【R18】ダイブ〈AV世界へ堕とされたら〉

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最上千恵子はある日、日課となっている昼のワイドショーを眺めていると違和感を覚えた。

そういえば流行のファッションに関する企画が無くなっている様な気がしたのだ。また一時は大々的に取り上げられていたはずの芸能人の男女関係に係るスキャンダルもぱったりと見なくなった。

代わりに増えたのは、レストラン巡りや快眠のコツといった“食べ物”と“睡眠”に関するコーナーであった。

またニュース番組では、この国の将来を憂う内容の特集が頻繁に組まれるようになっている。未婚率の上昇、高齢化、そして何より歯止めが掛からない少子化の問題だ。ついに危険な数値にまで陥っているらしい。

あまりネガティブな気持ちになるのも更年期のせいか、と頭を切り替え、昼食のカレーを煮詰めていた事を思い出した。千恵子には息子が一人いた。既に成人し、正社員として勤務していたが、最近は欠勤しがちになり、平日の昼間に家にいることが多くなった。精神的に疲れている、というわけでもなさそうで、むしろ快活になっているようにも思えるが、自室に篭りがちになった。買ってきたゲームにでも嵌っているのだろうかと千恵子は理由を充て付けた。

そういえば先日、据え置きゲーム機の様な黒い家電が息子の部屋に増えていたのを千恵子は思い出した。