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1. 開発

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「はい、じゃあ始めてください」

試験監督が開始を告げ、講義室にパラパラと答案用紙を捲る小気味の良い音が響く。

その中に美玖もいた。ハーフスリーブのブラウスに花柄のプリッツスカートの格好で少し眠そうに試験に向き合っている。

試験中、美玖に振られたのは一番後ろの座席だった。後ろに人が居ては集中出来ない美玖にとっては有難い席番だった。

あまり眠れていない事と、夜中からの情事のせいで重く感じる目蓋を持ち上げながら試験に臨む美玖だったが、不思議と身体に疲労感は少なかった。

普段から真面目に講義を受けている甲斐もあり、四十分も経った頃には回答用紙は黒く埋まり、途中退室が許される時間まであと二十分程。朝から一息つく余裕が無かった美玖だったが、ここに来て昨夜の事を思い返す。

自分の知らない超常的な存在が実在していた驚き。

目的を達成したのか突然消えた淫魔と名乗る子供。

そして今も秘部を湿らす淫術の作用。

何かに集中していられれば植え付けられた玉の存在を紛らわす事が出来ていた美玖だったが、こう空虚な時間になると下半身へと意識を向けざるを得ない。

自室を出てからは一切動かなくなったそれだが、やはり異物感自体はあり、動かない事が逆に不気味に思えた。


『ふぅん、動かして欲しいんだ』


口をポカンと開ける美玖。控えめな性格がここで幸いした。もしこれが冴子であれば、静謐な講義室で絶叫していたはずだ。

『さっきはご馳走様。あんまりにも美味しかったからおかわりしにきちゃった』

(な、な、なんで?)

試験中は横並びに五席ある座席の両端に学生が座っている。空席であるはずのその間、美玖の隣に子供の姿の淫魔が腰掛けていた。

美玖の様子を気にかけた試験監督が一瞥したが、そのまま視線を下に落とす。

『そうそう、ボクの事はお姉さんにしか見えてないから』

初めて明るい場所で淫魔の姿を見た美玖だったが、やはりその容姿はどこか現実離れしている印象を受ける。

一見テレビから可愛らしい子役が出てきたような一種洗練された子供といった感じだが、その整い過ぎた顔の造形、口を動かさず話しかけてくる違和感、何より深く澄んだ黄金色の瞳。それがヒトの子供の皮を被った悪魔であることを決定付けていた。

『あれ?相手してくれないの?』

(こんな場所で、しかも試験中に話せるわけないじゃない!)

『そうだよねぇ』

簡単に読まれる胸中。淫魔が今の状況を狙って現れたと気付いた美玖は背中に冷たい汗が這うのを感じた。

『お姉さん、今は声が出せないどころか無闇に動けないよねぇ』

淫魔が続ける。

『こんな状況でエッチな事されたら恥ずかしくてたまらないよねぇ』

それが淫魔にとって極上のエネルギー摂取になるのだと告げ、美玖の足元に小さな身体を潜り込ませると、そのまま美玖の両脚を広げスカートの中へと頭から侵入した。

(ちょっ、ちょっと!)

あまりの大胆さに反応に固まる美玖だが、抵抗しようにも静かな講義室でガサガサと暴れるわけにはいかない。せいぜい両脚を閉じ、淫魔の動きを制限するしか選択肢は無かったが、力ではまるで敵わない。

『またボクの体液で、ここ、ビショビショにしてあげるね』

淫魔の手が太腿を這い上がり、付け根あたりまで迫ったかと思えばプツンッと何かが切れる感触を美玖は覚えた。ショーツが切られたのだと気付いたのは足元にハラリと生地が落ちてからだった。

(うそっ?こんな場所で?本気なの!?)

手の次は淫魔の顔が太腿を掻き分け秘部へと迫る。

『すごくエッチな匂いがする。それにもう濡れてるよ?』

(やめて…)

美玖の秘所へ生暖かい熱気が近付いたと思えば、淫魔がその長い舌を割れ目にそってヌルリと這わせた。

(いやぁ…)

一舐めで美玖の下半身から力を奪われる。まるで蛇の様に上下左右自在に動く舌が、続け様に秘部全体へとウネウネと唾液を塗り付ける。舌が触れれば表面のザラザラとした感触が美玖を震わせ、通り過ぎれば残された淫魔の体液が皮膚を火照らせた。

(こ、れ…まずいっ…)

前回の生地越しの刺激より遥かに生々しい肉と肉の触れ合いに早くも官能が急上昇する。美玖の両手は机の上で拳を作り、ヌメヌメの甘美なタッチを受け流そうと必死だった。

(あぁっ、私のあそこ…舐め舐めされてる…)

『今回はここを舐めてあげる』

尖らせた淫魔の舌先が淫核へ触れ、その形を確かめる様にグルリと包皮を剥く。

「ひゃうっ!」

あまりの刺激に固く閉じていた美玖の口から小さな悲鳴が上がる。同じテーブルに座っている男子学生がチラリと美玖の方を見たが、試験に熱中しているのか、すぐに答案用紙へと向かい直した。

(今までの刺激と全然違う)

一度興味本位でクリトリスを刺激したみた事は美玖にもあったが、その時は鈍い痛みが走っただけですぐにやめてしまっていた。その時の記憶と今の刺激は根底から違うものだった。

見透かした淫魔が言う。

『そりゃそうだよ。濡らしもせず、気持ちも昂っていない時に触ったところで、だよ。こうやってトロトロに濡らしてあげて、優しく舌肉で擦り上げてあげればホラ』

「んっ、くぅ❤︎』

また声が漏れてしまう。今は何とかバレていない様だが、このままエスカレートすれば近くの学生に気付かれる事は必至と考えた美玖は、スカートを押し上げている小さな頭を遠ざけようと手を伸ばす。

「っふ……ぁ…」

美玖の抵抗にびくともしない淫魔は円を描く様な舌先を使った淫核への愛撫を継続する。ゆっくりと焦らす緩慢さに、否が応でも敏感な部分へ甘い刺激が送り込まれる。

「っ…ぁっ………んっ❤︎」

『このままずっと同じペースで舐めててあげる』

「あっ……ひっ………ぁ…」

まだ途中退室出来る時間まで十五分近く残っている事実が美玖を焦燥させる。

淫魔の舌遣いは巧みで、全く同じスピードを維持し、正確に淫核を包む軌道で刺激を与えている。美玖の性感は休む間を与えられず、ただただ一方通行に高みへと誘導される。

「あっ…っめ……ぁ……ぁ……あ……あっ…っ❤︎…っんん❤︎❤︎」

正確に絶頂へ誘われ、何とか問題を考えるフリで顔を手で覆い、四肢を硬直させ美玖が果てる。

ブルブルと小さく痙攣する美玖に対し、淫魔は機械の様に刺激を続ける。

「まっ…て……ぁぁっ…❤︎」

『一分くらいでイっちゃったの?あとどれだけ耐えられるのかなぁ』

(まって!休ませて…少しでいいからっ)

美玖が心の中て懇願するも、淫魔の舌は止まらず、いくら美玖が腰の位置をズラしても正確に弱い部分を捉えて離さない。

「ぁ…ひっ……ふぁっ…ぁ…あ…あっ…んんっ❤︎❤︎」

短時間での連続絶頂に美玖の腰はガクガクと震え、両手で椅子の縁を握り締め、快楽の波が過ぎ去るのを待つ。

しかし二度目の余韻は簡単に引かず、また次の波が大きくなって押し寄せる。

「んんっ❤︎…んんんっ❤︎❤︎もっ…だ、めっ…」

絶頂との境が溶かされつつある美玖は再び襲ってくる特農の刺激を身を任せるしかない。

(だ、め…溶かされ、る…)

ーーーーーーーーーー

あと十分で退出出来る所まで来た美玖だが、容赦なく責めてくる舌に、もう自分では立てない程に追い込まれていた。絶頂した数も自分では把握できない所まできていて、意識は白みがかり、ブラウスは汗で皮膚に張り付いていた。

『もう限界?』

舌を止める事なく淫魔が問う。

『じゃあもっと強く舐めてあげようかなぁ』

(もうむり!ほんとにむりなの!許して!)

何でもするから、と美玖の心はとうに折れていた。

『何でも?』

(何でもする!だからもう止めて!)

半狂乱になりながら美玖は淫魔に許しを乞う。するとようやく舌の動きが止み、淫魔は一つの提案をする。

『じゃあ…』

提示された代償は美玖にとって意外なものだった。二つ返事で了承した美玖は退室が許される時間になるや否や、ふらつく足ですぐに講義室を出た。
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