【R18】ダイブ〈AV世界へ堕とされたら〉

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「出生率の方はどうなった？」

「前回から地球時間 87600 時間でα出生率 0.5 ポイント減少を確認。イカロスの計算では以降プラスへ転じる確率0.00000003％。マシンの廓大タイミングとしてイカロスも現時刻を肯定しています」

「よし、現時点をもって流通領域、数量を無制限に解除。予定通り各大陸への人口密度、電力普及割合に応じた流布を開始。存在漏洩防護措置は破棄して良い。皆聞け。地球人類の絶滅が今ここに決まった。以後の作戦指揮をイカロスへ譲渡。ご苦労だった。そして」




「我々のミッションは終了した。来る日の地球への降下を、後の世代へ託そう」





「イカロスへの指揮権譲渡プロセスは滞りなく完了。長い作戦でしたね」

「余りに永かった。武力衝突による環境汚染を防ぎつつ、生理的苦痛を与えず、地球人類を絶滅させるなどと。本当にこれが最善であったのか答えは出んがね」

「既に意思決定されたことです司令。対話、支配、従属、避難、あらゆる接触方法をシミュレーションしましたが、イカロスの回答は全て否定ネガティヴでした。我々の存在を露呈することは危険であると」

「最終的には彼我に種の存続が危ぶまれるレベルの被害が出る。その結論で一致していたな。よく覚えているよ」

「だからこそ決定したのです。特例的に地球人類を非知性体とみなし、あらゆる工作活動を限定行使する、と」

「何とも悲しい話だ。彼らはその攻撃性と旺盛な好奇心を持ってして、万物の霊長と名乗るまでの進化を遂げた。全宇宙でも類を見ない速度で、だ。だがその他者への性質が、我々との共生を妨げるとは。地球ではこれを“皮肉”と言うらしい」

「皮肉、という点では、我々は時計の針を早めただけです。どの道、彼らはその性質故、同種間の核戦争で滅ぶ運命にありました。なにもこの美しい惑星までも道連れにする必要はありません」

「彼らの歴史を深く知るほど、その醜悪さを見せつけられた稀有な生物ではあった。だが、生理欲求にどこまでも素直で、我々が遠く及ばない独創的な芸術文化を紡ぎ、その持ち前の反骨心であらゆる困難を乗り越えてきた地球人類が、私には眩しく見えたよ。しかしそれ故に件の繁殖欲を利用し絶滅させる必要があったのだ。少しでも生き残りがいれば、彼らは地球を取り返しに来る。何世代もかけて、ありとあらゆる障害を踏み台にして、我々の技術水準をいつか追い越して、必ず。そんな彼らを哀れにも思うし、羨ましくも思うよ」