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13.【堕落】
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死が目前に迫っていると認知したルミナの脳が子種を残す本能を呼び起こし、ユウの異能がさらに強化を加えてしまったとしか思えない。
ルミナの昂ぶりは激しく、欲求に身を焦がした女の唇が、舌が、指先が、熱く絡みついてユウを逃さない。牢の中で二人の立場は反転し、女が男へ馬乗りになってマウントを取る。初め抵抗していたユウも徐々に欲情した女の熱が伝搬していき、唾液交換に積極的に応え、ルミナの豊かな臀部へ腕を回す。
「んっ…」
荒くなっていく吐息が混ざり合い、イニシアティブを握らせるものかと男女の体勢が代わる代わる転じ、上を取った方が舌を相手の唇へ沈めていき、押し倒された方が口内を犯す舌から酸素を求め逃れもがき、空いた腕で相手の背中から臀部を弄る。
「はぁ…はぁ…」
異能の影響を受けていないユウも、脳髄がジンと痺れる情欲に身を任せ、女の柔らかさを求めルミナの全身を荒々しく弄る。
「ふぁ♡」
豊満なバストはユウの小ぶりな手ではとても収まらず、掌が吸い込まれるように柔肉へと沈んでいく。理性はとうに頭の隅へと追いやられており、ユウの大雑把な力加減にさえルミナは大胆な反応で返してくる。
「あんっ!」
ルミナの纏う一枚の生地でさえも、薄紅色に染まった柔肌を堪能するには煩わしく、背中のボタンが千切れても構わないくらいの力で毟り取る。ルミナの汗が染みたワンピースがほんの未練を残しながら肌を離れ、パサリとシーツの上へと落ちた。
男に晒されたバストの頂点へと顔を沈め、舌先で芯が勃ってしまっている隆起を転がせば、ルミナは愉悦の喘ぎを上げ、更なる口淫を求めバストを突き出す。
「はぁっ♡いぃ…そこ…もっと…」
ルミナも加減というものを捨ててしまっているようで、腕でユウの頭を締め、自身の胸へと抱き寄せる。限りなく柔らかなバストに相貌を蓋されながら、ユウは口愛撫を続ける。香水も何も付けていないはずのルミナの身体からはどこか煽情的な、吸い込むだけで欲情してしまうような甘い香りがした。
「はっ…ひ…」
口の中で更に勃起を増す頂点に軽く歯を立てると、そこから腰部に電気が走るようにルミナの肢体は跳ね、腰が妖しげに蠢く。男を誘う腰部のダンスを黙殺し、もう一方の頂を指先で摩る。身体をくねらすルミナが合間合間にユウの頬へ手を添わせ紅唇への愛撫も所望し、一度唇が重なってしまえば、互いの唾液で二人分の口腔が満たされ、どちらかがそれを飲み干すまで深い接吻は終わらない。
苛烈に続いた戦闘、相次ぐ同胞の喪失、敵国による拿捕、凄惨な拷問現場、といった生命の危機を搔い潜り解放された女の情欲はどこまでも深く堕ちていく。
次第により直接的な快楽を求めるルミナの腕と姿勢によって、ユウは女体の入口へと相貌を誘われ、一方でユウのそそり立った陰茎はルミナによって露出され眼前に晒される。
食虫植物に惹かれる虫のように誘い込まれたユウは秘部へと舌を伸ばし、同時に陰茎がルミナの紅唇を割り生暖かな口内に包み込まれる。
「うっ、あ…」
ユウは陰茎から伝わる生々しい官能に腰を慄かせ、何とか姿勢を保つために膝の位置を調整しながら耐える。そして情欲を律しながら腰の深度を保持する。早くも込み上げる射精感と、ルミナの口内に欲棒を沈めたい欲求を相手に格闘しなければならない。
ここで果てる訳にはいかないと、舌先を尖らせルミナの陰核へ捻じ込む。
「んっ…むっ!」
口内を男に占領されながらルミナがくぐもった声を上げ、蠢く唇や舌がいっそう陰茎に絡み、ユウとルミナを導線にして官能が循環してしまう。被虐心に火が付いたのか、首を上げなお陰茎を深みへと導くルミナを制しなければと、ユウは陰核を窄めた唇で挟み、唾液と空気が混ざった卑猥な水音を立てながら吸い上げる。
「プハッ!はぁ…んっ♡」
男を責め立てる余裕の無くなったルミナが今度は大きな喘ぎを上げ、腰をたいそうに震わせる。より深い快楽を求めながらも、一方で快楽を与える舌先から逃げようともする倒錯したアンナの腰を抑え込み、ユウは舌唇愛撫の速度を早める。筋肉を張り詰めながらせり上がるルミナの下半身は絶頂への上騰に等しく、腿はギリギリと狭まる。
「ぅ…ぁっ…ぃ、く…い、くっ!」
到達の宣言と共にルミナの肢体が戦慄き、大きな痙攣を最後に二人の汗に濡れたベッドへと沈む。快楽の凪に入ったルミナは下半身から伝播する甘波に時折身を震わせ、男女がテレコになる形でユウも身を投げ出した。女を絶頂へと導いた達成感と同時に、尋問対象と行為に及んだ自身の不可解な行動に思慮を巡らす。
しかしユウに思惑の暇を与えず、早くも凪から持ち直した女の暖かな五指が、未だ起立を維持する陰茎へと絡む。厭世の沼へ共に墜ちる番を求める女は、男の静観を許さない。脈打つ陰茎を包んだ五指は、乱雑な上下運動ではなく性感だけを高めるように緩やかな抱擁を持って男を惑わせ、底なし沼へと誘う。
「うっ…」
巧みな女の妖技に溺れてしまえば、優位に立つ筈の尋問官の立場を手放してしまうことを知りながら、ユウは女の手淫に身を委ねてしまう。
そして初めは茎全体を包んでいた五指が徐々に根本へ移っていき、丸々と赤く膨張した亀頭が手透きになる。
「あぁ…こんなにも震えてちゃって…」
ビクビクと震える亀頭に迫るルミナの相貌がやおらユウの方へ向き直り、口淫を焦らす。欲情を隠そうともしないルミナの揺れる瞳に射貫かれたユウは、ただただ唾液に潤う唇を沈めてもらうことを懇願するしかなく、憐れに媚びた視線で女へ降る。
「いい子…ンッ」
「うあっ!」
窄めた二つの唇を割り、亀頭が唾液に濡れた紅唇に包まれていく。弾力のある上下の唇の先には獲物を待ち構えていたかのように絡みついてくる生暖かな舌が待っており、思わずユウは声を上げる。
あっという間に高まった吐精感にユウは盲目的に突き進むが、男の短絡的な腰動きを察したルミナは窄めた口を解き、鈴口を舌先で割るように刺激する。とても侵入を許すようなサイズ差ではないのだが、割れ目を芯のある舌先でチロチロと押し広げられる未知で悍ましい快楽は吐精感とはまた違った刺激を与えてくる。
鈴口を舐るのは極小のストロークではあっても、ユウの腰はその何十倍もの動作でガクガクと震え、喉はしなり、大粒の汗粒が額に浮かぶ。
ユウがルミナの舌遣いから逃れようと腰を暴れさせようとも、生温い舌先は懲りずに鈴口へ押し入ってくる。
「ふふっ…しょっぱいの、いっぱい出てきてるよ」
鈴口からはねっとりと粘性を持った透明体液が玉になって分泌され、ルミナの舌先が上下にチロチロと這い先走り汁を掬う。次から次へと溢れる透明液をいじらしく吸い取られ、脳髄を痺れさせる異様な快楽にユウは悲鳴を上げた。
「や、やめっ…」
男の降参に満足したのか、ユウを悩ませていた舌は退いていき、代わりに亀頭がすっぽりと唾液を含んだ口内に収められ、カリの段差を上下の唇で締め上げられながら、ルミナの相貌も上下に昇降する。五指は茎に力強く纏わり付き、相貌の上下に連動する。
「んっ!んっ!」
「でっ…る!」
口の中を満たす陰茎の隙間から漏れ出るルミナの声は吐精を急かし、ユウはせり上がる白濁液を遂に吐き出した。尿道を押し広げる重厚な快楽は通過する体液の多量さを示していて、放出の瞬間に腰を大きく引いたユウによって、ルミナの相貌に向かっては白濁液がビュルビュルと放出される。激しく跳ねる陰茎をルミナはまた口内へと迎え入れ、残りの全てはルミナの口内へ注がれていく。
射精後の過敏な陰茎がルミナの唾液と自身の吐き出した体液によって生暖かく口内でコーティングされ、主たる放出を終えた陰茎が、残りの体液を少しずつ吐き出そうと時折痙攣をし、痙攣に合わせてルミナは優しく唇を窄め、吐精をエスコートする。
ユウが刹那的な快楽に浸る中、吐精の終わりを悟ったルミナがいくらかを陰茎に零しながら、残った白濁液を含んだまま相貌を持ち上げ、コクリと喉を鳴らした。一度で飲み切れなかったのか、二度三度、ギュウと瞼を締めながら精飲を済ませたルミナが、自らの親指でぬめった唇を拭う。
「ふふ、こんなに溜めてたなんて…ンッ」
ユウの下半身から上半身をルミナが伝い、また唇が重なる。異物を受け入れいっそう分泌された唾液に仄かに精液の匂いが絡む。女よりも遥かに長い吐精後の凪の最中にあるユウは程々に舌愛撫に応えるものの、ルミナの激しさは増すばかりで男の懈怠を許さない。まだ硬さの芯がやや残り、萎んでいくだけの陰茎には触れず、精嚢や胸を弄りながら再度の起立を要求される。
もっと、もっと私の現実を犯して、とルミナの焦燥が目に見えない靄の触手となって襲ってくるようだ。
こうなってはどちらが虜囚かわかったものではない。
小康状態にあるユウの頭は現状を鑑みる。少なくとも今のルミナからヴァルキュリアの情報を引き出すのは難しいだろう。一度牢を出て、また日を改めればよい。
それなのにこの後ろ髪を引かれる気持ちは何なのか。
もしかすると、ユウもルミナと同じ厭世的な気持ちがあるのかもしれない。不意にユウは、遠巻きに眺めていた北部要塞での戦において放たれていた矢を連想した。自分もまたアンナへの劣情という目的で弦を引かれ放たれた矢と同じなのだ。目論見通りに鏃をアンナに食い込ませた自分は、その後どうなるのだろうか。
ふらふらと遠い空へ飛び上がり、次の目標も無く、アナ大陸の動乱を俯瞰して覗いている。またルシスの誰かに向かって矢羽で風を切るのだろうか。それとも動乱を離れどこか遠い地に刺さり、孤独に朽ちていくのだろうか。
そう考えると、思わぬ第二の生が総じて希薄に思えてくる。結局コンテナトラックに轢かれたあの時に自分の人生は途切れていて、その先にはドラマも何も無いのかもしれない。
だとすればルミナのように肉欲に堕ちてしまうのも悪くないように思えた。長くユウを軋ませていた孤独は、ルミナの抱擁の前には些末な思春期に過ぎなかったとさえ思える。
そしてユウは上体を起こし、更なる堕落を求めルミナの身体へと沈み込んだ。
「ねぇ…はやく…」
硬さを取り戻した陰茎を撫でながら、耳元でルミナが吐息交じりに囁く。その間にも絶えず続いていた互いの唇や指先での交わりによって、男女の身体は二人の体液に濡れ貼り付き、体勢を変えると僅かに粘着したのちに肌は名残惜しそうに離れる。
「うっ…」
目や指の感触で探らなくとも、仰向けに寝転び両脚を開くルミナの女口に陰茎をおよそで当てがえば、潤沢に蕩けたそこは柔らかな肉感をもって男を受け入れた。
「あっ…んっ…」
想像よりもずっと窮屈な内部を亀頭で搔き分けながら腰を落としていくも、押し入った面積の分だけ収縮しようとする肉壁の包容力にユウは背筋を震わせる。
「締め、すぎ…」
「ひさしぶり…だから…んっ、こっち…来て…」
もう何度目かもわからない接吻を交わす。貪るように激しい交わりを繰り返した舌は互いに最初ほどの勢いを無くし、左右に位置を変えながら唇の形を確かめ合う。少しでも邪念の取り付く島を与えないよう、粘膜の接触を絶やさない。
「んんっ…おく、まで…とどいて、る…」
亀頭に触れる微かな感触がユウにも最奥への到達を知らせ、そこから女の前庭を擦り上げるように腰を引く。
ユウの首へ両腕を回すルミナの相貌が儚く歪む。陰茎を引き抜くと魂まで抜かれてしまうかのように。そして茎の大半が空気に晒されるまで引き抜いた腰をまだ窮屈さを残す内部へと再び打ち込む。ルミナは顎を引きつらせながら愉悦の声を上げ、接吻をもって抽挿を催促する。
「んんっ♡…い、いっ…もっと…もっとぉ…むちゃくちゃ、に…して…」
抽挿の一打ち一打ちが確かな快楽を持って二度目の吐精へと近づけていくが、自制のブレーキがどこまで効いているのか定かでない。しかしルミナの望む終着点はまだ遠く、ユウは歯を食いしばって高まる滾りを鎮めるよう踏ん張るが、ルミナの口淫がそれを阻害する。
ユウは女の欲の深さを身をもって知り、ルミナに吞まれないよう腰の速度を緩やかに変化させるが、ゆったりとした挿入は肉壁の蠢きを明朗に陰茎へ染み込ませ、快楽の差し引きは変わらない。
「っは!…ぁ…い…ぅ…」
挿入の速度に合わせルミナの腰が慄き、腿の締め付けが増す。最奥への刺激がよりルミナを悶えさせているのだと気付いたユウは、ルミナの両脚を自身の両肩で支える形で、抽挿の角度を更に深める。
「あっ!ぐっ、んっ、んっ、んっ、ぃ…ぐっ♡」
「ぐぅ…」
抽挿のペースを緩めないよう、ルミナの両脚を抱きかかえながら、腰を激しく打ち付ける。同時に限界を迎えた陰茎はルミナの中で戦慄き、最奥へと白濁液を吐き出した。
いつの間にかユウの腰を絡めたアンナの両脚によって、体勢を変えられないまま、欲望を吐き切り凪へと入った男が、未だ熱の引かぬ女の身体へと倒れこむ。内情において正反対な男女だが、肩で荒く息をするリズムがやがて溶け合い、二人はなるべく現実に戻される時間が遠のくことを祈って互いを抱き寄せた。
ルミナの昂ぶりは激しく、欲求に身を焦がした女の唇が、舌が、指先が、熱く絡みついてユウを逃さない。牢の中で二人の立場は反転し、女が男へ馬乗りになってマウントを取る。初め抵抗していたユウも徐々に欲情した女の熱が伝搬していき、唾液交換に積極的に応え、ルミナの豊かな臀部へ腕を回す。
「んっ…」
荒くなっていく吐息が混ざり合い、イニシアティブを握らせるものかと男女の体勢が代わる代わる転じ、上を取った方が舌を相手の唇へ沈めていき、押し倒された方が口内を犯す舌から酸素を求め逃れもがき、空いた腕で相手の背中から臀部を弄る。
「はぁ…はぁ…」
異能の影響を受けていないユウも、脳髄がジンと痺れる情欲に身を任せ、女の柔らかさを求めルミナの全身を荒々しく弄る。
「ふぁ♡」
豊満なバストはユウの小ぶりな手ではとても収まらず、掌が吸い込まれるように柔肉へと沈んでいく。理性はとうに頭の隅へと追いやられており、ユウの大雑把な力加減にさえルミナは大胆な反応で返してくる。
「あんっ!」
ルミナの纏う一枚の生地でさえも、薄紅色に染まった柔肌を堪能するには煩わしく、背中のボタンが千切れても構わないくらいの力で毟り取る。ルミナの汗が染みたワンピースがほんの未練を残しながら肌を離れ、パサリとシーツの上へと落ちた。
男に晒されたバストの頂点へと顔を沈め、舌先で芯が勃ってしまっている隆起を転がせば、ルミナは愉悦の喘ぎを上げ、更なる口淫を求めバストを突き出す。
「はぁっ♡いぃ…そこ…もっと…」
ルミナも加減というものを捨ててしまっているようで、腕でユウの頭を締め、自身の胸へと抱き寄せる。限りなく柔らかなバストに相貌を蓋されながら、ユウは口愛撫を続ける。香水も何も付けていないはずのルミナの身体からはどこか煽情的な、吸い込むだけで欲情してしまうような甘い香りがした。
「はっ…ひ…」
口の中で更に勃起を増す頂点に軽く歯を立てると、そこから腰部に電気が走るようにルミナの肢体は跳ね、腰が妖しげに蠢く。男を誘う腰部のダンスを黙殺し、もう一方の頂を指先で摩る。身体をくねらすルミナが合間合間にユウの頬へ手を添わせ紅唇への愛撫も所望し、一度唇が重なってしまえば、互いの唾液で二人分の口腔が満たされ、どちらかがそれを飲み干すまで深い接吻は終わらない。
苛烈に続いた戦闘、相次ぐ同胞の喪失、敵国による拿捕、凄惨な拷問現場、といった生命の危機を搔い潜り解放された女の情欲はどこまでも深く堕ちていく。
次第により直接的な快楽を求めるルミナの腕と姿勢によって、ユウは女体の入口へと相貌を誘われ、一方でユウのそそり立った陰茎はルミナによって露出され眼前に晒される。
食虫植物に惹かれる虫のように誘い込まれたユウは秘部へと舌を伸ばし、同時に陰茎がルミナの紅唇を割り生暖かな口内に包み込まれる。
「うっ、あ…」
ユウは陰茎から伝わる生々しい官能に腰を慄かせ、何とか姿勢を保つために膝の位置を調整しながら耐える。そして情欲を律しながら腰の深度を保持する。早くも込み上げる射精感と、ルミナの口内に欲棒を沈めたい欲求を相手に格闘しなければならない。
ここで果てる訳にはいかないと、舌先を尖らせルミナの陰核へ捻じ込む。
「んっ…むっ!」
口内を男に占領されながらルミナがくぐもった声を上げ、蠢く唇や舌がいっそう陰茎に絡み、ユウとルミナを導線にして官能が循環してしまう。被虐心に火が付いたのか、首を上げなお陰茎を深みへと導くルミナを制しなければと、ユウは陰核を窄めた唇で挟み、唾液と空気が混ざった卑猥な水音を立てながら吸い上げる。
「プハッ!はぁ…んっ♡」
男を責め立てる余裕の無くなったルミナが今度は大きな喘ぎを上げ、腰をたいそうに震わせる。より深い快楽を求めながらも、一方で快楽を与える舌先から逃げようともする倒錯したアンナの腰を抑え込み、ユウは舌唇愛撫の速度を早める。筋肉を張り詰めながらせり上がるルミナの下半身は絶頂への上騰に等しく、腿はギリギリと狭まる。
「ぅ…ぁっ…ぃ、く…い、くっ!」
到達の宣言と共にルミナの肢体が戦慄き、大きな痙攣を最後に二人の汗に濡れたベッドへと沈む。快楽の凪に入ったルミナは下半身から伝播する甘波に時折身を震わせ、男女がテレコになる形でユウも身を投げ出した。女を絶頂へと導いた達成感と同時に、尋問対象と行為に及んだ自身の不可解な行動に思慮を巡らす。
しかしユウに思惑の暇を与えず、早くも凪から持ち直した女の暖かな五指が、未だ起立を維持する陰茎へと絡む。厭世の沼へ共に墜ちる番を求める女は、男の静観を許さない。脈打つ陰茎を包んだ五指は、乱雑な上下運動ではなく性感だけを高めるように緩やかな抱擁を持って男を惑わせ、底なし沼へと誘う。
「うっ…」
巧みな女の妖技に溺れてしまえば、優位に立つ筈の尋問官の立場を手放してしまうことを知りながら、ユウは女の手淫に身を委ねてしまう。
そして初めは茎全体を包んでいた五指が徐々に根本へ移っていき、丸々と赤く膨張した亀頭が手透きになる。
「あぁ…こんなにも震えてちゃって…」
ビクビクと震える亀頭に迫るルミナの相貌がやおらユウの方へ向き直り、口淫を焦らす。欲情を隠そうともしないルミナの揺れる瞳に射貫かれたユウは、ただただ唾液に潤う唇を沈めてもらうことを懇願するしかなく、憐れに媚びた視線で女へ降る。
「いい子…ンッ」
「うあっ!」
窄めた二つの唇を割り、亀頭が唾液に濡れた紅唇に包まれていく。弾力のある上下の唇の先には獲物を待ち構えていたかのように絡みついてくる生暖かな舌が待っており、思わずユウは声を上げる。
あっという間に高まった吐精感にユウは盲目的に突き進むが、男の短絡的な腰動きを察したルミナは窄めた口を解き、鈴口を舌先で割るように刺激する。とても侵入を許すようなサイズ差ではないのだが、割れ目を芯のある舌先でチロチロと押し広げられる未知で悍ましい快楽は吐精感とはまた違った刺激を与えてくる。
鈴口を舐るのは極小のストロークではあっても、ユウの腰はその何十倍もの動作でガクガクと震え、喉はしなり、大粒の汗粒が額に浮かぶ。
ユウがルミナの舌遣いから逃れようと腰を暴れさせようとも、生温い舌先は懲りずに鈴口へ押し入ってくる。
「ふふっ…しょっぱいの、いっぱい出てきてるよ」
鈴口からはねっとりと粘性を持った透明体液が玉になって分泌され、ルミナの舌先が上下にチロチロと這い先走り汁を掬う。次から次へと溢れる透明液をいじらしく吸い取られ、脳髄を痺れさせる異様な快楽にユウは悲鳴を上げた。
「や、やめっ…」
男の降参に満足したのか、ユウを悩ませていた舌は退いていき、代わりに亀頭がすっぽりと唾液を含んだ口内に収められ、カリの段差を上下の唇で締め上げられながら、ルミナの相貌も上下に昇降する。五指は茎に力強く纏わり付き、相貌の上下に連動する。
「んっ!んっ!」
「でっ…る!」
口の中を満たす陰茎の隙間から漏れ出るルミナの声は吐精を急かし、ユウはせり上がる白濁液を遂に吐き出した。尿道を押し広げる重厚な快楽は通過する体液の多量さを示していて、放出の瞬間に腰を大きく引いたユウによって、ルミナの相貌に向かっては白濁液がビュルビュルと放出される。激しく跳ねる陰茎をルミナはまた口内へと迎え入れ、残りの全てはルミナの口内へ注がれていく。
射精後の過敏な陰茎がルミナの唾液と自身の吐き出した体液によって生暖かく口内でコーティングされ、主たる放出を終えた陰茎が、残りの体液を少しずつ吐き出そうと時折痙攣をし、痙攣に合わせてルミナは優しく唇を窄め、吐精をエスコートする。
ユウが刹那的な快楽に浸る中、吐精の終わりを悟ったルミナがいくらかを陰茎に零しながら、残った白濁液を含んだまま相貌を持ち上げ、コクリと喉を鳴らした。一度で飲み切れなかったのか、二度三度、ギュウと瞼を締めながら精飲を済ませたルミナが、自らの親指でぬめった唇を拭う。
「ふふ、こんなに溜めてたなんて…ンッ」
ユウの下半身から上半身をルミナが伝い、また唇が重なる。異物を受け入れいっそう分泌された唾液に仄かに精液の匂いが絡む。女よりも遥かに長い吐精後の凪の最中にあるユウは程々に舌愛撫に応えるものの、ルミナの激しさは増すばかりで男の懈怠を許さない。まだ硬さの芯がやや残り、萎んでいくだけの陰茎には触れず、精嚢や胸を弄りながら再度の起立を要求される。
もっと、もっと私の現実を犯して、とルミナの焦燥が目に見えない靄の触手となって襲ってくるようだ。
こうなってはどちらが虜囚かわかったものではない。
小康状態にあるユウの頭は現状を鑑みる。少なくとも今のルミナからヴァルキュリアの情報を引き出すのは難しいだろう。一度牢を出て、また日を改めればよい。
それなのにこの後ろ髪を引かれる気持ちは何なのか。
もしかすると、ユウもルミナと同じ厭世的な気持ちがあるのかもしれない。不意にユウは、遠巻きに眺めていた北部要塞での戦において放たれていた矢を連想した。自分もまたアンナへの劣情という目的で弦を引かれ放たれた矢と同じなのだ。目論見通りに鏃をアンナに食い込ませた自分は、その後どうなるのだろうか。
ふらふらと遠い空へ飛び上がり、次の目標も無く、アナ大陸の動乱を俯瞰して覗いている。またルシスの誰かに向かって矢羽で風を切るのだろうか。それとも動乱を離れどこか遠い地に刺さり、孤独に朽ちていくのだろうか。
そう考えると、思わぬ第二の生が総じて希薄に思えてくる。結局コンテナトラックに轢かれたあの時に自分の人生は途切れていて、その先にはドラマも何も無いのかもしれない。
だとすればルミナのように肉欲に堕ちてしまうのも悪くないように思えた。長くユウを軋ませていた孤独は、ルミナの抱擁の前には些末な思春期に過ぎなかったとさえ思える。
そしてユウは上体を起こし、更なる堕落を求めルミナの身体へと沈み込んだ。
「ねぇ…はやく…」
硬さを取り戻した陰茎を撫でながら、耳元でルミナが吐息交じりに囁く。その間にも絶えず続いていた互いの唇や指先での交わりによって、男女の身体は二人の体液に濡れ貼り付き、体勢を変えると僅かに粘着したのちに肌は名残惜しそうに離れる。
「うっ…」
目や指の感触で探らなくとも、仰向けに寝転び両脚を開くルミナの女口に陰茎をおよそで当てがえば、潤沢に蕩けたそこは柔らかな肉感をもって男を受け入れた。
「あっ…んっ…」
想像よりもずっと窮屈な内部を亀頭で搔き分けながら腰を落としていくも、押し入った面積の分だけ収縮しようとする肉壁の包容力にユウは背筋を震わせる。
「締め、すぎ…」
「ひさしぶり…だから…んっ、こっち…来て…」
もう何度目かもわからない接吻を交わす。貪るように激しい交わりを繰り返した舌は互いに最初ほどの勢いを無くし、左右に位置を変えながら唇の形を確かめ合う。少しでも邪念の取り付く島を与えないよう、粘膜の接触を絶やさない。
「んんっ…おく、まで…とどいて、る…」
亀頭に触れる微かな感触がユウにも最奥への到達を知らせ、そこから女の前庭を擦り上げるように腰を引く。
ユウの首へ両腕を回すルミナの相貌が儚く歪む。陰茎を引き抜くと魂まで抜かれてしまうかのように。そして茎の大半が空気に晒されるまで引き抜いた腰をまだ窮屈さを残す内部へと再び打ち込む。ルミナは顎を引きつらせながら愉悦の声を上げ、接吻をもって抽挿を催促する。
「んんっ♡…い、いっ…もっと…もっとぉ…むちゃくちゃ、に…して…」
抽挿の一打ち一打ちが確かな快楽を持って二度目の吐精へと近づけていくが、自制のブレーキがどこまで効いているのか定かでない。しかしルミナの望む終着点はまだ遠く、ユウは歯を食いしばって高まる滾りを鎮めるよう踏ん張るが、ルミナの口淫がそれを阻害する。
ユウは女の欲の深さを身をもって知り、ルミナに吞まれないよう腰の速度を緩やかに変化させるが、ゆったりとした挿入は肉壁の蠢きを明朗に陰茎へ染み込ませ、快楽の差し引きは変わらない。
「っは!…ぁ…い…ぅ…」
挿入の速度に合わせルミナの腰が慄き、腿の締め付けが増す。最奥への刺激がよりルミナを悶えさせているのだと気付いたユウは、ルミナの両脚を自身の両肩で支える形で、抽挿の角度を更に深める。
「あっ!ぐっ、んっ、んっ、んっ、ぃ…ぐっ♡」
「ぐぅ…」
抽挿のペースを緩めないよう、ルミナの両脚を抱きかかえながら、腰を激しく打ち付ける。同時に限界を迎えた陰茎はルミナの中で戦慄き、最奥へと白濁液を吐き出した。
いつの間にかユウの腰を絡めたアンナの両脚によって、体勢を変えられないまま、欲望を吐き切り凪へと入った男が、未だ熱の引かぬ女の身体へと倒れこむ。内情において正反対な男女だが、肩で荒く息をするリズムがやがて溶け合い、二人はなるべく現実に戻される時間が遠のくことを祈って互いを抱き寄せた。
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メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
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