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14話

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 九月二十一日

月曜日の朝、聡は布団の中に居た。母親は既に仕事に出て行き、家には自分しかおらず、登校時刻もとうに過ぎていた。

学校では今日から二日間に渡り文化祭が催されている。

今頃はそれぞれのクラスが出し物を開き、構内は普段とは違った色合いに賑わいでいるだろうと、聡は想像し、同時に白けた気持ちになった。

真面目な生徒とは言えないものの、聡は欠席数が少なく、普段からサボりで学校を休んだりはしないものの、今日に限っては学校に行く気にはとてもならない。

不真面目になり切れない聡は一応電話で玲に連絡を入れておいた。直接聡から電話した為、お母さんは、と事務的に玲が聞いてきたが、仕事でいないと本当の事を伝えた。

一応病欠ということになっている。

「一人ぼっちには辛いよなぁ」

クラスは食べ物を出す事になっていたが、特に役割の無かった聡が休んだ所で誰が困るという訳ではなかった。それに何か役割があってとしても文化祭の期間中は空き時間の方が多いのだ。一人で文化祭を楽しめる程、聡は強くない。

千佳と一緒に回りたい気持ちはあったが、到底叶わないと聡は諦めていた。交際していることすら秘密なのだから、二人で学内を回るなどもっての他だろう。

それに玲との一件もブレーキになっていた。

その玲と最後に会ったのはもう一週間以上も前で、千佳に至ってはそれ以上の期間会っていない。

聡は思う。特に男の場合、心の中に大切な物をしまう箱が一つだけある。今まではそこに千佳がいたが、湧き出る情欲に押され、玲が割って入り、千佳が箱から飛び出てしまったのだ。箱の中には何か一つしか入れられない。

そして数日の間何も無かった事で玲もその箱から飛び出てしまった。残ったのは空っぽの箱。

(自分から言わないと、誰も側に居てくれないのに)

当たり前の事を聡は嘆き、千佳に会いたいと思った。



ーーーーーーーーーー



ーポーン

インターホンが鳴る。聡の家は二階建ての一軒家で、自室がある二階に居た聡は宅配便か何かかと窓から玄関を見下ろしたが、そこに居たのは玲だった。

予想外の訪問者に窓から顔を出したまま固まっていた聡の姿が、視線を感じたのか頭上へ視線を上げた玲に見つかった。

〈開けて〉

ジェスチャーでそう伝えた玲を出迎えに、寝巻きでいる事を忘れて、聡は階段をドタドタと駆け下りた。


「お邪魔するわね」

スニーカーを脱ぐ玲はピンクと黒のジャージを着て、いつもの眼鏡に髪を後ろで束ねていた。

初めて見る玲のジャージ姿に聡は驚いた。玲自体の素材が良いだけに何を着ても似合う反面、整い過ぎた相貌にはジャージはあまりに違和感がある、となんとも言えない微妙な表情を聡は浮かべた。

普段は服の上からでも目立つ玲の官能的な身体の凹凸も、ゆったりとしたジャージに包まれなりを潜め、どこか生活感すら溢れている。

「どうせ似合ってないわよ」

まさか玲もジャージ姿で外を歩くなど考えてもいなかったが、文化祭の期間中は日中の教職員用更衣室が施錠されている為どうしようも無かったのだ。

「はい…急いで買ったんでしょうけど、特に新品感が出てて、似合ってないです」

「次にジャージの話をしたら千切るわ」

どこを、と聡は怒られながらも表情を崩す。久しぶりに誰かと話をした気すらした。

それにしても、と玲が切り出した。

「今時珍しくは無いけれど、本当に一人なのね」

母子家庭にしても生活感が無いとの意味で玲は口にする。受け持っているどの教え子の家よりも家庭としての機能が希薄化していると。

「気楽でもあります。こうして文化祭をサボれてるし」

「寂しくないの?」

聡にリビングへ通された玲が尋ねる。

お茶を用意しながら、それはどの意味で、と聡は少し嫌味で返してみたくなった。父親が消えた事、母が家庭を顧みない事、クラスで浮いている事、それとも千佳と自然消滅しそうな事、どれですか、と。

「寂しい時も寂しくない時もあります」

グラスに注いだ麦茶をコースターに置き、玲の対面に座った聡が隠さずに答える。妙な間になってしまい、手持ち無沙汰になった聡が何度かに分けて喉も乾いていないのにグラスを口に傾けた。

「今さらですけど先生はどうしてウチまで?サボりを叱りに来た訳じゃないでしょうし」

「そうね、土田くんの顔を見に来たってところかしら。別に今日私がいなくても文化祭は回るわけだし」

「それで、今この瞬間は土田くんは寂しいのかしら?」

澄んだブラウンの瞳が聡の胸の内を探るように聡の顔をじっと見つめた。聡はふぅっと息を吐き、玲の瞳に対してハッキリと言った。

「はい」

「それは溜まった性欲のせい?」

「それも、あります。今だって先生と一緒に居てドキドキしてますから。あとはやっぱり…」

千佳に会いたい、と聡は溢した。伝える相手が違うと自分を戒めながら。

「なんか矛盾してますよね…先生とあんな事したのに」

「あら、案外そんな事は無いんじゃない?とりあえず一つずつ解消したらどうかしら」

テーブルの下から玲の長い脚が聡の股間へ添えられる。薄手のグレースエットを着ている聡のそこは既に臨戦状態で、玲は親指と人差し指で器用に勃起を包む。

「あっ…」

しかし聡の期待に反して、サッと脚を引いた玲が立ち上がり、手招きしながら甘い声で言う。

「また抜いて欲しい?」

「…はい」

「なら、脱がせて」

「えっ、い、良いんですか?」

まごつく聡の首元へ顔を寄せ、玲はさらに教え子を奮い立たせる。

ー今日はこのカラダ、土田くんの好きにしていいわ

「ゴクッ…」

魔的な誘惑だと聡は慄いた。思わずジャージの下に隠れている豊満な身体を想像してしまい、生唾を飲み込む。かと言って経験の無い聡には好きにしても良いと言われたところで、何からどうすれば良いのかわからない。

「格好付けなくても大丈夫、どれだけ拙くても良いわ。今はそんな土田くんに無茶苦茶にされたい気分なの」

全部受け入れてあげるから、と玲は聡の背中を押した。

女と教師の要素が卑猥に合わさった玲を見て、聡の中で何かが吹っ切れた。荒い呼吸を隠そうともせず、玲の上着のジッパーに手を掛け、ジィーと下へと下ろす。

ゆったりとした生地に隠されていた胸の膨らみが露わになり、下に着ていた白のTシャツは玲のバストでパンパンに生地を伸ばしている。上着を脱がしてしまおうと聡が襟に手を伸ばすと、玲も肩を捩りそれに応える。

「下も脱がせて…きゃっ!」

「先生!」

聡の堰が切れる。溜まった性欲が爆発していた。聡の手はTシャツの上から胸へと直行し、ヤワヤワと揉み込み始める。

「そんなに溜まって…ンムッ!」

聡の唇が玲の言葉を塞いだ。玲の唇肉に荒々しく食い付きその柔らかさを味わいつつ、手は胸を猛々しく責め立てる。荒削りながっつき方ではあったが、女の被虐欲に火を付けられた玲も甘い反応を返した。

「先生、先生!」

「ンッ…激しっ…ンンッ!」

玲の唇を聡の舌が割る。侵入した舌は歯茎や裏唇を舐め、口の中を這い回る。堪らず伸びた玲の舌を探り当てると、フェラチオするかの様にジュルジュルと絡めとる。

玲の眼鏡は互いの熱で曇り、口からは切ない声が漏れる。さらに興奮を高めた聡は胸を弄る手を止め、Tシャツを剥ぎ取った。

プルンとFカップのバストが露わになる。透けたレースのブラジャーは挑発的な黒で、胸の中央に位置する小さな蕾は薄く透け、官能的な下着に耐性無い男子高校を狂わせる。また谷間に大きく入った胸の縦ラインが聡の劣情をさらに刺激した。

聡の股間には五百円玉サイズの染みが出来ていて、ペニスがダラダラと先走りの涎を垂らしていた。

「先生のおっぱい…エッチな写真いっぱい送ってきた癖に散々焦らしてっ!」

以前の玲の写真を何度も何度もオカズにしていた聡にとって夢にまで見た光景だった。掌をいっぱいに使い、思うままに玲の柔らかな胸へ指を沈める。

「土田、くんっ…ンッ…」

「はぁ、はぁ、柔らかくて…指が吸い込まれるみたい…」

指は奥へ奥へと引き込まれ、掌にはバストの重量感がずっしりと存在感を示している。夢中になって担任教師の胸を味わう智だったが、欲は止まる事を知らず、さらなる加虐を求めた。

ひとしきり胸を堪能した聡の手が今度は下のジャージの腰紐をシュルリと解いた。勢いのまま聡は締まりが緩んだ玲のジャージを床へと落とす。

現れたのは上下で統一された黒レースのショーツで、秘部を隠す生地模様は所々が薄く透けている。男に見せつける為だけの刺激的な下着に堪らず聡は割れ目辺りへ指を這わせた。

「じっとりしてる。濡れてるん、ですか?」

「土田くんがそうしたのよ」

玲も性的な興奮を素直に認めた。もう前戯が無くとも聡を受け入れる準備が出来ていた。

「僕が…?…先生っ!」

「きゃっ」

聡がソファーへと玲の身体を押し倒す。バスンッと身体が跳ね、下着姿の玲が横たわり、聡は堪らずスエットとパンツを脱ぎ捨てた。はぁはぁと肩で息をし、顔は興奮で紅潮している。ペニスは天井を向き、先走り汁でテラテラと怪しく光る。

聡が玲の表情を伺うと、玲も頬を染め、眼鏡を外し潤んだ瞳で聡をじっと見ている。もう聡は止まらなかった。

黒のショーツを乱暴に脱がし、聡もソファーへ腰を落とす。キリキリと痛い程に勃起したペンスが狙いを定める。

「先生の匂い…」

ショーツを脱がした時に鼻腔へより強く香った甘ったるい匂い。この香りが自分をおかしくしているのだと聡は理屈でなく本能的に悟った。

「はぁ、はぁ…」

「ンッ…」

何度か挿入を試みる聡だが、玲の入り口はニュルリと滑りなかなか要領を得ない。気ばかり焦る聡に玲が言う。

「焦らなくて良いわ…ンッ…ちゃんと自分で入れなさい」

「先生…うっぁ…」

亀頭がようやく女口へ辿り着き、雄雌の性器が互いを待っていたと言わんばかりに収縮と膨張をし、先端が入り込む。聡からすれば膣口が意思を持ってペニスを迎えに来たような感覚だった。

「来て」

脚を開き、玲がより深い接合を要求する。その言葉のままにペニスを進める度、媚肉のうねりに晒される面積は増え、聡の射精感が容易く高まる。

「先生っ…」

「ンッ…奥まで入った、わ。やっぱり大きい、のね…ンッ❤︎」

「ああっ、先生すごい…中、柔らかいのにキツくて…」

聡はギリギリと歯を食い縛りながら、射精を促してくる玲も柔肉からの刺激に耐える。滑った媚肉は柔らかくペニスを包みながらも凹凸のある表面でキュウキュウと締め付けを繰り返す。

するとおもむろに玲の腕が聡の首に回り、仰向けの玲の身体に引き寄せられた。

「先生?」

「良いのよ、無理にもたせようとしないで。出したいと思ったら出しなさい。最初に言ったはずよ、ンッ」

玲は中でペニスが大きく膨張したのを感じた。射精の前兆だ。

「そんな事言われたらっ、ああっ!で、出ます!」

「ンッ…❤︎」

一度もピストン運動をしないまま、膣肉の動きだけでペニスは溜め込んだ精液をドピュドピュと放出し、聡は果てた。射精を感じた膣肉はキュウキュウと締まりを上げ、吐き出されたたっぷりの精液を奥へ奥へと飲み込んだ。

「はぁ、はぁ…玲せんせ…」

吐精後の脱力感に聡がふにゃりと玲にもたれかかる。感極まった時だけ名前で読んでくる教え子を女教師は優しく抱きしめた。

「中、土田くんので一杯になってるわ…ンンッ❤︎まだ、ビクビクしてる。よっぽど溜め込んでいたのね」

「あっ…先生の中、まだキュウキュウして…んっ…絞られてる」

「童貞卒業ね、どう?」

「先生の身体も、中もあったかくて気持ち良いです…ずっとこうしていたい」

「可愛いのね、暫くこうしていて」



ペニスの痙攣が収まるまでの数分、そのまま抱き合っていた二人だが、聡がもじもじと身体を揺らし始め、自分の体重に潰れていた玲の胸をブラジャー越しに弄りだす。

「先生…」

「いいわよ、今日の先生の身体あなただけの物と思ってくれて」

聡の手が背中に回り、中に収まる聡の勃起に芯が戻り始めた事を感じた玲は背中を浮かし、ホックを外す聡をさりげなく助ける。

ーカチッ

ようやく外れた最後の下着をたくし上げ、乳房全体の柔らかさを味わう事を許された聡は、掌をいっぱいに遣い、豊満な肉感に夢中になる。

「ンッ…フッ…」

最初の荒削りな触り方とは違い、女まで巻き込むネチネチとしたいやらしいタッチに玲の声にも艶が混じり、身体が悶えた。

「何度も妄想した先生の生おっぱい…」

下着の支えを失い、重力に少したゆんだ胸を持ち上げるように聡が包んだかと思えば、ぷるぷると揺らして胸全体の柔らかさを確かめる。まるで皮膚という薄い皮で包まれた水風船のような甘い柔らかみに聡はゴクリと生唾を飲み込んだ。そして時には指先を立て、乳房の丸みに沿ったツゥーと這う動きも見せる。

「ンッ❤︎」

玲の反応を観察しながら、聡は女体の弱点を探っていく。特に強い反応を見せた胸の頂点を今度は指で弾いてみせた。

「ンッ、アッ…」

「先生、ここが感じるの?」

玲の無言の肯定。聡は今度は爪を立て、傷付けないよう優しく蕾を掻いた。

「ンッ…アッ…ァ❤︎」

玲の方も、教え子の執拗な胸への責めと、何より中で咥えたままのペニスが時折膨張し膣内を広げてくる甘い刺激に身体が昂りつつあった。今すぐにでも聡と位置を取り替え、腰を振って二度目の射精へ追い込みたいところだが、聡にイニシアチブを任せた以上は堪えるしかない。そのもどかしさがなおのこと玲の身体を過敏にした。

ーンチュ

「フッ…あっ…」

指先で弄られていた刺激が生温かいものへと変わる。聡が乳首を口に含んだのだ。搾精が糧である玲がここまで身体を許すのは久方ぶりで、忘れていた甘い快感に腰がピクリと浮いた。

「先生…」

聡はその反応を目ざとく捉え、赤ん坊の様にチュウチュウと膨らんだ花弁を吸い上げる。

「ンンッ❤︎」

ヒリつくまで吸われたかと思えば、慰るようにチロチロと舌先で舐められる緩急のある感触は玲の顔を紅潮させる。

「ンッ…上手、ね。でも良いのよ、私を悦ばせようとしなくても」

「でも先生の乱れた姿も、見たいから」

「馬鹿ね、好きに…ンッ…なさい」

そして両胸を唾液で濡らされ、はぁはぁと息を荒げる玲の恥丘へ聡が顔を潜らせた。突然のペニスの引き抜きが、玲を震わせ対応が遅れた。

「ァン…そこはっ」

「だめなの?先生」

「駄目じゃないけれど、初めてなのにクンニ責めしてくる子なんて…ひゃん❤︎」

レロォと性器全体を聡の舌が這い、玲が素っ頓狂な声を上げた。普段の気丈な女教師からは考えられない可愛らしい喘ぎが聡を興奮させる。

「AVばかり見てましたから。それに先生のアソコ、甘い匂いがする…きっとこれが僕をおかしくしてたんだ」

聡が舌の動きを再開する。薄い陰毛を鼻梁で掻き分け、秘唇全体へ唾液を塗すように舐めあげる。収縮する膣口からはドロリと先程大量に注がれた白濁液が漏れ出していたが、構わず聡は舌奉仕を続ける。

「ンッ…そんなところまで、しなくて良いのよ。はぅっ!」

聡の舌先が遂に陰核へと触れる。明らかに今までと違う女体の反応に、聡はプックリ膨れたそこへ狙いを定めた。

「これがクリトリス?」

「そう、よ。あまり見られると恥ずかしいわ…ハゥッ❤︎」

聡の唇が窄み、チュッチュッと陰核へ直に吸い付いた。唇を使って摘んだり、モニモニと唇肉で噛み付いてみたりと、玲の反応を見ながら嬲る。

「ンッ、ンッ、ンンッ❤︎そんなに舐められたら…」

「背中ビクビクしてる。気持ち良いの先生?」

「ンッ…フッ…い、いわ…ァンッ❤︎」

「こう?もっと乱れて欲しい…」

「あっ、そこっ……ンッ、アッ、アッ、イ…イ、クッ!」

聡の初めてとは思えない口奉仕の巧みさに玲はオーガズムに襲われ、酸素を求め口からはくぐもった喘ぎを垂らしながら悶え果てた。

「先生、イったんだ」

「ハァ、ハァ…あまり見ないでちょう、ンムッ!」

女教師の強がりは聡の口で防がれる。奪うとの言葉通り、半開きになっていた玲の紅唇を塞ぎ、求める酸素呼吸を許さない。口を塞がれた玲は鼻からヒュウヒュウと息を荒げ、のしかかった聡は再び固いペニスを濡れた女口に当てがう。

「ンッ、ハッ…少し待って、イったばっかりだから…アアンッ❤︎」

ズプリと震える膣肉を掻き分け、最奥へと亀頭が到達する。余韻に浸るつもりになっていた玲の身体は、予想外の打ち付けによがり痙攣し、豊かな乳房をふるふると揺らした。

「あぁ、先生の中すごいっ!さっきよりもビクビクして、食い付いてくる…う、動くよ」

「ハァ、ハァ…きてっ!アアン❤︎」

最初は要領を得ない聡の腰遣いが、何度かのピストンの後、だんだんとリズミカルな動きへと精錬されていく。反り返った若いペニスは、膣奥だけでなく女の弱みである前庭にも圧迫を加え、女教師を再びオーガズムへと吊り上げる。

「アッ…アッ…アンッ❤︎いいっ!そこぉ…あたってる、わ…アアッ❤︎こんなはずじゃ…ンッ…無かったの…だけれ、ど…ンンッ❤︎」

「先生っ、先生っ!」

正常位の腰振りに慣れてきた聡は一心不乱にピストンを続ける。絶え間ない抽送快楽に玲は首を上げ、熱く湿った肉感にペニスを扱き上げられる聡は首を下げる。互いの限界の近さを物語る。

「せんせっ、玲せんせっ!イクッ!」

「きてっ!もっと、もっと!ァ゛…イグッ❤︎」

接合部のほんの僅かな隙間を白濁液が満たしていく。暫く硬直していた二人はやがて力無く抱き合い、大量に発汗した身体を温め合った。ソファーは汗で色が変わり、股間の下は粘り混ざった体液の染みを作った。



「もう性欲に悩まされる事は無いと思うわ」

二人の息遣いが整ってきた頃、玲が天井を眺めてポツリと言った。

玲も亜門と同じく自らの体臭により意図的に聡の性欲を高め自らの食い物にしていたが、一度挿入を許してしまうとその効果は著しく低下する。常に新しい相手を探すオスの本能には自分の力も及ばないという事を経験則から玲は知っていた。

人間の男って勝手な生き物よね。

投げやりに、どこか嬉しそうに、聡に聞こえないように溢した玲は一人衣服を整えた。



ーーーーーーーーーー



玲が帰った後、一人ソファーに座りながら、玲が去り際に残した言葉を聡は反芻していた。滾った性欲はどこかに消えてしまい、冴えた頭で玲が何を言いたかったのかを考える。このままじゃ駄目だと強く自分に言い聞かせる。

「赴任した時から思ってたけど、土田くん、自分の事嫌いでしょ?だから御し易かったのだけれど」

嫌いだ、割と全部。

「何も持って無いって思ってない?」

皆みたいな生き様の芯は持ち合わせていないし、何も無い。

「どうしても自分を好きになれないなら、あなたの好きな所を探してくれる人と一緒にいなさい」

「私は土田君のそんな存在にはなるつもりはないし、なれないわ」

「ヒトは自分に足らない部分を補う為に、無駄に群れているんじゃないの?」

一人だけ、居ると思った。
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