、お二人とも・・・」
「どうしたのさ、急に。って言うか、ここに来たって事は・・・」
「ああ。今回の任務は、俺達も一緒に参加する事になった、爆弾魔が相手なんだろ?だったらマリアの力が役に立つからな・・・」
「・・・っ。そうか!!」
その言葉に、蒼太も頷いた、“マリアさんの力を、使うのか!!”と。
確かにそれなら、仮に爆弾魔が爆弾を仕掛けていたとしても安全に、かつ早期に発見する事が出来る、彼女の探知能力を持ってすれば、決して不可能な話しではない。
「俺達は後方支援が担当になる。マリアの護衛もしなければならないしな」
そう言うと、アンリは“邪魔したな”と言ってマリア共々部屋を出て行った、二人は“助かった”と思った、マリアの探知能力の高さは折り紙付きだった、彼等とは既に何度か同じグループに所属して任務を熟している、連携も上手く行くだろう。
そしてー。
その予感は現実のモノとなった、オーリクは晩餐会に向けて点検作業中だったフォンテーヌブロー宮殿へと、工事関係者として出入りしていたのである。
そしてその際にー。
巡回中だった兵士達の目を盗み、何と13箇所に渡って手製の爆薬を設置していたのだった、その全てをマリアは発見して行った、解体は無事に進んで晩餐会は滞り無く開催された。
その最中に、仕掛けておいた爆薬を起爆させるべく、忍び込んでいたオーリクを発見、ちょっとした逃走劇の後に無事逮捕となった。
「ありがとう、マリアさん。アンリも」
「俺は、何もしてないさ」
「だよね」
「おい!!」
自らの言葉を受けて平然と頷く蒼太に対して、アンリは思わず突っ込みを入れた、勿論冗談だった、蒼太達が外を警戒している間、アンリはマリアにくっ付いてずっと宮殿内を巡回し、爆発物を見付けてはその解体、除去を手伝っていたのだから。
「でもありがとう、本当に助かったよ」
「良いんだ」
アンリは言った、何というか、と小声になって、照れたように。
「お前には、いつも世話になってるからな・・・」
「ん、何か言ったか?」
「いいや、別に・・・」
そんな二人の会話を、メリアリアは怪訝そうに、そしてマリアも不思議そうな面持ちで聞いていたが、アンリは。
正直に言って、蒼太に感謝していた、自分のような面倒臭い男に、対等に、平然と、本心から付き合ってくれたのは彼だけだったからだ。
何だかんだ言っても見捨てずに、友達付き合いを続けてくれたのは彼だけだったからだ。
だがそれだけに、彼の事が心配だった、蒼太は、優しい。
それはとても良い事だし、大事な事だし、何よりアンリだってそれで救われた訳だから、その有り難みは身に染みて解ってはいたのだが。
その一方で、蒼太は何というか、情が深すぎる一面があると、アンリは感じていた、自分の為と見せてその実、人の為に生きているような所があるのだ、何というか、人に寄り添うのが、人に喜んでもらうのが生き甲斐のような所があるのである。
それも多分、自分で考えているよりも遥かに深く、強く、そして広い領域までもー。
勿論、その自覚が本人にあるのかどうかは解らないがだからこそ、心配なのである。
例えばもし。
生死を共にした戦友が、目の前でバタバタと死んでいったなら、コイツはどうなってしまうんだろうか、自分達が居なくなってしまったら、コイツはどうなってしまうんだろうか、と考える。
恐らく激しく動揺して茫然自失に陥ってしまい、下手をすると生きる気力を、戦う意欲そのものを失ってしまうかも知れないと、そう感じてならないのだ。
勿論、普段のコイツは強い、勇敢だし力もある、ただー。
完璧な人間など、どこにもいないのだ、純朴な彼な持つ、だからこその強さと弱さにアンリはある種の危惧を感じていた。
(何か“支え”が、あればなぁ・・・っ!!)
アンリは思うがもし、そうなってしまった時に、彼にも支えてくれる存在が居れば良いんだけどと、密かに考えてマリアを見る。
実はこの時、アンリはマリアに心惹かれていた、彼女は年下だったのだけれども、その包容力は類を見ないほど高いモノがあり、愛情に飢えていた彼の心を優しく包み込んでは潤して行ってくれたのである。
そうだ、マリアの存在はアンリにとっては心の支えであり、全てだったのだ、それは彼の夢であり、生きる希望であったのだ。
(何としても、守ってやりたい。自分の命に変えてもー)
アンリは思うが勿論、こんな過酷な世界に置かれている身である、明日はどうなるかは解らないのだ。
それでも。
(どんな事になってもいい、どんな姿になってもいい。生きていてくれさえするのならば!!)
心の底からそう思っていた、そしてだからこそ。
蒼太にも、そんな人が出来てくれたらいいと、そう思っていたのだが。
アンリはまだ知らなかった、既に蒼太にもそんな人が出来ており、その絆も自分達が思うよりも、遥かに強固なモノになっていたのだと言うことを。
蒼太と“彼女”が、メリアリアが共に死線を乗り越え、単なる恋人以上のパートナーになっていたのだと言うことを、アンリはまだ、知らなかった。
ーーーーーーーーーーーーーー
アンリは子供ながらに、しっかりとした人物眼、考え方を持っています(まあ、それは蒼太もそうなのですが・・・)。
何故彼が、こんなにもしっかりしているのか、と言うとそれは一つに、まだ小さかった頃に母親を亡くしてしまっているんですね。
父親は新しい奥方(いわゆる“後妻”と言う奴です)を迎えたのですが、彼女はアンリの事は、殆ど見向きもしませんでした。
彼は子供の内から権謀術数渦巻く大人の世界に一人ぼっちで取り残され、そこで彼等の視線に晒されます、つまりは汚さや醜さ、そして悪意をまざまざと見せ付けられて来た訳です。
そんな彼はだから、セラフィムに入学した時はちょっと拗ねてしまっていたのです(それでも彼なりに感じて思うところはありましたが・・・)。
そんな中で蒼太君と出会って、話しをする内に何度かぶつかったりして、でも徐々に打ち解けて行ったんです、そしてその交流が、彼の考えを少しずつ変えて行きました(それでマリアとも出会って、一気に人間としての自分を取り戻して行くんです)。
彼が子供ながらに信じられない位に大人びていたり、また色々な事を考えていたり、気付いたりしたのには、そうした人生の前日譚や自らの経験があったからなのです。
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