上 下
6 / 10

6話

しおりを挟む

帰りの電車内でも疼く身体との格闘に精一杯だった。

秘所は乾く様子も無く、車体が揺れる度に下着がいじらしく敏感な部分を撫でる。

(…ぁっ)

吊革に火照った身体を預け、ヒップを突き出すようにしながら刺激に耐える。

(だめ…ブレーキ効かない…かも…)

片手が意思に反して首筋にあてがわれ、直接身体を弄りたい衝動が襲ってくる。

バストを揉んで欲しい。

乳首に爪を立て、痛いほどに抓って欲しい。

駄目だと思いながらも、転がり始めた妄想は止まらない。

(触って…欲しい…)

シャツをはだけさせ、手を差し込んで欲しい。強引にブラを押しのけ、指を這わせて欲しい。

最初は指の腹で乳首回りをいやらしく摩り、我慢できなくなったところで爪で先端を掻いて欲しい。

その時の快感はどれだけだろう。きっと声を我慢することは難しい。

車内で嬌声を我慢しながら何度も乳首をいじめられるんだ。

(んん…)

力が抜けた所でヒップを手の甲で撫でられたい。

くすぐったい刺激に、誘うように下半身を揺らす雌の自分を想像する。

(もっと…)

今度は掌でヒップを包むように触られるんだ。

(ゃ…もっと…もっとぉ…)

その後は指を立て、生地越しに下着のラインを確認され、そこをなぞるように弄られる。

(お尻だけで…き、気持ちい…)

唐突に愛撫が止む。

(なんで、もっと…いじめて…はぁぁ!)

車内の雑音に負けない程の勢いでヒップに掌が叩き込まれる。

(ああ!痛い…痛いけど…いぃ…)

その強烈な刺激に耐えるように吊革にしがみつく。同時に突き出された下半身に何度もスパンキングをされるんだ。

(ぁ…はぁぁ!たくさん、たくさん叩いて…)

暴走する妄想は、後ろに彼の姿を作る。

(何で林さんが出てくるの…)

はっと現実に醒める。

(ぁぁ…)

身体の方は汗が滲む程の妄想快感に流されていた。

ふと回りに意識を向けると、仕事終わりのサラリーマン二人組が何やら下衆な表情を浮かべながらさり気なくこちらを見ている。

誰でも良いと考えてしまいかねない自分が怖い。

幸い降車駅を告げるアナウンスが車内に響いた。

私は力の入らない身体を引きずり、いつもの帰り道を急いで帰った。

ーーーーーーーーーー

「挿れるね」

「うん、来て…あっ…」


一週間後の土曜日、悠介が帰ってきた。
それも当日の朝に突然、今こっちにいるから、との連絡だった。

きっと私を驚かせたかったのだろう。

久しぶりに会えた彼は、やや日焼けしたようで、もともとのガッチリとした体格も相まってスポーツマンさながらの爽やかさに磨きがかかっていた。

朝一番の新幹線でこちらへ戻り、玄関のドアを開けるや否や、挨拶も後回しに抱きついてきた悠介には"わかりやすいやつ"と苦笑したものだが、きちんとシャワーを済ませていた私も同じようなものだ。


「んっ…」

正常位で迎え入れる。

余裕が無さそうに眉間にしわを寄せている悠介の表情が可愛らしい。

「久しぶりすぎてっ…すぐ出そう」

「ふふっ、言わなくても良いから…あんっ」

徐々に悠介の腰が加速する。

「くっ…なんかいつもと違う気がするね」

対位を変えながら悠介がおもむろに違和感を口にする。

「んっ、なにが?」

「いや、なんかいつもの郁美じゃないみたい。エロい…」

そう言いながらも呼吸と腰の動きが更に荒くなってくる。そろそろ限界なのだとわかる。

「久しぶり、だからよ、私だって寂しかったんだから」

悠介の頰を撫でながら答える。

でも、私もいつもと違う気がする。
何かが足りない。
緊張感。
羞恥心。
違う、その分安心感や同調感がある。

ーじゃあ何?

ー次に何をされるか解るから?

違う。

気持ち良さが、単純に違うんだ。
あの汗粒が全身から吹き出す感覚が、無いんだ。


「ふっ、ふっ、ふっ、う…」

「あっ、はっ……はぁ、はぁ」

中で悠介のものがビクついているのがわかる。それに合わせて私もゴム越しの射精を受け入れる。

肩で呼吸をしながら私に倒れ込んでくる悠介を優しく抱擁する。

「幸せ…」

「うん、俺も寂しかった」

「私も…」

「もう少しこのまま…」

「うん」

「ねぇ、悠介…」

「んっ、チュっ…ん」

「もう一回、しよ?」

「ふふっ、珍しいね、でもちょっと眠たい…少しだけ…このまま…」

「そうだね…疲れてるもんね。じゃあ一緒に…」

もう眠気に抗えなくなったらしく、私の胸元に顔を埋めるように寝息を立てている。

「もう…」

最中はあれだけ猛々しいのに、なぜ射精後はこんなにも甘えたさんになるのだろう。

ー幸せ

そうだ。こういう幸福感で良い。

そう言い聞かせないことには、心の中枢の揺らぎに蓋をすることが出来なかった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【R18】淫魔の道具〈開発される女子大生〉

ちゅー
ファンタジー
現代の都市部に潜み、淫魔は探していた。 餌食とするヒトを。 まず狙われたのは男性経験が無い清楚な女子大生だった。 淫魔は超常的な力を用い彼女らを堕落させていく…

うちの娘と(Rー18)

量産型774
恋愛
完全に冷え切った夫婦関係。 だが、そんな関係とは反比例するように娘との関係が・・・ ・・・そして蠢くあのお方。 R18 近親相姦有 ファンタジー要素有

【R18】ダイブ〈AV世界へ堕とされたら〉

ちゅー
ファンタジー
なんの変哲も無いDVDプレーヤー それはAVの世界へ転移させられる魔性の快楽装置だった 女の身体の快楽を徹底的に焦らされ叩き込まれ心までも堕とされる者 手足を拘束され、オモチャで延々と絶頂を味わされる者 潜入先で捕まり、媚薬を打たれ狂う様によがる者 そんなエロ要素しかない話

ねえ、私の本性を暴いてよ♡ オナニークラブで働く女子大生

花野りら
恋愛
オナニークラブとは、個室で男性客のオナニーを見てあげたり手コキする風俗店のひとつ。 女子大生がエッチなアルバイトをしているという背徳感! イケナイことをしている羞恥プレイからの過激なセックスシーンは必読♡

イケメンドクターは幼馴染み!夜の診察はベッドの上!?

すずなり。
恋愛
仕事帰りにケガをしてしまった私、かざね。 病院で診てくれた医師は幼馴染みだった! 「こんなにかわいくなって・・・。」 10年ぶりに再会した私たち。 お互いに気持ちを伝えられないまま・・・想いだけが加速していく。 かざね「どうしよう・・・私、ちーちゃんが好きだ。」 幼馴染『千秋』。 通称『ちーちゃん』。 きびしい一面もあるけど、優しい『ちーちゃん』。 千秋「かざねの側に・・・俺はいたい。」 自分の気持ちに気がついたあと、距離を詰めてくるのはかざねの仕事仲間の『ユウト』。 ユウト「今・・特定の『誰か』がいないなら・・・俺と付き合ってください。」 かざねは悩む。 かざね(ちーちゃんに振り向いてもらえないなら・・・・・・私がユウトさんを愛しさえすれば・・・・・忘れられる・・?) ※お話の中に出てくる病気や、治療法、職業内容などは全て架空のものです。 想像の中だけでお楽しみください。 ※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんの関係もありません。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 ただただ楽しんでいただけたら嬉しいです。 すずなり。

優しい先輩に溺愛されるはずがめちゃくちゃにされた話

片茹で卵
恋愛
R18台詞習作。 片想いしている先輩に溺愛されるおまじないを使ったところなぜか押し倒される話。淡々S攻。短編です。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

【R18】鬼上司は今日も私に甘くない

白波瀬 綾音
恋愛
見た目も中身も怖くて、仕事にストイックなハイスペ上司、高濱暁人(35)の右腕として働く私、鈴木梨沙(28)。接待で終電を逃した日から秘密の関係が始まる───。 逆ハーレムのチームで刺激的な日々を過ごすオフィスラブストーリー 法人営業部メンバー 鈴木梨沙:28歳 高濱暁人:35歳、法人営業部部長 相良くん:25歳、唯一の年下くん 久野さん:29歳、一個上の優しい先輩 藍沢さん:31歳、チーフ 武田さん:36歳、課長 加藤さん:30歳、法人営業部事務

処理中です...