星降る国の恋と愛

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運命の舵輪編

ファースト・コンタクト

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 蒼太の初恋の人、メリーは本名をメリアリア・カッシーニと言った。

 彼女は蒼太と同じで生粋のガリア帝国人と言う訳では無く、エウロペ連邦の屋根と言われる高山地帯“アルヴの山々”を隔てた隣国“エトルリア”の出身だった。

 もっとも先祖は更に東にある“ギリシア”や“マムルーク”の都市“サルディス”において神官や巫女として活躍をしていたのだが、そんな彼女の家は代々、エトルリアにおいて“宮廷魔術師”を勤め上げてきた家柄であり当然、その血を受け継ぐ彼女もまた、高い霊力と法力とを兼ね備えていたのである。

 そんな二人の出会いはメリアリアが6歳、蒼太が4歳の頃のこと。

 彼女が母や叔母と一緒にガリア帝国の首都“ルテティア”のデパートに来ていた折に、叔母の持病だった腰痛が突然悪化してしまい、動けなくなってしまった事がその発端だった。

「おばさん、大丈夫?」

「痛たたたた。・・・ああ、ああ。何とか大丈夫だけど。しかしこの痛みはどうにかならないもんかね」

「いまお母さんがお医者さん、呼びに行ってるから。もう少しの辛抱だからね!?」

「・・・どうしたの?」

 デパートの各階を繋ぐ階段の踊り場に設置されていたソファに横たわり、必死に痛みを堪える叔母をメリアリアが懐抱していると、そこへ一人の異国の少年が不思議そうな顔をしながらやって来た。

「・・・ああ、うんとね。いま私のおばさんが、腰痛になっちゃったのよ」

「ヨウツウって?」

「腰が痛くなる事よ」

「・・・ちょっと見せて!!」

「ああっ!?ち、ちょっと!!」

 メリアリアからの言葉を聞いた少年は、彼女が止めるのも聞かずに叔母に歩み寄ると懐から何やら針のようなモノを取り出した、そしてー。

 素早く触診をするとそれを患部と見られる場所へと打ち込み、そこへ更に練り上げた波動を電気ショックの容量でバリバリ、バリバリ、と連続して流して見せた。

「あっ、あああああああ~・・・・・っ!!!!?え、ええええっっ!!?」

「・・・・・うそ」

「・・・よいしょっと。これで暫くは大丈夫だよ。でも一時しのぎみたいなモノだから、なるべく早くにちゃんとした所で見てもらってね?」

「あっ!?ち、ちょっと!!」

 その場を立ち去ろうとする少年に、メリアリアが何事か言い掛けるがその言葉は彼の母親と思しき女性の声で掻き消されてしまった。

「蒼太、蒼太?帰りますよ?」

「はーい、お母さん。それじゃね!!」

「あ、あの・・・っ!!」

「こっちです、先生!!」

「どれどれ。ほうこれは・・・」

 折り悪くと言うべきか、丁度彼女の母親が医者を連れてやって来た為に結局その時はそれ以上、会話を持つことが出来なかったのであるが、これが二人にとってのファースト・コンタクトとなった。
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